特許第6847038号(P6847038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6847038クーラ装置の冷却格子、及びそれを備えるクーラ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847038
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】クーラ装置の冷却格子、及びそれを備えるクーラ装置
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/47 20060101AFI20210315BHJP
   F27D 15/02 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   C04B7/47
   F27D15/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-537531(P2017-537531)
(86)(22)【出願日】2016年8月23日
(86)【国際出願番号】JP2016003832
(87)【国際公開番号】WO2017038050
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年8月6日
(31)【優先権主張番号】201510545860.8
(32)【優先日】2015年8月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出井 耕一
(72)【発明者】
【氏名】▲凡▼ 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山形 恭司
(72)【発明者】
【氏名】大澤 弘明
(72)【発明者】
【氏名】板東 宏
(72)【発明者】
【氏名】吉永 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 喜久
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−501868(JP,A)
【文献】 特開2013−133247(JP,A)
【文献】 特開平09−169552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/47
F27D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の粒状搬送物を搬送しながら冷却空気で冷却するクーラ装置の冷却格子であって、
上面に前記粒状搬送物より低温の粒状埋設物を堆積させてデッド層を形成させることによって前記デッド層を介して前記粒状搬送物を支持し、前記デッド層を介して前記粒状搬送物に供給される前記冷却空気が通るためのスリットがそれらの間に形成されるように所定方向に間隔をあけて配置されている複数の支持部材と、
前記スリット全体を上方から個別に覆う複数の被覆部材と、を備え、
前記複数の支持部材の各々は、前記スリット全体にわたって前記スリットの所定方向両側に位置し且つ前記被覆部材が載置される載置部を夫々有し、
前記複数の被覆部材の各々は、その断面において上方に向かって先細りになっているテーパ部を有し、前記テーパ部と前記載置部との間にスペーサを介在させた状態で前記載置部に載置されており、
前記スペーサは、所定方向に直交する直交方向に間隔をあけて複数配置されており、
前記複数の支持部材の各々は、上方に突出したフランジ部を有し、
前記載置部は、前記フランジ部の上端であり、
前記スペーサは、前記被覆部材の前記テーパ部に配置され、
前記被覆部材は、前記載置部の上端縁に前記スペーサを当接させて前記載置部に載置されている、クーラ装置の冷却格子。
【請求項2】
前記所定方向は、前記粒状搬送物を搬送する搬送方向である、請求項1に記載のクーラ装置の冷却格子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載される前記冷却格子が前記所定方向に複数並べて配置される冷却格子列が前記直交方向に複数並べて配置されるクーラ装置であって、
前記冷却格子は、互いに間隔をあけて前記所定方向に複数並べて配置されており、隣接する前記冷却格子における前記支持部材の端部同士を固定板に溶接することによって連結されている、クーラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の粒状搬送物、例えば粒状のセメントクリンカを搬送しながら冷却するクーラ装置の冷却格子、及びそれを備えるクーラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントプラントには、予熱、仮焼及び焼成を経て生成された高温のセメントクリンカを冷却しながら搬送するクーラが備わっており、例えば、特許文献1のようなクーラがある。このクーラは、複数の冷却格子を有しており、この冷却格子を縦方向に並べて組立てられている。冷却格子は、複数のV字プロフィルを有している。V字プロフィルは、鏡面対称に配置され且つ互いにオフセットされて上下に重ね合わせられており、隣接するV字プロフィルの脚部同士の間に中間空間(即ち、ラビリンス)が形成されている。このように構成されている冷却格子の上には、高温のセメントクリンカが載せられており、冷却格子を動かすことでセメントクリンカを搬送することができる。また、冷却格子の下側には、冷却空気が供給されており、ラビリンスを介してセメントクリンカに冷却空気を送ることでセメントクリンカを冷却できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−515365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるようなクーラでは、冷却格子上に形成されるクリンカ層を冷却空気が通過する際の通過圧損に対して冷却格子を通過する冷却空気に生じる通過圧損が所定の割合になるようにラビリンスの隙間等が設定されている。このように設定することで、冷却空気の偏流を抑えて冷却空気の流量分布を均一に近づけるようにしている。しかし、特許文献1に記載のクーラでは、V字プロフィルを上下方向に単に重ね合わせるように配置しているので、位置ずれ及びV字プロフィルの変形等によってラビリンスの高さが不均一となる。そのため、冷却空気が通過するラビリンスの位置によって冷却格子を通る冷却空気の通過圧損が異なって冷却空気の流量分布が不均一になっている。そうすると、冷却空気の偏流が生じてクリンカ層を均一に冷却することができない。
【0005】
そこで本発明は、冷却空気の通過圧損のばらつきを抑えることができるクーラ装置の冷却格子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のクーラ装置の冷却格子は、高温の粒状搬送物を搬送しながら冷却空気で冷却するものであって、上面に前記粒状搬送物より低温の粒状埋設物を堆積させてデッド層を形成させることによって前記デッド層を介して前記粒状搬送物を支持し、前記デッド層を介して前記粒状搬送物に供給される前記冷却空気が通るためのスリットがそれらの間に形成されるように所定方向に間隔をあけて配置されている複数の支持部材と、前記スリット全体を上方から個別に覆う複数の被覆部材と、を備え、前記複数の支持部材の各々は、前記スリット全体にわたって前記スリットの所定方向両側に位置し且つ前記被覆部材が載置される載置部を夫々有し、前記複数の被覆部材の各々は、その断面において上方に向かって先細りになっているテーパ部を有し、前記テーパ部と前記載置部との間にスペーサを介在させた状態で前記載置部に載置されており、前記スペーサは、所定方向に直交する直交方向に間隔をあけて複数配置されているものである。
【0007】
本発明に従えば、被覆部材がテーパ形状になっているので、取り付ける際に被覆部材を所望の位置に位置決めされた状態で載置部に載置することができる。これにより不所望な位置に被覆部材が配置されることを抑制することができ、被覆部材と載置部との間にスペーサをしっかりと介在させることができる。スペーサが介在することで被覆部材と載置部との間に形成される隙間を略一定寸法にすることができる。複数のスペーサは、直交方向に間隔をあけて配置されており、スリットを通り抜けた冷却空気をスペーサの間から放出させることができる。被覆部材と載置部との間に形成される隙間が略一定寸法であるので、スペーサの間から放出される冷却空気の圧力損失のばらつきを抑えることができ、その結果、冷却格子を通過する冷却空気の通過圧損が直交方向においてばらつくことを抑えることができる。
【0008】
上記発明において、前記複数の支持部材の各々は、上方に突出したフランジ部を有し、前記載置部は、前記フランジ部の上端であり、前記スペーサは、前記被覆部材のテーパ部に配置され、前記被覆部材は、前記載置部の上端縁に前記スペーサを当接させて前記載置部に載置されていてもよい。
【0009】
上記構成に従えば、載置部の上端に比べてテーパ部の内面の方が表面積を大きく形成されるので、テーパ部の内面にスペーサを溶接することで載置部に溶接する場合に比べてスペーサの取付けが容易である。
【0010】
上記発明において、前記所定方向は、前記粒状搬送物を搬送する搬送方向であってもよい。
【0011】
上記構成に従えば、載置部及び被覆部材が直交方向に延在するように配置されているので、搬送粒状物の動きにつられてデッド層が動こうとする際に載置部及び被覆部がデッド層に当たり、デッド層の動きを抑制することができる。
【0012】
本発明のクーラ装置は、前述するいずれかの前記冷却格子が前記所定方向に複数並べて配置される冷却格子列が前記直交方向に複数並べて配置されるものであって、前記冷却格子は、互いに間隔をあけて前記所定方向に複数並べて配置されており、隣接する前記冷却格子における前記支持部材の端部同士を固定板に溶接することによって連結されているものである。
【0013】
上記構成に従えば、1つ1つの格子の小型化を図ることができ、冷却格子の可搬性を向上させることができる。また、隣接する支持部材の端部の各々を固定板に溶接することによって格子同士が固定されるので、組立も容易である。更に、冷却格子同士の間隔をあけることで、被覆部材同士の間隔を広くすることができ、溶接する際の溶接器具、例えば溶接棒等を固定板に近づけることが容易になり、組立性を損ねることがない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、冷却空気の通過圧損のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るクーラ装置を備えるセメントプラントの構成を示す概略図である。
図2図1のクーラ装置の構成の概略を示す斜視図である。
図3図2のクーラ装置の冷却格子列に関して一部の構成を破断して示す拡大斜視図である。
図4図3の冷却格子列に関して取付板等を取り外した状態で示す拡大斜視図である。
図5図4の冷却格子を矢符Aの方向に見た側面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るクーラ装置の冷却格子の構成の一部を示す拡大斜視図である。
図7図6の冷却格子を矢符Bの方向に見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1及び第2実施形態に係る冷却格子1,1A及びそれを備えるクーラ装置2について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する冷却格子1,1Aは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0017】
[第1実施形態]
<セメントプラント>
セメントは、石灰石、粘土、けい石、及び鉄等を含むセメント原料を粉砕する原料粉砕工程と、粉砕されたセメント原料を焼成する焼成工程と、最終工程である仕上げ工程を経て生成され、これらの3つの工程がセメントプラントにて行われる。これら3つの工程のうちの1つである焼成工程では、粉砕されたセメント原料を焼成して冷却し、粒状のセメントクリンカを生成している。図1に示す構成は、セメントプラントの焼成設備3を示すものであり、セメント製造における焼成工程を行っている部分である。焼成設備3は、原料粉砕工程にて粉砕されたセメント原料を予熱、仮焼、及び焼成し、焼成されて高温となった粒状のセメントクリンカを冷却するようになっている。
【0018】
焼成工程を行う部分について更に詳細に説明すると、焼成設備3は、予熱器4を備えており、予熱器4は、複数のサイクロン5によって構成されている。サイクロン5は、上下方向に並べて段状に設けられており、その中の排気を上段のサイクロン5に吹き上げ(図1の破線の矢印参照)、投入されたセメント原料を旋回流により分離し、下段のサイクロン5へと投入するようになっている(図1の実線の矢印参照)。最下段の一段上に位置するサイクロン5は、セメント原料を仮焼炉6に投入するようになっている。仮焼炉6は、バーナを有しており、このバーナによる熱と後述する排気の熱とによって投入されたセメント原料中の炭酸ガスを分離する反応(即ち、仮焼反応)が行われる。仮焼炉6で仮焼反応が促進されたセメント原料は、後述のように最下段のサイクロン5に導かれ、更にこのサイクロン5内のセメント原料がロータリキルン7へと供給されるようになっている。
【0019】
このロータリキルン7は、数十メートル以上の横長円筒状に形成されている。ロータリキルン7は、サイクロン5側である入口から先端側にある出口に向かって僅かに下向きに傾いて配置されている。それ故、軸線を中心にロータリキルン7を回転させることによって、入口側にあるセメント原料が出口側へと搬送されるようになっている。また、ロータリキルン7の出口には、燃焼装置8が設けられている。燃焼装置8は、高温の火炎を形成し、セメント原料を焼成するようになっている。
【0020】
また、燃焼装置8は、高温の燃焼ガスを入口側に向かって噴射し、燃焼装置8から噴射された燃焼ガスは、セメント原料を焼成しながらロータリキルン7内を入口の方へと流れる。燃焼ガスは、高温の排気として仮焼炉6の下端から噴流となって仮焼炉6内を上方に吹き上がり(図1の破線の矢印参照)、仮焼炉6内に投入されたセメント原料を上方に吹き上げるようになっている。セメント原料は、この排気及びバーナによって約900℃まで加熱される、即ち仮焼される。また、吹き上げられたセメント原料は、排気と共に最下段のサイクロン5に流入し、ここで流入する排気とセメント原料とが分離される。分離されたセメント原料は、ロータリキルン7に供給され、排気は、一段上のサイクロン5へと吹き上げられる。吹き上げられた排気は、各サイクロン5でそこに投入されたセメント原料と熱交換を行ってセメント原料を加熱し、再びセメント原料と分離される。分離された排気は、更にその上のサイクロン5へと上昇して熱交換を繰り返す。そして、最上段のサイクロン5から大気に排出される。
【0021】
このように構成される焼成設備3では、セメント原料が最上段のサイクロン5付近から投入され、排気と熱交換しながら十分に予熱されて最下段より一段上のサイクロン5まで降り、そして仮焼炉6に投入される。仮焼炉6では、セメント原料がバーナ及び高温のガスにより仮焼され、その後、セメント原料は、最下段のサイクロン5へと導かれそこで排気から分離されてロータリキルン7に供給される。供給されたセメント原料は、ロータリキルン7内で焼成されながら出口側へと搬送される。このように予熱、仮焼、及び焼成されることによって、セメントクリンカが成形される。ロータリキルン7の出口には、クーラ装置2が設けられており、ロータリキルン7の出口から成形されたセメントクリンカがクーラ装置2に排出される。
【0022】
<クーラ装置>
クーラ装置2は、ロータリキルン7から排出されるセメントクリンカ(高温の粒状搬送物)を予め定められる搬送方向に搬送しながら冷却するようになっており、ロータリキルン7の出口直下には、固定傾斜グレート11が配置されている。固定傾斜グレート11は、ロータリキルン7の出口側から搬送方向に向かって下方に傾斜しており、ロータリキルン7の出口から排出された粒状のセメントクリンカが固定傾斜グレート11上を転がるように搬送方向に落ちていくようになっている。固定傾斜グレート11の搬送方向先端部には、複数の冷却格子列13が設けられており、セメントクリンカが複数の冷却格子列13上に堆積してクリンカ層14を形成するようになっている。冷却格子列13は、搬送方向に延在する構造体であり、互いに隣接するように搬送方向に直交する横方向(以下、「直交方向」ともいう)に並設されており、複数の冷却格子列13の全てを覆い隠すようにその上にクリンカ層14(図2の2点鎖線参照)が載っている。
【0023】
このように構成されている冷却格子列13は、図示しない台車を有しており、搬送方向一方及び他方に移動されるようになっており、冷却格子列13の移動と冷却格子列13の停止とが繰り返されることによって粒状のセメントクリンカが搬送されるようになっている。その具体的な搬送方法としては、例えば直交方向に並ぶ全ての冷却格子列13を前進させた後に隣接しない冷却格子列13を複数回に分けて後退させる方法や、直交方向に延在するクロスバーを冷却格子列13の上部に設けて、そのクロスバーを搬送方向に動かすことでクリンカ層14を搬送方向に送る方法がある。なお、クリンカ層14を搬送方向に送る構成及び方法については、前述する構成及び方法に限定されず、クリンカ層14を搬送方向に送ることができる構成及び方法であればよい。このように搬送されるセメントクリンカは、冷却格子列13の先端から下方へと落下し、冷却格子列13の先端の直下には、クラッシャ15が配置されている。
【0024】
クラッシャ15は、冷却格子列13の先端から落ちてくるセメントクリンカを更に細かく破砕するための装置であり、例えばロールクラッシャである。即ち、クラッシャ15は、4つのロール15aによって構成されている。4つのロール15aは、直交方向に延在する回転軸まわりに回転するようになっており、互いに所定の間隔をあけて搬送方向に並べて配置されている。4つのロール15aの外周面には、複数の歯が形成されており、4つのロール15aを回転させることによってロール15a間に導かれたセメントクリンカが破砕されるようになっている。本実施形態では、クラッシャ15としてロールクラッシャが採用されているが必ずしもそのような構成に限定されず、ハンマークラッシャー等、他の破砕機を採用してもよい。このように構成されているクラッシャ15は、そこに搬送されてくるセメントクリンカを破砕し、その直下に落とすようになっている。
【0025】
このように構成されているクーラ装置2では、冷却格子列13の移動と停止を繰り返すことによってクリンカ層14を搬送方向に移動させ、クラッシャ15に導く。また、冷却格子列13は、その上に形成されるクリンカ層14を搬送しながら冷却するように構成されている。以下では、冷却格子列13の詳しい構成について図3乃至図5を参照しながら説明する。
【0026】
冷却格子列13は、搬送方向一端から他端まで延在する短冊状の構造体であり、ケーシング17と、連結格子ユニット18とを有している。ケーシング17は、上側が開口する大略長方形状の箱体であり、搬送方向に延在している。ケーシング17は、搬送方向に延在し且つ直交方向に対向する一対の側壁17a,17aを有しており、一対の側壁17a,17aの間には、連結格子ユニット18が嵌まり込むように配置されている。連結格子ユニット18は、平面視でケーシング17の上側開口と略同じ形状に形成されており、平面視でケーシング17の上側開口を覆うようにケーシング17に嵌まり込んでいる。このように配置されている連結格子ユニット18の上には、セメントクリンカが堆積されてクリンカ層14が形成され、連結格子ユニット18は、形成されるクリンカ層14を支持している。
【0027】
また、連結格子ユニット18は、ケーシング17の底面17bから上方に離して一対の側壁17a,17aに取り付けられている。これにより、連結格子ユニット18の下側には、その上側が連結格子ユニット18によって覆われている下方空間20が形成されている。また、ケーシング17の底面17bには、開口溝17cが形成されており、開口溝17cは、冷却空気供給ユニット19に繋がっている。冷却空気供給ユニット19は、開口溝17cを介して下方空間20に冷却空気を供給するようになっている。連結格子ユニット18には、後述する複数の冷却通路30が形成されており、下方空間20の冷却空気は、複数の冷却通路30を通ってクリンカ層14に放出される。これにより、クリンカ層14が冷却されるようになっている。以下では、連結格子ユニット18の構成について図3及び4を参照しながら更に詳細に説明する。
【0028】
図4に示すように、連結格子ユニット18は、複数の冷却格子1を有している。複数の冷却格子1の各々は、後述する中間支持板24及び両端用支持板25を連結してユニット化した格子であり、支持体21と、複数のスペーサ22(図5参照)と、複数の被覆部材23と、を有している。支持体21には、複数の中間支持板24と、2つの両端用支持板25と、一対の取付板26,26が含まれている。なお、本実施形態において、支持体21には、4つの中間支持板24が含まれている。
【0029】
支持部材の1つである中間支持板24は、図5にも示すように大略断面チャンネル状の溝型鋼である。即ち、中間支持板24は、ウェブ部24aと、一対のフランジ部24b,24bとを有している。ウェブ部24aは、直交方向に延在する平面視で大略短冊状の平板部分である。ウェブ部24aの搬送方向両端部には、一対のフランジ部24b,24bの各々が搬送方向に互いに対向するように設けられている。一対のフランジ部24b,24bの各々は、ウェブ部24aの各端部から上方に延在しており、その上端が略面一となるように形成されている。
【0030】
また、支持部材の1つである両端用支持板25は、大略断面L字状の山形鋼であり、ウェブ部25aとフランジ部25bとを有している。ウェブ部25aは、直交方向に延在する平面視で大略短冊状且つ板状に形成されており、ウェブ部25aの一端部には、フランジ部25bが設けられている。フランジ部25bは、ウェブ部25aの一端部から上方に延在しており、中間支持板24のウェブ部24aと略同じ高さを有している。
【0031】
このように構成されている複数の支持板24,25は、互いに隙間をあけて搬送方向に並べられており、両端用支持板25は、支持体21の搬送方向一端側及び他端側に夫々位置するように配置されている。これにより4つの中間支持板24が2つの両端用支持板25の間に位置するように配置されている。また、各中間支持板24は、その開口が上方を向き且つ隣接する中間支持板24とフランジ部24bが対向するように配置され、両端用支持板25の各々も、フランジ部25bが隣接する中間用支持板24のフランジ部24bと対向するように配置されている。このように6つの支持板24,25は、フランジ部24b,25bを互いに対向させて且つ間隔をあけ配置され、この状態で一対の取付板26,26に架け渡すように取り付けられている。
【0032】
一対の取付板26,26は、搬送方向に延在する側面視で短冊状の板であり、一対の取付板26,26は、直交方向に対向し且つ間隔をあけて配置されている。一対の取付板26,26の間には、複数の支持板24,25が並べて配置され、複数の支持板24,25は、一対の取付板26,26に架け渡すように取り付けられている。即ち、複数の支持板24,25の各々は、直交方向両端部を一対の取付板26,26の互いに対向する対向面26a,26aに溶接されて一対の取付板26,26に固定されている。
【0033】
このように構成されている支持体21では、互いに対向するフランジ部24b,24b同士及びフランジ部24b,25bとの間に隙間があいており、この隙間によってスリット27が形成されている。換言すると、フランジ部24b,25bは、スリット27を挟むようにしてスリット27の搬送方向両側に位置している。このようにスリット27を形成するフランジ部24b,25bは、それらの上端によって載置部28を構成し、載置部28の各々には、スリット27を覆うべく被覆部材23が載置されている。
【0034】
被覆部材23は、平面視で直交方向に長尺の矩形状に形成されており、直交方向において支持板24,25と略同じ長さを有している。また、被覆部材23は、直交方向に垂直な断面において上方に向かって先細りとなるテーパ部23aを有している。本実施形態では、被覆部材23は、図5に示すような大略断面逆V字状の山形鋼である。なお、被覆部材23の断面形状は、前述するような大略断面逆V字状に限定されず、断面台形形状であってもよい。被覆部材23は、テーパ部23aの内周面23b,23bを下方に向けて配置されるようになっており、2つの内周面23b,23bは、上方に向かうにつれて間隔が狭まるように傾斜している。この2つの内周面23b,23bには、複数のスペーサ22が取り付けられている。
【0035】
複数のスペーサ22の各々は、大略矩形状の板状部材であり、予め定められた厚みを有するように形成されている。複数のスペーサ22は、被覆部材23のテーパ部23aの各内周面23b,23bに直交方向に沿って一列に並べて配置されており、被覆部材23をスリット27の上に配置する際に載置部28に当接するようになっている。更に詳細に説明すると、各スペーサ22は、被覆部材23をスリット27の上に配置すると、フランジ部24b(又はフランジ部25b)の上端であってスリット27から離れている側の角部分28aに当たるようになっている。これにより、複数のスペーサ22が被覆部材23と載置部28との間に介在し、被覆部材23がスリット27を介して載置部28に載置される。
【0036】
このように載置される被覆部材23は、その稜線部分が平面視でスリット27と重なるように配置されている。このように配置されている被覆部材23は、一対の取付板26,26の間隔と略同じ直交方向の長さを有しており、被覆部材23の直交方向両端の各々が対向面26a,26aの各々に溶接されて固定されている。即ち、被覆部材23は、一対の取付板26,26に架け渡すように設けられ、スリット27の全体が被覆部材23によって上方から覆われている。これにより、スリット27の上方には、被覆部材23と載置部28とによって囲まれた断面大略三角形状の内部空間23dが形成されている。
【0037】
また、複数のスペーサ22の各々は、1つの内周面23bに複数個配置できるように短尺に形成されており、且つ直交方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態では、各内周面23bに3つのスペーサ22が設けられており、各スペーサ22は、直交方向左右両側と中間部分とに配置されている。これにより、3つのスペーサ22の直交方向左右両側の各々には、直交方向に延在する横長の開口29が形成されている。各開口29の高さは、被覆部材23のテーパ部23aと角部分28aとの間に介在するスペーサ22の厚みによって規定されている。即ち、各開口29の高さは、略一定の寸法(具体的には、スペーサ22の厚みと略同じ高さ)になっている。このような形状を有する複数の開口29は、内部空間23dを介してスリット27と繋がっており、内部空間23dとスリット27と共に冷却通路30を構成している。
【0038】
このように構成される冷却格子1では、一対の取付板26,26の搬送方向の端部が両端用支持板25,25より搬送方向に突出している。複数の冷却格子1は、一対の取付板26,26の搬送方向の端部同士を突合せるようにして搬送方向に並べられている。そうすることで、隣接する両端用支持板25,25の間に隙間31が形成されている。この隙間31を覆うように、隣接する両端用支持板25,25のウェブ部25aの他端部同士には固定板32が架設されている。固定板32は、直交方向において両端用支持板25と略同じ長さを有しており、平面視で大略短冊状に形成されている。固定板32の搬送方向両端部の各々は、各ウェブ部25aの他端部に溶接されている。これにより隣接する両端用支持板25,25が固定板32によって連結される、即ち冷却格子1が固定板32によって連結される。このように冷却格子1同士を連結して複数の冷却格子1を連ねることによって連結格子ユニット18が構成される。また固定板32は、一対の取付板26,26の間に介在するように配置され、直交方向両端部の各々が一対の取付板26,26の各々に溶接されている。これにより、隙間31全体が固定板32によって覆われて隙間31からの冷却空気の漏れを防いでいる。
【0039】
このように構成されている連結格子ユニット18では、左右両側に互いに連結されて構成される取付板26の列が形成され、各列が一対の側壁17a,17aに溶接されている。これにより、連結格子ユニット18は、前述の通りケーシング17の一対の側壁17a,17aに架け渡すように取付けられている。このようにして連結格子ユニット18がケーシング17に取付けられることによって冷却格子列13が構成されている。
【0040】
クーラ装置2は、このようにして構成されている冷却格子列13を複数個備えており、複数の冷却格子列13は、図3に示すように互いが接触しない程度に隙間33をあけて直交方向に並べられている。また、隙間33にセメントクリンカが入り込まないように、隣接する2つの冷却格子列13では、隣接する側壁17a,17aに図示しないカバー体が設けられている。カバー体は、隣接する側壁17a、17aの上端部に被せられており、隣接する冷却格子列13の相対移動を可能にし且つそれらの間の隙間33にセメントクリンカが入り込むことを防ぐようになっている。
【0041】
このように構成されているクーラ装置2は、前述の通り直交方向に並べられている複数の冷却格子列13の上(即ち、支持板24,25の上)にクリンカ層14が形成されている。クリンカ層14は、冷却格子列13の上に形成されるデッド層35及びアクティブ層36を有している。デッド層35は、粒状搬送物であるセメントクリンカ(以下、「搬送クリンカ」という)より低温のセメントクリンカ(低温の粒状埋設物)を冷却格子列13の上に堆積させて形成されている。アクティブ層36は、このデッド層35に高温の搬送クリンカを堆積させることでデッド層35の上に形成されている。それ故、冷却格子列13(支持板24,25)は、デッド層35を介して高温の搬送クリンカを支持し、デッド層35によって高温の搬送クリンカから冷却格子列13(支持板24,25)が保護されるようになっている。また、冷却格子列13上のデッド層35を保持してその動きを抑えるべく、クーラ装置2は、複数の中仕切板41を備えている。
【0042】
中仕切板41は、搬送方向一方から見た正面視で大略台形状の板状部材であり、複数の中仕切板41が冷却格子列13において所定のピッチで配置されている。更に詳細に説明すると、中仕切板41は、冷却格子1同士を連結する固定板32の各々に上方に延在するように立設されており、複数の中仕切板41は、冷却格子1の搬送方向長さと略同じピッチで冷却格子列13に配置されている。全ての中仕切板41の上端は、一様に同じ高さに位置している。
【0043】
このように構成されているクーラ装置2は、ロータリキルン7から排出された粒状のセメントクリンカを固定傾斜グレート11上で受けて冷却格子列13の方へと転がす。そして、セメントクリンカを冷却格子列13の上に堆積させ、冷却格子列13の上にクリンカ層14を形成し、このクリンカ層14を前述するような方法によって搬送方向に搬送する。搬送中、冷却空気供給ユニット19(ファン)が可動しており、冷却空気供給ユニット19から開口溝17cを介して下方空間20に冷却空気が供給される。下方空間20の冷却空気は、複数の冷却通路30を通って各開口29から外方に放出される。放出された冷却空気は、圧力損失を生じながらデッド層35のセメントクリンカの間を通って上昇し、アクティブ層36へと達する。冷却空気は、高温の搬送クリンカと熱交換してそれを冷却しながらその間を通り、アクティブ層36から上方へと抜けていく。上方に抜けた空気は、搬送クリンカと熱交換することによって高温になっており、その一部がクーラ装置2から排出されて直接キルン7、もしくは排出管51を介して仮焼炉6に導入されるようになっている。このようにクーラ装置2では、冷却格子1によってクリンカ層14の搬送クリンカを冷却しながら搬送し、搬送クリンカが大気温度より数十度高い温度まで冷却し続けられる。
【0044】
このような機能を有するクーラ装置2の冷却格子1では、被覆部材23のテーパ部23aがスペーサ22を介して載置部28に載置されている。それ故、被覆部材23を載置部28上に取り付ける際、テーパ部23aの楔効果によって被覆部材23を所望の位置に位置決めされた状態で載置部28に載置することができる。これにより、被覆部材23が不所望の位置に配置されることを防ぐことができ、被覆部材23と載置部28との間にスペーサ22をしっかりと介在させることができる。また、スペーサ22を介在させることで被覆部材23と載置部28との間に形成される複数の開口29の高さを略一定寸法(即ち、スペーサ22の厚みと略同じ寸法)にすることができ、複数の開口29の高さのばらつきを抑えることができる。複数の開口29の高さのばらつきを抑えてスペーサ22の間隔を適切に設定することで、冷却通路30を通過する際の圧力損失、即ち通過圧損を精度良く設定することができる。これにより、冷却格子1を通過する冷却空気、より詳細には冷却通路30を通る冷却空気の通過圧損が直交方向においてばらつくことを抑えることができる。それ故、適切な通過圧損を与えた冷却空気をデッド層35に供給することができ、アクティブ層36の層高の違いやアクティブ層36を構成する搬送クリンカの粒径の分布の偏りによる空気の偏流を抑えることができる。そうすることで、アクティブ層36の搬送クリンカを均一に冷却することができる。
【0045】
また、冷却格子1では、テーパ部23aにスペーサ22が溶接されている。テーパ部23aの表面積は、支持板24,25のフランジ部24b,25bの上端の表面積に比べて大きくなっている。それ故、テーパ部23aの内周面23bにスペーサ22を溶接する方が、フランジ部24b,25bの上端に溶接する場合に比べて溶接しやすく、冷却格子1の組立性を向上させることができる。また、冷却格子1では、上方に延在するフランジ部24b,25bに下方に向かって拡がるテーパ部23aを載置しており、フランジ部24b,25bの外側であってテーパ部23aの下側に形成される空間37が開口29に向かって狭まるような楔形に形成されている。これにより、テーパ部23aの下側にある空間37に埋設された粒状物、即ち低温のセメントクリンカに対して開口29に向かって移動させる力が作用しても、楔形状により移動方向と直交する方向に圧力が作用するので、粒状物の移動が抑制される。従って、比較的粒径の小さい粒状物、即ち低温のセメントクリンカが開口29から下方空間20に入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0046】
また、冷却格子1では、複数の支持板24,25が搬送方向に間隔をあけて配置されている。これにより、スリット27が直交方向に延在するように配置され、そのスリット27を形成するフランジ部24b、25b及びスリット27全体を覆う被覆部材23も直交方向に延在するように配置される。そうすることで、冷却格子1には、直交方向に延在する突起部分が搬送方向に間隔をあけて配置されるようになり、デッド層35を構成する低温のセメントクリンカが突起部分に当たるようになる。そうすることでデッド層35の低温のセメントクリンカの搬送方向の動きを抑制することができる。これにより、デッド層35を冷却格子1上に保持することができ、デッド層35による冷却格子1の保護機能を維持することができる。
【0047】
また、冷却格子列13では、ユニット化されている冷却格子1を連結することによって構成されているので、1つ1つの冷却格子1の小型化を図ることができ、冷却格子1の可搬性を向上させることができる。これにより、クーラ装置2の製造を容易にすることができる。また、隣接する両端用支持板25のウェブ部25aの他端部同士を固定板32に溶接することによって冷却格子1同士が固定されるので、組立も容易である。更に、冷却格子1同士の間隔をあけることで、隙間31を挟んで隣接する被覆部材23同士の間隔を広くすることができる。これにより、溶接する際の溶接器具、例えば溶接棒等を固定板32に近づけることが容易になり、組立性を損ねることがない。また、固定板32に中仕切板41を溶接する際にも溶接器具を中仕切板41の下端に近づけやすく、中仕切板41の溶接を容易にすることができる。
【0048】
このように溶接される中仕切板41は、デッド層35内に埋設され、デッド層35を構成する低温のセメントクリンカの動きを抑制するようになっている。これにより、クリンカ層14の上部にある搬送クリンカによって低温のセメントクリンカが連れられてデッド層35の層厚が小さくなることを防ぐことができ、デッド層35による冷却格子列13の保護機能を維持することができる。また、全ての中仕切板41の上端が一様に同じ高さに位置し且つ中仕切板41が所定のピッチで配置されているので、冷却格子列13上に形成されているデッド層35の高さ(即ち、ケーシング17の底面17bからの高さ)を均一にすることができ、デッド層35における冷却空気の通過圧損を均一にすることができる。クーラ装置2の通過圧損は、冷却格子1の通過圧損とデッド層35の通過圧損とを組み合わせたもので決まる。それ故、デッド層35における冷却空気の通過圧損を均一にし、且つ冷却格子1の通過圧損を適切に設定することによって、クーラ装置2の通過圧損を適切に設定することができる。これにより、アクティブ層36の層高の違いやアクティブ層36を構成する搬送クリンカの粒径の分布の偏りによる空気の偏流を抑えることができ、アクティブ層36の搬送クリンカを均一に冷却することができる。
【0049】
[第2実施形態]
第2実施形態の冷却格子1Aは、クーラ装置2に備わる冷却格子列13Aを構成しており、冷却格子1Aの構成は、第1実施形態の冷却格子1の構成と類似している。以下では、第2実施形態の冷却格子1Aの構成について、第1実施形態の冷却格子1と異なる点等について主に説明し、同一の構成については同一の符号を付して図示及び説明を省略する。
【0050】
図6及び7に示すように、冷却格子1Aは、後述する複数の支持板24Aを連結してユニット化した格子であり、支持体21Aと、複数のスペーサ22Aと、載置台28Aと、複数の被覆部材23Aとを有している。支持体21Aには、複数の支持板24Aと、一対の取付板26,26が含まれている。支持部材である支持板24Aは、直交方向に延在する平面視で短冊状の平板である。複数の支持板24Aは、互いに搬送方向に間隔をあけて並べて配置されており、その直交方向両端部が取付板26,26の各々の対向面26aに溶接されて固定されている。このようにして構成される支持体21Aには、隣接する支持板24Aの間に溝61が夫々形成され、各溝61を上方から夫々覆うように複数の載置台28Aが配置されている。
【0051】
載置台28Aは、直交方向に延在する平面視で短冊状の板状部材であり、直交方向に垂直な断面が大略逆V字状の山形鋼である。載置台28Aは、その搬送方向の長さが対応する溝61より若干長く形成されており、各端部が隣接する支持板24Aの隣接する端部に夫々載置されて溶接されている。即ち、載置台28Aは、隣接する支持板24Aに架け渡すように設けられている。また、載置台28Aは、一方の取付板26から他方の取付板26まで延在しており、載置台28Aの直交方向両端部が一対の取付板26,26の各々に溶接されて固定されている。これによって、溝61全体が載置台28Aによって覆われる。このように配置される載置台28Aの稜線部分には、間隔をあけて複数のスリット27Aが形成されている。
【0052】
スリット27Aは、直交方向に延在する溝であり、例えば載置台28Aの稜線部分を切り落とすことによって形成されている。本実施形態では、載置台28Aには、2つのスリット27Aが直交方向に並べて配置されている。このように形成されるスリット27Aは、平面視で隣接する2つの支持板24Aの間、即ち溝61に重なるように配置されており、載置台28Aにはスリット27Aを覆うように被覆部材23Aが載置されている。
【0053】
被覆部材23Aは、スリット27Aの有無を除いて載置台28Aと類似する形状を有している。即ち、被覆部材23Aは、直交方向に延在する平面視で短冊状の板状部材であり、直交方向に垂直な断面が逆V字状の山形鋼である。被覆部材23Aの内周面23bには、その両端部に複数のスペーサ22Aが溶接等によって固定されている。複数のスペーサ22Aは、内周面23bの各端部に間隔をあけて一列に並ぶように配置されている。本実施形態では、複数のスペーサ22Aは、内周面23bの各端部の直交方向左右両側と中間部分とに配置されている。複数のスペーサ22Aは、被覆部材23Aと載置台28Aとの間に夫々介在するように配置されている。これにより、被覆部材23Aと載置台28Aとの間の隙間62が、スペーサ22Aの厚みによって規定されている。また、各スペーサ22Aの間には、開口29Aが形成されている。被覆部材23Aと載置台28Aとの間の隙間が、スペーサ22Aの厚みによって規定されることによって、各開口29Aの高さが略一定の寸法となっている。各開口29Aは、被覆部材23Aと載置台28Aとの間の隙間62を介してスリット27Aと繋がり、更にスリット27A、載置台28Aの内部空間28b及び溝61を介して冷却格子1Aの下側にある下方空間20に繋がっている。開口29Aは、被覆部材23Aと載置台28Aとの間の隙間62、スリット27A、内部空間28b、及び溝61と共に冷却通路30Aを構成しており、下方空間20の冷却空気は、冷却通路30Aを通って放出されるようになっている。
【0054】
このように構成されている冷却格子1Aは、例えば4つの支持板24Aを載置台28Aによって連結することによってユニット化されて構成されている。また、冷却格子1Aの搬送方向両端側に位置する支持板24Aにおいて外側に位置する端部には、載置台28Aが設けられておらず、その端部同士を対向させ且つ一対の取付板26,26を突合せるようにして複数の冷却格子1Aが搬送方向に間隔をあけて並べられている。対向する2つの端部には、第1実施形態の冷却格子1と同様に固定板32が架け渡すように設けられ、これによって隣接する冷却格子1Aが固定板32によって連結されるようになっている。このように複数の冷却格子1Aが連結されることによって搬送方向に延在する連結格子ユニット18Aが構成され、連結格子ユニット18Aをケーシング17に取付けることで冷却格子列13Aが構成される。
【0055】
このように構成される冷却格子1A及びそれを備えるクーラ装置2は、第1実施形態の冷却格子1及びクーラ装置2と略同じ作用効果を奏する。
【0056】
<その他の実施形態>
第1及び第2実施形態の冷却格子1,1Aでは、被覆部材23,23Aが逆V字状の山形鋼によって構成されているが、必ずしも逆V字状である必要はなく台形状や平板であってもよい。また、スペーサ22は、被覆部材23に溶接して取り付けられているが、載置部28の上端に溶接等で取付けてもよく、その位置は必ずしも限定されない。また、冷却格子1,1Aを構成する支持板24,25,24Aの数や長さ、また連結格子ユニット18,18Aを構成する冷却格子1,1Aの数や長さについても一例を挙げたに過ぎず、任意の個数でよい。更に、冷却格子1では、フランジ部24b,25bの2つで載置部28を構成しているが、必ずしも2つで載置部28を構成する必要はなく、どちらか一方だけで載置部28を構成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,1A 冷却格子
2 クーラ装置
13 冷却格子列
22,22A スペーサ
23,23A 被覆部材
23a テーパ部
24 中間支持板(支持部材)
24A 支持板(支持部材)
24b フランジ部
25 両端用支持板(支持部材)
25b フランジ部
27,27A スリット
28 載置部
28A 載置台
32 固定板
35 デッド層
61 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7