特許第6847087号(P6847087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ショット アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許6847087-平型導体を備えたフィードスルー 図000002
  • 特許6847087-平型導体を備えたフィードスルー 図000003
  • 特許6847087-平型導体を備えたフィードスルー 図000004
  • 特許6847087-平型導体を備えたフィードスルー 図000005
  • 特許6847087-平型導体を備えたフィードスルー 図000006
  • 特許6847087-平型導体を備えたフィードスルー 図000007
  • 特許6847087-平型導体を備えたフィードスルー 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847087
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】平型導体を備えたフィードスルー
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/172 20210101AFI20210315BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20210315BHJP
   H01M 50/572 20210101ALI20210315BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20210315BHJP
   H01G 9/008 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   H01M2/06 A
   H01M2/30 B
   H01M2/34 B
   H01G11/74
   H01G9/008 301
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-221433(P2018-221433)
(22)【出願日】2018年11月27日
(65)【公開番号】特開2019-106363(P2019-106363A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年1月31日
(31)【優先権主張番号】10 2017 221 426.0
(32)【優先日】2017年11月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ハートル
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−216859(JP,A)
【文献】 実公昭55−020075(JP,Y2)
【文献】 特表2015−536533(JP,A)
【文献】 特表2007−501499(JP,A)
【文献】 特表2011−517970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/172
H01G 9/008
H01G 11/74
H01M 50/543
H01M 50/572
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム、アルミニウム合金、AlSiC、マグネシウム、マグネシウム合金、チタンまたはチタン合金から成り、少なくとも2つの開口(3.1,3.2,3.3)を有するパッケージ部品(1)を貫通するフィードスルーであって、
前記フィードスルーは、ガラス材料またはガラスセラミック材料(130)内にガラス封止されて、前記少なくとも2つの開口(3.1,3.2,3.3)の各々を通って貫通案内される、各開口に少なくとも1つの導体(10.1,10.2,10.3)を備え、
前記導体(10.1,10.2,10.3)は、前記ガラス封止された領域に、実質的に円形の横断面を有し、
前記フィードスルーは、前記ガラス封止された領域の上側および/または下側の第1および/または第2の領域において、前記導体の端部と電気的に接続された平型導体(30.1,30.2,30.3)を備え
前記平型導体は、実質的に矩形の横断面(5.1,5.2,5.3)を有し、
前記開口の直径(DO)は、前記平型導体の矩形領域の幅(B,DF)よりも小さことを特徴とする、フィードスルー。
【請求項2】
前記ガラス封止は、圧縮ガラス封止である、
請求項1に記載のフィードスルー。
【請求項3】
前記平型導体と、前記パッケージ部品(1)の表面と、の間に、0.5〜10mmの距離が設けられている、
請求項1または2に記載のフィードスルー。
【請求項4】
前記矩形の横断面は、少なくとも1つの領域に、前記導体の長手方向軸線に対して垂直な幅Bと、前記導体の長手方向軸線に対して垂直でありかつ前記幅に対して垂直な厚さDと、を有しており、前記幅Bは、前記厚さDの3〜7倍である、
請求項1から3までのいずれか1項に記載のフィードスルー。
【請求項5】
前記実質的に円形の横断面の横断面積は、10mm〜20mmの範囲内である、
請求項1から4までのいずれか1項に記載のフィードスルー。
【請求項6】
前記導体の前記円形の横断面の横断面積は実質的に、前記ガラス封止の上側および/または下側の前記平型導体の横断面積に相当している、
請求項1から5までのいずれか1項に記載のフィードスルー。
【請求項7】
当該フィードスルーは、少なくとも1つの基体(110)を有しており、該基体(110)は、前記導体および前記ガラス材料またはガラスセラミック材料(130)を収容しており、前記基体は、導体とガラス材料またはガラスセラミック材料(130)と共に前記パッケージ部品の前記開口内に挿入され、前記パッケージ部品に結合されている、
請求項1から6までのいずれか1項に記載のフィードスルー。
【請求項8】
前記導体の材料は、変形加工された領域に力線(200)を有しており、これらの力線(200)は、前記導体の長手方向軸線に対して実質的に鏡像対称的に形成されており、前記パッケージ部品および/または基体の表面に対して平行な力線部分は実質的に、前記導体の長手方向軸線(A)に対して平行な力線部分よりも長くなっている、
請求項1から7までのいずれか1項に記載のフィードスルー。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のフィードスルーおよび/またはパッケージ部品を有する電気的かつ/または電子的な装置であって、前記平型導体を複数結合して成る総合平型導体は、電気的かつ/または電子的なコンポーネントを接続するための少なくとも1つの接続用平型導体に結合されている、電気的かつ/または電子的な装置。
【請求項10】
前記接続用平型導体の横断面積は、前記フィードスルーおよび/または前記パッケージ部品の前記総合平型導体の横断面積に比べて同じ大きさであるか、またはより小さくなっている、
請求項9に記載の電気的かつ/または電子的な装置。
【請求項11】
前記平型導体が分けられる前記開口の数Nは:
N≒接続用平型導体の総合横断面積/円形の前記導体の横断面積
である、
請求項9または10に記載の電気的かつ/または電子的な装置。
【請求項12】
前記平型導体を複数結合して成る、所定の総合横断面積を有する1つの総合平型導体につなぎ合わされた、前記ガラス封止の一方の側の前記平型導体の数イコールNである、
請求項11に記載の電気的かつ/または電子的な装置。
【請求項13】
少なくとも2つの開口を有するパッケージ部品を貫通するフィードスルーを製造する方法であって、次のステップ、すなわち:
‐円形の横断面を有する導体をガラス材料またはガラスセラミック材料中に挿入し、前記ガラス材料または前記ガラスセラミック材料を、前記パッケージ部品の開口内または基体内に挿入してから加熱することにより、前記導体を、前記ガラス材料または前記ガラス材料中にガラス封止するステップ、
‐ガラス封止した、前記円形の横断面を有する導体の、前記ガラス材料または前記ガラスセラミック材料を越えて突出している領域を変形加工してまたは押し潰して、矩形の横断面を有する平型導体の部分および/または領域を形成し、前記矩形の横断面を有する各平型導体の前記部分を結合して1つの総合平型導体を形成することにより、前記少なくとも2つの開口にわたって延在するように全幅を拡げられ、矩形の総合横断面を備えた総合平型導体を生ぜしめるステップを有する、方法。
【請求項14】
前記開口の直径(DO)は、前記平型導体の各前記部分の矩形領域の幅(B,DF)よりも小さくなっている、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ガラス封止した導体の前記突出している領域の前記円形の横断面を、前記変形加工前にまたは前記押し潰し前に、長手方向中心軸線に沿って、前記開口の一列線に対して実質的に直交する方向に分割する、
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
分割した前記導体を、所定の幅および厚さを有する矩形の横断面に変形加工し、変形後の前記導体は、前記矩形の横断面の領域に、前記開口の直径よりも大きな幅を有している、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記押し潰し後の押し潰し長さは、厚さの1.5〜4倍である、
請求項13から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記押し潰し後の幅は、前記押し潰し長さの1.5〜4倍である、
請求項13から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記総合平型導体を、電気的かつ/または電子的なコンポーネントを接続するための少なくとも1つの接続用平型導体(300)に結合する、
請求項13から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記接続用平型導体の横断面積は、前記フィードスルーの前記総合平型導体の横断面積と比べて同じ大きさであるか、またはより小さくなっている、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のフィードスルーを、その内部に備えた、バッテリおよび/または蓄電池および/またはコンデンサおよび/またはスーパーコンデンサ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に軽金属、好適にはアルミニウム、アルミニウム合金、AlSiC、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金から成るパッケージのパッケージ部品を貫通する、平型導体を備えたフィードスルーであって、パッケージ部品は、少なくとも2つの開口を有しており、これらの開口を通り、ガラス材料またはガラスセラミック材料内にガラス封止された少なくとも各1つの導体が貫通案内される、フィードスルー、ならびに該フィードスルーを製造する方法および該フィードスルーの使用に関する。
【0002】
好適には軽金属、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金から成るパッケージのパッケージ部品内に設けられるフィードスルーは、多数の出願から公知になっている。例えば国際公開第2012/110242号(WO 2012/110 242 A1)に記載の、特にパッケージのパッケージ部品を貫通するフィードスルーでは、実質的にピン形の導体が基体内にガラス封止され、導体が基体内にガラス封止された後で、基体はパッケージ部品の開口内に挿入され、この開口に結合、例えば溶接される。
【0003】
前掲の国際公開第2012/110242号からは、両端部に面して円形状、すなわち円形横断面を有さない個々の導体を、ガラス材料またはガラス材料中にガラス封止することも公知になっている。このことは、導体がガラス封止領域において横断面円形に形成されていることにより行われる。両端部に対して非円形の、例えば横断面矩形の導体は、前掲の国際公開第2012/110242号に記載されているように、押し潰しにより得られる。パッケージの複数の開口の幅にわたって延在する、拡張された平型導体のガラス封止は、前掲の国際公開第2012/110242号では言及されていない。前掲の国際公開第2012/110242号から公知の導体は、パッケージの開口内に挿入された単一の導体であり、この導体は、外面を押し潰されかつ正方形の横断面を有していて、全く拡幅されておらず、このことは、平型導体の部分もしくは総合平型導体の部分の形成を妨げている。つまり平型導体は、大きな幅という点において優れており、この点がまさしく、前掲の国際公開第2012/110242号に記載の導体には存在していない。さらに、前掲の国際公開第2012/110242号から公知のガラス封止された導体は常に単一の導体であり、単一の開口を通して貫通案内される。
【0004】
国際公開第2012/167921号(WO 2012/167 921 A1)から公知になっているフィードスルーでは、ガラス材料内で隔離された複数の開口を通して、個別に導体が貫通案内される。導体は貫通案内領域に円形の横断面を有しており、かつバッテリパッケージの外面に対する接続領域では押し潰されておりひいては横断面が矩形、好適には正方形になっている。国際公開第2012/167921号に記載の構成における欠点は、接続が、単一の平型導体に対してではなく、個別の複数の導体に対して行われた、という点であった。
【0005】
米国特許出願公開第20030027038号明細書(US 2003/0027038 A1)および米国特許第9627109号明細書(US 9627102 B2)には、前掲の国際公開第2012/167921号と同様に、開口を貫通案内され、別の導体の接続用に矩形の領域を有する個別導体が記載されている。平型導体は、ここにも記載されていない。
【0006】
独国特許出願公開第102015004316号明細書(DE 10 2015 004 316 A1)には、バッテリパッケージと複数の接続端子とを備えたバッテリが記載されており、複数の接続端子は、バッテリパッケージカバーを貫通して案内される。接続端子はそれぞれ、極毎のバスバーに接続されている。
【0007】
英国特許出願公告第699492号明細書(GB 699492 A)に記載の個別導体は、誘電体材料内、特に陶磁器内でパッケージ中に案内される。この個別導体も、接続領域に矩形の横断面を有している。平型導体は、ここにも記載されていない。
【0008】
つまり本発明の課題は、従来技術の欠点を回避すると共に、比較的広幅の接続用平型導体をフィードスルーに接続しかつパッケージを通して特に気密に貫通案内することができる、ということを可能にする、フィードスルーを提供することにある。比較的広幅の接続用平型導体は、電流用に比較的大きな伝導横断面を有しているが、横方向の拡がりに比べて比較的小さな厚さを有しているという点において優れているので、コンパクトな装置の構成に適している。さらに本発明により、前掲の国際公開第2012/167921号に記載されているような公知のピン形フィードスルーよりも大きな電極面または接続面が提供されることが望ましい。
【0009】
フィードスルーに対する広幅の接続用平型導体の接続は、前掲の国際公開第2012/167921号の場合と同様に、前掲の国際公開第2012/110242号にもあまり記載されておらず、このようなフィードスルーの形成方法に当業者が想到することもない。従来技術から公知の接続バーは、供与される接続面を不十分にしか拡大しない。さらに、広幅の接続導体を提供するためにはいくつの開口を必要とするのか、という製造指示は一切提供されない。
【0010】
特に接続用平型導体をフィードスルーに接続可能にする、という本発明の課題は、請求項1記載のフィードスルーにより解決される。フィードスルーの製造方法およびフィードスルーの使用は、それぞれ別の請求項に記載されている。本発明の特別な構成は、各従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明によるフィードスルーが優れているのは、好適には軽金属、特にアルミニウム、アルミニウム合金、AlSiC、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金から成るパッケージのパッケージ部品を貫通するフィードスルーが、少なくとも2つの、好適には2つよりも多くの、特に3つ以上の開口を備えたパッケージ部品を有しており、これらの開口を通って少なくとも各1つの導体が、ガラス材料またはガラスセラミック材料内にガラス封止されかつ貫通案内される、という点である。これにより、気密なフィードスルーが達成される。開口を貫通案内される導体は全て、少なくとも一方のヘッド端部に、平型導体の一部分としてまたは平型導体として形成された領域を有している。複数の平型導体または平型導体の一部分が結合されて、接続用平型導体に接続可能な1つの平型導体または総合平型導体を形成している。つまり、拡幅された平型導体もしくは総合平型導体は、ガラス材料またはガラスセラミック材料内に密にガラス封止され、多数の開口を通って貫通案内される、各開口内の複数の円形導体に分けられる。この場合、総合平型導体は、複数の個別の平型導体または平型導体の一部分から構成されている。総合平型導体を形成する平型導体または平型導体の一部分の数は、導体が貫通案内される開口の数によって決められる。
【0012】
本発明では、ガラス封止の上側および/または下側に配置された平型導体の各部分が相並んで結合され、少なくとも2つの開口にわたって延在するように全幅を拡げられることにより、矩形の総合横断面を備えた総合平型導体が生ぜしめられる。総合平型導体の幅はBGである。その他に総合平型導体はさらに、厚さDを有している。平型導体もしくは総合平型導体は、ガラス封止の上側またはガラス封止の下側またはガラス封止の両側(すなわち上下両方共)に設けられていてよい。
【0013】
平型導体の各部分が、溶接および/または変形加工により結合されていると、有利である。
【0014】
各平型導体または各平型導体の一部分は、導体の長手方向軸線に対して垂直に測定した幅Bと、厚さDとを有する矩形の横断面を備えた導体ヘッドを有している。厚さDも、導体の長手方向軸線に対して垂直に測定される。厚さDは、幅Bに対してもやはり垂直なので、幅Bと厚さDとによって、平型導体の矩形の横断面積B・Dが規定されることになる。好適には、導体は平型導体の一部分に、特に押し潰しにより変形加工され、その結果、変形加工後、特に押し潰し後には、幅Bは厚さDの3〜7倍になっている。別の特徴的な値は、常に導体の長手方向軸線の方向に測定される、平型導体の長さである。好適には、押し潰し前の導体もしくはピン全体の長さは、約12mmであり、押し潰し長さは2mm〜8mmである。
【0015】
平型導体の幅Bは、有利には貫通開口の直径よりも大きくなっている。本願では、幅Bを最大延在長さとも言う。ガラス封止の両側の導体ヘッドを平型導体に形成しようとする場合、これらの導体ヘッドはそれぞれ接続用平型導体に結合可能であり、変形加工は、ガラス封止後に初めて可能である。それというのも、さもなければ導体は最早、開口内へは挿入不能になる恐れがあるからである。これに相応して、ガラス封止の少なくとも一方の側では、変形加工がガラス封止後に行われる必要がある。このことは、一般に脆性破壊性の材料から成るガラス封止が変形加工時に損傷されてはならない、という問題に結び付いている。
【0016】
本発明の1つの実施例では、円形導体の横断面積は、10mm〜20mmの範囲内、有利には12mm〜14mmの範囲内、好適には13mmである。円形導体は、変形加工により、好適には平型に押し潰すことにより、好適には先行するヘッド圧縮により変形加工され、その結果、平型導体の一部分の矩形の横断面は、1mm〜3mmの範囲内、好適には1.5mmの厚さと、5mm〜20mmの範囲内、好適には10mmの幅とを有することになる。押し潰しの長さもしくは押し潰し長さQLは、2〜8mmの範囲内、好適には7.5mmである。平型導体の面積として、B・Dから15mmの面積が生じ、これは円形導体の横断面積にほぼ相当する。導体の円形の横断面の横断面積が実質的に、ガラス封止の上側および/または下側の平型導体および/または総合平型導体の部分および/または領域の矩形の横断面の横断面積に相当していると、有利である。これにより、伝導横断面の変化による損失および/または作動状態での接触抵抗が一切生じない、ということが保証される。
【0017】
本発明ではガラス封止に関して、導体がガラス封止領域に、実質的に円形の横断面を有していることが想定されている。これにより1つの有利な構成では、ガラス封止を圧縮ガラス封止として実現することが可能である。この用語は当業者には周知であり、基本的には、内部でガラス封止が行われるパッケージ材料の熱膨張係数が、ガラス封止材料の熱膨張係数よりも大きいことを意味する。つまりパッケージ材料が、ガラス封止後に所定の圧力を、ガラス封止にひいては導体にも加えるようになっている。これにより、気密で持続的な、機械的に負荷可能なフィードスルーが達成される。
【0018】
1つの好適な実施形態では、円形導体は、ガラス封止の上側と下側の、第1および第2の領域において押し潰され、このようにしてパッケージの両側において、平型導体の非円形の、好適には実質的に矩形の部分に変形加工される。平型導体の個々の部分は、好適には相並んで位置しておりかつ大きな幅にわたり組み合わされてもしくは結合されて延在している。つまり、矩形の横断面を備えた複数の平型導体がつなぎ合わされて、複数の開口にわたって延在する総合幅延在長さを有する矩形の総合横断面を備えた1つの総合平型導体を形成する。このことは好適には、平型導体の個々の部分および/または領域が溶接されることにより、生じる。平型導体の個々の部分および/または領域が、変形加工時に結合し合って、例えば互いに移行し合って1つの平型導体または総合平型導体を形成することも、やはり可能でありかつ好適である。
【0019】
1つの実施形態では、例えば3つの個別の平型導体を結合した場合の総合平型導体の全幅または総合幅延在長さは、15〜60mmの範囲内、好適には30mmである。この場合、総合平型導体の面積として厚さ×幅から得られるのは、22.5〜90mmの範囲、好適には45mmの面積である。それぞれ13mmの横断面積を有する合計3つの円形導体の場合、3つの円形導体の横断面積は実質的に、3つの個別の平型導体から構成された総合平型導体の横断面積に相当し、これにより、横断面積縮小による伝導損失が回避される。本発明では、内部に導体がガラス封止される開口の直径(DO)は、平型導体の各部分の矩形領域の幅(B,DF)よりも小さくなっている。矩形領域は、幅Bと厚さDとにより特徴付けられており、矩形領域の面積は、B・Dである。幅は、本願では最大延在長さとも言う。
【0020】
導体のガラス封止は、パッケージの開口内に直接に行うことができるが、基体内に行うこともでき、この場合、基体はガラス封止された導体と共に開口内に挿入され、開口に結合もしくは溶接される。
【0021】
本発明の原理はいわば、所定の横断面積を有する所与の接続用導体、特に所与の接続用平型導体が、パッケージ部品および/または基体を貫通する所要の数Nの開口上に、横断面積ひいては供与される伝導横断面が減少しないように置かれることに基づいている。接続用平型導体の横断面積が、フィードスルーおよび/またはパッケージ部品の総合平型導体の横断面積に比べて同じ大きさであるか、またはより小さいと、有利である。このようなユニットの利点は、幾何学形状破壊の回避、接触抵抗の消滅または減少および極めて小さな出力損失という点にある。フィードスルーの領域における導体の加熱を回避するために、導体の円形部分の横断面積は常に、導体の矩形部分の横断面積に比べて同じ大きさであるか、またはより大きくなっている。導体の円形部分の横断面積が、導体の矩形部分の横断面積よりも小さいと、フィードスルーの領域の横断面積が縮小することになる。横断面積の縮小は伝導損失につながることがあり、伝導損失も結果的に加熱を生ぜしめる恐れがある。本発明により、1つの矩形の平型横断面全体が、複数の円形の横断面に分けられる。
【0022】
円形の横断面を有する各導体は複数の開口を通って案内され、これらの導体のヘッド領域はそれぞれ平型導体になるように形成されており、これらの平型導体が、例えば電気的な構成部材の広幅の外部接続用平型導体に接続可能な、1つの総合平型導体を形成している。所要開口の数Nは、次のように求めることができる:
N≒接続用平型導体の横断面積/開口内の各導体の円形の横断面の横断面積
例えば、個々の導体の円形部分の横断面積が13mmである場合に、接続用平型導体ひいては総合平型導体の横断面積が45mmであるとすると、平型導体を分けねばならない開口の数Nは:
N≒45mm/13mm=3.4
であり、3〜4の開口となる。当業者は、許容可能な接触抵抗に応じて開口数を適宜に選択することになる。開口数に関する許容範囲は±20%である、すなわち、上記数式から3.4の値が得られた場合には、3.4±0.68、すなわち3つまたは4つの開口が可能である。有利には、総合横断面積を有する1つの総合平型導体につなぎ合わされる、ガラス封止の一方の側の平型導体の一部分の数イコールNである。導体が基体内にガラス封止される場合には、基体の数が通常、イコール開口の数、つまりNになる。
【0023】
本発明の1つの別の特徴的なパラメータは、ガラス封止されるピンの直径に対する押し潰し厚さの比である。好適には、この比は2.0〜3.0であり、好適には2.7である。2.7の比は、ガラス封止されるピンの直径が4.1mmの場合、押し潰し厚さは1.5mmであることを意味する。
【0024】
導体が、円形の横断面を有する成形部品であると、特に好適であり、この場合、円形の横断面を有する成形部品は、ガラス材料またはガラスセラミック材料中にガラス封止され、ガラス封止の前または後に平型に押し潰すことにより、特に先行して2つの緊締ジョー間に挟み込んでからヘッドを圧縮した後に、ガラス封止の上側および/または下側において、円形導体から矩形の横断面が得られる。
【0025】
特に好適なのは、複数の平型導体の一部分を1つの全平型導体に結合することから生じる総合平型導体と、パッケージ部品の表面との間に、総合平型導体から、円形の横断面を有する導体が貫通案内される開口が設けられたパッケージ部品の表面まで、極小さな距離しか存在しない場合である。この距離は、有利には0.5〜10mm、好適には1〜10mmであってよい。好適には、前記距離は2〜10mmまたは1〜5mm、特に2〜5mmでしかない。前記距離は、好適には空隙である。変形加工された総合平型導体から前記表面までの、このように小さな距離とガラス封止とが可能である、ということは、当業者には意外であった。つまり、ガラス封止付近を大幅に変形加工することにより、ガラス封止を損傷することなく十分に大きな接続面を形成することができる、ということを、当業者が予測することは不可能であった。円から角隅への移行領域は極めて短く、変形加工時に移行領域がガラス封止中に延在することはない。当業者にとって意外なのは、変形加工プロセスがこのように正確に制御可能である、という点である。表面から総合平型導体までの距離が小さいことにより、空隙を細く保つことができ、これにより、構成部品高さが最小化される。これにより、所要構成空間が縮小されひいては例えばバッテリ用の使用においてセル容量の増大に寄与することになる。それというのも、同じ総構成空間において、より多くのセル用スペースが供与されていると共に、あまり構成高さのない接続技術を必要とするからである。
【0026】
1つの別の意外な利点は、大幅に変形加工することができる点にあり、複数の個別の領域を、ギャップを埋める追加的な材料を必要とすること無しに結合して、単一の平型導体を形成することができる。このことは、経済的な製造を可能にする。
【0027】
1つの択一的な実施形態では、導体が既にガラス封止された状態においてではなく、既にその前に変形加工が行われても、意外にも、平型導体と接続用導体との結合を生ぜしめる際に熱間法が用いられる場合には、大面積の平型導体が、ガラス封止の近くに配置されていてよく、この場合、大面積の平型導体は多量の熱を放出する。
【0028】
本発明は、本発明によるフィードスルーおよび/またはパッケージ部品を有する電気的かつ/または電子的な装置にも関し、フィードスルーおよび/またはパッケージ部品の総合平型導体は、電気的かつ/または電子的なコンポーネントを接続するための少なくとも1つの接続用平型導体に結合、特に溶接されている。特に接続用平型導体の有利な特徴およびガラス封止の一方の側における平型導体の部分もしくは開口の有利な数Nに関する電気的かつ/または電子的な装置の有利な改良は、既に上述した。
【0029】
フィードスルーの他に、本発明はこのようなフィードスルーを製造する方法も提供する。この製造方法は、第1の実施形態では、最初に円形の横断面を有する導体の円形の横断面領域をガラス材料またはガラスセラミック材料中に挿入し、ガラス材料またはガラスセラミック材料を、パッケージの開口内または基体内に挿入する、という点において優れている。次いでガラス材料またはガラスセラミック材料を、基体またはパッケージの開口領域と共に加熱し、これにより導体を、ガラス材料またはガラスセラミック材料中にガラス封止する。ガラス封止後に、ガラス材料またはガラスセラミック材料を越えて突出している円形の導体材料を変形加工して、有利には押し潰して、特に平型に押し潰して、所定の厚さおよび幅を備えた矩形の横断面を有する平型導体の部分を得る。ガラス材料またはガラスセラミック材料を越えて突出している円形の導体材料の一方の側、すなわちガラス材料またはガラスセラミック材料の上側または下側を変形加工することが可能であり、ガラス封止およびパッケージの一方の側だけに、複数の平型導体の部分から構成された1つの平型導体または総合平型導体が得られる。
【0030】
択一的に、ガラス材料またはガラスセラミック材料を越えて突出している円形の導体材料の上側と下側とを変形加工することもでき、これにより、ガラス封止およびパッケージの両側に平型導体が形成されることになる。もちろん、最初に一方の側を押し潰して平型導体を形成し、平型導体の形成後にガラス封止することも可能である。ただしこの場合、他方の側をガラス封止後に変形加工して平型導体を形成する必要がある。一般には原則として2つの可能な製造方法がある。第1の方法では、導体を平型導体に変形加工することなく、開口内にガラス封止する。ガラス封止してから、ガラス封止の上側および/または下側において導体を変形加工して、平型導体を形成する。これに対して択一的に、ガラス封止前に導体の一方の側を変形加工して平型導体を形成し、次いで開口内にガラス封止することもできる。ガラス封止前に一方の側を変形加工する、この択一的な方法は、平型導体を、導体の円形部分のガラス封止前に予め仕上げることができる、という利点を有している。導体の、変形加工されていない他方の側は、必須ではないが、ガラス封止後に変形加工されてよい。
【0031】
有利には、開口の直径(DO)が、各平型導体の部分の矩形領域の幅(B,DF)よりも小さくなるように、変形加工することができる。
【0032】
平型導体の部分に必要な幅を得るために、本発明の1つの改良された構成では、円形導体を、好適にはその長手方向中心軸線に沿って中心で分割することが想定されている。この場合、円形導体は2つの部分を有することになる。次いで分割部が拡げられ、これにより2つの分割部は相対して、例えば60°または90°の角度を有することになる。次いで導体のヘッドが押し潰され、円形導体の上側には、矩形の横断面と、分割されていないヘッドを圧縮した場合よりも大きな幅とを有する導体が形成される。このプロセスは、前記ヘッド圧縮という用語に含まれる。例えば、直径が4mmの円形導体を分割することで、平型押し潰しもしくは圧縮により6mm以上、例えば8mmの幅を実現することが可能である。このように変形加工されたヘッド領域は、高さに比べてはるかに広幅であることにより、接続用平型導体に結合した場合に、構成高さをあまり必要としない。開口の直径が、各平型導体の部分の矩形領域の幅よりも小さくなっていると、有利である。特に分割された導体が、所定の幅と厚さとを有する矩形の横断面に変形加工される場合には、導体は、変形加工後の矩形の横断面領域に、好適には開口の直径よりも大きな幅を有することになる。
【0033】
さらに、押し潰し後の押し潰し長さが、厚さの1.5〜4倍であると有利である。さらに、押し潰し後の幅が、押し潰し長さの1.5〜4倍であると有利である。この範囲の選択は有利である。それというのも、この場合は導体が円形の横断面から矩形の横断面へ、極めて短い長さにおいて移行しているからである。このこともやはり結果として、構成空間の節減をもたらす。矩形の横断面を有する導体ひいては例えば平型導体自体のガラス封止が不可能であることから、導体の可能な限り最短の長さは技術的な理由から実現不能であるため、構成空間の節減は特に有利である。
【0034】
有利には、総合平型導体は、電気的かつ/または電子的なコンポーネントを接続するための少なくとも1つの接続用平型導体に結合、特に溶接される。この場合、接続用平型導体の横断面積が、フィードスルーの総合平型導体の横断面積と比べて同じ大きさであるか、より小さくなっていると有利である。フィードスルーの領域での導体の加熱を回避するために、導体の円形部分の横断面積は、導体の矩形部分の横断面積に比べて常に同じ大きさであるか、またはより大きくなっている。導体の円形部分の横断面積が導体の矩形部分の横断面積よりも小さいと、フィードスルーの領域の横断面は縮小すると考えられる。横断面縮小は伝導損失につながり、伝導損失もやはり結果的に加熱をもたらす恐れがある。
【0035】
上述したように、本発明によるフィードスルーは、2つ以上の開口を有している。これらの開口は、特に有利には共通の一列線上に配置されている。導体の分割は、特に好適にはこの一列線に対して実質的に垂直方向に行われ、これにより、変形加工された導体のヘッド領域の最大延在長さは、前記一列線の投影図に沿って平行に、特に前記一列線上に位置することになる。当然、平型導体とパッケージおよび/または基体の表面との間には所定の距離、特に空隙が存在している。それというのも、さもなければ導体がパッケージに短絡される恐れがあるからである。前記距離は、好適には2〜10mm、特に2〜5mmである。
【0036】
変形プロセスとヘッド圧縮による分割とは、完成した構成部品において、変形加工された領域の金属に力線を生ぜしめ、力線は、完成した構成部品において証明可能であってよい。力線は、導体の長手方向軸線Aに対して実質的に鏡像対称的に形成されており、反映されるL字形を含め、いわば部分的に、実質的にL字形に形成されていてよく、この場合、L字の下側の脚部は、L字の鉛直方向の脚部よりも長くなっている。つまり、力線またはパッケージ部品および/または基体の表面に対して平行な力線部分は実質的に、各導体の長手方向軸線に平行な力線部分よりも長くなっている。
【0037】
好適には、個々の平型導体の部分は、押し潰し後に例えば溶接により互いに結合されて、1つの総合平型導体を形成する。同様に、1つの総合平型導体への結合を、既に変形加工により達成することも可能である。つまり、各平型導体の部分の結合は、溶接および/または変形加工により行われ、導体のガラス封止は、好適には圧縮ガラス封止の形態で行われる。圧縮ガラス封止は、変形加工による機械的な負荷に、特に反応する。それというのも、ガラス封止が加圧状態にあるからである。この場合、不適切な負荷はすぐにガラス材料の剥離をもたらすが、このことは望ましくない。
【0038】
本発明の対象は、電気的かつ/または電子的な装置、特に電気的な駆動装置および/または電気的な蓄え装置、特にバッテリおよび/または蓄電池および/またはコンデンサおよび/またはスーパーコンデンサにおける、本発明によるフィードスルーの使用でもある。
【0039】
以下に、本発明を上記に限定すること無く、図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明によるフィードスルーの平面図である。
図2】本発明によるフィードスルーの横断面図である。
図3】ガラス封止内で貫通案内された導体を備えた基体の横断面図であって、この場合、基体はパッケージの開口に挿入される。
図4】パッケージ内にガラス封止された本発明による平型導体の立体図である。
図5図5a〜図5dは、円形の横断面および中心空隙を備える導体の平型押し潰しを示す図である。
図6図6a〜図6bは、接続用平型導体が接続された、本発明によるフィードスルーの横断面図である。
図7】フィードスルーの横断面を、ヘッドにおける力線と共に示す図である。
【0041】
図1には、特にパッケージのパッケージ部品を貫通する、本発明によるフィードスルーの平面図が示されており、パッケージは、好適には軽金属、特にアルミニウム、アルミニウム合金、AlSiC、マグネシウム、マグネシウム合金、チタンまたはチタン合金から成っている。
【0042】
符号1を付したパッケージ部品は、図示の実施形態では、3つの開口3.1,3.2,3.3を有しており、これらの開口3.1,3.2,3.3内には導体(平面図には図示されていない)がガラス封止される。ガラス封止は、図1に示す実施形態では、やはりパッケージ部品の開口3.1,3.2,3.3内に挿入されかつこれらの開口3.1,3.2,3.3に溶接される基体内で行われる。合計3つの開口3.1,3.2,3.3内には、円形の導体部分が挿入されかつガラス封止される。それというのも、円形導体のガラス封止は、1barの圧力差におけるヘリウム漏れ量が10−8mbarl s−1未満の、気密に封止されたフィードスルーを提供するからである。横断面円形の導体は、図3に示すように開口の上下において押し潰されて、平型導体の各部分を形成している。平型導体の各部分は、矩形の横断面5.1,5.2,5.3を有している。平型導体の押し潰された個々の部分の矩形の横断面5.1,5.2,5.3は相並んで位置して、幅BGにわたりかつ図示の実施例ではパッケージの3つの開口にわたり延在する、1つの総合的な平型導体もしくは総合平型導体を構成している。全ての平型導体が同じ幅Bを有している場合、1つの総合平型導体にまとめられる部分の幅BGはN・Bであり、この場合、Nは平型導体部品の数であり、Bは平型導体部品の幅である。幅BGは15〜60mm、好適には30mmである。押し潰された導体部品の厚さDは、好適には1mm〜3mm、特に1.5mmであり、押し潰し長さは2mm〜8mmの範囲内である。押し潰し前の導体の全長Lは12mmである。
【0043】
図2には、図1の平面図に示した、本発明によるフィードスルーを備えたパッケージ部品1の横断面図が示されている。図1と同一の構成部材には、同一の符号を付してある。明確に認められるのは、合計3つの導体10.1,10.2,10.3が、図1に示したように合計3つの開口3.1,3.2,3.3を通って貫通案内される点である。3つの導体10.1,10.2,10.3は、円形部分20.1,20.2,20.3を有しており、円形部分20.1,20.2,20.3は、ガラス材料もしくはガラスセラミック材料中にガラス封止される。円形の横断面を備えた導体は、パッケージ部品中のガラス封止の上下に2〜10mm、好適には2〜5mmの距離ABをあけて、矩形の横断面になるように押し潰され、平型導体の部分を形成する。平型導体の押し潰された部分には、符号30.1,30.2,30.3が付されている。平型導体からパッケージまでの距離ABは、押し潰しが、ガラス封止部分の上側の所定の距離ABにおいてのみ実施され得ることからもたらされる。なぜならば、さもなければ導体がガラス封止されているガラス材料が損傷されるからである。好適には、距離ABは空隙である。
【0044】
図3には、ガラス封止された導体10.2の横断面が示されており、導体10.2は、図2に示した断面線A−Aに沿って基体110の内部にガラス封止されており、この場合、導体10.2が基体の内部にガラス封止された後で、基体110もやはり、パッケージの3つの開口のうちの1つに挿入されかつこの開口に結合される、例えば溶接される。図1および図2に示したものと同じ構成部材には、同じ符号を付してある。導体10.2は合計3つの部分を有しており、第1の部分20.2は円形の外径を有しており、この円形の外径において、導体はガラス材料またはガラスセラミック材料130中にガラス封止される。ガラス材料またはガラスセラミック材料130中への導体10.2のガラス封止は、導体の、円形の外径を備えた部分において行われる。ガラス材料またはガラスセラミック材料130の上下において、円形の外径を備えた導体は押し潰されており、平型導体が生じている。上下を押し潰された導体は、符号30.1.1および30.1.2で示されている。導体のガラス封止は、図3では基体110内に行われ、基体110は次いで、パッケージに結合される。1つの択一的な実施形態では、パッケージの開口の内部に対する直接的なガラス封止も可能である。しかしながら、このような実施形態における欠点は、ガラス封止用に、比較的小型の基体だけでなく、パッケージ全体を加熱する必要がある、という点にある。
【0045】
図4には立体図で、パッケージ部品と、パッケージ(ここには図示せず)のパッケージカバー200と、本発明による総合平型導体300とが示されている。図1図3に示したのと同様に、パッケージカバー200は3つの開口3.1,3.2,3.3を有しており、これらの開口3.1,3.2,3.3内には本発明による平型導体の部分がそれぞれ挿入されており、次いでこれらの平型導体の部分が結合されて、例えば溶接されて、1つの総合平型導体を形成する。開口3.1,3.2,3.3内にはそれぞれ、3つの基体110.1,110.2,110.3が挿入されかつパッケージカバーに結合されており、この場合、基体110.1,110.2および110.3内にはそれぞれ、導体の円形部分20.1,20.2,20.3が、ガラス材料中でガラス封止されている。円形部分20.1,20.2,20.3の上側において、それぞれ開口を貫通案内された、円形の横断面を備える導体は押し潰され、これにより、矩形の横断面5.1,5.2,5.3を備えた合計3つの個別の平型導体が生じることになる。矩形の横断面は、円形の横断面を備える導体が、好適には中心で分割されてから拡げられることにより、円形の横断面を備える導体から得られる。この場合、円形の導体は、所定の角度で相対する2つの部分を有している。分割部が拡げられた後で、分割されかつ拡げられた導体はヘッドを押し潰され、これにより円形の導体の上側に、幅Bおよび厚さDならびに押し潰し長さQL(図2参照)を有する、矩形の横断面5.1,5.2,5.3を備えた導体が生じることになる。押し潰された平型導体の矩形の横断面は、実質的に平型導体の幅Bと厚さDとにより決定される。個々の導体を平型に押し潰し、合計3つの開口内にガラス封止した後で、平型導体の各部分は例えば溶接により互いに結合され、その結果、全幅BGを有する1つの平型導体が生じることになる。これに対して択一的に、個々の平型導体は、互いに移行し合っている。個々の平型導体の厚さは1〜3mmであり、好適には1.5mmであり、個々の平型導体の幅は5〜20mmの範囲内であり、好適には10mmである。押し潰しの長さもしくは押し潰し長さは、2〜8mmの範囲内である。それぞれ10mmの幅を有する合計3つの平型導体を組み合わせることにより、総合平型導体の結合後には30mmの全幅BGが生じ、これにより厚さ×幅=22.5〜90mmの面積、好適には45mmの面積がもたらされる。この場合、それぞれ13mmの横断面積を有する合計3つの円形の導体において、3つの円形の導体の横断面積は、実質的に総合平型導体の横断面積に相当するので、横断面縮小による伝導損失は、十分に回避される。
【0046】
図5a〜図5dには、本発明により広幅の平型導体に変形加工される、円形の導体の一例が示されている。
【0047】
図5aに示す導体10.1は、円形の、特に円環形の横断面を有している。導体10.1は、図5bに示すように、その上端部において分割部400により、例えばポンチ工具により分割される。
【0048】
分割により、導体の上部領域には、図5bに示すように2つの部分410.1,410.2が生じる。導体10.1の分割に続いて、分割部400は、図5cに示すように拡げられる。2つの部分410.1,410.2を最大90°にまで曲げることにより拡げてから、図5dに示すようにヘッドを押し潰すことにより、2つの部分410.1,410.2から、幅Bを有する矩形の横断面を形成する。図示のように円形の導体10.1を分割する技術により、例えば約4mmの直径を有する円形導体を、6mmの幅に拡げることが可能である。それどころか図5cに示したのと同様に、2つの部分410.1,410.2の間の相互角度が例えば90°になるように、より強く曲げた場合には、押し潰しにより8mmの幅を得ることが可能である。
【0049】
図6aおよび図6bは、図2および図3と同じ断面図である。同じ構成部材に関して、図6aおよび図6bでは図2および図3において用いたものと同じ符号が用いられる。図2および図3に対して追加的に、図6aおよび図6bは3つの平型導体30.1,30.2,30.3から構成された総合平型導体300に対する接続用平型導体310の結合を示している。この結合は、例えば溶接により行われてよい。
【0050】
図7には、2つの導体10.1,10.2を備えたフィードスルーの一部が示されている。先行図面に示したものと同じ構成部材には、同じ符号を付してある。各導体10.1,10.2の長手方向軸線は、Aで示されている。導体10.1,10.2の円形部分は、横断面DPを有している。内部に導体10.1,10.2の円形部分がガラス材料130によりガラス封止される開口3.1,3.2の直径は、DOで示されている。押し潰し後のヘッド部分の幅は、幅DFで示されている。
【0051】
ヘッド押し潰しによる変形加工プロセスおよび分割の結果、変形加工された導体において、変形加工された領域の金属には力線200が形成される。この力線200は、完成した構成部品において証明可能であってよい。力線は、導体10.1,10.2の長手方向軸線Aに対して実質的に鏡像対称的に形成されており、反映されるL字形を含め、いわば部分的に、実質的にL字形に形成されていてよく、この場合、L字の下側の脚部は、L字の鉛直方向の脚部よりも長くなっている。つまり、力線200またはパッケージ部品および/または基体の表面に対して平行な力線部分は実質的に、各導体10.1,10.2の長手方向軸線に平行な力線部分よりも長くなっている。
【0052】
本発明により、3つ以上の開口に割り当てられた、15〜60mmの全幅を有する接続用平型導体を、パッケージ部品を通して密に貫通案内することが可能なフィードスルーが、初めて提供される。このことは、円形の外径を有する導体の複数の部分を、ガラス材料またはガラスセラミック材料中、例えば基体内またはパッケージ部品の開口内にガラス封止し、かつ好適には導体を予め分割し、導体の円形部分を好適には押し潰して変形加工することにより、達成される。圧力密とは、本願では、1barの圧力差におけるヘリウム漏れ量が1・10−8mbarl s−1未満であることを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7