特許第6847116号(P6847116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6847116抗不安薬の製造における置換シンナムアミド誘導体の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847116
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】抗不安薬の製造における置換シンナムアミド誘導体の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/36 20060101AFI20210315BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20210315BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   A61K31/36
   A61K31/496
   A61P25/22
【請求項の数】2
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-533742(P2018-533742)
(86)(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公表番号】特表2019-503368(P2019-503368A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】CN2017071898
(87)【国際公開番号】WO2017129061
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2019年11月15日
(31)【優先権主張番号】201610053180.9
(32)【優先日】2016年1月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511237874
【氏名又は名称】タスリー・ファーマシューティカル・グループ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TASLY PHARMACEUTICAL GROUP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】韓 民
(72)【発明者】
【氏名】馬 暁慧
(72)【発明者】
【氏名】周 王誼
(72)【発明者】
【氏名】劉 雁勇
(72)【発明者】
【氏名】李 彦川
(72)【発明者】
【氏名】王 晶
(72)【発明者】
【氏名】周 水平
(72)【発明者】
【氏名】孫 鶴
(72)【発明者】
【氏名】朱 永宏
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03431302(US,A)
【文献】 国際公開第2011/080313(WO,A1)
【文献】 特表2008−509199(JP,A)
【文献】 特表2004−535413(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0049578(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105085308(CN,A)
【文献】 特表2014−523886(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104513172(CN,A)
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry, 2014, 57, 13, 5602-5619,2014年
【文献】 ChemMedChem, 2015, 10, 1302-1325,2015年10月
【文献】 J. Anxiety Disord, 2014, 28, 5, 437-445,2014年
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2014, 24, 22, 5284-5287,2014年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗不安薬の製造における置換シンナムアミド誘導体の使用であって、
前記置換シンナムアミド誘導体は、以下の化合物であることを特徴とする使用。
(E)−N−(4−メチルピペラジン)−5−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−1−ペンテンアミド塩酸塩(II−13)
【化10】
(2E,4E)−N−イソブチル−7−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−2,4−ヘプタジエンアミド(II−14)
【化11】
(2E,4E)−N−(4−メチルピペラジン)−7−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−2,4−ヘプタジエンアミド塩酸塩(II−15)
【化12】
N−メチル−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシ)−アンフェタミン塩酸塩(II−16)
【化13】
【請求項2】
前記不安とは、慢性不安または急性不安であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物の新規な用途に関し、特に抗不安薬の製造における置換シンナムアミド誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
不安神経症とも呼ばれる不安障害は、神経症という大分類の疾病において最もよく見られる一種であり、不安情緒の体験を主な特徴とする。慢性不安(全般性不安障害)および急性不安発作(パニック障害)の二種類の形態に分類することができる。主な症候には、明確、客観的でない対象に対する緊張、心配、落ち着きのなさがあり、さらに植物性神経症状(動悸、手の震え、発汗、頻尿等)もある。
【0003】
具体的には、全般性不安障害とも呼ばれる慢性不安は、明らかな原因がない場合でも、患者に過度な心配、緊張、恐怖が常に現われるが、緊張、恐怖には明確な対象および内容がないことが多い。主な症候には、(1)緊張、不安、怯え、恐れ、恐怖、懸念といった情緒的症状、(2)眩暈、胸苦しさ、心的動揺、息苦しさ、口渇、頻尿、尿意切迫感、発汗、震え等の胴体面の症状といった植物性神経症状、(3)落ち着きのなさ、苛立ち、焦燥、心が乱れるといった運動性不安がある。
【0004】
パニック発作、パニック障害とも呼ばれる急性不安発作は、正常な日常生活環境において、恐れるような状況のないときに、極端な恐れの緊張心理が患者に突然現われ、死の切迫感または制御力の喪失感を伴うとともに、明らかな植物性神経系の症状を有し、主な症候には、(1)極度な恐れの心理が突然現われて、死の切迫感または制御力の喪失感を体験するといった死の切迫感または制御力の喪失感、(2)胸苦しさ、心的動揺、呼吸困難、発汗、全身の震え等のような植物性神経系の症状が同時に現われること、(3)発作が突然始まり、発作時に意識がはっきりしている、一般に数分間から数時間持続する症候がある。
【0005】
今日の社会において、人々の生活リズムの加速化および作業ストレスの増大に伴い、社会競争が日増しに激しくなり、不安障害の罹病率が年々上昇している。
【0006】
不安障害の治療には、一般的に心理治療と薬物治療を採用している。
【0007】
心理治療とは、生活におけるストレス源を探し出して、ストレスを避け、リラックスする技巧を身に付けて、ストレスを軽減することである。
【0008】
薬物治療とは、抗不安薬を用いて脳内の過度に活性化された部分を静めることであり、比較的典型的な薬物としては、抗不安作用が強く、薬効が早く表れるが、長期間服用すると常用癖、薬剤耐性および離脱反応等の副作用があるベンゾジアゼピン系薬物(BDZ)や、全般性不安障害に対して良好な治療効果があるが、比較的強い抗コリン副作用および心臓毒性作用を有して使用が制限される三環系抗鬱薬(TCAs)があり、抗不安に用いられるその他の薬物もあるが、遅い薬効、薬物間の相互作用および不良反応等の問題が多少存在する。以上の副作用はしばしば患者を非常に懸念させるものであり、このような憂慮は、逆に不安を強めたりさせるか、治療を放棄させたりしてしまう。禁断反応は、医者が直面するより一層困難な状態である。
【0009】
従って、不安を有効に治療でき、かつ副作用が少ない薬物が至急必要である。本発明のシンナムアミド誘導体は、一回の経口投与後に血液脳関門を通過して、その抗不安効果を迅速に発揮できる。
【0010】
シンナムアミドは、フェニルアクリルアミド、桂皮酸アミド、3−フェニルアクリルアミドとも呼ばれ、その置換シンナムアミド誘導体は、CN102850317A(出願番号CN201210123842.7)およびCN104513172A(出願番号CN201410504555.X)において一連の置換されたシンナムアミド誘導体およびその製造方法が既に開示されており、動物実験の研究で、置換シンナムアミド誘導体が明らかな抗鬱活性を有することが発見された。
【0011】
抗不安面における置換されたシンナムアミド誘導体の報告は見られなかった。
【0012】
本発明は、抗不安薬の製造における置換シンナムアミド誘導体の使用に関する。本発明は、高架式十字迷路実験におけるマウスのオープンアームへの進入回数およびオープンアームに留まる時間に対する置換シンナムアミド誘導体の影響、および飲水コンフリクト実験におけるラットの懲罰期間の飲水回数に対する影響を考察することで、その抗不安面における作用を検証し、実験により、置換シンナムアミド誘導体中の17種類の化合物の投与7日後に、様々な程度でマウスのオープンアームへの進入回数を増加させ、かつマウスのオープンアームに留まる時間を延長させることができ、かつ飲水コンフリクト実験におけるラットの懲罰期間の飲水回数を明らかに増加させることができることを証明したことにより、置換シンナムアミド誘導体を抗不安薬として利用可能であることを証明した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は置換シンナムアミド誘導体の新規な使用に関する。
【0014】
具体的には、本発明は、抗不安薬の製造における置換シンナムアミド誘導体の使用を提供する。
【0015】
ここで、前記不安とは、慢性不安(全般性不安障害)または急性不安(パニック発作、パニック障害)を意味する。
【0016】
前記置換シンナムアミド誘導体は、式Iの構造の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を薬物活性成分としており、具体的には、以下の通りである。
【0017】
【化1】
【0018】
式中、
は、−H、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−OCH、−OCF、−OCHF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−CH、−CHCH、−CFCH、−CN、−NO、−NHまたは−COORであり、
は、H、C−C10直鎖炭化水素基、C−C10分岐炭化水素基、C−C10環状炭化水素基、C−C10ヒドロキシアルキル基またはN−置換ピペラジン誘導基であるか、あるいは、Rは、隣接するXとピロリジン基、ピペリジン基またはヘキサメチレンイミン基を形成する基であり、
またはRは、それぞれ独立に、H、OH、OR、F、Cl、Br、I、C−C10直鎖炭化水素基、C−C10分岐炭化水素基、CF、CHF、CHF、NO、NH、OCF、OCHF、OCHF、OOCRまたはCOORであり、
あるいは、RとRは互いに結合して−OCHO−、−OCHCHO−を形成し、
ここで、Rは、C−C10直鎖炭化水素基、C−C10分岐炭化水素基、C−C10環状炭化水素基、C−C10ヒドロキシアルキル基であり、
nは、1、2または3であり、−(C−C−単位は、一つの炭素−炭素単結合または一つの炭素−炭素二重結合を少なくとも含んでおり、
Xは、=O、=S、H、SHまたはSRであり、
Yは、NもしくはNR、OまたはSであり、
は、H、C−C10直鎖炭化水素、C−C10分岐炭化水素、C−C10環状炭化水素またはC−C10芳香族炭化水素である。
【0019】
好ましくは、前記置換シンナムアミド誘導体は式IIに表される。
【0020】
【化2】
【0021】
ここで、
は、−H、−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−OCH、−OCF、−OCHF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−CH、−CHCH、−CFCH、−CN、−NO、−NHまたは−COORであり、
は、H、C−C10直鎖炭化水素、C−C10分岐炭化水素、C−C10環状炭化水素、C−C10芳香族炭化水素、C−C10アルキルアルコールまたはN−置換ピペラジン誘導体であるか、あるいは、Rは、隣接するXとピロリジン基、ピペリジン基またはヘキサメチレンイミン基を形成する基であり、
は、C−C10直鎖炭化水素基、C−C10分岐炭化水素基、C−C10環状炭化水素基、C−C10ヒドロキシアルキル基であり、
nは、1、2または3であり、−(C−C−単位は、一つの炭素−炭素単結合または一つの炭素−炭素二重結合を少なくとも含んでおり、
Xは、=O、=S、H、SHまたはSRであり、
Yは、NもしくはNR、OまたはSであり、ここで、Rは、H、C−C10直鎖炭化水素、C−C10分岐炭化水素、C−C10環状炭化水素またはC−C10芳香族炭化水素である。
【0022】
あるいは、好ましくは、前記置換シンナムアミド誘導体は、式IIIに表される。
【0023】
【化3】
【0024】
ここで、
は、H、OH、OR、F、Cl、Br、I、C−C10直鎖炭化水素基、C−C10分岐炭化水素基、CF、CHF、CHF、NO、NH、OCF、OCHF、OCHF、OOCRまたはCOORであり、
は、H、OH、OR、F、Cl、Br、I、C−C10直鎖炭化水素基、C−C10分岐炭化水素基、CF、CHF、CHF、NO、NH、OCF、OCHF、OCHF、OOCRまたはCOORであり、
は、C−C10直鎖炭化水素基、C−C10分岐炭化水素基、C−C10環状炭化水素基、C−C10ヒドロキシアルキル基であり、
nは、1、2または3であり、−(C−C−単位は、一つの炭素−炭素単結合または一つの炭素−炭素二重結合を少なくとも含んでおり、
Xは、NもしくはNHであり、
は、H、C−C10直鎖炭化水素、C−C10分岐炭化水素、C−C10環状炭化水素、C−C10芳香族炭化水素、C−C10アルキルアルコールまたはN−置換ピペラジン誘導体であるか、あるいは、Rは、隣接するXとピロリジン基、ピペリジン基またはヘキサメチレンイミン基を形成する基である。
【0025】
本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な酸付加塩は、特に好ましくは以下の化合物である。
【0026】
5’−ヨード−3’,4’−メチレンジオキシ桂皮酸イソブチルアミド(II−3)
【0027】
【化4】
【0028】
5’−クロロ−3’,4’−メチレンジオキシ桂皮酸イソブチルアミド(II−4)
【0029】
【化5】
【0030】
5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシ桂皮酸イソブチルアミド(II−5)
【0031】
【化6】
【0032】
5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシ桂皮酸ピペリジンアミド(II−10)
【0033】
【化7】
【0034】
3−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−プロピオン酸イソブチルアミド(II−11)
【0035】
【化8】
【0036】
5−トリフルオロメチル−3,4−メチレンジオキシ安息香酸イソブチルアミド(II−12)
【0037】
【化9】
【0038】
(E)−N−(4−メチルピペラジン)−5−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−1−ペンテンアミド塩酸塩(II−13)
【0039】
【化10】
【0040】
(2E,4E)−N−イソブチル−7−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−2,4−ヘプタジエンアミド(II−14)
【0041】
【化11】
【0042】
(2E,4E)−N−(4−メチルピペラジン)−7−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−2,4−ヘプタジエンアミド塩酸塩(II−15)
【0043】
【化12】
【0044】
N−メチル−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシ)−アンフェタミン塩酸塩(II−16)
【0045】
【化13】
【0046】
3’,4’−ジメトキシ−5’−トリフルオロメチル−桂皮酸イソブチルアミド(III−2)
【0047】
【化14】
【0048】
3’−ヒドロキシ−4’−メトキシ−5’−トリフルオロメチル−桂皮酸イソブチルアミド(III−4)
【0049】
【化15】
【0050】
3’,4’−ジヒドロキシ−5’−トリフルオロメチル−桂皮酸イソブチルアミド(III−7)
【0051】
【化16】
【0052】
3’,4’−ジヒドロキシ−5’−トリフルオロメチル−シンナミルピペリジン(III−9)
【0053】
【化17】
【0054】
3−(3’,4’−ジヒドロキシ−5’−トリフルオロメチルフェニル)−プロピオン酸イソブチルアミド(III−10)
【0055】
【化18】
【0056】
3,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−安息香酸イソブチルアミド(III−11)
【0057】
【化19】
【0058】
5−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−ジメトキシフェニル)ペンタジエン酸イソブチルアミド(III−13)
【0059】
【化20】
【0060】
本発明に係る使用において、前記薬物は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含有する薬物組成物であってもよく、いずれか一種の薬学的に許容可能な剤形に製造されてもよく、これらの剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、ペースト剤、ペレット、粉剤、溶液剤、注射剤、坐剤、噴霧剤、滴剤、貼布剤を含む。
【0061】
本発明の薬物組成物において、その経口投与の製剤は、通常用いられる賦形剤を含有してもよく、例えば、接着剤、充填剤、希釈剤、錠剤圧縮剤、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、調味剤および湿潤剤である。適用される充填剤は、デンプン、スクロース、セルロース、マンニトール、ラクトースおよびその他の類似の充填剤を含む。好適な崩壊剤は、デンプン、ポリゼニルピロリドンおよびデンプン誘導体を含み、例えば、デンプングリコール酸ナトリウムである。好適な潤滑剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウムを含む。混合、充填、打錠等の通常用いられる方法によって経口固形組成物を製造できる。繰り返し混合することで、大量の充填剤を使用するそれらの組成物全体に活性物質を分布させることができ、通常用いられる補助材料の成分は、マンニトール、ソルビトール、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩酸システイン、メルカプト酢酸、メチオニン、ビタミンC、EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウムナトリウム、一価アルカリ金属の炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩またはそれらの水溶液、塩酸、酢酸、硫酸、リン酸、アミノ酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、乳酸ナトリウム、キシリトール、マルトース、グルコース、フルクトース、デキストラン、グリシン、デンプン、スクロース、ラクトース、マンニトール、ケイ素誘導体、セルロースおよびそれらの誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリゼニルピロリドン、グリセリン、ツイーン80、寒天、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、界面活性剤、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、リン脂質系材料、カオリン、タルカムパウダー、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等を含む。
【0062】
本発明の製剤は、使用する際に、状況に応じて用法および用量を決定し、日につき1〜5回服用してもよい。
【0063】
本発明により提供される置換シンナムアミド誘導体の新規な使用は、以下の長所を有する。
【0064】
第一に、発明者は、本発明により提供される化合物が不安障害を改善できることを発見し、かつ該誘導体が血液脳関門を迅速に透過でき、薬効が早く表れるという特徴を有することを発見した。同時に、不安による睡眠障害に対しても比較的明らかな改善作用を有する。
【0065】
第二に、動物の自律活動評価により、本発明により提供される化合物の抗不安活性は、化合物による動物の活動度に対する抑制作用の派生的な結果でないことが実証された。また、5g/kgの剤量で該化合物を強制服用させても、動物に明らかな不良反応が見られないことから、その安全性が高く、耐性が良好であることを示した。
【0066】
第三に、従来の中枢ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、ジアゼパムのような鎮静、筋弛緩等の副作用を有するので、その臨床における使用が制限されていた。
【0067】
ウェスタン−ブロット技術を用いて関連する遺伝子の発現変化を測定することにより、本発明に係る17種類の化合物がマイトファジーに関連する遺伝子の発現を調整でき、末梢型ベンゾジアゼピン受容体の結合性配位子である可能性を発見した。末梢型ベンゾジアゼピン受容体と本発明に係る化合物の結合後に、ミトコンドリアを刺激してステロイドを分泌し、生物学的挙動を調整して、明らかな抗不安作用を表すことができ、かつ鎮静、筋肉弛緩等の副作用がない。
【0068】
したがって、従来の中枢ベンゾジアゼピン系抗不安薬に比べ、本発明に係る化合物は、薬効が早く現れ、副反応が少なく、かつ耐性が生じ難い等の利点を有し得る。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
【0070】
化合物II−3、II−4、II−5、II−10、II−11、II−12およびその製造方法は、CN201210123842.7(公開番号CN102850317A)を参照する。
【0071】
化合物III−2、III−4、III−7、III−9、III−10、III−11、III−13およびその製造方法は、CN201410504555.X(公開番号CN104513172A)を参照する。
【0072】
化合物II−13、II−14、II−15、II−16の製造方法は、実施例1−4を参照する。
【0073】
実施例1:(E)−N−(4−メチルピペラジン)−5−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−1−ペンテンアミド塩酸塩(II−13)
【0074】
【化21】
【0075】
ステップ1:化合物1(1.53g、4.0mmol)を100mlの一口フラスコ中に置いて、クロロホルム15mlを加えて溶解し、さらに化合物2(1g、4.0mmol)を反応系中に加え、室温で14時間攪拌反応させ、TLCモニタリング(展開剤PE:EA=5:1)で反応が完了したことを表し、その後に反応物を直接濃縮して粗生成物の化合物3を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製(PE:EA=5:1)した後、白色固体の化合物3を1.1g得て、収率は78.87%であった。
【0076】
ステップ2:化合物3(0.3g、0.87mmol)をジクロロメタン5ml中に溶解して、0℃まで降温し、トリフルオロ酢酸(1ml)を反応系中に滴下して、その後に反応系を昇温された室温下で反応させ、1時間後にTLCで原料の反応が終了したことを表し、反応系を直接濃縮して、化合物4の白色固体を0.21g(84%)得た。
【0077】
ステップ3:化合物4(0.48g、1.66mmol)、N−メチルピペラジン(0.5g、5mmol)、DIPEA(0.43g、3.34mmol)を、ジクロロメタン中に加えて、窒素ガスを三回置換し、その後にHATU(0.95g、2.5mmol)を加えて室温下で6時間攪拌し、反応系を水で洗浄し、有機相を乾燥、濃縮して粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した後に無色の油状物を400mg得て、その後に2mlのジオキサンを用いて溶解し、さらに4mlのジオキサンの塩酸溶液を加えて、室温下で30分攪拌し、濃縮、乾燥して化合物II−13(65%)を43mg得た。
【0078】
H NMR(DMSO,400MHz):δ11.28−11.27.00(1H,NH,br),7.11(1H,s),6.94(1H,s),6.70(1H,d,J=15.2Hz),6.50(1H,d,J=15.2Hz),6.17(2H,s),4.33(2H,br),3.42−3.20(6H,br),2.75(4H,s),2.51(3H,s);
ESI−MS:371.1[M+H]
【0079】
実施例2:(2E,4E)−N−イソブチル−7−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−2,4−ヘプタジエンアミド(II−14)
【0080】
【化22】
【0081】
ステップ1:50mlの三口フラスコ中に化合物5(650mg、2.6mmol)、無水テトラヒドロフラン20ml、水酸化リチウム(326mg、7.8mmol)を加えて、N保護下で70℃に加熱して1時間反応させる。化合物1(0.76g、2.0mmol)を無水テトラヒドロフラン10ml中に溶解し、0.5時間以内にそれをフラスコ中に滴下した。反応液は70℃で10時間反応させた。薄層クロマトグラフィーで測定し、反応が完了した後に加熱を停止した。反応液をロータリーエバポレーションで乾燥するまで濃縮し、蒸溜水20mlを加えて固体を溶解させた。上記溶液中に2N塩酸をpH2.0になるまで徐々に滴下し、続いて1時間攪拌して、淡黄色の固体を析出し、減圧濾過して固体を捕集し、真空乾燥して化合物6(400mg、65%)を得た。
【0082】
ステップ2:化合物6(400mg、1.4mmol)、EDCI(410mg、2.14mmol)、イソブチルアミン(310mg、4.2mmol)をジクロロメタン20ml中に溶解し、室温で6時間攪拌して反応させた後にTLCで原料の反応を終了したことを表し、その後に反応系を直接濃縮、乾燥して、粗製品をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)した後に、白色固体II−14(52%)を270mg得た。
【0083】
H NMR(DMSO,400MHz):δ7.18(1H,dd,J=10.8Hz,J=4.4Hz),6.80(1H,d,J=5.6Hz),6.11(2H,m),6.06(2H,s),5.76(1H,d,J=15.2Hz),5.46(1H,s),3.17(2H,t,J=6.0Hz),2.68(2H,t,J=7.6Hz),2.44(2H,m),1.80(1H,m),0.94(3H,s),0.92(3H,s);
ESI−MS:370.1[M+H]
【0084】
実施例3:(2E,4E)−N−(4−メチルピペラジン)−7−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−2,4−ヘプタジエンアミド塩酸塩(II−15)
【0085】
【化23】
【0086】
化合物6(0.52g、1.66mmol)、N−メチルピペラジン(0.5g、5mmol)、DIPEA(0.43g、3.34mmol)をジクロロメタン中に加え、その後にHATU(0.95g、2.5mmol)を加えて室温下で6時間攪拌し、反応系を水で洗浄し、有機相を乾燥、濃縮して粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した後に無色の油状物を350mg得て、その後に2mlのジオキサンを用いて溶解し、さらに4mlのジオキサンの塩酸溶液を加えて、室温下で30分攪拌し、濃縮、乾燥して化合物II−15(53%)を370mg得た。
【0087】
H NMR(MeOD,400MHz):δ7.25(1H,dd,J=10.8Hz,J=4.4Hz),6.96(1H,s),6.87(1H,s),6.48(1H,d,J=14.8Hz),6.31(1H,dd,J=10.8Hz,J=4.4Hz),6.21(1H,m),6.10(2H,s),4.87(2H,br),3.77−3.50(3H,br),3.40−3.10(3H,br),3.15(3H,s),2.76(2H,t,J=7.2Hz),2.50(2H,t,J=7.2Hz);
ESI−MS:397.1[M+H]
【0088】
実施例4:N−メチル−(5’−トリフルオロメチル−3’,4’−メチレンジオキシ)−アンフェタミン塩酸塩(II−16)
【0089】
【化24】
【0090】
50mlの三口フラスコ中に化合物1(650mg、2.6mmol)、メチルアミン溶液(0.4ml、5.1mmol)を加えて、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(430mg、5.2mmol)を無水メタノール20ml中に加え、室温で6時間反応させる。反応液を水50mlに加え、酢酸エチル(50ml×2)を抽出した後に、有機相に濃縮して粗生成物を得て、粗生成物がシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)によって精製した後に油状物を320mg得る。
【0091】
その後に2mlのジオキサンを用いて溶解し、さらに4mlのジオキサンの塩酸溶液を加えて、室温下で30分攪拌し、濃縮、乾燥して化合物II−16(47%)を340mg得た。
【0092】
H NMR(DO,400MHz):δ6.93(1H,s),6.92(1H,s),6.01(2H,s),2.93(2H,t,J=8.0Hz),2.62(2H,t,J=8.0Hz),2.61(3H,s),1.90(2H,m);
ESI−MS:263.2[M+H]
【0093】
実施例5:滴丸製剤の製造
化合物II−3、II−4、II−5、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、III−2、III−4、III−7、III−9、III−10、III−11、またはIII−13を0.5g取り、10.5gのポリエチレングリコール−6000と均一に混合し、加熱溶融して、材料混合後に滴丸滴下槽に移し、薬液を6〜8℃の液体パラフィン中に滴下して、油を除去し、滴丸を500粒製造した。
【0094】
実施例6:注射剤
化合物II−3、II−4、II−5、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、III−2、III−4、III−7、III−9、III−10、III−11、またはIII−13を0.5g、グルコース4.5g、チオ硫酸ナトリウム0.9gおよび蒸溜水を1ml取り、上記成分を均一に混合した後に、凍結乾燥し、500本に分包して得られた。
【0095】
以下、実験データにより本発明の有益な効果を説明する。
【0096】
実験例1:マウスの高架式十字迷路実験
(一)実験材料
1.試験サンプル
化合物II−3、II−4、II−5、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、III−2、III−4、III−7、III−9、III−10、III−11、III−13の置換シンナムアミド誘導体が、タスリー・ホールディングス・グループ・カンパニー・リミテッドの研究院の漢方薬所により提供された。
【0097】
サンプル処理:2wt%のツイーン80水溶液中に化合物II−3、II−4、II−5、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、III−2、III−4、III−7、III−9、III−10、III−11、III−13を加えて、上記化合物を、それぞれ濃度0.5mg/mlの溶液に調製した。
【0098】
ジアゼパムおよび生産メーカー:北京益民薬業株式会社、規格:2.5mg/錠、中国薬品登録番号H11020898であり、臨床使用時に、2wt%のツイーン80水溶液により薬品0.075mg/mlを含有する溶液を調製した。
【0099】
2.実験動物
SPF級のICR雄性マウスは、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.より購入し、実験動物生産許可証はSCXK(京)2012−0001であった。
【0100】
飼育条件:バリア動物飼育室で飼育し、温度20〜25℃、相対湿度40%〜60%とし、ケージごとに12匹がおり、自由に飲食させ、飼料は滅菌した鼠専用完全配合飼料であり、該飼料は、BEIJING HFK BIOSCIENCE CO.,LTDより提供され、敷料は毎日取り換えた。
【0101】
3.実験機器
高架式十字迷路:北京新天地科学技術株式会社。
【0102】
(二)実験方法
雄性、6〜8週齢、体重18〜22gのICRマウスを247匹取り、1週間適応するように餌付けた。その後に、マウスを体重に基づきランダムに19グループに均等に分け、表1で列挙した薬物および剤量に基づき1日1回胃内投与し、7日間連続して投与した。7日目の投与20分後、高架式十字迷路実験を行った。
【0103】
マウスの高架式十字迷路(EPM)は、二つの対向するオープンアーム(openarms、50cm×10cm)および二つの対向するクローズドアーム(en−closedarms、50cm×10cm×40cm)からなり、クローズドアームの上部は天井が封じられておらず、迷路の中央は10cm×10cmのニュートラルゾーンであり、迷路は床面から50cm離れている。13:00〜18:00の静かな環境下で実験を行った。
【0104】
各投与グループに7日間連続して投与し、被試験物の最後投与の20分後、ジアゼパム陽性薬物の最後投与の60分後に高架式十字迷路実験を行い、各マウスを一つの60cm×60cm×35cmのプラスチックボックス中に入れ、5分間環境に慣れさせてから、迷路の中央に置き、5分以内にマウスがそれぞれオープンアームおよびクローズドアームへの進入回数および両アーム内に留まる時間を記録し、各グループのマウスのオープンアームへの進入回数(open−armsentries、OE)およびオープンアームに留まる時間(open−armstime、OT)が、両アームに進入した合計回数および両アームに滞在した合計時間にそれぞれ占める百分率(OE%およびOT%)を算出した。
【0105】
(三)実験の統計
SPSS 11.5ソフトウェアを用いて分析を行い、データを下記式で表し、分散分析を用いてグループ間の差の有意性を比較し、P<0.05で有意差ありとした。
【数1】
【0106】
(四)実験結果
本実験において、高架式十字迷路実験におけるマウスのオープンアームへの進入回数およびオープンアームに留まる時間に対する、本発明における17個の化合物の影響を評価した。
【0107】
【表1】
【0108】
表1の実験結果の表示:本発明の化合物II−3、II−4、II−5、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、III−2、III−4、III−7、III−9、III−10、III−11、III−13を10mg/kgの剤量で1週間胃内投与した後に、溶剤対照群に比べ、いずれもマウスのオープンアームへの進入回数を増加させ、かつそのオープンアームに留まる時間を延長でき、上記の結果、統計学的に差が有意であった(P<0.05、P<0.01)。
【0109】
実験の結論:高架式十字迷路実験において、10mg/kgの剤量で、本発明に係る17種類の化合物を7日間投与することは、いずれも高架式十字迷路実験におけるマウスのオープンアームへの進入回数を様々な程度で増加させ、かつマウスのオープンアームに留まる時間を延長させることができた。
【0110】
実験の結果、本発明に係る17種類の化合物が有意な抗不安活性を有することを証明できる。
【0111】
実験例2:ラットの飲水コンフリクト実験
(一)実験材料
1.試験サンプル
化合物II−3、II−4、II−5、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、III−2、III−4、III−7、III−9、III−10、III−11、III−13の置換シンナムアミド誘導体が、タスリー・ホールディングス・グループ・カンパニー・リミテッドの研究院の漢方薬所により提供された。
【0112】
サンプル処理:2wt%のツイーン80水溶液中に化合物II−3、II−4、II−5、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、III−2、III−4、III−7、III−9、III−10、III−11、III−13を加えて、上記化合物を、それぞれ濃度0.5mg/mlの溶液に調製した。
【0113】
ジアゼパムは、生産メーカー:北京益民薬業株式会社、規格:2.5mg/錠、中国薬品登録番号H11020898であり、臨床使用時に、2wt%のツイーン80水溶液により薬品0.01mg/mlを含有する溶液を調製した。
【0114】
2.実験動物
SPF級の雄性SDラットは、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.より購入し、実験動物生産許可証はSCXK(京)2012−0001であった。
【0115】
飼育条件:バリア動物飼育室で飼育し、温度20〜25℃、相対湿度40%〜60%とし、ケージごとに6匹がおり、自由に飲食させ、飼料は滅菌した鼠専用完全配合飼料であり、該飼料は、BEIJING HFK BIOSCIENCE CO.,LTDより提供され、敷料は毎日取り換えた。
【0116】
3.実験機器
Vogel test(摂水電撃)不安テストシステム、型番:LE100−25、米国Harvard Apparatus製。
【0117】
(二)実験方法
雄性、体重180〜220gのSDラット230匹を、1週間適応するように餌付けした後に、体重に基づきランダムに19グループ、かつ1グループ当りに12〜13匹に分け、表2で列挙した薬物および剤量に基づき1日1回胃内投与し、10日間連続して投与し、最後投与前の48時間飲水禁止し、9日目に非懲罰性飲水訓練を行い、10日目のすべてのグループに対する最後胃内投与の0.5時間後に、懲罰実験テストを行った。
【0118】
第一段階における非懲罰飲水訓練:24時間の飲水禁止後のラットを1匹毎にコントロールボックスに入れて、ノズルを発見して水をなめ始めるまで十分に探究させ、電撃のない条件下で3分の間にラットが水をなめる回数をカウンターで自動記録した。設定条件:電撃強度は0mAであり、水をなめた回数が300回未満のラットを淘汰する。第二段階における懲罰実験:上記淘汰されてないラットを続けて24時間飲水禁止した(計48時間)後にコントロールボックスに入れた。ラットは短時間でノズルを探し出して水をなめ始めることができ、20回なめると、機器が自動に計時を始めて一回の電撃を与え(水をなめる回数と電撃回数との比は20:1である)、電撃強度は0.3mAであり、2秒持続するが、ラットはノズルから離れることで電撃を受ける時間の長さを制御できる。懲罰期間(3分)の間にラットが水をなめる回数を記録した。
【0119】
Vogel飲水コンフリクトモデルの観察指標:懲罰期間内にラットが水をなめる回数。
【0120】
(三)実験の統計
SPSS 11.5ソフトウェアを用いて分析を行い、データを下記式で表し、分散分析を用いてグループ間の差の有意性を比較し、P<0.05で有意差ありとした。
【数1】
【0121】
(四)実験結果
本実験において、飲水コンフリクト実験におけるラットの懲罰期間にラットが水をなめる回数に対する、本発明における17個の化合物の影響を評価した。
【0122】
【表2】
【0123】
表2の実験結果の表示:本発明の化合物II−3、II−4、II−5、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、III−2、III−4、III−7、III−9、III−10、III−11、III−13を5mg/kgの剤量で10日間胃内投与した後に、溶剤対照群に比べ、いずれもラットの懲罰期間における飲水回数を増加でき、上記の結果、統計学的に差が有意であった(P<0.05、P<0.01)。
【0124】
実験の結論:ラットの飲水コンフリクト実験において、5mg/kgの剤量で、本発明に係る17種類の化合物を10日間投与することは、いずれもラットの懲罰期間における飲水回数を様々な程度で増加させることができた。
【0125】
実験の結果、本発明に係る17種類の化合物が抗不安活性を有することを証明できる。