(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
我々がデータ社会で生活していることは周知である。過去数年にわたり、社会全体のデータ、通信、媒体等のすべてをデジタル形式に変換し、ハードドライブ、CD、DVD等の物理的な媒体にこれらの情報を記憶するための活動が活発になっている。我々の社会が生み出すデジタルデータの量は指数関数的に増加し、これに対応して、データ記憶の必要性も指数関数的に増加している。書籍、写真、映画、テレビ、個人ファイル、ビジネスファイル、電話の通話等は、デジタル形式に変換され、デジタルデータとして物理的な媒体に記憶される。記録法(recordkeeping law)を満たすために、一定のデジタルデータを長期間アーカイブする必要がある場合があり、それによって、記憶の必要性がさらに拡大する。すべての既存のメディアがデジタルに変換されている一方、ほとんどの新しいデータは、デジタル世界に生み出される。デジタルデータ記憶空間は、リソース及び商品の両方となっている。
【0004】
デジタルデータは、従来、そのデータを生成したコンピュータに関連付けられた記憶資産、例えば、そのコンピュータのハードドライブに、ローカルで記憶され、又はCD、DVD、リムーバブルフラッシュドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気的、光学的、及び/又は取り外し可能な記憶媒体に記憶されている。単一の、又は少数のクラスタ記憶資産は、比較的少ない量のエネルギーを消費し、かつ/又は多くない量の熱を生成し、かつ/又は部外者から、注目や詮索されることがほとんどない。あるいは、デジタルデータは、従来、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)上のサーバにアクセス可能なメモリ等、近くに記憶されていた。これらの記憶の解決策では、エンドユーザ又は管理者が記憶媒体を取り扱わなければならない。例えば、エンドユーザ又は管理者は、故障したハードドライブのような、障害が発生した媒体を交換したり、不使用時に、フラッシュドライブ、CD、DVD等のリムーバブルメディアを安全に格納したり、コンピュータがクラッシュしたときや、不安定な状態になったときに、クライアント又はサーバをリブートしたり、データ破損やデータの誤消去を防止するために定期的なバックアップを行ったりしなければならない。
【0005】
ローカルの、又は近くのコンピュータ記憶媒体を維持することによる不便さ、及びその結果として、コンピュータや記憶媒体が適正に維持されないことに起因して、近年は、記憶を「クラウド」に移す傾向にある。クラウドは、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、電話等の装置から遠隔アクセスすることができる。クラウド内のデータ記憶は、遠隔配置された記憶システムへの高速通信アクセスを必要とする。通信アクセスは、通常、インターネットを介して、イーサネット(登録商標)やTCP/IPを利用して行われる。ストリーミング媒体のための技術において知られている、リアルタイム転送制御プロトコル(「RTCP」)等の他のタイプのプロトコルを、データに応じて使用することもできる。
【0006】
クラウドベースの記憶によって、データ記憶資産を維持する負担が、従来のデータウェアハウスや、ウェアハウスオペレータ等のセントラルマネージャにシフトされる。クラウドベースの記憶は、通常、比較的多数の記憶資産を必要とする。ハードウェア故障や、セキュリティ又はバックアップポリシーを強めること等に役立つために、専用の技術サポートを有すること等の、規模の経済が、操作のいくつかの態様に関して達成される。
【0007】
しかし、データウェアハウスに記憶資産が集中すると、軽減されなければ許容レベルを超える問題が生じ得る。例えば、記憶資産の数がN倍に増加すると、それ自体によって、消費電力、及び発熱量がN倍になる。それによって、より大きい容量の気候制御機器が必要となり、消費電力の低減、発熱量、冷却のためのエネルギー消費の大容量の室内環境コントローラが必要となり、かつそれに付随して冷却のためのエネルギー消費がさらに増加する。現代のデータウェアハウスは、大量の電力、大きな土地の区画を消費し、データトラフィックをサポートするための大容量の通信トランクを必要とする、膨大な設備になっている。
【0008】
さらに、従来のデータウェアハウスは、その物理的サイズ、そこに記憶されたデータ量、及びデータウェアハウスが攻撃されたり、その他の故障があったりした場合の、業務中断の処理に起因して、注目を集めている。従来の知識は、「隠蔽によるセキュリティ向上」として知られる好ましくない主義に反する教示をする。この主義によれば、資産の十分なセキュリティは、資産を隠蔽しようとすることによって、圧倒的なセキュリティ保護を必要とすることなく、達成することができるとしている。犯罪者、テロリスト、及び類似の脅威から保護するために、データウェアハウスには、より大きな物理セキュリティが必要である。
【0009】
従来のデータウェアハウスの、電気エネルギーを供給するため、冷却能力を供給するため、通信ネットワーク容量を供給するため、及び物理的なセキュリティを供給するために要求されるインフラストラクチャは、データウェアハウスを動作させるためのコスト及びエコロジカルフットプリントを増加させるため、エコロジーを意識している顧客や、低コストを求めてクラウドにデータを記憶する顧客にアピールすることはできない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、例示的な通信システムと関連して以下に説明される。本開示は、例えば、サーバ及び/又はデータベースを使用するシステムと共に使用するのに適しているが、特定のタイプの通信システム又はシステム要素の構成のいずれかと共に使用することに限定されるものではない。当業者であれば、開示された技術が、低コストで低オーバーヘッドの分散ファイルシステムを利用することが望ましい、任意の通信用途で使用され得ることを認識するであろう。
【0022】
本開示の例示的システム及び方法はまた、ソフトウェア、モジュール、及び関連するハードウェアに関して説明される。しかし、本開示を不必要にあいまいにするのを回避するために、以下の説明では、ブロック図に示され得る、周知であるか、又は他の方法で要約される周知の構造、部品、及び装置は省略される。
【0023】
以下の詳細な説明では、本明細書に記載された実施形態又は他の実施形態の完全な理解を与えるために、多数の特定の詳細が述べられる。いくつかの例では、以下の説明が不明瞭にならないように、周知の方法、手順、構成要素及び回路は、詳細には説明されていない。さらに、開示された実施形態は、単に例示目的のためのものであり、開示された実施形態の代わりに、又は開示された実施形態と組み合わせて、他の実施形態を用いてもよい。本明細書で示した例は、本発明の実施形態の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、他の等しく有効な実施形態が可能であり、適当であることに留意すべきである。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「モジュール」は、一般に、論理シーケンス、又は複数のステップ、プロセス又はコンポーネントの関連付けを意味する。例えば、あるソフトウェアモジュールは、コンピュータプログラム内の、関連するルーチン又はサブルーチンのセットを含むことができる。あるいは、あるモジュールは、実質的に自己完結型のハードウェアデバイスを含むことができる。また、あるモジュールは、任意のソフトウェア、又はハードウェアの実装と関係ない、プロセスの論理セットを含むことができる。
【0025】
本明細書中で使用される用語「コンピュータ可読媒体」は、命令を記憶し、かつ/又は実行のためにプロセッサに命令を提供することに関する、任意の有形の記憶媒体及び/又は伝送媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体等を含むが、これらに限定されない、多くの形態をとることができる。不揮発性媒体は、例えば、NVRAM、又は磁気ディスク、若しくは光ディスクを含む。揮発性媒体には、メインメモリ等のダイナミックメモリが含まれる。コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ若しくは任意の他の磁気媒体、光磁気媒体、CD−ROM、任意他の光媒体、パンチカード、紙テープ、その他の任意の、孔のパターンを有する物理的な媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH−EPROM、メモリカード等の固体媒体を有する任意の他の物理的な媒体、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、後述するような搬送波、又は任意の他のコンピュータ可読媒体が含まれる。コンピュータ可読媒体にはまた、化学セル、又は有機化学セル、及びホログラフィックセルにおいて符号化されたデータ等の、揮発性又は不揮発性の新興の記憶媒体が含まれ得る。電子メール、又はその他の自己完結型の情報アーカイブ若しくはアーカイブのセットに対してデジタルファイルを添付することは、有形記憶媒体と同等の配布媒体とみなされる。コンピュータ可読媒体がデータベースとして構成されている場合、データベースは、例えばリレーショナル、階層型、オブジェクト指向等の、任意のタイプのデータベースであってよいことを理解されたい。したがって、本開示は、本開示のソフトウェア実装が記憶される、有形記憶媒体、又は配布媒体、及び先行技術で認識されている均等物、並びに後続の媒体を含むと考えられる。
【0026】
本発明による実施形態は、データ記憶空間の新たなソースを生成し、大企業、小企業、住宅所有者、及びデータ提供者の間に共生データ記憶関係を生成するために、産業用、商業用、及び住居用建物内に存在する、十分に利用されていない、又は「無駄な」空間、空隙等を利用するデータ記憶とバックアップのためのシステムを提供する。
【0027】
データファームのホストは、その構造物内にデータを記憶することによる収入を受け取ることができる。データファームのホストは、記憶システムに対して専用の高速インターネット接続を提供することができ、したがって任意の時点におけるバックアップ情報への高速アクセス、バックアップ情報の高速ダウンロード、及び文書検索を可能にする。
【0028】
本発明による実施形態は、データ生成者及びデータユーザ(例えば企業データユーザ)に対し、彼らのデジタルデータとバックアップを記憶するための、代替的な物理的位置を提供する。これらの新しいデジタル記憶位置は、そのユーザ達に、世界中で複数のバックアップを提供する。これにより、さらに、自然災害や、物理及びサイバー両面からの攻撃から、企業のバックアップが保護されるであろう。
【0029】
データ記憶装置は、産業用、住宅用及び商用の構造物における「空の」空間又は「空隙」に設置され得る。このような、隠された、又は目立たない位置には、壁空間、屋根裏空間、暖房換気用及び空気調節(「HVAC」)用のダクト、導管等の内部の隙間が含まれるが、これらに限定されない。データ記憶装置は、通常、防護閉鎖容器内にある固体記憶部を含み、目立たない位置に設置されている。データ記憶装置が、外壁、又は温度制御されていない領域との境界内に設置されている場合、外装する、又は収容する装置は、このような変動を低減することに役立つ。記憶装置は、データ記憶のための構造物の大部分を利用する、いくつかの構築材料に組み込むことができる。例えば鋼Iビーム及び/又は鋼スタッドの側部に沿って、金属板の表面に沿って、又はコンクリートのスラブ、板、スタッド等の内部に事前に形成され得る空隙等に沿って、すなわち、(自然に、又は計画的に)空隙が存在する、ほぼすべての場所である。既存の構造物を改造することができ、かつ新たな構造物には、データ記憶装置が事前に組み込まれている建築材料を使用することができる。従来の記憶設備よりも小さいエネルギー消費でで、構造物全体の最適なデータフロー及び記憶を行うために、複数のデータ記憶部は、互いに接続され、かつ、格子状に配置されてもよい。
【0030】
これらのデータ記憶装置に送信され、記憶されたデータは、第3者データサービス会社によって管理され、保持されることになる。第3者プロバイダは、バックアップセキュリティを求める企業と、記憶部の「設置者(houser)」(すなわち、データファーマー)との間で、バックアップを調整するであろう。請求金額は、システムのサイズ、及び、リストアの目的で情報を取得する頻度に基づいていてもよい。請求金額は、また、どれだけのデータが「設置者」に、又は「設置者」から日常的に転送されるかに基づいてもよい。
【0031】
データセキュリティは、データの転送及び記憶に関連する重要な考慮事項である。権限のない者が、データファームに記憶されているデータにアクセスした場合に、その権限のない者がデータを解読することができないという前提で、データは、第3者によって暗号化されてもよい。ユーザ又はプロセスが、エンドユーザのためにデータファーム内のデータにアクセスし、取得したデータを解読又はその他の処理を施し、その後処理されたデータをエンドユーザに送信する場合に、プロキシによるアクセスが許可されてもよい。データファームにおける、その存在に関する知識及び操作を、データファームにおいて知る必要がある者のみに限定することにより、改良されたセキュリティがデータファームに提供される。データファーマーは、誰の情報が、彼らの記憶装置を介してルーティングされているかを知らないし、エンドクライアントも彼らの情報がどの位置、どのデータファームに記憶されているかを正確には知らないことになる。これは、不明瞭であることによって、本発明のセキュリティを提供する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態によるシステム100の高レベルの抽象化を示す図である。システム100は、複数のコンピューティングノード152−1〜152−Mであって、1以上のユーザアプリケーション102−1〜102−Mをホスティングするコンピューティングノード152−1〜152−Mと、複数のデータファーム104−1〜104−N、及びサーバ106を含む。これらは、インターネット等vの広域ネットワーク(「WAN」)101を介して、図示するように相互接続されている。個々のユーザアプリケーションであるが、不特定のユーザアプリケーションは、本明細書において、ユーザアプリケーション102−m、又はユーザアプリケーション102と呼ばれ得る。個々のデータファームであるが、不特定のデータファームは、データファーム104−m、又はデータファーム104と呼ばれ得る。個々のコンピューティングノードであるが、不特定のコンピューティングノードは、コンピューティングノード152−m、又はコンピューティングノード152と呼ばれ得る。コンピューティングノード152は、ユーザアプリケーション102をサポートするために、メモリ及び関連する内部及び/又は外部通信インタフェースに接続されたサーバを含むことができる。
【0033】
サーバ106は、ソフトウェアを実行する演算装置(CPU)、マイクロプロセッサ、若しくは他の種類のデジタルデータプロセッサ、又は特定用途向け集積回路(ASIC)、及び、そのような要素の様々な部分又は、組み合わせを含むソフトウェア制御システムであってもよい。サーバ106は、さらに、記憶ネットワークモジュール110及び/又は管理モジュール112を含むことができる。
【0034】
図2は、本開示の一実施形態の分散ファイルシステム(「DFS」)200を示し、低レベルの抽象化におけるサーバ106の例示的な構成要素の図示に重点を置いている。DFS 200は、(通常は、信頼できない、若しくはセキュリティ保護されていない、又は公衆の)WAN 101を介して、1以上の外部のコンピューティングノード152と通信しているサーバ106を含み得る。外部のコンピューティングノード152は、サーバ106を管理する企業の直接の制御下にはなく、かつ/又はサーバ106内にある通信装置236−1〜236−Kと比較して、サーバ106との間の信頼レベルが低い。通信装置236−1〜236−Kは、ローカル端末、又はサーバ106を直接、ローカルで制御するための類似のインタフェースを含むことができる。例示的なタイプの、外部のコンピューティングノード152には、ラップトップ、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯情報端末(PDA)、他のLAN又はWANへのゲートウェイ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
サーバ106は、サーバテーブル220を含む境界装置216と、1以上の内部の通信装置236−1〜236−Kと、1つのアプリケーション248又は異なるアプリケーション252の組を提供することができる1以上のアプリケーションサーバ244と、サーバ106に他の機能を提供するための、いくつかの他のサーバ256と、企業データベース260とを含むことができる。これらのすべては、(信頼できる、若しくはセキュリティ保護された、又は私設の)ローカルエリアネットワーク(LAN)264によって相互接続されている。
図2に示される機能の一部、又はすべては、単一のサーバ上で、共にホスティングされ、かつ/又は共存してもよい。
図2の構成要素の図示は、概して、システム200の構成要素の論理的記述を意図している。
【0036】
LAN 264を、ネットワーク(LAN)264とWAN 101との間に位置するゲートウェイ及び/又はファイアウォールによって、信頼できない団体による侵入から保護することができる。いくつかの実施形態では、境界装置216は、ゲートウェイ及び/又はファイアウォールの機能を含むことができる。いくつかの実施形態では、別個のゲートウェイ又はファイアウォールが、境界装置216とWAN 101の間に設けられていてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、ネットワークの境界装置216が、DFSへのアクセスに関わっている特定のユーザにサービスするために、サーバ106内で、最初の通信のルーティングを担当する。コミュニケーションサーバ244は、企業データベース260と共に、記憶ネットワークモジュール110の機能を実行することができる。
【0038】
2つのアプリケーションサーバ244のみが示されているが、当業者は、2つ、3つ、又はそれ以上のアプリケーションサーバ244を設けることができ、各サーバが、1以上のアプリケーションを提供するように構成され得ることを理解するであろう。特定のアプリケーションサーバ244によって提供されるアプリケーションは、アプリケーションサーバ244の能力に応じて変化してもよく、特定のアプリケーションサーバ244が1組のアプリケーション252を備える場合、1組のアプリケーション252のうちの、1つ、一部、又はすべてのアプリケーションが、特定のアプリケーションシーケンスに含まれていてもよい。アプリケーションサーバ244は、管理モジュール112の機能を実行するために使用することができる。
【0039】
再び
図1を参照すると、各データファーム104−nは、記憶装置126とローカル制御部124を含むことができる。記憶装置126は、ほぼすべての種類のコンピュータ可読媒体を含むことができる。ローカル制御部124は、WAN 101と記憶装置126との間に通信インタフェースを提供する。ローカル制御部124は、さらに、ファイアウォール、ゲートウェイ、ルーティング機能、関連するデータファーム104の管理、及びローカル処理制御を提供することができる。ローカル制御部124は、関連するデータファーム104のサーバとして機能する。
【0040】
データファーム104−nの内の少なくとも一部は、記憶装置126が使用する記憶技術のタイプ、関連付けられたレイテンシ、並びに関連付けられた、WAN 101への通信リンクの速度及び/又はレイテンシ等の要因に基づいて、互いに異なっていてもよい。同様に、コンピューティングノード152−mの内の少なくとも一部は、少なくともコンピューティングスループット、並びに関連付けられた、WAN 101への通信リンクの速度及び/又はレイテンシが、互いに異なっていてもよい。したがって、システム100は、異種の、かつ地理的に様々なネットワーク環境に対応することができる。これは、データファーム104−nの各々が、例えば、従来のデータファームにおける記憶部のラックを表し得る、公知技術のいくつかのシステムとは異なる。システム100は、保存用バックアップの目的で記憶されたデータに、低い頻度でアクセスするために使用される記憶アプリケーション等、比較的高いレイテンシ、及び公差を許容することができる記憶アプリケーションにおいて有効であろう。
【0041】
いくつかの実施形態では、コンピューティングノード152に関連付けられたメモリの一部は、異なるコンピューティングノード152に対するデータファーム104の一部として使用することができる。
【0042】
複数のデータファーム104は、共に、1以上のユーザアプリケーション102によって使用される分散ファイルシステムを提供する。ユーザアプリケーション102は、DFSにデータを書き込み、かつ/又はDFSからデータを読み出す。したがって、ユーザアプリケーション102はデータ使用者である。DFSは、必要に応じて、サーバ106の制御の下で動作し、特に、記憶ネットワークモジュール110の制御の下で動作する。DFSは、非常に大きなデータセットを確実に記憶し、かつそれらのデータセットをユーザアプリケーション102にストリーミングするように設計されている。大きなDFSは、数千のデータファーム104を含むことができる。多くのサーバにわたって記憶とローカル処理制御を分配することにより、実質的にすべてのサイズで経済的なまま、DFSは、需要と共に増大することができる。
【0043】
分散ファイルシステムを提供するための1つのプロトコルは「ハドゥープ(Hadoop)」である。ハドゥープは、マップリデュース(MapReduce)パラダイムを使用して非常に大きなデータセットを分析かつ変換するためのフレームワークを提供する。ハドゥープでは、データ及び演算が、数千のデータファーム104にまたがって分割され得る。ハドゥープベースのDFSは、単に追加のデータファーム104を追加することにより、記憶容量やI/O帯域幅を調整し得る。
【0044】
サーバ106は、ハドゥープのネームノード(NameNode)機能を実装することができ、データファーム104は、データノード(DataNode)機能を実装することができる。ハドゥープでは、ネームノードが、DFSの動作にとって重要である。ネームノードは、クラスタにわたってファイルデータが保持されている場合に、ファイルシステム内のすべてのファイルのディレクトリツリーを維持し、追跡する。ネームノードは、これらのファイル自体のデータを記憶しない。
【0045】
ユーザアプリケーション102がDFS内のファイルを検索することを試みる度に、又はユーザアプリケーション102が、DFS内のファイルの追加/コピー/移動/削除を試みるときに、ユーザアプリケーション102は、ネームノードと通信する。ネームノードは、データが記憶されているデータノードのサーバのリストを返信することにより、成功した要求に対して応答する。
【0046】
ネームノードが故障した場合には、DFSがオフラインになるため、ネームノードは、信頼性の高い演算器でなければならない。主ネームノードが故障した場合に保護を提供するために、随意的に副ネームノードを使用してもよい。ネームノードは、大きなRAM空間を有するサーバ上でホスティングされるべきである。
【0047】
ハドゥープでは、DFSがデータノードにデータを記憶する。DFSは、多数のデータノードを有しており、データは1以上のデータノードにわたって複製され得る。起動時、データノードはネームノードに接続し、その後DFS動作をサポートする準備ができる。
【0048】
ネームノードがデータの位置を提供した後、ユーザアプリケーション102は、データノードと直接通信することができる。複数のデータノードは、データを複製する場合等に、互いと通信することができる。データは、同一のデータファーム104の複数のディスクでは無く、複数のデータファーム104に複製されるように設計されているので、通常は、データノードデータに対してRAID記憶装置を使用する必要がない。
【0049】
分散ファイルシステムは、当該技術分野で知られている、BitTorrent、PVFS、Lustre等の他のプロトコルに基づいていてもよい。例えば、Lustreは、データクラスタの記憶アーキテクチャとして知られている。中心構成要素は、Lustreファイルシステム、すなわち、複数のクラスタのための共有ファイルシステムである。Lustreファイルシステムは、現在、Linux(登録商標)に関して利用可能であり、POSIX準拠のUNIX(登録商標)ファイルシステムインタフェースを提供する。BitTorrent等のピアツーピアプロトコルを用いた場合には、記憶ネットワークモジュール110は必要とされない。
【0050】
複数のデータファーム104の各データファームの、容量、基礎となる記憶技術、記憶レイテンシ、通信レイテンシ、ローカル制御部機能等の特性は、データファーム104の内、他のデータファームにおける同様の特性とは無関係であってもよい。これらの特性は、それぞれのデータファーム104で大幅に異なり得る。このように、DFSは、データファームの非均質なコレクションと共に動作可能である。
【0051】
データファーム104の各々は、広く分散して配置され得る。例えば、WAN 101を介して到達可能である限りは、実質的に国内又は世界のほぼすべての位置にある構造物内の目立たない場所に配置され得る家等の構造物は、通常、コンピュータ可読媒体を設置するのに物理的に十分な大きさの隠蔽空間を有している。このようなコンピュータ可読媒体は、データファーム104−mとして使用するために、建築中に設置されてもよいし、後で追加されてもよい。例えば、添付の
図3は、乾式壁のない、壁300の内面図を示している。壁は、通常、水平なトッププレートと、水平なボトムプレート、及び複数の垂直な壁スタッドを含んでいる。壁は、通常、電気システムの一部として配線を備えており、イーサネット(登録商標)ネットワークのために別の配線を含むこともある。壁の外部の電気システムへのアクセスは、電気コンセントによって提供することができる。
【0052】
通常の家屋内の、他の目立たない位置には、根太、地下室、屋根裏領域、階段下、中空コアドア等の内部、又はそれらの間が含まれる。オフィスビル内の、高い位置にある床板の下方、つり天井の上方、モジュール式壁内等の、他の目立たない位置が利用可能である。
【0053】
目立たない位置は、記憶装置126(あるいは記憶装置126のクラスタ)、及び関連するローカル制御部124であって、通常は支持体と保護ハウジング内にあるものを収容するのに十分物理的に大きくなければならない。例えば、低レイテンシの記憶装置126は、一般的には約8cm×10×2.5cm(3インチ×4インチ×1インチ)等のサイズで入手できる可搬型ディスクドライブ、ソリッドステートドライブを含んでもよい。高レイテンシの記憶装置126は、一般的には約5cm×1.9×1.0cm(2インチ×0.75インチ×0.4インチ)等のサイズで入手できるUSBフラッシュドライブを含むことができる。タブレットベースのローカル制御部124は、約18cm×10cm×2.5cm(7インチ×4インチ×1インチ)であってもよい。いくつかの実施形態において、ローカル制御部124は、通信インタフェース128を含むことができる。本発明の一実施形態に従ってシステムを配置することにより、新たな構造物材料及び建築方法、例えば、壁パネル表面へのデータの書き込みに対応することができる。
【0054】
必要に応じて電力及び通信サービスにアクセスできる限り、他の位置をデータファーム104として用いることができる。例えばデータファーム104は、屋上、電柱の先端等の屋外に配置することができ、又は再生可能エネルギーシステム(例えば、太陽電池パネル、風力タービン等)に組み込むことができる。このような位置は、また、電力用のバッテリバックアップと、通信リンク用の(公開されている、又はデータファーマーによって提供される)ワイファイ(WiFi)信号と共に、再生可能電力(例えば、太陽電池パネル、風力タービン等)に依存し得る。ガレージ、車庫等のその他の構造物の空間を用いてもよい。構造材料(例えば、スタッド)は、記憶モジュールを含むように予め構成することができる。このように、予め構成された構造材料は、本発明に係る実施形態を含む構造物の使用方法の他の態様に対する影響を最小限度にしつつ、当該構造物を後で追加するのに適している。室外位置、及び他の制御できない環境は、予想される温度変動に耐性があり、風、雨等の要素から保護されているローカル制御部124及び記憶装置126を必要とする。
【0055】
より高レイテンシの記憶装置126は、1以上のUSBフラッシュドライブを含むことができる。フラッシュドライブは一般に、2GB〜64GB、又はそれ以上の容量で入手可能である。例えば、Androidタブレットや、同様のコンパクトなコンピューティング装置等のコントローラは、USBポートを含むことができる。USBポートは、1以上のUSBハブを用いてさらに展開してもよい。そして、フラッシュドライブは、1以上のUSBポートに接続することができる。記憶装置にフラッシュドライブを用いることにより、通常、可搬型ディスクドライブを用いるよりも少ない電力を消費するという利点が追加される。
【0056】
さらなる実施形態では、個別の記憶部より大きいデータ記憶容量を持つ複合型の記憶装置126を提供するために、適切なUSBポートを有する個々の記憶部が、デイジーチェーン方式で互いに接続されていてもよい。
【0057】
さらなる実施形態において、データファーム104は、拡張可能なデータバスを含んでもよい。個々の記憶部は、追加の記憶部をデータバスに接続することによって、データファーム104に追加することができる。個々のデータファーム104の拡張は、本質的に拡張可能な無線通信方法を使用することによっても達成することができる。無線方法には、WiFi(IEEE 802.11)や、Bluetooth(登録商標)(IEEE 802.15.1)、ZigBee(IEEE 802.15.4)等の近距離無線通信が含まれ得る。
【0058】
データファーム104における記憶装置126と、関連付けられたローカル制御部124のすべてが、実質的に隠蔽されなければならない。それらが、データファーム104内にあることを、人に気づかれてはならない。データファーム104は、主データ記憶装置又は遠隔クライアントのためのバックアップデータ記憶装置として使用することができる。より高レイテンシの記憶装置は、バックアップ記憶用途に、より有効であるかもしれない。
【0059】
再び
図3を参照して、記憶装置エンクロージャ302は、壁300内に配置することができる。記憶装置エンクロージャは、データファーム104の構成要素を含む。記憶装置エンクロージャ302の物理的特性を、特定の設置位置に適合させることができる。例えば、記憶装置エンクロージャ302のサイズ、形状、容量等、及びデータファーム104の構成要素に提供する取り付け又は支持は、利用可能な空間に適合させることができる。記憶装置エンクロージャ302は、完全に囲まれていなくてもよく、例えば、上方向は、メンテナンスを容易にするために開いたままであってもよい。これは、通常取り付け位置が壁内であるため、上から好ましくない物理的侵入があるリスクが小さいためである。エンクロージャの要件(例えば、エンクロージャ角度、どの方向が比較的露出されるか、エンクロージャの強度等)は、設置位置やエンクロージャ及び/又はデータファームを固定する方法等の要因に基づいて、設置位置毎に異なってもよい。
【0060】
乾式壁が壁スタッドに取り付けられると、記憶装置エンクロージャ302は視界から隠蔽される。壁内にすでに存在している電気配線のタップにつなぐことによって、電力を記憶装置エンクロージャ302に供給することができる。あるいは、壁、床等を通して電源配線を見えないように配索することにより、電力を記憶装置エンクロージャ302に供給することができる。十分に消費電力が低電力であるデータファーム104には、誘導電力接続等の無線式の方法及びシステムによって動力を供給することができる。誘導電力システムは、送信コイル及び受信コイルを有する。両コイルが、磁気的に結合されたインダクタのシステムを形成している。送信コイルにおける交流電流は、受信コイルに電圧を誘導する磁場を生成する。この電圧は、十分低電力のデータファーム104に電力供給するために使用することができる。送信コイルは、乾式壁の室内に面する側面に配置することができ、受信コイルは、乾式壁の内部に面する側面に配置することができる。データファーム(例えば、コントローラ又はハブ)の一部は、外部ソースから電力を受け取るように構成することができ、他の構成要素(例えば、USBデバイス)は、USBリンク(又は他の通信リンク)を介して、コントローラ又はハブから必要な電力を受け取るように構成することができる。
【0061】
同様に、データファーム104は、WAN 101への通信インタフェース128を含むべきである。通信リンクは、広帯域アクセスポイント(例えば、ハブ及び/又はルータ)へのイーサネット(登録商標)インタフェースと、ホストによって供給された広帯域アクセスポイント(例えば、無線ルータ)への無線インタフェース(例えばWiFi)と、公衆WiFiホットスポットへのWiFiインタフェースと、携帯電話通信塔への4G無線携帯電話インタフェースと、USレーザ等の1以上の実施形態を含んでもよい。Bリンクと、光ファイバリンクと、無線(自由空間)光リンクと、レーザ等の1以上の実施形態を含んでもよい。データファーム104が応答する必要がある(例えば、データを提供する、pingに応答する)までは、データファーム104をレシーブオンリーモード又はリッスンオンリーモードにすることにより電力を節約することができる。
【0062】
図4は、本発明の一実施形態に係る記憶装置126のハウジング400を示している。ハウジング400は、6面(2つの主面と、4つのエッジ面を含む)を有する平行六面体として例示されているが、ハウジング400の形状はこの形状に制限されない。より多くの面(例えば、測地線形状、六角形)や、より少ない面(例えば、球、円錐、角錐)等の、他の数の面を有する代替的な形状を用いてもよい。さらに、ハウジング400は、空間を完全に囲む必要はない。例えば、ハウジング400は、1つの開放側面を有してもよい。あるいは、ハウジング400は、記憶装置を設置面の一方の側に設置するように構成された一面のみを有してもよい。この接地面は、その他方の側面で、剛体ベースに取り付けられている。
【0063】
ハウジング400は、ハウジング400の周囲に、少なくとも90度で通信するように構成された1以上のトランシーバ402を含んでいてもよい。好ましくは、ハウジング402を囲む面に360度の通信を提供するために、複数のトランシーバ402が使用される。あるいは、ハウジング402の周りの球状又は半球状の受信可能範囲を提供するために、複数のトランシーバ402が使用されてもよい。
図4は、ハウジング400の3つの可視平面のうち、2つに配置されたトランシーバ402を示している。トランシーバ402は、ハウジング400の、面、エッジ、及び/又は角部を含む、ほぼすべての外部点に配置することができる。あるいは、トランシーバ402は、ハウジング402の内部に設けることができる。ハウジング400の面の裏側であって、無線信号に対して透明な(例えば、光信号に対してはガラス窓)面に設けられてもよいし、又はハウジング400の解放側面を通って送信するように構成されていてもよい。
【0064】
トランシーバ402は、ハウジング400内の記憶装置126と無線で通信するために使用することができる。通信は、記憶装置126に記憶すべきデータ又は記憶装置126から取得されたデータの送受信、記憶装置126の制御、及び/又は記憶装置126のステータスの送信を含む。トランシーバ402は、RF(例えば、WiFi、ZigBee、Bluetooth(登録商標))、赤外線、光(例えば、LED又はレーザ)、超音波等、ほぼすべての無線通信技術を使用することができる。
【0065】
ハウジング400内には、記憶装置126をハウジング400に確実に固定する固定装置を含んでいてもよい。固定装置には、ねじ、ボルト、接着剤、タイストラップ等が含まれ得る。ハウジング400は、さらに、記憶装置126との間でデータを読み書きするように構成されたコントローラを含むことができる。コントローラは、トランシーバ402を介して通信インタフェースを提供するように、さらに構成されていてもよい。コントローラは、トランシーバ402を介してステータス又は健全性の状態を、周期的に、又はクエリに応答してのいずれかで提供する。
【0066】
図5は、本発明の一実施形態に従って、壁内に設置された複数のハウジング400の断面
図500を示す。
図500は、3つの壁スタッド502を示しているが、当業者であれば、
図500を、3つ以上のスタッドに拡張する方法を理解するであろう。一対の隣接する壁スタッド502の間に、複数のハウジング400を配置することができる。個々のハウジング400は、少なくとも1つの隣接するハウジング400と通信状態で接触していてもよい。バッキング材504であって、複数のハウジング400の内の少なくとも一部を設置することができるバッキング材504を設けてもよい。バッキング材504は、メッシュ、ウエビング、剛体板、その組み合わせ等、互いに対するハウジング400の位置を維持するために、十分に強いものであってよい。そのため、トランシーバ402を介した、隣接するハウジング400との間の通信をサポートすることができる。バッキング材504によって、複数のハウジング400を、事前にバッキング材504(例えば、工場で)に設置し、その後、多くのハウジング400が付帯しているバッキング材を壁スタッド502に取り付けることができる。建築構造技術において知られているように、バッキング材504は、反対の側面が、標準的な距離だけ離れている壁スタッド502に固定されるように十分に大きくすることができる。
【0067】
壁スタッド502の、異なる側面同士の間の通信は、壁スタッド502内のアパーチャ508によって容易にすることができる。アパーチャ508は、壁スタッド502の両側にあるハウジング400が相互に通信することを許容する。例えば、
図5の、中央の壁スタッド502の両側にあるハウジング510とハウジング512は、互いに通信状態で接触することができる。通信状態の接触は、有線又は無線のいずれによるものであってもよい。
【0068】
本発明による他の実施形態では、壁スタッド502等の固定された物体に少なくとも1つの側面516が取り付けられ、かつ少なくとも1つの他の側面518が拡張可能なように構成されているバッキング材506が設けられている。側面518は、側面516の反対側に図示されているが、この側面は、固定された対象物への、側面516の取り付けが損なわれない限り、バッキング材506の外周面、若しくは主面に沿った、又はその一部に沿った、実質的にどこにでも配置することができる。側面518は、拡張ボード(
図5には図示せず)の、マッチングする空隙と結合するように構成された係合装置514(例えば、連結突起)を含んでもよく、それにより、拡張性を提供している。拡張ボードは、バッキング材506と実質的に同様である。
【0069】
複数のハウジング400は、コントローラ520と通信状態で接触していてもよく、コントローラ520は、WAN 101に通信状態で接続されている。複数のハウジング400は、データネットワーキングの分野で知られている、フラッドプロトコル(flood protocol)等のプロトコルを用いて通信することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、ハウジング400は、各ハウジング400内の記憶装置126の健全性の状態又は故障の状態を、健全性又は故障を報告するハウジング400の識別子と共に報告することができる。そのような実施形態では、ハウジング400をバッキング材504又は506に取り付けることによって提供される、相対的に固定された空間的関係に少なくとも部分的に起因して、故障マップを生成し、保守員が利用できるようにすることができる。故障マップは、故障を報告している(又は良好な健全性を報告しない)特定のハウジング400を図式的に描写することができる。迅速に交換するために、故障マップが、故障した記憶装置126を識別することにより、修理を容易にすることができる。
【0071】
悪意のある攻撃に対する強いデータ保護措置が、当該環境内の通信に不要となるように、従来のデータウェアハウスは、トラステッドデータとコンピューティング環境内に収容されている。対照的に、本発明による実施形態は、広く分散した位置に配置されたデータファームを含み、これらのデータファームは、通常はインターネット等の非トラステッドWAN 101を介して相互に接続されている。したがって、分散したデータファーム104の各々は、ファイアウォール、アンチウイルス処理等のデータ保護モジュールを含まなければならない。データ保護モジュールは、ローカル制御部124及び/又は通信インタフェース128内に実現することができる。各データファーム104は、その各データ保護モジュールの背後にトラステッド環境を含む。しかし、トラステッド環境は、別個の異なるデータファーム104間であるため、別個のデータファーム104は非トラステッドデータの関係にある。
【0072】
本発明による、いくつかの実施形態では、複数のハウジング400は、壁の内部ではなく、視認面に取り付けることができる。例えば、芸術的なディスプレイを提供するために、複数のハウジング400を、壁の視認面に取り付けることができる。複数のハウジング400は、ねじ、ボルト、クランプ、溶接、接着剤、ベルクロ等の従来の装置によって壁に固定することができる。
【0073】
中央管理ノード(例えば、ハドゥープ等に基づくDFS)を用いる分散ファイルシステムでは、記憶ネットワークモジュール110は、DFSを動作させる制御態様を行い、管理モジュール112は、DFSを動作させる課金及びクレジット態様を行ってもよい。
【0074】
中央管理ノード(例えば、BitTorrent等に基づくDFS)を用いない分散ファイルシステムでは、コンピューティングノード152−m内のコントローラ及び記憶装置と協働している、関連するデータファーム104−n内の個々のローカル制御部124−nは、DFSを動作させる制御態様を行い、かつ課金及び管理のために、関連するコンピューティングノード152−m又はデータファーム104−nによって、データ帯域幅使用量のモニタリングを行ってもよい。このように収集された使用量データは、管理モジュール112に報告され、管理モジュール112は、その後DFSを動作させる課金及びクレジット(補償)態様を行ってもよい。
【0075】
データファーム104への通信サービス及び/又は電力は、一定のタイミングで中断され得る。例えば、倒木は、電気接続又はインターネット接続を切断し得る。あるいは、住宅所有者が改装し、それによってデータファームのハードウェアが、知らずに影響されるかもしれない。住宅所有者が広域通信サービスプロバイダを変更するかもしれない。あるいは、住宅所有者が、このようなサービスを無効にする(引っ越しの場合等)かもしれないし、サービスが切断されるかもしれない。そのようなシナリオの多くが考えられる。したがって、DFSのシステム動作は、個々のデータファーム104の故障や、ネットワークからの断線に対して柔軟でなければならない。柔軟性を確保する技術は当該技術分野で知られており、データ複製、データストライピング、RAID記憶装置、誤り訂正符号等が挙げられる。
【0076】
一実施形態において、システムの柔軟性は、各データが、2以上のデータファーム104に記憶されるように、DFS全体にわたってデータの複数のコピーを複製することによって達成することができる。記憶ネットワークモジュール110等のシステムコントローラが、1以上のデータファームの健全性の状態を監視してもよい。監視は、データファームがオンライン又はオフラインであるか、エラー状態等、データファームの利用状態を判定するために有効であり得る。データファームを監視することは、各データファーム104が依然として機能し得るか否かを判定するための、定期的なpingを含んでもよい。あるいは、各データファーム104は、システムコントローラに周期的なハートビート信号を提供するように構成されていてもよい。ハートビートは、ステータス情報を含むことができる。システムコントローラは、各データファーム104がオンラインであるかオフラインであるかを追跡することができる。個々のデータファームがオフラインになった場合、システムコントローラは、データのコピーを記憶しており、機能しているデータファーム104に接触することによって、オフラインのデータファーム104に記憶されていたデータを複製することができる。まず、再分散のためにシステム制御110にデータを送信するか、又は選択されたデータファーム104に直接データを送信することによって、データのコピーが、1以上の追加のデータファーム104に記憶されてもよい。
【0077】
本発明による実施形態は、資産所有者が、あるデータファーム104を記憶するために補償されるようにDFSを動作させる方法を含み、コンピューティングノード152−mのユーザが、従来のセキュリティの高いデータファームより低い全体コストで、安全かつ柔軟性のあるDFSの利益を得ることができる。
【0078】
DFSを動作させる方法は、以下のような者による動作を含む。すなわち、コンピューティングノード152−mのユーザ(「1次ソースデータクライアント」と呼ぶ)、データファーム104−nに関連付けられた資産所有者(「データファーマー」と呼ぶ)、及び管理モジュール112に関連付けられたネットワークオペレータ(「データユーティリティ」又は「データユーティリティ会社」と呼ぶ)である。
【0079】
1次ソースデータクライアントは、使用したシステムリソースの量、例えば、DFSに書き込まれたデータ及び/又はDFSから読み出されたデータのメガバイト数、又はクライアントによって使用されたメモリ空間の量に基づいて、課金される。この価格設定モデルは、DFSに多くのデータを記憶することを予期しないクライアントに有効であるかもしれない。データユーティリティ会社の会計は、クライアントによって開始されたサービス及びデータ転送のみに関する書き換えプロセスに課金し、DFSの内部動作(データファームがオンラインになったとき、オフラインになるときに、データの記憶位置を調整する等)に起因する転送に関する書き換えプロセスには課金しなくてもよい。
【0080】
あるいは、1次ソースデータクライアントは、定額料金(例えば、月額料金)、又はハイブリッド課金モデル(例えば、所定限度まで定額料金で、限度を超えた場合には1MBあたりの料金)で課金されてもよい。課金は、別個の転送料金と記憶料金に分割されてもよい。クライアントには、所定量のデータ記憶装置のリースに伴って、月毎に一定量のデータ転送(書き込み、書き換え)が許容されてもよい。会員登録型のクライアントのニーズを満たすために、異なる階層化されたメンバーシップが利用可能である。階層は、使用される記憶容量、使用されるデータ転送のバイト数、データアクセスの速度(レイテンシや通信速度)、バックアップが複製される回数、複製が送信される領域等の要因に基づいて構成することができる。クライアントによって開始された書き換え又は記憶されたデータは、クライアントの、特定の登録階層に関連付けられたデータ転送制限の分担量のみを使用する。これらの制限値を超えると、割り増しコストでの、過剰供給率に基づいて課金されることになる。
【0081】
1次ソースデータクライアントは、複製の多重度又は冗長度、そのデータの領域分割化(すなわち、分散)の度合い、暗号の強度等の、任意の数の要因又は任意の付加価値サービスに基づいて請求されてもよい。例えば、データセキュリティが高度であることを優先させる1次ソースデータクライアントは、より多くのデータファーム104にそのデータを複製することを選択するであろうが、これにはより大きな課金が伴う。
【0082】
あるいは、クライアントが、記憶されているデータを取得するであろう、頻繁にはない重大な場合に認められる適切な課金と引き換えに、緊急のバックアップの目的のためだけにDFSを使用することを好む1次ソースデータクライアントもいる。このようなアクセスは、頻繁では無いため、このようなサービスのためのデータ取得には、より大きなレイテンシが許容される。
【0083】
1次ソースデータクライアントは、DFSと関連付けられていない他の記憶装置、例えば、ローカル記憶装置、遠隔記憶装置(例えば、本発明のDFSと関連付けられていない、LANベースの記憶装置、その他のクラウドベースの記憶装置)、ローカルバックアップ等を課金無しに使用し続けることができる。
【0084】
本発明による、いくつかの実施形態では、データユーティリティ会社は、記憶及びバックアップ用に、入来するクライアントデータを記憶するために、サーバ106内の1以上の一時的なデータ記憶部を提供することができる。データユーティリティは、データを複製、暗号化して、複数のデータファーム104に送信することができる。
【0085】
時の経過と共に、付加的な個々のデータファーム104−nがDFSに追加される場合もあるし、いくつかのデータファーム104−nが、データファーム104−n及び/又はWAN 101への通信リンクに対する上記の切断に起因して、非活性状態となることがある。本発明によるいくつかの実施形態では、DFSに新たなデータファーム104−nが追加されると、このDFSへの追加が、記憶ネットワークモジュール110によって記録されてもよい。その後、記憶ネットワークモジュール110がデータファーム104−nが正常に動作していることを知っているために、データファーム104−nと記憶ネットワークモジュール110は、定期的にping、ハートビート、又は監視信号を交換してもよい。記憶ネットワークモジュール110が、データファーム104−nから期待されるping応答、ハートビートメッセージ、又は監視メッセージを受信できなかった場合は、記憶ネットワークモジュール110は、データファーム104−nがオフラインであると推測し、新たに記憶すべきデータが、データファーム104−nに割り当てられていないように、内部ルーティングテーブルを変更することができる。担当するデータファーマーには、そのデータファーム104−nの状態が通知され、かつ/又はペナルティが課されてもよい。
【0086】
データファーム104−nがオンラインに復帰したか否かを判定するために、データファーム104−nには、その後も周期的にpingが送られてもよい。オンラインに復帰した場合には、断続的な問題が存続する場合に、随意的な待機期間だけ待機した後、DFSは再び通常通りデータファーム104−nを使用してもよい。
【0087】
本発明による、いくつかの実施形態では、1次ソースデータクライアントが、所定時間より長く、そのデータの一部にアクセスしなかった場合には、1次ソースデータクライアントは、そのデータをDFSにおいて書き換えるよう要求することができる。書き換え後のデータ(又はその一部)が、同じデータファーム(s)104−n、又は異なるデータファーム(s)104−nに書き込まれ得る。この方法によれば、DFSの動作は、データが、オフラインのデータファーム104−nに記憶されている場合、データにアクセス不能になることから守ることを助けることもできる。データが、同じデータファーム104−nに書き換えられる場合、新しいデータがデータファーム104−nに書き込まれず、転送されるデータの量に基づいて課金されるユーザに対して、コストの節約を提供できる可能性がある。データファーマーは、情報の転送、及び記憶に対して料金を支払われ続けることができる。記憶が、リース契約で指定された範囲を超えた場合、データファーマーは、1次ソースデータクライアントとの新たなリース契約に基づいて、補償され得る。
【0088】
1次ソースデータクライアントとデータファーマーの間の課金契約は、1次ソースデータクライアントが利用可能なサービスのレベルと支払予算に、さらに依存し得る。例えば、サービスのレベルは、クライアントの情報が、どの領域に重複して記憶されるかに基づいてもよい。例えば、嵐や災害多発領域ほど、高いリスク要因を伴い、安価となるだろう。より高速なインターネットインフラストラクチャ及び/又はより低い災害発生率を有する位置は、より高価な契約となるだろう。課金は、使用されるデータファームのタイプ、使用される記憶装置のレイテンシ等に依存してもよい。例えば、住居内に収容されたデータファームの使用は、商業ビル内に収容されたデータファームの使用とは異なる料金が課金されてもよい。クライアント情報の保護必要度、及び取得の頻度が、課金料金を決定するために使用され得る。
【0089】
DFSの操作の別の実施形態は、1次ソースデータクライアントから要求されたバックアップを記憶し、取得に成功することができるデータファーマーにボーナスを支払うことを含んでいてもよい。これは、例えば(もしあれば)電気通信及びデータ通信の要求、及びそのデータファームのセキュリティに一生懸命貢献することによって、データファーマーが参加すること、及び(必要であれば)メンテナンスすることを奨励することとなる。
【0090】
本発明による実施形態は、データユーティリティが、潜在的に複数のファーマーの中から、ファーマーの1次ソースデータクライアントの要求(例えば、地理的位置、会社/住居データファームは、記憶媒体のレイテンシ等)の下で、適している、バックアップデータを提供するデータファーマーを決定するものとしている。データユーティリティは、適しているデータファーマーの現在の記憶容量及び通信容量等の1以上の要因を考慮し、その要因は、その領域における現在のインターネットトラフィック、局所性、及び拠点帯域トラフィック等の他の要因にし得る。データユーティリティは、このような要素の好適な組み合わせに基づいて、1以上のデータファーマーを選ぶことができる。
【0091】
本発明による実施形態は、データ記憶サービスを提供するために、データファーマーがサービスレベルを選択できるようにするために、データファーマーに、異なるサービスレベルの選択肢を提供することができる。データ記憶サービスのレベルを異なるものとすることにより、配置のための記憶資産のタイプ、及びデータ記憶資産が配置される、その資産上の又は資産内の位置に関する、データファーマーによる決定に影響する。例えば、いくつかのデータファーマーは、保証された利益率と引き替えに、そのデータ記憶容量の80%を第1タイプの記憶資産及び/又は記憶資産の第1位置に割り当ててもよい。実際に、1次ソースデータクライアントによって使用される記憶空間用にのみ、高い料金のサービス提供支払いと引き換えに、そのデータ記憶容量の15%を第2タイプの記憶資産及び/又は記憶資産の第2位置に割り当ててもよい。そのデータ記憶容量の最後の5%は、1次ソースデータクライアントによる、緊急バックアップ、及び制限を超えるデータ使用を提供するサービスと引き換えに、第3タイプの記憶資産及び/又は記憶資産の第3位置に割り当てることができる。このような緊急バックアップ及び/又は制限を超えるデータ使用は、あまり起こらないが、使用された場合には、比例的多くの収益が得られる。この割り当ては、データファーマーによって、DFS及びデータユーティリティの容量ニーズを受けて周期的に変更され得る。
【0092】
本発明の実施形態は、コンピューティングノード152−mにおけるユーザ102−mに、災害復旧サービスを提供することができる。例えば、ユーザ102−mは、分散ファイルシステムにバックアップされたデータの一部又はすべてを復元する必要があることを管理モジュール112に通知することができる。ユーザ102−mが、コンピューティングノード152−mと関連付けられた主要な記憶要素の故障を経験している場合が、例示的な原因として挙げられる。この状況では、本発明の一実施形態による災害復旧サービスは、DFS内にバックアップされている、クライアントのデータの様々な部分からユーザ102−mのデータを再構成する能力を提供することを含む。復元されたデータは、クライアントに供給されてもよいし、別の位置(例えば、サーバ106内のメモリ)に一時的に記憶されてもよいいし、クラウドコンピューティングサービスによって提供される分散コンピューティングの目的のために、分散された状態でクライアントにアクセス可能にされてもよい。
【0093】
本発明の実施形態は、1以上のメモリに接続された1以上の処理ユニットを有するシステムを含む。1以上のメモリは、1以上の処理ユニットによって実行されると、本発明の実施形態の実施を可能にするソフトウェアを記憶するように構成されている。本発明の実施形態の実施は、少なくとも図面及び関連する文書を含む本明細書で説明したプロセスを、少なくとも用いて行われる。
【0094】
開示された方法は、例えば、様々なコンピュータ又はワークステーションプラットフォーム上で用いることができる可搬型ソースコードを提供する、オブジェクト又はオブジェクト志向ソフトウェア開発環境を用いて、ソフトウェアで容易に実施され得る。あるいは、開示されたシステムは、例えば、標準の論理回路又はVLSI設計を用いて、部分的に又は全体的にハードウェアで実施されてもよい。ソフトウェア又はハードウェアが、本発明の様々な実施形態によるシステムを実施するために使用可能であるか否かは、システムの速度要求、効率要求、特定の機能、及び使用されている特定のソフトウェアシステム又はハードウェアシステム等様々な考察によって決まる。
【0095】
上記は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態を考案することができる。本明細書に記載した様々な実施形態は、本明細書に含まれる範囲から逸脱することなく、説明した他の実施形態と組み合わせて利用され得ることが理解される。さらに、上述の説明は、開示された正確な形態に本発明を限定するものではない。修正及び変形が、上記の教示に照らして可能であり、又は本発明の実施から得られる。一定の例示的な実施形態は、開放リストを用いることによって識別することができる。開放リストは、リスト項目が実施形態を表すこと、及びリストが、さらなる実施形態を排除する閉じたリストを表すものではないことを示す文言を含む。そのような文言には、「等」、「例えば」等、及び周囲の文脈から明らかになるであろう他の表現が含まれ得る。
【0096】
本願の説明で用いられる、いずれの要素、動作、又は命令も、そのように明示的に記載がない限りは、本発明に不可欠である、又は必須であると解釈すべきでない。また、本明細書で用いる場合、単数の表現は1以上のアイテムを含むことを意図している。1つのアイテムのみを意図する場合、「1つの」という用語又は同様の文言が用いられる。さらに、本明細書で使用する場合、複数のアイテム及び/又はアイテムの複数のカテゴリーのリストと、「のいずれも」の用語とは、複数のアイテム及び/若しくは複数のアイテムの複数のカテゴリー「のいずれも」、「のいずれの組み合わせも」、「のいずれか複数の」、ならびに/又は「の複数のいずれの組み合わせも」、「の任意の組み合わせ」、「の倍数のいずれか」、「の倍数の任意の組み合わせ」を個別に、又は他のアイテム及び/若しくはアイテムの他のカテゴリーと共に、含むことを意図している。
【0097】
さらに、その効果を説明しない限り、特許請求の範囲は、記載された順序又は要素に限定するものと理解すべきではない。また、いずれの請求項においても、「手段」の用語の使用は、米国特許法112条、第6パラグラフを呼び起こすことを意図するものであり、「手段」の語を用いていない請求項はいずれもそのように意図していない。