特許第6847214号(P6847214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847214
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】部品判定システム、および部品判定方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20210315BHJP
【FI】
   H05K13/04 A
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-523254(P2019-523254)
(86)(22)【出願日】2017年6月7日
(86)【国際出願番号】JP2017021049
(87)【国際公開番号】WO2018225168
(87)【国際公開日】20181213
【審査請求日】2019年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】大橋 輝之
【審査官】 松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−165946(JP,A)
【文献】 特開2005−101576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30,13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1装着作業によって基板の第1面に装着される第1部品と、第2装着作業によって前記基板の第2面に装着される第2部品とが特別な対応関係を有する場合に、前記第1部品と前記第2部品の組合せを許容するか否かを判定する部品判定システムであって、
前記第1装着作業を実施する部品装着機に搬入される前記基板、および前記第2装着作業を実施する部品装着機に搬入される前記基板を対象として、当該の前記基板の種類および個体の別の少なくとも一方を特定する基板情報を取得する基板情報取得部と、
前記第1装着作業が終了した前記第1部品の第1固有情報を取得する第1固有情報取得部と、
前記第1装着作業が実施される前記基板の前記基板情報と、前記第1固有情報とを対応付けて記録する作業履歴記録部と、
前記第2装着作業に先立って準備された前記第2部品の第2固有情報を取得する第2固有情報取得部と、
前記第2装着作業が実施される前記基板の前記基板情報によって特定される前記基板ごとに、前記作業履歴記録部に記録された前記第1固有情報と、取得された前記第2固有情報とが対応するか否かに基づいて、前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容するか否かを判定する組合せ判定部と、
を備える部品判定システム。
【請求項2】
先行して実施する第1装着作業によって基板の第1面に装着される第1部品と、後から実施する第2装着作業によって前記基板の第2面に装着される第2部品とが特別な対応関係を有する場合に、前記第1部品と前記第2部品の組合せを許容するか否かを判定する部品判定システムであって、
前記第1装着作業が終了した前記第1部品の第1固有情報を取得する第1固有情報取得部と、
前記第2装着作業に先立って準備された前記第2部品の第2固有情報を取得する第2固有情報取得部と、
取得された前記第1固有情報および取得された前記第2固有情報に基づいて、前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容するか否かを判定する組合せ判定部と、
を備える部品判定システム。
【請求項3】
前記部品判定システムは、前記基板の種類および個体の別の少なくとも一方を特定する基板情報を取得する基板情報取得部をさらに備え、
前記第1固有情報取得部は、前記第1部品の部品種に適合する複数の前記第1固有情報のうち装着された前記第1部品の特定の前記第1固有情報を取得し、さらに前記基板情報に対応付けて記憶し、
前記第2固有情報取得部は、前記第2部品の部品種に適合する複数の前記第2固有情報のうち準備された前記第2部品の特定の前記第2固有情報を取得し、
前記組合せ判定部は、特定の前記第1固有情報と特定の前記第2固有情報が一致した場合に、前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容する、
請求項1または2に記載の部品判定システム。
【請求項4】
前記第1部品および前記第2部品は、互いに同じ部品種であるという特別な前記対応関係を有し、
前記第1固有情報および前記第2固有情報は、複数の部品を保持した保持媒体を識別する媒体識別番号、複数の前記保持媒体を梱包したロットを識別するロット番号、および前記部品のメーカのいずれかである、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の部品判定システム。
【請求項5】
前記部品判定システムは、前記第1固有情報と前記第2固有情報の許容される組合せを予め記憶する組合せ記憶部をさらに備え、
前記組合せ判定部は、取得された前記第1固有情報と取得された前記第2固有情報の組合せが前記組合せ記憶部に記憶されている場合に、前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容する、
請求項1または2に記載の部品判定システム。
【請求項6】
前記第1部品および前記第2部品は、前記基板に形成される電子回路の特定部分を構成するために組み合わせられて使用されるという特別な前記対応関係を有し、
前記第1固有情報および前記第2固有情報は、部品の個体を識別する個体識別番号、複数の前記部品を保持した保持媒体を識別する媒体識別番号、複数の前記保持媒体を梱包したロットを識別するロット番号、および前記部品のメーカのいずれかである、
請求項5に記載の部品判定システム。
【請求項7】
前記組合せ判定部が前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容しない場合に、前記第2装着作業を禁止する装着禁止部をさらに備える、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の部品判定システム。
【請求項8】
第1装着作業によって基板の第1面に装着される第1部品と、第2装着作業によって前記基板の第2面に装着される第2部品とが特別な対応関係を有する場合に、前記第1部品と前記第2部品の組合せを許容するか否かを判定する部品判定方法であって、
前記第1装着作業を実施する部品装着機に搬入される前記基板、および前記第2装着作業を実施する部品装着機に搬入される前記基板を対象として、当該の前記基板の種類および個体の別の少なくとも一方を特定する基板情報を取得し、
前記第1装着作業が終了した前記第1部品の第1固有情報を取得し、
前記第1装着作業が実施される前記基板の前記基板情報と、前記第1固有情報とを対応付けて記録し、
前記第2装着作業に先立って準備された前記第2部品の第2固有情報を取得し、
前記第2装着作業が実施される前記基板の前記基板情報によって特定される前記基板ごとに、記録された前記第1固有情報と、取得された前記第2固有情報とが対応するか否かに基づいて、前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容するか否かを判定する、
部品判定方法。
【請求項9】
先行して実施する第1装着作業によって基板の第1面に装着される第1部品と、後から実施する第2装着作業によって前記基板の第2面に装着される第2部品とが特別な対応関係を有する場合に、前記第1部品と前記第2部品の組合せを許容するか否かを判定する部品判定方法であって、
前記第1装着作業が終了した前記第1部品の第1固有情報を取得し、
前記第2装着作業に先立って準備された前記第2部品の第2固有情報を取得し、
取得された前記第1固有情報および取得された前記第2固有情報に基づいて、前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容するか否かを判定する、
部品判定方法。
【請求項10】
前記基板の種類および個体の別の少なくとも一方を特定する基板情報を取得し、
前記第1部品の部品種に適合する複数の前記第1固有情報のうち装着された前記第1部品の特定の前記第1固有情報を取得し、さらに前記基板情報に対応付けて記憶し、
前記第2部品の部品種に適合する複数の前記第2固有情報のうち準備された前記第2部品の特定の前記第2固有情報を取得し、
特定の前記第1固有情報と特定の前記第2固有情報が一致した場合に、前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容する、
請求項8または9に記載の部品判定方法。
【請求項11】
前記第1部品および前記第2部品は、互いに同じ部品種であるという特別な前記対応関係を有し、
前記第1固有情報および前記第2固有情報は、複数の部品を保持した保持媒体を識別する媒体識別番号、複数の前記保持媒体を梱包したロットを識別するロット番号、および前記部品のメーカのいずれかである、
請求項8〜10のいずれか一項に記載の部品判定方法。
【請求項12】
前記第1固有情報と前記第2固有情報の許容される組合せを予め記憶し、
取得された前記第1固有情報と取得された前記第2固有情報の組合せが記憶されている場合に、前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容する、
請求項8または9に記載の部品判定方法。
【請求項13】
前記第1部品および前記第2部品は、前記基板に形成される電子回路の特定部分を構成するために組み合わせられて使用されるという特別な前記対応関係を有し、
前記第1固有情報および前記第2固有情報は、部品の個体を識別する個体識別番号、複数の前記部品を保持した保持媒体を識別する媒体識別番号、複数の前記保持媒体を梱包したロットを識別するロット番号、および前記部品のメーカのいずれかである、
請求項12に記載の部品判定方法。
【請求項14】
前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容しない場合に、前記第2装着作業を禁止する、
請求項8〜13のいずれか一項に記載の部品判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、基板の表側面および裏側面に電子部品(以下、部品と称する)を装着して両面実装基板を生産する部品装着機に関し、より詳細には、表側面に装着される部品と、裏側面に装着される部品の組合せの可否判定に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線が施された基板に部品を実装するための諸作業(以下、対基板作業と称する)を実施して、回路基板を量産する技術が普及している。対基板作業を実施する対基板作業機として、はんだ印刷機、部品装着機、リフロー機、基板検査機などがある。これらの対基板作業機を連結して対基板作業ラインを構成することが一般的になっている。部品装着機は、一般的に、基板搬送装置、部品供給装置、および部品移載装置を備える。部品装着機が装着作業を実施する基板の一種に、表側面および裏側面に部品を実装する両面実装基板がある。両面実装基板に関する技術例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の部品装着方法は、基板の表側面に部品を装着した後、基板を反転させて裏側面に部品を装着することにより、表裏両面の回路パターンを一対とし表裏両面が同一である両面実装基板を生産する。これによれば、基板種切り替え作業における段取り替えロスや工程ロスを抑制でき、生産効率の向上が実現する、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−150295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、基板の表側面および裏側面に同じ種類の部品を装着する。同じ種類の部品は、一般的に互換部品とされる。二つの互換部品の属性を比較したとき、メーカが相違する場合、メーカが同じでもロットが相違する場合、ロットが同じでも複数の部品を保持した保持媒体が相違する場合、保持媒体まで同じ場合など、様々である。本明細書では、互換部品の中で相違し得る属性を表す情報を固有情報と称する。固有情報には、メーカの別、ロット番号、媒体識別番号、および個体識別番号などがある。
【0006】
特許文献1に示された表裏両面が同一の基板を生産する際に、表側面および裏側面に装着される部品の固有情報が一致していると、表裏両面の回路パターンの特性が揃って、基板の良好な品質が確保される。逆に、表側面および裏側面の部品の固有情報が相違していると、表裏両面の回路パターンの特性に差異が生じて、基板の品質が低下する。例えば、抵抗部品の抵抗値のばらつきは、同一ロット内で小さく、異なるロット間で大きくなるのが一般的である。このため、同一ロット内の抵抗部品を両面実装基板の表側面および裏側面に装着することで、基板の良好な品質を確保できる。
【0007】
また、表側面および裏側面にまたがって電子回路の特定部分が構成される両面実装基板もある。この両面実装基板では、特定部分を構成する表側面の部品の固有情報と、裏側面の部品の固有情報の組合せを管理しないと、特定部分の性能が低下して、基板の品質が低下する。
【0008】
特許文献1では、表側面および裏側面に装着される部品の固有情報を管理しておらず、基板の品質低下の懸念が生じる。また、人手によって部品の固有情報を管理することは、煩雑であり、誤りも発生しやすい。特に、近年では多品種少量生産化の傾向が進んでおり、固有情報の管理に多くの手間が必要となる。
【0009】
本明細書では、特別な対応関係を有する複数の部品を基板の表側面および裏側面に装着する場合に、複数の部品の固有情報の組合せを管理することによって、基板の良好な品質を確保する部品判定システム、および部品判定方法を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書は、第1装着作業によって基板の第1面に装着される第1部品と、第2装着作業によって前記基板の第2面に装着される第2部品とが特別な対応関係を有する場合に、前記第1部品と前記第2部品の組合せを許容するか否かを判定する部品判定システムであって、前記第1装着作業を実施する部品装着機に搬入される前記基板、および前記第2装着作業を実施する部品装着機に搬入される前記基板を対象として、当該の前記基板の種類および個体の別の少なくとも一方を特定する基板情報を取得する基板情報取得部と、前記第1装着作業が終了した前記第1部品の第1固有情報を取得する第1固有情報取得部と、前記第1装着作業が実施される前記基板の前記基板情報と、前記第1固有情報とを対応付けて記録する作業履歴記録部と、前記第2装着作業に先立って準備された前記第2部品の第2固有情報を取得する第2固有情報取得部と、前記第2装着作業が実施される前記基板の前記基板情報によって特定される前記基板ごとに、前記作業履歴記録部に記録された前記第1固有情報と、取得された前記第2固有情報とが対応するか否かに基づいて、前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容するか否かを判定する組合せ判定部と、を備える部品判定システムを開示する。
【0011】
また、本明細書は、第1装着作業によって基板の第1面に装着される第1部品と、第2装着作業によって前記基板の第2面に装着される第2部品とが特別な対応関係を有する場合に、前記第1部品と前記第2部品の組合せを許容するか否かを判定する部品判定方法であって、前記第1装着作業を実施する部品装着機に搬入される前記基板、および前記第2装着作業を実施する部品装着機に搬入される前記基板を対象として、当該の前記基板の種類および個体の別の少なくとも一方を特定する基板情報を取得し、前記第1装着作業が終了した前記第1部品の第1固有情報を取得し、前記第1装着作業が実施される前記基板の前記基板情報と、前記第1固有情報とを対応付けて記録し、前記第2装着作業に先立って準備された前記第2部品の第2固有情報を取得し、前記第2装着作業が実施される前記基板の前記基板情報によって特定される前記基板ごとに、記録された前記第1固有情報と、取得された前記第2固有情報とが対応するか否かに基づいて、前記第1部品と前記第2部品の前記組合せを許容するか否かを判定する、部品判定方法を開示する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書で開示する部品判定システムや部品判定方法では、基板の第1面に装着された第1部品の第1固有情報、および、基板の第2面に装着される第2部品の第2固有情報に基づいて、第1部品と第2部品の組合せを許容するか否かを判定する。第1面は、表側面および裏側面のうち実施済みの第1装着作業の対象を意味し、第2面は、表側面および裏側面のうちこれから実施される第2装着作業の対象を意味する。
【0013】
ここで、第1部品と第2部品とが特別な対応関係を有する場合に、第1固有情報と第2固有情報の組合せが適正でないと、基板の品質低下の懸念が生じる。これに対して、部品判定システムや部品判定方法では、第1固有情報と第2固有情報の組合せが適正であるか否かが判定され、適正である場合に第1部品と第2部品の組合せが許容される。換言すると、実施済みの第1装着作業の実施状況に合わせて、第2部品の適否が判定される。これにより、第2装着作業で適正な第2部品が装着されるので、基板の良好な品質が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の部品判定システムが組み込まれる部品装着機の主要部の斜視図である。
図2】互換部品の固有情報、およびその包含関係を説明する図である。
図3】第1実施形態の部品判定システムの機能構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態の部品判定システムの動作フローを示すフロー図である。
図5】第2実施形態の部品判定システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.部品装着機1の全体構成
第1実施形態の部品判定システム7について、図1図4を参考にして説明する。図1は、第1実施形態の部品判定システム7が組み込まれる部品装着機1の主要部の斜視図である。まず、部品装着機1の全体構成について説明する。図1の左上から右下に向かう方向が基板Kを搬送するX軸方向であり、右上から左下に向かう方向が部品装着機1の前後方向となるY軸方向である。部品装着機1は、基板搬送装置2、部品供給装置3、部品移載装置4、部品カメラ5、制御部6(図3参照)、および機台10などで構成されている。
【0016】
基板搬送装置2は、第1ガイドレール21および第2ガイドレール22、一対のコンベアベルト、ならびにクランプ装置などで構成される。第1ガイドレール21および第2ガイドレール22は、機台10の上部中央を横断してX軸方向に延在し、かつ互いに平行するように機台10に組み付けられる。第1ガイドレール21および第2ガイドレール22の直下に、互いに平行に配置された一対のコンベアベルトが並設される。一対のコンベアベルトは、コンベア搬送面に基板Kを戴置した状態で輪転して、基板Kを機台10の中央部に設定された装着実施位置に搬入および搬出する。また、機台10の中央部のコンベアベルトの下方にクランプ装置が設けられる。クランプ装置は、基板Kを複数の押し上げピンで押し上げて水平姿勢でクランプし、装着実施位置に位置決めする。
【0017】
部品供給装置3は、部品装着機1の前側に着脱可能に装備される。部品供給装置3は、デバイスパレット39および複数のフィーダ装置31などで構成される。デバイスパレット39は、薄い矩形箱状の部材である。デバイスパレット39の上面には、平行してY軸方向に延びる複数のスロットが刻設されている。複数のフィーダ装置31は、それぞれスロットに着脱可能に挿入されて取り付けられる。
【0018】
フィーダ装置31は、本体32と、本体32の前側に設けられた供給リール33と、本体32の後端上部に設けられた部品取り出し部34とを備える。供給リール33には、多数の部品が所定ピッチで封入されたキャリアテープが巻回保持される。このキャリアテープが所定ピッチで送り出されると、部品は、封入状態を解除されて部品取り出し部34に順次送り込まれる。各フィーダ装置31は、装置個体を特定する装置コード、および、供給する部品の種類(部品種)を特定する部品種コードを記憶している。フィーダ装置31は、デバイスパレット39に取り付けられると、装置コードおよび部品種コードを制御部6に送信する。
【0019】
また、フィーダ装置31は、部品種コードのみを記憶して、制御部6に送信してもよい。さらに、フィーダ装置31は、装置コードのみを記憶して、制御部6に送信する方式としてもよい。この方式では、フィーダ装置31の装置コードと部品種との対応関係を表す組合せ情報が予め登録される。装置コードを受け取った制御部6またはホストコンピュータ8(後述)は、装置コードを組合せ情報と照合して、フィーダ装置31から供給される部品の部品種を認識する。
【0020】
部品移載装置4は、一対のY軸レール41、Y軸移動台42、Y軸モータ43、X軸移動台44、X軸モータ45、装着ヘッド46、ロータリツール47、およびZ軸モータ48などで構成される。一対のY軸レール41は、機台10の後部から前部の部品供給装置3の上方にかけて配設される。Y軸移動台42は、一対のY軸レール41に装荷されている。Y軸移動台42は、Y軸モータ43からボールねじ機構を介して駆動され、Y軸方向に移動する。X軸移動台44は、Y軸移動台42に装荷されている。X軸移動台44は、X軸モータ45からボールねじ機構を介して駆動され、X軸方向に移動する。
【0021】
装着ヘッド46は、X軸移動台44の前側に配設されている。装着ヘッド46は、ロータリツール47を下側に有する。図1には省略されているが、ロータリツール47の下側に、複数本の吸着ノズルが環状に配置されている。複数本の吸着ノズルは、ロータリツール47の下側で回転されて、1本が選択される。選択された吸着ノズルは、Z軸モータ48に駆動されて昇降する。また、吸着ノズルは、負圧の供給によって部品を吸着し、正圧の供給によって部品を基板Kに装着する。これに限定されず装着ヘッド46は、部品を挟持する挟持式装着具を有してもよい。
【0022】
部品移載装置4は、吸着装着サイクルを繰り返すことによって、装着作業を進める。吸着装着サイクルについて詳述すると、部品移載装置4の装着ヘッド46は、部品供給装置3に移動して複数本の吸着ノズルでそれぞれ部品を吸着する。次に、装着ヘッド46が部品カメラ5に移動すると、複数の部品の吸着状態が撮像される。その次に、装着ヘッド46は、基板Kに移動して複数の部品を装着し、再び部品供給装置3に戻る。
【0023】
部品カメラ5は、基板搬送装置2と部品供給装置3との間の機台10の上面に、上向きに設けられている。部品カメラ5は、装着ヘッド46の複数本の吸着ノズルが部品取り出し部34で部品を吸着して基板Kに移動する途中の状態を撮影する。これにより、部品カメラ5は、複数本の吸着ノズルにそれぞれ保持された部品を一括して撮像できる。取得された撮像データは画像処理されて、部品の吸着状態が確認される。部品の吸着位置や回転角のずれ、リードの曲がりなどが確認されると、必要に応じて装着動作が微調整される。また、装着が困難な部品は、廃棄される。
【0024】
制御部6は、次に生産する基板Kの基板種に対応するジョブデータを、後述するホストコンピュータ8から取得する。制御部6は、取得したジョブデータに基づき、基板搬送装置2、部品供給装置3、部品移載装置4、および部品カメラ5に各種の指令を送信して、装着作業の実施を制御する。また、制御部6は、これらの装置から動作状況などに関する情報を受信する。
【0025】
ジョブデータは、装着作業の詳細な手順や方法を記述したデータである。ジョブデータは、基板Kの種類(基板種)を特定する基板種コード部の情報が付与されており、実際の基板Kに対応付けられる。ジョブデータは、複数の部品の装着順序や、各部品の供給位置を表すデバイスパレット39のスロット番号、装着作業に用いる吸着ノズルの種類、装着ヘッド46の動作制御方法などのデータを含む。
【0026】
以降の説明では、基板Kは、両面実装基板であるとする。部品装着機1は、基板Kの表側面および裏側面に対してそれぞれ装着作業を実施する。表側面および裏側面の作業順序は、どちらが先であってもよい。先行して実施する第1装着作業の対象であって、表側面および裏側面の一方を第1面と称する。また、後から実施する第2装着作業の対象であって、表側面および裏側面の他方を第2面と称する。
【0027】
基板Kには、基板コードが付設されている。基板コードは、基板種を特定する基板種コード部、および基板Kの個体の別を特定する個体コード部を含む。基板コードは、バーコードや文字列とされ、印刷やラベルの貼り付けなどによって付設される。基板Kの表側面および裏側面は、基板コードによって区別されるようになっている。例えば、表側面および裏側面の一方のみに基板コードが付設されたり、表側面および裏側面に相違する基板コードが付設されたりする。
【0028】
2.互換部品の固有情報
次に、互換部品の固有情報について説明する。部品判定システム7は、第1装着作業によって基板Kの第1面に装着される第1部品と、第2装着作業によって基板Kの第2面に装着される第2部品とが特別な対応関係を有する場合に機能する。第1実施形態において、第1部品および第2部品は、互いに同じ部品種であるという特別な対応関係を有する。同じ部品種の部品は、一般的に互換部品とされる。図2は、互換部品の固有情報、およびその包含関係を説明する図である。
【0029】
部品の種類(部品種)は、規格に記載された電気的特性値、大きさおよび形状などによって定められる。例えば、抵抗値が1kΩで、縦寸法が0.4mm、横寸法が0.2mmの長方形というチップ抵抗の部品種が定められる。図2に例示されるように、このチップ抵抗は、Aメーカ、Bメーカ、およびCメーカで生産される。また、このチップ抵抗は、Aメーカから第1ロット、第2ロット、……とロット単位で調達される。各ロットには複数の保持媒体、すなわち複数の供給リール33が梱包されている。
【0030】
ロットには、メーカの別およびロット番号を識別するコードが付設される。供給リール33には、メーカの別、ロット番号、および媒体識別番号を識別するコードが付設される。メーカの別、ロット番号、および媒体識別番号は、固有情報である。多くの場合、互換部品には、複数の固有情報が適合する。逆に、固有情報が相違していても、互換部品は、規格上では同一の部品と見なされる。
【0031】
また、Dメーカのチップ抵抗は、規格上は同一であっても、別の部品種として運用される。つまり、Dメーカのチップ抵抗は、Aメーカ、Bメーカ、およびCメーカのチップ抵抗と互換でない。例えば、Aメーカ、Bメーカ、およびCメーカのチップ抵抗は、規格の許容公差内で互いに類似した抵抗値の温度依存特性を有する。これに対して、Dメーカのチップ抵抗は、許容公差内であっても特異な抵抗値の温度依存特性を有する。したがって、Dメーカのチップ抵抗は、Aメーカ、Bメーカ、およびCメーカのチップ抵抗と比較して有意差があると考えられ、別の部品種として運用される。
【0032】
デバイスパレット39に取り付けられたフィーダ装置31は、供給リール33に付設されたコードを認識して、部品種コード、および固有情報(メーカの別、ロット番号、および媒体識別番号)を取得する。さらに、フィーダ装置31は、装置コードおよび部品種コードと一緒に固有情報を制御部6に送信する。
【0033】
なお、フィーダ装置31は、前述したように部品種コードを送信し、一緒に固有情報を送信してもよい。また、フィーダ装置31は、前述したように装置コードを送信する方式としてもよい。この方式では、フィーダ装置31は、固有情報を取得しなくてよい。代わりに、フィーダ装置31の装置コードと、部品種および固有情報との対応関係を表す組合せ情報が予め登録される。装置コードを受け取った制御部6またはホストコンピュータ8(後述)は、装置コードを組合せ情報と照合して、フィーダ装置31から供給される部品の部品種および固有情報を認識する。
【0034】
なお、保持媒体には、複数の大形部品を収容したトレイや、半導体ウエハをダイシングして作成した複数のダイ部品を保持するダイシングシートもある。トレイやダイシングシートについても、複数のロットや複数のメーカが考えられる。第1部品および第2部品がトレイまたはダイシングシートから供給される場合でも、部品判定システム7は、第1部品および第2部品の固有情報の組合せを管理する。
【0035】
3.第1実施形態の部品判定システム7の機能構成
第1実施形態の部品判定システム7の詳細な説明に移る。表側面のみに部品を実装する片面実装基板の装着作業において、ジョブデータにより部品種が指定され、適合する固有情報までは指定されない。それでも、部品判定システム7は、基板Kが両面実装基板であるときに、互いに同じ部品種である第1部品および第2部品の固有情報の組合せを管理する。
【0036】
図3は、第1実施形態の部品判定システム7の機能構成を示すブロック図である。部品判定システム7は、制御部6の制御機能によって大部分が構成される。さらに、ホストコンピュータ8の機能の一部も、部品判定システム7に含まれる。部品判定システム7は、上記した機能分担に限定されず、例えば、制御部6と別体のコンピュータ装置を用いて構成されてもよい。
【0037】
ホストコンピュータ8は、部品装着機1を含む対基板作業ラインの全体を管理する。ホストコンピュータ8は、ジョブデータベース81および作業履歴データベース82にアクセス可能となっている。ジョブデータベース81には、各基板種のジョブデータが記憶されている。作業履歴データベース82には、対基板作業ラインで実施された対基板作業の作業履歴が転送され、記録される。
【0038】
図3に示されるように、部品判定システム7は、基板情報取得部70、第1固有情報取得部71、第2固有情報取得部72、組合せ判定部73、および装着禁止部74などで構成されている。基板情報取得部70は、これから搬入する基板Kの基板コードを取得する。基板情報取得部70として、図略の基板情報通信部や基板情報撮影カメラを例示できる。基板情報通信部は、上流側装置79から基板Kの基板コードを受信する。基板情報撮影カメラは、基板搬送装置2の搬入端に配置され、基板Kに付設された基板コードを撮影する。
【0039】
第1固有情報取得部71は、第1装着作業が終了した第1部品の第1固有情報を取得する。詳細には、第1固有情報取得部71は、第1部品の部品種に適合する複数の第1固有情報のうち装着された第1部品の特定の第1固有情報を取得する。つまり、第1装着作業が実施される以前の段階では、第1部品に適合する複数の第1固有情報の一つを特定することはできない。第1装着作業の実施によって、装着された第1部品の特定の第1固有情報が確定し、取得される。
【0040】
制御部6は、第1装着作業の実施を制御する際に、第1部品を供給するフィーダ装置31から直接的に固有情報を受信する。または、制御部6は、このフィーダ装置31から装置コードを受信して組合せ情報と照合することで間接的に固有情報を認識する。したがって、第1固有情報取得部71は、容易に特定の第1固有情報を取得できる。さらに、第1固有情報取得部71は、第1固有情報を基板コードに対応付けて、作業履歴とする。この作業履歴は、ホストコンピュータ8から作業履歴データベース82に転送され、記録される。
【0041】
第2固有情報取得部72は、第2装着作業に先立って準備された第2部品の第2固有情報を取得する。つまり、第2固有情報取得部72は、第2部品の部品種に適合する複数の第2固有情報のうち準備された第2部品の特定の第2固有情報を取得する。準備された第2部品とは、第2部品を供給するフィーダ装置31がデバイスパレット39に取り付けられたことを意味する。制御部6は、このフィーダ装置31から直接的に固有情報を受信する。または、制御部6は、このフィーダ装置31から装置コードを受信して組合せ情報と照合することで間接的に固有情報を認識する。したがって、第2固有情報取得部72は、容易に特定の第2固有情報を取得できる。
【0042】
組合せ判定部73は、基板コードによって特定される基板Kの個体ごとに判定を行う。詳述すると、組合せ判定部73は、取得された第1固有情報および取得された第2固有情報に基づいて、第1部品と第2部品の組合せを許容するか否かを判定する。つまり、組合せ判定部73は、第1固有情報取得部71によって取得された特定の第1固有情報と、第2固有情報取得部72によって取得された特定の第2固有情報が一致した場合に、第1部品と第2部品の組合せを許容する。装着禁止部74は、組合せ判定部73が第1部品と第2部品の組合せを許容しない場合に、第2装着作業を禁止する。
【0043】
4.第1実施形態の部品判定システム7の動作および作用
次に、第1実施形態の部品判定システム7の動作および作用について説明する。図4は、第1実施形態の部品判定システム7の動作フローを示すフロー図である。動作フローの初期状態において、部品供給装置3の複数のフィーダ装置31の段取り作業が終了し、基板Kが基板搬送装置2の搬入端に準備されているものとする。また、第1部品および第2部品の固有情報として、メーカの別を例示する。具体的に、第1部品および第2部品の互換部品としてAメーカ、Bメーカ、およびCメーカが適合し、Dメーカが適合しない場合を考える。
【0044】
図4のステップS1で、基板情報取得部70は、基板Kの基板コードを取得する。次のステップS2で、部品判定システム7は、取得した基板コードの基板種コード部に対応するジョブデータを、ジョブデータベース81からホストコンピュータ8を経由して取得する。次のステップS3で、部品判定システム7は、ジョブデータを参照して、第1部品および第2部品の固有情報を管理する管理対象に基板Kが該当するか否かを判定する。特許文献1のように表裏両面が同一でなくとも、両面実装基板であって表側面および裏側面に同じ部品種が装着される基板Kは、管理対象となる。
【0045】
部品判定システム7は、仮に基板Kが管理対象でない場合に動作フローの実行をステップS9に進め、基板Kが管理対象である場合に動作フローの実行をステップS4に進める。ステップS4で、部品判定システム7は、基板Kに対して実施された装着作業の作業履歴を、作業履歴データベース82からホストコンピュータ8を経由して取得する。
【0046】
次のステップS5で、部品判定システム7は、作業履歴を参照して、今回の装着作業が第1装着作業であるか否かを判定する。基板Kに関する作業履歴が無い場合には、今回が第1装着作業となる。基板Kに関する第1装着作業の作業履歴が有る場合には、今回が第2装着作業となる。なお、第1装着作業の作業履歴は、後述するステップS10で、作業履歴データベース82に記録される。
【0047】
今回が第1装着作業であるときのステップS6で、第1固有情報取得部71は、第1部品の第1固有情報を取得する。詳述すると、第1固有情報取得部71は、まず、第1部品に対応する特定スロット番号をジョブデータから取得する。第1固有情報取得部71は、次に、特定スロット番号の位置に配置されたフィーダ装置31から、直接的にまたは間接的に部品種コードおよび第1固有情報を取得する。次のステップS7で、部品判定システム7は、取得した第1固有情報が、第1部品に適合するものであるか否か判定する。
【0048】
仮に、第1固有情報がDメーカである場合、この第1固有情報は第1部品に適合しない。また、部品種コード自体が誤っている場合も皆無とは言えない。これらの場合、部品判定システム7は、動作フローの実行をステップS8に分岐させる。ステップS8で、部品判定システム7は、第1装着作業を禁止して、正しい第1部品に変更する変更作業を指示する。部品判定システム7は、例えば「第1部品は、適合するAメーカまたはBメーカまたはCメーカにして下さい。」と表示する。この表示を見た作業者は、特定スロット番号のフィーダ装置31を交換し、または、供給リール33を交換して対応する。一方、部品判定システム7は、表示後に、動作フローの実行をステップS6に戻す。
【0049】
ステップS7で、第1固有情報がAメーカ、Bメーカ、およびCメーカのいずれかである場合、この第1固有情報は第1部品に適合する。ここでは、第1固有情報がBメーカであるとする。適合した場合、部品判定システム7は、動作フローの実行をステップS9に進める。ステップS9で、部品判定システム7は、基板Kの搬入を許可する。これにより、制御部6は、基板Kの搬入および位置決めを実施する。
【0050】
次のステップS10で、制御部6は、第1部品の第1装着作業を実施する。さらに、制御部6は、第1面の他の部品の装着作業を実施する。装着作業が終了すると、第1固有情報取得部71は、装着された第1部品のBメーカという第1固有情報と、基板Kの基板コードとを対応付けて第1装着作業の作業履歴とする。この作業履歴は、作業履歴データベース82に転送され、記録される。次のステップS11で、制御部6は基板Kを搬出し、第1装着作業に関する動作フローが終了する。
【0051】
また、ステップS5で今回が第2装着作業であるとき、部品判定システム7は、動作フローの実行をステップS16に分岐させる。ステップS16で、第2固有情報取得部72は、第2部品の第2固有情報を取得する。詳述すると、第2固有情報取得部72は、まず、第2部品に対応する特定スロット番号をジョブデータから取得する。第2固有情報取得部72は、次に、特定スロット番号の位置に配置されたフィーダ装置31から、直接的にまたは間接的に部品種コードおよび第2固有情報を取得する。次のステップS17で、組合せ判定部73は、基板コードによって特定される基板Kごとに、取得した第2固有情報と、作業履歴に記録された第1固有情報とが一致するか否か判定する。
【0052】
ここで、前述したように、第1固有情報はBメーカである旨が作業履歴に記録されている。仮に、第2固有情報がAメーカやCメーカである場合、この第2固有情報は第2部品に適合しても、第1固有情報と一致しない。したがって、組合せ判定部73は、動作フローの実行をステップS18に分岐させる。
【0053】
ステップS18で、装着禁止部74は、第2装着作業を禁止して、正しい第2部品に変更する変更作業を指示する。装着禁止部74は、例えば「第2部品は、第1部品と同じBメーカにして下さい。」と表示する。この表示を見た作業者は、特定スロット番号のフィーダ装置31を交換し、または、供給リール33を交換して対応する。一方、装着禁止部74は、表示後に、動作フローの実行をステップS16に戻す。
【0054】
ステップS17で、第2固有情報がBメーカである場合、この第2固有情報は第1固有情報と一致する。したがって、組合せ判定部73は、動作フローの実行をステップS9に合流させる。ステップS9で、部品判定システム7は、基板Kの搬入を許可する。これにより、制御部6は、基板Kの搬入および位置決めを実施する。
【0055】
次のステップS10で、制御部6は、第2部品の第2装着作業を実施する。さらに、制御部6は、第2面の他の部品の装着作業を実施する。装着作業が終了すると、第2固有情報取得部72は、第2部品のBメーカという固有情報と、基板Kの基板コードとを対応付けて、第2装着作業の作業履歴とする。この作業履歴は、作業履歴データベース82に転送され、記録される。第1装着作業および第2装着作業の作業履歴が記録されることで、後々の追跡調査の便宜が図られる。換言すると、トレーサビリティ機能が高められる。次のステップS11で、制御部6は基板Kを搬出し、第2装着作業に関する動作フローが終了する。
【0056】
第1実施形態において、基板Kの第1面の第1部品および第2面の第2部品は、互いに同じ部品種であるという特別な対応関係を有する。これに対して、部品判定システム7は、第1部品および第2部品の固有情報であるメーカの別を自動的に一致させる。つまり、第1装着作業で装着した第1部品の第1固有情報(Bメーカ)に合わせて、これから装着する第2部品の第2固有情報(Bメーカ)を限定する。
【0057】
一般的に、基板Kの表側面および裏側面には、1つの大きな電子回路が構成され、または、相互に関連する別々の電子回路が構成される。つまり、第1部品と第2部品は、電子回路の特性上で関連し合っている。したがって、第1部品および第2部品の固有情報を一致させることで、電子回路の特性が良好となり、基板Kの良好な品質が確保される。
【0058】
5.第2実施形態の部品判定システム7A
次に、第2実施形態の部品判定システム7Aについて、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実施形態の部品判定システム7Aは、第一部品装着機11および第二部品装着機12にまたがって構成される。図5は、第2実施形態の部品判定システム7Aの機能構成を示すブロック図である。ホストコンピュータ8、ジョブデータベース81、および作業履歴データベース82は、第一部品装着機11および第二部品装着機12に共通となっている。
【0059】
図5に示されるように、第一部品装着機11の制御部6には、部品判定システム7Aを構成する基板情報取得部70、第1固有情報取得部71、第2固有情報取得部72、組合せ判定部73、および装着禁止部74が設けられる。同様に、第二部品装着機12の制御部6にも、部品判定システム7Aを構成する基板情報取得部70、第1固有情報取得部71、第2固有情報取得部72、組合せ判定部73、および装着禁止部74が設けられる。第2実施形態の部品判定システム7Aによれば、第1装着作業を実施する部品装着機と、第2装着作業を実施する部品装着機が異なっていても、第1実施形態と同様の動作および作用が可能になる。
【0060】
さらに、第2実施形態の部品判定システム7Aは、基板に形成される電子回路の特定部分が第1部品および第2部品の組合せによって構成される場合にも機能する。例えば、第1部品が水晶発振器、第2部品が調整用抵抗の場合を考える。調整用抵抗の抵抗値は、水晶発振器から出力される発振周波数の微妙な調整を可能としている。この場合、水晶発振器の第1固有情報と調整用抵抗の第2固有情報の組合せを管理することで、発振周波数のばらつきを低減する効果が期待できる。第1固有情報と第2固有情報の組合せを管理することで、電子回路の特性を良好にできる回路構成例は、他にも多数ある。
【0061】
電子回路の特性を良好にする効果を実現するため、ホストコンピュータ8に組合せ記憶部83が設けられる。組合せ記憶部83は、部品判定システム7Aの一部である。組合せ記憶部83は、第1固有情報と第2固有情報の許容される組合せを、予めメモリ84に記憶する。メモリ84は、組合せ記憶部83の一部である。以降では、第1部品および第2部品の固有情報として、ロット番号を例示する。
【0062】
許容される組合せは、例えば、予備的な組合せ相性試験によって見つけられる。組合せ相性試験では、第1部品および第2部品の各ロットから抜き取ったサンプル部品を組み合わせて仮の電子回路を形成する。そして、仮の電子回路の特性を測定して、相性の良否を判定する。その結果、良好な相性の得られたロットの組合せが許容され、組合せ記憶部83によって記憶される。図5の例で、第1部品の第11ロット番号L11と第2部品の第22ロット番号L22の組合せ、および、第1部品の第12ロット番号L12と第2部品の第23ロット番号L23の組合せがメモリ84に記憶されている。
【0063】
記憶された組合せを用いて第1部品と第2部品の組合せを判定する場合に、部品判定システム7Aは、図4に類似した動作フローを実行する。ただし、実際に動作するのは、基板の搬入が準備された部品装着機(11、12)の基板情報取得部70、第1固有情報取得部71、第2固有情報取得部72、組合せ判定部73、および装着禁止部74である。さらに、ステップS7、ステップS17などの動作内容が変更される。
【0064】
ステップS7で、第1固有情報取得部71は、ステップS6で取得した第1部品のロット番号が、組合せ記憶部83に記憶されているか否か判定する。すなわち、第1固有情報取得部71は、第1部品のロット番号が、第11ロット番号L11または第12ロット番号L12のどちらかに一致するか否か判定する。ここでは、第1部品のロット番号が第11ロット番号L11に一致したものとする。第1固有情報取得部71は、動作フローの実行をステップS9に進めて、基板の搬入を許可する。次のステップS10で、第11ロット番号L11の第1部品が装着されたという作業履歴が記録される。
【0065】
ステップS17で、組合せ判定部73は、基板コードによって特定される基板ごとに、ステップS16で取得した第2部品のロット番号と、作業履歴に記録された第1部品の第11ロット番号L11の組合せを、組合せ記憶部83の記憶内容と照合する。例えば、第2部品のロット番号が第21ロット番号L21である場合、第11ロット番号L11と第21ロット番号L21の組合せは記憶されていない。このような照合不一致の場合、組合せ判定部73は、動作フローの実行をステップS18に分岐させる。
【0066】
また例えば、第2部品のロット番号が第22ロット番号L22である場合、第11ロット番号L11と第22ロット番号L22の組合せは記憶されている。このような照合一致の場合、組合せ判定部73は、動作フローの実行をステップS9に合流させる。次のステップS10で、第2装着作業が実施され、第22ロット番号L22の第2部品が第2面に装着される。以上説明したように、第1部品および第2部品の固有情報の組合せは、組合せ記憶部83によって記憶された組合せに限定される。
【0067】
第2実施形態において、第1部品および第2部品は、基板に形成される電子回路の特定部分を構成するために組み合わせられて使用されるという特別な対応関係を有する。これに対して、部品判定システム7Aは、電子回路の特性を良好とする第1固有情報と第2固有情報の組合せを予め記憶する。そして、部品判定システム7Aは、装着された第1部品の第1固有情報と、これから装着する第2部品の第2固有情報の組合せを、記憶された組合せの範囲内に限定する。したがって、電子回路の特性が良好となり、基板の良好な品質が確保される。
【0068】
6.実施形態の応用および変形
なお、第1実施形態においてメーカの別を固有情報とし、第2実施形態においてロット番号を固有情報としたが、これらに限定されない。例えば、第1実施形態では、ロット番号や媒体識別番号を固有情報として、第1部品および第2部品のロットや供給リール33を一致させることができる。また例えば、第2実施形態では、個体識別番号を固有情報とし、予備的な全数組合せ相性試験で第1部品および第2部品の良好な組合せを見つけて組合せ記憶部83に記憶させてもよい。また、第1実施形態の部品判定システム7に組合せ記憶部83を付加して、第2実施形態と同様の動作を行わせることもできる。さらに、第1および第2実施形態の部品判定システム(7、7A)は、部品判定方法として実施することができる。第1および第2実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1:部品装着機 11:第一部品装着機 12:第二部品装着機 2:基板搬送装置 3:部品供給装置 31:フィーダ装置 4:部品移載装置 5:部品カメラ 6:制御部 7、7A:部品判定システム 70:基板情報取得部 71:第1固有情報取得部 72:第2固有情報取得部 73:組合せ判定部 74:装着禁止部 8:ホストコンピュータ 81:ジョブデータベース 82:作業履歴データベース 83:組合せ記憶部 K:基板
図1
図2
図3
図4
図5