特許第6847417号(P6847417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847417
(24)【登録日】2021年3月5日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】削孔装置および削孔方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/08 20060101AFI20210315BHJP
   E21B 7/18 20060101ALI20210315BHJP
   B26F 3/00 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   E21B7/08
   E21B7/18
   B26F3/00 M
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-100916(P2017-100916)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2018-193832(P2018-193832A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510181909
【氏名又は名称】株式会社久野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】高倉 克彦
(72)【発明者】
【氏名】竹中 計行
(72)【発明者】
【氏名】久野 浩二
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 一広
【審査官】 東 芳隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06220372(US,B1)
【文献】 特開平04−041890(JP,A)
【文献】 米国特許第04658916(US,A)
【文献】 特開2004−169376(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0257606(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105358789(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 7/06−7/08、7/18、
B26F 3/00−3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り出し方向と異なる方向に削進するための削孔装置であって、
削孔部と、
屈曲可能な筒状部材であって、一端を前記削孔部に接続した、伝達部と、
を少なくとも具備し、
前記伝達部は、巻き方向を異にした態様で少なくとも二重に配置した複数のコイルスプリングからなり、
内側のコイルスプリングと外側のコイルスプリングとの隙間にワイヤーを配置してあり、
前記ワイヤーの一端は、前記削孔部に接続してあり、
前記ワイヤーの他端は、前記ワイヤーの張力を調整可能な張力調整治具に接続してあることを特徴とする、
削孔装置。
【請求項2】
内側のコイルスプリングの外表面、または外側のコイルスプリングの内表面に、各コイルスプリングの長手方向へと連続する収納溝を設け、
前記収納溝に前記ワイヤーを収納してあることを特徴とする、
請求項に記載の削孔装置。
【請求項3】
前記ワイヤーを、前記コイルスプリングの周方向に所定間隔を空けて複数設けてあることを特徴とする、
請求項またはに記載の削孔装置。
【請求項4】
コイルスプリング同士が弾性接着剤で接着されてあることを特徴とする、
請求項1乃至のうち何れか1項に記載の削孔装置。
【請求項5】
前記削孔部が、ウォータージェットを噴出するノズルを少なくとも備え、
最も内側のコイルスプリングの中空部分に、前記削孔部へと高圧水を送る高圧ホースを挿入してあることを特徴とする、
請求項1乃至のうち何れか1項に記載の削孔装置。
【請求項6】
送り出し方向と異なる方向に削進するための削孔方法であって、
送り出し方向から削孔方向へと折曲するコーナー部に、ガイド材を配置し、
請求項1乃至のうち何れか1項に記載の削孔装置を、前記伝達部が前記ガイド材によって屈曲した状態を維持したまま送り出すことによって、前記削孔部を前記削孔方向に進行させて削進を行うことを特徴とする、
削孔方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は削孔装置に関し、特に、送り出し方向と異なる方向に削進可能な削孔装置および該削孔装置を用いた削孔方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の削孔装置にかかる公知技術として以下の特許文献に記載の装置がある。
特許文献1には、ノズルを削孔方向に沿って進退可能な前進後退手段と、ノズルと前進後退手段を2方向に移動させる直交方向移動手段とを備えたウォータージェット削孔装置が開示されている。
また、特許文献2には、駆動モータと、駆動モータの先端に設けたノズルと、後端に設けた剛性ホースと、外方に設けた外筒と、を備えた削孔装置が開示されている。
【0003】
これらの削孔装置は、スライドベースや高圧ホースによって削孔部を被削孔体内に送り出して直線状に削進するもので、送り出し方向と削孔方向が同一である場合に限られている。
そこで、本願出願人は、構造物の内部で送り出し方向と異なる方向に折曲して削進可能な削孔装置(折曲進行式掘削装置)の開発に着手した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−28720号公報
【特許文献2】特許第2887270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この折曲進行式掘削装置の開発にあっては、如何に先端の削孔部の直進性を確保するかが重要な課題である。
【0006】
よって、本願発明は、送り出し方向と異なる方向に削進可能な削孔装置において、前進する削孔部の直進性を確保することが可能な手段の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、送り出し方向と異なる方向に削進するための削孔装置であって、削孔部と、屈曲可能な筒状部材であって、一端を前記削孔部に接続した、伝達部と、を少なくとも具備し、前記伝達部は、巻き方向を異にした態様で少なくとも二重に配置した複数のコイルスプリングからなり、内側のコイルスプリングと外側のコイルスプリングとの隙間にワイヤーを配置してあり、前記ワイヤーの一端は、前記削孔部に接続してあり、前記ワイヤーの他端は、前記ワイヤーの張力を調整可能な張力調整治具に接続してあることを特徴とする。
また、本願の第発明は、前記第発明において、内側のコイルスプリングの外表面、または外側のコイルスプリングの内表面に、各コイルスプリングの長手方向へと連続する収納溝を設け、前記収納溝に前記ワイヤーを収納してあることを特徴とする。
また、本願の第発明は、前記第または第発明において、前記ワイヤーを、前記コイルスプリングの周方向に所定間隔を空けて複数設けてあることを特徴とする。
また、本願の第発明は、前記第1乃至第発明のうち何れかの発明において、コイルスプリング同士が弾性接着剤で接着されてあることを特徴とする。
また、本願の第発明は、前記第1乃至第発明のうち何れか1つの発明において、前記削孔部が、ウォータージェットを噴出するノズルを少なくとも備え、最も内側のコイルスプリングの中空部分に、前記削孔部へと高圧水を送る高圧ホースを挿入してあることを特徴とする。
また、本願の第発明は、送り出し方向と異なる方向に削進するための削孔方法であって、送り出し方向から削孔方向へと折曲するコーナー部に、ガイド材を配置し、前記第1乃至第発明のうち何れか1つに記載の削孔装置を、前記伝達部が前記ガイド材によって屈曲した状態を維持したまま送り出すことによって、前記削孔部を前記削孔方向に進行させて削進を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、以下の効果を奏する。
(1)削孔部の直線性を確保することができる。
削孔部の後端に接続される伝達部を、少なくとも二重に配置した複数のコイルスプリングで構成することで、伝達部の剛性を高めることができる。
よって、削孔部の直線性を確保し、削孔精度をより向上させることができる。
(2)伝達部の折曲状態から直線状態への復元が妨げられない。
隣り合うコイルスプリング同士の巻き方向を異にすることにより、一方のコイルスプリングを構成する鋼線の隙間に、他方のコイルスプリングを構成する鋼線が入り込むことが無く、折曲状態から直線状態への復元に支障が生じることがない。
(3)伝達部の剛性調整が可能となる。
複数のコイルスプリング間にワイヤーを配置することで、ワイヤーにテンション(張力)を掛けることにより、伝達部の剛性調整が可能となる。
(4)コイルスプリングの捩れ防止に寄与する。
コイルスプリング同士を弾性接着剤によって接着することで両者の一体性を高めるとともに、各コイルプリングの捩れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る削孔装置の使用状態を示す概略図。
図2】実施例1に係る削孔装置の構成を示す概略図。
図3】実施例2に係る削孔装置の構成を示す概略図。
図4】実施例3に係る削孔装置の伝達部の構造を示す概略斜視図。
図5】実施例3に係る削孔装置の伝達部の構造を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
<1>全体構成
図1は、本実施例に係る削孔装置の使用状態を示す概略図であり、図2は、当該削孔装置の構成を示す概略図である。
本実施例に係る削孔装置Aは、被削孔体Xの削孔を行うための装置であり、先端に設けた削孔部10と、削孔部10の後端に接続する伝達部20とを少なくとも有する。
そして、図1に示すように、送出部30を介して伝達部20を送り出し方向D1に送り出すことで、送り出し方向D1と異なる方向である、削孔方向D2に向かって削孔部10を進行させることで被削孔体Xを削進可能に構成する。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0012】
<2>削孔部
削孔部10は、削孔機能を備えた部材である。
本実施例では、図2に示すように、削孔部10を、ヘッド11と、ヘッド11を回転可能に接続するスイベル12と、を少なくとも備えた、いわゆるウォータージェット式の削孔機構を採用している。
よって、削孔部10の後端にはヘッド11へと高圧水を供給可能な高圧ホースBを接続している。
【0013】
<2.1>ヘッド
ヘッド11は、回転しながら高圧水を噴出することで被削孔体Xの削孔を行うための部材である。
ヘッド11は、先端に噴出孔111を有するとともにヘッド11の前後方向を回転軸として回転可能に構成し、ヘッド11を回転させながら高圧ホースBを介してポンプ(図示せず)から供給された高圧水を、前記噴出孔111から噴出することで、被削孔体Xの削孔を行うことができる。
【0014】
[ヘッド外周面の態様]
図1,2には図示しないが、ヘッド11の外周面には、ヘッド11の後方に向かって高圧水を噴出することで、破砕屑をヘッド11の後方へ排除するための排出促進用の噴出孔や、ヘッド11の側方に向かって高圧水を噴出することで、ヘッド11そのものに回転力を与える自回転用の噴出孔や、これらの機能を兼用した噴出孔を別途設けておいても良い。
【0015】
<3>伝達部
伝達部20は、送り出しによる力を削孔部10へ伝達するための部材である。
伝達部20は、送り出し方向D1と削孔方向D2が異なる状態であっても、送り出しによる力を削孔部10へ伝達可能な剛性を備えるものとする。
図2(a)に示すように、本実施例では、二重に配置してなる内側コイルスプリング21および外側コイルスプリング22でもって伝達部20を構成している。そして、内側コイルスプリング21の内部には、高圧ホースBを収容している。
【0016】
<3.1>コイルスプリング
内側コイルスプリング21および外側コイルスプリング22に用いるコイルスプリングは、コイル状に巻いてある鋼線が密着した状態で筒状を形成してある弾性部材である。
コイルスプリングは自然状態において直線状を呈し、一定の曲げ応力を与えることで長手方向に対して屈曲でき、曲げ応力を解除すれば、再び直線状に復元する性質を有する。
したがって、各コイルスプリングで構成した伝達部20は、該伝達部20に収容した可撓性を備えた高圧ホースBとともに、任意の部分で屈曲して、屈曲部20aを形成することができる。
【0017】
<3.2>巻き方向を異にした理由
伝達部20の剛性を高めるべく、伝達部20を構成するコイルスプリングの数を増やす場合、単に巻き方向が同じコイルスプリングを二重に配置してしまうと、屈曲部20aにおいて、一方のコイルスプリングを構成する鋼線が他方のコイルスプリングを構成する鋼線間に生じる隙間に入り込んでしまい、その後のコイルスプリングの復元動作に支障が生じることが考えられる。
そこで、本発明では、図2(b)に示すように、内側コイルスプリング21と外側コイルスプリング22との間で巻き方向を異にした態様とした。
本態様によって、伝達部20の屈曲部20aでは、各コイルスプリングを構成する鋼線間に生じる隙間同士がクロスする形となるため、互いに鋼線が隙間に入り込むことは無い。よって、折曲に伴う各コイルスプリングの位置のズレを抑え、コイルスプリングの復元動作に支障も生じず、両者を整然に近接配置することができる。
【0018】
<3.3>弾性接着剤の塗布
その他、本発明では、内側コイルスプリング21および外側コイルスプリング22との間を弾性接着剤(図示せず)で接着してもよい。
弾性接着剤には、シリコンシーラントなど、弾性を有する公知の接着剤を用いればよい。
弾性接着剤で、内側コイルスプリング21および外側コイルスプリング22を接着することで、両者の一体性はより高まり、各コイルスプリングの捩れを抑制することもできる。
【0019】
<3.4>変形例(コイルスプリングの数)
なお、本実施例では、伝達部20を構成するコイルスプリングの数を2つとしているが、3つ以上のコイルプリングを用いてもよい。このとき、隣り合うコイルスプリング同士の巻き方向を異にしておくことに変わりはない。
【0020】
<4>その他の部材
図1に示すように、本実施例では、掘削装置Aの他に、さらに掘削装置Aを送り出しに用いる送出部30と、送り出し方向D1と削孔方向D2とのコーナー部D3に配置するガイド材40とを設けている。
以下、各部材の詳細について説明する。
【0021】
<4.1>送出部
送出部30は、伝達部20を介して削孔部10を送り出すための部材である。
本実施例では、送出部30として、被削孔体Xの壁面に反力を取りつつ、伝達部20を把持して送り出し方向D1にスライド可能な構造を採用する。
送出部30によって送り出し方向D1に送り出された伝達部20は、屈曲部20aで屈曲し、削孔方向D2へと押し出される。
なお、本発明において、送出部30を介した伝達部20の送り出し作業は機械に限らず、人力で行っても良い。
【0022】
<4.2>ガイド材
ガイド材40は、送り出し方向D1と削孔方向D2のコーナー部分に位置する伝達部20を屈曲した状態で保持するための部材である。
本実施例では、ガイド材40として伝達部20の外径に対応したエルボ管を用いている。その他には、ガイド材40を、例えば伝達部20を所定方向に案内するようにRを付けた鋼板などで構成してもよい。
なお、本発明において、ガイド材40は必須の構成要素ではないため、伝達部20の屈曲動作を、被削孔体Aの内壁を利用して行ってもよい。
【0023】
<5>使用方法
再度、図1を参照しながら、本発明に係る削孔装置の使用方法について説明する。
図1では、RC構造物である被削孔体Xにおいて、壁面に対して直角方向に設けたコア孔H1の先端部分から、壁面に対して平行方向に平行孔H2を削孔する作業を想定している。
【0024】
<5.1>ガイド材の配置・送出部の固定
まず、被削孔体X内の送り出し方向D1から削孔方向D2へと折曲するコーナー部D3の出口側に、ヘッド11およびスイベル12を収容できるスペースを削孔等によって確保する。そして、このスペースにヘッド11とスイベル12を先端に配置した伝達部20を挿通させた状態のガイド材40を配置する。
ガイド材40の配置時または配置後、送出部30に連結した接続管41の先端にガイド材40を螺着する。この接続管41をコア孔H1内に差し入れて、ガイド材40の先端側の開口が平行孔H2の削孔方向D1を向くように位置合わせする。
その後、被削孔体Xの外壁面に送出部30をボルトなどで固定することで、ガイド材40とともに送出部30を位置決めする。
【0025】
<5.2>伝達部の送り出し
次に、送出部30でもって伝達部20を把持し、伝達部20を送り出し方向D1(コア孔H1の先端方向)へ送り出す。
伝達部20は、ガイド材40内で、ガイド材40の内部形状に合わせて弾性変形し、ガイド材40の先端から、平行孔H2の削孔方向D2へ直線状に突出する。
伝達部20の送り出しに伴い、スイベル12の後端は前方に押し出されて削孔部10を前進させる。
【0026】
<5.3>平行孔の削孔
その後、削孔部10のウォータージェットを稼働させ、削孔部10から高圧水を噴出させながら、所定の削進速度で伝達部20を送り出し方向D1へ押し込んで行く。
この押し込み作業により、被削孔体Xの内部が削孔部10によって削孔方向D2に向かって直線状に削進してゆく。
このとき、コーナー部から掘進方向に露出する伝達部の長さが長くなってきたとしても、伝達部20は十分な剛性を備えているため、削孔部10が通路内で傾斜しにくくなる。
【0027】
<5.4>屈曲角度について
本実施例では、削孔方向D1と送り出し方向D2との間の角度(屈曲角度)θを90°としているが、本発明では屈曲角度が本実施例に限定されるものではない。削孔装置1の用途に応じて屈曲角度θを(0°<θ<180°)の範囲で任意に設定することができる。
【0028】
<5.5>屈曲場所について
本実施例では、被削孔体Xの内部に伝達部20の屈曲部20aが位置する状況を想定しているが、本発明は、被削孔体Xの外部に伝達部20の屈曲部20aが位置するように使用してもよい。この場合、被削孔体Xの周囲空間が狭小で、削孔装置の取り回しに制限が生じる現場などにおいて好適である。
【実施例2】
【0029】
次に、本発明に係る削孔装置の実施例2について説明する。
図3は、本実施例に係る削孔装置の構成を示す概略図である。
本実施例に係る削孔装置Aは、図3に示すように、伝達部20を構成する内側コイルスプリング21と外側コイルスプリング22との間の隙間にワイヤー23を収納した構成を呈している。
ワイヤー23は、各コイルスプリングの周方向に間隔を設けて複数本を配置する態様が望ましい。
ワイヤー23の一端は、削孔部10のスイベル12と接続している。
そして、ワイヤー23の後端は、削孔装置Aを構成する伝達部20の後端と接続する管材50を通って、該管材50の後端に設けた張力調整具60と接続している。
この張力調整具60でもってワイヤー23にかける張力(テンション)を調整することで、伝達部20の剛性を高めたりすることができる。
【実施例3】
【0030】
次に、本発明に係る削孔装置の実施例3について説明する。
図4,5は、本実施例に係る削孔装置の伝達部の構造を示す概略斜視図および概略断面図である。
本実施例に係る削孔装置Aは、図4に示すように、伝達部20を構成する内側コイルスプリング21を構成する鋼線の外表面に長手方向に続く収納溝211を設け、この収納溝211にワイヤー23を収納した構成を呈している。
図5に示すように、内側コイルスプリング21に設けた収納溝211でもって、内側コイルスプリング21と外側コイルスプリング22との間には、伝達部20の長手方向に連通する空間(連通空間24)が形成されることになる。
この連通空間24の中にワイヤー23が収まることで、ワイヤー23が内側コイルスプリング21や外側コイルスプリング22と干渉しにくくなり、ワイヤー23所定のテンションをかける作業が容易となる。
【0031】
なお、収納溝は、内側コイルスプリング21ではなく、外側コイルスプリング22の内表面側に設けてもよいし、内側コイルスプリング21および外側コイルスプリング22の両方に設けても良い。
【実施例4】
【0032】
実施例1〜3では、削孔装置Aにウォータージェット機構を採用したが、本発明による削孔機構はこれに限らずあらゆる削孔機構を採用することができる。
例えば、削孔部10に電動ハンマードリルや振動ドリルなどの、電気ドリル機構を採用することができる。この場合、削孔部10にはビット部とモータを含み、伝達部20の内部には送電コードが通ることとなる。
また、回転する掘削ビットによる回転掘削機構や、ロータリー削孔機構、エア式のハンマードリルなどの各種公知技術を採用できる。
【符号の説明】
【0033】
A 削孔装置
10 削孔部
11 ヘッド
111 噴出孔
12 スイベル
20 伝達部
20a 屈曲部
21 内側コイルスプリング
211 収納溝
22 外側コイルスプリング
23 ワイヤー
24 連通空間
30 送出部
40 ガイド材
41 接続管
50 管材
60 張力調整具
B 高圧ホース
図1
図2
図3
図4
図5