(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鍵モデルを固定するための第1の固定具と鍵素材を固定するための第2の固定具とが上面の定位置に取り付けられるテーブルと、前記第1の固定具に固定された前記鍵モデルの鍵山を倣うための倣い具と、前記第2の固定具に固定された前記鍵素材に前記倣い具により倣った前記鍵モデルの鍵山と一致する鍵山を切削するための切削具とを備えた合い鍵切削機において、
前記の第1、第2の各固定具は、
前記テーブルの上面に取り付けられる基台と、
前記基台上に立設される支持軸と、
前記基台上の前記支持軸の周りに回動自由に支持される上下一対の挟持板を有し、前記の各挟持板は、周縁部の少なくとも二箇所の位置に前記鍵素材及び前記鍵モデルを挟持するための形態が異なる挟持部が設けられるとともに、前記各挟持板には前記支持軸が通る貫通孔が設けられるチャック機構と、
前記チャック機構の上側の挟持板の上面より突出する前記支持軸の上端部にネジ込まれる操作具を有し、前記操作具は下部に上側の前記挟持板の上面を押す押圧面を備える締め付け機構と、
前記チャック機構の一方の前記挟持板の前記支持軸を挟む対称位置に上下方向に設けられる2本のガイド軸と、他方の前記挟持板の前記支持軸を挟む対称位置に上下方向に形成され、前記ガイド軸がそれぞれ摺動自由に挿入される2つのガイド孔とからなるガイド機構と、を備える合い鍵切削具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような合い鍵切削機による合い鍵の作製においては、鍵モデルA及び鍵素材Bを第1、第2の各固定具6、7の挟持板22、23の間にしっかりと固定する必要がある。
図13に示す合い鍵切削機では、上側の挟持板22の下面と下側の挟持板23の上面とにそれぞれ平坦面よりなる挟持部22a、23aを設け、各挟持部22a、23a間に鍵モデルA及び鍵素材Bの各ブレード100、110の未加工部分103、113を挟持することで位置決め固定を行っている。
【0008】
しかし、鍵モデルA及び鍵素材Bは、これらを供給するメーカーや鍵の種類により様々な形態が存在し、位置決め用の溝の本数や位置、形状、ブレードの板厚、幅、および長さが異なっている。このため、平坦面よりなる挟持部22a、23aでは、鍵モデルA及び鍵素材Bを固定具6、7に水平姿勢でしっかりと位置決め固定できない場合がある。例えば、鍵モデルA及び鍵素材Bの位置決め用の溝102、112が挟持部22a、23aの外周縁に位置した場合、外周縁が溝102、112に嵌り、鍵モデルA及び鍵素材Bが傾いて水平姿勢を保つことができない。また、鍵モデルA及び鍵素材Bの溝102、112がブレードの幅方向の一方側に寄った位置に設けられることで、未加工部分103、113の幅が狭い場合には、挟持部22a、23aで未加工部分103、113を挟持できない。
【0009】
本発明は、上記した課題に着目してなされたものであり、様々な鍵モデル及び鍵素材の固定に対応できる第1、第2の固定具を備えた合い鍵切削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による合い鍵切削機は、鍵モデルを固定するための第1の固定具と鍵素材を固定するための第2の固定具とが上面の定位置に取り付けられるテーブルと、前記第1の固定具に固定された前記鍵モデルの鍵山を倣うための倣い具と、前記第2の固定具に固定された前記鍵素材に前記倣い具により倣った前記鍵モデルの鍵山と一致する鍵山を切削するための切削具とを備えたものである。この合い鍵切削機において、前記の第1、第2の各固定具は、前記テーブルの上面に取り付けられる基台と、前記基台上に立設される支持軸と、前記基台上の前記支持軸の周りに回動自由に支持される上下一対の挟持板を有し、前記の各挟持板は、周縁部の少なくとも二箇所の位置に前記鍵素材及び前記鍵モデルを挟持するための形態が異なる挟持部が設けられるとともに、前記各挟持板には前記支持軸が通る貫通孔が設けられる、チャック機構と、前記チャック機構の上側の挟持板の上面より突出する前記支持軸の上端部にネジ込まれる操作具を有し、前記操作具は下端に上側の挟持板の上面を押す押圧面を備える締め付け機構とを備えている。
【0011】
切削作業前には、第1、第2の各固定具は、チャック機構の挟持部のいずれかを切削刃や倣い具と対向する所定の方向に向かせた後、挟持部で鍵素材や鍵モデルを挟み、締め付け機構により上下の挟持板間に締め付け力を作用させることにより、鍵素材や鍵モデルを固定する。
【0012】
挟持部の形態によっては鍵素材や鍵モデルを十分に挟持できない場合があり、この場合は、一対の挟持板を支持軸の周りに回動させ、他の異なる形態の挟持部を切削刃や倣い具と対向する方向に向かせた後、切削刃や倣い具の方向を向く挟持部に鍵素材や鍵モデルを挟持させて固定する。第1、第2の各固定具において、上下の挟持板には異なる形態の挟持部が少なくとも2箇所設けられているので、鍵モデル及び鍵素材の種類に応じて確実に鍵素材や鍵モデルを固定できる形態の挟持部を選択することで、様々な鍵モデル及び鍵素材をしっかりと固定具に固定することができる。
【0013】
好ましい実施形態においては、前記チャック機構の上下の各挟持板は、平面形状が同一かつ矩形状であり、周縁部の互いに平行な辺に第1、第2の各挟持部を備えている。
【0014】
上記の構成によれば、支持軸の周りに挟持板を180度回動させることで、切削刃や倣い具と対向する方向に向く挟持部を切り替えることができる。
【0015】
好ましい実施形態においては、前記チャック機構の上下の各支持板の間には、上側の挟持板を下側の挟持板から離れる方向へ付勢するバネが設けられている。
【0016】
この実施形態では、締め付け機構を緩めると、バネにより上側の挟持板が押し上げられて上下の挟持板が離れた状態に保たれるため、挟持板間に鍵素材や鍵モデルを挟持しやすくなる。
【0017】
好ましい実施形態では、前記チャック機構の一方の挟持板の上下方向に設けられるガイド軸と、他方の挟持板の上下方向に形成され前記ガイド軸が摺動自由に挿入されるガイド孔とからなるガイド機構と、前記基台の上面と下側の前記挟持板の下面との間に挿入され、前記各挟持部が所定の方向を向く位置に前記チャック機構を定位させる位置決め機構とを更に備えている。
【0018】
この実施形態によると、挟持板間に鍵素材や鍵モデルを挟持させることが容易となり、また、挟持部の向く方向を容易に定めることができる。
【0019】
好ましい実施形態においては、前記ガイド機構のガイド軸は下側の挟持板に設けられ、前記ガイド軸の下端部を前記挟持板の下面より突出させることにより形成された突部と、前記基台の上面に形成され前記突部が嵌まる凹部とで前記位置決め機構が形成されている。
【0020】
上記の構成によれば、ガイド軸の下端部を位置決め機構の突部に兼用しているので、部品点数が少なくてすむ。
【0021】
前記位置決め機構は、前記基台の上面の支持軸を挟んだ対称位置に設けられる2個の凹部と、下面の挟持板の支持軸を挟んだ対称位置に設けられる2個の突部とで構成されていてもよい。
【0022】
上記構成によれば、2個の突部と2個の凹部とが嵌合することで基台に対して挟持板を位置決めしているので、挟持板が基台に対して位置ずれしたり傾いたりするのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、鍵モデル及び鍵素材の種類や形状に応じて挟持部の形態を選択できるので、様々な鍵モデル及び鍵素材をしっかりと固定具に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、この発明の一実施形態である合い鍵切削機90の外観の斜視図、
図2は平面図を示す。図示例の合い鍵切削機90は、前壁部14と両方の側壁部12、13と後壁部22とから成る鋳物製の機台3を有し、この機台3の前壁部14に切削刃1が縦向きに回転可能に設けられている。切削刃1は、前壁部14の内部に組み込まれたモータ(図示せず)により回転駆動される。
【0026】
前記機台3の両側壁部12、13間には、切削刃1と直交する方向Pであって水平方向に支持台4を往復移動自由に支持するための2本の支持軸15、16と、ハンドル17の操作で軸回転するボールねじ18とがそれぞれ平行に架設されている。前記ボールねじ18は支持台4に組み込まれたナット(図示せず)と噛み合っており、ボールねじ18の軸回転により支持台4が切削刃1と直交する方向Pに往復動する。
【0027】
前記支持台4には、切削刃1に対して前後方向Qであって水平方向にテーブル5を往復移動自由に支持するための2本の支持軸19、20が平行に架設されるとともに、テーブル5を後方へ付勢する圧縮ばね21が装着されている。テーブル5は、前記圧縮ばね21のばね力により切削刃1から離れる方向へ押され、このばね力に抗してテーブル5を人手で押すことにより、テーブル5が切削刃1に向けて移動する。
【0028】
このテーブル5の上面の一側部には、切削刃1に対向させて鍵素材Bを位置決め固定するための第1の固定具6と、第1の固定具6の後方位置に後述する倣い具8に対向させて鍵モデルAを位置決め固定するための第2の固定具7とが設けられている。
【0029】
図3〜
図7に示すように、第1、第2の各固定具6、7は、鍵素材Bや鍵モデルAを板面が上下方向を向く水平姿勢で挟持するためのものであり、テーブル5の上面の定位置に取り付けられる基台40と、基台40上に立設される支持軸41と、基台40上の前記支持軸41の周りに回動自由に支持されるとともに、支持軸41に沿って上下方向に移動自由に支持される上下一対の挟持板42、43と、下側の挟持板43に対して上側の挟持板42の上下方向の移動をガイドする一対のガイド軸45、46と、一対の挟持板42、43間に締め付け力を作用させるための操作具47とからなる。操作具47は回動することにより、挟持板42、43間に挟持された鍵モデルAや鍵素材Bが締め付けられて固定される。
【0030】
基台40は、
図8に示すように、平面形状が矩形状であり、基台40の中心位置に支持軸41が縦設されている。また、基台40には、テーブル5に形成された2個の突軸5aに嵌合される2個の嵌合穴62、62が支持軸41を挟んで対称位置に上向きに形成されている。また、テーブル5に形成された2個のネジ穴(図示せず)に対応する位置であって支持軸41を挟んで対称位置に、2個のネジ挿通孔63、63が上下方向に形成されている。各ネジ挿通孔63、63にネジ64、64をそれぞれ挿入してテーブル5のネジ穴へネジ込むことで、基台40がテーブル5に固定される。さらに、基台40には、下側の挟持板43に設けられた突部66(後述)とともに位置決め機構93を構成する第1、第2の凹部65、65が、支持軸41を挟んで対称位置であって、前後方向Qと直交する方向Pに沿う位置に形成されている。第1、第2の各突部66が第1、第2の各凹部65、65と嵌合することで挟持板42、43間の第1、第2の挟持部50、51(後述)のいずれかが前側を向くように一対の挟持板42、43が位置決めされる。
2個の嵌合穴62、62、2個のネジ挿通孔63、63、第1、第2の凹部65、65の設けられる位置は限定されないが、それぞれ、基台40の中心位置を中心とした仮想円周上に設けられる。
【0031】
なお、嵌合穴48、48、ネジ挿通孔63、63の数は2個に限られず3つ以上であってもよく、前記の仮想円周上に設けられていなくてもよい。
また、凹部65、65の数は2個に限定されず、3個または4個でもよい。このとき、上記の2個の凹部65、65に加え、支持軸41を挟んで前後方向Qに沿う位置の前側、後側の何れか又は両方にさらに1個又は2個の凹部が設けられてもよい。この場合、3個または4個の凹部は、基台40の中心位置を中心とした仮想円周上に設けられる。
【0032】
上下一対の挟持板42、43はチャック機構91を構成するもので、
図3に示すように、各挟持板42、43は、平面形状が基台40と略同一の矩形状である。一対の挟持板42、43間は、周縁部の少なくとも2箇所、この実施形態では互いに平行な2辺に、鍵素材B及び鍵モデルAを挟持するための形態が異なる第1、第2の挟持部50、51が全長にわたって設けられている。一対の挟持板42、43を支持軸41の周りに180度回動させることで、前側を向く挟持部50、51をいずれかに切り替えることができる。
【0033】
下側の挟持板43の上面の中央には角筒状をなす嵌合凸部52が形成されている。また、切削刃1又は倣い具8と向かい合う前側の周縁部と後側の周縁部には、上向きの突縁53と平坦面54とが形成されている。
下側の挟持板43の中心位置には、
図4〜
図7に示すように、支持軸41が通る貫通孔55が設けられている。貫通孔55は、支持軸41の直径よりも僅かに径が大きい第1の貫通孔56と、第1の貫通孔56の上側に連続して設けられ、第1の貫通孔56と同心であって第1の貫通孔56よりも径が大きい第2の貫通孔57からなる。第2の貫通孔57にはコイルバネ58が圧縮された状態で収容される。コイルバネ58は第2の貫通孔57の底部により保持されている。支持軸41が下側の挟持板43の貫通孔55を貫通した状態で、コイルバネ58は支持軸41の外周に位置する。操作具47が緩められた
図5に示す状態において、コイルバネ58の上端部は下側の挟持板43の嵌合凸部52の上面から突出して上側の挟持板42を押し上げ、上側の挟持板42は下側の挟持板43から離れた状態に保たれる。
【0034】
図6、
図7に示すように、下側の挟持板43には、上側の挟持板42に形成されるガイド孔74、75(後述)とともにガイド機構92を構成する2本のガイド軸45、46が上下方向に設けられている。2本のガイド軸45、46は、下側の挟持板43であって、支持軸41を挟む対称位置に形成された2個の軸止め孔59、60にそれぞれ嵌入されて固定されている。ガイド軸45、46の上端部は嵌合凸部52の上面から上方へ突き出ている。ガイド軸45、46の下端部は下側の挟持板43の下面から下方に突出し、第1、第2の各突部66を形成している。各突部66は、基台40の第1、第2の各凹部51、51と対向する位置に突出しており、前述したように基台40の第1、第2の各凹部65、65とともに位置決め機構93を構成する。
【0035】
なお、位置決め機構93の突部66、66は、ガイド軸45、46とは別途の部材をもって形成してもよい。
【0036】
下側の挟持板43の両側面には、浅い窪み部61が設けられている。一対の挟持板42、43を支持軸41の周りに回動させる際に、各窪み部61に指先を置くことで挟持板43が持ち上げ易くなる。
【0037】
上側の挟持板42の下面には、
図4、
図5に示すように、下側の挟持板43の嵌合凸部52と嵌合する嵌合凹部70が形成されている。嵌合凹部70にはコイルバネ58の上端が当接しており、コイルバネ58のバネ圧により上側の挟持板42は下側の挟持板43から離れる方向(本実施形態では上向き)へ付勢されている。上側の挟持板42の下面の周縁部には下側の挟持板43の突縁53と対向する下向きの突縁71と、下側の挟持板43の平坦面54と対向する平坦面72とが形成されている。
この上側及び下側の各挟持板42、43の突縁53、71により第1の挟持部50が構成され、上側及び下側の挟持板42、43の平坦面54、72により第2の挟持部51が構成されている。
【0038】
上側の挟持板42の中心位置には、支持軸41が通る貫通孔73が設けられている。この貫通孔73は、支持軸41の直径よりも僅かに径が大きく形成されている。
上側の挟持板42には、支持軸41を挟む対称位置に、ガイド機構92を構成するガイド孔74、75が上下方向に形成されている。各ガイド孔74、75には、ガイド軸45、46が摺動自由に挿入される。
図7に示すように、ガイド軸45、46は、操作具47が緩められた状態において、上端面がコイルバネ58に支持された上側の挟持板42の上面にほぼ揃う長さに設定されている。
【0039】
なお、本実施形態では下側の挟持板43に固定したガイド軸45、46を上側の挟持板42のガイド孔74、75に挿入しているが、上側の挟持板42にガイド軸45、46を固定し、下側の挟持板43にガイド孔74、75を形成してもよい。
【0040】
操作具47は、円柱状の本体80を有し、本体80の中心位置に、下面が開口したネジ穴部81が上下方向に形成されている。ネジ穴部81には支持軸41の上端部に形成されたネジ軸部41aがネジ込まれるもので、操作具47と支持軸41のネジ軸部41aとで締め付け機構94が構成されている。本体80の上端部には作業者が操作具47を摘んでネジ込むための平板状のツマミ部82が設けられている。操作具47と上側の挟持板42との間には、支持軸41のまわりに2枚のワッシャ84、84と、2枚のワッシャ84、84の間にベアリングワッシャ85とが挿入されている。操作具47の本体80の下端面は、操作具47をねじ込んだときにワッシャ84、84及びベアリングワッシャ85を介して上側の挟持板42の上面を下方に押す押圧面83になっている。
ベアリングワッシャ85は上下のワッシャ84、84と接する面にベアリングを備えており、操作具47をねじ込む際にワッシャ84、84間に生じる摩擦を低減するものである。ベアリングワッシャ85により操作具47のネジ込み力が挟持板42、43の締め付け力として無駄なく使われる。
【0041】
ワッシャ84、84及びベアリングワッシャ85は直径L5が2本のガイド軸45、46の間の距離L4よりも小さく設計されており、
図6に示すように、操作具47をねじ込んで上側の挟持板42を押し下げた際に、ガイド軸45、46の間にワッシャ84、84及びベアリングワッシャ85が位置する。
また、押圧面83は、直径L3が2本のガイド軸45、46の間の距離L4よりも大きく設定されている。鍵モデルAや鍵素材Bが挟持板42、43に挟持されていない状態での操作具47の過剰なネジ込みを防ぐために、操作具47が所定の位置までねじ込まれた際に押圧面83がガイド軸45、46の上面に当接してそれ以上の操作具47のネジ込み操作が規制されるようになっている。
【0042】
操作具47のネジ込み操作により、
図5、
図7に示すように、上側の挟持板42が下方に押し下げられるとき、上側の挟持板42の嵌合凹部70と下側の挟持板43の嵌合凸部52とが嵌まり合い、挟持部50に鍵素材Bや鍵モデルAが挟持されて位置決め固定される。
【0043】
図1に戻って、前記機台3の前壁部14には、鍵モデルAの鍵山aをトレースするための倣い具8が固定されている。倣い具8は、前壁部14から側壁部13に沿って水平に延びる支持部材23と、支持部材23からテーブル5の上方へ水平に延びる腕片24と、腕片24の先端部に設けられ第2の固定具7に向けて突出する先の細い当接部25とを有する。当接部25は、鍵モデルAのブレード100の側縁に当接して鍵山aを倣うためのもので、先の尖った形状または一定幅の薄板状に形成され、第2の固定具7に水平姿勢で固定された鍵モデルAの側端面と直交した状態で当接する。
【0044】
前記支持台4の一側面には、第1の固定具6の位置に、第1の固定具6に対して鍵素材Bを位置決めするための鍵素材Bの位置決め片(以下、「第1の位置決め片」という。)10が、また、第2の固定具7の位置に、第2の固定具7に対して鍵モデルAを位置決めするための鍵モデルAの位置決め片(以下、「第2の位置決め片」という。)11が、それぞれ前側へ起伏自由に取り付けられている。第1、第2の各位置決め片10、11は、切削刃1と倣い具8との位置関係に対応させて鍵素材Bと鍵モデルAとの長さ方向の位置合わせを行うためのものである。この実施例では、
図14に示した従来例と同様、前後方向Qと同一直線L1上に切削刃1と倣い具8とが位置するので、鍵素材Bと鍵モデルAとは前記直線L1と平行な同一直線L2上に位置合わせされる。
【0045】
第1、第2の各位置決め片10、11は、全体が湾曲した形状のものであり、基端部には軸孔30が、先端部には薄板状をなす一定幅の突当部31が、それぞれ形成されている。各位置決め片10、11の軸孔30には、止め軸32がそれぞれ挿通され、各止め軸32により各位置決め片10、11の基端部を支持台4の側面に回動自由に止め固定することにより、各止め軸32を上向きに起立させたり、前側へ倒したりすることが可能となっている。
【0046】
各位置決め片10、11は、起立姿勢のとき、各位置決め片10、11の突当部31が第1、第2の各固定具6、7に固定された鍵素材Bのブレード110および鍵モデルAのブレード100の側端面と直交した状態で突き当たる。また、第1の位置決め片10の突当部31は、前側へ回動させて倒したとき切削刃1に触れないように、支持台4の適所に取り付けられる。なお、図中、33は後壁部22に設けられて切削刃1を回転駆動させるためのスイッチである。
【0047】
上記した構成の合い鍵切削機90により合い鍵を製作するには、
図9に示すように、第1の固定具6により鍵素材Bを、第2の固定具7により鍵モデルAを、それぞれ仮固定した後、第1、第2の各位置決め片10、11を、
図10に示すように起立させて、鍵モデルAと鍵素材Bとの位置合わせを行った上で、第1、第2の各固定具6、7により鍵素材Bおよび鍵モデルAをしっかりと固定する。
【0048】
このとき、鍵モデルAや鍵素材Bは、種類や形状によっては、切削刃1や倣い具8に向き合う第1の挟持部50に水平姿勢を保った状態で固定できない場合がある。この場合は、第1、第2の各固定具6、7の両挟持板42、43を持ち上げ、支持軸41の周りに180度回動させて、
図12に示すように、第2の挟持部51を切削刃1や倣い具8に向き合う前側に位置させ、基台40の第1、第2の各凹部65、65に下側の挟持板43の下面の第2、第1の各突部66を嵌め合わせて位置決めする。そして、操作具47による締め付け操作により第2の挟持部51に鍵素材Bや鍵モデルAを挟持させて固定する。このように、第1、第2の各固定具6、7について、挟持板42、43に設けられた第1、第2の挟持部50、51のうち、確実に鍵素材Bや鍵モデルAを固定できる形態の挟持部を選択する。
【0049】
鍵素材Bおよび鍵モデルAの位置決めおよび固定が完了すると、
図11に示すように、第1、第2の各位置決め片10、11を倒して退避させた後、切削刃1を回転駆動する。
つぎに、圧縮ばね21のばね力に抗して、手操作により移動台5を切削刃1に向けて押すことにより鍵素材Bの切削加工を開始する。鍵素材Bに対する切削は、倣い具8の突軸28の当接部25が鍵モデルAに当接するまで継続するもので、以後は、ハンドル17を操作して移動台5を切削刃1に対して直交方向に移動させつつ同様の切削作業を実施する。
【0050】
本発明によれば、鍵モデルA及び鍵素材Bの種類に応じて、形態の異なる挟持部50、51を選択できるので、様々な鍵モデルA及び鍵素材Bをしっかりと固定具6、7に固定することができる。
【0051】
なお、本実施形態では平面視が矩形状の一対の挟持板42、43について、周縁部の互いに平行な2辺のそれぞれに第1、第2の挟持部50、51を形成しているが、これに加えて、上記辺に直交する方向の辺の一方または両方に、第3、第4の挟持部を設けてもよい。このとき、基台40には、中心位置を中心とした仮想円周上に90度ずつ間隔を空けて位置決め機構93の4個の凹部51を形成し、下側の挟持板43には4個の凹部51に対向する位置に突部66を形成する。一対の挟持板42、43を支持軸41の周りに90度ずつ回動させ基台40の4個の凹部51に嵌まる下側の挟持板43の4個の突部66をずらせて嵌めることで、第1から第4の挟持部のいずれかが前側に向いて位置決めされる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。