特許第6847468号(P6847468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847468
(24)【登録日】2021年3月5日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】管路補修装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/36 20060101AFI20210315BHJP
【FI】
   B29C63/36
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-206981(P2019-206981)
(22)【出願日】2019年11月15日
(62)【分割の表示】特願2015-179392(P2015-179392)の分割
【原出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2020-23194(P2020-23194A)
(43)【公開日】2020年2月13日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】梅田 卓佳
(72)【発明者】
【氏名】大木 洋輔
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−125701(JP,A)
【文献】 特開2008−001078(JP,A)
【文献】 特開2007−283571(JP,A)
【文献】 特開昭50−128774(JP,A)
【文献】 特公昭47−033261(JP,B1)
【文献】 特開昭58−088281(JP,A)
【文献】 特開平07−205286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00−63/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂を含浸させた筒状のライニング材を管路内に反転挿入し、該ライニング材を加熱空気によって加熱することで該熱硬化性樹脂を硬化させて該管路の内面を補修する管路補修装置において、
前記ライニング材を格納する格納部と、
前記格納部に連結し、該格納部に格納された前記ライニング材の一端が開口した状態で取り付けられる反転口を有する本体部と、
前記格納部に圧縮空気を供給し、前記反転口に一端が取り付けられた前記ライニング材を空気圧によって該反転口から前記管路内に向けて反転させながら送り出すとともに該ライニング材を該管路の内面に圧接させる圧縮空気供給手段と、
前記管路内に反転した前記ライニング材内に存在し、前記加熱空気を該ライニング材内に供給する加熱空気供給手段とを備え、
前記格納部は、前記加熱空気供給手段が前記ライニング材内に位置したままの状態で前記本体部から前記圧縮空気供給手段とともに分離可能なものであり、
前記加熱空気供給手段は、前記加熱空気を吐出する吐出部と、該吐出部から吐出された該加熱空気を拡散する拡散部材とを有するものであり、
前記拡散部材は、椀状のものであり、
前記吐出部は前記拡散部材内に配置されたものであることを特徴とする管路補修装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂を含浸させた筒状のライニング材を管路内に反転挿入し、そのライニング材を加熱することで熱硬化性樹脂を硬化させて管路の内面を補修する管路補修装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水を流すために地下に埋設した下水管として、本管や、この本管から分岐した取付管(枝管)等の管路が設置されている。取付管は、本管と、地表から例えば1m程度掘り下げられて形成された桝とを接続する管路を構成するものである。取付管も本管と同様に、老朽化によって破損すると道路の陥没事故の要因になるが、本管と異なる構成を有している。このため、本管を補修する補修装置や補修方法とは別に、取付管に特化した様々な補修装置や補修方法も実用化されている。また、ライニング材を桝側から取付管内に反転挿入し、非開削で取付管を補修する管路補修装置および管路補修方法も提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
特許文献1に記載された管路補修装置は、熱硬化性樹脂を含浸させた筒状のライニング材を取付管内に反転挿入する反転機と、反転機内に圧縮空気を供給するブロアと、圧縮空気を加熱する加熱手段とを備えている。反転機は、桝に立設される、例えば高さが2m〜3m程度の筒体を有しており、この筒体には、上下方向に延在した状態でライニング材が収容される。筒体に収容されたライニング材は、当初は筒体の上端部分に位置する一端部分が閉塞されており、この一端部分には、ブロアに接続した給気ホースの吹出口が連結される。一方、桝内に位置する、ライニング材の他端部分は、開口した状態で、取付管に接続した反転口に取り付けられる。
【0004】
この管路補修装置を用いた管路補修方法では、まずブロアから圧縮空気を供給し、給気ホースの吹出口から反転装置内に圧縮空気を吹き出す。ここでは加熱手段を作動させず、吹出口からは加熱されていない圧縮空気が吹き出される。この圧縮空気により、ライニング材は反転口から反転しながら取付管内に挿入されていく。また、ライニング材が取付管内に挿入され始めてからしばらくすると、給気ホースも取付管内に引き込まれていく。やがてライニング材全体が反転すると、ライニング材の閉塞された一端部分が本管内に突出し、取付管内へのライニング材の挿入が完了する。ライニング材の挿入が完了すると、給気ホースの吹出口は、取付管内における、本管の近傍まで引き込まれた状態になる。また、ライニング材は、吹出口から吹き出される圧縮空気によって取付管の内面に圧接される。
【0005】
さらにブロアから圧縮空気の供給を続けながら加熱手段を作動させることで、給気ホースの吹出口から今度は高温の圧縮空気が吹き出される。この高温の圧縮空気により、ライニング材が取付管の内面に圧接されつつ加熱され、ライニング材の熱硬化性樹脂の硬化が進行する。高温の圧縮空気の供給を所定時間継続することで、ライニング材の熱硬化性樹脂の硬化が完了し、必要に応じてライニング材の切断や切断した管口の仕上げを行うことで取付管の内面の補修が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−71753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された管路補修装置および管路補修方法では、取付管内へのライニング材の反転挿入を開始すると、ライニング材の熱硬化性樹脂の硬化が完了するまで、反転装置、ブロアおよび加熱装置等、管路補修装置の全ての機器等を使用することになる。このため、熱硬化性樹脂の硬化が完了するまで、管路補修装置の機器等の全てが他の取付管の補修に用いることができない。なお、特許文献1に記載された管路補修装置では、複数の給気ホースを設けることで複数の取付管を同時に補修することを試みているが、熱硬化性樹脂の硬化が完了するまで、管路補修装置の機器等を他の取付管の補修に使い回しできないことに変わりはない。また、複数の取付管の間隔等によってはこれらの取付管それぞれに給気ホースを配置できず複数の取付管を同時に補修することが困難になってしまう場合があるなど、作業効率の点で改善の余地がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、装置の一部を他の管路の補修に使い回すことで複数の管路の並行補修を容易にする工夫がなされた管路補修装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決する本発明の管路補修装置は、熱硬化性樹脂を含浸させた筒状のライニング材を管路内に反転挿入し、該ライニング材を加熱空気によって加熱することで該熱硬化性樹脂を硬化させて該管路の内面を補修する管路補修装置において、
前記ライニング材を格納する格納部と、
前記格納部に連結し、該格納部に格納された前記ライニング材の一端が開口した状態で取り付けられる反転口を有する本体部と、
前記格納部に圧縮空気を供給し、前記反転口に一端が取り付けられた前記ライニング材を空気圧によって該反転口から前記管路内に向けて反転させながら送り出すとともに該ライニング材を該管路の内面に圧接させる圧縮空気供給手段と、
前記管路内に反転した前記ライニング材内に存在し、前記加熱空気を該ライニング材内に供給する加熱空気供給手段とを備え、
前記格納部は、前記加熱空気供給手段が前記ライニング材内に位置したままの状態で前記本体部から前記圧縮空気供給手段とともに分離可能なものであり、
前記加熱空気供給手段は、前記加熱空気を吐出する吐出部と、該吐出部から吐出された該加熱空気を拡散する拡散部材とを有するものであり、
前記拡散部材は、椀状のものであり、
前記吐出部は前記拡散部材内に配置されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の管路補修装置によれば、装置の一部を他の管路の補修に使い回すことで複数の管路の並行補修を容易にする工夫がなされた管路補修装置および管路補修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に相当する管路補修装置を説明するための図である。
図2】管路補修方法の流れを示すフローチャートである。
図3図2における管路補修方法の装置設置工程を説明するための図である。
図4図2における、ライニング材形成工程、格納工程および取付工程を説明するための図である。
図5】取付管内に挿入できる長さまでライニング材を反転口から反転させた状態を説明するための図である。
図6図2における、反転圧接工程の前半を説明するための図である。
図7図2における、反転圧接工程の後半および挿入工程を説明するための図である。
図8図2における、分離工程および加熱空気供給工程を説明するための図である。
図9】吐出部や拡散部材を取付管の延在方向に移動させた状態を説明する図である。
図10図9のA−A断面図である。
図11図2における回収工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の管路補修装置は、下水管等の管路の内面の補修に用いることができ、特に、本管から分岐した取付管の内面の補修に好適に用いることができる。このため、以下の説明では、取付管の内面の補修に用いる態様を例に挙げて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に相当する管路補修装置1を説明するための図である。
【0016】
図1に示すように、管路補修装置1は、後述するライニング材が格納される格納部2、格納部2に連結した本体部3、格納部2に接続した圧縮空気供給手段4、加熱空気供給手段5および温度測定手段6を備えている。なお、加熱空気供給手段5および温度測定手段6は、一部が本体部3内に挿入されている。
【0017】
格納部2は、ライニング材を巻き取る巻取部材21と、圧縮空気供給手段4が接続し圧縮空気を受け入れるダクト22とを有している。本実施形態の格納部2は、巻取部材21のハンドル211を回転させることで巻取部材21にライニング材を巻き取った状態で格納する構成のものである。なお、格納部2におけるライニング材の格納状態はこれに限定されるものではなく、例えば、ライニング材をつづら折り状に格納する格納部を用いてもよい。
【0018】
本体部3は、図では左側に開放した反転口31と、挿入口32と、この挿入口32を閉塞する蓋33とを有している。挿入口32からは、加熱空気供給手段5の一部と、温度測定手段6の一部が本体部3内に挿入されている。反転口31は、格納部2に格納されたライニング材の一端が外側に折り返された状態で取り付けられる開口であり、ライニング材の折り返された部分には、リング状の端部固定具311が固定される。蓋33には、詳しくは後述する加熱空気供給手段5の耐熱チューブ52とガイドロープ53、温度測定手段6の熱電対61が貫通している。これにより、加熱空気供給手段5と温度測定手段6が挿入口32から挿入された状態においても、蓋33を閉めることで挿入口32を気密状態に閉塞することができる。
【0019】
圧縮空気供給手段4は、第1コンプレッサ41とチューブ42とを有しており、チューブ42は、格納部2のダクト22と第1コンプレッサ41とを接続している。第1コンプレッサ41で作り出された圧縮空気は、チューブ42を流れてダクト22から格納部2内に供給される。
【0020】
加熱空気供給手段5は、拡散部材51と、耐熱チューブ52と、ガイドロープ53と、滑車部材54と、加熱部材55と、第2コンプレッサ56とを備えている。耐熱チューブ52の先端部分に取り付けられた拡散部材51は、挿入口32から本体部3内に挿入されている。第2コンプレッサ56で作りされた圧縮空気は、加熱部材55によって加熱され、加熱された圧縮空気は耐熱チューブ52を流れ、耐熱チューブ52の先端から吐出されたのち拡散部材51によって拡散される。以下、加熱された圧縮空気を、加熱空気と称することがある。温度測定手段6は、熱電対61と、温度記録計62とを備えており、熱電対61が、挿入口32から本体部3内に挿入されている。
【0021】
図1では、円で囲んだ部分を拡大して示している。なお、拡大図は、耐熱チューブ52が水平に延在する姿勢に向きを修正している。拡散部材51は、シリコン等の耐熱素材で構成され、拡大図に示すように、椀状のものであり半球状の内周面51aを有している。この拡散部材51は、取付部材521によって耐熱チューブ52の先端部分に取り付けられており、図では右側から耐熱チューブ52が拡散部材51内に挿入された状態になっている。また、耐熱チューブ52の先端に形成された吐出部52aと、拡散部材51の内周面51aとは、間隔があけられるとともに、内周面51aにおける、吐出部52aが対向する部分には、プロペラ511が設けられている。熱電対61は、先端部分が耐熱チューブ52に取り付けられた状態で拡散部材51内に挿入され、測温接点611が拡散部材51の内周面51aに向けて突出している。
【0022】
第2コンプレッサ56から加熱部材55を介し耐熱チューブ52を流れてきた加熱空気は、拡大図において矢印で示すように、耐熱チューブ52の吐出部52aから吐出された後、拡散部材51の内周面51aに当たって拡散し、吐出部52aから吐出される方向とは反対方向に向かって流れていく。また、内周面51aに設けられたプロペラ511の回転によっても加熱空気の拡散が促進される。吐出部52aから吐出された加熱空気の温度は、熱電対61によって計測される。ここで、加熱空気の温度を計測するのは、圧縮空気を加熱部材55によって所定の温度に加熱しても、吐出部52aまでの雰囲気温度等の環境条件によって実際に吐出部52aから吹き出される加熱空気の温度がばらつくため、熱電対61によって計測した加熱空気の温度に基づき加熱部材55の出力等を制御するためである。
【0023】
また、ガイドロープ53も、挿入口32から本体部3内に挿入されており、このガイドロープ53は、滑車部材54に巻き掛けられている。ガイドロープ53は、連結リング531を有しており、この連結リング531は、拡散部材51の外周部に設けられた連結部512に連結している。これにより、滑車部材54に対してガイドロープ53を移動させると、滑車部材54に対する拡散部材51の位置が移動する。この拡散部材51の移動については後述する。
【0024】
以上のように構成された管路補修装置1の格納部2は、圧縮空気供給手段4とともに、加熱空気供給手段5と温度測定手段6が挿入口32から挿入された状態の本体部3から分離することができる。これにより、詳しくは後述するように、格納部2と圧縮空気供給手段4とを他の取付管の補修施工に用いることができる。図1では、楕円で囲んだ部分に閉塞板23を示している。この閉塞板23は、格納部2を本体部3から分離した後、分離した格納部2に代えて本体部3に固定するものであり、本体部3における、格納部2が連結されていた側を密閉状態に閉塞するものである。なお、閉塞板23には、後述する反転ベルト83(図4等参照)が結び付けられる取付部231が設けられている。
【0025】
次いで、管路補修装置1を用いた管路補修方法について説明する。なお、以後の管路補修方法の説明においても、管路補修装置1の構成についての説明を適宜補足する。
【0026】
図2は、管路補修方法の流れを示すフローチャートである。本実施形態における管路補修方法では、まず、補修する管路の周囲に、図1に示す管路補修装置1を設置する装置設置工程を実施する(ステップS1)。
【0027】
図3は、図2における管路補修方法の装置設置工程を説明するための図である。本実施形態では、図3に示すように、本管72と桝73とを接続する取付管71を補修対象とし、補修の対象とする取付管71が接続した桝73の近傍に反転口31が位置するように管路補修装置1を設置する。取付管71は、延在方向の長さ、すなわち桝73側に位置する桝側開口71aから、本管72側に位置する本管側開口71bまでの長さが例えば5m〜10m程度の管路を構成するものである。なお、装置設置工程を実施する前に、高圧洗浄車を用いて取付管71内の付着物等の除去を行い、TVカメラ等を用いて取付管71内の状況や、取付管71と本管72との接続状態等を確認しておくことが望ましい。
【0028】
続いて、図2に示すライニング材形成工程を実施する(ステップS2)。ここでは、予め用意した、ベースホースとキャリブレーションホースを使用する。ベースホースには、円筒状に加工した不織布の外側に不透過性フィルムをコーティングしたものや、特殊ニット織布を不透過性チューブ内に引き込んだもの、あるいはガラス繊維を配置した不織布を円筒状に加工し不透過性チューブ内に引き込んだもの等を用いることができる。また、キャリブレーションホースは、ポリエステル繊維織布に軟質塩化ビニルをコーティングしたものであり、施工時にはベースホースを内側から取付管に向かって押圧する役割を有し、施工後に回収される。これらベースホースとキャリブレーションホースは、図3に示す、取付管71の長さ、桝73の深さや大きさ等を考慮して所定の長さに切断される。なお、キャリブレーションホースは、ベースホースよりもやや長いものを用意する。用意したベースホースには、減圧機やローラ等を用い熱硬化性樹脂を含浸させる。含浸させる熱硬化性樹脂は、特に限定されるものではないが、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂を例示することができ、必要に応じて硬化促進剤や硬化剤が添加される。
【0029】
図4は、図2における、ライニング材形成工程、格納工程および取付工程を説明するための図である。図4(a)および同図(b)に示すように、熱硬化性樹脂が含浸したベースホース81をキャリブレーションホース82内に引き込み、ライニング材8を形成する(ステップS2)。
【0030】
次いで、図4(c)に示すように、キャリブレーションホース82の一方の端部を結んで閉塞し、この結んだ一方端部82aに反転ベルト83の一端を結び付ける。反転ベルト83の他端は、格納部2の巻取部材21に取り付けられており、ハンドル211を回転させることで反転ベルト83が巻取部材21に巻き取られ、やがてライニング材8も反転口31から入り込んで、図4(d)に示すように巻取部材21に巻き取られる。これによって、ライニング材8が格納部2に格納される(ステップS3)。なお、図4(c)および同図(d)では、図面を簡略にするため、本体部に挿入されている拡散部材51等は省略している。
【0031】
また、図4(d)に示すように、ライニング材8における、巻取部材21に巻き取られた側とは反対側の端部は、反転口31から外側に折り返された状態で端部固定具311によって本体部3に取付られる(ステップS4)。図4(e)は、ライニング材8が本体部3の反転口31に取り付けられた部分を拡大して示す断面図である。図4(e)に示すように、ライニング材8が本体部3の反転口31に取り付けられると、本体部3内では、キャリブレーションホース82の内側にベースホース81が位置し、反転口31で外側に折り返された部分では、キャリブレーションホース82の外側にベースホース81が位置する状態になる。
【0032】
図5は、取付管71内に挿入できる長さまでライニング材8を反転口31から反転させた状態を説明するための図である。
【0033】
圧縮空気供給手段4の第1コンプレッサ41を作動させ、図5の円弧状の矢印で示すようにダクト22から格納部2内に圧縮空気供給すると、図4(d)および同図(e)に示すように反転口31にとりつけられたライニング材8は、図5に示すように、供給された圧縮空気の圧力によって反転口31から反転しながら送り出されていく。ここでは、ライニング材8の、反転口31から反転しながら送り出された長さが、桝側開口71aから取付管71内にわずかに挿入できる程度に達した時点で圧縮空気の供給を停止する。これにより、反転口31からのライニング材8の反転も停止する。本実施形態では、図5に示すように、ライニング材8の一方端部82aが、本体部3内の拡散部材51の近傍に位置する状態で反転を停止している。
【0034】
図6は、図2における、反転圧接工程の前半を説明するための図である。図7は、図2における、反転圧接工程の後半および挿入工程を説明するための図である。
【0035】
上述したように、圧縮空気の供給を一旦停止した後、図6に示すように本体部3の蓋33を開け、挿入口32を開放する。次いで、挿入口32から手を差し入れ、滑車部材54を、ライニング材8の一方端部82aに結び付ける。これにより、ライニング材8の一方端部82aに加熱空気供給手段5が連結される。次いで、蓋33を閉めることで、前述したように挿入口32が気密に保たれる。また、蓋33を一旦開けることによってライニング材8内が減圧され、ライニング材8がやや萎んだ状態になる。このやや萎んだ状態のライニング材8を、図6に示すように、桝側開口71aから取付管71内に挿入する。
【0036】
次いで、圧縮空気供給手段4の第1コンプレッサ41を作動させ格納部2内に圧縮空気を再び供給すると、供給された圧縮空気の圧力によって取付管71内に挿入されたライニング材8は反転しながら本管72に向かって伸びていき、図7に示すように、先端部分が本管72内に突出した状態になる。ここでは、取付管71内に挿入されていくライニング材8に対して、巻取部材21によって張力をかけながら、また、ライニング材8が円滑に進まないときには巻取部材21によって巻き取る操作を行うことが好ましい。これにより、ライニング材8をスムーズに取付管71内に反転挿入させることが可能になる。
【0037】
また、図7において、円で囲んだ部分を拡大して示すように、反転して取付管71内に挿入されたライニング材8は、取付管71の内面にベースホース81が重ねられ、そのベースホース81の内側にキャリブレーションホース82が位置する状態になる。このキャリブレーションホース82に対して、供給された圧縮空気の圧力がかかり、拡大図の矢印で示すように、キャリブレーションホース82によってベースホース81が取付管71に向けて押圧される。これらによって図2に示す反転圧接工程が実施される(ステップS5)。
【0038】
本実施形態では、加熱空気供給手段5の拡散部材51等を取付管71内に挿入する挿入工程(ステップS6)が、反転圧接工程と並行して実施される。前述したように取付管71内にライニング材8が反転挿入されると、ライニング材8の一方端部82aに連結された加熱空気供給手段5も、反転口31を通過して取付管71に挿入され、図7に示すように、拡散部材51が本管側開口71bの近傍に位置した状態になる。なお、拡散部材51は、詳しくは後述する支持部材57(図10参照)によって取付管71内の略中心位置に支持された状態で取付管71内を移動する。
【0039】
図8は、図2における、分離工程および加熱空気供給工程を説明するための図である。
【0040】
反転圧接工程および挿入工程を実施した後、反転ベルト83を格納部2の巻取部材21から取り外し、図8に示すように、本体部3から、格納部2および圧縮空気供給手段4を分離する(ステップS7)。本体部3における、格納部2が連結されていた部分には、閉塞板23を気密状態で固定し、反転ベルト83を閉塞板23の取付部231に結び付ける。ここでは、加熱空気供給手段5の拡散部材51等を取付管71内に挿入したままの状態で、格納部2と圧縮空気供給手段4を分離することができる。このため、後述する加熱空気供給工程を実施しながら、分離した格納部2と圧縮空気供給手段4は、他の取付管の管路補修方法における、格納工程(ステップS3)から挿入工程(ステップS6)までの工程に使い回すことができ、複数の取付管を並行して補修することが容易になる。ここで、本体部3から格納部2を分離し閉塞板23を取付けるまでの間にライニング材8内が減圧してしまう。このため、ライニング材8における、反転口31に近い部分を挟み込み、ライニング材8内の減圧を抑制する部材を、本体部3から格納部2を分離する前に取り付けてもよい。
【0041】
次いで、加熱空気供給手段5の第2コンプレッサ56および加熱部材55を作動させ、加熱空気を耐熱チューブ52に流してライニング材8内に供給する加熱空気供給工程を実施する(ステップS8)。耐熱チューブ52を流れてきた加熱空気は、図1の円内に拡大して示すように、吐出部52aから吐出された後、拡散部材51の内周面51aに当たって拡散される。また、回転するプロペラ511によっても拡散され、図8に示すように、拡散部材51から吹き出される。なお、吐出部52aから吐出された加熱空気が熱電対61によって測定され、測定された温度に基づき加熱部材55の出力が調整される。これによって、吐出部52aから吐出される加熱空気の温度が所定の温度に制御される。
【0042】
拡散部材51から加熱空気が吹き出されライニング材8内に加熱空気が充満すると、円で囲んだ部分を拡大して示すように、キャリブレーションホース82によってベースホース81が取付管71に向けて押圧されるとともに、ベースホース81が加熱される。これにより、ベースホース81に含浸された熱硬化性樹脂の硬化が進行し、加熱空気の供給を所定時間継続することで熱硬化性樹脂の硬化が完了する。なお、本実施形態では、ベースホース8内に供給された加熱空気は、蓋33に設けた不図示の逆止弁等から大気に開放する構成を採用しているが、例えば、本体部3から排出した加熱空気を循環させ、ベースホース8内に供給される加熱空気に再利用してもよい。
【0043】
また、本実施形態では、吐出部52a(図1参照)や拡散部材51を、取付管71の延在方向に移動させることができる態様を採用している。
【0044】
図9は、吐出部52aや拡散部材51を取付管71の延在方向に移動させた状態を説明する図である。また、図10は、図9のA−A断面図である。
【0045】
図9では、滑車部材54に巻き掛けられたガイドロープ53のいずれか一方を引っ張り、吐出部52aや拡散部材51を、桝側開口71aの近傍まで移動させた状態を示している。これにより、加熱空気の温度が比較的低くなりやすい、拡散部材51から離れた領域等に対しては、吐出部52aや拡散部材51をその領域の近くに移動させ、その領域の熱硬化樹脂の硬化を促進することもできる。また、本実施形態では、図10に示すように、拡散部材51を、取付管71の内面に圧接したライニング材8と離間した状態に支持する3つの支持部材57を設けている。具体的には、拡散部材51から放射方向に延在した支持部材57を120度間隔に設けることで、取付管71内の略中心に位置する状態に拡散部材51を支持している。また、3つの支持部材57それぞれの先端にはローラ57aが設けられており、このローラ57aが、取付管71に反転圧接されたライニング材8のキャリブレーションホース82に接触している。このローラ57aが回転することで、吐出部52aや拡散部材51が取付管71の延在方向に移動するため、ライニング材8を痛めることもなくなり、ライニング材8を取付管71に向けて押圧する作用も生じさせることができる。
【0046】
図11は、図2における回収工程を説明するための図である。
【0047】
ベースホース81に含浸された熱硬化性樹脂の硬化が完了したら加熱空気の供給を停止する。取付管71内の温度が常温程度まで低下した後、図11に示すように、本体部3から閉塞板23を取り外し、代わりに格納部2と圧縮空気供給手段4を連結し、反転ベルト83を巻取部材21に取り付ける。次いで、圧縮空気供給手段4から、今度は非常に弱い圧力でライニング材8内に空気を供給しながら巻取部材21によって反転ベルト83を巻取り、これによってキャリブレーションホース82の一方端部82aを引っ張る。ベースホース81は取付管71に圧接された状態で熱硬化性樹脂が硬化しているため、キャリブレーションホース82がベースホース81から引き剥がされ、円で囲んだ部分を拡大して示すように、取付管71の内周面がベースホース81によって補修される。
【0048】
図11に示すように、一方端部82aが挿入口32の近傍に移動してきたら、挿入口32から手を差し入れ、滑車部材54を一方端部82aから取り外した後、さらに巻取部材21によって反転ベルト83を巻取る。キャリブレーションホース82が取付管71から完全に取り出されたら、桝側開口71aにおいてベースホース81を切断し、キャリブレーションホース82や切断したベースホース81を回収する(ステップS9)。本実施形態では、弱い圧力の空気をライニング材8内に供給しながらキャリブレーションホース82を引き剥がしていくため、キャリブレーションホース82に適当な圧力がかかり、回収時にキャリブレーションホース82がぐしゃぐしゃになってしまうような事態を避けることができる。なお、空気をライニング材8内に供給せずにキャリブレーションホース82を回収することももちろん可能であり、この場合には、回収工程において、格納部2と圧縮空気供給手段4のうち格納部2のみを本体部3に連結させれば足りる。また、回収工程では本体部3を閉塞する必要はないため、格納部2とは別に、キャリブレーションホース82の回収専用の巻取手段を用いてもよい。
【0049】
最後に、必要に応じて、桝側開口71aを管口仕上材で仕上げ、本管側開口71bに硬化したベースホース81が突出している場合にはそれを切断することで管路補修方法が完了する。
【0050】
以上説明した管路補修装置1および管路補修方法によれば、装置の一部を他の管路の補修に使い回すことで複数の管路の並行補修を容易にすることができる。
【0051】
本発明は前述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、前述の管路補修方法では、反転圧接工程(ステップS5)を実施しながら挿入工程(ステップS6)を実施しているが、反転圧接工程(ステップS5)を実施しライニング材8を取付管71内に完全に反転圧接させた後、ガイドロープ53を引っ張り加熱空気供給手段5を本管側開口71bの近傍まで挿入させる挿入工程(ステップS6)を実施してもよい。また、前述の管路補修方法では、加熱空気供給工程(ステップS8)を実施する前に分離工程(ステップS7)を実施しているが、分離工程(ステップS7)を実施する前に加熱空気供給工程(ステップS8)の一部を実施し、分離工程(ステップS7)を実施した後に残りの加熱空気供給工程(ステップS8)を実施してもよい。
【0052】
これまでに説明した汚泥かき寄せ装置は、管路補修装置は、熱硬化性樹脂を含浸させた筒状のライニング材を管路内に反転挿入し、該ライニング材を加熱空気によって加熱することで該熱硬化性樹脂を硬化させて該管路の内面を補修する管路補修装置において、
前記ライニング材を格納する格納部と、
前記格納部に連結し、該格納部に格納された前記ライニング材の一端が開口した状態で取り付けられる反転口を有する本体部と、
前記格納部に圧縮空気を供給し、前記反転口に一端が取り付けられた前記ライニング材を空気圧によって該反転口から前記管路内に向けて反転させながら送り出すとともに該ライニング材を該管路の内面に圧接させる圧縮空気供給手段と、
前記管路内に反転した前記ライニング材内に存在し、前記加熱空気を該ライニング材内に供給する加熱空気供給手段とを備え、
前記格納部は、前記加熱空気供給手段が前記ライニング材内に位置したままの状態で前記本体部から前記圧縮空気供給手段とともに分離可能なものであることを特徴としてもよい。
【0053】
また、これまでに説明した管路補修方法は、熱硬化性樹脂を含浸させた筒状のライニング材を管路内に反転挿入し、該ライニング材を加熱空気によって加熱することで該熱硬化性樹脂を硬化させて該管路の内面を補修する管路補修方法において、
前記ライニング材を格納部に格納する格納工程と、
前記格納部に連結された本体部の反転口に、該格納部に格納された前記ライニング材の一端を開口した状態で取り付ける取付工程と、
圧縮空気供給手段から圧縮空気を前記格納部に供給し、前記反転口に一端が取り付けられた前記ライニング材を空気圧によって該反転口から前記管路内に向けて反転させながら送り出すとともに該ライニング材を該管路の内面に圧接させる反転圧接工程と、
前記管路内に反転した前記ライニング材内に前記反転口から加熱空気供給手段を挿入する挿入工程と、
前記加熱空気供給手段を前記ライニング材内に挿入したままの状態で前記格納部を前記圧縮空気供給手段とともに前記本体部から分離する分離工程と、
前記加熱空気供給手段から前記加熱空気を前記ライニング材内に供給する加熱空気供給工程とを有することを特徴としてもよい。
【0054】
また、これまでに説明した管路補修装置は、熱硬化性樹脂を含浸させた筒状のライニング材を管路内に反転挿入し、該ライニング材を加熱空気によって加熱することで該熱硬化性樹脂を硬化させて該管路の内面を補修する管路補修装置において、
前記ライニング材を格納する格納部と、
前記格納部に連結し、該格納部に格納された前記ライニング材の一端が開口した状態で取り付けられる反転口を有する本体部と、
前記格納部に圧縮空気を供給し、前記反転口に一端が取り付けられた前記ライニング材を空気圧によって該反転口から前記管路内に向けて反転させながら送り出すとともに該ライニング材を該管路の内面に圧接させる圧縮空気供給手段と、
前記管路内に反転した前記ライニング材内に存在し、前記加熱空気を該ライニング材内に供給する加熱空気供給手段とを備え、
前記格納部は、前記加熱空気供給手段が前記ライニング材内に位置したままの状態で前記本体部から前記圧縮空気供給手段とともに分離可能なものであり、
前記加熱空気供給手段は、前記加熱空気を吐出する吐出部を有するものであり、
前記吐出部は、前記管路内に反転された前記ライニング材内を該管路の延在方向に移動可能なものであることを特徴とする。
【0055】
ここで、前記格納部は、前記ライニング材を巻き取る巻取部材を有し、前記ライニング材は、前記巻取部材に巻き取られることで前記格納部に格納され、該巻取部材から繰り出されながら前記管路内に反転挿入されるものであってもよい。また、前記格納部は、前記ライニング材をつづら折り状に格納するものであってもよい。
【0056】
この管路補修装置によれば、前記格納部は、前記加熱空気供給手段が前記ライニング材内に位置したままの状態で前記本体部から前記圧縮空気供給手段とともに分離可能なものであるため、該加熱空気供給手段から該ライニング材内への加熱空気の供給を継続したまま、該格納部を該圧縮空気供給手段とともに分離することができる。これにより、所定の管路において加熱空気を供給し熱硬化性樹脂を硬化させている間に、前記格納部および前記圧縮空気供給手段を、他の管路の補修に用いることができる。すなわち、前記本体部と前記加熱空気供給手段とを複数用意し、これら複数の本体部および加熱空気供給手段の中で、前記格納部および前記圧縮空気供給手段を使い回すことができ、複数の管路を並行して補修することが容易になる。
【0057】
前記吐出部が前記管路の延在方向に移動可能な態様を採用すれば、高温の加熱空気が吐出する前記吐出部の位置を調整し、該管路内の温度分布を均一化することで、前記ライニング材全体としてみたときに、熱硬化性樹脂の硬化が完了する時間を早めることが可能になる。また、前記管路の延在方向において比較的温度が低くなりがちな部分に前記吐出部を移動させ、該部分の硬化を促進することもできる。
【0058】
さらに、この管路補修装置において、前記加熱空気供給手段は、前記吐出部から吐出された加熱空気を拡散する拡散部材と、
前記拡散部材を、前記管路の内面に圧接した前記ライニング材と離間した状態に支持する支持部材を有するものであってもよい。
【0059】
ここで、前記支持部材は、前記管路の中心に前記吐出部材を支持するものであってもよい。
【0060】
前記支持部材を有する態様とすれば、前記拡散部材から前記管路内に満遍なく加熱空気を拡散しやすくなり、また、該管路内において該拡散部材を延在方向に移動させる場合でも、例えば、該支持部材にローラを設けることで該管路の内面を傷つけてしまうことを防ぐ態様とすることができる。なお、前記管路の内面に接する箇所に設けたローラによって前記ライニング材を該管路の内面に圧接する態様としてもよい。
【0061】
また、これまでに説明した管路補修方法は、熱硬化性樹脂を含浸させた筒状のライニング材を管路内に反転挿入し、該ライニング材を加熱空気によって加熱することで該熱硬化性樹脂を硬化させて該管路の内面を補修する管路補修方法において、
前記ライニング材を格納部に格納する格納工程と、
前記格納部に連結された本体部の反転口に、該格納部に格納された前記ライニング材の一端を開口した状態で取り付ける取付工程と、
圧縮空気供給手段から圧縮空気を前記格納部に供給し、前記反転口に一端が取り付けられた前記ライニング材を空気圧によって該反転口から前記管路内に向けて反転させながら送り出すとともに該ライニング材を該管路の内面に圧接させる反転圧接工程と、
前記管路内に反転した前記ライニング材内に前記反転口から加熱空気供給手段を挿入する挿入工程と、
前記加熱空気供給手段を前記ライニング材内に挿入したままの状態で前記格納部を前記圧縮空気供給手段とともに前記本体部から分離する分離工程と、
前記加熱空気供給手段から前記加熱空気を前記ライニング材内に供給する加熱空気供給工程とを有し、
前記加熱空気供給工程は、吐出部を前記管路の延在方向に移動させながら該吐出部から前記加熱空気を吐出する工程であることを特徴とする。
【0062】
ここで、前記反転圧接工程と前記挿入工程は、並行して実施される工程であってもよい。
【0063】
この管路補修方法によれば、前記加熱空気供給手段を前記ライニング材内に挿入したままの状態で前記格納部を前記圧縮空気供給手段とともに前記本体部から分離する分離工程を有するため、前記加熱空気供給工程によって該加熱空気供給手段から該ライニング材内への前記加熱空気の供給を継続したまま、該格納部を該圧縮空気供給手段とともに分離することができる。これにより、所定の前記管路について前記加熱空気供給工程を実施している間に、前記格納部および前記圧縮空気供給手段を用いて、他の管路の前記反転圧接工程を実施することができ、複数の管路を並行して補修することが容易になる。
【0064】
またこうすることで、例えば、前記管路の延在方向において供給した加熱空気の温度が比較的低くなりがちな部分に前記吐出部を移動させ、該部分の硬化を促進することができる。
【0065】
さらに、この管路補修方法において、前記反転圧接工程は、熱硬化性樹脂を含浸させたベースホースがキャリブレーションホースに挿入された前記ライニング材を、該キャリブレーションホースが該ベースホースの内側に位置するように反転する工程であり、
前記加熱空気供給工程を実施することで前記熱硬化性樹脂が硬化した後、前記格納部を前記本体部に連結し該格納部に設けられた巻取部材によって前記キャリブレーションホースを回収する回収工程を有してもよい。
【0066】
前記巻取部材で巻取ることによって前記キャリブレーションホースを引っ張りながら前記ベースホースから引き剥がすことができ、該キャリブレーションホースが絡まらずきれいな状態で回収することが可能になる。
また、これまでに説明した管路補修装置は、熱硬化性樹脂を含浸させた筒状のライニング材を管路内に反転挿入し、該ライニング材を加熱空気によって加熱することで該熱硬化性樹脂を硬化させて該管路の内面を補修する管路補修装置において、
前記ライニング材を格納する格納部と、
前記格納部に連結し、該格納部に格納された前記ライニング材の一端が開口した状態で取り付けられる反転口を有する本体部と、
前記格納部に圧縮空気を供給し、前記反転口に一端が取り付けられた前記ライニング材を空気圧によって該反転口から前記管路内に向けて反転させながら送り出すとともに該ライニング材を該管路の内面に圧接させる圧縮空気供給手段と、
前記管路内に反転した前記ライニング材内に存在し、前記加熱空気を該ライニング材内に供給する加熱空気供給手段とを備え、
前記格納部は、前記加熱空気供給手段が前記ライニング材内に位置したままの状態で前記本体部から前記圧縮空気供給手段とともに分離可能なものであり、
前記加熱空気供給手段は、前記加熱空気を吐出する吐出部と、該吐出部から吐出された該加熱空気を拡散する拡散部材とを有するものであることを特徴とする。
この管路補修装置において、前記拡散部材は、椀状のものであってもよい。
また、この管路補修装置において、前記吐出部は前記拡散部材内に配置されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 管路補修装置
2 格納部
21 巻取部材
23 閉塞板
3 本体部
31 反転口
33 蓋
4 圧縮空気供給手段
5 加熱空気供給手段
51 拡散部材
52a 吐出部
57 支持部材
6 温度測定手段
71 取付管
71a 桝側開口
71b 本管側開口
72 本管
73 桝
8 ライニング材
81 ベースホース
82 キャリブレーションホース
83 反転ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11