(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記薬剤の組み合わせに関する組み合わせ情報に基づいて組み合わされた、併用薬として再包装される複数の種類の前記薬剤のセットを包装する、請求項3に記載の透明な包装容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医薬品(以下、医薬品および薬剤をまとめて単に薬剤と呼ぶ)パックの包装単位は、医薬品メーカから出荷されて医薬品流通業者を介して医療機関等へ納入される、比較的大口の包装単位である。例えば医薬品流通業者から医療機関等へは、薬剤パックとして、錠剤またはカプセル剤の薬剤を包装するブリスターパックを多数箱詰めしたブリスターボックスや、多数の錠剤またはカプセル剤をボトル詰めしたボトルが納入されている。医薬品の業界において、医薬品卸業者等の医薬品流通業者から調剤薬局等の医療機関へ、小分けされた薬剤を販売することは分譲と呼ばれている。
【0005】
調剤薬局を含む医療機関等では、患者の処方箋に記載されている調剤情報に基づいて、薬剤師が患者毎に薬剤を計数調剤することにより、患者に受け渡す薬剤をその都度準備している。計数調剤では、薬剤師は、比較的大口の包装単位であるブリスターボックスやボトルから薬剤を取り出して、処方箋に応じた患者毎の数量に薬剤を小分けする。処方箋には、例えばロキソニンおよびムコスタの組み合わせのような、併用処方が可能な組み合わせの複数の薬剤が示されていることがある。このようなケースでは、複数の薬剤のそれぞれについて、薬剤師による計数調剤が行われている。
【0006】
特許文献1に記載の上記した医薬品パック用の自動保存システムを、例えば調剤薬局に導入することにより、計数調剤に用いる薬剤パック(ブリスターボックスまたはボトル)を薬剤保管庫から取り出す作業と、計数調剤後に薬剤パックを薬剤保管庫に格納する作業とは自動化される。これにより薬剤師の労力は軽減される。
【0007】
しかしながら我が国では、関係法令の規定により、計数調剤は薬剤師の監督下において行う必要がある。薬剤を患者に受け渡す際には、依然として薬剤師が監査(処方監査および調剤監査)を行う必要があり、薬剤を予め小口の包装単位で準備して再包装しておくことはなされていない。併用処方が可能な複数の薬剤を同じパック内に再包装することもなされていない。仮に、併用処方が可能な薬剤を予め小分けして同じパック内に再包装しておけば、薬剤師の労力がより軽減されることが期待される。薬剤師の労力をより軽減するために、薬剤を大口の包装単位から小口の包装単位に予め小分けして再包装しておき、その小分けした再包装のパックを、自動化された薬剤保管庫において取り扱うことを可能にすることが求められている。
【0008】
本発明の目的は、自動化された薬剤保管庫において取り扱うことが可能な、数量が分割されて再包装される薬剤を包装する包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明は、例えば以下に示す態様を含む。
(項1)
包装容器の寸法を読み取るための読み取り光を遮る光遮断領域が表面に設けられており、
数量が分割されて再包装される薬剤に関する再包装薬剤情報に関連する情報コードが表示されている、前記薬剤を包装する透明な包装容器。
(項2)
前記再包装薬剤情報は、包装する薬剤の名称、数量、および有効期限に関する情報を含み、
包装する前記薬剤の前記名称および前記有効期限は、分割元の薬剤の名称および有効期限である、項1に記載の透明な包装容器。
(項3)
前記再包装薬剤情報は、分割元の薬剤の製造ロットおよび製造シリアル番号に関する情報の少なくともいずれかをさらに含む、項2に記載の透明な包装容器。
(項4)
前記薬剤の組み合わせに関する組み合わせ情報に基づいて組み合わされた、併用薬として再包装される複数の種類の前記薬剤のセットを包装する、項3に記載の透明な包装容器。
(項5)
前記包装容器は直方体であり、
前記光遮断領域は、前記直方体の対向する面の周縁部に配置されている項1から4のいずれか一項に記載の透明な包装容器。
(項6)
前記光遮断領域は、互いに対向する複数の位置に配置されている、項5に記載の透明な包装容器。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、自動化された薬剤保管庫において取り扱うことが可能な、数量が分割されて再包装される薬剤を包装する包装容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する重複した説明を省略する。
【0013】
図1および
図2は、本発明の一実施形態に係る包装容器の概略的な構成を示す斜視図である。包装容器の開封口が閉じられた状態を
図1に示し、開封口が開放された状態を
図2に示す。
【0014】
本発明の一実施形態に係る包装容器10(10A)は、再包装される薬剤91,92を包装する包装容器(パッケージ)である。包装容器10には、包装容器10の寸法を読み取るための読み取り光を遮る光遮断領域11(11A)が表面に設けられており、数量が分割されて再包装される薬剤91,92に関する再包装薬剤情報に関連する情報コード12が表示されている。
【0015】
調剤監査を行う際に薬剤師が包装容器10の内包物を確認することができるように、包装容器10は透明になっている。例示的には、包装容器10は直方体であり、透明な包装容器には、例えばポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0016】
包装容器10内に再包装される薬剤91,92は、大口の包装単位から数量が分割されて小分けされている。好ましくは、包装容器10は、併用薬として再包装される複数の種類の薬剤91,92のセットを包装する。複数の種類の薬剤91,92は、薬剤の組み合わせに関する情報(併用薬組み合わせ情報22)に基づいて組み合わされている。
【0017】
包装容器10の表面には光遮断領域11(11A)が設けられている。光遮断領域11は、包装容器10の寸法を読み取るための読み取り光(例えば赤外光)を遮る機能を有している。光遮断領域11には、例えば有色のテープまたはシールを用いることができる。光遮断領域11は、例示するようなテープまたはシール等の態様に限られず、光を遮ることが可能であれば良い。例えば透明な包装容器10の領域の一部に、印刷や吹きつけにより塗料を塗ることにより光遮断領域11を設けてもよいし、透明な包装容器10の領域の一部を、透明ではない有色の熱可塑性樹脂を用いて構成してもよい。
【0018】
好ましくは、光遮断領域11は直方体の対向する面の周縁部に配置される。好ましくは、光遮断領域11は、互いに対向する複数の位置に配置される。光遮断領域11は周縁部の全体に配置される必要はなく、周縁部の少なくとも一部に配置されていればよい。図示する例では、光遮断領域11は4箇所に配置されている。光遮断領域11は、直方体の上面においては、周縁部の左右の端部のそれぞれに配置され、直方体の底面においては、周縁部の左右の端部のそれぞれに配置されている。
【0019】
包装容器10には情報コード12が表示されている。情報コード12は、再包装される薬剤に関する情報(再包装薬剤情報23)に関連する情報コードである。好ましくは、再包装薬剤情報は、包装する薬剤の名称、数量、および有効期限に関する情報を含み、包装する薬剤の名称および有効期限は、分割元の薬剤の名称および有効期限である。好ましくは、再包装薬剤情報は、分割元の薬剤の製造ロットおよび製造シリアルに関する情報の少なくともいずれかをさらに含む。
【0020】
包装容器10には開封口13が設けられている。開封口13は開閉自在に構成されている。
図2に示すように、開封口13の蓋は跳ね上げて開放することができ、包装容器10内に薬剤91,92を出し入れすることができる。
【0021】
包装容器10を保管する際には、開封口13の意図しない開放を防ぐために、例えば剥がすと文字が浮き出る開封防止シールを用いて、開封口13を閉じておくことが好ましい。これにより、包装容器10の内包物が、表示されている情報コード12から取得される再包装薬剤情報の通りであることを保証することができる。
【0022】
図3〜
図5を参照して以下に説明するように、本発明の一実施形態に係る包装容器10では、包装容器10の表面に光遮断領域11が設けられている。これにより、調剤監査の要請により包装容器を透明にした薬剤の再包装(リパッケージ)品を、薬剤保管ロボット4により入庫および払出が自動化された薬剤保管庫5において取り扱うことが可能となる。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態に係る包装容器の使用態様を説明するための図であり、薬剤管理ネットワークの機能を説明するためのブロック図である。
【0024】
例示する薬剤管理ネットワーク1では、薬剤管理データベース2と、再包装支援システム3と、薬剤保管ロボット4とが、インターネットなどの通信ネットワークNWを介して接続されており、これらは互いに通信可能となっている。
【0025】
薬剤管理データベース2は、例えばクラウドサーバ上に設けられたデータベースであり、薬剤に関する情報を記録および管理する。再包装支援システム3は、例えば調剤薬局に設けられており、包装容器10に表示される情報コード12の作成を支援する。再包装支援システム3は、薬剤管理データベース2に記載されている薬剤に関する情報に基づいて、包装容器10に再包装する薬剤に関する再包装薬剤情報を作成する機能と、再包装薬剤情報を情報コード12として媒体に印刷する機能とを有する。薬剤管理データベース2および再包装支援システム3の詳細な機能については後述する。
【0026】
薬剤保管ロボット4は、薬剤保管庫5内に移動可能に設けられており、薬剤保管庫5内への包装容器10および薬剤パック9の入庫および払出を行う。薬剤保管庫5には、包装容器10や薬剤パック9が保管される。薬剤保管庫5内への包装容器10および薬剤パック9の入庫および払出は、薬剤保管ロボット4により自動化されており、薬剤保管ロボット4および薬剤保管庫5は、自動化された薬剤保管庫として機能する。薬剤保管ロボット4および薬剤保管庫5は、例えば調剤薬局に配置されている。
【0027】
薬剤パック9は、例えば標準的なブリスターボックスまたはボトルの形態であり、医薬品流通業者から医療機関等へ納入される包装単位の薬剤を包装している。
図1および
図2を参照して説明するように、包装容器10には薬剤が小分けされて再包装されている。包装容器10に再包装する薬剤には、薬剤パック9内に包装されている薬剤を用いることができる。
【0028】
例示する薬剤管理ネットワーク1では、さらに自動薬剤受取機6が通信ネットワークNWに接続されている。自動薬剤受取機6は、人を介さずに薬剤を受け取ることを可能とする装置である。自動薬剤受取機6は例えば調剤薬局に配置される。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態に係る包装容器の使用態様を説明するための模式的な図であり、包装容器を薬剤保管庫へ入庫する際の作業を説明するための図である。
【0030】
薬剤保管庫5には、薬剤搬入搬出口51と、情報コード読み取り部52と、ベルトコンベア53と、寸法測定部54とが設けられている。情報コード読み取り部52は例えば赤外線センサにより構成されており、寸法測定部54は、例えば赤外光による光学センサにより構成されている。
【0031】
まずは、薬剤パック9を薬剤保管庫5へ入庫する際の作業を説明する。次に、再包装される薬剤を包装している透明な包装容器10を薬剤保管庫5へ入庫する際の作業を説明する。
【0032】
薬剤パック9は、薬剤搬入搬出口51を通じて薬剤保管庫5内へ入庫される。医薬品流通業者から医療機関等へ納品される薬剤パック9には、包装している薬剤に関する情報が、例えばGS1コードを用いて表示されている。オペレータ(例えば薬剤師)は、薬剤パック9に表示されているGS1コードを情報コード読み取り部52にかざす。GS1コードには、薬剤パック9内に包装されている薬剤の名称に関する情報(アイテムコード)、有効期限、ロット番号、シリアル番号および数量の情報が含まれている。これにより、薬剤パック9内に包装されている薬剤に関する情報(薬剤情報21)が、通信ネットワークNWを通じて薬剤管理データベース2に記録される。
【0033】
次に、オペレータは薬剤パック9をベルトコンベア53上に載置する。薬剤パック9はベルトコンベア53によって薬剤搬入搬出口に向かって搬送され、薬剤搬入搬出口51の手前に配置された寸法測定部54により、薬剤パック9の三辺の寸法が測定される。薬剤パック9のパッケージは、ブリスターボックスまたはボトルの形態であり、透明ではない有色の熱可塑性樹脂または紙等を用いて包装されているため、三辺の寸法は適切に測定することができる。その後、薬剤パック9は、薬剤保管ロボット4によって、薬剤保管庫5内の決定された適切な棚の領域へ保管される。
【0034】
再び
図4を参照する。透明な包装容器10についても薬剤パック9と同様に、薬剤搬入搬出口51を通じて薬剤保管庫5内へ入庫される。オペレータは、包装容器10に表示されている情報コード12を情報コード読み取り部52にかざす。これにより、包装容器10内に包装されている薬剤に関する情報(再包装薬剤情報23)が、通信ネットワークNWを通じて薬剤管理データベース2に記録される。
【0035】
次に、オペレータは包装容器10をベルトコンベア53上に載置する。包装容器10はベルトコンベア53によって薬剤搬入搬出口51に向かって搬送され、薬剤搬入搬出口51の手前に配置された寸法測定部54により、包装容器10の三辺の寸法が測定される。包装容器10の保管に適切な薬剤保管庫5内の棚の領域は、測定された三辺の寸法に基づいて薬剤保管ロボット4により決定される。その後、包装容器10は、薬剤保管ロボット4によって、薬剤保管庫5内の決定された適切な棚の領域へ保管される。
【0036】
包装容器10には光遮断領域11が設けられている。これにより、薬剤師による調剤監査を行うために包装容器10を透明にしていても、寸法測定部54は包装容器10の三辺の寸法を適切に測定することが可能となる。透明な包装容器10の寸法を適切に測定することが可能になると、入庫および払出が自動化された薬剤保管庫5において、透明な包装容器10を取り扱うことが可能となる。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に係る包装容器の使用態様を説明するための写真であり、薬剤保管庫内の一例を示す写真である。
【0038】
薬剤保管庫5内には、包装容器10および薬剤パック9等の薬剤の箱を保管する棚が設置されている。棚の領域と薬剤保管庫5内に保管されている薬剤の箱との対応関係は、データベースとして例えば薬剤保管ロボット4が記憶している。薬剤保管庫5内に配置されている薬剤保管ロボット4は、データベースとして記憶している対応関係に基づいて棚にアクセスし、棚に保管されている包装容器10および薬剤パック9等の薬剤の箱を取り出すことができる。
【0039】
このように、薬剤保管庫5内への包装容器10および薬剤パック9の入庫および払出は、薬剤保管ロボット4により自動化されており、薬剤保管ロボット4および薬剤保管庫5は、自動化された薬剤保管庫として機能する。薬剤保管ロボット4および薬剤保管庫5としては、例えば日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製のBD Rowa Vmaxシステムを用いることができるが、これらに限定されることはない。
【0040】
図6は、本発明の一実施形態に係る包装容器の使用態様を説明するための写真であり、自動薬剤受取機の一例を示す写真である。
【0041】
自動薬剤受取機6には、バーコード読み取り部61と薬剤払出口62とが設けられている。自動薬剤受取機6は、包装容器10および薬剤パック9等の薬剤の箱を内部に収容することができる。自動薬剤受取機6には、薬剤師による監査(処方監査および調剤監査)と、薬剤の箱と患者のID等との対応付けとが済んだ薬剤の箱が収容される。薬剤の箱を薬剤保管庫5から自動薬剤受取機6内部へ移送する手段には、例えば薬剤保管ロボット4を用いることができる。この場合、薬剤保管庫5と自動薬剤受取機6との間には、例えば搬送用のベルトコンベアが設けられる。
【0042】
自動薬剤受取機6の内部に収容されている薬剤の箱は、例えば患者のID等を示すバーコードをバーコード読み取り部61にかざすことにより、薬剤払出口62に払い出される。これにより、患者は人を介さずに薬剤を受け取ることができる。自動薬剤受取機6としては、例えば日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製のピックアップターミナルを用いることができるが、これに限定されることはない。
【0043】
図3を再び参照して、薬剤管理データベース2および再包装支援システム3について説明する。以下に説明する態様では、複数の薬剤パック9内に包装されている複数の種類の薬剤を用いて、併用処方が可能な薬剤の組み合わせに関する情報に基づいて、包装容器10へ薬剤を再包装する。包装容器10内に再包装される薬剤は、併用処方が可能な薬剤のセットである。
【0044】
薬剤管理データベース2には、例えばデータベースとして、薬剤情報21と、組み合わせ情報22と、再包装薬剤情報23とが設けられる。薬剤情報21は、薬剤パック9が包装する薬剤に関する情報を含んでいる。組み合わせ情報22は、併用処方が可能な薬剤の組み合わせに関する情報を含んでいる。再包装薬剤情報23は、包装容器10が再包装する薬剤に関する情報を含んでいる。これら薬剤情報21、組み合わせ情報22および再包装薬剤情報23の一例を、後述する表1に示す。
【0045】
再包装支援システム3は、再包装支援装置31と、情報コード印刷機32とを備える。
【0046】
再包装支援装置31は、調剤薬局を含む医療機関等における薬剤の再包装を支援する装置であり、汎用のコンピュータで構成することができる。再包装支援装置31は、ハードウェア構成として、キーボードやマウスなどの入力装置、液晶ディスプレイなどの表示装置、CPUやMPUなどの演算処理装置、DRAMやハードディスクなどの記憶装置を備えている。
【0047】
情報コード印刷機32は、再包装支援装置31によって作成される再包装薬剤情報23を、情報コード12として媒体に印刷する装置であり、印刷機で構成することができる。情報コード12には、バーコード等の一次元コードやQRコード(登録商標)等の二次元コードを用いることができる。媒体は、裏面に粘着層を有するシールが好ましい。
【0048】
再包装支援装置31は、機能ブロックとして、組み合わせ情報確認部311と、再包装薬剤情報作成部312と、薬剤入出庫管理部313とを備える。これらの各部は、記憶装置に記憶された再包装支援プログラムを演算処理装置が実行することにより実現される。再包装支援プログラムは、通信ネットワークNWを介して再包装支援装置31にダウンロードしてもよいし、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に再包装支援プログラムを記録しておき、当該記録媒体を介して再包装支援装置31にインストールしてもよい。
【0049】
組み合わせ情報確認部311は、組み合わせ情報22の内容を薬剤師に確認させる機能を有している。再包装薬剤情報作成部312は、薬剤師による確認を受けた組み合わせ情報22に基づいて、再包装する薬剤に関する再包装薬剤情報23を作成する機能を有している。薬剤入出庫管理部313は、組み合わせ情報22に基づいて、薬剤保管ロボット4に、再包装に用いる薬剤パック9の払出および再入庫を指示する機能を有している。
【0050】
表1を参照して、包装容器10内に薬剤を包装して再包装(リパッケージ)品を作成する手順の一例を説明する。表1は、薬剤管理データベース2にデータベースとして設けられている、薬剤情報21、組み合わせ情報22および再包装薬剤情報23の一例である。
【表1】
【0051】
以下に説明する一例では、薬剤師は、組み合わせ情報22に組み合わせの名称Repαで示されている、併用処方が可能な2種類の薬剤NamA,NamBを組み合わせて包装する併用薬の再包装品を作成する。
【0052】
組み合わせ情報確認部311は、薬剤管理データベース2に記録されている組み合わせ情報22の内容を再包装支援装置31の表示装置に表示させ、薬剤師に閲覧させる。薬剤師は、表示されている組み合わせ情報22の内容のうち、作成を希望する再包装品について、組み合わせの名称Repα、構成薬剤の名称NamA,NamBおよび薬剤の指定数量DqtA,DqtBを確認する。確認後、問題が無いと薬剤師が判断すれば、作成を希望する再包装品の名称Repαを選択し、問題が無いことを示すボタン(OKボタンなど)を押下する。
【0053】
薬剤入出庫管理部313は、薬剤情報21を参照し、薬剤師が作成を希望した名称を有する薬剤が包装されている薬剤パック9の払出を、薬剤保管ロボット4に指示する。薬剤保管ロボット4は、名称NamAの薬剤が包装されている薬剤パック9と、名称NamBの薬剤が包装されている薬剤パック9とを、薬剤保管庫5内の棚から取り出して、
図4に示す薬剤搬入搬出口51を通じて薬剤師へ払い出す。薬剤師は、薬剤保管庫5から払い出されたそれぞれの薬剤パック9内から薬剤NamA,NamBを取り出して、指定数量DqtA,DqtB分のそれぞれの薬剤を包装容器10内に包装する。
【0054】
なお、薬剤情報21の薬剤数量QtyA,QtyBは、薬剤保管庫5から払い出されたそれぞれの薬剤パック9を薬剤保管庫5へ再入庫する際に、組み合わせ情報22の指定数量DqtA,DqtB分だけ減算して記録される。例えば、薬剤数量を指定数量分だけ減算して更新した薬剤情報21のレコードの一時的なデータを、情報コード印刷機32を用いて情報コードとしてシールに印刷しておき、そのシールを、それぞれの薬剤パック9のGS1コードが表示されている領域に貼り付けておく。
図4を参照して説明するように、これら薬剤パック9を薬剤保管庫5へ再入庫する際に、シールに印刷されている情報コードを情報コード読み取り部52にかざして読み取ることにより、更新された薬剤数量の薬剤情報21が、薬剤管理データベース2に記録される。
【0055】
再包装薬剤情報作成部312は、再包装する薬剤に関する再包装薬剤情報23を作成する。再包装薬剤情報作成部312は、薬剤師が作成を希望した再包装品のデータ項目について、薬剤情報21および組み合わせ情報22に基づいて、再包装薬剤情報23として記録するためのレコードの一時的なデータを作成する。この時点において再包装薬剤情報作成部312が作成する再包装薬剤情報23のレコードのデータは、情報コード12として一時的に出力するためのデータである。作成した再包装薬剤情報23のレコードが薬剤管理データベース2に記録されるタイミングは、包装容器10を薬剤保管庫5内に入庫する際に、情報コード12が読み取られるタイミングである。
【0056】
説明する一例では、薬剤師が作成を希望する再包装品は、2種類の薬剤NamA,NamBを組み合わせて包装する併用薬の再包装品であるため、再包装薬剤情報23のレコードの一時的なデータとして、2種類の薬剤に対応する2つのレコードNo.1,2のデータを作成する。
【0057】
具体的には、再包装薬剤情報23の2つのレコードNo.1,2について、再包装品の名称Repα、構成薬剤の名称NamA,NamBおよび薬剤数量DqtA,DqtBのデータ項目が、組み合わせ情報22の該当するレコードNo.1,2のデータ項目から複製して作成される。同様に、有効期限ExpA,ExpBおよび製造ロット番号LotA,LotBのデータ項目が、薬剤情報21の該当するレコードNo.1,2のデータ項目から複製して作成される。
【0058】
なお、再包装薬剤情報23が有する同一包装識別番号のデータ項目は、薬剤保管庫5内の一つの包装容器10に付される識別番号である。例えばRepαの名称を有する再包装品は、2種類の薬剤NamA,NamBを同一の包装容器10内に包装しているので、レコードNo.1,2の同一包装識別番号のデータ項目には、同じ識別番号Rep0001が付されている。また、レコードNo.6,7に示すように、レコードNo.1,2と同じ再包装品の名称Repαを有するレコードであっても、別の包装容器10を用いて作成されている再包装品のレコードについては、同一包装識別番号のデータ項目には、レコードNo.1,2の識別番号Rep0001とは異なる識別番号Rep0003が付されている。
【0059】
一時的に出力するための再包装薬剤情報23のレコードのデータが作成されると、薬剤師は、情報コード印刷機32を用いて、作成を希望する再包装品に関する再包装薬剤情報23のレコードNo.1,2の情報を、情報コード12としてシール等に印刷する。印刷された情報コード12のシールは、
図1に示すように、包装容器10の表面に貼り付けられる。その後、情報コード12のシールが貼り付けられた包装容器10は、
図4を参照して説明するように、患者への提供のために薬剤保管庫5内へ再入庫される。一時的なデータとして作成した再包装薬剤情報23のレコードNo.1,2の内容は、このタイミングで薬剤管理データベース2に記録される。
【0060】
以上、本発明によると、自動化された薬剤保管庫5において取り扱うことが可能な、数量が分割されて再包装される薬剤を包装する包装容器10を提供することができる。
【0061】
本発明の一実施形態に係る包装容器10では、包装容器10の表面に光遮断領域11が設けられている。これにより、薬剤師による調剤監査を行うために包装容器10を透明にしていても、包装容器10の三辺の寸法を適切に測定することが可能となり、調剤監査の要請により包装容器を透明にした薬剤の再包装(リパッケージ)品を、薬剤保管ロボット4により入庫および払出が自動化された薬剤保管庫5において取り扱うことが可能となる。薬剤師は、予め小分けしておいた薬剤が再包装されている包装容器10を、そのまま患者に受け渡すことが可能となる。包装容器10は透明であり、薬剤を患者に受け渡す際に行われる薬剤師による監査にも支障は生じない。
【0062】
本発明の一実施形態に係る包装容器10では、包装容器10に情報コード12が表示されている。情報コード12によって表される薬剤に関する情報(再包装薬剤情報23)は、包装している薬剤の名称、数量および有効期限を含み、分割元の製造ロット番号をさらに含むことができる。分割元の製造ロット番号は、例えば調剤薬局のデータベースにおいて、患者の情報(氏名および住所等の連絡先に関する情報)と対応付けて記録しておくことができる。これにより、包装容器10に再包装されている薬剤であっても、薬剤パック9に内包されている薬剤と同様に、薬剤を投与した患者の情報を、当該薬剤の製造ロット番号を用いて調剤薬局のデータベースから検索することが可能となり、薬剤のトレーサビリティを実現することができる。なお、分割元の製造ロット番号は、調剤薬局のデータベースにデータとして記録しておくだけではなく、例えば情報コードの形態でシール等に印刷しておき、患者のお薬手帳にシールを貼り付けることにより保管しておいてもよい。
[その他の形態]
【0063】
以上、本発明を特定の実施形態によって説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0064】
図7に示すように、本発明の他の実施形態に係る包装容器10(10B)では、さらなる光遮断領域11(11B)が配置されている。図示する例では、さらなる光遮断領域11Bは4箇所に配置されている。光遮断領域11Bは、直方体の前面側面においては、周縁部の左右の端部のそれぞれに配置され、直方体の後面側面においては、周縁部の左右の端部のそれぞれに配置されている。
【0065】
上記実施形態では、再包装薬剤情報23は、分割元の薬剤の製造ロット番号を含んでいるが、製造ロット番号に代えて、分割元の薬剤の製造シリアル番号を含んでいてもよく、製造ロット番号および製造シリアル番号の両方を含んでいてもよい。再包装薬剤情報23は、分割元の薬剤の製造ロットおよび製造シリアルに関する情報の少なくともいずれかを含むことができる。
【0066】
上記実施形態では、再包装支援システム3、薬剤保管ロボット4および薬剤保管庫5は、調剤薬局に配置されているが、これらの配置場所は例示する調剤薬局に限定されない。再包装支援システム3、薬剤保管ロボット4および薬剤保管庫5は、例えば総合病院やクリニック等の種々の医療機関に配置してもよい。同様に、上記実施形態では、薬剤管理データベース2はクラウドサーバ上に設けられているが、薬剤管理データベース2は、調剤薬局等を含む医療機関に配置されたサーバコンピュータ上に設けてもよい。
【0067】
上記実施形態では、剥がすと文字が浮き出る開封防止シールを用いて包装容器10の開封口13を閉じているが、開封防止シールを貼り付ける対象は、包装容器10に限定されない。開封防止シールは、一度開封した薬剤パック9の蓋を閉じるために、薬剤パック9に貼り付けてもよい。また、薬剤パック9の蓋および包装容器10の開封口13は、開封防止シールに代えて例えば低粘着性のテープ等を用いて閉じてもよい。例示的には、テープには含浸処理加工紙を用いることができる。含浸処理加工紙は、表面にちりめん状の皺を有するクレープ紙という薄い紙に、ニカワ、天然ゴムおよび合成ゴム等を含浸させることにより製造されている。含浸処理によりテープ表面の滑り性が向上することにより、たとえテープが薬剤パック9の蓋以外の領域や包装容器10の開封口13以外の領域にわたって貼り付けられた場合であっても、薬剤パック9および包装容器10を棚等に載置する際に、テープが棚の表面に引っ掛かることを防止することができる。
【解決手段】薬剤91,92を包装する透明な包装容器10であり、包装容器10の寸法を読み取るための読み取り光を遮る光遮断領域11が表面に設けられており、数量が分割されて再包装される薬剤91,92に関する再包装薬剤情報に関連する情報コード12が表示されている。薬剤師による調剤監査を行うために包装容器10を透明にしていても、包装容器10の表面に光遮断領域11が設けられていることにより、包装容器10の三辺の寸法を適切に測定することが可能となり、入庫および払出が自動化された薬剤保管庫において透明な包装容器10を取り扱うことが可能となる。