【実施例】
【0012】
図1において、Aは内容液を充填する容器本体、Bは容器本体Aの口部1に装着されるキャップ本体、Dはキャップ本体BにヒンジCを介して開閉可能に取り付けられた蓋体である。
【0013】
容器本体Aは、
図1に示すように、口部1から、図示しない肩部、胴部および底部が上から順に形成された有底筒状をなしており、口部1の外周面には、嵌合突条2が形成されている。
また、容器本体Aは、スクイズ(押圧)変形可能な外層体3と、外層体3の内側で外層体3に対して剥離可能に積層された内層体4とを有する積層剥離容器として形成され、口部1は、外層体3の口部の上端面3aに内層体4の口部の上端部4aが積層されている。
【0014】
この積層剥離容器は、外層体3に、内層体4との間に外気を吸入する図示しない外気吸入孔が設けられ(例えば、底部)、容器本体Aの胴部がスクイズされると、内容液が注出キャップから外部に注出される一方、胴部のスクイズが解除された後は、外気吸入孔から外層体3と内層体4との間に外気が吸入されて内層体4を減容変形させたまま胴部(外層体3)が復元する。なお、図示しないが、外層体3と内層体4との間には、接着層を設けなくても、接着層(軸方向に少なくとも1本)を設けてもよい。
これにより、注出された内容液と置換されて内層体4の内部に外気が吸入されることを防止して、内容液の外気との接触を抑制して、その品質を維持することができる。
また、容器本体Aは、内容器と外容器とからなる二重容器であってもよい。
【0015】
キャップ本体Bは、
図1および
図2に示すように、容器本体Aの口部1外周に装着される円筒状の外筒部10と、外筒部10の上端から内方に延設され、口部1の開口を封鎖する略円板状の天壁部11と、天壁部11の下面から垂設され、口部1の内周面に当接するシール筒部12と、天壁部11の中心からヒンジCと反対側に偏った位置に開口された注出口11aと、注出口11aから立設された注出筒13を備えている。
【0016】
外筒部10の内周面下部には、打栓後に容器本体Aの口部1の嵌合突条2の下部に係合する嵌合突部14が設けられている。
天壁部11の外周縁には、後述する蓋体Dの係合凹部32と係合して閉蓋を維持する蓋係合部15が形成されている。
注出筒13は、下方から上方に向けて徐々に拡径し、先端部は、内容液を注出し易くするために湾曲して広がっている。
【0017】
天壁部11には、注出筒13から下方に向けて容器本体A内と連通する連通筒20が形成されている。
連通筒20は、上から順に、下方に向かうに従って緩やかに縮径する第1テーパ部21と、第1テーパ部21の下端部から下方に向かうに従って急激に縮径する第2テーパ部22と、第2テーパ部22の下端部から下方に向けて突出したストレート部23とで二段筒状に形成されている。
【0018】
連通筒20内には、上下動自在に移動可能な弁体24が収容されており、弁体24は、球状のボール弁として形成されており、材質は、樹脂や金属から適宜選択できるが、本実施例では、樹脂製としている。
第1テーパ部21の内径は、弁体24の直径よりも大きく形成されているのに対して、ストレート部23の内径は、弁体24の直径よりも小さく形成されることにより、第2テーパ部22の内周面は、弁体24が上方に向けて離反可能に着座する弁座部22aとして機能し、また、ストレート部23の内側は、注入孔25として機能する。
【0019】
連通筒20は、第1テーパ部21の内周面に、弁体24を上下動自在に案内する複数の案内リブ26が設けられている。
これらの案内リブ26は、周方向に間隔をあけて配置されており、第1テーパ部21の内周面から径方向内側に向かって突設されるとともに、その軸線(上下)方向に沿って縦長に形成されている。
本実施例では、
図2に示すように、案内リブ26は、周方向に等間隔で3つ形成され、第2テーパ部22の内周面の上側部分に達するように下方に向けて延びているが、案内リブ26は、第1テーパ部21の内周面だけに形成することもできる。
このように、案内リブ26の形成範囲としては、弁体24の着座領域が適切に確保できれば、第2テーパ部22の上側部分を含んでいても構わない。
【0020】
案内リブ26の上端部には、径方向内側に向かって突出し、案内リブ26に対して弁体24が上方に離脱することを規制する規制突起27が形成され、規制突起27の位置は、天壁部11よりも上方に設定されている。
複数の案内リブ26が連通筒20内に形成されていることによって、弁体24は、案内リブ26の内側で安定に支持されながらスムーズに上下動するように案内されるとともに、規制突起27によって上方への抜けが規制されている。
すなわち、規制突起27は、連通筒20内と注出筒13内とを連通させた状態で、弁体24が移動ストロークsの範囲で上下動するように規制している。
【0021】
さらに、周方向に隣り合う案内リブ26間の隙間は、容器本体A内から注入孔25を通じて連通筒20内に流入した内容液が流通する流通路28として機能している。
これにより、内容液は、弁体24によって流れが阻害されることなく、注出筒13に達する。
【0022】
蓋体Dは、頂壁30と、頂壁30の周縁から垂設された側周壁31とを備え、側周壁31の外周下端部とキャップ本体Bの外筒部10の外周上端部とが、ヒンジCを介して一体に連結されている。
側周壁31の内周下端部に周設された係合凹部32は、キャップ本体Bの天壁部11の外周縁に形成された蓋係合部15と係合することにより蓋体Dを閉蓋状態に維持する。
【0023】
側周壁31のヒンジCと反対側の外周には、径方向外側に向けて突出した指掛け部33が形成され、この指掛け部33を利用することによって、蓋体DをヒンジC回りに回動して、蓋体Dを容易に開閉することができる。
【0024】
頂壁30には、内面から下方に向けて、密封リング34が垂設され、密封リング34の外周は、注出筒13の内周上部をシールしている。
密封リング34は、連通筒20の天壁部11より上方に設けられた規制突起27と干渉しないように、従来のものより短く形成されているので、注出筒13の内側と密封リング34の外周との間の空間を少なくすることができる。
【0025】
さらに、密封リング34の内側には、頂壁30内面から下方に向けて突出した円柱状の押圧ボス35が密封リング34の軸線と同軸に形成されている。
押圧ボス35は、密封リング34と注出筒13のシールを注出筒13の上端部で行うことができるので、押圧ボス35の長さを従来よりも短く形成することが可能となる。
したがって、注出筒13先端部の口径を小さくすることができ、注出筒13の形状を円筒状にすることができる。
仮に、押圧ボス35が長いと、注出筒13先端部の口径が小さいか、または注出筒13が円筒状であった場合、蓋体Dを開閉する軌跡の関係で、押圧ボス35の先端部が注出筒13にぶつかってしまうので、押圧ボス35が長い場合には、注出筒13の平面形状を楕円状にしたり、注出筒13先端部の口径を大きめにする必要がある。
この押圧ボス35の先端部は、
図1からもわかるように、密封リング34よりも下方で、閉蓋時に規制突起27よりも下方に位置するように突出しており、例えば、咬み込み等によって規制突起27に弁体24が貼り付いたままの状態となったとしても、弁体24を上方から押圧して規制突起27から強制的に離脱させるように機能する。
【0026】
なお、弁体24の表面と弁座部22aの表面との間には、内容液を保持する微細な隙間が設けられていてもよく、微細な隙間は、弁体24の表面と弁座部22aの表面のうち少なくとも一方に設けられた凹部または凸部であっても構わない。
【0027】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、開蓋状態で一体成形した後、キャップ本体Bの注出筒13から規制突起27を外方に変形しながら、連通筒20内に弁体24を挿入して、その後、蓋体DをヒンジCの回りに回動し、キャップ本体Bに被せ、閉蓋する。
【0028】
次に、
図1に示すように、閉蓋したヒンジキャップは、内容液が充填された容器本体Aの口部1に打栓して装着される。
打栓工程は、外筒部10とシール筒部12との間に形成された環状溝に容器本体Aの口部1を当てがい、蓋体Dの上から押圧力が加えられ、外筒部10の嵌合突部14が口部1の嵌合突条2を乗り越えて嵌合し、容器本体Aの口部1がシール筒部12の外周と外筒部10の内周と天壁部11の下面によって挟持されることで装着される。
【0029】
なお、本実施例では、ヒンジキャップの装着は、打栓によりシール筒部12の外周と外筒部10の内周と天壁部11の下面とによって容器本体Aの口部1を狭持するものとしたが、容器本体Aの口部1の外周に雄ネジを形成するとともに、外筒部10の内周に雌ネジを形成することによって螺着するものであっても構わない。
【0030】
内容液を注出するには、まず、蓋体Dの指掛け部33に手指を掛け、ヒンジC回りに回動させて開蓋し、密封リング34から注出筒13を開放する。その後、容器本体Aの口部1が下向きとなるように、容器本体Aを傾けるとともに、胴部をスクイズして弁体24を、その自重や容器本体A内(内層体4内)の圧力を利用して弁座部22aから離間させ、容器本体A内と連通筒20内とを連通させる。
【0031】
これにより、容器本体A内が連通筒20内を通じて注出筒13内に連通するので、容器本体A内に充填されている内容液は、注入孔25および連通筒20内を通じて注出筒13から注出される。
このとき、内容液は、連通筒20内の周方向に隣り合う案内リブ26間の隙間である流通路28を通じて注出筒13に達するので、弁体24によって流れが阻害されることもなく、内容液を注出筒13からスムーズに注出することができる。
なお、弁座部22aから離間した弁体24は、案内リブ26の規制突起27に接するので、これ以上の移動が規制され、連通筒20内から抜け落ちることがない。
【0032】
その後、口部1が上方を向くように容器本体Aを正立姿勢に戻すとともに、容器本体Aをスクイズ変形を解除すると、弁体24は、自重や、容器本体Aの復元変形に伴う容器本体A内の減圧等によって、弁座部22a上に再び着座する。
このとき、弁体24が規制突起27に貼り付いたままの状態となったとしても、その後、蓋体Dを閉蓋する際に、押圧ボス35が弁体24を上方から押圧して規制突起27から強制的に離脱させることができる。
これにより、容器本体A内と連通筒20内との連通を遮断して、内容液の注出を停止することができる。
【0033】
このとき、連通筒20内の規制突起27の位置を天壁部11よりも上方としたことにより、弁体24の移動ストロークsが長くなり、注出筒13の先端部付近に残留した内容液を弁体24の下降移動に伴うサックバックにより、容器本体A内に引き込む量を多くすることができ、注出筒13からの液だれを効果的に抑えることができる。
このように、弁体24による連通、遮断の切り換えを適切に行いながら、内容液を確実に注出することができる。
【0034】
なお、前述したように、スクイズ変形を解除すると、容器本体Aの外層体3は、復元変形しようとする。
このとき、弁体24が連通筒20の弁座部22aに着座して、内層体4が密封されると、内層体4内に外気が侵入できないことから、外層体3と内層体4との間に負圧が発生し、外層体3に形成された外気吸気孔を通して外気が外層体3と内層体4との間に吸入される。
このように、外層体3と内層体4との間に外気が吸入されることにより、内層体4の減容形状が保持される。
【0035】
その後、蓋体DをヒンジC回りに回動させて閉蓋すると、密封リング34は、注出筒13の内周をシールする。
このとき、弁体24は、連通筒20の弁座部22a上に着座しており、弁体24と弁座部22aに前述した微細な隙間が形成されている場合には、注出筒13をシールするに際し、密封リング34が注出筒13の内周に嵌合したときに、連通筒20内の圧力が高められそうになっても、この内圧を微細な隙間を通して容器本体A内(内層体4内)に逃がし易くすることができる。