【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明の手段は、複層立体トラス架構の任意の隣接2節点間を繋ぐトラス構面を構成する2本の弦材が同一平面内にない場合であって、以下の構成を含むトラスの組立て構造である。
【0015】
(i)節点束材に接続されるラチス材のラチス取付けプレートの面は、前記節点束材の部材軸と、その節点束材の一端または中間部に接続される前記ラチス材の部材軸と、前記節点束材の他方の端部に接続される前記2本の弦材どちらか一方の部材軸と、を3辺とする三角形で決定される平面に対して前記ラチス材の部材軸を共有し、かつ前記トラス構面の捩じり回転軸に直交する平面と直交交差する平面に含まれている。
【0016】
(ii) 前記節点束材に接続される前記ラチス材のラチス取付けプレートとは反対側のラチス取付けプレートは、その面を前記三角形で決定される平面に対して直交もしくは略直交するようにして、前記2本の弦材どちらか一方の部材中間部に取付けられている。
【0017】
(iii)前記節点束材の少なくとも一方の端部に、節点コア部材が設けられている。
(iv)前記2本の弦材の端部は、その内少なくとも1本の弦材の端部接合面と、その端部接合面に相対する前記節点コア部材に連続した弦材取付け部の接合面とが同一平面になるように、その弦材の部材軸回りに捩られて接合されている。
【0018】
また、本発明は、複層立体トラス架構の任意の隣接2節点間を繋ぐトラス構面を構成する2本の弦材が同一平面内にない場合であって、以下の構成を含む、トラスの組立て構造である。
【0019】
(i)節点束材の端部または中間部に接続されるラチス材のラチス取付けプレートの面は、前記節点束材の部材軸と、前記トラス構面の捩じり回転軸と、の交差軸で決定される平面に含まれており、かつ、前記ラチス取付けプレートと前記ラチス材との端部とを連結する連結プレートが、前記ラチス取付けプレートに直交もしくは略直交して設けられている。
【0020】
(ii)前記節点束材に接続される前記ラチス取付けプレートとは反対側のラチス取付けプレートは、その面を、前記節点束材の部材軸と、その節点束材の一端または中間部に接続されるラチス材の部材軸と、前記節点束材の他方の端部に接続される前記2本の弦材どちらか一方の部材軸と、を3辺とする三角形で決定される平面に対して直交もしくは略直交するようにして、前記2本の弦材どちらか一方の部材中間部に取付けられている。
【0021】
(iii)前記(ii)記載の部材中間部にラチス取付けプレートが取付けられた前記弦材の端部と、前記節点束材の他方の端部と、を接合する弦材ウェブ取付けプレートの面が、前記(i)記載の前記交差軸で決定される平面に含まれている。
【0022】
(iv)前記節点束材の両端部に節点コアプレートが設けられている。
(v)前記2本の弦材の端部は、その内少なくとも1本の弦材の端部接合面と、前記弦材の端部接合面に相対する前記節点コアプレートに連続した弦材フランジ取付けプレートの接合面、および前記節点束材に接続される前記ラチス材の前記ラチス取付けプレートもしくは前記弦材ウェブ取付けプレートの接合面と、がそれぞれ同一平面になるように、その弦材の部材軸回りに捩られて接合されている。
【0023】
また、本発明は、複層立体トラス架構の任意の隣接2節点間を繋ぐトラス構面を構成する2本の弦材が同一平面内になくかつ長さが異なる場合において、特に、節点
束材の中間部に複数のラチス材のラチス取付けプレートが集まって接続されるトラスの組立て構造であって、以下の構成を含むトラスの組立て構造である。
【0024】
(i)複数の前記ラチス取付けプレートのそれぞれの面は、前記節点束材の部材軸と、その節点束材の中間部に接続される前記各ラチス材の部材軸と、前記節点束材の端部に接続される前記2本の弦材どちらか一方の部材軸と、を3辺とする三角形で決定される平面に対して前記各ラチス材の部材軸をそれぞれ共有し、かつ前記トラス構面の捩じり回転軸に直交する平面と直交交差する平面に含まれている。
【0025】
(ii)前記節点束材の中間部に集まって接続された相隣接する前記ラチス取付けプレートは、それらの間に設けられた仕切りプレートを介して接合されている。
(iii)前記節点束材の中間部に接続される前記ラチス材のラチス取付けプレートとは反対側のラチス取付けプレートは、その面を前記三角形で決定される平面に対して直交もしくは略直交するようにして、前記2本の弦材どちらか一方の部材中間部に取付けられている。
【0026】
上記のように、トラス構面を構成する2本の弦材が同一平面内になくかつ長さが異なる場合の単純な形態として、例えば、上弦面と下弦面が平行な山形屋根架構の棟線上の節点に接合されかつ前記棟線に斜交するトラス構面があり、その上弦材と下弦材の部材軸は非平行でありかつ上弦材の方が下弦材よりも長い。自由曲面のトラス架構では、一般的に、トラス構面を構成する2本の弦材が同一平面内になくかつ長さが異なる。
【0027】
また、本発明
は、トラスの組立て構造において、弦材がT形部材等の時、前記ラチス材の少なくとも片方の端部が、前記節点束材に接続される前記ラチス取付けプレートもしくは前記弦材の部材中間部のウェブと重なる位置まで伸ばして接合される場合であって、前記ラチス材の端部側面と前記節点束材に接続される前記ラチス取付けプレート面もしくは前記弦材の部材中間部のウェブ面との干渉を避けるための隙間が設けられた状態にて、前記ラチス材の少なくとも片方の端部が、前記連結プレートもしくは前記2本の弦材どちらか一方の部材中間部に取付けられた前記ラチス取付けプレートに接合されること、を特徴とするトラスの組立て構造である。
【0028】
上記のような隙間を予め考慮しておけば、前記ラチス材の端部が、前記節点束材に接続される前記ラチス取付けプレートもしくは前記弦材の部材中間部のウェブと重なる位置まで伸ばして接合される場合において、製作精度があまり高くない場合でも、前記ラチス材と前記ラチス取付けプレートもしくは前記弦材の部材中間部のウェブとの干渉を避けることができる。
【0029】
なお、本発明に係るトラスの組立て構造が対象とする形態は、例えば
図15のタイプa〜gが考えられる。タイプ符号(例:a1とa2)の数字の違いは、ラチス材の向きが逆パターンであることを示す。図中の▽印はトラス構造への中間荷重作用点であり、2箇所以下に限定した場合である。また、弦材とラチス材(もしくは束材)との接合点(○印)近傍の数字は、その弦材に接合される部材数である。
【0030】
ラチス材と束材は、非平行な2本の弦材に接合され、なお且つ軸回りに捩られる弦材に接合されることもあるので、その弦材に接合される部材総数(=n)は少ない方が、トラス製作の加工時間短縮に繋がり望ましい。例えば、タイプaとbはn=4、タイプcとdはn=6、タイプeとfはn=8、タイプgはn=10となるので、トラス構造への中間荷重作用点が中央1箇所の場合、トラス製作上、タイプc、d2よりもタイプaまたはbが好ましいと言える。
【0031】
次に、本発明に係るトラスの組立て構造の組立て方法は、弦材がT形部材の場合において、
(i)2本のT形部材のフランジ同士を背合わせした状態、もしくはそのウェブの縁端同士が相対する状態で一対のT形部材とし、その両端部近傍を、一定の距離を置いて2箇所に設置された固定装置で掴み、
(ii)捩り装置を用いて、前記一対のT形部材の両端部を相対的に逆方向に回転させることにより、前記一対のT形部材に所定の角度まで捩り変形を与え、その後、捩り力を解除して捩り変形を残留させ、
(iii)その残留捩り角度を測定し、所定残留角度の許容範囲になるまで前工程(2)を繰り返す。
【0032】
(iv)残留捩り角度が所定残留角度の許容範囲に収まったことを確認して、固定装置から前記一対のT形部材を取外して終了する。
以上の部材加工工程を含む方法により予め作製されることを特徴とする、トラスの組立て構造の組立て方法である。
【0033】
また、本発明に係る別のトラスの組立て構造の組立て方法は、H形鋼等のH形断面部材(以下、H形部材と称す)からT形部材を製作する方法であって、
(i)H形部材の両端部近傍を、一定の距離を置いて2箇所に設置された固定装置で掴み、
(ii)捩り装置を用いて、前記H形部材の両端部を相対的に逆方向に回転させることにより、前記H形部材に所定の角度まで捩り変形を与え、その後、捩り力を解除して捩り変形を残留させ、
(iii)その残留捩り角度を測定し、所定残留角度の許容範囲になるまで前工程 (ii)を繰り返す。
【0034】
(iv)残留捩り角度が所定残留角度の許容範囲に加工されたH形部材を、加圧装置等を用いて強制的に捩り角度を0°まで変形を戻し、
(v)その状態にて、前記H形鋼部材のウェブを部材軸方向に、切断装置を用いて切断して、2本のT形部材に分割する。
以上の部材加工工程を含む方法により予め作製されることを特徴とする、トラスの組立て構造の組立て方法である。