(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(c)HLB値が15以上である非イオン性界面活性剤が、10個超のオキシエチレン単位を含むオキシエチレン化脂肪族アルコールから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有するジオールが、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0024】
鋭意検討した結果、発明者らは、組成物中のアンモニアに起因する悪臭を抑制することができ、取り扱いやすく、ケラチン繊維に、良好なブリーチ効果又はカラーリング効果等の良好な美容効果並びにケラチン繊維の良好な触感を付与することができる、好ましくはケラチン繊維のための、より好ましくは毛髪のための、O/W型エマルションの形態にある組成物を提供することが可能であることを見出した。
【0025】
換言すれば、発明者らによって、驚くことに、特定の成分の組合せを含むO/W型エマルションの形態にある特定の組成物は、組成物中のアンモニアに起因する悪臭を著しく減少させる又は抑制することができ、取り扱いやすく(例えば別の組成物と混合して均一な混合物を調製しやすく)、一方で、ケラチン繊維に、良好なブリーチ効果又はカラーリング効果等の良好な美容効果並びにケラチン繊維の良好な触感を付与することが、見出された。上記の組合せは、特別な乳化装置を一切必要とせず、したがって、本発明は、工業上、経済的である。
【0026】
そのため、本発明による組成物は、O/W型エマルションの形態にあり、
(a)少なくとも1種の脂肪族アルコールと、
(b)少なくとも1種の油と、
(c)HLB値が15以上である少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
(d)HLB値が5以下である少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有する少なくとも1種のジオールと、
(f)アンモニア、水酸化アンモニウム、アンモニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ剤と、
(g)水と
を含む。
【0027】
本明細書で以下に、本発明による組成物を、詳細に説明する。
【0028】
[脂肪族アルコール]
本発明による組成物は、(b)油とは異なる少なくとも1種の(a)脂肪族アルコールを含む。2種以上の脂肪族アルコールを使用してもよい。
【0029】
用語「脂肪」は、本明細書では、比較的多数の炭素原子が含まれることを意味する。そのため、4個以上の、好ましくは6個以上の、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。(a)脂肪族アルコールは、飽和又は不飽和であってもよい。(a)脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状であってもよい。(a)脂肪族アルコールは、モノアルコール又はポリアルコールであってもよく、好ましくはモノアルコールである。
【0030】
(a)脂肪族アルコールは、R-OH構造[式中、Rは、4〜40個の炭素原子、好ましくは6〜30個の炭素原子、より好ましくは12〜20個の炭素原子を有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される]を有していてもよい。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C
12〜C
20アルキル基及びC
12〜C
20アルケニル基から選択されてもよい。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0031】
(a)脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0032】
(a)脂肪族アルコールが飽和脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0033】
そのため、(a)脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC
6〜30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和のC
6〜30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和のC
12〜20アルコールから選択されてもよい。
【0034】
用語「飽和脂肪族アルコール」は、本明細書では、長鎖の飽和の脂肪炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪族アルコールが、直鎖状又は分枝状の、飽和のC
6〜C
30脂肪族アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の、飽和のC
6〜C
30脂肪族アルコールのうち、直鎖状又は分枝状の、飽和のC
12〜20脂肪族アルコールが好ましくは使用される。任意の、直鎖状又は分枝状の、飽和のC
16〜C
18脂肪族アルコールが、より好ましくは使用される。
【0035】
飽和脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール又はそれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)並びにベヘニルアルコールが、飽和脂肪族アルコールとして使用されることが可能である。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される(a)脂肪族アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びセテアリルアルコールから選ばれる。セテアリルアルコールがより好ましい。
【0037】
好ましくは、(a)脂肪族アルコールは、直鎖状の脂肪族アルコールである。
【0038】
(a)脂肪族アルコールは、オキシアルキレン化されていてもいなくてもよく、又はグリセロール化されていてもいなくてもよい。好ましくは、脂肪族アルコールは、アルコキシレン化もグリセロール化もされていない。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、(a)脂肪族アルコールの量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%の範囲でありうる。
【0040】
[油]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(b)油を含む。2種以上の油を使用してもよい。
【0041】
本明細書では、「油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体の形態にある、脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、美容製品中で一般に使用されるものが、単独で又はそれらの組合せで使用されうる。油は、揮発性であっても不揮発性であってもよく、好ましくは不揮発性である。油は、脂肪族アルコールを一切含まない。
【0042】
(b)油は、炭化水素油、シリコーン油又は類似のもの等の非極性油であってよく、植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油であってよく、又はそれらの混合物であってよい。
【0043】
(b)油が、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油及び炭化水素油からなる群から選択されることが好ましい。
【0044】
植物油の例として、例えば、亜麻仁油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、紅花油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ピーナッツ油及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0045】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0046】
合成油の例として、アルカン油、例えばイソデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、及び合成トリグリセリドを挙げることができる。
【0047】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26脂肪族モノ酸又はポリ酸の液体エステルであり、及び飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールの液体エステルであり、これらのエステルの総炭素数は10以上である。
【0048】
好ましくは、一価アルコールのエステルについて、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸のうちの少なくとも1つは、分枝状である。
【0049】
モノ酸のモノエステル及びモノアルコールのモノエステルのうち、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル等のミリスチン酸アルキル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0050】
C
4〜C
22ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、C
1〜C
22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C
4〜C
26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた使用されうる。
【0051】
具体的に挙げることができるのは、セバシン酸ジエチル、サルコシン酸イソプロピルラウロイル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ酢酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
【0052】
エステル油として、C
6〜C
30及び好ましくはC
12〜C
22脂肪酸と、糖とのエステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」が、幾つかのアルコール官能基を含有して、アルデヒド官能基又はケトン官能基を含み又は含まず、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することに留意されたい。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0053】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースが含まれる。
【0054】
脂肪酸の糖エステルは、特に、先に記載した糖類と、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC
6〜C
30及び好ましくはC
12〜C
22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物からなる群から選択されうる。それらの化合物が不飽和である場合、それらは、1〜3個の共役した又は共役していない炭素-炭素二重結合を有してよい。
【0055】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにそれらの混合物からも選択されうる。
【0056】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ココナツ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル又はそれらの混合物、例えば、特にオレオパルミチン酸エステル、オレオステアリン酸エステルとパルミトステアリン酸エステルとの混合エステル、並びにペンタエリスリチルテトラエチルヘキサン酸エステルであってよい。
【0057】
より具体的には、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0058】
挙げることができる例は、Amerchol社から名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品であり、これは、ジオレイン酸メチルグルコースである。
【0059】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0060】
エーテル油の例として、例えば、ジカプリリルエーテル及びジイソセチルエーテルを挙げることができる。
【0061】
合成トリグリセリドの例として、例えば、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0062】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0063】
好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサンから、特に液状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0064】
これらのシリコーン油は、オルガノ変性されていてもよい。本発明に従って使用されうるオルガノ変性シリコーンは、上で定義したシリコーン油であり、それらの構造中に、炭素水素系基を介して結合されている1つ又は複数のオルガノ官能基を含むシリコーン油である。
【0065】
オルガノポリシロキサンは、Walter Nollの「Chemistry and Technology of Silicones」(1968年)、Academic Press出版、で更に詳細に定義されている。オルガノポリシロキサンは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0066】
揮発性若しくは不揮発性のシリコーン油、例えば周囲温度で液体又はペースト状である、直鎖状又は環式のシリコーン鎖を含有する揮発性若しくは不揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、具体的にはシクロヘキサシロキサン等のシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン);ペンダントである又はシリコーン鎖の末端にある、2〜24個の炭素原子を有する、アルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を含有するポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート及びポリメチルフェニルシロキサンが使用されうる。
【0067】
炭化水素油は、以下から選択されうる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環式のC
6〜C
16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例としては、イソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる。
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、液状ワセリン(petroleum jelly)、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクワラン。
【0068】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、鉱物油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン(vaseline or petrolatum)、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0069】
(b)油が、室温で液体の形態にある炭化水素油から、より好ましくは鉱物油から選択されることが好ましい。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、(b)油の量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%の範囲でありうる。
【0071】
(a)脂肪族アルコール/(b)油の重量比が、5/1〜1/5、好ましくは3/1〜1/3、より好ましくは2/1〜1/2であることが好ましい。
【0072】
[HLB値が15以上である非イオン性界面活性剤]
本発明による組成物は、(c)HLB値が15以上である少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。2種以上の、それらのそれぞれがHLB値が15以上である非イオン性界面活性剤を使用してもよい。
【0073】
HLBとは、分子中の、親水性部分と親油性部分の間の比である。この用語HLBは、当業者には周知であり、「The HLB system. A Time-saving guide to emulsifier selection」(ICI Americas Inc.が出版、1984年)に記載されている。
【0074】
用語HLB(「親水性-親油性バランス」)は、当業者には周知であり、界面活性剤の親水性-親油性バランスを示す。
【0075】
本発明により使用される界面活性剤のHLB又は親水性-親油性バランスは、刊行物J. Soc. Cosm. Chem.、1954年(第5巻)、249〜256頁に定義されているGriffinによるHLBであり、又は実験的に定義されて、筆者F. Puisieux及びM. Seillerからの「Galenica 5: Les systemes disperses [Dispersed systems] -第I巻- Agents de surface et emulsions [Surface agents and emulsions] -第IV章- Notions de HLB et de HLB critique [Notions of HLB and of critical HLB]、153〜194頁-1.1.2.章、Determination de HLB par voie experimentale [Experimental determination of HLB]、164〜180頁」と題された刊行物に記載されているHLBである。
【0076】
(c)HLB値が15.0以上である非イオン性界面活性剤と、(c)HLB値が16.0以上、好ましくは17.0以上、より好ましくは18.0以上である非イオン性界面活性剤との組合せを使用することが有用である。
【0077】
非イオン界面活性剤は、それ自体では周知の化合物である[例えばこれに関しては、M. R. Porter、「Handbook of Surfactants」、Blackie & Son出版社(グラスゴー及びロンドン)、1991年、116〜178頁を参照されたい]。そのため、非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリエトキシル化、ポリプロポキシル化又はポリグリセロール化されている、例えば、8〜18個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有する、アルコール、α-ジオール、アルキルフェノール、及び脂肪酸のエステルから選択されることが可能であり、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数が20〜50の範囲であること、及びグリセロール基の数が20〜40の範囲であることが可能である。マルトース誘導体を挙げることもできる。非限定的に、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの脂肪族アルコールとの縮合物;例えば、20〜40のエチレンオキシド基を含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば、20〜40のグリセロール基を含む、ポリグリセロール化脂肪アミド;20〜40のエチレンオキシド基を含むソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物由来のエトキシル化油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロールの脂肪酸エステル;(C
6〜C
24)アルキルポリグリコシド;N-(C
6〜C
24)アルキルグルカミン誘導体、(C
10〜C
14)アルキルアミンオキシド又はN-(C
10〜C
14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド等のアミンオキシド;及びそれらの混合物も挙げることができる。
【0078】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤、例えばモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤、及びグリセロール化非イオン性界面活性剤、例えばモノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選ばれてもよい。オキシアルキレン単位は、より具体的には、オキシエチレン単位若しくはオキシプロピレン単位、又はそれらの組合せ、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0079】
挙げることができるオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下がある:
オキシアルキレン化(C
8〜C
24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、オキシアルキレン化C
8〜C
30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、オキシアルキレン化C
8〜C
30アミド、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、C
8〜C
30酸とポリエチレングリコールとのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、C
8〜C
30酸とソルビトールとのポリオキシアルキレン化エステル、
飽和若しくは不飽和の、オキシアルキレン化植物油、並びに
中でも、単独の又は混合物としての、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0080】
界面活性剤は、モル数が20から100の間、好ましくは20から70の間、より好ましくは20から40の間の、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有してもよい。有利には、非イオン性界面活性剤は、オキシプロピレン単位を一切含まない。
【0081】
本発明の好ましい一実施形態によれば、オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン化脂肪族アルコール(脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル)及びオキシエチレン化脂肪エステル(脂肪酸のポリエチレングリコールエステル)から選ばれてもよく、好ましくはオキシエチレン化脂肪族アルコールから選ばれる。
【0082】
(c)HLB値が15以上である非イオン性界面活性剤が、10個超のオキシエチレン単位、好ましくは15個のオキシエチレン単位、より好ましくは20個のオキシエチレン単位を含むオキシエチレン化脂肪族アルコールから選択されることが好ましい。
【0083】
挙げることができるオキシエチレン化脂肪族アルコールの例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に15〜50のオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると20〜40のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではラウレス-20からラウレス-40、例えばラウレス-20、ラウレス-23、ラウレス-25及びラウレス-30);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に15〜50のオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると20〜40のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではベヘネス-20からベヘネス-40); セテアリルアルコールのエチレンオキシド付加物(セテアリルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)、特に15〜50のオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると20〜40のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではセテアレス-20からセテアレス-40、例えばセテアレス-25及びセテアレス-33);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に15〜50のオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると25〜40のオキシエチレン基を含有するもの(例えばCTFA名ではセテス-25からセテス-40、例えばセテス-30);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に15〜50のオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると20〜40のオキシエチレン基を含有するもの(例えばCTFA名ではステアレス-20からステアレス-40、例えばステアレス-20、ステアレス-25及びステアレス-30);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に15〜50のオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると25〜50のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではイソステアレス-25からイソステアレス-50);オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に15〜50のオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると25〜40のオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではオレス-25からオレス-40、例えばオレス-30);並びにそれらの混合物が含まれる。
【0084】
挙げることができるオキシエチレン化脂肪エステルの例には、ラウリン酸の、パルミチン酸の、ステアリン酸の又はベヘン酸のエステルの、エチレンオキシド付加物及びそれらの混合物、特に32〜150のオキシエチレン基を含有するもの、例えばジラウリン酸PEG-32からPEG-150(CTFA名ではジラウリン酸PEG-32からジラウリン酸PEG-150);ステアリン酸PEG-30からPEG-150(CTFA名ではステアリン酸PEG-30からステアリン酸PEG-150);ジステアリン酸PEG-32からPEG-150(CTFA名ではジステアリン酸PEG-32からジステアリン酸PEG-150);ジオレイン酸PEG-32からPEG-150(CTFA名ではジオレイン酸PEG-32からジオレイン酸PEG-150);並びにそれらの混合物が含まれる。
【0085】
これらの脂肪族アルコール及び脂肪エステルのオキシエチレン化誘導体の混合物もまた使用できる。
【0086】
本発明の好ましい一実施形態によれば、非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン化脂肪族アルコールであってもよい。
【0087】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40アルコール、及びモノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40脂肪酸エステルが、好ましくは使用される。
【0088】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40アルコールは、以下の式に相当する:
RO-[CH
2-CH(CH
2OH)-O]
m-H又はRO-[CH(CH
2OH)-CH
2O]
m-H
(式中、
Rは、直鎖状又は分枝状のC
8〜C
40及び好ましくはC
8〜C
30アルキル基又はアルケニル基を表し、mは、10〜50、好ましくは20〜40の範囲の数を表す)。
【0089】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40脂肪酸エステルは、以下の式に相当する:
R
1O-[CH
2-CH(CH
2OR
3)-O]
m-R
2又はR
1O-[CH(CH
2OR
3)-CH
2O]
m-R
2
(式中、
R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC
8〜C
40及び好ましくはC
8〜C
30アルキル-CO-基又はアルケニル-CO-基を表し、但しR
1、R
2及びR
3のうちの少なくとも1つは水素原子ではなく、mは、10〜50、好ましくは20〜40の範囲の数を表す)。
【0090】
本発明の一実施形態によれば、(c)HLB値が15以上である非イオン性界面活性剤の量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲でありうる。
【0091】
[HLB値が5以下である非イオン性界面活性剤]
本発明による組成物は、(d)HLB値が5以下である少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。2種以上の、それらのそれぞれがHLB値が5以下である非イオン性界面活性剤を使用してもよい。
【0092】
(d)HLB値が5.0以下である非イオン性界面活性剤と、(d)HLB値が5.0以下、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である非イオン性界面活性剤との組合せを使用することが有用である。
【0093】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤、例えばモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤、及びグリセロール化非イオン性界面活性剤、例えばモノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選ばれてもよい。オキシアルキレン単位は、より具体的には、オキシエチレン単位若しくはオキシプロピレン単位、又はそれらの組合せ、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0094】
挙げることができるオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下がある:
オキシアルキレン化(C
8〜C
24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、オキシアルキレン化C
8〜C
30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、オキシアルキレン化C
8〜C
30アミド、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、C
8〜C
30酸とポリエチレングリコールのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、C
8〜C
30酸とソルビトールとのポリオキシアルキレン化エステル、
飽和若しくは不飽和の、オキシアルキレン化植物油、並びに
中でも、単独の又は混合物としての、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0095】
界面活性剤は、モル数が1から15未満の間、好ましくは2から10の間、より好ましくは2から8の間の、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有してもよい。有利には、非イオン性界面活性剤は、オキシプロピレン単位を一切含まない。
【0096】
本発明の好ましい一実施形態によれば、オキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン化脂肪族アルコール及びオキシエチレン化脂肪エステルから選ばれてもよく、好ましくはオキシエチレン化脂肪族アルコールから選ばれる。
【0097】
挙げることができるオキシエチレン化脂肪族アルコールの例には、ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に1〜3つのオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると2つのオキシエチレン基を含有するもの(例えば、CTFAではステアレス-2);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に1〜3つのオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると2つのオキシエチレン基を含有するもの(例えば、CTFA名ではセテス-2);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に1〜3つのオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると2つのオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではイソステアレス-2);オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に1〜3つのオキシエチレン基を含有するもの、より特定すると2つのオキシエチレン基を含有するもの(CTFA名ではオレス-2);及びそれらの混合物が含まれる。
【0098】
挙げることができるオキシエチレン化脂肪エステルの例には、ラウリン酸の、パルミチン酸の、ステアリン酸の又はベヘン酸のエステル並びにそれらの混合物のエチレンオキシド付加物、特に2〜4つのオキシエチレン基を有するもの、例えばジラウリン酸PEG-2からPEG-4(CTFA名ではジラウリン酸PEG-2からジラウリン酸PEG-4);ステアリン酸PEG-2(CTFA名ではステアリン酸PEG-2);ジステアリン酸PEG-2からPEG-6(CTFA名ではジステアリン酸PEG-2からジステアリン酸PEG-6);ジオレイン酸PEG-2からPEG-6(CTFA名ではジオレイン酸PEG-2からジオレイン酸PEG-6);及びそれらの混合物が含まれる。
【0099】
これらの、脂肪族アルコールのオキシエチレン化誘導体と、脂肪エステルのオキシエチレン化誘導体との混合物もまた使用されてもよい。
【0100】
好ましい一実施形態によれば、非イオン性界面活性剤は、エトキシル化脂肪族アルコールであってもよい。
【0101】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40アルコール、及びモノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40脂肪酸エステルが、好ましくは使用される。
【0102】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40アルコールは、以下の式に相当する:
RO-[CH
2-CH(CH
2OH)-O]
m-H又はRO-[CH(CH
2OH)-CH
2O]
m-H
(式中、
Rは、直鎖状又は分枝状の、C
8〜C
40及び好ましくはC
8〜C
30アルキル基又はアルケニル基を表し、mは、1〜10未満、好ましくは1〜6の範囲の数を表す)。
【0103】
本発明の関連において好適である化合物の例として、4molのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5molのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6molのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0104】
アルコールは、mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールの混合物を表す可能性があり、このことは、市販製品の中に、幾つかの種のポリグリセロール化脂肪族アルコールが混合物の形態で共存している可能性があることを意味する。
【0105】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールのうち、1molのグリセロールを含有するC
8/C
10アルコール、1molのグリセロールを含有するC
10/C
12アルコール、及び1.5molのグリセロールを含有するC
12アルコールを使用することがとりわけ好ましい。
【0106】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40脂肪酸エステルは、以下の式に相当する:
R
1O-[CH
2-CH(CH
2OR
3)-O]
m-R
2又はR
1O-[CH(CH
2OR
3)-CH
2O]
m-R
2
(式中、
R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC
8〜C
40及び好ましくはC
8〜C
30アルキル-CO-基又はアルケニル-CO-基を表し、但しR
1、R
2及びR
3のうちの少なくとも1つは水素原子ではなく、mは、1〜10未満、好ましくは1〜3の範囲の数を表すという条件である)。
【0107】
本発明の関連において好適な化合物の例として、4〜6つのグリセロール単位を含むモノラウリン酸ポリグリセリル、4〜6つのグリセロール単位を含むモノ(イソ)ステアリン酸ポリグリセリル、4〜6つのグリセロール単位を含むモノオレイン酸ポリグリセリル、4〜6つのグリセロール単位を含むジオレイン酸ポリグリセリルを挙げることができる。
【0108】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C
8〜C
40脂肪酸エステルは、グリセリンとC
8〜C
40脂肪酸とのエステル、好ましくはステアリン酸グリセリル(ステアリン酸モノ、ジ及び/又はトリグリセリル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)又はリシノール酸グリセリル、並びにそれらの混合物であってもよい。
【0109】
(d)HLB値が5以下である非イオン性界面活性剤が、グリセロールの脂肪酸エステル、より好ましくはモノグリセリル脂肪酸、例えばステアリン酸モノグリセリルから選択されることが好ましい。
【0110】
本発明の一実施形態によれば、(d)HLB値が5以下である非イオン性界面活性剤の量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲でありうる。
【0111】
(c)HLBが15以上である非イオン性界面活性剤と、(d)HLB値が5以下である非イオン性界面活性剤との総量が、本発明による組成物の総重量に対して、1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、より好ましくは4〜7重量%であることが好ましい。
【0112】
(a)脂肪族アルコール/[(c)HLBが15以上である非イオン性界面活性剤と、(d)HLB値が5以下である非イオン性界面活性剤の総量)]の重量比が、1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2であることが好ましい。
【0113】
[ジオール]
本発明による組成物は、(b)油とは異なる少なくとも1種の(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有するジオールを含む。(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有する2種以上のジオールが使用されてもよい。
【0114】
用語「ジオール」は、本明細書では、2つのアルコール官能基を有する化合物を意味する。換言すれば、ジオールは、2つのヒドロキシル基を有するアルコールである。(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有するジオールは、2つのヒドロキシ基を含む、C
4〜36ジオール、好ましくはC
4〜21ジオール、より好ましくはC
4〜12ジオールであってもよい。
【0115】
(e)ジオール中の4個以上の連続した炭素原子の直鎖は、炭素の直鎖を形成する4個以上の炭素原子を含む。炭素の直鎖を形成する炭素原子の数は限定されない。しかしながら、炭素の直鎖を形成する原子の数が、8個以下、より好ましくは6個以下、更により好ましくは4個であることが好ましい。換言すれば、(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有するジオールが、8個超の炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基等の疎水性基を一切有していないことが好ましい。
【0116】
(e)ジオールが、分子中に、-C-C-C-C-、-C=C-C-C-、-C-C=C-C-、-C≡C-C-C-、-C-C≡C-C-、-C≡C-C=C-、-C=C-C=C-又は-C≡C-C≡C-の部分によって形成されている炭素の直鎖を有することが好ましく、他の原子と結合することが可能である炭素原子は、水素原子又はハロゲン原子、好ましくは水素原子に結合していてもよい。そのため、(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有するジオールは、飽和又は不飽和であってもよく、好ましくは飽和である。
【0117】
(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有するジオールは、4個以上の連続した炭素原子が直鎖状である限り、直鎖状、分枝状又は環状の分子構造を有してもよい。
【0118】
(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有するジオールが、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ペンチレングリコール、ジペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジヘキシレングリコール及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有するジオールが、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール及びそれらの混合物からなる群から選択されることが、より好ましい。ブチレングリコールが最も好ましい。
【0119】
本発明の一実施形態によれば、(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有するジオールの量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは3〜10重量%の範囲でありうる。
【0120】
[アルカリ剤]
本発明による組成物は、アンモニア、水酸化アンモニウム、アンモニウム塩及びそれらの混合物からなる群から選択される(f)少なくとも1種のアルカリ剤を含む。2種以上の(f)アルカリ剤を使用してもよい。
【0121】
(f)アルカリ剤は、好ましくは無機アルカリ剤である。
【0122】
アンモニアは、ガスの形態にある必要はない。本発明によれば、アンモニアの水溶液が、(f)アルカリ剤として使用されてもよい。当業者であれば、アンモニアの水溶液が水酸化アンモニウムで代表されてもよいことが明らかである。
【0123】
アンモニウム塩として、無機アンモニウム塩、例えば炭酸アンモニウム、二炭酸アンモニウム、アンモニウムクロリド、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム;有機アンモニウム、例えばギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、及び水酸化テトラメチルアンモニウム;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0124】
(f)アルカリ剤として、水溶液の形態にあるアンモニア(水酸化アンモニウム)、及び二炭酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩が好ましい。
【0125】
(f)アルカリ剤の量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲でありうる。
【0126】
[水]
本発明による組成物は、(g)水を含む。
【0127】
(g)水の量は限定されず、組成物の総重量に対して、30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%、より好ましくは50〜60重量%であってもよい。
【0128】
[追加の成分]
(追加の界面活性剤)
本発明による組成物は、上記の成分(c)又は(d)以外に、少なくとも1種の(h)追加の界面活性剤を含んでもよい。2種以上の(h)追加の界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一の種類の(h)追加の界面活性剤、又は異なる種類の(h)追加の界面活性剤の組合せを使用することができる。
【0129】
本発明中で使用される(h)追加の界面活性剤は、(h1)アニオン性界面活性剤、(h2)両性界面活性剤、(h3)カチオン性界面活性剤、及び(h4)HLB値が5超であり15未満である非イオン性界面活性剤からなる群から選択されてもよい。
【0130】
(h)追加の界面活性剤は(h1)アニオン性界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0131】
(h1)アニオン性界面活性剤
本発明によれば、アニオン性界面活性剤は限定されない。アニオン性界面活性剤が、(C
6〜C
30)硫酸アルキル、(C
6〜C
30)硫酸アルキルエーテル、(C
6〜C
30)硫酸アルキルアミドエーテル、硫酸アルキルアリールポリエーテル、硫酸モノグリセリド;(C
6〜C
30)スルホン酸アルキル、(C
6〜C
30)スルホン酸アルキルアミド、(C
6〜C
30)スルホン酸アルキアリール、スルホン酸α-オレフィン、スルホン酸パラフィン;(C
6〜C
30)リン酸アルキル;(C
6〜C
30)スルホコハク酸アルキル、(C
6〜C
30)スルホコハク酸アルキルエーテル、(C
6〜C
30)スルホコハク酸アルキルアミド;(C
6〜C
30)スルホ酢酸アルキル;(C
6〜C
24)サルコシン酸アシル;(C
6〜C
24)グルタミン酸アシル;(C
6〜C
30)アルキルポリグリコシドカルボン酸エーテル;(C
6〜C
30)スルホコハク酸アルキルポリグリコシド;(C
6〜C
30)スルホコハク酸アルキル;(C
6〜C
24)イセチオン酸アシル;N-(C
6〜C
24)タウリン酸アシル;C
6〜C
30脂肪酸塩;ココナツ油酸塩又は水素化ココナツ油酸塩;(C
8〜C
20)乳酸アシル;(C
6〜C
30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C
6〜C
30)アルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C
6〜C
30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C
6〜C
30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩;及びポリオキシアルキレン化(C
6〜C
30)リン酸アルキルエーテルからなる群から選択されることが好ましい。
【0132】
アニオン性界面活性剤が、C
6〜C
30脂肪酸の塩、(C
6〜C
30)リン酸アルキル、及びポリオキシアルキレン化(C
6〜C
30)リン酸アルキルエーテルから選択されることがより好ましい。
【0133】
少なくとも1つの実施形態では、アニオン性界面活性剤は塩の形態にあり、例えばアルカリ金属(例としてはナトリウム)の塩;アルカリ土類金属(例としてはマグネシウム)の塩;アンモニウム塩;アミン塩;及びアミノアルコール塩である。条件によっては、アニオン性界面活性剤は、酸の形態にあってもよい。
【0134】
これらの種々の化合物のアルキル基又はアシル基が12〜20個の炭素原子を有することができることが留意されるべきである。その上、例としては、アリール基が、フェニル基又はベンジル基から選ばれることが可能である。
【0135】
更に、ポリオキシアルキレン化アニオン性界面活性剤は、例えば、2〜50のアルキレンオキシド基、例としてはエチレンオキシド基を含むことができる。
【0136】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、アニオン性界面活性剤が、ステアリン酸、リン酸ジセチル及びリン酸セテス-10から選ばれることが可能である。
【0137】
(h2)両性界面活性剤
本発明によれば、両性界面活性剤の種類は限定されない。両性界面活性剤又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的一覧)、アミン誘導体、例えば脂肪族の第二級又は第三級アミン、及び任意選択で四級化されたアミン誘導体であってもよく、脂肪族基は、8〜22個の炭素原子を含み、少なくとも1種の水に可溶なアニオン性基(例えば、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン又はホスホン酸イオン)を含有する直鎖状又は分枝状の鎖である。
【0138】
両性界面活性剤は、好ましくはベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択されてもよい。
【0139】
ベタイン型両性界面活性剤は、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、具体的には、(C
8〜C
24)アルキルベタイン、(C
8〜C
24)アルキルアミド(C
1〜C
8)アルキルベタイン、スルホベタイン、及び(C
8〜C
24)アルキルアミド(C
1〜C
8)アルキルスルホベタインからなる群から好ましくは選択される。一実施形態では、ベタイン型両性界面活性剤は、(C
8〜C
24)アルキルベタイン、(C
8〜C
24)アルキルアミド(C
1〜C
8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン及びホスホベタインから選ばれる。
【0140】
挙げることができる非限定的な例には、CTFA辞典、第9版、2002年において、ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン及びココスルタインの名称で分類されている化合物が、単独で又は混合物として挙げられる。
【0141】
ベタイン型両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン及びアルキルアミドアルキルベタイン、特定するとココベタイン及びコカミドプロピルベタインである。
【0142】
アミドアミンカルボキシル化誘導体のうち、名称Miranolで販売されている製品を挙げることができ、それは、米国特許第2528378号及び第2781354号に記載されており、CTFA辞典、第3版、1982年(その開示は、参照のため本明細書に組み込まれている)において、アンホカルボキシグリシネート及びアンホカルボキシプロピオネートの名称で分類されており、それらは、それぞれの構造:
R
1-CONHCH
2CH
2-N
+(R
2)(R
3)(CH
2COO
-)
(式中、
R
1は、加水分解ココナツ油中に存在する酸R
1-COOHのアルキル基、ヘプチル基、ノニル基又はウンデシル基を示し、
R
2は、β-ヒドロキシエチル基を示し、
R
3は、カルボキシメチル基を示す)、
及び
R
1’-CONHCH
2CH
2-N(B)(C)
[式中、
Bは、-CH
2CH
2OX’を表し、
Cは、-(CH
2)
z-Y’を表し、z=1又は2であり、
X’は、-CH
2CH
2-COOH基、-CH
2-COOZ’基、-CH
2CH
2-COOH基、-CH
2CH
2-COOZ’基又は水素原子を示し、
Y’は、-COOH基、-COOZ’基、-CH
2-CHOH-SO
3Z’基又は-CH
2-CHOH-SO
3H基を示し、
Z’は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオン、例えばナトリウムイオン、アンモニウムイオン又は有機アミンに由来するイオンを表し、
R
1’は、ココナツ油中、若しくは加水分解亜麻仁油中に存在する酸R
1’-COOHのアルキル基、C
7、C
9、C
11若しくはC
13アルキル基等のアルキル基、C
17アルキル基及びそのイソ型、又は不飽和のC
17基等のアルキル基を示す]
を有する。
【0143】
両性界面活性剤が、(C
8〜C
24)アンホモノ酢酸アルキル、(C
8〜C
24)アンホジ酢酸アルキル、(C
8〜C
24)アンホモノプロピオン酸アルキル及び(C
8〜C
24)アンホジプロピオン酸アルキルから選択されることが好ましい。
【0144】
これらの化合物は、CTFA辞典、第5版、1993年において、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸及びココアンホジプロピオン酸という名称で分類されている。
【0145】
例として、Rhodia Chimie社により商品名Miranol(登録商標)C2M concentrateで販売されているココアンホ二酢酸塩を挙げることができる。
【0146】
(h3)カチオン性界面活性剤
本発明によれば、カチオン性界面活性剤の種類は限定されない。カチオン性界面活性剤は、任意選択でポリオキシアルキレン化された、第一級、第二級及び第三級脂肪アミン塩、四級アンモニウム塩及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0147】
挙げることができる第四級アンモニウム塩の非限定的な例には、塩、例えば、ジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、ジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、モノアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、トリアシルオキシエチル-メチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、モノアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-ジメチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、及びそれらの混合物がある。一実施形態では、アシル基は、14〜18個の炭素原子を含んでいてもよく、例えば植物油、例としてはパーム油及びヒマワリ油に由来していてもよい。化合物が幾つかのアシル基を含むとき、これらの基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0148】
これらの生成物は、例えば、任意選択でオキシアルキレン化されたトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンを、脂肪酸に、又は植物若しくは動物起源の脂肪酸の混合物に直接エステル化することにより、又はそれらのメチルエステルをエステル交換することにより得ることができる。このエステル化の後に、アルキル化剤を使用して四級化してもよく、該アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル、例えばハロゲン化メチル及びハロゲン化エチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;メタンスルホン酸メチル;パラ-トルエンスルホン酸メチル;グリコールクロロヒドリン;並びにグリセロールクロロヒドリンから選ばれる。
【0149】
このような化合物は、例えば、Cognis社によりDehyquart(登録商標)の名称で、Stepan社によりStepanquat(登録商標)の名称で、Ceca社によりNoxamium(登録商標)の名称で、またRewo-Goldschmidt社により「Rewoquat(登録商標)WE 18」の名称で販売されている。
【0150】
本発明による組成物中で使用されてもよいアンモニウム塩の他の非限定的な例には、米国特許第4874554号及び第4137180号に記載されている、少なくとも1つのエステル官能基を含むアンモニウム塩が含まれる。
【0151】
上に記載した第四級アンモニウム塩のうち、本発明による組成物中で使用されてよいものは、例えば、テトラアルキルアンモニウムクロリド、例としては、アルキル基が約12〜22個の炭素原子を含むジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、例えばベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド;パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド;及びVan Dyk社により「Ceraphyl(登録商標)70」の名称で販売されているステアラミドプロピルジメチル(酢酸ミリスチル)アンモニウムクロリドを含むがこれらに限定されない。
【0152】
一実施形態によれば、本発明の組成物中で使用されてもよいカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム塩から、例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、クオタニウム-83、クオタニウム-87、クオタニウム-22、ベヘニルアミドプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選ばれる。
【0153】
(h4)非イオン性界面活性剤
本発明によれば、HLB値が5超であり15未満である非イオン性界面活性剤は限定されない。
【0154】
本発明の一実施形態によれば、(h)追加の界面活性剤の量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.3〜1重量%の範囲でありうる。
【0155】
本発明による組成物中の界面活性剤の総量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは5〜10重量%の範囲であることが好ましい。
【0156】
本発明による組成物中の全ての界面活性剤のHLB値の平均が、6〜16、好ましくは7〜15、より好ましくは8〜14の範囲であることが好ましい。
【0157】
2種以上の界面活性剤が使用される場合、平均HLBは、全ての界面活性剤のHLB値の重量平均により求められる。例えば、3.0重量%のステアレス-20(HLB:15.5)と、2.5重量%のセテス-10(HLB:12.9)との混合物のHLB値は、以下の通り計算される:{15.5
*3.0+12.9
*2.5}/{3.0+2.5}=14.3
【0158】
(ポリオール)
本発明による組成物は、上記の成分(e)以外に、少なくとも1種の(i)ポリオールを含んでもよい。2種以上の(i)ポリオールを使用してよい。
【0159】
用語「ポリオール」は、本明細書では、複数のアルコール官能基を有する化合物を意味する。言い換えれば、ポリオールは、2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールである。ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2〜5つのヒドロキシ基を含む、C
2〜C
12ポリオール、好ましくはC
2〜9ポリオールであってよい。本発明の範囲において、ポリオールは、8個超の炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基等の疎水性基を含まない。
【0160】
(i)ポリオールは、天然のポリオールであっても合成のポリオールであってもよい。(i)ポリオールは、直鎖状、分枝状又は環式の分子構造であってよい。
【0161】
本発明で使用されうるポリオールには、具体的には、ジオール又はグリコール、例えばエチレングリコール及びプロピレングリコール;ポリグリコール、例えばジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;トリオール、例えばグリセロール;並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0162】
(i)ポリオールが、エチレングリコール又はプロピレングリコール以外であることが好ましい。
【0163】
(i)ポリオールは、好ましくは糖、糖アルコール及びトリオールからなる群から選択されうる。
【0164】
用語「糖」は、本明細書では、アルデヒド官能基又はケトン官能基を含んでも含まなくても良く、幾つかのアルコール官能基を含有して、少なくとも4個の炭素原子を含有する、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味する。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0165】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、マンノース、アラビノース、キシロース、トレハロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースが含まれる。
【0166】
用語「糖アルコール」は、本明細書では、糖の還元可能なケトン基又はアルデヒド基をアルコール基へ還元することによって得られる化合物を意味する。そのため、糖アルコールは、幾つかのアルコール官能基を有する。
【0167】
挙げることができる好適な糖アルコールの例には、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール及びそれらの誘導体が含まれる。
【0168】
用語「トリオール」は、本明細書では、3つのヒドロキシル基を有するアルコールを意味する。トリオールの例は、グリセロール又はグリセリンである。
【0169】
(i)ポリオールは、グリセリン及びそれらの誘導体から、並びにグリコール及びそれらの誘導体から選択されうる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン及びポリグリセリンからなる群から選択されうる。
【0170】
本発明の一実施形態によれば、(i)ポリオールの量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは3〜10重量%の範囲でありうる。
【0171】
(美容活性成分)
本発明による組成物は、少なくとも1種の、(i)美容活性成分を含みうる。2種以上の(i)美容活性成分を使用してよい。
【0172】
本発明によれば、(j)美容活性成分の種類は、(j)美容活性成分がカラーリング、ブリーチ、直毛化、パーマネント化、コンディショニング化等の任意の美容効果を、ケラチン物質、特に毛髪等のケラチン繊維へ付与できる限り、限定されない。
【0173】
一実施形態において、(i)美容活性成分はカチオン性ポリマーであってよい。
【0174】
(カチオン性ポリマー)
本発明の目的では、用語「カチオン性ポリマー」は、カチオン性基、及び/又はカチオン性基へとイオン化されうる基を含有する、任意のポリマーを示すことが留意されるべきである。
【0175】
こうしたポリマーは、それ自体が毛髪の美容上の性質を改善すると既に知られているものから、即ち、特に特許出願EP-A-337354に、及び仏国特許第2270846号、第2383660号、第2598611号、第2470596号及び第2519863号に記載されているものから選択されうる。
【0176】
好ましいカチオン性ポリマーは、第一級、第二級、第三級及び/又は第四級アミン基を含む単位を含有するものから選択され、これらは、ポリマー主鎖の一部を形成するものであっても、ポリマー主鎖に直接結合している側鎖置換基により保持されているものであっても、いずれでもよい。
【0177】
使用されるカチオン性ポリマーの数平均分子量は、一般に、およそ500からおよそ5*10
6の間、好ましくはおよそ10
3からおよそ3*10
6の間である。
【0178】
カチオン性ポリマーのうち、より具体的には、ポリアミン型、ポリアミノアミド型及びポリ四級アンモニウム型のポリマーを挙げることができる。
【0179】
それらは、既知の製品である。それらのポリマーは、具体的には、仏国特許第2505348号及び第2542997号に記載されている。前記ポリマーのうち、以下を挙げることができる。
(1)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドに由来するホモポリマー又はコポリマー
(2)カチオン性多糖類、例えばカチオン性セルロース誘導体、及びカチオン性グアーガム
(3)ピペラジニル単位と、二価のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基(直鎖又は分枝鎖を有し、任意選択で、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子に、又は芳香族環若しくは複素環に割り込まれている)とからなるポリマー、更にはこれらのポリマーを酸化及び/又は第四級化させた製品
(4)酸性化合物をポリアミンと重縮合させて特に調製される水溶性ポリアミノアミド
(5)ポリアルキレンポリアミンをポリカルボン酸と縮合させ、続いて二官能性剤でアルキル化させて得られるポリアミノアミド誘導体
(6)2つの第一級アミン基及び少なくとも1つの第二級アミン基を有するポリアルキレンポリアミンを、ジグリコール酸及び3〜8個の炭素原子を有する飽和脂肪族ジカルボン酸から選ばれるジカルボン酸と反応させて得られるポリマー
(7)アルキルジアリルアミン又はジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー
(8)第四級ジアンモニウムポリマー
(9)ビニルピロリドン及びビニルイミダゾールの第四級ポリマー
(10)Henkel社により販売されているPolyquart H等のポリアミンで、これは、CTFA辞典では参照名「ポリエチレングリコール(15)獣脂ポリアミン」が付されている、並びに
(11)本発明の関連において使用されうる他のカチオン性ポリマーは、ポリアルキレンイミンであり、具体的には、ポリエチレンイミン、ビニルピリジン単位又はビニルピリジニウム単位を有するポリマー、ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、及びポリ第四級ウレイレンである。
【0180】
カチオン性ポリマーが、以下のポリマーから選択されることが好ましい:
ポリクオタニウム-5、例えばCalgon社により販売されている製品Merquat 5、
ポリクオタニウム-6、例えばCiba社により販売されている製品Salcare SC 30、及びCalgon社により販売されている製品Merquat 100、
ポリクオタニウム-7、例えばCalgon社により販売されている製品Merquat S、Merquat 2200及びMerquat 550、並びにCiba社により販売されている製品Salcare SC 10、
ポリクオタニウム-10、例えばAmerchol社により販売されている製品Polymer JR400、
ポリクオタニウム-11、例えばISP社により販売されている製品Gafquat 755、Gafquat 755N及びGafquat 734、
ポリクオタニウム-15、例えばRohm社により販売されている製品Rohagit KF 720 F、
ポリクオタニウム-16、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat FC905、Luviquat FC370、Luviquat HM552及びLuviquat FC550、
ポリクオタニウム-22、例えばCalgon社により販売されている製品Merquat 280、
ポリクオタニウム-28、例えばISP社により販売されている製品Styleze CC10、
ポリクオタニウム-39、例えばCalgon社により販売されている製品Merquat Plus 3330、
ポリクオタニウム-44、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat Care、
ポリクオタニウム-46、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat Hold、
ポリクオタニウム-47、例えばCalgon社により販売されている製品Merquat 2001。
【0181】
カチオン性ポリマーの量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲でありうる。
【0182】
別の実施形態において、(j)美容活性成分は、酸化染料から選択されうる。
【0183】
(酸化染料)
酸化染料は、酸化ベース及びカプラーから選択されうる。
【0184】
酸化ベースは、酸化染色において従来知られているものから、好ましくは、オルト-及びパラ-フェニレンジアミン、二重ベース、オルト-及びパラ-アミノフェノール、複素環ベース、並びにそれらの酸付加塩からなる群から選択されうる。
【0185】
具体的には、以下を挙げることができる:
- (I)以下の式(I)のパラ-フェニレンジアミン及びそれらの酸付加塩:
【0187】
[式中、
R
1は、水素原子、C
1〜C
4アルキル基、モノヒドロキシ(C
1〜C
4アルキル)基、ポリヒドロキシ-(C
2〜C
4アルキル)基、(C
1〜C
4)アルコキシ(C
1〜C
4)アルキル基、窒素を含有する基で置換されているC
1〜C
4アルキル基、フェニル基又は4'-アミノフェニル基を表し、
R
2は、水素原子、C
1〜C
4アルキル基、モノヒドロキシ(C
1〜C
4アルキル)基、ポリヒドロキシ(C
2〜C
4アルキル)基、(C
1〜C
4)アルコキシ(C
1〜C
4)アルキル基、又は窒素を含有する基で置換されているC
1〜C
4アルキル基を表し、
R
1及びR
2はまた、それらを保持する窒素原子と共に、1つ又は複数のアルキル基、ヒドロキシル基、又はウレイド基で任意選択で置換されている5員又は6員の窒素を含有する複素環を形成してもよく、
R
3は、水素原子、塩素原子等のハロゲン原子、C
1〜C
4アルキル基、スルホ基、カルボキシル基、モノヒドロキシ(C
1〜C
4アルキル)基、ヒドロキシル(C
1〜C
4アルコキシ)基、アセチルアミノ(C
1〜C
4アルコキシ)基、メシルアミノ(C
1〜C
4アルコキシ)基又はカルバモイルアミノ(C
1〜C
4アルコキシ)基を表し、
R
4は、水素原子若しくはハロゲン原子、又はC
1〜C
4アルキル基を表す]
【0188】
上の式(I)の窒素を含有する基のうち、特に挙げることができるのは、アミノ、モノ(C
1〜C
4)アルキルアミノ、(C
1〜C
4)ジアルキルアミノ、(C
1〜C
4)トリアルキルアミノ、モノヒドロキシ(C
1〜C
4)アルキルアミノ、ジ[モノヒドロキシ(C
1〜C
4)アルキル]アミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウム基である。
【0189】
上の式(I)のパラ-フェニレンジアミンのうち、挙げることができるのは、なかでも、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチルパラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラフェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラフェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラフェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチルパラ-フェニレンジアミン、N,N-(エチル-β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノ-エチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-メチル-1-N-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、N-(4-アミノフェニル)-3-ヒドロキシ-ピロリジン、2-[{2-[(4-アミノフェニル)アミノ]エチル}(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-エタノール及びそれらの酸付加塩である。
【0190】
上の式(I)のパラ-フェニレンジアミンのうち、最も特に好ましいパラ-フェニレンジアミンには、パラ-トリレンジアミン、2-イソプロピル-パラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン及びそれらの酸付加塩がある。
【0191】
- (II)本発明によれば、「二重ベース」は、その上にアミノ基及び/又はヒドロキシル基が保持される少なくとも2つの芳香族環を含有する化合物を意味すると理解される。
【0192】
本発明による染色用組成物中の酸化ベースとして使用されうる二重ベースのうち、特に挙げることができるのは、以下の式(II)に相当する化合物及びそれらの酸付加塩である:
【0194】
[式中、
- Z
1及びZ
2は、同一であり又は異なり、C
1〜C
4アルキル基で又は連結アームYで置換されてよい、ヒドロキシル基又は-NH
2基を表し、
- 連結アームYは、1〜14個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖を表し、これは、1つ若しくは複数の窒素を含有する基によって、及び/又は1個若しくは複数のヘテロ原子、例えば酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子によって割り込まれていても、これらが末端にあってもよく、及び1つ又は複数のヒドロキシル基又はC
1〜C
6アルコキシ基で任意選択で置換されており;
- R
5及びR
6は、水素原子若しくはハロゲン原子、C
1〜C
4アルキル基、モノヒドロキシ(C
1〜C
4アルキル)基、ポリヒドロキシ(C
2〜C
4アルキル)基、アミノ(C
1〜C
4アルキル)基又は連結アームYを表し、
- R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、同一であり又は異なり、水素原子、連結アームY又はC
1〜C
4アルキル基を表し、式(II)の化合物が、1分子当たり1つのみの連結アームYを含有することが理解される]。
【0195】
上の式(II)の窒素を含有する基のうち、特に挙げることができるのは、アミノ、モノ(C
1〜C
4)アルキルアミノ、(C
1〜C
4)ジアルキルアミノ、(C
1〜C
4)トリアルキルアミノ、モノヒドロキシ(C
1〜C
4)アルキルアミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウム基である。
【0196】
上の式(II)の二重ベースのうち、挙げることができるのは、なかでも、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)-テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレン-ジアミン、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン及びそれらの酸付加塩である。
【0197】
それらの式(II)の二重ベースのうち、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン又はそれらの酸付加塩のうちの1種が特に好ましい。
【0198】
- (III)以下の式(III)に相当するパラ-アミノフェノール、及びそれらの酸付加塩:
【0200】
[式中、
- R
13は、水素原子、若しくはフッ素等のハロゲン原子、C
1〜C
4アルキル、モノヒドロキシ(C
1〜C
4アルキル)、(C
1〜C
4)アルコキシ(C
1〜C
4)-アルキル、アミノ(C
1〜C
4アルキル)又はヒドロキシ(C
1〜C
4)アルキルアミノ-(C
1〜C
4アルキル)基を表し、
- R
14は、水素原子、若しくはフッ素等のハロゲン原子、C
1〜C
4アルキル、モノヒドロキシ(C
1〜C
4アルキル)、ポリヒドロキシ(C
2〜C
4アルキル)、アミノ(C
1〜C
4アルキル)、シアノ(C
1〜C
4アルキル)又は(C
1〜C
4)アルコキシ(C
1〜C
4)アルキル基を表す]
【0201】
上の式(III)のパラ-アミノフェノールのうち、挙げることができるのは、なかでも、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール及びそれらの酸付加塩である。
【0202】
- (IV)本発明の関連において酸化ベースとして使用されうるオルト-アミノフェノールは、具体的には、2-アミノフェノール、2-アミノ-1-ヒドロキシ-5-メチルベンゼン、2-アミノ-1-ヒドロキシ-6-メチルベンゼン、5-アセタミド-2-アミノフェノール及びそれらの酸付加塩から選択される。
【0203】
- (V)本発明による染色用組成物中の酸化ベースとして使用されうる複素環ベースのうち、挙げることができるのは、なかでも、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラゾール誘導体及びそれらの酸付加塩である。
【0204】
ピリジン誘導体のうち、挙げることができるのは、なかでも、例えば英国特許第1026978号及び第1153196号に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-(β-メトキシエチル)アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、3,4-ジアミノピリジン及びそれらの酸付加塩である。
【0205】
ピリミジン誘導体のうち、挙げることができるのは、なかでも、例えば、独国特許第2359399号、特開88-169571、特開91-10659、又は特許出願公開WO96/15765に記載されている化合物、例えば、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-ピリミジン、並びにピラゾロピリミジン誘導体、例えば、仏国特許第A-2750048号で挙げられているものであり、それらのうち挙げることができるのは、ピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン;2,5-ジメチル-ピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン;ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン; 2,7-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン;3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール; 3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オール;2-(3-アミノ-ピラゾロ-[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミノ)エタノール、2-(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エタノール、2-[(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)-(2-ヒドロキシ-エチル)アミノ]-エタノール、2-[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン-3-イル)-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、5,6-ジメチルピラゾロ-[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,6-ジメチルピラゾロ-[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,5,N7,N7-テトラメチル-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、3-アミノ-5-メチル-7-イミダゾリルプロピル-アミノピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン、それらの付加塩及びそれらの互変異性型(互変異性平衡が存在する場合)、並びにそれらの酸付加塩である。
【0206】
ピラゾール誘導体のうち、挙げることができるのは、なかでも、独国特許第3843892号及び第4133957号、並びに特許出願WO94/08969、WO94/08970、仏国特許第A-2733749号及び独国特許第19543988号に記載されている化合物、例えば、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノ-ピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチル-ピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシ-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピル-ピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピル-ピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノ-ピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシ-エチル)アミノ-1-メチルピラゾール及びそれらの酸付加塩である。
【0207】
酸化ベースとして使用されうる複素環ベースのうち、挙げることができるのは、なかでも、ジアミノピラゾロピラゾロン、特に2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H5H-[ピラゾロ1,2,a]ピラゾール-1-オン、並びに、これらのジアミノピラゾロピラゾロンの酸付加塩である。
【0208】
カプラーは、酸化染色において従来知られているものから、好ましくは、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフトール、複素環カプラー及びそれらの酸付加塩からなる群から選択されうる酸化カプラーであってよい。
【0209】
複素環カプラーは、インドール誘導体、インドリン誘導体、セサモール及びその誘導体、ピリジン誘導体、ピラゾロトリアゾール誘導体、ピラゾロン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、1,3-ベンゾジオキソール、キノリン並びにそれらの酸付加塩からなる群から選択されてよい。
【0210】
これらのカプラーは、なかでも、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、セサモール、1-アミノ-2-メトキシ-4,5-メチレン-ジオキシベンゼン、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、6-ヒドロキシ-インドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、3,6-ジメチル-ピラゾロ[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール及びそれらの酸付加塩から選択される。
【0211】
一般に、酸化ベース及びカプラーの酸付加塩は、具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩及び酢酸塩から選択される。
【0212】
酸化染料(酸化ベース及び/又はカプラー)の量は、本発明に従った方法によって調製されることになる組成物の総重量に対して、0.001重量%以上の量にあってよく、及び、例えば、0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%を含有してよい。
【0213】
別の実施形態では、(j)美容活性成分は、追加のアルカリ剤であってもよい。
【0214】
(追加のアルカリ剤)
追加のアルカリ剤は、上記の成分(f)以外の無機アルカリ剤であってもよい。無機アルカリ剤が、アルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩、例えばリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムからなる群から選択されることが好ましい。
【0215】
無機アルカリ金属水酸化物の例として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例として、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウムが好ましいことがありうる。
【0216】
アルカリ剤は、上記の成分(f)以外の有機アルカリ剤であってよい。有機アルカリ剤が、モノアミン及びその誘導体;ジアミン及びその誘導体;ポリアミン及びその誘導体;塩基性アミノ酸及びその誘導体;塩基性アミノ酸及びその誘導体のオリゴマー;塩基性アミノ酸及びその誘導体のポリマー;尿素及びその誘導体;並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0217】
有機アルカリ剤の例として、モノ、ジ及びトリエタノールアミン並びにイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン;尿素、グアニジン及びそれらの誘導体;リシン、オルニチン又はアルギニン等の塩基性アミノ酸;並びに以下の構造式:
【0219】
(式中、
Rは、ヒドロキシル基又はC
1〜C
4アルキル基によって任意選択で置換されているプロピレン等のアルキレンを表し、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はC
1〜C
4ヒドロキシアルキル基を表し、これには1,3-プロパンジアミン及びその誘導体を例示することができる)
で説明されているもの等のジアミンがある。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい。
【0220】
追加のアルカリ剤の濃度は、本発明による組成物の総重量に対して、0.1〜15重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲でありうる。追加のアルカリ剤の量が、4重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更により好ましくは1重量%以下であることが好ましい。最も好ましくは、本発明による組成物は、追加のアルカリ剤を含まない。
【0221】
(他の任意選択の成分)
本発明による組成物はまた、例えば美容組成物中で一般的である、他の、有効量の成分を含んでよく、例えばpH調整剤、通常の各種アジュバント、ビタミンC等のビタミン、抗エージング剤、白色剤、抗脂性皮膚剤、EDTA及びペンテト酸五ナトリウム等のキレート剤、UV遮断剤、ビタミンC及びメタ重亜硫酸ナトリウム等の抗酸化剤、フェノキシエタノール等の保存剤、プロビタミン、例としては、ペンタノール、透明化剤、芳香剤、植物抽出物、直接染料等である。
【0222】
pH調整剤として、無機酸若しくは有機酸、例としては、塩酸、オルトリン酸、カルボン酸、例としては、酒石酸、クエン酸、乳酸又はスルホン酸等の酸性化剤を挙げることができる。
【0223】
本発明による組成物は、少なくとも1種の有機溶媒を更に含んでよい。したがって、有機溶媒は、好ましくは水混和性又は水溶性である。有機溶媒として、例えばC
1〜C
4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール;芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール及びフェノキシエタノール;類似の製品;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0224】
有機溶媒は、組成物の総重量に対して、20重量%未満、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下の範囲の量で存在しうる。本発明による組成物中の有機溶媒の量は、組成物の総重量に対して、0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上でありうる。そのため、有機溶媒の量が、組成物の総重量に対して、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%の範囲でありうる。
【0225】
(エマルション)
本発明による組成物は、O/W型エマルションの形態にある。
【0226】
油滴の粒径は、10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下であってもよい。油滴の粒径は、10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上であってもよい。そのため、油滴が、粒径が10nm〜10μm、好ましくは20nm〜5μm、より好ましくは30nm〜3μmであることが可能である。
【0227】
本発明による組成物は、それらの水性相中に、(b)油の液滴の周りのいわゆるα-ゲル構造を含んでもよい。α-ゲル構造は、(a)脂肪族アルコールと、(c)HLB値が15以上である非イオン性界面活性剤と、(d)HLB値が5以下である非イオン性界面活性剤とから構成される層によって形成されてもよい。上記の層の間の水は、(f)アルカリ剤又はアンモニアを捕捉することができる。
【0228】
[調製方法]
本発明による美容組成物は、
(1)(a)少なくとも1種の脂肪族アルコールと、(b)少なくとも1種の油と、(c)HLB値が15以上である少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、(d)HLB値が5以下である少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有する少なくとも1種のジオールとを混合する工程と、
(2)工程(1)によって得た混合物へ水を加えて水中油[O/W]型エマルションを調製する工程と、
(3)(f)少なくとも1種の無機アルカリ剤を、工程(2)によって得たO/W型エマルションへ加える工程と
を含む方法によって調製されることが可能である。
【0229】
本発明に従って組成物を調製する方法は、いわゆるD相の乳化に基づく。
【0230】
本発明による方法における各工程を以下に説明する。
【0231】
工程(1)は、(a)少なくとも1種の脂肪族アルコールと、(b)少なくとも1種の油と、(c)HLB値が15以上である少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、(d)HLB値が5以下である少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、(e)4個以上の連続した炭素原子の直鎖を有する少なくとも1種のジオールと、水とを混合することによって、混合物、好ましくはエマルション、より好ましくは界面活性剤中油[O/D]型エマルション、又は好ましくはゲルエマルションを調製する工程である。エマルション又はゲルエマルション中の連続相は、成分(c)、(d)、(e)及び水を含む。ゲルエマルションは、粘弾性であり、時々は透明又は半透明であり、したがってゲルのように見えるエマルションである。
【0232】
上記の成分(a)から(e)が、水と混合する前に予混合されることが好ましい。
【0233】
工程(1)で使用される水の量は、本発明による組成物中に含まれることになる水の総量のうちの比較的小さい部分である。工程(1)で使用される水の量は、本発明による組成物中に含まれることになる水の総重量に対して、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%であってもよい。
【0234】
工程(1)は、室温(25℃)から昇温(例えば50〜90℃、好ましくは60〜85℃、より好ましくは70〜80℃)の範囲の温度で実施されてもよい。
【0235】
工程(1)で使用される成分(a)から(e)及び水の温度は、室温(25℃)から昇温(例えば50〜90℃、好ましくは60〜85℃、より好ましくは70〜80℃)の範囲の温度に調整されうる。
【0236】
得られた混合物、好ましくはエマルション、より好ましくは界面活性剤中油[O/D]型エマルションが、透明で粘性のある液体、例えばゲルの形態にあることが好ましい。
【0237】
工程(2)は、工程(1)によって得た混合物、好ましくはエマルション又はゲルへ水を加えて水中油[O/W]型エマルションを調製する工程である。
【0238】
エマルション、好ましくは界面活性剤中油[O/D]型エマルション、又はゲルエマルション中の連続相を、工程(2)で水に置き換えてO/W型エマルションを形成する。O/W型エマルションは、半透明な液体、又はクリーム等のペーストの形態にあってもよい。
【0239】
工程(2)で使用される水の量は、本発明による方法によって調製されることになる組成物中に含まれる水の大きい部分である。例えば、工程(2)で使用される水は、工程(1)で使用される水の量を、本発明による方法によって調製されることになる組成物中に含まれる水の総量から引いた後に残っている水であってもよい。工程(2)で使用される水の量は、本発明による組成物中に含まれることになる水の総重量の80〜99.99重量%、好ましくは85〜99.9重量%、より好ましくは90〜99重量%であってもよい。
【0240】
工程(2)は、室温(25℃)から昇温(例えば50〜90℃、好ましくは60〜85℃、より好ましくは70〜80℃)の範囲の温度で実施されてもよい。
【0241】
工程(2)で使用される水の温度は、室温(25℃)から昇温(例えば50〜90℃、好ましくは60〜85℃、より好ましくは70〜80℃)の範囲の温度で調整されてもよい。
【0242】
工程(3)は、工程(2)によって得たO/W型エマルションへ、上記の成分(f)を加える工程である。成分(f)は、工程(2)からのO/W型エマルションに、例えば、毛髪等のケラチン繊維をブリーチする又はカラーリングする等の美容効果をもたらす能力を付与することができる。
【0243】
混合物又はエマルションが、工程(1)から(3)において、混合物又はエマルションを均一にするために、混合、撹拌(stirring)又は撹拌(agitating)によって均質化されることが好ましい。
【0244】
D相の乳化により、極めて微細な分散相、即ち油滴を含むO/W型エマルションを調製することが可能になる。そのため、極めて微細な油滴を含むO/W型エマルションの形態にある組成物は、上記の、本発明による方法によって製造されうる。
【0245】
工程(1)から(3)は、通常の又は従来の、エマルションを調製するための装置で実施されうる。そのため、本発明による方法を実施するために、特別な装置は必要ない。したがって、本発明による方法は、経済的に実施されうる。
【0246】
[美容的使用]
本発明による組成物が、ケラチン繊維をカラーリングする又はブリーチするための、ケラチン繊維のための、好ましくは毛髪のための美容組成物であることが好ましい。
【0247】
そのため、本発明の一態様は、毛髪等のケラチン繊維の美容処置のための、詳細にはケラチン繊維のカラーリング又はブリーチのための、上に説明した組成物の使用である。
【0248】
本発明による組成物が、粘度が、25℃で、3,000〜30,000mPa・s、より好ましくは3,500〜20,000mPa・s、更により好ましくは4,000〜15,000mPa・sであることが好ましい。適当な粘度に起因して、本発明による組成物は取り扱いやすい。したがって、本発明による組成物は、組成物のユーザによる自己取扱い(例えば以下に説明する酸化組成物と混合するときに)が困難でない又は困難さが少ない。
【0249】
毛髪等のケラチン繊維の美容処置のための一実施形態では、本発明による組成物は、酸化組成物と混合されることが可能である。
【0250】
(酸化組成物)
酸化組成物は、少なくとも1種の酸化剤を含む。
【0251】
酸化剤は、過酸化水素、過酸化塩、及び加水分解によって過酸化水素を生成することのできる化合物から選ぶことができる。例えば、酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩及びフェリシアン化物、並びに過ホウ酸塩及び過硫酸塩等の過酸塩から選ばれうる。例えばラッカーゼ、ペルオキシダーゼ及び2電子オキシドレダクターゼ、例えばウリカーゼから選ばれる少なくとも1種のオキシダーゼ酵素もまた、それらのそれぞれの供与体又は補助因子の存在下において適当なところで、酸化剤として使用されうる。
【0252】
一実施形態では、酸化剤は過酸化水素であり、酸化組成物は過酸化水素水溶液である。
【0253】
過酸化水素の濃度は、酸化組成物の総重量に対して、0.15〜12重量%、例えば0.6〜9重量%の範囲でありうる。加水分解によって過酸化水素を形成することができる化合物の濃度は、酸化組成物の総重量に対して、0.1〜25重量%の範囲でありうる。
【0254】
一実施形態では、酸化組成物が過酸化水素水溶液であるとき、酸化組成物は、少なくとも1種の過酸化水素安定剤を含有してもよく、それは、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のピロリン酸塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のスズ酸塩、フェナセチン、並びに酸とオキシキノリンとの塩、例えば硫酸オキシキノリンから選ばれてもよい。別の実施形態では、少なくとも1種のピロリン酸塩と任意選択で組み合わされた少なくとも1種のスズ酸塩が使用される。
【0255】
サリチル酸及びその塩、ピリジンジカルボン酸及びその塩、並びにパラセタモールを使用することも可能である。
【0256】
酸化組成物中で、過酸化水素安定剤の濃度は、酸化組成物の総重量に対して、0.0001〜5重量%、例えば0.01〜2重量%等の範囲でありうる。
【0257】
過酸化水素を含む酸化組成物中で、過酸化水素の、少なくとも1種の安定剤に対する濃度比は、0.05:1〜1,000:1、例えば0.1:1〜500:1、更に例えば1:1〜200:1等の範囲でありうる。
【0258】
毛髪等のケラチン繊維の美容処置のための別の実施形態では、酸化剤は、本発明による組成物中に、(j)美容活性成分(すぐ使える組成物)として存在してもよい。
【0259】
酸化剤が本発明による組成物中に存在する場合、酸化剤の量は、本発明による組成物の総重量に対して、0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%の範囲でありうる。
【0260】
この実施形態では、本発明による組成物は、いわゆる「すぐ使える組成物」の形態にある。
【0261】
毛髪等のケラチン繊維の美容処置のための一実施形態では、本発明による組成物は、ケラチン繊維を処置する(例えばカラーリングする又はブリーチする)のに使用されることが可能であり、以下の工程に従う:
湿った又は乾いたケラチン繊維に、ケラチン繊維へ適用する直前に本発明による組成物と酸化組成物とを混合して即席で調製される混合物か、又は上に説明した、酸化剤を含む「すぐに使える」形態にある本発明による組成物か、のいずれかを適用する工程と、
例えばおよそ1〜60分の、更に例えば約5〜45分の範囲の曝露時間の間、混合物又は組成物を放置して作用させる工程と、
繊維を濯ぐ工程と、
任意選択でそれらをシャンプーで洗浄する工程、再びそれらを濯ぐ工程、次いでそれらを乾燥させる工程。
【0262】
混合物又は組成物の適用は、室温で、又は加温装置(40〜220℃、好ましくは40〜80℃の範囲の温度にすることができる)の使用で実現させることができる。
【0263】
上に説明した美容処置は、混合物中又は組成物中のアンモニア成分に起因する悪臭を抑制しながら、毛髪等のケラチン繊維に、良好な(強力な)カラーリング効果又はブリーチ効果等の卓越した美容効果並びにケラチン繊維の良好な触感を付与することができる。
【実施例】
【0264】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0265】
(実施例1〜8及び比較例1〜4)
(調製)
実施例1〜8及び比較例1〜4による、表1及び表2に示す以下の組成物を、表1及び表2に示す成分を以下の通り混合して調製した。
工程1:表1及び表2に示す脂肪族アルコール、油、界面活性剤及びポリオールの成分を、容器中で混合して80℃で加熱した。全ての材料が溶解したら、該混合物中へ、組成物の総重量に対して5重量%の量にある予加熱した水を80℃で緩やかに撹拌しながら加えた。こうして、不透明な混合物を、透明な液体に変換した。
工程2:次に、残っている水を混合物中へ加え、80℃で10分乳化した。次いで、混合物を40℃未満の温度へ冷却した。安定剤及びカチオン性ポリマー成分を水中で予溶解させ、上記の混合物中へ加えた。最後に、アルカリ成分を混合物中へ入れて、撹拌して混合物を均質化させた。
【0266】
表1及び表2に示す成分の量についての数値は、「重量%」に基づく。表1及び表2における「アンモニア」及び「ポリクオタニウム-6」は、それぞれ、25重量%のアンモニアを含むアンモニア水、40重量%のポリクオタニウム-6を含む水溶液である。
【0267】
(評価1)
実施例1〜8及び比較例1〜4によるO/W型エマルションの、混合性、刺激臭及び毛髪の明色化効果を測定し、以下の通り評価した。顕色剤 (A)の組成物は、以下の通りである。
【0268】
【表1】
【0269】
結果を表3に示す。
【0270】
(1)混合性
実施例1〜8及び比較例1〜4の各組成物を、顕色剤 (A)と混合し(混合重量比1:1)、該混合物を容器中でブラシで30秒間撹拌し、混合物の挙動及び態様を、以下の評価基準で、目視による観察に基づいて評価した。
【0271】
【表2】
【0272】
(2)刺激臭
実施例1〜8及び比較例1〜4の各組成物を、顕色剤 (A)と混合し(混合重量比1:1)、該混合物の上10cmでの悪臭を、8名のパネリストが、以下の評価基準に基づく5点の尺度でスコアを付けた。
【0273】
【表3】
【0274】
該混合物を、8名のパネリストが、以下の評価基準に基づく平均スコアにより評価した。
【0275】
【表4】
【0276】
(3)毛髪の明色化(ブリーチ)効果
実施例1〜8及び比較例1〜4の各組成物を、顕色剤 (A)と混合した(混合重量比1:1)。こうして得た混合物のうちの5gを、日本人のヘアメッシュ1g上へ適用した。
【0277】
該ヘアメッシュを27℃で30分放置した後、ヘアメッシュを濯ぎ、シャンプーし、乾燥させた。元の染色していないヘアメッシュと染色したヘアメッシュとのそれぞれの色を、KONICA MINOLTA SPECTROPHOTOMETER CM-3600dにより測定し、元の染色していないヘアメッシュと染色したヘアメッシュの間の色の変化(ΔE
*ab)を、以下の評価基準で評価した。
【0278】
【表5】
【0279】
【表6】
【0280】
【表7】
【0281】
【表8】
【0282】
表1〜表3からは、本発明の組成物が、脂肪族アルコール及び油の存在下での、HLB値が15以上である非イオン性界面活性剤とHLB値が5以下である非イオン性界面活性剤と特定のジオールと無機アルカリ剤との組合せに起因して、この組合せの要素を欠く組成物と比べて、使用性が優れ、臭いが少なく、毛髪の明色化効果がより良好であることが明らかである。
【0283】
(評価2)
(4)毛髪のコンディショニング効果
実施例1〜8及び比較例1〜4による各組成物を、顕色剤 (A)と混合した(混合比1:1)。こうして得た混合物のうちの10gを、日本人のヘアメッシュ3g上へ適用した。
【0284】
該ヘアメッシュを27℃で30分放置した後、ヘアメッシュを濯ぎ、シャンプーし、乾燥させた。次いで、ヘアメッシュへの触感を、5名の熟練パネリストが評価した。
【0285】
4名又は5名のパネリストが、実施例1〜8の毛髪の触感が良いと回答した。
【0286】
(5)毛髪のカラーリング効果
以下の表4の実施例9による組成物を、顕色剤 (A)と混合した(混合比1:1)。表4に示す成分の量についての数値は、「重量%」に基づく。表4における「アンモニア」及び「ポリクオタニウム-6」は、それぞれ、25重量%のアンモニアを含むアンモニア水、40重量%のポリクオタニウム-6を含む水溶液である。
【0287】
こうして得られた混合物のうちの100gを、50%超が灰色の毛髪である3名のモデルの頭部の毛髪上へ適用した。
【0288】
該毛髪を30分放置した後、モデルの毛髪を濯ぎ、シャンプーし、乾燥させた。灰色の毛髪の被覆レベルを、熟練パネリストが、8点スコアシステムでスコア付けした(スコア1:被覆されていない〜スコア8:完全に被覆されている)
【0289】
3名のモデルの頭部の平均スコアは、7.3であった。実施例9の組成物が、きわめて良好な毛髪カラーリング性能を付与することが見出された。
【0290】
【表9】
【0291】
上記の試験結果から、本発明の組成物が、毛髪等のケラチン繊維に、良好な触感及び良好なカラーリング性能を付与できることが明らかである。