特許第6847586号(P6847586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847586
(24)【登録日】2021年3月5日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】炭酸ガス発生装置の吹出口機構
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/18 20060101AFI20210315BHJP
   A01G 7/02 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   A01G9/18
   A01G7/02
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-79298(P2016-79298)
(22)【出願日】2016年4月12日
(65)【公開番号】特開2017-189128(P2017-189128A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】九里 博幸
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−121290(JP,A)
【文献】 実開昭53−54839(JP,U)
【文献】 特開平11−318229(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/136163(WO,A1)
【文献】 特開2008−118864(JP,A)
【文献】 特開2009−650(JP,A)
【文献】 特開2016−49063(JP,A)
【文献】 特開2010−99009(JP,A)
【文献】 実開昭48−36048(JP,U)
【文献】 特公昭49−863(JP,B1)
【文献】 米国特許第5713154(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/18
A01G 7/02
A01G 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウスの妻面に併設した炭酸ガス発生装置本体上で、かつこの本体に連設した吹出口機構であって、
この吹出口機構は、その一方及び他方に設けた、ハウス内に向かって開口した第1吹出口及び第2吹出口と、
を備えた構成であり、
前記第1吹出口は、前記吹出口機構の一方に設けた第1吹出筒部の側面上側に開口するとともに、この第1吹出筒部の側面下側は板部で塞いで形成した第1開口とし、
前記本体内で発生する高温燃焼ガスを、前記吹出口機構の他方に設けた第2吹出筒部に至らしめるとともに、この高温燃焼ガスを、この第2吹出筒部の側面下側に設けた整流板による対流で、前記第1吹出筒部に向かって送るとともに、降温し、
前記第2吹出口は、片流れ形態の天上部を備えた前記第2吹出筒部の側面に形成するとともに、この第2吹出筒部の底部の開口端に基端を備え、かつ前記開口端より内方に向かって上向きに傾斜した前記整流板を付設し、この整流板を利用し、この第2吹出筒部からの前記高温燃焼ガスを、前記第1吹出筒部の前記側面下側に送りつつ、前記降温を図る、
構成とする炭酸ガス発生装置の吹出口機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガス発生装置の吹出口機構に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸ガス発生装置の吹出口機構に関し、本出願人は、有益性が有る提案をしている。即ち、特開2014−121290号公報である(文献(1)とする)。この発明は、不完全燃焼によるCO2(炭酸ガス)の異常発生を抑制しつつ、内気との混合、又はCO2の排気で、濃度・温度の適正化を図ることを意図する。しかし、吹出口を利用しつつ、かつ吹出温度の適正化を、物理的に調整することに関しては、更なる改良が望まれるものと思料される。
【0003】
この吹出口を利用しつつ、かつ吹出温度の適正化を図るための手法として、吹出口を、対で設けることが、合理的で、かつ効果の有効性が考えられる。
【0004】
この考え方に立ち、先行文献を挙げると、実開昭48−36048号公報に記載の考案がある(文献(2)とする)。この考案は、ダクトに二つの排気口(分岐ダクト)を有する構造であるが、炭酸ガスボンベの炭酸ガスを利用するものであり、炭酸ガスの温度に関しての取扱いはなく、単に分岐ダクトを利用して、当該炭酸ガスを分散するものと考えられる。また、実開昭53−54839号公報に記載の考案がある(文献(3)とする)。この考案は、暖房機と炭酸ガス発生装置の組合せであり、共通する灯油使用を利用し、暖房機のダクトに弁を設け、この弁の制御で、暖房機の使用中に発生する炭酸ガスを、ハウス内に排出する構造である。従って、暖房機の稼働が必須であり、利用期間が限定されることと、汎用性に欠けることが考えられる。
【0005】
【特許文献1】特開2014−121290号公報
【特許文献2】実開昭48−36048号公報
【特許文献3】実開昭53−54839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した各文献は、対の吹出口(吐出口)を備えた構造であるが、吹出口からのCO2温度に関する配慮が欠けており、作物の焼きつき(所謂、高温障害)が発生し易いと考えられる。
【0007】
併せて、吹出口と、その奥面側は、単に、円形か角形でなる筒形状であり、例えば、CO2の吹出量(吐出量)、吹出温度(吐出温度)、及び/又は、その距離(吐出距離)とか、その方向性(吐出方向性)等に関し、特段の配慮がなく、作物に対し、有効性が劣ることが考えられる。
【0008】
さらに、ハウス内のCO2ムラは作物生育の効率、及び/又は、収穫量の低下をもたらすので、ハウスの両サイド・中心部・炭酸ガス発生装置から遠い所等、数カ所にセンサを設置確認し、CO2分布を均一に配置する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記に鑑み、本発明では、下記のような内容を意図し、請求項1〜請求項2を開示する。
【0010】
「A」 本発明では、対の吹出口の少なくとも、第2吹出口に、整流板を設け(例えば、第2吹出部位の底部に上向き傾斜となった整流板を設け)、この第1吹出口に、対峙して第2吹出口を設けた構造であって、第1・第2吹出口からのCO2温度を、例えば、定型式にコントロールし(極度の高温としないことで)、作物の焼きつきを回避できる。 上記に鑑み、本発明では、下記のような内容を意図し、請求項1〜請求項2を開示する。
【0011】
「B」 本発明では、対の吹出口の少なくとも、第2吹出口に、整流板を設け、第2吹出口の奥面側は、円形か角形でなる筒形状とする構造であって、例えば、第1・第2吹出口からのCO2の吹出量、吹出温度、及び/又は、その距離とか、その方向性等に関し、有効な構造を提案でき、もって、作物に対し、有効性を備える。
【0012】
「C」 本発明では、対の吹出口の少なくとも、第2吹出口に、整流板を設け、第2吹出口の奥面側は、円形か角形でなる筒形状とする構造とするとともに、ハウスの両サイド・中心部・炭酸ガス発生装置から遠い所等、数カ所にセンサを設置し、かつ第1・第2吹出口からの略均等なCO2の吹出を確保し、CO2分布を略均一化(CO2ムラを無くす)することで、作物生育の効率、及び/又は、収穫量の向上が図れること、等の特徴がある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明は、
ハウスの妻面に併設した炭酸ガス発生装置本体上で、かつこの本体に連設した吹出口機構であって、
この吹出口機構は、その一方及び他方に設けた、ハウス内に向かって開口した第1吹出口及び第2吹出口と、
を備えた構成であり、
第1吹出口は、吹出口機構の一方に設けた第1吹出筒部の側面上側に開口するとともに、この第1吹出筒部の側面下側は板部で塞いで形成した第1開口とし、
本体内で発生する高温燃焼ガスを、吹出口機構の他方に設けた第2吹出筒部に至らしめるとともに、この高温燃焼ガスを、この第2吹出筒部の側面下側に設けた整流板による対流で、第1吹出筒部に向かって送るとともに、降温し、
第2吹出口は、片流れ形態の天上部を備えた第2吹出筒部の側面に形成するとともに、この第2吹出筒部の底部の開口端に基端を備え、かつ開口端より内方に向かって上向きに傾斜した整流板を付設し、この整流板を利用し、この第2吹出筒部からの高温燃焼ガスを、第1吹出筒部の側面下側に送りつつ、降温を図る、
構成とする炭酸ガス発生装置の吹出口機構であり、
第1・第2吹出口からのCO2の吹出量、吹出温度、及び/又は、その吐出距離、その吐出方向性に関し、有効な構造を提案でき、もって、作物に対し、有効性を備える。
【0021】
請求項2の発明は、第1吹出口と第2吹出口を、ハウスの妻面に沿って設置した構造とする炭酸ガス発生装置の吹出口機構であり、
第1・第2吹出口からのCO2の吐出距離、又は吐出方向性に関し、有効な構造を提案できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】吹出口機構を備えた炭酸ガス発生装置を、ハウスに設置した状態の縮尺した俯瞰図
図2】整流板を備えた第1吹出口と第2吹出口を有する吹出口機構を備えた炭酸ガス発生装置の一部欠截の全体正面図
図2-1】第1吹出口を示した、図2の左側面図
図2-2】第2吹出口を示した、図2の要部右側面図
図3】温風室の温風の流れと、内気の流れと、そのミキシングとの関係を説明する断面模式図
図4】整流板の他の実施例(可動式)を示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい、一実施例を説明する。
【0024】
図1等に示した炭酸ガス発生装置Aは、ハウスHの妻面H1に併設するように配置する。炭酸ガス発生装置Aを説明すると、炭酸ガス発生装置Aは、長方形状の本体1と、本体1の上に連通した温風室2とで構成されており、本体1の上方開口1aは、温風室2の下方開口2aと連通している。従って、後述するように、缶体100で生成された燃焼ガスBが、温風室2(燃焼ガス室)に送られる。
【0025】
この本体1の中心(一例である)には、その内周面に空間領域A1(本体1の内周面と缶体100との間の領域)を設けて燃焼室である缶体100が設けられている。缶体100の側面(図1において、左方向)には、バーナー101の噴射口が設けられる。また、この缶体100の上部には、上方(図1において、向かって上方向)に向かった燃焼ガスの排出管102(拡散用傘付き)が設けられる。この缶体100の下部には(図2において、向かって下方向)、送風機103が設けられている。図中104は燃料を送るポンプ、105は缶体100の下部壁板に複数個設けた空気取入れ孔105であり、この缶体100にハウス内(外)の空気を取入れる。図中106は制御装置を示す。この制御装置106は、バーナー101、送風機103、又はポンプ104等のコントロールをする。
【0026】
また、温風室2は、図3において、図面に向かって、左側の第1吹出口200(第1開口)と、同右側の第2吹出口201(第2開口)とを備えており、この第1吹出口200は、第1吹出筒部200−1の下側を板部200aで塞ぎ、残りの上側に第1開口を形成する。また、第2吹出口201は、第2吹出筒部201−1の天上部を収れん形状のテーパー201−1aとして形成するとともに、第2吹出筒部201−1の底部201−1dの第2開口端より内方に向かって、かつ上向き傾斜とした整流板202を設ける。整流板202は、第2吹出口201の吹出方向と直交する方向に設けられており、その両端部は第2吹出筒部201−1の両側面201−1b、201−1cに到る。即ち、整流板202は、例えば、第2吹出筒部201−1の底部201−1dを流れる高温の燃焼ガスBを、いきなり、第2吹出口201よりハウスHの作物に送らず、一時的にガードして、第1吹出口200に向かって追いやり、望ましくは、この第1吹出口200までに、高温の燃焼ガスBを、低い温度にし(降温し)、最適な温度(適温)にして、ハウスHの作物に送るとともに、この第1吹出口200の高さまで送る役割を担う構造である。そのために、前述の如く、第1吹出口200を第1吹出筒部200−1の上側(上方)に開口する。尚、第1吹出口200には、空気取入れ孔105より吸込んだハウスH内の空気の一部が、缶体100の前側(図2において、同向かって左側100a)とバーナー101の本部との隙間3を通る比較的、低温の空気が、上方開口1aと下方開口2aを経由して、温風室2内に到ることから、この空間領域A1の高温の燃焼ガスBとミキシングされ温度が下がり、所謂、適温の燃焼ガスBとして、ハウスHの作物に送ることができる。尚、適温の燃焼ガスBとする他の手段は、第1吹出口200を、第1吹出筒部200−1の上側に開口し、空間領域A1の高温の燃焼ガスBの滞留時間を稼ぐ構造とする(温風室2に残存等する高温の燃焼ガスBの降温等のタイミングを図る)。
【0027】
図中107は火炎を示す。また、図4の可動式の整流板202は、その第2開口側の下端部位を、底部201−1dに枢支した構造であり、手動、又は自動等の機構を介して、略90°の範囲内で、可動する。これによって、適温(及び/又は適量)のCO2を、ハウスHの作物に送ることができる。
【0028】
以下、本体1を流れる空気C、燃焼ガスB、並びにCO2等の流れを説明すると、バーナー101をONすると、その火炎107が缶体100に噴射され、この缶体100内において燃焼ガスBが生成される燃焼時においては、空気取入れ孔105より吸込まれたハウスH内の空気Xは、送風機103により、空間領域A1に到った後、上昇し、排出管102より排出された燃焼ガスBと混合、かつ降温し、適温のCO2に変換して、上方開口1aと、下方開口2aを経由して、温風室2に導く。その後、第1吹出口200と第2吹出口201から、加速された状態で、温風室2に吹き出される。
【0029】
温風室2においては、下方開口2aから送られたCО2を、第1吹出口200と第2吹出口201とに、それぞれ送るが、前述の如く、第1吹出口200と第2吹出口201との、それぞれの高さの違い(第1吹出口200が高く「板部200aあり」、これに対して、第2吹出口201が低い「テーパー201−1aあり」)と、位置の違い(開口高さの違い)と、整流板202の設置とを利用し、第1吹出口200と第2吹出口201とから、同じ温度のCО2を略均等に吹き出し、かつ望ましくは、略均等な送風スピード、及び/又は、略均等な送風量を確保する。
【0030】
前記適温のCО2は、必要時に、ハウスHの作物に供給する。
【0031】
尚、センサはハウスHの適所に設けるが図示しない。
【0032】
前述した各構造は、本発明の好ましい一例の説明である。従って、本発明は上述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0033】
1 本体
1a 上方開口
100 缶体
100a 左側
101 バーナー
102 排出管
103 送風機
104 ポンプ
105 空気取入れ孔
106 制御装置
107 火炎
2 温風室
2a 下方開口
200 第1吹出口
200−1 第1吹出筒部
200a 板部
201 第2吹出口
201−1 第2吹出筒部
201−1a テーパー
201−1b 側面
201−1c 側面
201−1d 底部
202 整流板
3 隙間
A 炭酸ガス発生装置
A1 空間領域
B 燃焼ガス
C 空気
H ハウス
H1 妻面
X 空気
図1
図2
図2-1】
図2-2】
図3
図4