特許第6847587号(P6847587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847587
(24)【登録日】2021年3月5日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】逆走検知路側装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20210315BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   G08G1/16 D
   G08G1/09 F
   G08G1/09 R
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-88182(P2016-88182)
(22)【出願日】2016年4月26日
(65)【公開番号】特開2017-199127(P2017-199127A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年3月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 安弘
【審査官】 上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−151558(JP,A)
【文献】 特開平08−069598(JP,A)
【文献】 特開2015−121952(JP,A)
【文献】 特開2007−140757(JP,A)
【文献】 特開2009−140343(JP,A)
【文献】 特開2010−267208(JP,A)
【文献】 特開2002−304647(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/043377(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/011043(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
G01C 21/00−21/36
23/00−25/00
G09B 23/00−29/14
G08B 19/00−21/24
G08B 23/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向が一方向に設定された一方通行の第1路線の路側に設けられる逆走検知路側装置であって、
前記第1路線の路側において前記進行方向に沿って設けられ、前記第1路線を走行する車両に搭載された車載器と通信可能な第1通信装置と、
前記第1路線の路側において前記進行方向に沿って前記第1通信装置より上流側に設けられ、前記第1路線を走行する車両に搭載された車載器と通信可能な第2通信装置と、
前記車載器と前記第1通信装置との間の通信が行われ、前記第1通信装置を介して受信された、前記車載器を識別するための車載器識別情報が、前記第2通信装置を介して既に受信済みでない場合、前記車両が前記第1路線を逆走する逆走車両であることを前記車載器に通知する制御部と、を備え、
前記第1路線は、高速道路または有料道路の本線から分岐した支線であって、休憩施設の入口に接続されており、
前記第1通信装置が前記車載器との通信可能な第1エリアと、前記第2通信装置が前記車載器との通信可能な第2エリアと、の間に重複する領域がなく、且つ、前記第1通信装置及び前記第2通信装置は、前記第1路線の路側において前記本線よりも前記休憩施設の入口に近い側に設けられている
逆走検知路側装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1通信装置及び前記第2通信装置の各々を識別するための通信装置識別情報を、前記第1通信装置及び前記第2通信装置の各々を介して前記車載器に送信し、当該通信装置識別情報の送信に対する前記車載器からの応答として、前記車載器識別情報を受信する、請求項1に記載の逆走検知路側装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、逆走検知路側装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や有料道路などでは、事故防止のため、進行方向により車線が分離されている場合が多い。このような状態で、逆走する車両があると、非常に危険であり、問題視されている。車線を逆走する逆走車両を検知し、逆走車両が発生した場合に、その旨を車載器に通知する技術が知られている。逆走車両を検知するための従来の技術として、たとえば、一方通行の車線の下流側および上流側の離れた位置に2つの路側装置を設置し、車載器が上流側の路側装置よりも先に下流側の路側装置と通信を行ったか否かを通信記録に基づき確認することで、逆走車両を検知する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−151558号公報
【特許文献2】特開2009−151567号公報
【特許文献3】特開2012−104157号公報
【特許文献4】特開2003−44984公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような技術では、互いに離れた位置に設置された2つの路側装置間で情報を共有させるためのネットワークなどが必要であり、逆走車両の発生を検知するための構成が大規模なものとなる。そこで、逆走車両の発生を検知するための構成をより小規模化(より簡単化)することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態による逆走検知路側装置は、進行方向が一方向に設定された一方通行の第1路線の路側に設けられる。第1路線は、高速道路または有料道路の本線から分岐した支線であって、休憩施設の入口に接続されている。当該逆走検知路側装置は、第1通信装置と、第2通信装置と、制御部と、を備える。第1通信装置は、第1路線の路側において進行方向に沿って設けられ、第1路線を走行する車両に搭載された車載器と通信可能に構成される。第2通信装置は、第1路線の路側において進行方向に沿って第1通信装置より上流側に設けられ、第1路線を走行する車両に搭載された車載器と通信可能に構成される。制御部は、車載器と第1通信装置との間の通信が行われ、第1通信装置を介して受信された、車載器を識別するための車載器識別情報が、第2通信装置を介して既に受信済みでない場合、車両が第1路線を逆走する逆走車両であることを車載器に通知する第1通信装置が車載器との通信可能な第1エリアと、第2通信装置が車載器との通信可能な第2エリアと、の間に重複する領域がなく、且つ、前記第1通信装置及び前記第2通信装置は、前記第1路線の路側において前記本線よりも前記休憩施設の入口に近い側に設けられている
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態による逆走検知システムの概略的構成を示した例示図である。
図2図2は、第1実施形態による逆走検知システムにおける路側装置および車載器の内部構成を示した例示的なブロック図である。
図3図3は、図4は、第1実施形態による通常車両および逆走車両を示した例示図である。
図4図4は、第1実施形態において出力される警報を説明するための例示図である。
図5図5は、第1実施形態による路側装置および車載器がデータを送受信する処理の概略を示した例示的なシーケンス図である。
図6図6は、第1実施形態による路側装置が実行する処理を示した例示的なフローチャートである。
図7図7は、第1実施形態による車載器が実行する処理を示した例示的なフローチャートである。
図8図8は、第2実施形態による車載器が実行する処理を示した例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態による逆走検知路側装置を図面に基づいて説明する。
【0008】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態による逆走検知システムの概略的構成を示した例示図である。この逆走検知システムは、路側に設けられる路側装置1と、車両Vに搭載される車載器2と、を備える。
【0009】
図1に示すように、高速道路または有料道路の本線R10は、進行方向に応じて分離された2つの路線R11およびR12によって構成されている。そして、進行方向が一方向(矢印D1参照)に設定された一方通行の誘導路(以下、第1路線)R1が、本線R10のうちの路線R11と、サービスエリアやパーキングエリアなどといった休憩施設Fに設けられる入口Xおよび出口Yのうち入口Xと、を接続するように設けられている。
【0010】
ところで、図1に示したような路線構成では、図1においてハッチングが付された車両Vの運転者が、勘違いにより休憩施設Fを出口Yではなく入口Xから出ようとする場合、そのまま進むと、第1路線R1を進行方向D1とは逆に走行し、その後、本線R10(路線R11)を逆走する可能性がある。本線R10(路線R11)上で逆走車両が発生した場合、当該逆走車両と、進行方向に沿って通常通りに走行する通常車両との接触事故の規模が大きくなりやすい。したがって、逆走車両が本線R10(路線R11)に進入するという事態が発生するのを確実に抑制するため、逆走車両の発生を迅速に検知することが望まれる。
【0011】
そこで、第1実施形態では、路側装置1を、逆走車両の発生を検知する機能を有した逆走検知路側装置として構成し、当該路側装置1を、第1路線R1の路側における休憩施設Fの入口Xの近傍に設けている。ここで、路側装置1の設置場所は、逆走車両を検出し、当該逆走車両やその周辺の車両Vに対して通知(警告、詳細は後述する)を出す時間を稼ぐため、休憩施設Fの入口から近傍に設定する方が効果的である。
【0012】
路側装置1は、第1アンテナ11と、第2アンテナ12と、の2つの通信装置を備える。第1アンテナ11および第2アンテナ12は、たとえば、ETC(Electronic Toll Collection System)2.0で用いられるITS(Intelligent Transport Systems)スポットのアンテナとして実現される。
【0013】
図1に示すように、第1アンテナ11および第2アンテナ12は、第1路線R1の路側において進行方向D1に沿って互いに近接して設けられ、第1路線R1を走行する車両Vに搭載される車載器2と通信可能に構成される。
【0014】
図1の例では、第1アンテナ11および第2アンテナ12は、第1路線R1の路側において、休憩施設Fの入口Xの近傍に設置されている。これにより、入口Xから第1路線R1に進入する車両Vが発生した直後、すなわち当該車両Vがまだ入口Xの近傍に位置している時点で、当該車両Vを逆走車両として迅速に検知することが可能となる。この結果、第1路線R1を逆走する車両Vが本線R0(R11)に進入してそのまま本線R10(R11)を逆走するという事態が発生するのを確実に抑制することが可能となる。なお、図1の例では、第1アンテナ11の通信可能エリアが符号A1で表され、第2アンテナ12の通信可能エリアが符号A2で表されている。
【0015】
図2は、第1実施形態による逆走検知システムにおける路側装置1および車載器2の内部構成を示した例示的なブロック図である。
【0016】
図2に示すように、路側装置1は、上述した第1アンテナ11および第2アンテナ12の他にも、第1通信部13と、第2通信部14と、制御部15と、を備える。また、車載器2は、通信部21と、制御部22と、を備える。なお、車載器2は、これらの構成の他、ディスプレイやスピーカなど(図示せず)といった、車両Vの乗員に対して情報を出力するためのインターフェースを備えていてもよい。
【0017】
路側装置1の第1通信部13および第2通信部14は、それぞれ、第1アンテナ11および第2アンテナ12を介した通信を実行可能に構成される。また、車載器2の通信部21は、第1アンテナ11および第2アンテナ12と通信可能に構成される。ここで実行される通信は、たとえば、ETC2.0で用いられるDSRC(Dedicated Short Range Communication)である。
【0018】
路側装置1の制御部15は、CPU(Central Processing Unit)16や、ROM(Read Only Memory)17、RAM(Random Access Memory)18などといった通常のコンピュータと同等の構成を備える。制御部15は、ROM17から読み出したコンピュータプログラムをCPU16により実行することで、路側装置1の各部を制御する機能モジュールをRAM18上に生成する。
【0019】
同様に、車載器2の制御部22は、車載器2の各部を制御する。たとえば、制御部22は、車載器2と同様に車両Vに搭載され、車載器2に接続された警報出力装置3を制御可能に構成される。警報出力装置3は、たとえば、運転者に対する走行支援を行うためのナビゲーション装置であり、ディスプレイやスピーカなど(図示せず)といった、車両Vの乗員に対して情報を出力するためのインターフェースを備える。
【0020】
図3は、第1実施形態による通常車両および逆走車両を示した例示図である。上述したように、通常車両とは、第1路線R1に設定された進行方向D1通りに走行する車両(図3の左側に図示されたハッチング無しの車両V)であり、逆走車両とは、第1路線R1を進行方向D1とは反対方向D2に走行する車両(図3の右側に図示されたハッチング有りの車両V)である。
【0021】
図3に示すように、通常車両の車載器2は、路側装置1に設けられる2つの通信装置(第1アンテナ11および第2アンテナ12)と、第1アンテナ11、第2アンテナ12の順に通信を行う。しかしながら、逆走車両の車載器2は、通常車両の車載器2とは異なり、路側装置1に設けられる2つの通信装置と、第2アンテナ12、第1アンテナ11の順に通信を行う。路側装置1(第1アンテナ11および第2アンテナ12)と、車載器2とは、DSRCに基づき、次のようなプロトコルで通信を行う。
【0022】
DSRCでは、まず、基地局としての路側装置1の第1アンテナ11/第2アンテナ12が、自身の識別情報(通信装置識別情報)を含んだデータを送信する。そして、移動局としての車載器2は、第1アンテナ11/第2アンテナ12からデータを受信した場合に、受信したデータに対する応答として、自身の識別情報(車載器識別情報)を含んだデータを返信する。
【0023】
より具体的に、第1アンテナ11/第2アンテナ12は、自身の通信可能エリアA1/A2に、FCMS(FCMC)データを常時送信している。FCMSは、Frame Control Message Slotの略であり、FCMCは、Frame Control Message Channelの略である。FCMS(FCMC)データは、FID(Fixed Equipment Identifier)や、TRI(Transmitter/Receiver Identifier)などといった、第1アンテナ11/第2アンテナ12を識別するための通信装置識別情報を含んでいる。
【0024】
また、車載器2は、上記のFCMS(FCMC)データを受信した場合、当該FCMS(FCMC)データに対する応答として、ACTS(ACTC)データを返信する。ACTSは、Activation Slotの略であり、ACTCは、Activation Channelの略である。ACTS(ACTC)データは、LID(Link Identifier)といった、車載器2を識別するための車載器識別情報を含んでいる。
【0025】
車載器2は、通信装置識別情報を受信した場合に、当該通信装置識別情報を記録し、路側装置1(第1アンテナ11/第2アンテナ12)は、車載器識別情報を受信した場合に、当該車載器識別情報を記録する。
【0026】
ところで、通常車両は、上述したように、第2アンテナ12よりも前に、第1アンテナ11と通信を行う。したがって、通常車両の車載器識別情報は、通常車両の車載器2と第2アンテナ12との通信が行われた時点で、第1アンテナ11によって既に取得および記録されていることとなる。
【0027】
一方、逆走車両は、上述したように、第2アンテナ12よりも後に、第1アンテナ11と通信を行う。したがって、逆走車両の車載器識別情報は、逆走車両と第2アンテナ12との通信が行われた時点で、第1アンテナ11によって未だ取得および記録されていないこととなる。
【0028】
そこで、第1実施形態による路側装置1は、車載器2を識別するための車載器識別情報を、第1アンテナ11を介して受信するとともに第2アンテナ12を介してさらに受信し、当該車載器2と第2アンテナ12との間の通信が行われたとき、第2アンテナ12を介して受信された車載器識別情報が、第2アンテナ12よりも進行方向D1の上流側に位置する第1アンテナ11を介して既に受信済み(記録済み)でない場合、当該車載器2を備えた車両Vが逆走車両であると判定し、その旨を、当該逆走車両の車載器2に通知するように構成されている。そして、車載器2は、自車両が逆走車両であることの通知を受信した場合、車載器2自身または警報出力装置3によって警報を出力し、乗員に対応を促すように構成されている。
【0029】
図4は、第1実施形態において出力される警報を説明するための例示図である。
【0030】
図4に示すように、警報は、車載器2および警報出力装置3に設けられるディスプレイやスピーカなど(図示せず)を介して、視覚的または聴覚的な形式(あるいはこれらを併用した形式)で出力される。警報の出力は、乗員による所定の停止操作に基づいて停止される。停止操作としては、たとえば、タッチパネルを備えたディスプレイに出力(表示)された画面をタッチする操作や、車載器2などに設けられた物理的なボタン(不図示)を押下する操作などが考えられる。
【0031】
次に、第1実施形態の動作について説明する。
【0032】
図5は、第1実施形態による路側装置1および車載器2がデータを送受信する処理の概略を示した例示的なシーケンス図である。
【0033】
図5に示すように、路側装置1は、S1において、第1アンテナ11/第2アンテナ12の通信可能エリアA1/A2に進入した車両Vの車載器2に対して、当該第1アンテナ11/第2アンテナ12の識別情報を含んだFCMS(FCMC)データを送信する。
【0034】
そして、S2において、車載器2は、受信したFCMS(FCMC)データに対する応答として、自身の識別情報を含んだACTS(ACTC)データを第1アンテナ11/第2アンテナ12に送信する。
【0035】
図6は、第1実施形態による路側装置1が実行する処理を示した例示的なフローチャートである。
【0036】
図6に示すように、路側装置1の制御部15は、まず、S11において、車載器2から送信されるACTS(ACTC)データが、第1アンテナ11/第2アンテナ12を介して受信されたか否かを判断する。
【0037】
S11の処理は、ACTS(ACTC)データが受信されたと判断されるまで繰り返される。S11において、ACTS(ACTC)データが受信されたと判断された場合、S12に処理が進む。
【0038】
S12において、制御部15は、ACTS(ACTC)データの受信元が第2アンテナ12(第2通信部14)であるか否かを判断する。
【0039】
S12において、ACTS(ACTC)データの受信元が第2アンテナ12(第2通信部14)ではなく第1アンテナ11(第1通信部13)であると判断された場合、S13に処理が進む。そして、S13において、制御部15は、ACTS(ACTC)データに含まれる車載器2のLID(車載器識別情報)を記録する。そして、処理が終了する。
【0040】
一方、S12において、ACTS(ACTC)データの受信元が第2アンテナ12(第2通信部14)であると判断された場合、S14に処理が進む。そして、S14において、制御部15は、ACTS(ACTC)データに含まれる車載器2のLIDが既に記録されているか否か、すなわちLIDが第1アンテナ11によって既に取得済みであるか否かを判断する。
【0041】
ここで、上述したように、車両Vが逆走車両である場合、当該車両Vの車載器2は、第2アンテナ12、第1アンテナ11の順に、LIDを含むACTS(ACTC)データを送信する。このため、車両Vが逆走車両である場合、当該車両Vの車載器2と第2アンテナ12との通信が行われる時点において、当該車載器2のLIDは、第1アンテナ11によって未だ取得されていない。
【0042】
したがって、S14において、LIDが未だ記録されていないと判断された場合、通信対象の車両Vが逆走車両であると判定され、S15に処理が進む。そして、S15において、逆走車両であることの通知を通信対象の車載器2に第2アンテナ12を介して送信し、処理が終了する。
【0043】
一方、車両Vが逆走車両ではない通常車両である場合、当該車両Vの車載器2は、第1アンテナ11、第2アンテナ12の順に、LIDを含むACTS(ACTC)データを送信する。このため、車両Vが通常車両である場合、当該車両Vの車載器2と第2アンテナ12との通信が行われる時点において、当該車載器2のLIDは、第1アンテナ11によって既に取得済みである。
【0044】
したがって、S14において、LIDが既に記録されていると判断された場合、通信対象の車両Vが逆走車両ではない通常車両であると判定され、上記のS15のような処理が行われることなく、そのまま処理が終了する。
【0045】
図7は、第1実施形態による車載器2が実行する処理を示した例示的なフローチャートである。
【0046】
図7に示すように、車載器2の制御部22は、まず、S21において、自車両が逆走車両であることの通知が通信部21を介して受信されたか否かを判断する。逆走車両であることの通知は、上記のS15(図6参照)において路側装置1から送信される通知である。
【0047】
S21の処理は、逆走車両であることの通知が受信されたと判断されるまで繰り返される。S21において、逆走車両であることの通知が受信されたと判断された場合、S22に処理が進む。
【0048】
S22において、制御部22は、自車両が逆走車両であることを乗員に通知し、対応を促す警報を出力する。警報は、たとえば、車載器2および警報出力装置3により、視覚的または聴覚的な形式(あるいはこれらを併用した形式)で出力される。
【0049】
S23において、制御部22は、自車両の乗員により、警報の出力を停止するための停止操作が行われたか否かを判断する。
【0050】
S23において、停止操作が行われていないと判断された場合、S22に処理が戻る。一方、S23において、停止操作が行われたと判断された場合、S24に処理が進む。
【0051】
S24において、制御部22は、乗員による停止操作を受けて、警報の出力を停止する。そして、処理が終了する。
【0052】
以上説明したように、第1実施形態による路側装置1の制御部15は、車載器2を識別するための車載器識別情報を、第1アンテナ11および第2アンテナ12を介して受信し、当該車載器2と第2アンテナ12との間の通信が行われたとき、第2アンテナ12を介して受信された車載器識別情報が、第2アンテナ12よりも進行方向D1の上流側に位置する第1アンテナ11を介して既に受信済み(記録済み)でない場合、当該車載器2を備えた車両Vが逆走車両であると判定し、その旨を、当該逆走車両の車載器2に通知するように構成されている。ここで、第1アンテナ11および第2アンテナ12は、第1路線R1の路側において進行方向D1に沿って互いに近接して設けられる。これにより、第1アンテナ11および第2アンテナ12間で情報(車載器2との間の通信記録)を共有するためのネットワークなどの大規模な設備構成を設ける必要がないので、逆走車両の発生を検知するための構成をより小規模化(より簡単化)することができる。
【0053】
また、第1実施形態では、第1路線R1が、休憩施設Fの入口Xに接続されており、第1アンテナ11および第2アンテナ12が、第1路線R1の路側において入口Xの近傍に設けられている。これにより、逆走車両を検知するための構成が、逆走車両が発生しやすい場所である休憩施設Fの入口Xの近傍に設けられるので、逆走車両の発生を効果的に検知することができる。また、休憩施設Fの入口Xからの逆走車両が発生した場合に、当該逆走車両を迅速に検知することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、逆走車両の判定に、DSRCにおいて一般的に行われるFCMS(FCMC)データおよびACTS(ACTC)データの送受信の記録が利用されている。これにより、ETCカードなどから取得される比較的複雑な情報を利用しなくても、簡単に、逆走車両の判定を行うことができる。
【0055】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1実施形態と異なり、逆走車両を検知する機能が、路側装置1a(図2参照)ではなく、車載器2a(図2参照)に設けられる。すなわち、第2実施形態では、路側装置1aではなく車載器2aが、逆走車両の発生を検知可能な逆走検知車載器として機能する。
【0056】
より具体的に、通常車両は、上述したように、第2アンテナ12よりも前に、第1アンテナ11と通信を行う。一方、逆走車両は、第2アンテナ12よりも後に、第1アンテナ11と通信を行う。したがって、第1アンテナ11の通信装置識別情報が受信された順番と、第2アンテナ12の通信装置識別情報が受信された順番とを比較すれば、路側装置1aの制御部15aに第1実施形態のような処理を行わせることなく、車載器2a側で、逆走車両の判定を行うことができる。
【0057】
そこで、第2実施形態による車載器2aの制御部22aは、第1アンテナ11/第2アンテナ12を識別するための通信装置識別情報を、通信部21を介して受信し、第2アンテナ12の通信装置識別情報が受信された順番が、第1アンテナ11の通信装置識別情報が受信された順番より前である場合に、自車両が逆走車両であることの通知を出力する。
【0058】
なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
ここで、第2実施形態の動作について説明する。
【0060】
図8は、第2実施形態による車載器2aが実行する処理を示した例示的なフローチャートである。
【0061】
図8に示すように、第2実施形態による車載器2aの制御部22aは、まず、S31において、FCMS(FCMC)データが通信部21により受信されたか否かを判断する。
【0062】
S31の処理は、FCMS(FCMC)データが受信されたと判断されるまで繰り返される。S31において、FCMS(FCMC)データが受信されたと判断された場合、S32に処理が進む。
【0063】
S32において、制御部22aは、FCMS(FCMC)データの送信元が第1アンテナ11であるか否かを判断する。FCMS(FCMC)データの送信元が第1アンテナ11であるか否かの判断は、当該FCMS(FCMC)データに含まれるFIDやTRIなどといった通信装置識別情報に基づいて行われる。
【0064】
ここで、上述したように、車両Vが逆走車両である場合、当該車両Vの車載器2aは、第2アンテナ12、第1アンテナ11の順に通信を行う。このため、車両Vが逆走車両である場合、当該車両Vの車載器2aは、第1アンテナ11のFCMS(FCMC)データよりも先に、第2アンテナ12のFCMS(FCMC)データを受信する。
【0065】
したがって、S32において、FCMS(FCMC)データの送信元が第1アンテナ11ではなく第2アンテナ12であると判断された場合、自車両が逆走車両であると判定され、S33に処理が進む。なお、以降に実行されるS33〜S35の処理(警報出力処理および警報出力停止処理)は、上述した第1実施形態におけるS22〜S24の処理(図7参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0066】
一方、車両Vが逆走車両ではない通常車両である場合、当該車両Vの車載器2aは、第1アンテナ11、第2アンテナ12の順に通信を行う。このため、車両Vが通常車両である場合、当該車両Vの車載器2aは、第2アンテナ12のFCMS(FCMC)データよりも先に、第1アンテナ11のFCMS(FCMC)データを受信する。
【0067】
したがって、S32において、FCMS(FCMC)データの送信元が第1アンテナ11であると判断された場合、自車両が通常車両であると判定され、S36に処理が進む。なお、以降に実行されるS36およびS37の処理は、自車両が通常車両であることの確認をとる処理である。
【0068】
すなわち、S36において、制御部22aは、S31と同様に、FCMS(FCMC)データが受信されたか否かを判断する。このS36の処理は、FCMS(FCMC)データが受信されたと判断されるまで繰り返される。そして、S36において、FCMS(FCMC)データが受信されたと判断された場合、S37に処理が進む。
【0069】
S37において、制御部22aは、FCMS(FCMC)データの送信元が第2アンテナ12であるか否かを判断する。S37において、FCMS(FCMC)データの送信元が第2アンテナ12であると判断された場合、車載器2aが第1アンテナ11、第2アンテナ12の順に通信を行ったことが確定するので、S33のような警報出力処理が実行されることなく、そのまま処理が終了する。一方、S37において、FCMS(FCMC)データの送信元が第2アンテナ12ではないと判断された場合、車載器2aが第1アンテナ11、第2アンテナ12の順に通信を行ったことが確定しないので、自車両が通常車両ではないと判定され、S33に処理が進む。
【0070】
なお、第2実施形態による路側装置1aは、第1アンテナ11および第2アンテナ12からそれぞれのFCMS(FCMC)データを常時送信する処理を実行するのみであるため、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0071】
以上説明したように、第2実施形態による車載器2aの制御部22aは、第1アンテナ11および第2アンテナ12の各々を識別するための通信装置識別情報を、通信部21を介して受信し、第2アンテナ12の通信装置識別情報が、第2アンテナ12よりも進行方向D1の上流側に位置する第1アンテナ11の通信装置識別情報よりも先に受信された場合、自車両が第1路線R1を逆走する逆走車両であることの警報(通知)を出力する。これにより、車載器2a側で、より簡単に、逆走車両の検知を行うことができる。
【0072】
なお、上述の第1実施形態では、逆走車両を検知する機能を車載器ではなく路側装置に持たせる例を示し、上述の第2実施形態では、逆走車両を検知する機能を路側装置ではなく車載器に持たせる例を示した。しかしながら、他の実施形態として、逆走車両を検知する機能を路側装置および車載器の両方に持たせ、路側装置および車載器のいずれに逆走車両を検知させるかを運用環境に応じて切り替える構成も考えられる。このように構成すれば、路側装置による逆走車両の検知と、車載器による逆走車両の検知とを、状況に応じて適切に使い分けることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態およびその変形は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの省略、置き換え、変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1、1a 路側装置
2、2a 車載器
11 第1アンテナ
12 第2アンテナ
13 第1通信部
14 第2通信部
15、15a 制御部
21 通信部
22、22a 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8