(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847731
(24)【登録日】2021年3月5日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/331 20060101AFI20210315BHJP
H01L 29/732 20060101ALI20210315BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20210315BHJP
H01L 21/8248 20060101ALI20210315BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20210315BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20210315BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20210315BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20210315BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20210315BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
H01L29/72 P
H01L27/06 101P
H01L27/06 101U
H01L27/06 311C
H01L27/04 H
H01L27/088 F
H01L29/78 301K
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-65910(P2017-65910)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-170378(P2018-170378A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長尾 佳介
【審査官】
杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−517633(JP,A)
【文献】
特開平06−232149(JP,A)
【文献】
特開2001−060634(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0202265(US,A1)
【文献】
特開昭59−193627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/732
H01L 21/331
H01L 27/06
H01L 21/8222
H01L 27/04
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板の第1の領域に設けられた第2導電型の第1の埋め込み層と、
前記第1の埋め込み層の上に互いに隣接して設けられた第1導電型の第1の拡散層及び第2導電型の第2の拡散層と、
前記第1の拡散層と前記第2の拡散層との間に介在するようにして前記第1の拡散層及び前記第2の拡散層よりも深く設けられた第1のトレンチ絶縁領域と、
前記第1の拡散層の表面に設けられた第1導電型の第1のベースコンタクト領域及び第2導電型の第1のエミッタ領域と、
前記第2の拡散層の表面に設けられた第2導電型の第1のコレクタコンタクト領域とを有する第1のバイポーラトランジスタと、
前記半導体基板の前記第1の領域とは異なる第2の領域に、前記第1の埋め込み層と同じ深さに設けられた第2導電型の第2の埋め込み層と、
前記第2の埋め込み層の上に互いに隣接して設けられた第1導電型の第3の拡散層及び第2導電型の第4の拡散層と、
前記第3の拡散層と前記第4の拡散層との間に介在するようにして前記第3の拡散層及び前記第4の拡散層よりも浅く設けられた第2のトレンチ絶縁領域と、
前記第3の拡散層の表面に設けられた第1導電型の第2のベースコンタクト領域及び第2導電型の第2のエミッタ領域と、
前記第4の拡散層の表面に設けられた第2導電型の第2のコレクタコンタクト領域とを有する第2のバイポーラトランジスタとを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1導電型の半導体基板の前記第1の領域及び第2の領域とは異なる第3の領域に設けられた第1導電型の第5の拡散層と、
前記第5の拡散層の上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記第5の拡散層の表面においてそれぞれ前記ゲート電極の両側に位置するように設けられた第2導電型のソース拡散層及びドレイン拡散層とを有するMOSトランジスタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第5の拡散層の下に設けられた第2導電型の第3の埋め込み層をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2のトレンチ絶縁領域内に絶縁膜を介して埋め込まれた電極をさらに備え、
当該電極をゲート電極とし、前記第2のトレンチ絶縁領域内の前記絶縁膜をゲート絶縁膜とし、前記第2のエミッタ領域及び前記第2のコレクタコンタクト領域をソース拡散層及びドレイン拡散層とするMOSトランジスタが構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の埋め込み層と前記第1及び第2の拡散層との間に設けられた、前記第1の埋め込み層よりも低濃度の第2導電型の第6の拡散層と、
前記第2の埋め込み層と前記第3及び第4の拡散層との間に設けられた、前記第2の埋め込み層よりも低濃度の第2導電型の第7の拡散層とをさらに備え、
前記第7の拡散層が前記第6の拡散層と同じ深さであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の埋め込み層と前記第2の埋め込み層とが一体形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の埋め込み層と前記第2の埋め込み層と前記第3の埋め込み層とが一体形成されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2の拡散層と前記第4の拡散層とが一つの拡散層であり、前記第1のバイポーラトランジスタと前記第2のバイポーラトランジスタとにより共用され、
前記第1のコレクタコンタクト領域と前記第2のコレクタコンタクト領域とが一つの領域であり、前記第1のバイポーラトランジスタと前記第2のバイポーラトランジスタとにより共用されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、高耐圧バイポーラトランジスタを備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば、車載製品として用いられる半導体装置には、高耐圧、小面積、及び高信頼性を併せ持つ素子が求められている。
しかし、高耐圧なトランジスタでは、電界の集中を防ぐためにドレイン(もしくは、コレクタ)側の距離が長くなるように設計することが多く、素子面積が大きくなる傾向にある。
【0003】
かかる問題に対し、高耐圧バイポーラトランジスタにおいて、素子面積の縮小のためにエミッタ・コレクタ間に深いトレンチ絶縁領域を設けることにより、電流経路が主に縦方向となるようにして面積を縮小させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−232149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半導体装置の面積を縮小させるためには、特許文献1のように、深いトレンチ絶縁領域を用いてバイポーラトランジスタを形成することによって素子面積を縮小しても、それを静電気放電(ESD)から保護する素子も小さくしなければ、半導体装置全体としての面積は、あまり縮小することができない。
一般に、ESD保護素子は、ESDによる大量の電流を流すために面積を大きくする必要があり、半導体装置の中でも面積の占有率が高い。
【0006】
また、ESD保護素子は、保護対象の素子にサージ電流が流れないようにするため、ESD保護素子内の寄生抵抗を落とすこと、及び、寄生バイポーラ動作に入りやすくすることの二つの条件を満たす必要がある。バイポーラトランジスタにおいて、この二つの条件のうち、まず、前者の条件を満たすには、エミッタからコレクタまでの電流経路を短くする、またはエミッタ、ベース、コレクタの少なくともいずれかの不純物濃度を上げる必要がある。そして、後者の条件を満たすには、ベースの電流経路を短くする、ベースの不純物濃度を下げる、またはエミッタの不純物濃度を上げる必要がある。
【0007】
引用文献1に示されたような深いトレンチ絶縁領域を用いたバイポーラトランジスタを備えた半導体装置において、同様に深いトレンチ絶縁領域を用いたバイポーラトランジスタによって小面積のESD保護素子を作製しようとすると、トレンチの深さによって電流経路の長さが決められているために、エミッタ、ベース、コレクタの各領域を形成するためのインプラの深さを変えたとしても、電流経路が長くなる領域と短くなる領域ができるだけであり、エミッタからコレクタまでの電流経路を短くすることと、ベースの電流経路を短くすることの両方を満たすことはできない。
【0008】
また、エミッタの不純物濃度を上げれば上記二つの条件を両方とも満たせるが、エミッタの不純物濃度は、バイポーラトランジスタの能力を上げるために、活性化できる限界に近い濃度になっている場合が多く、それ以上濃度を上げるのは難しい。
結果的に、小面積のESD保護素子を作るためには、コレクタの不純物濃度を上げる用途とベースの不純物濃度を下げる用途との二枚フォトマスクを追加する必要があり、コストが大幅に上がってしまう。
【0009】
したがって、本発明は、高耐圧バイポーラトランジスタとESD保護素子として機能するバイポーラトランジスタとをいずれも小面積とした半導体装置を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半導体装置は、第1導電型の半導体基板の第1の領域に設けられた第2導電型の第1の埋め込み層と、前記第1の埋め込み層の上に互いに隣接して設けられた第1導電型の第1の拡散層及び第2導電型の第2の拡散層と、前記第1の拡散層と前記第2の拡散層との間に介在するようにして前記第1の拡散層よりも深く設けられた第1のトレンチ絶縁領域と、前記第1の拡散層の表面に設けられた第1導電型の第1のベースコンタクト領域及び第2導電型の第1のエミッタ領域と、前記第2の拡散層の表面に設けられた第2導電型の第1のコレクタコンタクト領域とを有する第1のバイポーラトランジスタと、前記半導体基板の前記第1の領域とは異なる第2の領域に設けられた第2導電型の第2の埋め込み層と、前記第2の埋め込み層の上に互いに隣接して設けられた第1導電型の第3の拡散層及び第2導電型の第4の拡散層と、前記第3の拡散層と前記第4の拡散層との間に介在するようにして前記第3の拡散層よりも浅く設けられた第2のトレンチ絶縁領域と、前記第3の拡散層の表面に設けられた第1導電型の第2のベースコンタクト領域及び第2導電型の第2のエミッタ領域と、前記第4の拡散層の表面に設けられた第2導電型の第2のコレクタコンタクト領域とを有する第2のバイポーラトランジスタとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1及び第2のバイポーラトランジスタは、互いに拡散層の構成が同様であるため、コレクタ・エミッタ間耐圧が同じである。また、第2のバイポーラトランジスタは、第1のバイポーラトランジスタと比べて、コレクタである第4の拡散層とベースである第3の拡散層内を流れる電流の経路を短くすることができる。すなわち、第2のバイポーラトランジスタは、寄生抵抗が低く、かつ、寄生バイポーラ動作に入りやすい。したがって、第2のバイポーラトランジスタの拡散層濃度を第1のバイポーラトランジスタと異ならせる必要はなく、第2のトレンチ絶縁領域の深さを適宜調節するだけで、第2のバイポーラトランジスタを第1のバイポーラトランジスタのESD保護素子とすることができる。
【0012】
また、第1及び第2のバイポーラトランジスタは、いずれも、電流経路が主に縦方向(深さ方向)となるため、全体として面積の小さい半導体装置の実現が可能となる。
さらに、第1のトレンチ絶縁領域と第2のトレンチ絶縁領域の深さを異ならせるには、フォトマスクを一枚追加するだけでよいため、コスト増を抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態による半導体装置を示す模式的断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による半導体装置を示す模式的断面図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態による半導体装置示す模式的断面図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態による半導体装置を示す模式的断面図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態による半導体装置を示す模式的断面図である。
【
図6】本発明の第6の実施形態による半導体装置を示す模式的断面図である。
【
図7】本発明の第7の実施形態による半導体装置を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による半導体装置100を示す模式的断面図である。
図1に示すように、本実施形態の半導体装置100は、P型の半導体基板1の領域Aに設けられたバイポーラトランジスタ10と、半導体基板1の領域Aとは異なる領域Bに設けられたバイポーラトランジスタ20とを備えている。
領域A及びBは、トレンチ素子分離領域2によって区画されている。
【0015】
バイポーラトランジスタ10は、半導体基板1上に設けられたN型の埋め込み層11と、埋め込み層11上に互いに隣接して設けられたP型の拡散層12及びN型の拡散層13と、拡散層12と拡散層13との間に介在するようにして拡散層12より深く設けられたトレンチ絶縁領域14と、拡散層12の表面に設けられたP型のベースコンタクト領域15と、拡散層12の表面に設けられたN型のエミッタ領域16と、拡散層13の表面に設けられたN型のコレクタコンタクト領域17とを有している。
バイポーラトランジスタ10においては、拡散層12がベースとして機能し、拡散層13及び埋め込み層11がコレクタとして機能する。
【0016】
バイポーラトランジスタ20は、半導体基板1上に設けられたN型の埋め込み層21と、埋め込み層21上に互いに隣接して設けられたP型の拡散層22及びN型の拡散層23と、拡散層22と拡散層23との間に介在するようにして拡散層22より浅く設けられたトレンチ絶縁領域24と、拡散層22の表面に設けられたP型のベースコンタクト領域25と、拡散層22の表面に設けられたN型のエミッタ領域26と、拡散層23の表面に設けられたN型のコレクタコンタクト領域27とを有している。
バイポーラトランジスタ20においては、拡散層22がベースとして機能し、拡散層23及び埋め込み層21がコレクタとして機能する。
【0017】
なお、図示は省略するが、エミッタ領域16と26、ベースコンタクト領域15と25、コレクタコンタクト領域17と27の上には、層間絶縁膜が形成され、該層間絶縁膜を通して各領域に接続するコンタクトが形成され、さらにその上に、メタル配線、パッシベーション膜などが形成される。
【0018】
本実施形態では、埋め込み層11と21、拡散層12と22、拡散層13と23、ベースコンタクト領域15と25、エミッタ領域16と26、コレクタコンタクト領域17と27は、それぞれ同一のインプラで作成することが可能である。したがって、トレンチ絶縁領域14と深さの異なるトレンチ絶縁領域24を作るためのフォトマスク一枚の追加のみで、バイポーラトランジスタ10と20とを作り分けることができる。
また、本実施形態では、トレンチ素子分離領域14とトレンチ素子分離領域2とが同じ深さを有しており、これらは、一枚のフォトマスクで同時に形成することができる。
【0019】
そして、バイポーラトランジスタ20をバイポーラトランジスタ10のESD保護素子として用いる場合、バイポーラトランジスタ20の寄生抵抗がバイポーラトランジスタ10よりも低く、かつ、バイポーラトランジスタ20がバイポーラトランジスタ10よりも寄生バイポーラ動作に入りやすくなっている必要がある。
【0020】
バイポーラトランジスタ20においては、エミッタ領域26と拡散層23との間の距離がベース長、拡散層22とコレクタコンタクト領域27との間の距離がコレクタ長となるが、本実施形態においては、トレンチ絶縁領域24の深さを変えることにより、ベース長とコレクタ長を同時に伸縮させることができる。上述のとおり、コレクタ長を短くすれば寄生抵抗を下げることが可能であり、ベース長を短くすれば寄生抵抗を下げ、寄生バイポーラ動作に入りやすくすることができる。したがって、所望の寄生抵抗及び寄生バイポーラ動作への入りやすさになるように、トレンチ絶縁領域24の深さを調節することで、バイポーラトランジスタ20を、バイポーラトランジスタ10をESDから保護するのに最適な保護素子とすることができる。
また、トレンチ絶縁領域14については、バイポーラトランジスタ10が所望の性能となるように深さを決定するのが望ましい。
【0021】
本実施形態においては、エミッタ領域16及びコレクタコンタクト領域17をトレンチ絶縁領域14に隣接させ、更にエミッタ領域26及びコレクタコンタクト領域27をトレンチ絶縁領域24に隣接させている。かかる配置がバイポーラトランジスタ10とバイポーラトランジスタ20のベース長及びコレクタ長の差を最もよく出せる配置であるため、特に望ましい。
【0022】
なお、本実施形態においては、領域Aと領域Bとがトレンチ素子分離領域2を介して隣接して配置されているが、必ずしも隣接している必要はなく、離れた場所に配置されてもよい。例えば、領域AとBとの間(すなわち、バイポーラトランジスタ10と20との間)に、トレンチ素子分離領域2により区画された別の領域を設け、そこに別の素子を形成してもよい。その場合、当該別の素子は、埋め込み層を有していなくてもかまわない。
【0023】
次に、本発明の第2〜第7の実施形態について、それぞれ
図2〜
図7を用いて説明する。
なお、
図2〜
図7において、
図1に示す第1の実施形態の半導体装置100と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0024】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態による半導体装置200を示す模式的断面図である。
図2に示すように、本実施形態の半導体装置200は、
図1に示す半導体装置100に加えて、半導体基板1の領域A及びBとは異なる領域Cに設けられたMOSトランジスタ30を備えている。
【0025】
MOSトランジスタ30は、N型の埋め込み層31上に設けられたP型の拡散層32と、拡散層32の上にゲート酸化膜33を介して設けられたゲート電極34と、拡散層32の表面においてそれぞれゲート電極34の両側に位置するように設けられたN型のソース拡散層35及びドレイン拡散層36とを備えている。
なお、埋め込み層31については、MOSトランジスタ30の動作には特に影響を与えないため、設けなくてもかまわない。
【0026】
このように、バイポーラトランジスタのみではなくMOSトランジスタなど、バイポーラトランジスタ20よりも耐圧が高い素子であれば、バイポーラトランジスタのみではなくMOSトランジスタなどもバイポーラトランジスタ20によってESDから保護することが可能である。
【0027】
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態による半導体装置300を示す模式的断面図である。
図3に示すように、本実施形態の半導体装置300は、
図1に示す半導体装置100におけるトレンチ絶縁領域24の内部に、ゲート電極20gを埋め込むことでいる。これにより、トレンチ絶縁領域24内の絶縁膜がゲート絶縁膜として、拡散層22がウェル及びチャネルとして、拡散層23がドレイン電界緩和層として、ベースコンタクト領域25がウェルコンタクト領域として、エミッタ領域26がソース拡散層として、コレクタコンタクト領域27がドレイン拡散層として機能し、領域Bの素子をMOSトランジスタ20mとして用いることができる。
【0028】
図示は省略するが、トレンチ絶縁領域24中に埋め込んだゲート電極20gには、その上に形成される層間絶縁膜を通してコンタクトが形成され、さらにその上に形成されるメタル配線を介して電位が印加される。
【0029】
本実施形態によれば、MOSトランジスタ20mは、ゲート電極20gとソース拡散層(エミッタ領域)26とが同電位(例えば、接地電位)になるように配線することで、通常はオフ状態となり、サージが入ったときのみ電流を流すESD保護素子となる。ここでは、ゲート電極20gの存在により、拡散層22と拡散層23の境界からソース拡散層(エミッタ領域)の方向に伸びようとする空乏層の広がりを抑えられるために、
図1の半導体装置100におけるバイポーラトランジスタ20よりも寄生バイポーラ動作に移る電圧が低くなる。したがって、特に、半導体装置100におけるバイポーラトランジスタ20よりも寄生バイポーラ動作を起こしやすくしたい場合に、本実施形態が有効である。
【0030】
[第4の実施形態]
図4は、本発明の第4の実施形態による半導体装置400を示す模式的断面図である。
図4に示すように、本実施形態の半導体装置400は、
図1に示す半導体装置100に加えて、埋め込み層11と拡散層12及び13との間設けられたN型の拡散層18と、埋め込み層21と拡散層22及び23との間に設けられたN型の拡散層28とをさらに備えている。拡散層18及び28は、埋め込み層11及び21よりも不純物濃度が低い。
【0031】
本実施形態によれば、バイポーラトランジスタ10及びバイポーラトランジスタ20のコレクタ・エミッタ間耐圧を上げることができる。したがって、半導体装置100と比べて、更に高耐圧な素子にすることが可能である。
【0032】
[第5の実施形態]
図5は、本発明の第5の実施形態による半導体装置500を示す模式的断面図である。
図5に示すように、本実施形態の半導体装置500は、
図1に示す半導体装置100において、埋め込み層11と埋め込み層21とが別個に設けられているのに代えて、これらを一体形成したN型の埋め込み層501を備えている。
【0033】
半導体装置100においては、埋め込み層11と埋め込み層21とを別個に設けているため、領域AとBとが隣接して配置されている場合、埋め込み層同士のスペースルールにより大きく距離をとらなければならない場合が多い。
【0034】
これに対し、本実施形態によれば、別々に設けられていた埋め込み層11と埋め込み層21とが一体形成された共通の埋め込み層501の上に、バイポーラトランジスタ10とバイポーラトランジスタ20とを形成するため、半導体装置100と比べて、更なる面積の縮小が可能となる。
【0035】
[第6の実施形態]
図6は、本発明の第6の実施形態による半導体装置600を示す模式的断面図である。
図6に示すように、本実施形態の半導体装置600は、
図2に示す半導体装置200において、埋め込み層11と埋め込み層21と埋め込み層31とが別個に設けられているのに代えて、これらを一体形成したN型の埋め込み層601を備えている。
【0036】
半導体装置200においては、埋め込み層11と埋め込み層21と埋め込み層31とを別個に設けているため、領域AとBとCが隣接して配置されている場合、埋め込み層同士のスペースルールにより大きく距離をとらなければならない場合が多い。
【0037】
これに対し、本実施形態によれば、別々に設けられていた埋め込み層11と埋め込み層21と埋め込み層31とが一体形成された共通の埋め込み層601の上に、バイポーラトランジスタ10とバイポーラトランジスタ20とMOSトランジスタ30を形成するため、半導体装置200と比べて、更なる面積の縮小が可能である。
【0038】
[第7の実施形態]
図7は、本発明の第7の実施形態による半導体装置700を示す模式的断面図である。
図7に示すように、本実施形態の半導体装置700は、
図5に示す半導体装置500において、拡散層13と拡散層23を統一して一つのN型の拡散層703とし、コレクタコンタクト領域17とコレクタコンタクト領域27を統一した一つのコレクタコンタクト領域707が拡散層703の表面に設けられている。これにより、拡散層703とコレクタコンタクト領域707は、バイポーラトランジスタ10とバイポーラトランジスタ20とにより共用されている。
【0039】
本実施形態においては、ESDによるサージが入ったときのみ、バイポーラトランジスタ20が動作する。
本実施形態によれば、コレクタである拡散層703を共用することで、拡散層13と拡散層23のいずれか一つ分とアクティブエリア間スペースルールのために必要な領域分を省略することができ、半導体装置500と比べて、更なる面積の縮小が可能である。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態においては、第1導電型をP型、第2導電型をN型として説明したが、導電型を入れ替えて、第1導電型をN型、第2導電型をP型とすることも可能である。
また、各拡散層の濃度を適宜変更するために、各拡散層と同一の導電型の拡散層を重ねて導入してもかまわない。
【符号の説明】
【0041】
1 P型半導体基板
2 トレンチ素子分離領域
10、20 バイポーラトランジスタ
20m、30 MOSトランジスタ
11、21、31、501 N型埋め込み層
12、22、32 P型拡散層
13、23、703 N型拡散層
14、24 トレンチ絶縁領域
15、25 P型ベースコンタクト領域
16、26 N型エミッタ領域
17、27、707 N型コレクタコンタクト領域
18、28 低濃度N型拡散層
33 ゲート酸化膜
20g、34 ゲート電極
35 ソース拡散層
36 ドレイン拡散層