(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排ガス成分と前記ミストとの接触生成物は、前記排ガス成分と、前記燃焼排ガス中に噴霧された複数の前記ミストとの合体による粒径が増大した肥大化ミストである、請求項1または2に記載の排ガス成分の除去方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これを解決する手段として、本発明の実施形態では、二酸化炭素の分離回収装置の吸収器の前段に、排ガス成分を捕捉するための排ガス成分の除去器を設置する。これは、微小なミストを排ガスに向けて噴霧することで、ばいじん等の排ガス中の微粒子の見かけの粒径を強制的に大きくさせ、これを捕捉器で微粒子等を含んだミストとして除去する。これにより、二酸化炭素分離回収装置の吸収器後段に排出される溶液量を低減することが狙いである。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、吸収液の外部への放出量を低減させる方法および装置および二酸化炭素の分離回収方法ならびに分離回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の実施形態による排ガス成分の除去方法は、燃焼排ガス中にミスト形成液を噴霧してミストを形成し、前記燃焼排ガス中に含まれる排ガス成分をこの排ガス成分と前記ミストとの接触生成物として捕集除去すること、を特徴とする。
【0008】
そして、本発明の実施形態による排ガス成分の除去器は、
排ガス成分とミストとの接触空間を内部に有する容器と、
前記接触空間にミスト形成液を噴霧してミストを形成する噴霧装置と、
前記排ガス成分と前記ミストとの接触生成物を捕集する捕集装置と、
前記接触空間に、前記排ガス成分を含有する燃焼排ガスを導入する導入口と、
前記接触空間から、前記排ガス成分の少なくとも一部が除去された燃焼排ガスを導出させる導出口とを具備してなること、を特徴とする。
【0009】
そして、本発明の実施形態による二酸化炭素の分離回収方法は、
燃焼排ガス中にミスト形成液を噴霧してミストを形成し、前記燃焼排ガス中に含まれる排ガス成分をこの排ガス成分と前記ミストとの接触生成物として捕集除去する工程と、
前記の捕集除去工程を経た二酸化炭素を含有する燃焼排ガスとアミン化合物を含んでなる二酸化炭素吸収液とを接触させて、前記燃焼排ガスから二酸化炭素を吸収除去する吸収工程と、
二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収液から二酸化炭素を分離して、前記二酸化炭素吸収液を再生する工程とを具備してなり、
前記再生工程で再生した前記二酸化炭素吸収液を前記吸収工程で再利用できるように構成されてなること、を特徴とする。
【0010】
そして、本発明の実施形態による二酸化炭素の分離回収装置は、
排ガス成分の除去器と、
二酸化炭素を含有する燃焼排ガスとアミン化合物を含んでなる二酸化炭素吸収液とを接触させて、前記燃焼排ガスから二酸化炭素を吸収除去する吸収器と、
二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収液から二酸化炭素を分離して、前記二酸化炭素吸収液を再生する再生器とを具備してなり、
前記再生工程で再生した前記二酸化炭素吸収液を前記吸収工程で再利用できるように構成されてなる二酸化炭素の分離回収装置であって、
前記排ガス成分の除去器は、
排ガス成分とミストとの接触空間を内部に有する容器と、
前記接触空間にミスト形成液を噴霧してミストを形成する噴霧装置と、
前記排ガス成分と前記ミストとの接触生成物を捕集する捕集装置と、
前記接触空間に、前記排ガス成分を含有する燃焼排ガスを導入する導入口と、
前記接触空間から、前記排ガス成分の少なくとも一部が除去された燃焼排ガスを導出させる導出口とを具備してなり、かつ前記吸収器への燃焼排ガスの供給路に配置されてなること、を特徴とする。
【0011】
このような本発明の実施形態による二酸化炭素の分離回収装置は、好ましい態様として、前記ミスト形成液が、前記吸収器に供給される二酸化炭素吸収液から取得されるものであるもの、を包含する。
【0012】
このような本発明の実施形態による二酸化炭素の分離回収装置は、好ましい態様として、前記ミスト形成液が、前記吸収器から導出された後に、気液分離器に導入されてそこで液体として分離された液であるもの、を包含する。
【0013】
このような本発明の実施形態による二酸化炭素の分離回収装置は、好ましい態様として、前記ミスト形成液は、前記吸収器から導出された後に、溶液洗浄器に導入されてそこで洗浄され液体として分離されものであるもの、を包含する。
【0014】
このような本発明の実施形態による二酸化炭素の分離回収装置は、好ましい態様として、前記ミスト形成液が、前記再生器から導出された後に、気液分離器に導入されてそこで液体として分離されたものであるもの、を包含する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態による排ガス成分の除去方法および排ガス成分の除去器では、除去器内で容易にかつ確実にミストリッチな状態を作ることができる。このことから、ミストと排ガス成分との接触回数やミスト同士の接触回数が多く、ミストの粒径を肥大化させることができる。従って、本発明の実施形態による排ガス成分の除去方法および排ガス成分の除去装置によれば、燃焼排ガス中に含まれる排ガス成分を効率的に除去することができる。
【0016】
そして、本発明の実施形態による排ガス成分の除去器を、二酸化炭素の分離回収装置に適用した場合には、排ガス成分の分離回収のために使用されるミスト形成液として二酸化炭素吸収液を用いることができて、かつ排ガス成分の捕集除去のために使用された後の溶液も同一の二酸化炭素の分離回収装置において再利用可能である。従って、ミスト形成液を調製するための特別の装置や廃液処理を要することなしに、排ガス成分の捕集除去を二酸化炭素の分離回収に伴なって、同時にかつ容易に低コストで行うことができる。
【0017】
そして、実施形態による二酸化炭素の分離回収方法および二酸化炭素の分離装置では、燃焼排ガス中から排ガス成分が捕集除去されており、従って、二酸化炭素吸収器へのばいじん等の排ガス成分の導入が抑制されていることから、吸収器から排出されるガス中に二酸化炭素吸収液がミストとして混入することが制御されている。このことから、二酸化炭素吸収液およびそこに含まれる成分(例えば、アミン化合物)が装置外部へ放散することが、防止されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔排ガス成分の除去方法〕
本発明の実施形態による排ガス成分の除去方法は、燃焼排ガス中にミスト形成液を噴霧してミストを形成し、前記燃焼排ガス中に含まれる排ガス成分をこの排ガス成分と前記ミストとの接触生成物として捕集除去すること、を特徴とする。ここで、「排ガス成分」とは、燃料の燃焼過程で生じる各種成分ないし物質を言い、例えば、ばいじん、硫黄酸化物、窒素酸化物等を挙げることができる。
【0020】
このような本発明の実施形態による排ガス成分の除去方法は、好ましい態様として、排ガス成分とミストとの接触生成物が、排ガス成分と燃焼排ガス中に噴霧された複数の前記ミストとの合体による粒径が増大した肥大化ミストであるもの、を包含する。
【0021】
なお、本明細書では、ミスト形成液を噴霧して形成された直後のミストを「一次ミスト」と言い、排ガス成分と燃焼排ガス中に噴霧された複数の前記ミスト(一次ミスト)との合体による粒径が増大した肥大化ミストを「二次ミスト」ということがある。一次ミストは、平均粒径が好ましくは0.01〜1μm、特に好ましくは0.05〜0.1μm、のものであり、二次ミスト(肥大化ミスト)は、平均粒径が好ましくは10〜100μm、特に好ましくは20〜50μm、のものである。二次ミストの平均粒径が、10μm未満の場合、除去器でのミスト除去率が大幅に低減してしまうことから好ましくない。ここで、平均粒径とは、投影面積や体積を幾何学的に計算し、球体などの規則的な形状の粒子に換算しなおした幾何学的粒子径のことである。
【0022】
そして、このような本発明の実施形態による排ガス成分の除去方法は、好ましい態様として、ミスト形成液が、水、または二酸化炭素の分離回収装置から取得される二酸化炭素吸収液であるもの、を包含する。ここで、「二酸化炭素吸収液」の好ましい具体例としては、例えば、アミン化合物を含んでなる二酸化炭素吸収液を挙げることができる。
【0023】
このような本発明の実施形態による排ガス成分の除去方法は、好ましい態様として、燃焼排ガス中に温度0〜60℃、特に好ましくは20〜40℃のミスト形成液を噴霧してミストを形成するもの、を包含する。噴霧する際のミスト形成液の温度が60℃よりも高いときは、形成されたミストが揮発しやすくなって、ミスト肥大化の効率が低下したり、排ガス成分の除去効率が低下することがある。
【0024】
一般的に、燃焼排ガス(例えば、火力発電所や製鉄所などから排出される燃焼排ガス)には、ばいじん、硫黄酸化物、窒素酸化物などの排ガス成分が含まれているが、本発明の実施形態による排ガス成分の除去方法によれば、上記の排ガス成分のうちの少なくとも一種あるいは二種以上を効果的に除去することができる。
【0025】
〔排ガス成分の除去器〕
図1は、上記の本発明の実施形態による排ガス成分の除去方法を実施するのに特に適した排ガス成分の除去器の概要を示すものである。
【0026】
図1に示される排ガス成分の除去器100は、
排ガス成分とミスト102との接触空間103を内部に有する容器101と、
前記接触空間103にミスト形成液104を噴霧してミスト102を形成する噴霧装置105と、
前記排ガス成分と前記ミストとの接触生成物を捕集する捕集装置106と、
前記接触空間103に、前記排ガス成分を含有する燃焼排ガス3を導入する導入口107と、
前記接触空間103から、前記排ガス成分の少なくとも一部が除去された燃焼排ガス3’を導出させる導出口108とを具備してなるものである。
【0027】
この排ガス成分の除去器100では、例えば、ばいじん、硫黄酸化物、窒素酸化物などの排ガス成分を含む燃焼排ガス3が、導入口107を通して、容器101の内部の接触空間103に導入されると共に、接触空間103にミスト形成液104が噴霧装置105によって噴霧され、ミスト102(一次ミスト)が形成されるようになっている。接触空間103では、排ガス成分とミスト102(一次ミスト)とが接触するとともに、複数のミスト(一次ミスト102)が合体して粒径が増大した肥大化ミスト102’(二次ミスト)が形成され、これらの肥大化ミスト102’(二次ミスト)ならびに未だ肥大化ミストになっていないミスト102(一次ミスト)は、捕集装置106によって捕捉されて液化すると共に、これらのミスト中に存在していた排ガス成分も捕集装置106によって捕捉/分離される。
【0028】
捕集装置106によって捕捉/分離されたミストの液化物および排ガス成分は、流下して容器101の底部に移動する。その量が多いときには容器101内に貯留されるが、この貯留物を連続的あるいは間欠的に容器101から外部に取り出すことによれば、排ガス成分の除去器の運転を長期間にわたって安定的に行うことができる。
【0029】
容器101から外部に取り出された排ガス成分を含む液体は、必要に応じて、例えばフィルター109によって清澄化した後に、ミスト形成液104として再利用したり、他の装置(好ましくは、二酸化炭素の分離回収装置)等に利用することができる。また、フィルター109に通すことなく廃棄することができる。捕集装置106によって排ガス成分の全部あるいは一部が捕捉除去された後のガスは、導出口108を通して除去器100の外部へと排出される。
【0030】
本発明の実施形態による排ガス成分の除去器100に、例えば火力発電所や製鉄所などから排出される燃焼排ガス3が導入された場合には、除去器100から導出口107を通して外部へ排出されたガス中には二酸化炭素が含まれるのが通常である。この二酸化炭素の回収を目的として、この除去器100から排出されたガス3’を二酸化炭素の分離回収装置に導入することができる。
【0031】
容器101の外形および接触空間103の内部形状等は任意であって、例えば、容器の機械的強度、耐久性、製作の容易性や、設置の容易性等を考慮して適宜定めることができる。好ましいものとしては、断面が円形ないし楕円形である、筒状の容器を挙げることができる。このような容器は、一般にガスの滞留やガス流の偏在化が少ないことから、排ガス成分とミスト102(一次ミスト)との接触機会、排ガス成分とミスト102(一次ミスト)とミスト102(一次ミスト)同士の接触機会が十分であることから、ミスト102’(二次ミスト)を効率よく得ることができる。
【0032】
ミストを形成するための噴霧器105は、単一の容器101に一個または複数個設けることができる。ミスト102’(二次ミスト)を効率よく得るためには、複数個の噴霧器105を容器101の内部を流れる排ガスの流れ方向に沿って連続的に配置することが好ましい。複数個の噴霧器105を用いる場合、各噴霧器105によって形成されるミスト102(一次ミスト)は、その粒径、ミスト形成量、温度に関して同一であっても異なっていてもよい。また、各噴霧器105には、同一種類のミスト形成液104を供給することができるし、異なる種類のミスト形成液104を供給することができる。
【0033】
好ましい噴霧器としては、例えば液圧のみでミストを形成させる一流体噴霧器や、液圧とエアー圧で液とガスと混合させてミストを形成させる二流体噴霧器および超音波を用いた著音波噴霧器等を挙げることができる。この中では、一流体噴霧器が好ましい。
【0034】
捕集装置106の好ましい具体例としては、例えばデミスター、ミストセパレータ、およびミストエリミネータ等を挙げることができる。この中では、特にデミスターが好ましい。デミスターの材質、厚さ、開口径、密度等は、例えば排ガス成分の具体的種類、存在量、流通する排ガス量や流速、圧力、ミスト量等に応じて適宜定めることができる。また、容器101の内部には、1つの捕集装置106を設けることができるし、また、同一種類または異なる種類の捕集装置106を同一の容器101に複数配置することができる。
【0035】
導入口107および導出口108は、容器101内部を排ガスが流通できるように、それぞれ少なくとも1つずつ設けることができる。また、1つの容器101に、それぞれ複数設けることができる。例えば、外形がY字型の容器101を用意し、この容器の2つの突端部にそれぞれ導入口107を設け、それぞれの導入口107から導入した燃焼排ガスにミスト102(一次ミスト)を噴霧した後、これらをY字型の容器101の内部で更にミスト102を噴霧しつつ合流させるようにすれば、ミスト102’(二次ミスト)をより効率よく得ることができる場合がある。
【0036】
〔二酸化炭素の分離回収方法〕
本発明の実施形態による二酸化炭素の分離回収方法は、
燃焼排ガス中にミスト形成液を噴霧してミストを形成し、前記燃焼排ガス中に含まれる排ガス成分をこの排ガス成分と前記ミストとの接触生成物として捕集除去する工程(A)と、
前記の捕集除去工程(A)を経た二酸化炭素を含有する燃焼排ガスと、二酸化炭素吸収液とを接触させて、前記燃焼排ガスから二酸化炭素を吸収除去する吸収工程(B)と、
二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収液から二酸化炭素を分離して、前記二酸化炭素吸収液を再生する工程(C)とを具備してなり、
前記再生工程(C)で再生した前記二酸化炭素吸収液を前記吸収工程(B)で再利用できるように構成されてなること、を特徴とする。
【0037】
ここで、捕集除去工程(A)は、上述した本発明の実施形態による排ガス成分の除去方法と同様のものである。従って、本発明の実施形態による二酸化炭素の分離回収方法は、上記の「吸収工程(B)」および「再生工程(C)」に「捕集除去工程(A)」を付加し、この捕集除去工程(A)を経たガス(即ち、排ガス成分が除去されたガス)中の二酸化炭素が吸収工程(B)で吸収除去される、二酸化炭素の分離回収方法と捉えることができる。
【0038】
ここで、本発明の実施形態による二酸化炭素の分離回収方法は、上記の工程(A)〜(C)のみからなる方法に限定されることはなく、上記の工程(A)〜(C)に加えて他の工程を具備してなる二酸化炭素の分離回収方法をも包含する。
【0039】
そのような他の工程の特に好ましい具体例としては、例えば、
図2〜3、
図5ならびに〔二酸化炭素の分離回収装置〕の<<第二の実施形態>>において詳述する「吸収気液分離器20」で行なうことができる、吸収器1から排出されたガス4に対して行われる気液分離工程を挙げることができ、
他の好ましい具体例としては、
図4ならびに〔二酸化炭素の分離回収装置〕の<<第三の実施形態>>において詳述する「溶液洗浄機24」によって行なうことができる、吸収器1から排出されたガス4に対して行われる気液分離工程を挙げることができ、
他の好ましい具体例としては、
図2〜3、
図5ならびに〔二酸化炭素の分離回収装置〕の<<第一の実施形態>>および<<第四の実施形態>>において詳述する「再生気液分離器13」によって行なうことができる気液分離工程を挙げることができる。
【0040】
〔二酸化炭素の分離回収装置〕
図2は、本発明による実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置の基本構成を示す概略構成図である。
この
図2に示される二酸化炭素の分離回収装置は、
排ガス成分の除去器100と、
二酸化炭素を含有する燃焼排ガス3と二酸化炭素吸収液とを接触させて、前記燃焼排ガスから二酸化炭素を吸収除去する吸収器1と、
二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収液から二酸化炭素を分離して、前記二酸化炭素吸収液を再生する再生器9とを具備してなり、
前記再生器9で再生した前記二酸化炭素吸収液を前記吸収器1で再利用できるように構成されてなる二酸化炭素の分離回収装置であって、
前記排ガス成分の除去器100は、
排ガス成分とミスト102との接触空間103を内部に有する容器101と、
前記接触空間103にミスト形成液104を噴霧してミスト102を形成する噴霧装置105と、
前記排ガス成分と前記ミスト102との接触生成物を捕集する捕集装置106と、
前記接触空間103に、前記排ガス成分を含有する燃焼排ガスを導入する導入口107と、
前記接触空間103から、前記排ガス成分の少なくとも一部が除去された燃焼排ガスを導出させる導出口108とを具備してなるものである。かつ、この除去器100は、前記吸収器1への燃焼排ガスの供給路に設置されてなるものである。
【0041】
ここで、除去器100は、上述した本発明の実施形態による排ガス成分の除去器100と同様のものである。従って、本発明の実施形態による二酸化炭素の分離回収装置は、「吸収器」および「再生器」に上記の「除去器」を付加し、この除去器を経たガス(即ち、排ガス成分が除去されたガス)を吸収器に供給する二酸化炭素の分離回収装置と捉えることができる。
【0042】
1つの吸収器1には、排ガス成分の除去器100を1個または複数個接続することができる。複数の除去器100を接続する場合、それらは並列的に接続することができるし、また直列的に接続することができる。
【0043】
<二酸化炭素の分離回収装置の具体例>
本発明による実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置は、必須の構成である除去器100、吸収器1および再生器9に加えて、例えば、二酸化炭素吸収液の放散防止ならびに二酸化炭素の分離回収をより確実にかつ効率的に行うために、例えば、
図1〜
図5に示される各種の装置ないし構成等を必要に応じて具備することができる。ここで、
図2〜5に示される二酸化炭素の分離回収装置における排ガス成分の除去器100としては、前述および
図1に示される排ガス成分の除去器100を用いることができる。
【0044】
<<第一の実施形態>>
本発明の第一の実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置は、除去器100の噴霧装置105に供給されるミスト形成液104を、
図2に示されるように、吸収器1に供給される二酸化炭素吸収液5から取得するものである。
【0045】
以下にその詳細を説明する。
例えば、火力発電所や製鉄所などから排出された、例えばばいじん、硫黄酸化物、窒素酸化物などの排ガス成分ならびに二酸化炭素を含有する燃焼排ガス3は、排ガス成分の除去器100において前記排ガス成分が除去された後、吸収器1の下部に導入され、一方、吸収器1の上部からは、CO
2リーン吸収液(即ち、吸収された二酸化炭素量が低くて、二酸化炭素吸収能力が高い二酸化炭素吸収液)5が導入される。吸収器1に導入された燃焼排ガス3’とCO
2リーン吸収液5とを、充填材を備えた二酸化炭素吸収部2にて気液接触させることで、前記燃焼排ガス3’に含まれる二酸化炭素がCO
2リーン吸収液5に吸収される。
【0046】
上記の気液接触後、前記燃焼排ガス3’は、吸収器1の上段に流れ、一方、CO
2リーン吸収液5は、二酸化炭素を吸収しつつ吸収器1の下段に流れていく。
【0047】
吸収器1の下部に溜まったCO
2リッチ吸収液(即ち、二酸化炭素吸収処理に付されて、吸収された二酸化炭素量が多い、二酸化炭素吸収液)6は、吸収リッチ液移送ポンプ7によって再生熱交換器8に送られて、そこで再生器9から送られてきた温度の高いCO
2リーン吸収液5と熱交換された後、再生器9の上部に導入され、再生器9の内部で二酸化炭素を放出しながら下部へと落下して、次第にCO
2リーン吸収液5へ変換されていく。この再生器9の下部に溜まったCO
2リーン吸収液5は、再生器リボイラー11に送られて加熱されることによって蒸気となり、再生器9の下部に導入される。
【0048】
再生器9に導入された吸収リッチ吸収液6と、CO
2リーン吸収液5の蒸気とは、充填材を備えた二酸化炭素放出部10にて気液接触/熱交換をすることで吸収リッチ液6に含まれる二酸化炭素を放出し、放出された二酸化炭素を含んだガスは再生器9の上段に流れ、一方、二酸化炭素を放出したCO
2リーン吸収液5は下段に流れていく。
【0049】
再生器9の上部から流れ出たガスは、再生凝縮液冷却器15で冷却され、再生気液分離器13にて、二酸化炭素ガス14と再生凝縮液22とに分離される。
【0050】
一方、再生器9の下部から取り出されたCO
2リーン吸収液5は、再生熱交換器8を流れてリーン液冷却器16にて所定の温度に冷却された後、吸収器1の上部に送られて、吸収器1で二酸化炭素の吸収に再利用できるように構成されている。
【0051】
この第一の実施形態において、除去器100の噴霧装置105に供給されるミスト形成液104は、吸収器1に供給される二酸化炭素吸収液5から取得されるものである。すなわち、吸収器1に導入される前のCO
2リーン吸収液5の一部が除去器100において噴霧されるミスト形成液104として利用されるものである。このような、吸収器1に導入される前のCO
2リーン吸収液5は、例えば再生熱交換器8およびリーン液冷却器16にて冷却されているので、一般に除去器100に噴霧されるミスト形成液104として適切な温度(即ち、0〜60℃)であることが多いことから好ましい。
【0052】
なお、第一の実施形態においては、吸収器1に供給される二酸化炭素吸収液5の量は、ミスト形成液104として利用される分だけ減少することになる。しかし、ミスト形成液104は二酸化炭素吸収液5と同様に低温のCO
2リーン吸収液であることから、除去器100においても燃焼排ガスから二酸化炭素の吸収が行なわれる場合がある。このような場合、吸収器1に供給される二酸化炭素吸収液5の量がミスト形成液104分だけ減少したとしても、それを補填するように、吸収器1に導入される二酸化炭素量は予め除去器100において減少されているので、吸収器1の上部から排出されるガス4は依然として適切に二酸化炭素が除去されているものである。
【0053】
除去器100から取り出された排ガス成分を含む液体は、必要に応じて、例えばフィルター109によって固体微粒子などを除去した後、吸収器1から流出した吸収リッチ液6と合流させることができ、そして、二酸化炭素の分離回収のための二酸化炭素吸収液5として再利用可能なものである。
【0054】
このような第一の実施形態の二酸化炭素の分離回収装置では、除去器100において燃焼排ガス中から排ガス成分が捕集除去されていて、従って吸収器1への排ガス成分の導入が防止されていることから、吸収器1の上部から排出される二酸化炭素除去ガス中に、二酸化炭素吸収液がミストとして混入することが制御されている。このことから、二酸化炭素吸収液およびそこに含まれる成分(例えば、アミン化合物)が装置外部へ放散することが防止されている。
【0055】
そして、排ガス成分の分離回収のために使用されるミスト形成液は、二酸化炭素の分離回収装置から容易に取得できるものであり、かつ排ガス成分の捕集除去のために使用された後の液体も同一の二酸化炭素の分離回収装置において再利用可能なものである。従って、ミスト形成液を調製するための特別の装置や廃液処理を要することなしに、排ガス成分の捕集除去を二酸化炭素の分離回収に伴なって、同時にかつ容易に行うことができる。
【0056】
<<第二の実施形態>>
図3は、第二の実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置の概要を示すものである。
この第二の実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置は、除去器100の噴霧装置105に供給されるミスト形成液104として、吸収器1から導出された後に気液分離器20に導入されてそこで液体として分離された液21を利用するものである。
【0057】
吸収器1の最上部から排出されたガス4の中には、二酸化炭素を除去された排ガスと吸収器デミスターをすり抜けた数ミクロン以下のミスト状の水溶液が含まれる。このため、排ガスを吸収凝縮液冷却器19で十分に冷した後に、吸収気液分離器20にて水分除去排ガス23と吸収凝縮液21とに分離する。
【0058】
第二の実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置では、この吸収凝縮液21をミスト形成液104として利用するものである。このとき、吸収気液分離器20で生じた吸収凝縮液21の量が、必要とされるミスト形成液104の量よりも多いとき、その余剰分は吸収器1に導入することができる。
【0059】
なお、ミスト形成液104として吸収凝縮液21を用いること以外は第一の実施形態と同様の除去器100ならびに二酸化炭素の分離回収装置を、この第二の実施形態においても採用することができる。
【0060】
このような第一の実施形態の二酸化炭素の分離回収装置では、除去器100において燃焼排ガス中から排ガス成分が捕集除去されていて、従って吸収器1への排ガス成分の導入が防止されていることから、吸収器1の上部から排出される二酸化炭素除去ガス中に、二酸化炭素吸収液がミストとして混入することが制御されている。このことから、二酸化炭素吸収液およびそこに含まれる成分(例えば、アミン化合物)が装置外部へ放散することが防止されている。
【0061】
そして、排ガス成分の分離回収のために使用されるミスト形成液は、二酸化炭素の分離回収装置から容易に取得できるものであり、かつ排ガス成分の捕集除去のために使用された後の液体も同一の二酸化炭素の分離回収装置において再利用可能なものである。従って、ミスト形成液を調製するための特別の装置や廃液処理を要することなしに、排ガス成分の捕集除去を二酸化炭素の分離回収に伴なって、同時にかつ容易に行うことができる。
【0062】
<<第三の実施形態>>
図4は、第三の実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置の概要を示すものである。
この第三の実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置は、除去器100の噴霧装置105に供給されるミスト形成液104として、吸収器1から導出された後に、溶液洗浄器24に導入されて、そこで洗浄され液体として分離された二酸化炭素吸収液26を利用するものである。
【0063】
吸収器1の上部から導出されたガス4の中には、二酸化炭素を除去されたガスと吸収器デミスターをすり抜けた数ミクロン以下のミスト状の溶液が含まれる。
【0064】
このため、このミストを含有したガスを溶液洗浄器24に流すことで、数ミクロンのミスト量を更に低減させることができる。この溶液洗浄器24では、溶液洗浄液25として水を用い、これを溶液洗浄器24の上部へ導入し、溶液洗浄器24の内部において吸収器1の上部から導出されたガス4およびこのガス中に含まれるミストと接触させることで、ガス4の洗浄およびミストが回収される。溶液洗浄液25には外部の純水を用いることが一般的である。また、純水25’は、除去器100の噴霧装置105に供給されるミスト形成液104の一部として用いることができる。
【0065】
溶液洗浄器24では、その下部から取り出した洗浄後の二酸化炭素吸収液26を、洗浄液移送ポンプ27および洗浄液熱交換器28を経て、溶液洗浄器24の上部に導入して循環させ、洗浄後の溶液26中の溶液濃度が高くなった場合、吸収リーン溶液緩衝タンク17に戻し再利用する運営方法が通常であるが、この第三の実施形態では、ミスト形成液104として再利用することで、装置からの排水量の低減を可能にする。
【0066】
この第三の実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置では、この溶液洗浄器24から取得された洗浄後の溶液26をミスト形成液104として利用するものである。
【0067】
なお、ミスト形成液104として洗浄後の溶液26を用いること以外は第一の実施形態と同様の除去器100ならびに二酸化炭素の分離回収装置を、この第三の実施形態においても採用することができる。
【0068】
このような第三の実施形態の二酸化炭素の分離回収装置では、除去器100において燃焼排ガス中から排ガス成分が捕集除去されていて、従って吸収器1への排ガス成分の導入が防止されていることから、吸収器1の上部から排出される二酸化炭素除去ガス中に、二酸化炭素吸収液がミストとして混入することが制御されている。このことから、二酸化炭素吸収液およびそこに含まれる成分(例えば、アミン化合物)が装置外部へ放散することが防止されている。
【0069】
そして、排ガス成分の分離回収のために使用されるミスト形成液は、二酸化炭素の分離回収装置から容易に取得できるものであり、かつ排ガス成分の捕集除去のために使用された後の液体も同一の二酸化炭素の分離回収装置において再利用可能なものである。従って、ミスト形成液を調製するための特別の装置や廃液処理を要することなしに、排ガス成分の捕集除去を二酸化炭素の分離回収に伴なって、同時にかつ容易に行うことができる。
【0070】
<<第四の実施形態>>
図5は、第四の実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置の概要を示すものである。
この本発明による第四の実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置は、除去器100に供給されるミスト形成液104として、再生器9から導出された後に、気液分離器13に導入されてそこで液体として分離された溶液22を利用するものである。
【0071】
再生器9の上部から排出された二酸化炭素ガスには、二酸化炭素ガスと溶液水蒸気が含まれる。このため、この二酸化炭素ガスを再生凝縮液冷却器15にて十分に冷した後に、再生気液分離器13にて二酸化炭素ガス14と再生凝縮液22に分離する。
【0072】
第四の実施形態に係る二酸化炭素の分離回収装置では、再生凝縮液22をミスト形成液104として利用するものである。再生気液分離器13で生じた再生凝縮液22の量が、必要とされるミスト形成液104の量よりも多いとき、その余剰分は再生器9に導入することができる。
【0073】
なお、ミスト形成液104として吸収凝縮液22を用いること以外は、第一の実施形態と同様の除去器100ならびに二酸化炭素の分離回収装置を、第四の実施形態においても採用することができる。
【0074】
このような第四の実施形態の二酸化炭素の分離回収装置では、除去器100において燃焼排ガス中から排ガス成分が捕集除去されていて、従って吸収器1への排ガス成分の導入が防止されていることから、吸収器1の上部から排出される二酸化炭素除去ガス中に、二酸化炭素吸収液がミストとして混入することが制御されている。このことから、二酸化炭素吸収液およびそこに含まれる成分(例えば、アミン化合物)が装置外部へ放散することが防止されている。
【0075】
そして、排ガス成分の分離回収のために使用されるミスト形成液は、二酸化炭素の分離回収装置から容易に取得できるものであり、かつ排ガス成分の捕集除去のために使用された後の液体も同一の二酸化炭素の分離回収装置において再利用可能なものである。従って、ミスト形成液を調製するための特別の装置や廃液処理を要することなしに、排ガス成分の捕集除去を二酸化炭素の分離回収に伴なって、同時にかつ容易に行うことができる。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更あるいは付加等を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。