(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明に係る包装機1について詳細に説明する。まず、
図1から
図3を用いて、包装機1の構成について説明する。
図1は、包装機1の全体の概略を示す正面図であり、
図2は、包装機1によって包装された包装体を示す外観斜視図であり、
図3は、本実施形態の主要部分について抜き出して示す概略図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0026】
図1に示す包装機1は、物品XA1が順次供給されることに合わせて、フィルム等の包装材料YA1が連続して供給されて筒状に製袋され、所定ピッチ(カットピッチCP)毎に包装材料YA1の幅方向にシールとカットとが行われる、いわゆる横型製袋充填機である。
【0027】
包装機1は、連続して供給される樹脂フィルム等の包装材料YA1(以下、「包装フィルムYA1」という)を利用して、前工程から順次供給される物品XA1を上流から下流に向けて搬送しながら包装する。
図1では、原反ロールYB1に近い側を上流とし、遠い側を下流とする。なお、物品XA1は、例えば、食品や日用品などであるが、本発明の包装機は、その他の様々な物品XA1を包装するために使用可能である。
【0028】
<包装機>
図1を参照して、包装機1は、物品供給装置2と、フィルム供給装置3と、包装機本体4と、制御ユニット(図示省略)と、などを備えている。なお、包装機本体4における各種方向の定義として、包装フィルムYA1の長手方向(センターシールが延びる方向)となる第一方向を搬送方向Tとし、帯状に延びる包装フィルムYA1の幅方向(横シール(トップシール、エンドシール)が延びる方向)となる第二方向を搬送幅方向Wとし、包装フィルムYA1の高さ方向(搬送方向T及び搬送幅方向Wに対して直角となる方向)となる第三方向を搬送高さ方向Hとする。
【0029】
これら包装機1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0030】
物品供給装置2は、物品XA1を等間隔で搬送すると共に、当該物品XA1を下流の包装機本体4に順次搬送する。この物品供給装置2は、例えば、フィンガーコンベアから構成される。具体的に、物品供給装置2は、スリットを有する搬送面(符号省略)と、この搬送面上の物品XA1を側方からガイドするサイドガイド(図示省略)と、駆動用のスプロケット5と、従動用のスプロケット(図示省略)と、これらスプロケットに架け渡されて走行する環状のチェーン6と、このチェーン6に等間隔のピッチで取り付けられた複数のフィンガー7と、動力源となるサーボモーター(図示省略)などを備えている。
【0031】
駆動用のスプロケット5は、サーボモーターの駆動によって回転する。従動用のスプロケットは、チェーン6の走行によって、駆動用のスプロケットに連動して回転する。チェーン6は、駆動用のスプロケットの回転によって循環するように走行する。複数のフィンガー7は、スリットを介して搬送面の下方から上方に突出する。これら複数のフィンガー7は、チェーン6の走行によって、搬送面上を走行する。これにより、複数のフィンガー7は、搬送面上の物品XA1を押送して包装機本体4に送り出す。
【0032】
フィルム供給装置3は、包装フィルムYA1を下流の包装機本体4に連続して供給する。フィルム供給装置3は、原反軸8と、サーボモーター(図示省略)と、ガイドローラ9、第一ローラ101、第二ローラ102などを備えている。原反軸8は、原反ロールYB1を回転自在に保持する。この原反軸8は、サーボモーターに動力が与えられて回転し、保持している原反ロールYB1を回転させる。これにより、原反ロールYB1から包装フィルムYA1が繰り出される(引き伸ばされる)。ガイドローラ9、第一ローラ101、第二ローラ102は、原反ロールYB1の搬送方向を適宜変換して、包装機本体4側に案内する。なお、同図では、原反ロールYB1から第一ローラ101に至るまでの構成を簡略化して示しているが、詳細については後述する(
図5参照)。
【0033】
第一ローラ101と第二ローラ102は、両者に掛け渡された包装フィルムYA1を、その下流に設けられた製袋器14の供給口14aに導く。第一ローラは不図示のアームの一端に取り付けられ、第二ローラ102は、アーム103の長手方向に対して移動可能となるように取り付けられている。
【0034】
なお、原反ロールYB1から包装フィルムYA1を繰り出す方法として、上述のような原反駆動式の方法を採用する代わりに、フィードローラを別途設け、当該フィードローラを動かして包装フィルムYA1を引き出すフィードローラ駆動式の方法を採用してもよい。また、原反駆動式とフィードローラ駆動式の両方の方法を採用してもよい。
【0035】
包装機本体4は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、フィルム供給装置3から供給される包装フィルムYA1で包装する。具体的に、包装機本体4は、製袋器14と、ピンチローラ15と、センターシール装置16と、第一の搬送装置17と、上部抑え装置18と、トップシール装置(エンドシール装置)30と、第二の搬送装置20と、などを備えている。
【0036】
製袋器14は、フィルム供給装置3から供給される包装フィルムYA1を、幅方向(搬送幅方向W)の両端縁が互いに重なるように筒状に製袋する。また、製袋器14は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、筒状に製袋される包装フィルムYA1に供給する。これにより、物品XA1は、筒状に製袋された包装フィルムYA1に包まれる。すなわち、製袋器14は、包装フィルムYA1を幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置として機能する。
【0037】
ピンチローラ15は、互いに重なる包装フィルムYA1の両端縁(センターシール部CE1(
図2参照)の形成予定領域)を挟み込んで重合させ、当該両端縁に搬送力を付与する。
【0038】
センターシール装置16は、一対のバーシーラー16aと、プレスローラ16bと、を備えている。このセンターシール装置16は、一対のバーシーラー16aで重合させた包装フィルムYA1の両端縁を挟んで加熱する。そして、センターシール装置16は、加熱された包装フィルムYA1の両端縁をプレスローラ16bで圧着してセンターシールし、センターシール部CE1(
図2参照)を形成する。すなわち、センターシール装置16は、製袋器14の下流において、筒状に形成された包装フィルムYA1にセンターシールを施す。なお、一対のローラ、又は複数のローラでセンターシール部を挟んで加熱する回転式のセンターシール装置でも良い。
【0039】
第一の搬送装置17は、センターシールされた筒状の包装フィルムYA1を、当該包装フィルムYA1に包まれた物品XA1と共に、搬送面(符号省略)に載せてトップシール装置30に向けて搬送する。この第一の搬送装置17は、トップシール装置30のボックスモーションに合わせて、搬送面を搬送方向に伸縮させる。
【0040】
上部抑え装置18は、第一の搬送装置17の上方に配置されており、第一の搬送装置17に搬送される物品XA1を包装フィルムYA1ごと上方から抑える。これにより、物品XA1は、水平状態を保持しながら搬送される。
【0041】
トップシール装置(トップシール手段、横シール手段、エンドシール手段)30は、物品XA1の長さに応じたカットピッチCP毎に、包装フィルムYA1の幅方向(搬送幅方向W、包装フィルムYA1を横断する方向)にトップシール(エンドシール、横シール)とカットを行う。これにより、トップシール部TO1が形成されるとともに、包装体(ピロー包装体)ZA1が製造される。すなわち、トップシール装置30は、センターシールされた包装フィルムYA1に対し、所定の間隔(カットピッチCP)で搬送幅方向Wにシールとカットを施す。
【0042】
トップシール装置30は、一例として、上下一対のトップシーラー30a,30bを有するいわゆるボックスモーションタイプのもので、筒状の包装フィルムYA1を挟んで上下に配置された一対のトップシーラ30a,30bが、互いのシール面を対向させた状態を維持しながら所定の軌跡で移動し、物品の長さに応じたカットピッチCP毎に、フィルムの幅方向にトップシールとカットを行う。トップシール装置30によってシール・カットするフィルム部位(トップシール部TO1)は、前後の物品XA1の間の所定位置である。なお、トップシール装置30は、ボックスモーション以外にも、回転式、又は直線往復動式のトップシール装置であってもよい。
【0043】
また、トップシール装置30は、筒状の包装フィルムYA1にトップシールを施す前(或いはそれと同時)に、筒状の包装フィルムYA1のトップシールされる部位近傍の、進行方向における両側方の所定の折り込み位置を、不図示のガゼット爪にて内方に押し込んで折り込み、折り込み部を形成する。トップシール装置30の下流には、排出装置219が配置される。排出装置219は、異常が発生している部位(不良な包装体)を系外排出する。
【0044】
第二の搬送装置20は、トップシール装置30より下流に設けられている。この第二の搬送装置20は、トップシール装置30で仕上がった包装体ZA1を、搬送面20aに載せて次工程に向けて搬送するベルトコンベアである。そして、第二の搬送装置20は、トップシール装置30のボックスモーションに合わせて、搬送面20aの搬送方向の長さを伸縮させる。
【0045】
図2を参照して、本実施形態の包装体(ピロー包装体)ZA1について説明する。同図の包装体ZA1は、トップシール装置30によってトップシール部TO1のシールとカットが施され、第二の搬送装置20に移載された直後の状態である。
【0046】
同図に示すように、包装体ZA1のセンターシール部CE1は、帯状の包装フィルムYA1の第一の方向(搬送方向Tと同じ方向)に沿う両側端縁を、包装フィルムYA1が筒状となるように重合し熱シールして設けられた部位である。
【0047】
トップシール部TO1は、筒状の包装フィルムYA1の第二の方向(搬送方向に交差(直交)する方向)に沿う両端開口をそれぞれ熱シールして設けられた部位である。
【0048】
なお、包装体ZA1は、ここでは略直方体(略立方体)の形状を呈する場合を例示しているが、この形状に限らず、例えば、略円筒形状等であってもよい。
【0049】
<製袋器>
図3は、本実施形態の製袋器14近傍を抜き出して示す図である。
図3(A)は、第一ローラ101、第二ローラ102および製袋器14の外観正面図であり、同図(B)が製袋器14の上面図、同図(C)が製袋器14の側面図である。
【0050】
図3(A)に示すように、原反ロールYB1(ここでは不図示)から繰り出された帯状の包装フィルムYA1は、第一ローラ101と、その下流に設けられた第二ローラ102に掛け渡される。
【0051】
第一ローラ101はアーム103の一端において回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、第二ローラ102はアーム103の他端側に回転軸を中心に回転可能に取り付けられる。また、第二ローラ102の回転軸は、アーム103の長手方向に沿って、第一ローラ101に対して相対移動(近接、離間する移動)が可能に構成されている。
【0052】
なお、アーム103は、第一ローラ101の中心軸101sを中心として第二ローラ102側の先端(同図(B)では左側端部)が同図(B)において時計回りまたは反時計回りに所定角度の範囲内で回動(揺動)自在に構成されていてもよい。
【0053】
製袋器14に供給される包装フィルムYA1は、斜め上方から物品XA1に合流するように連続して供給されて、製袋器14の先端で物品の搬送方向Tに折り曲げられると同時に筒状に製袋される。
【0054】
本実施形態の製袋器14は、
図3(B)、同図(C)に示すように、底面部141と、一対の側面部142と、天面部143などを備えており、底面部141の幅(搬送幅方向Wの長さ)W0と、側面部142の搬送高さ方向Hの高さH0が調整可能に構成されている。
【0055】
具体的には、製袋器14は、ステンレスなどの一枚又は複数の金属プレートを屈曲若しくは湾曲させて、又は複数の金属プレートを溶接することで成形される。この製袋器14の上流側は、包装フィルムYA1が供給されて当該包装フィルムYA1を受け入れると共に、当該包装フィルムYA1に供給される物品XA1を受け入れる供給口14aを構成する。本実施形態では一例として、搬送幅方向Wの断面形状が略矩形状となるように成形された製袋器14について説明する。
【0056】
底面部141は、第一底面部141Aと第二底面部141Bにより構成される。第一底面部141Aは、搬送幅方向Wの中心に、搬送方向Tに沿うスリット141Sを設けた平坦なプレート部材であり、スリット141Sを介して包装フィルムYA1の重合端部が下方に引き出される。また第二底面部141Bは、スリット141Sで分断された第一底面部141Aのそれぞれに一部が重畳、又は離間するように配置された一対のプレート部材であり、機枠(不図示)に固定される第一底面部141Aに対して搬送幅方向Wにスライド移動可能に構成されている。
【0057】
なお、例えば、第一底面部141Aと第二底面部141Bとの間に平板状の連結部材(不図示)を設けても良い。連結部材は、第二底面部141Bがスライド移動可能となるように、且つ常に第一底面部141Aと第二底面部141Bとに重畳するように構成される。これにより、第二底面部141Bが離間し、第一底面部141Aとの間に隙間が生じた場合であっても連結部材によってこの隙間をカバーすることができる。
【0058】
また、一対の側面部142は、それぞれ第一側面部142Aと第二側面部142Bにより構成される。第一側面部142Aはそれぞれ一対の第二底面部141Bに一体的に固定されており、第二底面部141Bを互いに近接または離間するようにスライド移動させることにより、対向する側面部142が互いに近接または離間する。これにより、製袋器14は、その幅W0(搬送幅方向Wの長さ)が調節可能となっている。
【0059】
第二側面部142Bは、供給される包装フィルムYA1が第一側面部142Aに沿うように案内するガイド部として機能し、例えば同図(A)に示す正面視において上下の対向する長辺が平行であって、上流側(図示左側)の短辺が、底面部141から天面部143に向かうにつれて搬送方向Tに沿う長さが長くなるように傾斜している台形状を有するプレート部材である。すなわち第二側面部142Bの上流側の短辺は、底面部141側よりも天面部143側が上流側方向に突出している。以下、この突出した先端部を上流側先端部142Tと称する。また、第二側面部142Bの上側の長辺部分から製袋器14の中心(搬送幅方向Wの中心)方向に向かって底面部141と対向するようにプレート部材が突出し、天面部143が設けられている。
【0060】
第二側面部(ガイド部)142Bは、側面部142に対して、搬送方向Tおよび搬送高さ方向Hにスライド移動が可能(上流側に移動するにつれて高く、下流側に移動するにつれて低くなるような斜め方向にスライド移動が可能)に構成されている。
【0061】
第二側面部142Bを搬送方向Tの上流側に移動させると、上流側先端部142Tの搬送高さ方向Hの高さH0は高くなり、第二側面部142Bを搬送方向Tの下流側に移動させると、上流側先端部142Tの搬送高さ方向Hの高さH0は低くなる。
【0062】
同図(C)に示すように、本実施形態では製袋器14の供給口14aの間口の形状は、底面部141、側面部142および天面部143(及びその延長線)で区画される(略)矩形状であり、間口の幅は、底面部141(側面部142間)の幅W0と同等であり、間口の高さは、第二側面部(ガイド部)142Bの上流側先端部142Tの底面部141からの高さH0と同等である。
【0063】
製袋器14は、斜め上方から物品XA1に合流するように連続して供給される包装フィルムYA1を供給口14aにて受け入れ、底面部141(第二底面部141B)と側面部142とで構成されるコーナー部によって、物品XA1を包み込むように搬送方向に沿って折り曲げる。
【0064】
そして、製袋器14は、包装フィルムYA1の幅方向(搬送幅方向W)の両端縁ED1,ED2を互いに重ねて底面部141(第一底面部141A)のスリット141Sから下方に導出させ、筒状に製袋する。
【0065】
本実施形態の製袋器14は、上述の如く、物品XA1の外形状や物品XA1の包装態様(例えば、包装フィルムYA1の幅、材質、物品XA1への密着の程度、センターシール部CEの重合幅等)に応じて、供給口14aの間口の形状(間口の幅W0と高さH0)を調整可能に構成されている。
【0066】
また、包装フィルムYA1を製袋器14に導く第二ローラ102も、第一ローラ101に対して相対的に移動可能(水平移動および第一ローラ101の回転軸を中心とした回動(揺動)可能)に構成されている。従って、製袋器14の間口形状の変化に対応して、第二ローラ102の位置を適宜調整することによって、包装フィルムYA1に適切なテンション(張力)を与えつつ、製袋器14に正確、確実に包装フィルムYA1を供給することができる。
【0067】
一方、物品XA1や包装態様によって変化する製袋器14の間口形状の調整や、第二ローラ102の位置調整は、従来では作業の担当者の経験によって設定されることが多かった。この際、製袋器14の間口形状は、物品XA1の形状に応じて比較的調整も容易であるが、第二ローラ102の位置調整は煩雑であった。
【0068】
また、既に包装の実績がある場合には、過去の設定値を使用することができるが、新たな物品XA1を包装する場合には、改めて位置の調整(位置の設定)が必要であった。
【0069】
特に、作業に不慣れな担当者の場合にはこれらの位置調整がより煩雑、困難であり、担当者によって作業のばらつきも大きく、作業効率が悪い問題もあった。
【0070】
そこで本実施形態では、特に、第二ローラ102の位置調整を容易且つ簡便に行うことができるよう、製袋器14およびその周辺の所定部位の各種位置情報に基づいて位置調整の指標(目安)となるデータ(設定値)を算出し、担当者が利用できる形式で出力することとした。以下これについて説明する。
【0071】
<位置算出システム>
本実施形態の包装機1は、物品XA1の形状に応じて第一ローラ101に対する第二ローラ102の位置を調整する際に、指標(目安)となる第二ローラ102の位置を算出して出力する位置算出システム150を有している。なお、以下の説明において、位置算出システム150において算出する指標(目安)となる第二ローラ102の位置を「指標位置」という。
【0072】
図4から
図6を参照して、本実施形態の位置算出システム150について説明する。
図4は、位置算出システム150のブロック図であり、
図5および
図6は、位置算出システム150で使用する各種位置情報を示す概要図である。
【0073】
図4を参照して、本実施形態の位置算出システム150は、包装機1の制御ユニットに設けられ、入力手段151と、位置算出手段152と、出力手段153と、制御手段154と、記憶手段155などを有している。
【0074】
入力手段151は、外部からの数値等の情報(例えば、製袋器14の変動部位に基づく位置情報や、その他の位置情報を含む各種位置情報など)の入力を受け付ける手段であり、例えば、作業者が操作可能なタッチパネル、キーボード、ボタン、スイッチなどの操作手段(操作部)を含んで構成される。
【0075】
位置算出手段152は、入力手段151から入力された各種位置情報や、記憶手段155に記憶された各種位置情報等に基づき、第二ローラ102の位置調整を行うための、第二ローラ102の指標位置(データ)を算出する。
【0076】
ここで、詳細は後述するが、「製袋器14の変動部位に基づく位置情報(以下、単に「変動位置情報」という)」とは物品XA1の外形状や包装態様によって変動する位置情報であり、例えば、製袋器14の供給側の間口形状の情報である。あるいは「変動位置情報」は、製袋器14の底面部141の幅W0と上流側先端部142Tの高さH0である。また、入力手段151から入力される、あるいは記憶手段155に記憶された「変動位置情報」以外の各種位置情報は、包装機1に固有の、すなわち包装機1毎に固定値として設定(登録)された複数の位置情報(以下、「固有位置情報」という。)を含む情報である。
【0077】
制御手段154は、CPUなどによって構成され、メモリ(RAM,ROM)などで構成される記憶手段155に対して各種制御用のパラメータを格納したり、また読み出したりできるようになっている。
【0078】
制御手段154は、入力手段151や出力手段153と接続されており、作業者が入力手段(操作部)151を介して入力する情報(変動位置情報、固有位置情報など)や、記憶手段155に記憶された固有位置情報などに基づいて位置算出手段152に演算を行わせ、出力手段153に算出結果を出力させる。なお、既述のとおり、制御手段154は、これに限らず、包装機1の各部を統括的に制御し、各種機能を実現する。
【0079】
出力手段153は、位置算出手段152の算出結果、すなわち、第二ローラ102の指標位置(データ)を外部に出力する手段であり、例えば、作業者が視認可能な表示手段(表示部)を含んで構成される。表示手段の一例としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、7セグメント表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置、ドットマトリクス表示装置などが挙げられる。なお、表示手段に加えて音声案内が可能な音声出力手段(スピーカ等)を備えていてもよい。
【0080】
<位置情報>
次に、
図5から
図7を参照して本実施形態の位置算出システム150で使用する位置情報について説明する。
図5は、包装機1の各部の位置情報を説明するための正面概要図であり、
図6は、
図5における製袋器14の近傍を抜き出して示す正面概要図であり、
図7(A)は、「変動位置情報」の一例を示す表であり、
図7(B)は、「固有位置情報」の一例を示す表である。
【0081】
まず、
図5および
図6を参照して、本実施形態の位置算出システム150で使用する位置情報および、その基準となる各部位について説明する。
図6は
図5の破線丸印部分の拡大図であり、同図(A)が正面図、同図(B)が上面図である。
【0082】
図5に示すように、原反ロールYB1から繰り出された(引き伸ばされた)包装フィルムYA1は、ガイドローラ9a、9bに掛け渡されて、その下流に位置するサーマル印字装置215のサーマル印字ローラ201に掛け渡されて所定の印字が行われる。そして、更に下流のガイドローラ9c〜9eに掛け渡されて下流に搬送されるが、その間(この例では、ガイドローラ9dと9eの間)に配置された印字検査カメラ203によって、印字の検査が行われる。さらに包装フィルムYA1はその下流のラベラー205に引き込まれ所定のラベルの貼り付けが行われる。ラベラー205を通過した包装フィルムYA1は、ガイドローラ9f〜9hを介して、第一ローラ101に掛け渡される。またラベラー205と第一ローラ101の間(この例では、ガイドローラ9gと9hの間)に配置された継目センサー207によって継目の有無の検査が行われる。
【0083】
図5(破線丸印部分)および
図6を参照して、包装フィルムYA1は、第一ローラ101の下流で第二ローラ102に掛け渡されて、その斜め下方に位置する製袋器14に供給される。包装フィルムYA1の上側フィルムは、上流側先端部142Tで搬送路に沿ってほぼ水平に折り曲げられ、包装フィルムYA1の下側フィルムは、製袋器14の上流側に位置する折り曲げ位置P1で搬送路に沿ってほぼ水平に折り曲げられる。そして、製袋器14の下流側に位置する収束点P2によって搬送幅方向Wの両側が収束、両端縁ED1,ED2が重合されて筒状に製袋される(
図6(B))。
【0084】
その後、
図5に示すように、包装フィルムYA1は両端縁ED1,ED2がここでは不図示のセンターシール装置16(
図1参照)によってセンターシールされ、更に下流のトップシール装置30によって、トップシールとカットが施される。トップシール装置30の下流には、排出装置219が配置される。
【0085】
排出装置219は、異常が発生している部位(不良な包装体)を系外排出する。排出装置219は、例えば、搬送路に揺動して進退可能に配置されたバー(ガイド)や、サイドベルトコンベアで異常が発生する部位を押送して排出する。また、異常が発生している部位(不良な包装体)にエアを吹き付けて系外排出してもよい。更にまた、ベルトを搬送方向に伸縮させて、不良な包装体を搬送路の下方側に落下させて排出してもよい。
【0086】
なお、本実施形態では、排出装置219の直前に配置されている、第二の搬送装置20の下流側ローラ209の位置(中心位置)を排出位置POUTとする。排出位置POUTにおいては、正常な包装体YA1はトップシール部TO1のシールとカットが施されて、個々の包装体YA1となり、引き続き下流工程に移送される。また包装途中に包装フィルムYA1に異常が発見された場合は、当該部位が排出位置POUTにおいて包装機1外に排出(系外排出)される。
【0087】
図6、
図7(B)を参照して本実施形態の「固定位置情報」は、第一ローラ101、第二ローラ102および製袋器14の位置関係において、包装機1に固有の位置情報(値が変動しない固定の位置情報)であり、例えば、固定位置情報C1〜C3、α1〜α3である。
【0088】
具体的には、
図6(A)を参照して、固定位置情報C1は、製袋器14の底面部141から第一ローラ101の回転軸の中心点(アーム103の回動(揺動)の支点)P101までの垂直方向に沿う距離である。
【0089】
固定位置情報C2は、第二ローラ102の半径である。
【0090】
固定位置情報C3は、第一ローラ101の水平方向(搬送方向T)における取り付け位置である。具体的には、製袋器14の収束点P2から第一ローラ101の回転軸の中心P101までの距離である。
【0091】
図6(B)を参照して、固定位置情報α1は、製袋器14を上面視した場合の収束点P2における包装フィルムYA1の開き角度であり、収束点P2を通る搬送方向Tに沿う製袋器14の中心線と、収束点P2から側面部142に向かって上面視において傾斜する包装フィルムYA1とのなす角α1である。
【0092】
固定位置情報α2は、折り曲げ位置P1における包装フィルムYA1の折り曲げ角度であり、製袋器14の底面部141と、折り曲げ位置P1から製袋器14の上流側先端部142Tに向かって傾斜する包装フィルムYA1とのなす角α2であり、例えば20°〜40°である。
【0093】
固定位置情報α3は、製袋器14の上流側先端部142Tを通る垂直線からの第二ローラ102の傾斜角度であり、上流側先端部142Tを通る、製袋器14の底面部141に対して垂直な線(垂線)と、第二ローラ102の円周上において最も第一ローラ101から離間した点P4と上流側先端部142Tを結ぶ線とでなす角α3であり、例えば5°〜15°である。
【0094】
既に説明している通り、本実施形態では、製袋器14の幅W0や、上流側先端部142Tの高さH0および、第二ローラ102の位置の調整が可能であるが、上述の固定位置情報C1〜C3,α1〜α3の値を維持した状態で、位置の調整が行われる。
【0095】
一方、本実施形態の「変動位置情報」は、物品XA1の外形状や包装態様によって変動する位置情報であり、例えば、製袋器14の供給側の間口形状の情報、あるいは、製袋器14の底面部141の幅W0と上流側先端部142Tの高さH0である。あるいは、「変動位置情報」は、製袋器14における包装フィルムYA1の収束点P2から、製袋器14の上流側先端部142T向かって底面部141から折り曲げられる位置(折り曲げ位置P1)までの距離F1を含む情報であってもよいし、「変動位置情報」は、折り曲げ位置P1から、上流側先端部142Tまでの水平方向の距離F2を含む情報であってもよい(
図6参照)。
【0096】
具体的には、本実施形態の「変動位置情報」は例えば、
図6および
図7(A)に示す、第1変動位置情報F1〜第5変動位置情報F5である。
【0097】
第1変動位置情報F1は、製袋器14の収束点P2から折り曲げ位置P1までの水平方向の距離であり、下記(式1)で算出される値である。
【0098】
F1=W0/2/tan(α1) (式1)
【0099】
第2変動位置情報F2は、製袋器14の折り曲げ位置P1から、製袋器14の上流側先端部142Tまでの水平方向(搬送方向Tに平行な方向)における距離(折り曲げ位置P1から、上流側先端部142Tを通って底面部141の延長線に下ろした垂線が当該延長線と交わる点P5までの距離)であり、下記(式2)で算出される値である。
【0100】
F2=H0/tan(α2) (式2)
【0101】
第3変動位置情報F3は、製袋器14の上流側先端部142Tから、第二ローラ102の円周上において最も第一ローラ101から離間した点P4までの距離であり、下記(式3)で算出される値である。
【0102】
F3=(C1−H0)/cos(α3) (式3)
【0103】
第4変動位置情報F4は、製袋器14の上流側先端部142T(点P5)から、第二ローラ102の中心(回転軸の中心)P102までの水平方向(搬送方向Tに平行な方向)における距離であり、下記(式4)で算出される値である。
【0104】
F4=(C1−H0)×tan(α3)−C2 (式4)
【0105】
第5変動位置情報F5は、製袋器14の上流側先端部142T(点P5)から、第一ローラ101の中心P101までの水平方向(搬送方向Tに平行な方向)における距離であり、下記(式5)で算出される値である。
【0107】
このように、位置算出手段152に入力される「変動位置情報」は、第4変動位置情報F4と第5変動位置情報F5を算出するために必要な情報、あるいは、第4変動位置情報F4と第5変動位置情報F5であるといえる。
【0108】
位置算出システム150の位置算出手段152は、固定位置情報C1〜C3,α1〜α3の値を維持した状態で、物品XA1の外形状や包装態様によって製袋器14の幅W0、上流側先端部142Tの高さH0および、第二ローラ102の位置を調整する場合において、固定位置情報C1〜C3,α1〜α3と第1変動位置情報F1〜第5変動位置情報F5とに基づき、第4変動位置情報F4と第5変動位置情報F5の合計値F6を算出し、これを第二ローラ102の指標位置として出力する。なお、この場合の合計値F6は、製袋器14の収束点P2からの水平方向に沿う距離である。
【0109】
第4変動位置情報F4と第5変動位置情報F5の合計値F6は、第一ローラ101の中心P101と第二ローラ102の中心P102間の距離F6であり、作業者は、出力された合計値F6を第二ローラ102の指標位置として、第二ローラ102の位置を調整する。
【0110】
仮に、第二ローラ102の指標位置が包装に最適な位置(実際に調整されるべき位置)からずれている場合であっても、当該指標位置は、包装に適し、最適な位置に近似する位置となっている。従って、この場合作業者は、指標位置(合計値F6)から僅かな微調整を行うのみで、第二ローラ102を適切な位置に調整することができる。
【0111】
このように、位置算出システム150の位置算出手段152によって算出された第二ローラ102の指標位置を目標(目安)にして第二ローラ102の位置調整を行うことで、簡便且つ容易に、第二ローラ102の位置調整を行うことができる。仮に指標位置が包装に適切な位置からずれている場合であっても、微調整で適切な位置に設定することができるので、従来のように何ら指標もなく最初から調整する場合と比較して、格段に第二ローラ102の位置調整を容易且つ簡便、短時間に行うことができる。また作業者の経験の多少による作業ばらつきも最小限に抑えることができる。
【0112】
<位置算出方法、位置調整方法>
一例を挙げて具体的に、位置算出システム150における位置算出方法と位置調整方法について説明する。
(第一の方法)
【0113】
作業者は、包装する物品XA1の外形状や包装態様に基づき、製袋器14の底面部141の幅W0と上流側先端部142Tの高さH0を調整する。製袋器14には、例えば、幅W0と上流側先端部142Tの高さH0を測定可能な測定手段(例えば、メジャーなど)が設けられており、作業者は、幅W0と高さH0を決定して当該情報(数値)を測定し、位置算出システム150の入力手段151を介してこれらの情報(数値)を入力する。
【0114】
位置算出システム150は、入力手段151が製袋器14の底面部141の幅W0と上流側先端部142Tの高さH0の入力を受け付けると、位置算出手段152が、上記(式1)〜(式5)に基づいて第4変動位置情報F4と第5変動位置情報F5、およびこれらの合計値F6を算出し、出力手段153が当該合計値F6を出力する。
【0115】
作業者は、出力(例えば、表示手段などに表示)された合計値F6(指標位置)を取得し、これを目安として第二ローラ102の位置を設定する。
(第二の方法)
【0116】
作業者は、包装する物品XA1の外形状や包装態様に基づき、製袋器14の底面部141の幅W0と上流側先端部142Tの高さH0を調整する。そして、例えば、搬送路に設けた測定手段(搬送方向Tに沿って配置されたメジャーなど)や、製袋器14に設けた測定手段などによって、第1変動位置情報F1、第2変動位置情報F2および製袋器14の上流側先端部142Tの高さH0を決定して当該情報(数値)を測定し、位置算出システム150の入力手段151を介してこれらの情報(数値)を入力する。
【0117】
位置算出システム150は、入力手段151が第1変動位置情報F1、第2変動位置情報F2、および製袋器14の上流側先端部142Tの高さH0の入力を受け付けると、位置算出手段152が、上記(式4)〜(式5)に基づいて第4変動位置情報F4と第5変動位置情報F5、及びこれらの合計値F6を算出し、出力手段153が当該合計値F6を出力する。
【0118】
作業者は、出力(例えば、表示手段などに表示)された合計値F6(指標位置)を取得し、これを目安として第二ローラ102の位置を設定する。
(第三の方法)
【0119】
作業者は、包装する物品XA1の外形状や包装態様に基づき、製袋器14の底面部141の幅W0と上流側先端部142Tの高さH0を調整する。そして、例えば、搬送路に設けた測定手段(搬送方向Tに沿って配置されたメジャーなど)によって、第4変動位置情報F4および第5変動位置情報F5を決定して当該情報(数値)を測定し、位置算出システム150の入力手段151を介してこれらの情報(数値)を入力する。
【0120】
位置算出システム150は、入力手段151が第4変動位置情報F4と第5変動位置情報F5の入力を受け付けると、位置算出手段152はこれらの合計値F6を算出し、出力手段153が当該合計値F6を出力する。
【0121】
作業者は、出力(例えば、表示手段などに表示)された合計値F6(指標位置)を取得し、これを目安として第二ローラ102の位置を設定する。
【0122】
なお、第一の方法〜第三の方法のいずれにおいても、固定位置情報C1〜C3,α1〜α3は予め設定(記憶手段155等に記憶)しておいてもよいし、それぞれの固定値を都度、入力手段151から入力するようにしてもよい。
【0123】
また、固定位置情報C1〜C3,α1〜α3は、物品XA1の外形状や包装態様によってその都度変動する変動位置情報に対して、その都度の変動が無いという趣旨で固定値(固有値)の位置情報としているが、固定位置情報C1〜C3,α1〜α3の設定値も変更することは可能である。
【0124】
また、上記の例では、第二ローラ102の指標位置として、製袋器14の収束点P2からの水平方向に沿う距離(合計値F6)を出力する場合を例に説明したが、指標位置は、第2ローラ102を移動させるべき位置として出力されればよく、例えば、第一ローラ101の中心P101からの水平方向の距離や、物品供給装置2側の或る所定位置(変動しない位置)からの水平方向の距離として出力されるものであってもよい。
【0125】
<製袋可能数算出システム>
次に、本実施形態の包装機1の製袋可能数算出システム160について説明する。
図8は、製袋可能数算出システム160の概要を示すブロック図である。本実施形態の製袋可能数算出システム160は、上述した位置算出システム150と、状態検出手段161と、包装体数算出手段162と、制御手段154とを少なくとも有している。
【0126】
状態検出手段161は、包装フィルムYA1の移動経路途中の少なくとも1箇所において包装フィルムYA1または物品XA1を収容した包装体ZA1の状態を検出するセンサ等であり、詳細は後述する。
【0127】
包装体数算出手段162は、位置算出システム150に入力、使用されあるいは、位置算出システム150によって算出された位置情報(第1変動位置情報F1〜第5変動位置情報F5、固定位置情報C1〜C3,α1〜α3)と、包装された物品XA1をトップシール装置30でカットする際のカットピッチCPとに基づいて、状態検出手段161によって異常と判断された部位が排出位置POUTに到達するまでの間に排出される正常な包装体数(製袋可能数)を算出する。
【0128】
制御手段154は、包装体数算出手段162に演算を行わせ、例えばその結果(製袋可能数)を取得する。そして、当該製袋可能数を排出した後に、異常な部位(およびその前後複数個)を系外排出するように包装機1の各部位を制御する。
【0129】
<状態検出手段>
再び
図5及び
図6を参照して、
図8に示す状態検出手段161について説明する。既述のとおり、包装機1全体の経路F0の途中には、包装フィルムYA1や包装の状態(包装体YA1の状態)を検出する複数の状態検出手段161を有している。具体的には、複数の状態検出手段161は、サーマル印字装置215の状態を検出するサーマル印字ローラセンサと、サーマル印字装置215のエラーや印字の外観を検査する印字検査カメラ203と、ラベラー205でラベルを貼り付ける際の状態を検出するラベラーセンサと、包装フィルムYA1の継目の有無を検出する継目センサ207と、筒状フィルム内の物品XA1の位置ずれの有無を検出する位置ずれセンサ211などを少なくとも有している。なお、
図5において、サーマル印字ローラセンサは検出位置P201、印字検査カメラ203は検出位置P203、ラベラーセンサは検出位置P205、継目センサ207は検出位置P207、位置ずれセンサ211は検出位置P211において、それぞれ包装フィルムYA1の状態の検出を行っている。
【0130】
そして、これらの状態検出手段161で包装フィルムYA1または包装の状態を検出し、異常が合った場合には、当該異常の部位を排出位置(ダンパー直前ローラ209の中心位置)POUTにおいて包装機1外に排出(系外排出)するように構成している。
【0131】
このとき、異常が発生した部位から、排出位置POUTまでの包装フィルムYA1の長さを取得し、当該長さを、物品XA1をトップシール装置30でカットする際のカットピッチCPで除算する。これにより、状態検出手段161によって異常と判断された部位が排出位置POUTに到達するまでの間に排出位置POUTを通過する正常な包装体数が算出できる。
【0132】
つまり、異常発見時に排出位置POUTを通過している(正常な)包装体YA1から、上流の異常が発生した部分まで遡り、正常な包装体の数(通常に(正常として)排出位置POUTを通過して下流に移送される包装体の数、すなわち、生産可能な包装体の数量。これを以下「製袋可能数」という。)を把握する。この「正常な包装体の数」とは、通常に(正常として)排出位置POUTを通過して下流に移送される包装体の数、すなわち、生産可能な包装体の数量であり、これを以下「製袋可能数」という。
【0133】
そして、把握した製袋可能数の包装体YA1が排出位置POUTを通過した後に異常が発生した部分を排出位置POUTにおいて取り除く処理を行っている。
【0134】
一方、
図6に示すように、第一ローラ101の中心(アーム103の支点)P101から下流に向かって、第二ローラ102を経て製袋器14の収束点P2に至る経路(以下、「製袋器周辺経路」という。)の距離Fは、第二ローラ102における包装フィルムYA1の巻き付き量をC4とすると、当該巻き付き量C4と第1変動位置情報F1〜第5変動位置情報F5の合計値(F=F1+F2+F3+C4+F4+F5)となる。
【0135】
つまり、第二ローラ102の位置を調整すると、製袋器周辺経路の距離Fが変化するため、包装機1全体の経路F0(原反ロールYB1から、排出位置POUTまでの距離)が変動し、ここを通過する包装フィルムYA1の長さが変動し、各状態検出手段161の検出位置から排出位置POUTまでの包装フィルムYA1の長さが変動する。
【0136】
このため、従来では、第二ローラ102の位置の調整に伴って、各状態検出手段161の検出位置から排出位置POUTまでの長さ(距離)(異常部位から排出位置までの長さ)を予測し、製袋可能数を算出していた。しかしながら、製袋器周辺経路の距離Fが変化した場合の、当該異常部位から排出位置までの長さの予測が煩雑であったため、製袋可能数の算出も大変煩雑なものとなっていた。また、この異常部位から排出位置までの長さの予測も、第二ローラ102の調整と同様に、作業者の経験の多少によるところが大きく、作業効率のばらつきという問題も同様に発生していた。
【0137】
そこで、本実施形態では製袋可能数算出システム160によって、第二ローラ102の位置の調整に応じて、各状態検出手段161の検出位置から排出位置POUTまでの長さ(距離)(異常部位から排出位置までの長さ)を算出するとともに、各状態検出手段161からの生産可能な数(製袋可能数)を算出することとした。
【0138】
以下、
図9および
図5を参照して、製袋可能数算出システム160で利用する各情報の一例について、説明する。
図9は、製袋可能数算出システム160で利用する各情報とその算出式の一例を示す表である。
【0139】
まず、同図(A)は、算出の基準となる情報(距離)の一覧を示す表であり、所定の位置間の距離を示している。
【0140】
距離L1は、ダンパー直前ローラ209の中心軸の位置POUTからトップシール装置30のセンター位置P17までの距離である。
【0141】
距離L2は、トップシール装置30のセンター位置P17から、製袋器14の収束点P2までの距離である。
【0142】
距離L3は、製袋器14の収束点P2から第一ローラ101の中心(アーム103の支点)P101までの距離であり、位置算出システム150に入力され、使用、算出された製袋器周辺経路の距離F(F=F1+F2+F3+C4+F4+F5)である。
【0143】
距離L4は、第一ローラ101の中心(アーム103の支点)P101から、継目センサ207による包装フィルムYA1上の検出位置P207までの距離である。
【0144】
距離L5は、第一ローラ101の中心(アーム103の支点)P101から、ラベラー検出センサによる包装フィルムYA1上の検出位置P205までの距離である。
【0145】
距離L6は、第一ローラ101の中心(アーム103の支点)P101から、印字検査カメラ203による包装フィルムYA1上の検出位置P203までの距離である。
【0146】
距離L7は、第一ローラ101の中心(アーム103の支点)P101から、サーマル印字センサによる包装フィルムYA1上の検出位置P201までの距離である。
【0147】
距離L8は、トップシール装置30のセンター位置P17から、位置ずれセンサ211による包装フィルムYA1上の検出位置P211までの距離である。
【0148】
なお、この例では、距離L3以外は包装機1の固有値(固定値)である。
【0149】
同図(B)は、製袋可能数算出システム160の包装体数算出手段162が算出する各状態検出手段161による検出位置から排出位置POUTまでの距離の算出の一例を示す表であり、各状態検出手段161で異常が検出された場合の、それぞれの状態検出手段161の検出位置からの下流側の搬送路中の残留フィルム長さの算出例である。
【0150】
残留フィルム長さX1は、印字時に異常が検出された場合の包装フィルムYA1の排出長さである。具体的には、サーマル印字センサの検出位置S201から、ダンパー直前ローラ209の中心(排出位置POUT)までの距離であり、下記(式6)で算出される値である。
【0151】
X1=L1+L2+L3+L7 (式6)
る。
【0152】
残留フィルム長さX2は、印字検査(外観検査)時に異常が検出された場合の包装フィルムYA1の排出長さである。具体的には、印字検査カメラ203による包装フィルムYA1上の検出位置P203から、ダンパー直前ローラ209の中心(排出位置POUT)までの距離であり、下記(式7)で算出される値である。
【0153】
X2=L1+L2+L3+L6 (式7)
【0154】
残留フィルム長さX3は、ラベル貼り付け時に異常が検出された場合の包装フィルムYA1の排出長さである。具体的には、ラベラー検出センサによる包装フィルムYA1上の検出位置P205から、ダンパー直前ローラ209の中心(排出位置POUT)までの距離であり、下記(式8)で算出される値である。
【0155】
X3=L1+L2+L3+L5 (式8)
【0156】
残留フィルム長さX4は、継目の状態に異常が検出された場合の包装フィルムYA1の排出長さである。具体的には、継目センサ207による包装フィルムYA1上の検出位置P207から、ダンパー直前ローラ209の中心(排出位置POUT)までの距離であり、下記(式9)で算出される値である。
【0157】
X4=L1+L2+L3+L4 (式9)
【0158】
残留フィルム長さX5は、位置ずれが発生した場合の包装フィルムYA1の排出長さである。具体的には、ラベラー検出センサによる包装フィルムYA1上の検出位置P205から、ダンパー直前ローラ209の中心(排出位置POUT)までの距離であり、下記(式10)で算出される値である。
【0160】
<製袋可能数算出方法>
一例を挙げて具体的に、製袋可能数算出システム160における製袋可能数算出方法について説明する。
【0161】
物品XA1を包装中に、複数の状態検出手段161のうちいずれかで異常が検出された場合、包装体数算出手段162は、異常を検出した状態検出手段161に個々に対応付けられた上記(式6)〜(式10)のいずれかを用いて、包装フィルムYA1の残留フィルム長さX1〜X5を算出する。なお、複数の状態検出手段161で複数の異常が検出された場合、記憶手段155は複数の異常を記憶し、それぞれの異常に対して処理を行う。
【0162】
また、包装体数算出手段162は、算出した残留フィルム長さX1〜X5(のいずれか)を、包装体YA1のカットピッチCPで除算して、状態検出手段161によって異常と判断された部位が排出位置POUTに到達するまでの間に排出位置POUTを通過する正常な包装体数X´を算出し、小数点以下の数値は四捨五入する。
【0163】
X´=X1〜X5のいずれか/CP (式11)。
【0164】
なお、実際には、異常が発生している部位のみを排出するのではなく、予備として、異常が発生している部位の前後複数個も排出するとよい。つまり、包装体数算出手段162は、(式11)で算出された包装体数X´をそのまま製袋可能数Xとするのではなく、(式11)で算出された包装体数X´から予備の個数Nを減算した値を、を製袋可能数Xとする。
【0165】
X=X´−N (N=1または2など) (式12)
【0166】
制御手段154は、包装体数算出手段162が例えば(式12)によって算出した製袋可能数Xの包装体YA1が正常に排出位置POUTを通過した後、異常が発生している部位(前後に予備の1、2個の(正常な)包装体YA1を含む)を包装機1外に排出(系外排出)する。
【0167】
なお、制御手段154は、包装体数算出手段162が(式11)によって算出した包装体数X´を製袋可能数Xとして、X´(X)個の包装体YA1が正常に排出位置POUTを通過した後、異常が発生している部位を包装機1外に排出(系外排出)するようにしてもよい。
【0168】
また、算出した製袋可能数Xと、実際の製袋可能数とが異なる場合には、出力手段153兼入力手段151の例えば、タッチパネルで製袋可能数の数量を変更(修正)することができる。そして、記憶手段155は、算出結果とともに、実際の製袋可能数も合わせて、製品データ(包装フィルム幅、材質、製袋器種類、カットピッチ、物品の物性データなど)と紐付させて記憶する。これらのデータは以後の製袋可能数の算出の際に利用するようにしてもよい。
【0169】
また、この例では、製袋可能数算出システム160の算出結果(製袋可能数X)を制御手段が取得し、当該製袋可能数Xを排出した後に、異常な部位(およびその前後複数個)を系外排出するように自動で制御する構成を示した。
【0170】
しかしこの例に限らず、製袋可能数算出システム160は、位置算出システム150に入力、使用、算出された変動位置情報や固定位置情報を入力可能な入力手段を備え、変動位置情報や固定位置情報の入力に基づいて製袋可能数Xを算出するようにしても良く、その場合、位置算出システム150の入力手段151と共用にしてもよい。
【0171】
従来では、異常が発生した部位からの製袋可能数を、物品XA1の外形状や包装態様に応じて担当者が予測する必要があった。しかしこの場合は(実績がない新たな物品XA1や包装フィルムYA1材料の場合は特に)、実際の処理の開始前に予備的な包装を行って予測した製袋可能数が正しいか(予測した製袋可能数を排出すれば異常な部位が適切に排出位置に到達するか)を確認する必要があり、包装フィルムYA1が無駄になったり、作業効率が悪いといった問題があった。
【0172】
本実施形態によれば、製袋可能数算出システム160が、位置算出システム150の入力、使用、算出された変動位置情報や固定位置情報に基づいて、製袋可能数Xを算出するので、製袋可能数Xの把握が容易となる。また、製袋可能数Xを高精度に算出できるので予備的な包装を行って、予測した数を確認する作業が軽減でき、包装フィルムYA1の無駄を省き、作業効率を格段に高めることができる。
【0173】
<他の実施形態>
図10に示すように、アーム103はその支点(第一ローラ101の回転軸)を中心に、所定角度内で回動(揺動)可能に構成されていてもよい。すなわち、第二ローラ102は、第一ローラ101を中心として(中心軸101C)回りに同図において時計回り及び反時計回りに所定角度内で回動可能となるように構成されていてもよい。
【0174】
固定位置情報α1〜α3の値は、製袋器14の種類によって異なる。このため、本実施形態のように水平状態に設定されたアーム103の長手方向に沿って、第二ローラ102を水平移動させるのみでは製袋が出ない場合には、第二ローラ102をアーム103の長手方向に移動するとともに、アーム103を揺動させて製袋を出すように調整する。
【0175】
なお、包装機1の第二ローラ102の位置、及びアーム103の角度(傾斜角度)を検出するセンサを設けて、作業者が第二ローラ102の指標位置から、微調整を行って第二ローラ102を適切な位置に調整した場合は、(式1)〜(式5)の再計算を行うとともに、算出結果を物品XA1(および包装フィルムYA1)の情報と対応付けて記憶手段155に記憶してもよい。
【0176】
また、出力手段(表示手段)153には、第二ローラ102の位置とアーム103の角度を表示するようにしてもよい。例えば、第二ローラ102の位置を検出する検出手段などを設け、検出結果(現在の位置)を表示手段153に表示するとともに、目盛りと、位置算出手段152が算出した第二ローラ102の指標位置(合計値F6)を表示するなどして、表示手段153を参照しながら対話形式で第二ローラ102の位置調整を可能にしてもよい。また、表示手段153にはイラストや画像(写真)、動画などを表示して位置調整の案内をするようにしてもよい。
【0177】
また、第二ローラ102の位置(アーム103の長手方向の移動や、アーム103の角度)は駆動手段(例えば、サーボモータ)によって駆動するものとし、位置算出手段152が算出した第二ローラ102の指標位置(合計値F6)に基づき、包装機1の制御手段が自動で位置調整を行うようにしてもよい。
【0178】
また、各種位置情報(変動位置情報、固定位置情報)を取得する取得手段(位置検出手段など)を設け、位置算出手段152が算出した第二ローラ102の指標位置(合計値F6)に基づいて(必要に応じて微調整を行って)適切な位置が決定された場合に、各部位の位置情報を記憶手段155に自動又は手動で登録し、次回の包装時に呼び出して手動または自動で登録された値に設定するようにしてもよい。
【0179】
例えば、入力手段151(または出力手段153)に登録ボタン等を設けておき、当該登録ボタンが操作された場合に、第二ローラ102の位置、アーム103の角度、製袋器14の幅W0や上流側先端部142Tの高さH0などの全ての(あるいは一部の)現状の位置を取得して登録するようにしてもよい。
【0180】
また、新規な製品データ(包装フィルム幅、材質、製袋器種類、カットピッチ、物品の物性データなど)の作成(設定)時において、サーマル印字装置215において、ダミーの異常を発生させて、サーマル印字装置215から排出位置POUTまでの距離を測定するようにしてもよい。具体的には、サーマル印字装置215において、ダミーの異常を発生させる際に、サーマル印字装置215から異常信号を発信するとともに、異常発生時にサーマル印字装置に位置する包装フィルムに異常の表示(印字)をする。このとき、筒状フィルムの上面に異常の表示(印字)がされるよう、サーマル印字装置215をフィルム搬送方向の直交方向の位置を調整しておく。
【0181】
そして、本実施形態の製袋可能数算出システム160により算出した算出値(製袋可能数)を基にダミーの異常を発生させた包装体を排出位置POUTの直前の位置(具体的には、包装体として2〜3体手前の位置)まで自動搬送して停止する。その後、ダミーの異常表示がされた包装体を手動で排出位置POUTまで搬送させる。その位置(状態)で操作(例えば、設定画面の登録ボタンを押下する)によって、サーマル印字装置215から排出位置POUTまでの長さ(距離)を距離測定装置(
図11参照)で測定した値を基に製袋可能数を算出するとともに、製袋可能数を記憶手段155に記憶するようにしてもよい。そして、このデータは、各検出位置から排出位置POUTまでの距離を算出する際に利用してもよい。
【0182】
図11は、距離計測装置53の一例を示す概要図である。距離計測装置53は、
図11に示すように、帯状の包装フィルムYA1を挟んで対向配置された幅広の受けローラ53aと、幅の狭い回転ローラ53bと、その回転ローラ53bに取り付けられたエンコーダ53cとから構成される。そして、受けローラ53aは、帯状の包装フィルムYA1の幅よりも広くなりその全面と接触するようになっているとともに、フリー状態で図示省略の軸受けに支持されて回転自在となっている。一方、回転ローラ53bは、受けローラ53a側に付勢され、やはりフリー状態で図示省略の軸受けに支持されて回転自在となっている。
【0183】
これにより、受けローラ53aと回転ローラ53bとは、帯状の包装フィルムYA1に対し所定の圧力で挟圧することになり、帯状の包装フィルムYA1の移動にともない、受けローラ53a並びに回転ローラ53bは回転する。
【0184】
そして、その回転ローラ53bの回転軸に既知のエンコーダ53cを取り付けているため、回転ローラ53bの回転にともない、エンコーダ53cよりパルス信号が出力される。そして回転ローラ53bの円周は既知であり、帯状の包装フィルムYA1の移動距離と回転ローラ53bの円周面の移動距離は等しいので、その回転ローラ53bが単位角度(隣接するパルス間の角度)回転した時の包装フィルムYA1の移動距離(基準移動距離T0)は一義的に決まる。従って、エンコーダから出力されるパルス(単位角度毎に1パルスずつ出力される)をカウントして、パルス数PNを計数したなら、その時の移動距離TLは、下記(式13)により求められる。
【0186】
以上、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0187】
例えば、上記の実施形態では包装機1が横型製袋充填機である場合を例に説明したが、縦型製袋充填機であってもよい。
【0188】
また、包装機1は、一般的な包装機(例えば、製袋時にガスが積極的に充填されない包装機)であってもよいし、製袋時に連続してガスが充填されるガス充填包装機であってもよい。また、包装機1は、三方シール機、四方シール機またはシュリンク包装機であってもよい。
【0189】
また、センターシール装置16によるセンターシールは、フィルム表面とフィルム裏面を接触した状態でシールする封筒貼りとしてもよい。
【0190】
なお、上記実施形態では、製袋器14に供給される包装フィルムYA1は、斜め上方から製袋器14に供給されて物品XA1に合流する例を示したが、包装フィルムYA1が斜め下方から製袋器14に供給されて物品XA1に合流するようにしてもよい。