特許第6847815号(P6847815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847815
(24)【登録日】2021年3月5日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】送り出し兼用巻取り機
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/20 20060101AFI20210315BHJP
   B65H 75/22 20060101ALI20210315BHJP
   B65H 75/38 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   B65H75/20
   B65H75/22
   B65H75/38 J
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-213619(P2017-213619)
(22)【出願日】2017年11月6日
(65)【公開番号】特開2019-85214(P2019-85214A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2019年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】517386893
【氏名又は名称】遠藤 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100139206
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 朋之
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 和男
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−183172(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3001267(JP,U)
【文献】 特開平05−058557(JP,A)
【文献】 特開2004−284706(JP,A)
【文献】 特開平11−013689(JP,A)
【文献】 特開平06−017794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平板上のベースと、前記ベースに設置した回転支持体と、前記回転支持体に回転可能に接続したリール本体とを備えた送り出し兼用巻取り機において、
前記リール本体は、前記回転支持体と接続する中央盤と、前記中央盤から放射状に延伸する複数の架橋アームと、前記複数の架橋アームが連結するリングと、前記架橋アームの長手方向にスライド可能および前記架橋アームの軸に対して回動可能に、前記架橋アームが支持する巻取りバーと、を備え、
前記巻取りバーは、端部にねじ込み用ボルトを備え、
前記架橋アームは、貫通孔を設けた移動フレームを備え、
前記移動フレームは、前記貫通孔の上に設置したナットを備え、
前記架橋アームが、前記架橋アームの軸に平行な面で切った切断面を少なくとも一部に有すること、
を特徴とする送り出し兼用巻取り機。
【請求項2】
左右一対の前脚の上部に左右一対の後脚の上部をそれぞれ連結し、前記前脚のそれぞれから上方に延伸するガイドを備え、前記ガイドが互いに向き合う位置にそれぞれ凹部を有するスタンドを有し、
前記凹部に前記ベースのフランジをそれぞれ連結することにより、前記スタンドが設置されていること、を特徴とする請求項1に記載の送り出し兼用巻取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み可能で持ち運びに便利なケーブル、電線、ホース等の紐状資材の送り出し兼用巻き取り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事現場、農作業場などでは、紐状資材(ケーブル、電線やホース等)を送り出して配設し、あるいは配設した資材の巻き取りを行う装置が必要とされている。このようなものとして、例えば、公開特許公報2003−54845(特許文献1)が知られている。このホース巻き取り機は、ホースを巻き取るリール本体と、そのリール本体へのホース巻き取りを案内する回転自在なリールガイドと、そのリールガイドの回転軸を支持するスタンドから構成されており、リール本体、リールガイドとスタンドはそれぞれ分離できるものである。
しかしながら、リール本体の巻取管、リールガイドの支持管を倒すことができず、更に、スタンドを折り畳むことができないため、嵩張るものであり、工事現場、農作業場などへの運搬、収納が容易ではなかった。加えて、スタンドと円形リング等は高さ調整棒で支持しているため、安定性に欠けぐらつきが生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】公開特許公報2003−54845
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の課題は、軽量化を図るとともに運搬、収納に便利なように嵩張らず容易に折畳みや組み立てができ、更に、スタンドの取付けも容易で、ぐらつかず安定性のあるケーブル、電線、ホース等の資材の送り出し兼用巻き取り機を提供することにある。
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
(1) 略平板上のベースに回転支持体を設置して、この回転支持体に回転できるようにリール本体を備え、このリール本体は、回転支持体と接続する中央盤とこの円盤から放射状に延伸する複数の架橋アームとこれらが連結するリングなからなり、架橋アームの長手方向にスライドできるようにおよび架橋アームの軸に対して回動できるように架橋アームが支持する巻取りバーを備え、巻取りバーは端部にねじ込み用ボルト、架橋アームに貫通孔を設けた移動フレーム、貫通孔の上にナットを備え、架橋アームが架橋アームの軸に平行な面で切った切断面を少なくとも一部に有する送り出し兼用巻取り機を提供する
(2) 左右一対の前脚の上部に左右一対の後脚の上部をそれぞれ連結して、前脚のそれぞれから上方に延伸するガイドが互いに向き合う位置に凹部を有するスタンドに、ベースのフランジを連結することにより、スタンドを設置した(1)に記載の送り出し兼用巻取り機を提供する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ケーブル、電線、ホース等の資材の送り出し兼用巻き取り機の軽量化を図ることができるとともに、運搬、収納に便利なように嵩張らず容易に折畳みや組み立てを行うことができる。更に、スタンドの取付けも容易で、ぐらつかず安定性のあるものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1の送り出し兼用巻き取り機の概略平面図である。
図2図1に示す送り出し兼用巻き取り機の概略側面図である。
図3図1に示す架橋アームと巻取バーの連結部の拡大分解図である。
図4】(A)は、図1に示す架橋アームにスライドフレームが装着された状態の断面図であり、(B)は、(A)の架橋アームを軸に平行な面で切断したものである。
図5】本発明の実施形態2の概略側面図である。
図6図5に示すスタンドの概略斜視図である。
図7図5に示すベースとガイドの連結状態を示す概略図である。
図8】本発明の実施形態2の資材導きローラの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1]
図1〜4は、本発明に係る送り出し兼用巻き取り機1の実施形態1を示す。図1は、送り出し兼用巻き取り機1の概略平面図、図2は、送り出し兼用巻き取り機1の概略側面図である。実施形態1に係る送り出し兼用巻き取り機1は、図1、2に示すように、概略平板形状のベース8と、ベース8に設置した回転支持体9と、回転支持体9が回転可能に支持するリール本体2を備える。リール本体2は、回転支持体9が支持する中央盤11と、中央盤11から放射状に延伸する複数の架橋アーム5と、複数の架橋アーム5が連結するリング4と、を備える。架橋アーム5には、架橋アーム5の長手方向にスライド可能および前記架橋アーム5の軸に対して回動可能に、架橋アームが支持する巻取りバーと、を備える。
【0010】
本発明に係る送り出し兼用巻き取り機の実施形態1のベース8は、図2に示すように、概略矩形の平板形状のベース本体8aと、ベース本体8aの両側端に所定長下方に延びる段差部8bと、段差部8bの下方端部から外側の水平方向に延伸するフランジ8cと、から構成される。なお、ベース本体8aは、台形、平行四辺形などであってもよい。
【0011】
本発明に係る送り出し兼用巻き取り機1の実施形態1の回転支持体9は、図1、2に示すように、例えば、ボールベアリングを使用することができ、ベース本体8a上に設置する。回転支持体9には、リール本体2の中央盤11を連結する。中央盤11は、角柱形状、円柱形状、中空の角柱、中空の円柱形状、カップ形状(角柱、円柱形状に回転支持体9と連結する部分に底を設けた形状)など様々な形状とすることができる。中央盤11と回転支持体9との連結方法は、溶接、中央盤11との間にポールを設けて嵌合させるなど様々な方法を採ることができる。
【0012】
本発明に係る送り出し兼用巻き取り機1の実施形態1の架橋アーム5は、図1に示すように、中央盤11から水平方向に放射状に延伸して、リング4に連結している。架橋アーム5は、巻取りバー6が回動できるように断面は概略円形であることが好ましい。ただし、全長に渡って断面が概略円形である必要はなく、少なくとも巻取りバー6がスライドする範囲が概略円形であればよい。また、架橋アーム5は、3本に限られず、4本以上であってもよい。架橋アーム5は、中実でも中空であってもよい。
【0013】
本発明に係る送り出し兼用巻き取り機1の実施形態1のリング4は、図1に示すように、延伸する架橋アーム5と連結する。リング4は、円形であってもよいし、楕円形や多角形であってもよい。また、リング4の断面は、円形であってもよいし、楕円や多角形であっても良い。
【0014】
本発明に係る送り出し兼用巻き取り機1の巻取りバー6は、図1に示すように、架橋アーム5が移動フレーム51を介して巻取りバー6を軸方向にスライド可能および軸に対して回動可能に支持している。巻取りバー6は、棒状の巻取りバー本体61と巻取りバー本体61の一端にはストッパー62を設置する。ストッパー62は、ケーブル、電線やホース等資材が巻取りバー6から外れるのを防止する機能を有する。従って、ストッパー62の径は巻取りバーの径より大きい方が好ましい。巻取りバー6の他端には、図3に示すように、ねじ込み用ボルト63を設置している。移動フレーム51は、円筒形状であって、側面に略円形の貫通孔(図示せず)を有する。
【0015】
架橋アーム5が移動フレーム51を介して巻取りバー6を軸方向にスライド可能および軸に対して回動可能に支持する機構は、図3に示すように、移動フレーム51の貫通孔(図示せず)上にナット5を固定し、巻取りバー6のねじ込み用ボルト63と移動フレーム51に固定したナット52の間にワッシャー64、スプリングワッシャー53、ワッシャー64を設置する。ねじ込み用ボルト63をナット52にねじ込んでいくことにより、移動フレーム51に巻取りバー6が固定される。このようにすることにより、架橋アーム5上を巻取りバー6が軸方向にスライドすることができ、また、架橋アーム5の軸に対して、回動することができるようになる。更に、ねじ込み用ボルト63をナット52にねじ込んでいくと、ねじ込み用ボルト63が架橋アーム5に衝突し、架橋アーム5を押さえつけることによって、巻取りバー6を固定することができる。従って、ねじ込み用ボルト63の長さは、巻取りバー6を固定できる長さにする必要がある。
【0016】
架橋フレーム5は、図4(A)に示すように、中空にしてもよいし、中実としてもよい。また、架橋フレーム5は、図4(B)に示すように、架橋フレーム5の軸に平行な面で架橋フレーム5を切った切断面55を設けてもよい。このような切断面55を設けると、ねじ込み用ボルト63の先端が接触する面積が大きくなり、巻取りバー6を架橋フレーム5に強く固定することができる。特に、巻取りバー6を立てる位置(巻取り、送り出しを行う際の位置)のときにねじ込み用ボルト63の先端が切断面55と接触するようにすると、巻取り、送り出しを行う際に強い力が掛かっても、巻取りバー6のズレなどが生じ難い。なお、架橋フレーム5と移動フレームの間には、隙間500を有している。
更に、巻取りバー6を倒したときにねじ込み用ボルト63の先端がくる位置に切断面55′を設けてもよい。
【0017】
図2に示すように、中央盤11には軸筒20を装着してもよい。軸筒20は、概略円筒形状の軸筒本体21と、軸筒本体21の下端に突出し中央盤11と嵌合する連結部22と、軸筒本体20の上部から水平方向に延伸する回転アーム23と、回転アーム23と連結したハンドル24と、から構成されている。連結部22には、雄ねじなどを利用することができ、中央盤11に雌ねじ(図示せず)などを設置して固定することができる。
【0018】
送り出し兼用巻き取り機1の使用方法は、図2に示すような向きで、ベース8のフランジ8cが地面に接地するようにして、巻取りバー6を立てた状態で資材10を設置し(又は資材を設置してから巻取りバー6を立ててもよい。)、資材の一端を引張っていくことにより、リール本体2が回転をして、順次、資材10を送り出すことができる。
また、巻き取る際には、巻取りバー6を立てた状態でリール本体2を回転させて、巻取りバー6に資材10を巻き取っていく。巻取りの際には、図2に示すように中央盤11に軸筒20を設置し、軸筒20のハンドル24を握ってリール本体2を回してもよい。なお、送り出しの際にも軸筒20を設置してもよい。
更に、作業場等への運搬の際には、図1に示すように、巻取りバー6を倒すことによって、嵩張らなくなり、運搬等をし易くなる。加えて、このような構成とすることにより、巻取り終了後の資材の結束が容易である。
各巻取りバー6を中央盤11から等距離とせず、各巻取りバー6を中央盤11から任意の位置とすることにより、資材の巻取り中心軸を中央盤以外に偏心させることにより、空回りを防ぎブレーキを不要とすることができる。
【0019】
[実施形態2]
図5は、本発明の実施形態2を示す。実施形態2では、送り出し兼用巻き取り機に1スタンド3を設置することにより、高い位置での巻取りを可能とすることができる。このような構成とする事により、巻取り作業等の際に、腰を屈めたり、下したりすることなく作業が行えるので、身体的負担の軽減や作業効率を上げる事が出来る。
【0020】
スタンド3は、図6に示すように、一対の右後脚32Rと左後脚32Lを有し、それぞれの上端部近傍で、懸架部材39を介してそれぞれ回動可能連結している。又は、右後脚32Rと左後脚32Lと懸架部材39を固定して連結し、懸架部材39を右懸架部材39Rと左懸架部材39Lに分割して、右懸架部材39Rと左懸架部材39Lを連結軸(図示せず)を介して回動可能に連結してもよい。また、右後脚32Rと左後脚32Lは略ハの字形に開脚している。更に、スタンド3は、一対の右前脚31Rと左前脚31Lを有し、それぞれ前脚31Rの上端部は、後脚32Rの上端部近傍に連結し、前脚31Lの上端部は、後脚32Lの上端部近傍に連結している。前脚31L、31Rの形状は、それぞれ地面から鉛直方向に延びる先端部31L1、31R1と、先端部31L1、31R1から後脚3に向かって斜め上方に伸びる中間部31L2、31R2と、中間部から後脚に向かって水平方向に伸びる後端部31L3、31R3からなる。
左前脚31Lと左後脚32L、左前脚31Rと左後脚32Rの間には、それぞれ補強部材33L、33Rが連結している。更に、補強部材33L、33Rからは、それぞれステー36L、36Rが向かい合う補強部材33R、33L方向へ伸びており、連結軸37を介して回動可能に連結している。
【0021】
また、一対の右前脚31Rと左前脚31Lの中間部からは、それぞれ上斜め後方に延伸するガイド38R、38Lを備える。ガイド38R、38Lは、図6に示すように、概略矩形の底板381R、381Lと、底板381R、381Lに対し、それぞれ、概略L字形状、概略L字の左右反転形状に鉛直方向に延伸する外壁382R,382Lと、外壁382R,382Lの上端から底板381R、381Lに平行な方向に延伸する上蓋383R,383Lと、を備える。
【0022】
ガイド38R、38Lにベース8を嵌合するには、図7に示すように、左底板381L、外壁382L、上蓋383Lにより形成した凹部384L、左底板381R、外壁382R、上蓋383Rにより形成した凹部384Rにそれぞれにベース8のフランジ8Cを差し込むことにより、スタンド3と送り出し兼用巻き取り機1を連結することができる。フランジ8C,8Cとガイド38R、38Lは、面と面で接触して保持するので、スタンド3と送り出し兼用巻き取り機1は、ぐらつかず安定した連結が可能である。
【0023】
スタンド3には、図8に示すような資材導きローラ100を設置してもよい。スタンド3から概略水平方向に支持棒104を設置し、支持棒104上に資材導きローラ100を固定する。資材導きローラ100は、資材10の下に位置する下ローラ101と、資材の上に位置する上ローラ102と、上ローラ102の位置を上下させることができる調整ネジ103とを備える。資材10の太さにより、調整ネジ103を使って、上ローラ102の位置を上下に動かすことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 送り出し兼用巻取り機
2 リール本体
3 スタンド
31 前脚
31R 右前脚
31L 左前脚
31L1 31R1 先端部
31L2 31R2 中間部
31L3 31R3 後端部
32 後脚
32R 右後脚
32L 左後脚
33L 33R 補強部材
36L 36R ステー
37 連結軸
38L 38R ガイド
39 懸架部材
4 リング
5 架橋アーム
51 移動フレーム
52 ナット
53 スプリングワッシャー
55 55′ 切断面
6 巻取りバー
61 巻取りバー本体
62 ストッパー
63 ねじ込み用ボルト
64 ワッシャー
8 ベース
8a ベース本体
8b 段差部
8c フランジ
9 回転支持体
10 資材
11 中央盤
20 軸筒
21 軸筒本体
22 連結部材
23 回転アーム
24 ハンドル
100 資材導きローラ
101 下ローラ
102 上ローラ
103 調整ネジ
104 支持棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8