(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有料道路内の区間ごとの混雑度が第1の閾値以上の前記区間である混雑区間がある場合に、前記有料道路内の前記区間の組み合わせであって、前記混雑区間を迂回可能な1または複数の迂回経路を決定する迂回経路決定部と、
前記迂回経路を示す情報を、前記有料道路の区間ごとに設置されて、前記有料道路を走行する車両の車載器と通信可能な路車間通信装置、または、前記有料道路の入口に設けられて、前記車載器と通信可能な入口装置、に送信する送信部と、
前記路車間通信装置または前記入口装置の識別情報と、前記路車間通信装置または前記入口装置が前記車載器から受信した前記車両の識別情報と、を前記路車間通信装置または前記入口装置から受信する受信部と、
前記受信部が区間ごとに受信した前記車両の識別情報と、前記路車間通信装置または前記入口装置の識別情報と、に基づいて、前記車両がいずれかの前記迂回経路を通ったか否かを判断する判断部と、
前記車両がいずれかの前記迂回経路を通ったと判断された場合に、前記車両に対して割引を適用して、通行料金を算出する料金算出部と、
を備え、
前記迂回経路決定部は、前記迂回経路に含まれる複数の区間のうち、前記迂回経路を走行することが確定する迂回確定区間を決定し、
前記判断部は、前記車両の走行区間が、前記迂回確定区間と一致する場合に、前記車両が前記迂回経路を通ったと判断し、
前記料金算出部は、通行料金として、前記車両が通過済みの走行経路における通行料金である確定料金と、車両が走行中の区間から出口装置まで走行した場合に変動する予定の加算予定料金とを算出し、
前記送信部は、前記料金算出部が算出した前記確定料金と前記加算予定料金とを、車両の車両識別情報と対応付けて、前記出口装置に送信し、
前記出口装置は、有料道路の出口に設けられて、当該出口を通過する車両の車載器と相互に通信可能な装置である、
情報処理装置。
前記送信部は、前記迂回経路を示す情報を、前記混雑区間よりも上流に位置する区間であって、前記混雑区間を含む経路と前記迂回経路との分岐点を含む区間、または前記分岐点の上流に位置する前記区間、に設置された前記路車間通信装置または前記入口装置に送信する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
前記送信部は、前記混雑区間の混雑度が、前記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下になると、前記迂回経路を示す情報を送信した前記路車間通信装置または前記入口装置に対して、前記迂回経路を示す情報の削除命令を送信する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
前記送信部は、前記混雑区間の混雑度が、前記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下になった後、さらに、所定の時間が経過した場合に、前記迂回経路を示す情報を送信した前記路車間通信装置または前記入口装置に対して、前記迂回経路を示す情報の削除命令を送信する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
前記料金算出部は、前記判断部により前記車両がいずれかの前記迂回経路を通ったと判断された場合であって、かつ、前記車両が所定の条件に合致する場合に、割引した前記通行料金を算出する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施形態1)
本実施形態のETC(Electronic Toll Collection、登録商標)システムでは、有料道路内のゾーン(区間)ごとの混雑度に応じて迂回経路を動的に設定し、当該迂回経路を走行する車両の通行料金を割引することにより、混雑しているゾーンから他のゾーンへ交通量を分散させる。
【0008】
図1は、本実施形態にかかるETCシステムS1および交通管制システムS10の全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の有料道路Rは、途中区間に分岐を有する有料道路となっている。そして、この有料道路Rを走行する車両2aに通行料金を課金するために、ETCシステムS1が設置されている。ETCシステムS1は、情報処理装置100と、入口装置11aと、出口装置12aとを備える。
【0009】
また、有料道路Rは、後述する路車間通信装置10a〜10dの通信エリアと、入口装置11a、または出口装置12aによって、複数のゾーンA0〜A4に区切られる。ゾーンA0〜A4を特に区別しない場合は、ゾーンAという。また、本実施形態においては、複数のゾーンAの組み合わせを、経路という。
【0010】
図1では、有料道路Rには入口装置11aおよび出口装置12aが1台ずつ設置されているが、入口装置11aおよび出口装置12aの設置台数および設置個所はこれに限定されるものではない。例えば、それぞれのゾーンAに複数の入口装置11aまたは出口装置12aが設けられても良い。
【0011】
本実施形態において、有料道路Rを走行する車両2aには、入口装置11a、出口装置12aと相互に通信可能な車載器が搭載される。また、車載器は、DSRC(Dedicated Short Range Communication:“専用狭域通信”)を用いて路車間通信装置10a〜10dとも通信可能である。本実施形態では1台の車載器がETCおよびDSRCに対応するが、ETC用車載器とDSRC用車載器とは別個の車載器であっても良い。車載器は、路車間通信装置10a〜10d、入口装置11a、出口装置12aから受信した情報を、表示部に表示する。
【0012】
入口装置11aは、有料道路Rの入口に設けられて、当該入口を通過する車両2aの車載器と相互に通信可能な装置である。本実施形態においては、入口装置11aは、有料道路Rの入口に設けられたETCゲートである。
【0013】
入口装置11aは、情報処理装置100から送信された情報を、入口装置11aが設置された入口から有料道路Rに進入(流入)する車両2aの車載器に送信する。また、入口装置11aは、入口装置11aが設置された入口から有料道路Rに進入する車両2aの車両識別情報を車両2aの車載器から受信して、情報処理装置100に送信する。
【0014】
出口装置12aは、有料道路Rの出口に設けられて、当該出口を通過する車両2aの車載器と相互に通信可能な装置である。本実施形態においては、出口装置12aは、有料道路Rの出口に設けられたETCゲートである。出口装置12aは、情報処理装置100から、車両2aの車両識別情報に対応付けられた通行料金の情報を受信する。通行料金の金額は、車両2aが、出口装置12aが設置された出口から有料道路Rを退出(流出)した場合に課金される金額である。
【0015】
出口装置12aは、車両2aが出口装置12aを通過する際に、車両2aに課金される通行料金の金額の情報を、車両2aの車載器に送信する。また、出口装置12aは、不図示の表示部等に通行料金の金額を表示しても良い。
【0016】
また、出口装置12aは、出口装置12aが設置された出口から有料道路を退出した車両2aの車両識別情報を、情報処理装置100に送信する。
【0017】
情報処理装置100は、例えば、ETC中央装置であり、車両2aに課金する通行料金を算出する。本実施形態の情報処理装置100は、基本的には、車両2aが通過した入口と出口に基づいて車両2aに課金する通行料金を算出するが、混雑を回避するため、ゾーンAごとの混雑度に応じて迂回経路を動的に設定し、当該迂回経路を走行する車両2aの通行料金を割引する。
【0018】
また、
図1に示すように、交通管制システムS10は、交通管制装置200と、路車間通信装置10a〜10dとを備える。
【0019】
交通管制装置200は、路車間通信装置10a〜10dおよび情報処理装置100と相互に通信する。また、交通管制装置200は、公知の手法を用いて有料道路Rの混雑状況を示す混雑情報を算出し、情報処理装置100に送信する。
【0020】
路車間通信装置10a〜10dは、有料道路Rを走行する車両2aと通信することが可能な装置であり、有料道路Rの路側に設けられる。本実施形態においては、路車間通信装置10a〜10dは、DSRCを用いて、車両2aとの間で通信することが可能なITS(Intelligent Transport Systems)スポットとする。なお、車載器および路車間通信装置10の通信手段は、DSRCに限定されるものではない。以下、路車間通信装置10a〜10dを特に区別しない時は、路車間通信装置10という。また、路車間通信装置10は、路側無線通信装置ともいう。
【0021】
具体的には、路車間通信装置10は、交通管制装置200から送信された情報を、路車間通信装置10が設置されたゾーンAを走行する車両2aの車載器に送信する。また、本実施形態においては、情報処理装置100から、交通管制装置200を介して路車間通信装置10に通行料金が割引される迂回経路を示す情報が送信される。本実施形態における迂回経路は、有料道路R内のゾーンAの組み合わせであって、混雑度が第1の閾値以上であるゾーンAを迂回可能な経路のことをいう。情報処理装置100から送信される情報の詳細については後述する。
【0022】
また、路車間通信装置10は、路車間通信装置10が設置されたゾーンAを走行する車両2aの車両識別情報を車両2aの車載器から受信して、情報処理装置100に送信する。本実施形態においては、車両2aの車両識別情報として、車両2aに搭載された車載器のIDと、車載器に挿入されたETCカードのIDとを用いる。なお、車両2aの車両識別情報はこれに限定されるものではない。
【0023】
情報処理装置100および交通管制装置200は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリと、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。また、情報処理装置100および交通管制装置200は、有料道路Rの管理センター等に設置される。あるいは、情報処理装置100と交通管制装置200は、それぞれ異なる場所に設置されても良い。次に、情報処理装置100および交通管制装置200の機能の詳細を、
図2を用いて説明する。
【0024】
図2は、本実施形態にかかる情報処理装置100および交通管制装置200の機能の一例を示す図である。
図2に示すように、交通管制装置200は、受信部201と、送信部202と、処理部203とを備える。受信部201は、路車間通信装置10および情報処理装置100から情報を受信する。処理部203は、路車間通信装置10から取得した情報や、その他の情報から、公知の手法を用いて有料道路Rの混雑状況を示す混雑情報を算出する。送信部202は、路車間通信装置10および情報処理装置100に情報を送信する。
【0025】
また、
図2に示すように、情報処理装置100は、取得部101と、混雑度算出部102と、迂回経路決定部103と、送信部104と、受信部105と、判断部106と、料金算出部107と、記憶部150とを備える。
【0026】
記憶部150は、料金情報データベース(DB)151と、割引情報データベース(DB)152と、課金情報データベース(DB)153と、ゾーンデータベース(DB)154と、経路データベース(DB)155と、送信情報データベース(DB)156と、を有する。記憶部150は、例えば、HDD等の記憶装置によって構成される。
【0027】
料金情報データベース151は、有料道路Rの通行料金が予め登録されるデータベースである。より詳細には、料金情報データベース151には、ゾーンAごとに、各ゾーンAの開始位置から終了位置までの通行料金、または、各ゾーンAの開始位置から当該ゾーンA内に設けられた出口装置12aまでの通行料金が登録されている。また、ゾーンA内に入口装置11aが設けられている場合、料金情報データベース151には、ゾーンA内の入口装置11aから当該ゾーンA内に設けられた出口装置12aまでの通行料金も登録される。なお、料金情報データベース151には、車種ごとに異なる通行料金が登録されても良い。料金情報データベース151に登録された通行料金は、割引が適用される前の標準の通行料金である。
【0028】
割引情報データベース152は、有料道路Rの通行料金に適用される割引に関する情報が登録されるデータベースである。本実施形態における割引は、標準の通行料金よりも安い金額を請求(課金)することであり、割引の手法は限定されるものではない。例えば、標準の通行料金に対して割引率を乗算した金額を値引きすることや、標準の通行料金に対して所定の金額を値引きすること、標準の通行料金よりも安い固定料金を適用すること、を割引の手法として採用可能である。
【0029】
図3は、本実施形態にかかる割引情報データベース152のデータ構成の一例を示す図である。
図3に示すように、割引情報データベース152には、割引識別情報と、迂回対象ゾーンと、迂回確定ゾーンと、分岐ゾーンと、割引度合と、開始時刻と、終了時刻とが対応付けられて登録される。本実施形態においては、各割引識別情報に対応付けられた迂回対象ゾーンと、迂回確定ゾーンと、分岐ゾーンと、割引度合と、開始時刻と、終了時刻とを総称して、割引情報という。また、割引情報データベース152が有する各情報は、後述の料金算出部107によって登録される。
【0030】
割引識別情報は、割引情報を識別可能な情報であり、例えばコードや、番号等である。
【0031】
迂回対象ゾーンは、混雑または渋滞しているため、迂回すべきゾーンAである。本実施形態においては、“ゾーンA4”が迂回対象ゾーンとして登録される。いずれのゾーンAが迂回対象ゾーンとなるかは、後述の迂回経路決定部103によって決定される。
【0032】
迂回確定ゾーンは、迂回対象ゾーンを避けるために、車両2aが走行するゾーンAである。本実施形態においては、“ゾーンA2”が迂回確定ゾーンとして登録される。車両2aが迂回確定ゾーンに進入すると、当該車両2aが迂回対象ゾーンを通らないことが確定する。また、迂回確定ゾーンは、迂回経路を構成するゾーンAの1つである。いずれのゾーンAが迂回確定ゾーンとなるかは、後述の迂回経路決定部103によって決定される。
【0033】
分岐ゾーンは、迂回対象ゾーンおよび迂回確定ゾーンよりも上流に位置し、迂回対象ゾーンを含む経路(迂回対象経路)と迂回経路との分岐点を含むゾーンA、または分岐点の上流に位置するゾーンAである。いずれのゾーンAが分岐ゾーンとなるかは、後述の迂回経路決定部103によって決定される。本実施形態においては、分岐点を含む“ゾーンA1”と、“ゾーンA1”の上流側に位置する“ゾーンA0−1”および“ゾーンA0−2”が分岐ゾーンとなる。上流側の分岐ゾーンの範囲は、特に限定されるものではない。例えば、上流側に位置する他の分岐点を含む他のゾーンAに達するまでを分岐ゾーンとしても良い。なお、分岐ゾーンの範囲はこれに限定されるものではなく、迂回対象経路と迂回経路との分岐点を含むゾーンAのみを分岐ゾーンとしても良い。
【0034】
割引度合は、割引種別と数値とを含み、標準の通行料金に対してどの程度割引されるかを表す。割引種別は、複数種類あり、通行料金に割引を適用するために用いられる手法の種別である。例えば、標準の通行料金に対して割引率を乗算した金額を値引きする場合は“割引率”、標準の通行料金に対して所定の金額を値引きする場合は“値引額”、標準の通行料金よりも安い固定料金を適用する場合は“指値”、が割引種別として登録される。本実施形態においては割引種別として“割引率”が登録される。割引種別の内容は一例であり、これに限定されるものではない。また、同じ割引種別が全ての割引情報で使用される場合は、割引情報データベース152は当該項目を含まなくても良い。
【0035】
数値は、割引種別に登録された割引の手法が適用される際に用いられる数値である。例えば、割引種別が“割引率”である場合は、標準の通行料金に対して乗算される割引率(例えば“50%”等)の値が数値として登録される。また、割引種別が“値引額”である場合は、標準の通行料金に対して減算される金額(例えば“500円”等)が、数値として登録される。また、割引種別が“指値”である場合は、標準の通行料金よりも安い固定料金の金額が登録される。割引度合の内容は一例であり、これに限定されるものではない。
【0036】
開始時刻は、当該割引情報の適用が開始される時刻である。また、終了時刻は、当該割引情報の適用が終了する時刻である。なお、本実施形態においては、割引情報の適用は各ゾーンAの混雑度に応じて開始または終了するため、割引情報データベース152は、開始時刻および終了時刻を保持しない構成を採用しても良い。
【0037】
図3に示す割引情報データベース152のデータ構成は一例であり、これに限定されるものではない。また、割引情報データベース152に登録される情報は、標準の通行料金に対する課金額の変動に関する情報であるため、変動課金情報ともいう。
【0038】
図2に戻り、課金情報データベース153は、有料道路Rを走行する車両2aに対して課金される通行料金に関する情報が登録されるデータベースである。
【0039】
図4は、本実施形態にかかる課金情報データベース153のデータ構成の一例を示す図である。
図4に示すように、課金情報データベース153には、車両識別情報と、最新通過装置と、更新時刻と、確定料金と、走行ゾーンと、ゾーンAごとの加算予定料金と、対象割引情報と、迂回確定フラグと、が対応付けられて登録される。
【0040】
最新通過装置は、車両2aと最後に通信を行った路車間通信装置10または入口装置11aである。
【0041】
更新時刻は、最新通過装置として登録された路車間通信装置10または入口装置11aと車両2aとが通信した時刻である。
【0042】
確定料金は、車両2aが通過済みの走行経路における通行料金の合計値である。
【0043】
走行ゾーンは、車両2aが走行しているゾーンAである。また、走行ゾーンは、最新通過装置として登録された路車間通信装置10または入口装置11aが設置されているゾーンAともいう。また、車両2aが有料道路Rから退出した場合には、走行ゾーンには“退出”と登録される。
【0044】
ゾーンAごとの加算予定料金は、走行ゾーンとして登録されたゾーンAと接続する他のゾーンAへ車両2aが進入した場合に、車両2aに対して課金される予定の通行料金である。また、走行ゾーンに出口装置12aが設けられている場合、ゾーンAごとの加算予定料金として、走行ゾーンに設けられた出口装置12aから車両2aが退出した場合に課金される予定の通行料金も登録される。ゾーンAごとの加算予定料金としては、割引が適用される前の標準の通行料金が登録される。
【0045】
対象割引情報は、車両識別情報で特定される車両2aに対して適用される可能性がある割引情報を識別する情報である。
【0046】
迂回確定フラグは、車両識別情報で特定される車両2aが、迂回経路を走行したことが確定したか否かを示すフラグである。迂回確定フラグの詳細については、後述の判断部106で説明する。
【0047】
図2に戻り、ゾーンデータベース154は、有料道路Rに含まれるゾーンAに関する情報が登録されたデータベースである。
【0048】
図5は、本実施形態にかかるゾーンデータベース154のデータ構成の一例を示す図である。
図5に示すように、ゾーンデータベース154には、ゾーンIDと、ゾーン入口1〜nと、ゾーン出口1〜nと、割引識別情報1〜nと、ゾーン種別1〜nと、混雑度とが対応付けられて登録される。
【0049】
ゾーンIDは、各ゾーンAを識別する識別情報の一例である。
【0050】
ゾーン入口1〜nは、車両2aが各ゾーンAに進入する際に通信する路車間通信装置10または入口装置11aである。より詳細には、ゾーン入口1〜nは、各ゾーンAの開始位置を示す路車間通信装置10、または各ゾーンAに含まれる入口装置11aである。1つのゾーンAが複数の進入経路を有する場合があるため、ゾーン入口は複数登録可能である。
【0051】
ゾーン出口1〜nは、車両2aが各ゾーンAから退出する際に通信する路車間通信装置10または出口装置12aである。より詳細には、ゾーン出口1〜nは、各ゾーンAと接続する次のゾーンAの開始位置を示す路車間通信装置10、または各ゾーンAに含まれる出口装置12aである。1つのゾーンAが複数の退出経路を有する場合があるため、ゾーン出口は複数登録可能である。
【0052】
割引識別情報1〜nは割引情報を識別する情報である。また、ゾーン種別1〜nは、割引識別情報1〜nごとに、各ゾーンAが、後述の迂回経路決定部103によって分岐ゾーン、迂回確定ゾーン、迂回対象ゾーン、通常ゾーンのいずれに該当するかを示す種別である。1つのゾーンAであっても割引識別情報が異なれば、該当のゾーン種別が異なる場合がある。
図5では、分岐ゾーン、迂回確定ゾーン、迂回対象ゾーンのいずれでもないゾーンAは、通常ゾーンとしているが、ゾーン種別なしとしても良い。
【0053】
混雑度は、有料道路Rの各ゾーンAがどの程度混雑しているかを示す情報である。本実施形態においては、混雑度は“スムーズ”、“混雑”、“渋滞”の3段階の離散値で示されるが、これに限定されるものではない。例えば、混雑度は連続値で示されても良い。
【0054】
本実施形態においては、“渋滞”は、後述の動的課金処理で用いられる第1の閾値の一例である。また、“混雑”は、後述の動的課金処理で用いられる第2の閾値の一例である。第1の閾値および第2の閾値の詳細については後述する。
【0055】
ゾーンデータベース154が有する情報のうち、ゾーンIDと、ゾーン入口1〜nと、ゾーン出口1〜nとは、予め登録されているものとする。また、割引識別情報1〜nと、ゾーン種別1〜nとは、後述の迂回経路決定部103によって、ゾーンIDに対応付けられて登録される。混雑度は、後述の混雑度算出部102によって登録される。
【0056】
図2に戻り、経路データベース155は、有料道路R内のゾーンAの組み合わせである経路に関する情報が登録されたデータベースである。
【0057】
図6は、本実施形態にかかる経路データベース155のデータ構成の一例を示す図である。
図6に示すように、経路データベース155には、経路を識別する経路IDと、各経路に含まれるゾーンAとその順番が定義された構成ゾーンと、経路種別とが、対応付けられて登録される。また、経路データベース155が有する各情報は、後述の迂回経路決定部103によって生成される。
【0058】
経路種別は、各経路が、迂回対象経路であるか、迂回経路であるかを示す種別である。迂回対象経路は、迂回対象ゾーンを含む経路であり、渋滞経路ともいう。
【0059】
図2に戻り、送信情報データベース156は、割引情報データベース152に登録された割引情報の送信先に関する情報が登録されるデータベースである。
【0060】
図7は、本実施形態にかかる送信情報データベース156のデータ構成の一例を示す図である。
図7に示すように、送信情報データベース156には、送信先装置と、割引識別情報と、ゾーン種別とが対応付けられて登録される。
【0061】
送信先装置は、各割引情報が送信される路車間通信装置10または入口装置11aである。また、ゾーン種別は、送信先装置(路車間通信装置10または入口装置11a)が設置されたゾーンAの種別である。送信情報データベース156が有する各情報は、後述の料金算出部107により登録される。
【0062】
図2に戻り、取得部101は、交通管制装置200から、一定時間ごとに、有料道路Rの混雑状況を示す混雑情報を取得する。一定時間は、例えば5分間であるが、これに限定されるものではない。また、交通管制装置200が算出した混雑情報は、迂回経路の決定以外の目的でも使用されるため、ゾーンAとは異なる単位で混雑状況が示されている場合がある。
【0063】
混雑度算出部102は、取得部101が取得した混雑情報から、公知の手法を用いて有料道路R内のゾーンAごとの混雑度を算出する。
【0064】
迂回経路決定部103は、混雑度が第1の閾値以上であるゾーンAを迂回可能な1または複数の迂回経路を決定する。より詳細には、本実施形態の迂回経路決定部103は、ゾーンデータベース154に登録されたゾーンAごとの混雑度が“渋滞”であるゾーンA4を、迂回対象ゾーンとする。迂回対象ゾーンは、本実施形態における混雑区間の一例である。本実施形態においては、第1の閾値を最も高い混雑度である“渋滞”にしているが、第1の閾値はこれに限定されるものではない。例えば、迂回経路決定部103は、混雑度が“混雑”以上のゾーンAを迂回対象ゾーンとする構成を採用しても良い。
【0065】
また、迂回経路決定部103は、迂回対象ゾーンを迂回可能な、複数のゾーンAの組み合わせである迂回経路を決定する。迂回対象ゾーンを迂回可能であるとは、車両2aが迂回対象ゾーン(本実施形態ではゾーンA4)を経由(通過)せずに、迂回対象ゾーンよりも下流に位置するゾーンAで、迂回対象ゾーンを経由する経路と合流しうるということである。本実施形態においては、迂回経路決定部103は、ゾーンA4の手前に位置するゾーンA1から、ゾーンA2を経由してゾーンA3へ到達する経路を、迂回経路として決定する。
【0066】
迂回経路を決定する手法としては公知の手法を採用することができる。例えば、迂回経路決定部103は、各ゾーンAを有向グラフのノードとして、閉路判定等の公知のアルゴリズムを適用することによって、迂回対象ゾーンを経由しない経路を生成する。迂回経路を決定する手法はこれに限定されるものではなく、他の手法を採用しても良い。
【0067】
また、迂回経路決定部103は、車両2aが迂回経路を走行することが確定するゾーンAを迂回確定ゾーンとする。本実施形態においては、ゾーンA2が迂回確定ゾーンとなる。迂回経路決定部103は、各ゾーンAに関する情報を、ゾーンデータベース154に登録する。また、迂回経路決定部103は、迂回対象ゾーンおよび迂回確定ゾーンよりも上流に位置し、迂回対象経路と迂回経路との分岐点を含むゾーンA、または分岐点の上流に位置するゾーンAを、分岐ゾーンとする。
【0068】
また、迂回経路決定部103は、決定した迂回経路を、経路データベース155に登録する。また、迂回経路決定部103は、ゾーンA4を経由してゾーンA1からゾーンA3へ到達する経路を、迂回対象経路として経路データベース155に登録する。
【0069】
料金算出部107は、迂回経路を走行した車両2aに適用される割引情報を生成し、割引情報データベース152に登録する。より詳細には、料金算出部107は、経路データベース155に登録された迂回経路と、ゾーンデータベース154に登録された当該迂回経路を構成するゾーンAの情報を取得する。そして、料金算出部107は、迂回経路を走行する車両2aに適用する割引度合を決定する。
【0070】
本実施形態においては、割引度合の決定の手法は特に限定されるものではないが、例えば、料金算出部107は、割引度合は、迂回経路が迂回対象経路よりも距離が長いほど、割引される金額が大きくなるように決定する。また、混雑度が連続値で示される場合は、料金算出部107は、迂回対象ゾーンの混雑度が高いほど、割引される金額が大きくなるように、割引度合を決定しても良い。
【0071】
また、料金算出部107は、割引情報の適用が開始される開始時刻を決定し、割引情報データベース152に登録する。開始時刻は、例えば、料金算出部107が当該割引情報を生成した時刻とするが、これに限定されるものではない。例えば、料金算出部107は、取得部101が第1の閾値(“渋滞”)以上の混雑度を取得してから所定の時間が経過した後の時刻を、開始時刻としても良い。本実施形態においては、1つの割引情報のみが登録されているが、有料道路R内で複数のゾーンAが渋滞している場合等は、複数の割引情報が登録されるものとする。
【0072】
また、料金算出部107は、当該割引情報の適用が開始された後、迂回対象ゾーンの混雑度が、第1の閾値(“渋滞”)よりも低い第2の閾値以下になると、当該割引情報の適用を終了する。本実施形態においては、第2の閾値は“混雑”とするが、これに限定されるものではない。例えば、第2の閾値は“スムーズ”であっても良い。料金算出部107は、迂回対象ゾーンの混雑度が第2の閾値以下になった時刻を、終了時刻として割引情報データベース152に登録する。
【0073】
また、料金算出部107は、割引情報データベース152に分岐ゾーンとして登録されたゾーンAのゾーン入口としてゾーンデータベース154に登録されている路車間通信装置10または入口装置11aを、割引情報の送信先装置として、送信情報データベース156に登録する。この際、料金算出部107は、送信先装置と、対象となる割引情報を特定する割引識別情報と、ゾーン種別とを対応付けて登録する。
【0074】
また、料金算出部107は、課金情報データベース153の車両2aの走行ゾーンが、後述の受信部105によって更新される毎に、料金情報データベース151に登録された通行料金から、車両2aの確定料金と、ゾーンAごとの加算予定料金とを算出し、課金情報データベース153に登録する。
【0075】
また、料金算出部107は、車両2aが、後述の判断部106によって、迂回経路を通ったと判断された場合に、当該車両2aの通行料金として、割引した通行料金を算出する。本実施形態においては、判断部106によって車両2aが迂回経路を通ったと判断された場合には、課金情報データベース153の迂回確定フラグが“True”となる。このため、料金算出部107は、迂回確定フラグが“True”の場合に、当該車両2aの対象割引情報として登録された割引識別情報に対応付けられた割引度合を用いて、通行料金の割引をする。換言すれば、本実施形態の料金算出部107は、車両2aの走行経路と、車両2aに対して有効な割引情報とに基づいて、車両2aに対して動的に通行料金を課金する。
【0076】
料金算出部107は、迂回経路に含まれるゾーンAの走行料金にのみ、当該割引を適用しても良いし、車両2aが走行した全てのゾーンAの走行料金に対して当該割引を適用するものとしても良い。
【0077】
送信部104は、迂回経路情報を、送信先装置として送信情報データベース156に登録された路車間通信装置10または入口装置11aに送信する。より詳細には、送信部104は、路車間通信装置10に対しては、交通管制装置200を介して、迂回経路情報を送信する。迂回経路情報は、迂回経路を示す情報である。
【0078】
図8は、本実施形態にかかる迂回経路情報700のデータ構成の一例を示す図である。
図8に示すように、迂回経路情報700は、割引識別情報と、迂回対象ゾーンと、迂回確定ゾーンと、分岐ゾーンと、割引度合とが対応付けられた情報である。送信部104は、割引情報データベース152からこれらの情報を取得し、迂回経路情報700として、路車間通信装置10または入口装置11aに送信する。なお、
図8に示す迂回経路情報700のデータ構成は一例であり、これに限定されるものではない。
【0079】
迂回経路情報700を受信した路車間通信装置10または入口装置11aは、不図示の記憶部に迂回経路情報700を記憶する。そして、路車間通信装置10または入口装置11aは、路車間通信装置10または入口装置11aの通信範囲内を走行する車両2aに搭載された車載器に、迂回経路情報700を送信する。
【0080】
また、送信部104は、料金算出部107が算出した通行料金を、車両2aの車両識別情報と対応付けて、出口装置12aに送信する。より詳細には、送信部104は、課金情報データベース153に車両2aの走行ゾーンとして登録されたゾーンAに設置された出口装置12aに、課金情報データベース153に登録された車両2aの車両識別情報に対応付けられた確定料金と、当該出口装置12aが設けられたゾーンAの加算予定料金とを送信する。
【0081】
また、送信部104は、割引情報データベース152に設定された割引情報の適用が終了した場合、当該割引情報の割引識別情報に対応付けられた迂回経路情報700を送信した路車間通信装置10に対して、交通管制装置200を介して、当該迂回経路情報700の削除命令を送信する。また、送信部104は、適用が終了した割引情報の割引識別情報に対応付けられた迂回経路情報700を送信した入口装置11aに対して、当該迂回経路情報700の削除命令を送信する。本実施形態においては、送信部104は、割引情報データベース152に終了時刻が設定された場合に、割引情報の適用が終了したと判断する。
【0082】
図2に戻り、受信部105は、路車間通信装置10が車両2aの車載器から受信した車両2aの車両識別情報と、当該車両2aの車両識別情報と対応付けられた路車間通信装置10の識別情報とを、交通管制装置200を介して、路車間通信装置10から受信する。路車間通信装置10の識別情報は、路車間通信装置10を特定するIDである。また、受信部105は、入口装置11aが車両2aの車載器から受信した車両2aの車両識別情報と、当該車両2aの車両識別情報と対応付けられた入口装置11aの識別情報と、を入口装置11aから受信する。入口装置11aの識別情報は、入口装置11aを特定するIDである。
【0083】
受信部105は、課金情報データベース153の走行ゾーンに、当該車両2aの車両識別情報と対応付けて、識別情報で特定される路車間通信装置10または入口装置11aが設置されたゾーンAを走行ゾーンとして登録する。また、受信部105は、課金情報データベース153の最新通過装置に、受信した識別情報で特定される路車間通信装置10または入口装置11aを登録する。この際、受信部105は、課金情報データベース153の更新時刻に、現在時刻を設定する。
【0084】
また、受信部105は、出口装置12aから、出口装置12aが車両2aの車載器から受信した車両2aの車両識別情報と、当該車両2aの車両識別情報と対応付けられた出口装置12aの識別情報とを受信する。出口装置12aの識別情報は、出口装置12aを特定するIDである。これらの情報を受信した場合、受信部105は、課金情報データベース153の最新通過装置に、受信した識別情報で特定される出口装置12aを登録し、走行ゾーンに“退出”と登録し、更新時刻に現在時刻を設定する。
【0085】
判断部106は、受信部105がゾーンAごとに受信した車両2aの車両識別情報と、路車間通信装置10または入口装置11aの識別情報と、に基づいて、車両2aがいずれかの迂回経路を通ったか否かを判断する。
【0086】
より詳細には、判断部106は、受信部105が更新した課金情報データベース153を参照し、車両2aの走行ゾーンが、割引情報データベース152に登録されたいずれかの終了していない割引識別情報に対応付けられた分岐ゾーンと一致する場合に、当該割引識別情報を、対象割引情報として登録する。また、対象割引情報の登録時は、車両2aが実際に迂回経路を走行するか否かは確定していないため、判断部106は、迂回確定フラグを“False”とする。
【0087】
そして、判断部106は、受信部105が更新した課金情報データベース153の走行ゾーンが、対象割引情報として登録された割引識別情報に対応付けられた迂回確定ゾーンと一致する場合に、車両2aが迂回経路を通ったと判断する。この場合、判断部106は、課金情報データベース153の迂回確定フラグを“True”とする。
【0088】
次に、以上のように構成された本実施形態の情報処理装置100で実行される動的課金処理について説明する。
図9は、本実施形態にかかる動的課金処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0089】
まず、取得部101は、交通管制装置200から、有料道路Rの混雑情報を取得する(S1)。そして、混雑度算出部102は、取得された混雑情報から、ゾーンAごとの混雑度を算出する(S2)。混雑度算出部102は、算出した混雑度をゾーンデータベース154に登録する。
【0090】
次に、迂回経路決定部103は、ゾーンデータベース154に登録されたゾーンAごとの混雑度が、“渋滞”のゾーンAがあるか否かを判断する(S3)。
【0091】
混雑度が“渋滞”のゾーンAがない場合(S3“No”)、迂回経路の設定および割引の適用の処理は実行されないため、S1とS2の処理が繰り返される。
【0092】
混雑度が“渋滞”のゾーンAがある場合(S3“Yes”)、迂回経路決定部103は、混雑度が“渋滞”のゾーンAを、迂回対象ゾーンとする。迂回経路決定部103は、迂回対象ゾーンを迂回可能な、迂回経路を決定する(S4)。迂回経路決定部103は、決定した迂回経路と、迂回対象ゾーンを含む迂回対象経路とを、経路データベース155に登録する。また、迂回経路決定部103は、迂回確定ゾーンと、分岐ゾーンとを決定し、ゾーンデータベース154に登録する。
【0093】
次に、料金算出部107は、迂回経路決定部103によって決定された迂回経路に適用される割引情報を生成する(S5)。例えば、料金算出部107は、迂回経路が迂回対象経路よりも距離が長いほど、割引される金額が大きくなるように割引度合を決定する。また、料金算出部107は、例えば、割引情報を生成した時刻を割引の開始時刻とする。料金算出部107は、迂回対象ゾーンと、迂回確定ゾーンと、分岐ゾーンと、割引度合と、開始時刻とを、割引識別情報に対応付けて、割引情報データベース152に登録する。
【0094】
また、料金算出部107は、割引情報データベース152に分岐ゾーンとして登録されたゾーンAのゾーン入口としてゾーンデータベース154に登録されている路車間通信装置10または入口装置11aを、割引情報の送信先装置として、送信情報データベース156に登録する。
【0095】
そして、送信部104は、送信情報データベース156から、ゾーン種別が分岐ゾーンで、かつ、終了していない割引情報に対応付けられた送信先装置を特定する。送信部104は、特定した送信先装置である路車間通信装置10または入口装置11aに、迂回経路情報700を送信する(S6)。本実施形態においては、送信部104は、ゾーンA1に設置された路車間通信装置10aに、交通管制装置200を介して迂回経路情報700を送信する。また、送信部104は、ゾーンA0−1に設置された入口装置11aに、迂回経路情報700を送信する。
【0096】
ここで、
図1に示す例では、迂回経路情報700を受信した路車間通信装置10aは、ゾーンA1に進入した車両2aの車載器に、迂回経路情報700を送信する。車両2aに搭載された車載器は、路車間通信装置10aから受信した迂回経路情報700に基づいて、迂回確定ゾーンを走行すると割引が適用されることを表示部に表示する。これにより、車載器は、車両2aの運転者が迂回経路を走行するように誘導することができる。また、車載器は、迂回経路情報700の内容を音声で出力することによって、迂回確定ゾーンを走行すると割引が適用されることを運転者に知らせても良い。
【0097】
そして、迂回経路を走行する車両2aに対する通行料金の割引処理が開始される(S7)。通行料金の割引処理の流れの詳細については後述する。
【0098】
また、取得部101は、交通管制装置200から、有料道路Rの混雑情報を再度取得する(S8)。混雑度算出部102は、取得された混雑情報から、ゾーンAごとの混雑度を算出する(S9)。混雑度算出部102は、算出した混雑度で、ゾーンデータベース154の情報を更新する。
【0099】
料金算出部107は、ゾーンデータベース154を参照し、迂回対象ゾーンの混雑度が“混雑”以下になったか否かを判断する(S10)。迂回対象ゾーンの混雑度が“混雑”以下にならない場合(S10“No”)、S7〜S10の処理が繰り返される。
【0100】
迂回対象ゾーンの混雑度が第2の閾値(“混雑”)以下になった場合(S10“Yes”)、料金算出部107は、迂回対象ゾーンの混雑度が第2の閾値(“混雑”)以下になった時刻を、終了時刻として割引情報データベース152に登録する。
【0101】
この場合、送信部104は、当該割引情報の割引識別情報に対応付けられた迂回経路情報700を送信した路車間通信装置10または入口装置11aに対して、当該迂回経路情報700の削除命令を送信する(S11)。本実施形態においては、送信部104は、路車間通信装置10aに、交通管制装置200を介して削除命令を送信する。また、送信部104は、入口装置11aに、削除命令を送信する。これにより、路車間通信装置10または入口装置11aから、車両2aに対する迂回経路情報700の送信が終了する。ここで、当フローチャートの処理は終了する。
【0102】
次に、本実施形態の情報処理装置100で実行される通行料金の割引処理について説明する。
図10は、本実施形態にかかる通行料金の割引処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0103】
受信部105は、交通管制装置200を介して、路車間通信装置10から、路車間通信装置10が受信した車両識別情報と、路車間通信装置10の識別情報とを受信する。また、受信部105は、入口装置11aから、入口装置11aが受信した車両識別情報と入口装置11aの識別情報とを受信する。受信部105は、受信した情報に基づいて、課金情報データベース153の走行ゾーンおよび最新通過装置を登録する。判断部106は、課金情報データベース153に登録された車両2aの走行ゾーンから、車両2aが分岐ゾーンを走行しているか否かを判断する(S101)。
【0104】
車両2aの走行ゾーンが、割引情報データベース152に登録されたいずれかの終了していない割引識別情報に対応付けられた分岐ゾーンと一致する場合に、判断部106は、車両2aが分岐ゾーンを走行していると判断する(S101“Yes”)。この場合、判断部106は、課金情報データベース153に、当該車両2aが対象となる割引識別情報を登録する(S102)。
【0105】
判断部106が、車両2aが分岐ゾーンを走行していないと判断した場合(S101“No”)、S101の処理が繰り返される。
【0106】
次に、判断部106は、車両2aが迂回確定ゾーンを走行したか否かを判断する(S103)。より詳細には、判断部106は、課金情報データベース153の走行ゾーンが、対象割引情報として登録された割引識別情報に対応付けられた迂回確定ゾーンと一致する場合に、車両2aが迂回経路を通ったと判断する(S103“Yes”)。判断部106が車両2aが迂回確定ゾーンを走行したと判断しない場合(S103“No”)、S103の処理が繰り返される。
【0107】
車両2aが迂回経路を通ったと判断された場合(S103“Yes”)、判断部106は、課金情報データベース153の迂回確定フラグを“True”とする(S104)。
【0108】
料金算出部107は、課金情報データベース153において車両2aの車両識別情報に対応付けられた割引識別情報の割引を適用して、車両2aの支払予定の通行料金(確定料金と、加算予定料金)を更新する(S105)。また、料金算出部107は、車両2aの最新の走行ゾーンに応じて、ゾーンAごとの加算予定料金を算出する。
【0109】
送信部104は、料金算出部107が算出した車両2aの通行料金(確定料金と、加算予定料金)を、車両2aの車両識別情報と対応付けて、出口装置12aに送信する(S106)。
【0110】
受信部105は、出口装置12aから車両2aの車両識別情報を受信した場合(S107“Yes”)、課金情報データベース153の最新通過装置に、受信した識別情報で特定される出口装置12aを登録し、車両2aの退出を登録する(S108)。また、受信部105は、出口装置12aから車両2aの車両識別情報を受信しない場合は(S107“No”)、S107の処理を繰り返して待機する。ここで、通行料金の割引処理は終了し、
図9のフローチャートの処理に戻る。
【0111】
また、
図10のフローチャートでは、判断部106が車両2aが迂回確定ゾーンを走行したと判断しない場合(S103“No”)、S103の処理が繰り返されるものとしたが、判断部106は、車両2aが迂回対象ゾーンを走行したか否かを判断し、迂回対象ゾーンを走行した場合には割引の適用をしないものとして、通行料金の割引処理を終了しても良い。
【0112】
このように、本実施形態の情報処理装置100は、有料道路R内に、混雑度が第1の閾値(“渋滞”)以上のゾーンAがある場合に、当該ゾーンAを迂回可能な迂回経路を決定する。また、本実施形態の情報処理装置100は、当該迂回経路を示す迂回経路情報700を路車間通信装置10または入口装置11aに送信し、当該迂回経路を走行した車両2aに対して通行料金の割引を適用する。このため、本実施形態の情報処理装置100によれば、有料道路R内の混雑しているゾーンAから、他のゾーンAへ交通量を分散させることができる。
【0113】
また、本実施形態の情報処理装置100は、迂回経路情報700を、分岐ゾーンに設置された路車間通信装置10または入口装置11aに送信する。このため、本実施形態の情報処理装置100によれば、分岐ゾーンに進入した車両2aの運転者に迂回経路情報700を知らせることができる。
【0114】
また、本実施形態の情報処理装置100は、迂回対象ゾーンの混雑度が第2の閾値(“混雑”)以下になると、迂回経路情報700を送信した路車間通信装置10または入口装置11aに対して、当該迂回経路情報700の削除命令を送信する。路車間通信装置10または入口装置11aにおいて迂回経路情報700が削除されると、路車間通信装置10または入口装置11aによる車両2aの車載器への迂回経路情報700の送信が終了する。このため、本実施形態の情報処理装置100によれば、有料道路Rの混雑状況に応じて適切なタイミングで迂回経路情報700の報知を終了させることができる。
【0115】
なお、本実施形態においては、経路情報や課金情報等は、記憶部150の各データベースに格納され、料金算出部107や送信部104等の各機能部が各データベースを参照する構成を採用したが、各機能部間でデータを互いに送受信する構成を採用しても良い。
【0116】
(変形例1)
実施形態1では、情報処理装置100は、迂回対象ゾーンの混雑度が第2の閾値以下になると割引を終了していたが、終了のタイミングはこれに限定されるものではない。
【0117】
本変形例では、送信部104は、迂回対象ゾーンの混雑度が第2の閾値以下になった後、さらに、所定の時間が経過した場合に、迂回経路を示す情報を送信した路車間通信装置10または入口装置11aに対して、迂回経路情報700の削除命令を送信する。本変形例の情報処理装置100によれば、このような構成を備えることで、渋滞が断続的に発生するような場合に、短時間に割引の終了と開始を繰り返すことを抑制することができる。
【0118】
また、有料道路Rの管理者等が終了時刻を入力することによって、割引の適用を終了する構成を採用しても良い。また、取得部101が、渋滞が解消すると予測される時刻を交通管制装置200から取得可能な場合は、当該時刻を割引の終了時刻として予め登録する構成を採用しても良い。
【0119】
(変形例2)
実施形態1では、情報処理装置100の送信部104は、出口装置12aに車両2aの確定料金と、加算予定料金と、車両2aの車両識別情報とを送信していたが、さらに、交通管制装置200を介して路車間通信装置10にもこれらの情報を送信する構成を採用しても良い。例えば、料金算出部107は、車両2aの走行ゾーンの先に位置するゾーンAに設置された路車間通信装置10に、料金算出部107が算出した確定料金等を送信する。当該構成を採用する場合、路車間通信装置10は、車両2aの車載器に対して、車両2aが各ゾーンAに進入した時点における確定料金等を送信する。この場合、車両2aの車載器は、各ゾーンAに進入した時点における確定料金等を表示部に表示して、運転者に知らせることができる。
【0120】
(変形例3)
実施形態1では、情報処理装置100の送信部104および受信部105は、交通管制装置200を介して路車間通信装置10と情報の送受信を行うものとしたが、情報処理装置100と路車間通信装置10とが情報の送受信を直接行う構成を採用しても良い。
【0121】
(変形例4)
実施形態1では、判断部106は、車両2aが、割引情報データベース152に登録されたいずれかの終了していない割引識別情報に対応付けられた分岐ゾーンと一致するゾーンAを走行した場合に、当該割引識別情報を車両2aの対象割引情報として登録するとしたが、車両2aに対する対象割引情報の適用の条件はこれに限定されるものではない。例えば、路車間通信装置10または入口装置11aは、迂回経路情報700を車両2aの車載器に対して送信した際に、当該迂回経路情報700を受信した車両2aの車両識別情報を取得し、情報処理装置100に送信しても良い。当該構成を採用する場合、判断部106は、迂回経路情報700に含まれる割引識別情報を、当該迂回経路情報700を受信した車両2aの車両識別情報に対応付けて、対象割引情報として課金情報データベース153に登録する。
【0122】
あるいは、車両2aが迂回経路情報700を受信したか否かに関わらず、迂回対象ゾーンの混雑度が第2の閾値以下になって割引情報データベース152に終了時刻が登録された場合に、料金算出部107が通行料金の割引の適用を終了する構成を採用しても良い。
【0123】
(実施形態2)
実施形態1では、1つの迂回対象経路に対して迂回経路が1つである場合について説明したが、迂回経路が複数設定される場合もある。
【0124】
図11は、本実施形態にかかるETCシステムS2および交通管制システムS10の全体構成の一例を示す図である。本実施形態の交通管制システムS10は、交通管制装置200と、路車間通信装置10a〜10eとを備える。交通管制装置200および路車間通信装置10は、実施形態1と同様の機能を備える。
【0125】
また、本実施形態の情報処理装置2100は、
図2で説明した実施形態1と同様に、取得部101と、混雑度算出部102と、迂回経路決定部103と、送信部104と、受信部105と、判断部106と、料金算出部107と、記憶部150とを備える。取得部101と、混雑度算出部102と、送信部104と、受信部105と、判断部106と、記憶部150とは、実施形態1と同様の機能を備える。
【0126】
図11に示す例では、ゾーンA1からゾーンA3へ向かう経路が、“ゾーンA1、ゾーンA2、ゾーンA3”を含む経路と、“ゾーンA1、ゾーンA4、ゾーンA3”を含む経路と、“ゾーンA1、ゾーンA5、ゾーンA3”を含む経路の3通り存在する。このため、いずれかの経路が混雑または渋滞した場合に、他の経路が迂回経路となる。
【0127】
本実施形態においては、ゾーンA4が、混雑度が“渋滞”である迂回対象ゾーンとする。このような場合、迂回経路決定部103は、“ゾーンA1、ゾーンA2、ゾーンA3”を含む経路と、“ゾーンA1、ゾーンA5、ゾーンA3”を含む2つの経路を、迂回対象ゾーンを迂回可能な迂回経路として決定する。
図11の経路の構成は一例であり、これに限定されるものではない。また、迂回経路の数は、2つに限定されるものではなく、3つ以上であっても良い。
【0128】
本実施形態の迂回経路決定部103は、実施形態1の機能を備えた上で、混雑度算出部102が算出したゾーンAごとの混雑度から、複数の迂回経路ごとの混雑度を決定する。迂回経路決定部103は、各迂回経路を構成するゾーンAの混雑度のうち、最も高いものを迂回経路ごとの混雑度としても良いし、他の手法を用いて経路の混雑度を決定しても良い。
【0129】
また、本実施形態の料金算出部107は、実施形態1の機能を備えた上で、各迂回経路ごとに割引情報を生成し、割引情報データベース152に登録する。本実施形態の料金算出部107は、各迂回経路の混雑度に応じて、通行料金の割引率を決定する。より詳細には、料金算出部107は、各迂回経路の混雑度が低いほど、割引される金額が高くなるように、割引度合を決定する。このように、割引度合を決定することにより、混雑度のより低い迂回経路に車両2aを誘導することができる。
【0130】
本実施形態における動的課金処理の流れ、および、通行料金の割引処理の流れは、実施形態1と同様である。
【0131】
本実施形態の情報処理装置2100によれば、迂回経路が複数決定された場合、迂回経路の混雑度に応じて、通行料金の割引度合を決定するため、有料道路R内の混雑しているゾーンAから、他のゾーンAへ交通量をさらに分散させることができる。
【0132】
(実施形態3)
実施形態1では、迂回対象ゾーンの混雑度が第2の閾値(“混雑”)以下になった場合に、割引の適用が終了していた。本実施形態では、割引を適用する車両2aの台数の上限値を設定し、当該上限に達した場合に、割引の適用を終了する。
【0133】
本実施形態にかかるETCシステムS1および交通管制システムS10の全体構成は、実施形態1と同様であるものとする。
【0134】
図12は、本実施形態にかかる情報処理装置3100および交通管制装置200の機能の一例を示す図である。本実施形態の交通管制装置200は、実施形態1と同様の機能を備える。本実施形態の情報処理装置3100は、取得部101と、混雑度算出部102と、迂回経路決定部103と、送信部1104と、受信部105と、判断部106と、料金算出部107と、割引対象制御部108と、記憶部1150とを備える。取得部101と、混雑度算出部102と、受信部105と、判断部106と、料金算出部107とは、実施形態1と同様の機能を備える。
【0135】
本実施形態の記憶部1150は、料金情報データベース(DB)151と、割引情報データベース(DB)1152と、課金情報データベース(DB)153と、ゾーンデータベース(DB)154と、経路データベース(DB)155と、送信情報データベース(DB)156と、を有する。料金情報データベース151と、課金情報データベース153と、ゾーンデータベース154と、経路データベース155と、送信情報データベース156とに登録される情報は、実施形態1と同様である。
【0136】
図13は、本実施形態にかかる割引情報データベース1152のデータ構成の一例を示す図である。
図13に示すように、本実施形態の割引情報データベース1152には、割引識別情報と、迂回対象ゾーンと、迂回確定ゾーンと、分岐ゾーンと、割引度合と、開始時刻と、割引適用残数とが対応付けられて登録される。割引識別情報と、迂回対象ゾーンと、迂回確定ゾーンと、分岐ゾーンと、割引度合と、開始時刻とは、実施形態1と同様である。
【0137】
割引適用残数は、当該割引が適用される車両2aの残数である。割引適用残数が“0”となった場合に、後述の送信部1104によって、路車間通信装置10または入口装置11aに対して、当該迂回経路情報700の削除命令が送信される。
【0138】
図12に戻り、割引対象制御部108は、迂回対象ゾーンの混雑度に応じて、通行料金の割引の対象となる車両2aの台数の上限値を決定する。そして、割引対象制御部108は、車両2aの台数の上限値を、割引情報データベース1152に、割引適用残数として登録する。また、割引対象制御部108は、課金情報データベース153を参照し、車両2aの迂回確定フラグが“True”になるごとに、当該迂回確定フラグが対応付けられた割引情報の割引適用残数を、減算する。通行料金の割引の対象となる車両2aの台数の上限値と同数の台数分、迂回確定フラグが“True”となると、割引適用残数は“0”となる。
【0139】
また、本実施形態の迂回経路情報700は、実施形態1の内容に加えて、通行料金の割引の対象となる車両2aの台数の上限値をさらに含む。このため、本実施形態の送信部1104は、実施形態1の機能を備えた上で、通行料金の割引の対象となる車両2aの台数の上限値を含む迂回経路情報700を、路車間通信装置10または入口装置11aに送信する。
【0140】
迂回経路情報700を受信した路車間通信装置10または入口装置11aは、実施形態1と同様に、路車間通信装置10または入口装置11aの通信範囲内を走行する車両2aに搭載された車載器に、迂回経路情報700を送信する。車載器は、通行料金の割引の対象となる車両2aの台数の上限値を表示部に表示する等によって、運転者に知らせても良い。
【0141】
また、本実施形態の送信部1104は、割引情報データベース1152の割引適用残数が“0”となった場合に、当該割引情報の割引識別情報に対応付けられた迂回経路情報700を送信した路車間通信装置10または入口装置11aに対して、当該迂回経路情報700の削除命令を送信する。
【0142】
図14は、本実施形態にかかる動的課金処理の流れの一例を示すフローチャートである。S1の混雑情報の取得から、S5の割引情報の生成までは、
図9で説明した実施形態1の処理と同様である。
【0143】
次に、割引対象制御部108は、通行料金の割引の対象となる車両2aの台数の上限値を決定する(S31)。割引対象制御部108は、車両2aの台数の上限値を、割引情報データベース1152に、割引適用残数として登録する。
【0144】
S6の迂回経路情報700の送信処理は、実施形態1と同様である。また、本実施形態の割引処理(S32)の流れは、後述する。
【0145】
そして、送信部1104は、割引情報データベース1152を参照し、現在適用されている割引情報の割引適用残数が、“0”か否かを判断する(S33)。割引適用残数が“0”でない場合は(S33“No”)、S32の処理に戻る。
【0146】
割引適用残数が“0”の場合(S33“Yes”)、送信部1104は、当該割引情報の割引識別情報に対応付けられた迂回経路情報700を送信した路車間通信装置10または入口装置11aに対して、当該迂回経路情報700の削除命令を送信する(S11)。
【0147】
図15は、本実施形態にかかる通行料金の割引処理の流れの一例を示すフローチャートである。S101の車両2aが分岐ゾーンを走行しているか否かの判断から、S104の迂回確定フラグの変更の処理までは、
図10で説明した実施形態1の処理と同様である。
【0148】
割引対象制御部108は、課金情報データベース153を参照し、車両2aの迂回確定フラグが“True”になるごとに、当該迂回確定フラグが対応付けられた割引情報の割引適用残数を、減算する(S301)。
【0149】
S105の割引を適用した通行料金の更新の処理から、S108の車両2aの退出の登録の処理までは、
図10で説明した実施形態1の処理と同様である。
【0150】
このように、本実施形態の情報処理装置3100は、迂回対象ゾーンの混雑度に応じて、通行料金の割引の対象となる車両2aの台数の上限値を決定し、迂回経路を走行した車両2aの台数が上限値に達した場合、迂回経路情報700を送信した路車間通信装置10または入口装置11aに対して、当該迂回経路情報700の削除命令を送信する。このため、本実施形態の情報処理装置3100によれば、車両2aの台数が上限値に達した場合に迂回経路情報700の報知を終了させることができ、割引を適用する車両2aの台数をより詳細にコントロールすることができる。
【0151】
(変形例5)
通行料金の割引の対象となる車両2aの台数の上限値は、有料道路Rの管理者等によって情報処理装置3100に入力される構成としても良い。
【0152】
(変形例6)
実施形態3の構成に対して、実施形態1または変形例1の構成を組み合わせても良い。例えば、送信部1104は、迂回経路を走行した車両2aの台数が上限値に達するか、または、迂回対象ゾーンの混雑度が第2の閾値以下になった場合に、迂回経路情報700の削除命令を送信する構成を採用しても良い。
【0153】
(実施形態4)
本実施形態では、割引を適用する対象となる車種を制限することにより、特定の車種の車両に対して、迂回経路を通行するよう誘導する。
【0154】
図16は、本実施形態にかかるETCシステムS4および交通管制システムS10の全体構成の一例を示す図である。本実施形態では、車両2bのような大型車のみを、通行料金の割引の適用対象とする。この場合、車両2cのような普通車は、通行料金が割引されない。以下、特に車両2bと車両2cとを区別しない場合には車両2という。
【0155】
本実施形態の交通管制装置200は、実施形態1と同様の機能を備える。本実施形態の情報処理装置4100は、実施形態3と同様に、取得部101と、混雑度算出部102と、迂回経路決定部103と、送信部1104と、受信部105と、判断部106と、料金算出部107と、割引対象制御部108と、記憶部1150とを備える。取得部101と、混雑度算出部102と、迂回経路決定部103と、受信部105と、判断部106と、料金算出部107とは、実施形態1と同様の機能を備える。
【0156】
本実施形態の記憶部1150は、料金情報データベース151と、割引情報データベース2152と、課金情報データベース153と、ゾーンデータベース154と、経路データベース155と、送信情報データベース156と、を有する。料金情報データベース151と、課金情報データベース153と、ゾーンデータベース154と、経路データベース155と、送信情報データベース156とに登録される情報は、実施形態1および3と同様である。
【0157】
図17は、本実施形態にかかる割引情報データベース2152のデータ構成の一例を示す図である。
図17に示すように、本実施形態の割引情報データベース2152には、割引識別情報と、迂回対象ゾーンと、迂回確定ゾーンと、分岐ゾーンと、割引度合と、開始時刻と、終了時刻と、割引対象車種とが対応付けられて登録される。割引識別情報と、迂回対象ゾーンと、迂回確定ゾーンと、分岐ゾーンと、割引度合と、開始時刻と、終了時刻とは、実施形態1および3と同様である。
【0158】
割引対象車種は、当該割引が適用される車種であり、本実施形態における所定の条件の一例である。
【0159】
本実施形態の割引対象制御部108は、迂回対象ゾーンの混雑度に応じて、通行料金の割引の対象となる車種を決定し、割引情報データベース2152に登録する。例えば、割引対象制御部108は、混雑度が高くなるほど、割引対象車種に含まれる車種を増加させる構成を採用しても良い。
【0160】
また、本実施形態の送信部1104が送信する迂回経路情報700は、実施形態1の内容に加えて、通行料金の割引の対象となる車種の情報をさらに含む。このため、本実施形態の送信部1104は、実施形態1の機能を備えた上で、通行料金の割引の対象となる車種の情報を含む迂回経路情報700を、路車間通信装置10または入口装置11aに送信する。
【0161】
迂回経路情報700を受信した路車間通信装置10または入口装置11aは、実施形態1と同様に、路車間通信装置10または入口装置11aの通信範囲内を走行する車両2に搭載された車載器に、迂回経路情報700を送信する。車載器は、通行料金の割引の対象となる車種が、自装置が搭載された車両2の車種と一致する場合に、迂回確定ゾーンを走行すると割引が適用されることを表示部に表示する。または、車載器は、自装置が搭載された車両2の車種に関わらず、通行料金の割引の対象となる車種と、当該車種であれば迂回確定ゾーンを走行すると割引が適用されることを表示部に表示してもよい。
【0162】
また、本実施形態の受信部105は、実施形態1の機能を備えた上で、路車間通信装置10または入口装置11aから、路車間通信装置10または入口装置11aが受信した車両識別情報と、路車間通信装置10または入口装置11aの識別情報と、車両2の車種と、を対応付けて受信する。受信部105は、受信した車両2の車種を、例えば、車両2の車両識別情報と対応付けて、課金情報データベース153に登録する。
【0163】
また、本実施形態の判断部106は、実施形態1の機能を備えた上で、分岐ゾーンを走行していると判断された車両2の車種が、割引対象車種であるか否かを、判断する。より詳細には、割引対象制御部108は、課金情報データベース153に登録された車両2の車種を、割引情報データベース2152に登録された割引対象車種と一致するか否かを判断し、一致する場合に、車両2の車種が割引対象車種であると判断する。
【0164】
本実施形態の料金算出部107は、実施形態1の機能を備えた上で、受信部105が受信した車両2の車種が、割引対象車種である場合であって、かつ、当該車両2が迂回経路を通ったと判断された場合に、当該車両2の通行料金として、割引した通行料金を算出する。
【0165】
本実施形態における動的課金処理の流れは、
図9で説明した実施形態1と同様である。
【0166】
次に、本実施形態における通行料金の割引処理の流れを説明する。
図18は、本実施形態にかかる通行料金の割引処理の流れの一例を示すフローチャートである。S101の車両2が分岐ゾーンを走行しているか否かの判断の処理は、
図10で説明した実施形態1の処理と同様である。
【0167】
本実施形態の割引対象制御部108は、分岐ゾーンを走行していると判断された車両2の車種が、割引対象車種であるか否かを、判断する(S401)。当該車両2の車種が、割引対象車種である場合(S401“Yes”)、S102の割引識別情報の登録の処理へ進む。
【0168】
当該車両2の車種が、割引対象車種ではない場合(S401“No”)、S101とS401の処理とが繰り返される。S102の割引識別情報の登録の処理から、S108の車両2の退出の登録の処理までは、
図10で説明した実施形態1の処理と同様である。
【0169】
このように、本実施形態の情報処理装置4100は、迂回対象ゾーンの混雑度に応じて、通行料金の割引の対象となる車種を決定し、車両2がいずれかの迂回経路を通ったと判断した場合であって、かつ、車両2が通行料金の割引の対象となる車種である場合に、割引した通行料金を算出する。一般に、大型車の方が、普通車等よりも有料道路Rの混雑の要因となりやすい。このため、本実施形態の情報処理装置4100によれば、特定の車種が迂回経路を走行するように誘導することにより、より効率的に有料道路R内の混雑しているゾーンAから、他のゾーンAへ交通量を分散させることができる。
【0170】
(変形例7)
実施形態4においては割引対象制御部108が割引対象車種を決定するとしたが、有料道路Rの管理者等が割引対象車種を入力する構成を採用しても良い。
【0171】
(変形例8)
割引の適用対象を定める所定の条件は、車種に限定されるものではない。例えば、車載器IDの下2桁によって適用対象を特定するルールを設けても良い。または、有料道路Rにおける走行時間(入口装置11aを通過してから、現在時刻までの時間)が閾値以上の車両2を、適用対象としても良い。
【0172】
以上説明したとおり、実施形態1〜4の情報処理装置によれば、有料道路R内の混雑しているゾーンAから、他のゾーンAへ交通量を分散させることができる。
【0173】
また、上述の実施形態1〜4および変形例1〜8に含まれる構成を、互いに組み合わせて実施しても良い。例えば、実施形態2の構成と、実施形態3、4の構成とを組み合わせても良い。また、変形例1の構成を、実施形態2〜4の構成と組み合わせても良い。
【0174】
本実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0175】
また、本実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、本実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0176】
本実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムは、上述した各部(取得部、混雑度算出部、迂回経路決定部、送信部、受信部、判断部、料金算出部、割引対象制御部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、取得部、混雑度算出部、迂回経路決定部、送信部、受信部、判断部、料金算出部、割引対象制御部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0177】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。