特許第6847881号(P6847881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6847881空席情報提供システム、サーバ、空席情報提供方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847881
(24)【登録日】2021年3月5日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】空席情報提供システム、サーバ、空席情報提供方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20210315BHJP
【FI】
   G06Q50/12
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-33322(P2018-33322)
(22)【出願日】2018年2月27日
(65)【公開番号】特開2019-148992(P2019-148992A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2020年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】青木 世奈
【審査官】 菊池 伸郎
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6246446(JP,B1)
【文献】 特開2005−338993(JP,A)
【文献】 特開2007−133847(JP,A)
【文献】 特開2005−78512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を有する画像センサと、この画像センサと通信可能なサーバとを具備し、
前記画像センサは、
テーブル又は席のあるエリアを前記撮像素子で撮像して得られた画像データから、人物の位置物体の位置、および片付け行動を検知する検知部を備え、
前記サーバは、
前記人物の位置物体の位置、および片付け行動を前記画像センサから取得する取得部と、
前記取得された人物の位置物体の位置、および前記テーブル又は席との関係における片付け行動に基づいて、前記エリアにおける前記テーブル又は席に係る空席状況を示す空席情報を作成する空席情報作成部とを備える、空席情報提供システム。
【請求項2】
前記空席情報作成部は、前記人物が不在の席であって、かつ、前記物体の無いテーブルの席を空席と見做す、請求項1に記載の空席情報提供システム。
【請求項3】
前記取得部は、テーブルごとのオーダ状況を管理する注文システムから前記オーダ状況を取得し、
前記空席情報作成部は、前記取得されたオーダ状況に基づいて、空席待ち時間を計算する、請求項1に記載の空席情報提供システム。
【請求項4】
前記取得部は、テーブルごとの予約状況を管理する予約システムから前記予約状況を取得し、
前記空席情報作成部は、前記取得された予約状況に基づいて、空席待ち時間を計算する、請求項1に記載の空席情報提供システム。
【請求項5】
さらに、電子広告媒体を介して前記空席情報を提示する提示部とを具備する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空席情報提供システム。
【請求項6】
テーブル又は席のあるエリアを撮像して得られた画像データから、人物の位置物体の位置、および片付け行動を検知可能な画像センサと通信する通信部と、
前記人物の位置物体の位置、および片付け行動を前記画像センサから取得する取得部と、
前記取得された人物の位置物体の位置、および前記テーブル又は席との関係における片付け行動に基づいて、前記エリアにおける前記テーブル又は席に係る空席状況を示す空席情報を作成する空席情報作成部とを備える、サーバ。
【請求項7】
前記空席情報作成部は、前記人物が不在の席であって、かつ、前記物体の無いテーブルの席を空席と見做す、請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
前記取得部は、テーブルごとのオーダ状況を管理する注文システムから前記オーダ状況を取得し、
前記空席情報作成部は、前記取得されたオーダ状況に基づいて、空席待ち時間を計算する、請求項6に記載のサーバ。
【請求項9】
前記取得部は、テーブルごとの予約状況を管理する予約システムから前記予約状況を取得し、
前記空席情報作成部は、前記取得された予約状況に基づいて、空席待ち時間を計算する、請求項6に記載のサーバ。
【請求項10】
前記通信部は、前記空席情報を電子広告媒体に送信する、請求項6乃至9のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項11】
テーブル又は席のあるエリアを撮像して得られた画像データから、人物の位置物体の位置、および片付け行動を検知可能な画像センサと通信可能なサーバに適用される空席情報提示方法であって、
前記サーバが、前記人物の位置物体の位置、および片付け行動を前記画像センサから取得する過程と、
前記サーバが、前記取得された人物の位置物体の位置、および前記テーブル又は席との関係における片付け行動に基づいて、前記エリアにおける前記テーブル又は席に係る空席状況を示す空席情報を作成する過程とを具備する、空席情報提供方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項6乃至9のいずれか1項に記載のサーバに備わる各部として機能させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空席情報提供システム、サーバ、空席情報提供方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗や施設等といった、所定空間内における混雑状況に関する情報を提供する装置が知られている。この種の装置は、赤外線センサ等を用いて所定空間内における人物の在/不在を検出し、空席情報をモバイル端末等に表示させる。このようにすることで、ユーザがその場所に足を運ばなくても空席状況を把握できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−133847号公報
【特許文献2】特開2017−016288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の装置では、人物の在/不在だけに頼って空席状況を判定していた。つまり人がいれば着席、人がいなければ空席と、杓子定規に判定される。しかしながら、場所取りなどで、人が居なくても荷物が置いてあるケースもあり、このような状況は「空席」と判断されてしまうので実情に即していない。また、空席状況が分かったとしても、今現在空いている席が予約されていないのか、いるのかを区別することができない。より使い勝手の良い装置の提供が待たれている。
【0005】
目的は、使い勝手の良い空席情報提供システム、サーバ、空席情報提供方法およびプロ
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、空席情報提供システムは、撮像素子を有する画像センサと、この画像センサと通信可能なサーバとを具備する。画像センサは、検知部を備える。検知部は、テーブル又は席のあるエリアを撮像素子で撮像して得られた画像データから、人物の位置物体の位置、および片付け行動を検知する。サーバは、取得部と、空席情報作成部とを備える。取得部は、人物の位置物体の位置、および片付け行動を画像センサから取得する。空席情報作成部は、取得された人物の位置物体の位置、および前記テーブル又は席との関係における片付け行動に基づいて、前記エリアにおける前記テーブル又は席に係る空席状況を示す空席情報を作成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係わる空席情報提供システムの一例を示す図である。
図2図2は、画像センサ3の一例を示すブロック図である。
図3図3は、物体の検出に係わる処理を説明するための概念図である。
図4図4は、物体の検出に係わる処理を説明するための概念図である。
図5図5は、物体の検出に係わる処理を説明するための概念図である。
図6図6は、物体の検出に係わる処理を説明するための概念図である。
図7図7は、サーバ200の一例を示すブロック図である。
図8図8は、サーバ200の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、画像センサ3で撮像された店舗の一例を示す図である。
図10図10は、空席情報の一例を示す図である。
図11図11は、図10に対応する空席情報をグラフィカルに表示する画面の一例を示す図である。
図12図12は、待ち時間の推定に係わる処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、推定された空席待ち時間の一例を示す図である。
図14図14は、待ち時間を含む広告画面の一例を示す図である。
図15図15は、人数の判定を含む処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の一つの実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態では、店舗経営に係わるシステムと画像センサとを連携させた、新たなサービス形態について説明する。実施形態に係わる画像センサは、いわばレンズ付きの、組み込み型コンピュータであり、視野内に捕えた映像を撮影して取得した画像データを処理して、例えば環境情報および人物情報を作成することができる。
【0009】
環境情報は、制御対象の空間(対象空間)の環境に関する情報であり、その一例として店舗の照度分布、あるいは温度分布などを挙げることができる。人物情報は対象空間における人間に関する情報であり、その一例として、人の存在または不在(在/不在)、人数、人の行動、人の活動量などを挙げることができる。さらに、人物に付随する物体(物品)、つまり荷物の有無も人間情報の一例である。
【0010】
環境情報および人物情報は、対象空間ごとに算出することができる。あるいは、対象空間を複数に分割した小領域(エリア)毎に、環境情報および人物情報を算出することもできる。この実施形態では、特に、店舗における人間の在/不在、および物品の有無に着目する。
【0011】
図1は、実施形態に係わる空席情報提供システムの一例を示す図である。この実施形態に係わる空席情報提供システムは、例えばショッピングモールの店舗ごとに適用されることができ、店舗ごとの予約システムや、注文システム等と連携して運用されることが可能である。
【0012】
図1において、店舗は、来客エリアに、複数のテーブルT1〜Tn、および複数の席S1〜Smを備える。画像センサ3は、店舗内空間の例えば天井に、テーブルや席を見下ろすかたちで配設される。画像センサ3は、視野に捕えたものを撮像して画像データを生成する。
【0013】
各画像センサ3は信号線100を介してゲートウェイ(GW)1に接続される。ゲートウェイ1は、店舗内ネットワーク500に接続される。店舗内ネットワーク500には、サーバ200、予約システム300および注文システム400が接続される。このうちサーバ200は、インターネットなどのネットワーク600に接続され、店舗に関する情報を携帯端末700(代表的には、スマートフォン)などに広告する機能も備える。
【0014】
予約システム300は、席ごとの予約状況を予約情報として管理する。予約情報は例えば、席ごとの予約開始時刻および予約終了時刻(占有時間帯)を席番号と対応付けたデータである。注文システム400は、テーブルごとのオーダ状況を注文情報として管理する。注文情報は、例えば席ごとの注文品を席番号と対応付けたデータである。予約情報および注文情報は、ネットワークを介して電子的に授受するのに都合の良い、例えばCSV形式やXML形式で表現することが可能である。
【0015】
図2は、画像センサ3の一例を示すブロック図である。画像センサ3は、カメラ部31、メモリ32、プロセッサ33、および通信部34を備える。これらは内部バス35を介して互いに接続される。
【0016】
カメラ部31は、魚眼レンズ31a、絞り機構31b、撮像素子31cおよびレジスタ30を備える。魚眼レンズ31aは、視野内の映像を撮像素子31cに結像する。撮像素子31cは、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)に代表されるイメージセンサであり、例えば毎秒30フレームのフレームレートの映像信号を生成する。この映像信号はディジタル符号化され、画像データとして出力される。撮像素子31cへの入射光量は絞り機構31bにより調節される。
【0017】
レジスタ30は、カメラ情報30aを記憶する。カメラ情報30aは、例えばオートゲインコントロール機能の状態、ゲインの値、露光時間などの、カメラ部31に関する情報、あるいは画像センサ3それ自体に関する情報である。
【0018】
メモリ32は、SDRAM(Synchronous Dynamic RAM)やEPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリである。メモリ32は、カメラ部31により取得された画像データ32a、および、実施形態に係わる各種の機能をプロセッサ33に実行させるためのプログラム32bなどを記憶する。
【0019】
プロセッサ33は、メモリ32に記憶されたプログラムをロードし、実行することで、実施形態において説明する各種の機能を実現する。プロセッサ33は、例えばマルチコアCPU(Central Processing Unit)を備え、画像処理を高速で実行することについてチューニングされたLSI(Large Scale Integration)である。FPGA(Field Programmable Gate Array)等でプロセッサ15を構成することもできる。MPU(Micro Processing Unit)もプロセッサの一つである。
通信部34は、信号線100に接続可能で、サーバ200等とのデータの授受を仲介する。
【0020】
ところで、プロセッサ33は、実施形態に係る処理機能として、解析部33aと、検知部33bとを備える。解析部33aおよび検知部33bは、メモリ32に記憶されたプログラム32bがプロセッサ33のレジスタにロードされ、当該プログラムの進行に伴ってプロセッサ33が演算処理を実行することで生成されるプロセスとして、理解され得る。つまりプログラム32bは、解析プログラムおよび検知プログラムを含む。
【0021】
解析部33aは、メモリ32に蓄積された画像データ32aを所定のアルゴリズムで解析して、視野内の人物および物体に係わる特徴量を抽出する。例えば、画像データに含まれるフレームの輝度の変化をピクセルごとにトレースし、その時系列を分析することで動き特徴量を計算することができる。輝度勾配方向ヒストグラム(histograms of oriented gradients:HOG)特徴量、コントラスト、解像度、S/N比、および色調などの特徴量が知られている。また、輝度勾配方向共起ヒストグラム(Co-occurrence HOG:Co−HOG)特徴量、Haar-Like特徴量なども特徴量として知られている。
【0022】
解析部33aは、上記特徴量に基づいて、環境情報(照度分布、温度分布等)、人間情報(人の在/不在、人数、人の行動、人の活動量、荷物の有無など)を計算する。
【0023】
検知部33bは、上記抽出された特徴量、環境情報、人間情報を参照し、例えばルールベースによる認識、あるいは機械学習による認識により、店舗における人および物品に関する情報を取得する。例えば、動き特徴量を用いたパターン認識技術により、人の行動(利用客の注文行動、店員の片付け行動など)を検知することができる。実施形態では、片付け行動の有無、着席者の有無および位置、物体の有無および位置などの情報に着目する。
【0024】
図3に示されるように、テーブルおよび椅子に物体の無い状態から、図4のようにバッグやコートなどが置かれたとする。そうすると、図4の画像データと、予め記憶された図3の画像データとの差分を取ることで、図5のように、物体だけを抽出することができる。画像データのピクセルの位置と対応付けることで、図6に示されるように、検出された物体の位置座標を特定することが可能である。人物(着席者)の位置も、原理的には同様の手順で検出することができる。
【0025】
図7は、サーバ200の一例を示すブロック図である。サーバ200は、CPUやMPU等のプロセッサ250と、ROM(Read Only Memory)220およびRAM(Random Access Memory)230を備えるコンピュータである。サーバ200は、さらに、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)などの記憶部240、光学メディアドライブ260、および、通信部270を備える。
【0026】
ROM220は、BIOS(Basic Input Output System)やUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)などの基本プログラム、および各種の設定データ等を記憶する。RAM230は、記憶部240からロードされたプログラムやデータを一時的に記憶する。
【0027】
光学メディアドライブ260は、CD−ROM280などの記録媒体に記録されたディジタルデータを読み取る。サーバ200で実行される各種プログラムは、例えばCD−ROM280に記録されて頒布される。このCD−ROM280に格納されたプログラムは光学メディアドライブ260により読み取られ、記憶部240にインストールされる。
【0028】
通信部270は、通信機能を備え、画像センサ3、予約システム300、および注文システム400等との通信を制御する。
【0029】
記憶部240は、プロセッサ250により実行されるプログラム240aと、空席情報240bとを記憶する。プロセッサ250は、OS(Operating System)および各種のプログラムを実行する。
【0030】
ところで、プロセッサ250は、実施形態に係る処理機能としてデータ取得部250a、空席情報計算部250b、および、提示部250cを備える。データ取得部250a、空席情報計算部250b、および、提示部250cは、記憶部240のプログラム240aがRAM230にロードされ、当該プログラムの進行に伴ってプロセッサ250が演算処理を実行することで生成されるプロセスとして、理解され得る。つまりプログラム240aは、サーバ200を動作させるためのプログラムであって、サーバ200を、データ取得部250a、空席情報計算部250b、および、提示部250cとして動作させる。
【0031】
データ取得部250aは、画像センサ3から、着席者の位置および物体の位置を、信号線100、ゲートウェイ1および店舗内ネットワーク500経由で取得する。
【0032】
空席情報作成部の一例としての空席情報計算部250bは、取得された着席者の位置および物体の位置に基づいて、店舗の空席状況を示す空席情報を計算する。計算された空席情報は記憶部240に記憶される(空席情報240b)。
【0033】
提示部250cは、空席情報計算部250bにより計算された空席情報を、ディジタルサイネージやWebページなどの電子広告媒体を介して提示する。次に、上記構成における作用を説明する。
【0034】
図8は、サーバ200の処理手順の一例を示すフローチャートである。サーバ200は、先ず、予約システム300から予約情報を取得する(ステップS1)。次に、サーバ200は予約情報を参照し、予約が有るか否かをテーブルごとに判定する(ステップS2)。現時点でその席が予約されていれば(ステップS2で有り)、サーバ200は、そのテーブルが満席であると見做す(ステップS9)。
【0035】
ステップS2で予約が無ければ、サーバ200は、画像センサ3から各種データを取得する(ステップS3)。ここで、サーバ200は、着席者の位置および物体の位置を取得する。人物が在(ステップS4で在)であれば、そのテーブルは満席と見做される(ステップS9)。
【0036】
一方、人物が不在(ステップS4で不在)であれば、そのテーブルへの着席者はいない。かつ、テーブルの上と、席の上のいずれにも物体が無ければ(ステップS5で無し)、サーバ200は、そのテーブルについて空席であると見做し(ステップS8)、空席情報にそのことを記述する(ステップS11)。
【0037】
ここで、図9および図10を参照して、空席情報について説明する。図9は、店舗を上から見下ろした状況の一例を表していて、着席者P(Person)の有無と、物体(Object)の有無をテーブルごとに示す。例えば、テーブルT2には2名、T4には4名、T7には2名の着席者Pがおり、テーブルT5,T8には物体Oが乗っている。サーバ200は、画像センサから取得した情報からこの状況を計算し、この状況に対応する空席情報を作成する。図10がこの状況を示す空席情報であり、テーブルT1〜T8のうち『空き』はT1、T3およびT6だけで、残りのテーブルは全て占有されている(満席(×印))ことを示す。
【0038】
この実施形態において特徴的な点は、物体Oが有るテーブルT5,T8が『満席』として取り扱われることである。つまり実施形態では、空席判定に際してテーブル上の物体の有無を考慮しており、これは、画像データ解析から得られる情報(着席者の位置、物体の位置)を用いることで初めて可能になる。既存の技術では、テーブルT5,T8はいずれも着席者がおらず、それだけで『空席』となる。
【0039】
ユーザが携帯端末700から店舗のホームページにアクセスすると、例えば図11のような画面が表示される。図11は、図10の空席情報をグラフィカルに表示する広告画面を示し、空席テーブルと満席テーブルとが色分けして区別される。図中、色分けされた状態をハッチングの有無で示す。
【0040】
図8に戻って説明を続ける。ステップS5で物体が有ると判定されると、サーバ200は、そのテーブルにおける店員の片付け行動の有無を判定する(ステップS6)。片付け行動が有れば、サーバ200は、テーブルの上がリセットされた状態と見做し、そのテーブルを空席と判定する(ステップS8)。片付け行動が無ければ、サーバ200は、場所取りのために置かれた物体であると見做して(ステップS7)、そのテーブルを満席と判定する(ステップS9)。満席と判定されたテーブルについては、その待ち時間が推定される(ステップS10)。
【0041】
図12は、待ち時間の推定に係わる処理手順の一例を示すフローチャートである。図12において、サーバ200は、注文システム400から注文情報(例えば注文数、注文品、注文時間等)を取得する(ステップS21)。次にサーバ200は、着席者の位置および物体の位置を画像センサ3から取得する(ステップS22)。これらの情報を得たサーバ200は、利用客の特性を例えば以下の4つの項目にわたって分析する。( )内の記載は項目ごとの判定の根拠の一例を示す。
(1)1人利用/グループ利用(1人利用は滞在時間が短い傾向にある)
(2)注文品の数(注文数が多い席の人は、満腹で、離席が近い傾向にある)
(3)注文品の種類(デザートを注文した人は、離席が近い傾向にある)
(4)滞在時間(滞在時間が長い人は、離席が近い傾向にある)
(1)〜(4)の情報に基づいて利用客の特性を分析し、空席待ち時間(空席に至るまでの待ち時間)を推定することができる。図13に、推定された待ち時間の一例を示す。
【0042】
図8のフローチャートで待ち時間が推定されると(ステップS10)、サーバ200は、待ち時間を空席情報に追記し、空席情報、および、推定待ち時間を利用者に提示する(ステップS12)。
【0043】
図14は、待ち時間を含む広告画面の一例を示す。図13に対応付けて、各テーブルの推定待ち時間がテーブルに重ねて表示される。この画面(Webページ)にアクセスすることで利用者は、今現在空いている席が有るか、何分待ちか、等といった情報を手軽に得られ、利用者側、店舗側の双方にとっての使い勝手を向上させることができる。
【0044】
しかも実施形態では、空席かそうでないかの判定を、人物の有無だけでなく、物体の有無によっても判定するようにしている。これにより、場所取りを考慮した、より的確な空席判定を行うことができ、「満席」を「空席」と判定してしまうリスクを回避することができる。
【0045】
また実施形態では、店舗の予約システムと連動させ、事前の予約状況を反映した空席判定を行うようにした。さらに、注文システムとも連動させ、リアルタイムの利用客の特性を分析し、その結果により空席待ち時間を推測するようにした。従って、利用者は空席情報および推定待ち時間を活用して、突発的な座席確保や、ひいては行動時間の短縮が可能となる。
【0046】
これらのことから実施形態によれば、使い勝手の良い空席情報提供システム、サーバ、空席情報提供方法およびプログラムを提供することが可能となる。
【0047】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば実施形態では、空席判定に際してテーブル上の物体の有無を考慮したが、例えば椅子の上に物体が有るか否かを考慮することも、もちろん可能である。椅子の上に物体が有るかないかを区別することで、「椅子単位での満席/空席」を判定することが可能になる。これは、例えばカフェのような、相席となるケースが多い店舗において有用な情報となり得る。例えば図11の画面などにおいて、満席/空席を椅子ごとに色分けして提示すれば、ユーザの利便性はさらに向上する。
【0048】
また、テーブルごとに人数をカウントし、満席となる人数よりも少ない人数が検知されれば、「一部空席あり」と判定しても良い。この場合、図15に示されるように、ステップS4で「在」と判定された直後に人数を判定する(ステップS31)。次のステップでテーブルの定員と比較し、その人数が定員以上であれば空席無し(ステップS32で無し)とされるが、定員よりも少なければ(ステップS32で有り)、一部空席(ステップS33)との判定がなされるようにしても良い。このようにすると、席単位での「満席/空席」を反映した空席情報を作成することが可能になり、有用な情報をユーザに提供することが可能になる。
【0049】
さらに、図12のフローチャートにおいて、予約情報を参照する手順を加えても良い。例えばテーブルT1に対して現時点から2時間の予約が入っているとすれば、図13のテーブルT1の推定待ち時間の欄には、「−」でなく、「2時間」と記載されることとなる。このようにすることで、ユーザに、さらに的確な情報を提供することが可能になる。
【0050】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…ゲートウェイ、3…画像センサ、15…プロセッサ、30…レジスタ、30a…カメラ情報、31…カメラ部、31a…魚眼レンズ、31b…絞り機構、31c…撮像素子、32…メモリ、32a…画像データ、32b…プログラム、33…プロセッサ、33a…解析部、33b…検知部、34…通信部、35…内部バス、100…信号線、200…サーバ、220…ROM、230…RAM、240…記憶部、240a…プログラム、240b…空席情報、250…プロセッサ、250a…データ取得部、250b…空席情報計算部、250c…提示部、260…光学メディアドライブ、270…通信部、300…予約システム、400…注文システム、500…店舗内ネットワーク、600…ネットワーク、700…携帯端末、S1〜Sm…席、T1〜Tn…テーブル。
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