(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被操作部が設けられた操作盤を有する産業機械と、前記産業機械に対して作業を行うロボットと、該ロボットを搭載し、前記産業機械に対して予め設定された作業位置に経由する無人搬送車と、前記ロボット及び前記無人搬送車を制御する制御装置とを備えた協働システムであって、
前記産業機械の前記操作盤の所定箇所には位置識別標識が設けられ、
前記無人搬送車又は前記ロボットは、前記無人搬送車が前記作業位置に停車した状態で前記操作盤の前記所定箇所を撮像可能なカメラを有し、
前記制御装置は、前記無人搬送車を前記作業位置に停車させた状態で、前記カメラに、前記操作盤の前記所定箇所を撮像させる撮像処理と、該撮像処理により得られた撮像画像中に含まれる前記位置識別標識の画像を基に、前記被操作部と前記ロボットとの位置関係を認識して、認識した該位置関係を基に、前記ロボットに前記操作盤の前記被操作部を操作させる操作処理とを実行可能に構成され、
前記産業機械は、前記被操作部に対する操作を待つ操作待ち状態にあるか否かを判定して、該操作待ち状態にあると判定した場合には、前記位置識別標識を前記カメラにより撮像可能な撮像可能状態にする一方、前記操作待ち状態にないと判定した場合に、前記位置識別標識を前記カメラにより撮像不能な撮像不能状態に切替える識別切替部を有し、
前記制御装置は、前記無人搬送車を前記作業位置に停車させた状態で、前記撮像処理として、前記カメラに、前記操作盤の前記所定箇所を継続的に撮像させる処理を実行し、該撮像処理により得られた撮像画像中に前記位置識別標識の画像が検出された場合に、前記操作処理を実行し、前記撮像画像中に前記位置識別標識の画像が検出されない場合には、前記操作処理を実行せずに前記カメラによる撮像を継続するように構成されていることを特徴とする協働システム。
前記無人搬送車に搭載される前記ロボットは、該ロボットが備えるハンドの一部を前記操作盤の前記被操作部に接触させることで該被操作部を操作するように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の協働システム。
前記無人搬送車に搭載される前記ロボットは、該ロボットが備えるハンドに取付けられた操作部材を前記操作盤の前記被操作部に接触させることで該被操作部を操作するように構成されていて、前記操作部材が前記被操作部と接触した際の衝撃を緩和する緩衝部を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の協働システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば旧式の工作機械(産業機械)等では、無人搬送車及びロボットとの通信を行うための通信機器を有していない機種や、通信機器を有していても通信規格が異なるために通信を行うことができない機種が存在する。
【0006】
このような産業機械に対して、上述した特許文献1に示す無人搬送車及びロボットを用いた協働システムを適用しようとしても、無人搬送車及びロボットを制御する制御装置と、産業機械を制御する制御装置との間で通信を行うことができないので、ロボットの動作と産業機械の動作とを所定の順序通りに連携させることができず、協働システムとして成立し得ない。
【0007】
これに対して、例えばオペレータが行う操作盤の操作をロボットに行わせることができれば、工作機械の動作とロボットの動作とを所定の順序通りに実行し、ロボットと工作機械との協働システムを実現できる可能性が高まる。
【0008】
しかし、無人搬送車に搭載されたロボットと、操作盤に設けられた操作ボタン(被操作部)との位置関係は、無人搬送車の停車位置のバラツキ等に起因して毎回変化するので、ロボットに被操作部を正確に操作させることは困難である。
【0009】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであって、無人搬送車の停車位置にバラツキが生じたとしても、ロボットに、産業機械の操作盤に設けられた被操作部を正確に操作させることができる協働システムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための本発明は、
被操作部が設けられた操作盤を有する産業機械と、前記産業機械に対して作業を行うロボットと、該ロボットを搭載し、前記産業機械に対して予め設定された作業位置に経由する無人搬送車と、前記ロボット及び前記無人搬送車を制御する制御装置とを備えた協働システムであって、
前記産業機械の前記操作盤の所定箇所には位置識別標識が設けられ、
前記無人搬送車又は前記ロボットは、前記無人搬送車が前記作業位置に停車した状態で前記操作盤の前記所定箇所を撮像可能なカメラを有し、
前記制御装置は、前記無人搬送車を前記作業位置に停車させた状態で、前記カメラに、前記操作盤の前記所定箇所を撮像させる撮像処理と、該撮像処理により得られた撮像画像中に含まれる前記位置識別標識の画像を基に、前記被操作部と前記ロボットとの位置関係を認識して、認識した該位置関係を基に、前記ロボットに前記操作盤の前記被操作部を操作させる操作処理とを実行可能に構成されている協働システムに係る。
【0011】
この協働システムによれば、制御装置は、無人搬送車を産業機械の作業位置に停車させた状態で、撮像処理と操作処理とを実行可能になっている。この撮像処理では、制御装置による制御の下にカメラが作動して、操作盤の所定箇所の画像が該カメラにより撮像される。該所定箇所には位置識別標識が設けられるので、カメラによる撮像画像には、この位置識別標識の画像が含まれることとなる。前記操作処理では、制御部においてこの位置識別標識の画像を基に被操作部とロボットとの位置関係を認識する。そして、制御部は、認識した位置関係を基にロボットに操作盤の被操作部を操作させる。この操作部としては、例えば、工作機械(産業機械の一例)の操作盤に設けられた起動ボタン等が挙げられる。
【0012】
斯くして、本発明の協働システムによれば、制御装置は、ロボットに操作盤の被操作部を操作させる際に、操作盤に設けられた位置識別標識の画像を基に、被操作部とロボットとの位置関係を認識するように構成されているので、無人搬送車の停車位置のバラツキが生じたとしても、ロボットによる被操作部の操作を正確に行うことができる。
【0013】
また、前記協働システムにおいて、前記産業機械は、前記被操作部に対する操作を待つ操作待ち状態にあるか否かを判定して、該操作待ち状態にあると判定した場合には、前記位置識別標識を前記カメラにより撮像可能な撮像可能状態にする一方、前記操作待ち状態にないと判定した場合に、前記位置識別標識を前記カメラにより撮像不能な撮像不能状態に切替える識別切替部を有し、前記制御装置は、前記無人搬送車を前記作業位置に停車させた状態で、前記撮像処理として、前記カメラにより前記操作盤の前記所定箇所を継続的に撮像する処理を実行し、該撮像処理により得られた撮像画像中に前記位置識別標識の画像が検出された場合に、前記操作処理を実行し、前記撮像画像中に前記位置識別標識の画像が検出されない場合には、前記操作処理を実行せずに前記カメラによる撮像を継続するように構成されている態様を採用することができる。
【0014】
この態様によれば、識別切替部において、産業機械が、被操作部に対する操作を待つ操作待ち状態にあるか否かが判定される。そして、識別部において、産業機械が操作待ち状態にあると判定された場合には、位置識別標識がカメラにより撮像可能な撮像可能状態とされる一方、操作待ち状態にないと判定された場合に、前記位置識別標識が前記カメラにより撮像不能な撮像不能状態に切替えられる。そして、制御装置による制御の下、無人搬送車が産業機械の作業位置に停車すると、前記カメラによって前記操作盤の前記所定箇所が継続的に撮像され、撮像画像中に位置識別標識の画像が検出された場合には、ロボットにより前記被操作部が操作され(操作処理が実行され)、位置識別標識の画像が検出されない場合には、ロボットによる当該操作は実行されず、産業機械は操作待ち状態を継続する。ここで言う、カメラにより継続的に撮像するとは、例えば動画撮影のように略連続的に行う撮像処理に限らず、例えば数秒置きに静止画像を撮像する処理を含む。
【0015】
これによれば、カメラによる撮像画像中に位置識別標識が検出されたことをトリガーとして、ロボットが操作盤の被操作部を操作するので、ロボットと産業機械とを、通信に依らずに協働させることができる。したがって、例えば、産業機械がロボットとの通信機器を有していない比較的古い機種である場合に、新たな通信機器を搭載することなくロボットと産業機械との協働システムを構築することができる。よって、通信機器を新たに搭載する必要がない分、ユーザのコスト負担を低減することができる。また、位置識別標識は、産業機械が被操作部に対する操作待ち状態にある場合にだけカメラにより撮像可能になるので、操作待ち状態でないにも拘わらず、被操作部が誤って操作されるのを防止することができる。
【0016】
ここで、前記協働システムにおいて、前記操作盤は、情報を表示するモニタを有し、前記所定箇所は、前記モニタの画面の所定領域であり、前記識別切替部は、前記産業機械が前記操作待ち状態にあると判定した場合には、前記モニタの画面の前記所定領域に前記位置識別標識を表示させることで、該位置識別標識を前記撮像可能状態にする一方、前記産業機械が前記操作待ち状態にないと判定した場合には、該位置識別標識を前記モニタの画面の前記所定領域に表示させないことで、該位置識別標識を前記撮像不能状態にするように構成されている態様を採用することができる。
【0017】
この態様によれば、識別切替部は、操作盤に設けられたモニタの画面上において、位置識別標識の表示/非表示を切替える構成とされている。したがって、例えば操作盤に設けられた既存のモニタを利用して識別切替部の機能を容易に実現することができる。
【0018】
尚、識別切替部は、このようにモニタを用いた電子的手段に限ったものではなく、例えば、スライド式のシャッター等からなる可動部材を、位置識別標識を覆う覆い位置と位置識別標識を外部に露出させる露出位置とに切替える構成であってもよい。
【0019】
また、前記無人搬送車に搭載される前記ロボットは、該ロボットが備えるハンドの一部を前記操作盤の前記被操作部に接触させることで該被操作部を操作するように構成されている態様を採用することができる。
【0020】
この態様によれば、ロボットに備わった既存のハンドの一部を利用して被操作部を操作することができるので、被操作部を操作するための操作部材を別途設ける場合に比べて、部品点数を削減してコスト低減することができる。
【0021】
また、前記無人搬送車に搭載される前記ロボットは、該ロボットが備えるハンドに取付けられた操作部材を前記操作盤の前記被操作部に接触させることで該被操作部を操作するように構成されていて、前記操作部材が前記被操作部と接触した際の衝撃を緩和する緩衝部を有している態様を採用することができる。
【0022】
この態様によれば、ロボットが操作部材を被操作部に接触させる際の衝撃を緩衝部により緩和することができる。よって、操作部材による被操作部の操作を、機器類を破損することなく安全に行うことができる。
【0023】
また、前記協働システムにおいて、前記カメラは、前記無人搬送車に搭載された前記ロボットに設けられ、前記制御装置は、前記無人搬送車を前記作業位置に停車させた状態で、前記ロボットの姿勢を、前記カメラにより前記操作盤の前記所定箇所を撮像可能な撮像姿勢と、前記操作盤の前記被操作部を操作可能な操作姿勢と、前記産業機械に対して作業を行うための作業姿勢とに選択的に切替え可能に構成され、前記ロボットの前記撮像姿勢、前記操作姿勢、及び前記作業姿勢は、それぞれ、前記ロボットにティーチング操作することによって前記制御装置に予め記憶され、前記制御装置は、ティーチング操作時に、前記ロボットに前記撮像姿勢を取らせた状態で前記カメラにより撮像した前記位置識別標識の画像を基準画像として予め記憶しておき、自動運転用プログラムに基づく前記無人搬送車の自動運転時において、前記撮像処理を実行する際には、前記ロボットを前記撮像姿勢にした状態で前記カメラにより前記操作盤の前記所定箇所を撮像し、前記操作処理の実行に際しては、該撮像処理により得られた撮像画像中に含まれる前記位置識別標識の画像と前記基準画像とを比較することで、前記ロボットの現在の撮像姿勢とティーチング操作時の撮像姿勢との間の誤差量を算出し、算出した該誤差量に基づいて、前記被操作部と前記ロボットとの前記位置関係を認識し、認識した該位置関係を基に前記予め記憶した前記操作姿勢を補正して、前記ロボットに、補正した該操作姿勢を取らせることで前記操作盤の前記被操作部を操作させるように構成されている態様を採用することができる。
【0024】
この態様によれば、カメラはロボットに取付けられており、前記ロボットの姿勢として、カメラにより前記操作盤の前記所定箇所を撮像可能な撮像姿勢と、前記操作盤の被操作部を操作可能な操作姿勢と、産業機械に対して作業を行うための作業姿勢とが、ロボットへのティーチング操作によって予め制御装置に記憶されている。ロボットに撮像姿勢のティーチング操作を行う際には、このティーチング操作と併せて、前記カメラにより位置識別標識の画像が撮像され、基準画像として制御装置に予め記憶される。
【0025】
そして、制御装置は、自動運転用プログラムに基づく前記無人搬送車の自動運転時において、前記カメラに撮像処理を実行させる際には、ロボットを撮像姿勢にした状態で前記カメラにより前記操作盤の前記所定箇所を撮像させる。そして、制御装置は、所定箇所に設けられた位置識別標識の画像を、ティーチング操作時に撮像した位置識別標識の画像である前記基準画像と比較することで、ロボットの現在の撮像姿勢とティーチング操作時の撮像姿勢との間の誤差量を算出する。制御装置は、算出した該誤差量に基づいて、前記被操作部と前記ロボットとの前記位置関係を認識し、認識した該位置関係を基に前記予め記憶した前記操作姿勢を補正して、前記ロボットに、補正した該操作姿勢を取らせることで前記操作盤の前記被操作部を操作させる。
【0026】
斯くして、自動運転時にカメラにより撮像した位置識別標識の画像と、ティーチング操作時にカメラにより撮像した位置識別標識の画像である前記基準画像との比較を基に、ロボットの現在の撮像姿勢とティーチング操作時の撮像姿勢との間の誤差量を算出することで、ロボットと被操作部との位置関係を容易に認識することができる。
【0027】
また、前記協働システムにおいて、前記産業機械は、ワークに対して所定の加工を行う工作機械である態様を採用することができる。これによれば、工作機械を含む生産システムに対して本発明の協働システムを適用することで、省人化を促進しつつ生産効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明に係る協働システムよれば、産業機械の操作盤に設けられた位置識別標識の画像をカメラにより撮像して、撮像した位置識別標識の画像を基に、操作盤の被操作部とロボットとの位置関係を認識して、該認識した位置関係を基に、ロボットに被操作部を操作させるようにしたことで、無人搬送車の停車位置にバラツキが生じても、ロボットに被操作部を正確に操作させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
(実施形態)
図1に示すように、本例の協働システム1は、産業機械としての工作機械10、無人搬送車35、この無人搬送車35に搭載されるロボット25、ロボット25に装着されるカメラ31、工作機械10を制御する制御装置17(以下、工作機械制御装置17という)、並びに、ロボット25及び無人搬送車35を制御する制御装置40(以下、AGV制御装置40という)などから構成される。工作機械制御装置17(後述する
図4参照)は、AGV制御装置40(後述する
図10参照)との間で通信を行うための通信機器を有していない。このため、AGV制御装置40は、工作機械制御装置17との通信に依らずに、カメラ31による撮像画像を基に、ロボット25に工作機械10のNC操作盤16を操作させて、ロボット25と工作機械10とを協働させる。
【0032】
図2に示すように、前記無人搬送車35には、その上面である載置面36に前記ロボット25が搭載され、また、オペレータが携帯可能なAGV操作盤37(
図1参照)が付設されている。尚、このAGV操作盤37は、データの入出力を行う入出力部、当該無人搬送車35及びロボット25を手動操作する操作部、並びに画面表示可能なディスプレイなどを備えている。
【0033】
また、無人搬送車35は、工場内における自身の位置を認識可能な位置センサ(例えば、レーザ光を用いた距離計測センサ)を備えており、AGV制御装置40による制御の下で、工場内を無軌道で走行するように構成され、本例では、前記工作機械10に対して設定された作業位置に経由する。AGV制御装置40は、無人搬送車35の筐体内に収容されている。
【0034】
前記ロボット25は、第1アーム26、第2アーム27及び第3アーム28の3つのアームを備えた多関節型のロボットであり、第3アーム28の先端部にはエンドエフェクタとしてのハンド29が装着され、また、支持バー30を介して2つのカメラ31が装着されている。ハンド29は、ボディ291と、互い対向する一対の把持部材292とをしている。ハンド29は、一対の把持部材292によりワーク100を挟んで把持するように構成されている。
【0035】
無人搬送車35の載置面36におけるロボット25よりも車両後側には、ワーク100を収納するバケット38が載置されている。バケット38は、加工前のワーク100を収納する加工前収納部38a(
図1参照)と加工後のワーク100を収納する加工後収納部38bとに区画されている。ロボット25は、無人搬送車35が工作機械10の作業位置に停車した状態で、加工前収納部38aに収納された加工前のワーク100を取出して工作機械10に投入する一方、工作機械10から加工後のワーク100を取出して加工後収納部38bに収納する。
【0036】
前記工作機械10は、固定工具を用いた旋削機能と、回転工具を用いた ミーリング機能とを有する複合型のNC(数値制御)工作機械である。
【0037】
具体的には、工作機械10は、
図3〜
図6に示すように、加工動作機構部20、NC操作盤16、及び工作機械制御装置17を備えている。
【0038】
加工動作機構部20は、
図3に示すように、ワーク100を把持するチャック11が装着されるワーク主軸12と、回転工具が保持される工具主軸13と、旋削加工のための固定工具(図示省略)が取付けられる下刃物台14とを有している。ワーク主軸12は、チャック11にワーク100を保持した状態でZ軸に平行な軸線回りに回転可能に構成されている。工具主軸13は、回転工具(図示省略)をX軸に平行な軸線回りに回転駆動しつつ送り装置によってX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能に構成されている。下刃物台14は、Z軸と平行に延びる軸線回りに旋回可能な旋回部141(
図5参照)を有していて、送り装置によってZ軸方向及びX軸方向に移動可能に構成されている。旋回部141の外周部には、固定工具を保持するためのホルダーが周方向に間隔を空けてZ軸を中心とする放射状に配置されている。
【0039】
加工動作機構部20は、後述する工作機械制御装置17の数値制御部172から位置指令及び速度指令を受けたサーボ機構23(
図4参照)によって駆動される。サーボ機構23は、例えば、サーボアンプと、サーボアンプにより駆動されるサーボモータと、サーボモータの回転角度をフィードバックするエンコーダと(いずれも図示せず)から構成される。そして、加工動作機構部20は、送り装置によって、X軸,Y軸及びZ軸の直交3軸方向において、回転工具、固定工具、及びワーク100を相対移動させることでワーク100を所定形状に加工する。
【0040】
加工動作機構部20の構成要素である前記下刃物台14は、ワーク100をワーク主軸12のチャック11に着脱する着脱機構としても機能する。この機能を実現するために、旋回部141は、回転工具の他に、ワーク受け部材142(
図5参照)を装着可能に構成されている。ワーク受け部材142は、Z軸方向にて対向する一対の支持板に形成されたV字状の溝部142aによりワーク100を下方から支持する。本例では、ワーク受け部材142として、ワーク100を投入する際に使用する投入用のワーク受け部材142Aと、ワーク100を払出す際に使用する払出し用のワーク受け部材142Bとの二つが設けられている。下刃物台14は、XZ平面内において待機位置(
図5の位置)とワーク着脱位置(
図6の位置)との間で移動可能に構成されている。待機位置は、加工中のワーク100や回転工具がワーク受け部材142A,142Bと干渉しない位置に設定され、ワーク着脱位置は、ワーク100をチャック11に着脱可能な位置(つまり、ワーク100の一端部をチャック11に挿入支持させることが可能な位置)に設定されている。
【0041】
工作機械10は、ワーク100を加工する際に必要となる前記加工動作機構部20の他に、加工動作と直接関係しない補助装置21(
図4参照)を有している。補助装置21の一例として、クーラント供給装置(図示省略)や、扉開閉装置22等が挙げられる。クーラント供給装置は、例えば加工時に回転中のワーク主軸12に向けてクーラントを吐出する。扉開閉装置22は、工作機械10の正面に形成されたアクセス開口10a(
図3参照)を開閉する開閉扉15を駆動する。アクセス開口10aは、ワーク100の加工エリアの前側に位置している。開閉扉15は、左右方向にスライドすることでアクセス開口10aを開閉可能に構成されている。扉開閉装置22は、例えばエアシリンダとソレノイドバルブとから構成される。
【0042】
工作機械10のアクセス開口10aの右側にはNC操作盤16が配置されている。NC操作盤16は、オペレータの各種操作を受付けるとともに必要な情報を表示可能に構成されている。
【0043】
具体的には、NC操作盤16は、
図7に示すように、操作面が水平面に対して僅かに傾いた主操作盤161と、主操作盤161よりも上側に位置し、操作面が前側を向く副操作盤162とを有している。主操作盤161には、工作機械10の使用時に必要な操作ボタン166〜168を表示するメインタッチパネル163(モニタの一例)と、メインタッチパネル163の下側の領域に物理的に固定された複数のハードボタン164とが設けられている。ハードボタン164には、例えば緊急停止用の非常ボタン等が含まれる。副操作盤162には、工作機械10の稼働状況やジョブの進行状況等を表示するサブタッチパネル165が設けられている。
【0044】
図8は、メインタッチパネル163に表示される操作画面の一例である。この操作画面は、情報領域r1と操作領域r2と標識表示領域r3との三つの領域で構成されている。
【0045】
前記情報領域r1は、NCプログラムの入力画面や、加工シミュレーション画像等、加工動作機構部20の動作制御に関連する種々の画面を表示するための領域である。
【0046】
前記操作領域r2は、工作機械10の操作に必要な操作ボタン166〜168(被操作部の一例)を表示するための領域である。操作ボタン166〜168は、開閉扉15を開くための扉開ボタン166と、開閉扉15を閉じるための扉閉ボタン167と、NCプログラムを実行するための起動ボタン168とを含んでいる。以下の説明において、扉開ボタン166、扉閉ボタン167及び起動ボタン168を特に区別する必要がない場合には、操作ボタン166〜168と称して説明を行う。メインタッチパネル163は、操作ボタン166〜168が押されると、後述するシーケンス制御部171に向けてそれぞれの操作ボタン166〜168に対応する操作信号を出力する。
【0047】
前記標識表示領域r3は、位置識別標識T1を表示するための領域である。位置識別標識T1は、後述するようにロボット25と各操作ボタン166〜168との位置関係を認識するために使用される。標識表示領域r3は、メインタッチパネル163の右下の隅部に位置している。標識表示領域r3が、メインタッチパネル163の所定領域に相当するとともにNC操作盤16の所定箇所に相当する。
【0048】
工作機械制御装置17は、
図4に示すように、シーケンス制御部171、数値制御部172、表示制御部173、シーケンスプログラム記憶部174、及びNCプログラム記憶部175等からなる。
【0049】
工作機械制御装置17は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成され、シーケンス制御部171、数値制御部172、表示制御部173は、コンピュータプログラムによってその機能が実現され、後述する処理を実行する。また、シーケンスプログラム記憶部174及びNCプログラム記憶部175は、RAMなどの適宜記憶媒体から構成される。
【0050】
シーケンス制御部171は、シーケンスプログラム記憶部174に予め記憶されたシーケンスプログラムを実行することで工作機械10の全体動作を制御する機能部である。
【0051】
シーケンス制御部171は、NC操作盤16のメインタッチパネル163より起動ボタン168(
図8参照)が押されたことを示す操作信号を受信した場合には、数値制御部172に対してNCプログラムの実行指令を出力する。
【0052】
また、シーケンス制御部171は、NCプログラムを実行中に数値制御部172より所定の指令コード(例えばMコード)を受信した場合には、当該コードに対応する補助装置21のスイッチ(例えばソレノイド等)に作動信号を出力する。
【0053】
また、シーケンス制御部171は、NC操作盤16のメインタッチパネル163から扉閉ボタン167(
図8参照)が押されたことを示す操作信号を受信した場合には、扉開閉装置22に対して開閉扉15を閉じる作動信号を出力し、扉開ボタン166が押されたことを示す操作信号を受信した場合には、扉開閉装置22に対して開閉扉15を開く作動信号を出力する。
【0054】
数値制御部172は、シーケンス制御部171からの実行指令を受けて、NCプログラム記憶部175に記憶されたNCプログラムを実行する機能部である。具体的には、数値制御部172は、NCプログラムを実行(解析)することで、加工動作機構部20を構成する各要素のX軸、Y軸及びZ軸に関する目標移動位置及び目標移動速度を認識し、認識した目標移動位置及び目標移動速度をサーボ機構23に対して制御信号として出力する。
【0055】
表示制御部173は、メインタッチパネル163及びサブタッチパネル165の表示画面を制御する機能部である。尚、サブタッチパネル165は、工作機械10の状態を監視するために補助的に設けられるものであるため、以下ではサブタッチパネル165の表示制御の詳細は省略し、メインタッチパネル163の表示制御についてのみ説明する。
【0056】
表示制御部173は、NC操作盤16の電源が投入されると、前記操作画面(
図8参照)をメインタッチパネル163に表示する。表示制御部173は、工作機械10が、操作画面に表示された操作ボタン166〜168に対する操作待ち状態にあるか否かを判定して、該操作待ち状態にあると判定した場合には、位置識別標識T1をメインタッチパネル163の標識表示領域r3に表示する一方、前記操作待ち状態にないと判定した場合には、位置識別標識T1を標識表示領域r3に表示しないように構成されている。この標識表示領域r3に位置識別標識T1が表示されている状態が撮像可能状態に相当し、位置識別標識T1が表示されていない状態が撮像不能状態に相当し、表示制御部173が識別切替部に相当する。操作待ち状態とは、工作機械10が次の動作(本例では次のワーク100の加工動作)に進むために三つの操作ボタン166〜168のうち少なくとも一つの操作を待つ状態である。
【0057】
図9(a)は、前記標識表示領域r3に表示される位置識別標識T1の一例を示している。この位置識別標識T1は、複数の正方形をした画素が二次元に配列されたマトリクス構造を有するものであり、各画素が白または黒で表示されている。
図9(a)では、黒色の画素に斜線を付している。
【0058】
以上のように構成された工作機械10において、数値制御部172がNCプログラムを実行することで実現される加工動作機構部20の動作を説明する。
【0059】
開閉扉15が閉じた状態で、メインタッチパネル163の起動ボタン168が押されると、下刃物台14が、その旋回部141によって投入用のワーク受け部材142Aを上面に割り出した状態で、
図5に示す待機位置から
図6に示す着脱位置に移動する。
図5及び
図6では、見易さを考慮して開閉扉15が開いた状態を示しているが、実際のワーク投入時には開閉扉15は閉じている。
【0060】
下刃物台14の待機位置から着脱位置への移動に際しては、下刃物台14をX軸方向に沿って上側(
図5の矢印D1方向)に移動させた後、Z軸方向に沿ってチャック11に接近する側(
図5の矢印D2方向)に移動させる。これにより、ワーク受け部材142Aに支持されたワーク100がチャック11に挿入される。
【0061】
下刃物台14のZ軸方向(矢印D2方向)の移動が停止した後、チャック11が三つ爪を閉じてワーク100をチャックし、その後、加工動作機構部20の各構成要素によって、ワーク主軸12と回転工具と固定刃具との相対位置を変化させながらワーク100を所定の形状に加工する。
【0062】
ワーク100の加工が完了した後は、下刃物台14が、旋回部141によって払出し用のワーク受け部材142B(
図5のワーク100が位置する側とは反対側のワーク受け部材142B)を上面に割り出した状態で、前記待機位置から前記着脱位置に移動する。そして、この下刃物台14の着脱位置への移動が完了した後、チャック11の三つ爪を開いてワーク100のチャックを解除する。
【0063】
そうすると、ワーク100が払出し用のワーク受け部材142B(
図6のワーク100が位置する側とは反対側のワーク受け部材142B)に支持された状態になるので、この状態で、下刃物台14をZ軸方向に沿ってチャック11から離間する側(矢印D3方向)に移動させる。これにより、ワーク100がチャック11から引き抜かれる。そして、下刃物台14は、ワーク100をチャック11から完全に引き抜く位置まで移動した後、X軸方向に沿って下側(矢印D4方向)に移動して前記待機位置に戻る。下刃物台14が待機位置に戻った後は、旋回部141を回転させて投入用のワーク受け部材142Aを上面に割り出す。以上の動作を持ってNCプログラムに基づく加工動作機構部20の加工動作(NCプログラムの1サイクル)が完了する。
【0064】
そうして、加工動作機構部20によるワーク100の加工動作が完了すると(数値制御部172によるNCプログラムの実行が完了すると)、表示制御部173において工作機械10が操作待ち状態に切り替わったと判定され、メインタッチパネル163の標識表示領域r3に位置識別標識T1が表示される。その後、メインタッチパネル163の起動ボタン168が押されて、加工動作機構部20により次のワーク100の加工が開始すると、表示制御部173において前記操作待ち状態が解除されたと判定され、前記位置識別標識T1が非表示に切替わる。
【0065】
次に、
図10を参照して、無人搬送車35及びロボット25を制御するAGV制御装置40について説明する。
【0066】
AGV制御装置40は、動作プログラム記憶部41、移動位置記憶部42、動作姿勢記憶部43、マップ情報記憶部44、基準画像記憶部45、手動運転制御部46、自動運転制御部47、マップ情報生成部48、位置認識部49、補正量算出部50及び入出力インターフェース51から構成される。そして、AGV制御装置40は、この入出力インターフェース51を介して、ロボット25、カメラ31、無人搬送車35及びAGV操作盤37に接続している。
【0067】
尚、AGV制御装置40は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成され、前記手動運転制御部46、自動運転制御部47、マップ情報生成部48、位置認識部49、補正量算出部50及び入出力インターフェース51は、コンピュータプログラムによってその機能が実現され、後述する処理を実行する。また、動作プログラム記憶部41、移動位置記憶部42、動作姿勢記憶部43、マップ情報記憶部44及び基準画像記憶部45はRAMなどの適宜記憶媒体から構成される。
【0068】
前記手動運転制御部46は、オペレータにより前記AGV操作盤37から入力される操作信号に従って、前記無人搬送車35、ロボット25及びカメラ31を動作させる機能部である。即ち、オペレータは、この手動運転制御部46による制御の下で、AGV操作盤37を用いた、前記無人搬送車35、ロボット25及びカメラ31の手動操作を実行することができる。
【0069】
前記動作プログラム記憶部41は、生産時に前記無人搬送車35及び前記ロボット25を自動運転するための自動運転用プログラム、並びに後述する工場内のマップ情報を生成する際に前記無人搬送車35を動作させるためのマップ生成用プログラムを記憶する機能部である。自動運転用プログラム及びマップ生成用プログラムは、例えば、前記AGV操作盤37に設けられた入出力部から入力され、当該動作プログラム記憶部41に格納される。
【0070】
尚、この自動運転用プログラムには、無人搬送車35が移動する目標位置としての移動位置、移動速度及び無人搬送車35の向きに関する指令コードが含まれ、また、ロボット25が順次動作する当該動作に関する指令コード、及び前記カメラ31の操作に関する指令コードが含まれる。また、マップ生成用プログラムは、前記マップ情報生成部48においてマップ情報を生成できるように、無人搬送車35を無軌道で工場内を隈なく走行させるための指令コードが含まれる。
【0071】
前記マップ情報記憶部44は、無人搬送車35が走行する工場内に配置される機械、装置、機器など(装置等)の配置情報を含むマップ情報を記憶する機能部であり、このマップ情報は前記マップ情報生成部48によって生成される。
【0072】
前記マップ情報生成部48は、詳しくは後述する前記AGV制御装置40の自動運転制御部47による制御の下で、前記動作プログラム記憶部41に格納されたマップ生成用プログラムに従って無人搬送車35を走行させた際に、前記位置センサによって検出される距離データから工場内の空間情報を取得するとともに、工場内に配設される装置等の平面形状を認識し、例えば、予め登録された装置等の平面形状を基に、工場内に配設された具体的な装置、本例では、工作機械10の位置、平面形状等(配置情報)を認識する。そして、マップ情報生成部48は、得られた空間情報及び装置等の配置情報を工場内のマップ情報として前記マップ情報記憶部44に格納する。
【0073】
前記位置認識部49は、前記位置センサによって検出される距離データ、及び前記マップ情報記憶部44に格納された工場内のマップ情報を基に、工場内における無人搬送車35の位置を認識する機能部であり、この位置認識部49によって認識される無人搬送車35の位置に基づいて、当該無人搬送車35の動作が前記自動運転制御部47によって制御される。
【0074】
前記移動位置記憶部42は、前記無人搬送車35が移動する具体的な目標位置としての移動位置であって、前記動作プログラム中の指令コードに対応した具体的な移動位置を記憶する機能部であり、この移動位置には、上述した工作機械10に対して設定される作業位置が含まれる。尚、この移動位置は、例えば、前記手動運転制御部46による制御の下、前記AGV操作盤37により前記無人搬送車35を手動運転して、目標とする各位置に移動させた後、前記位置認識部49によって認識される位置データを前記移動位置記憶部42に格納する操作によって設定される。この操作は所謂ティーチング操作と呼ばれる。
【0075】
前記動作姿勢記憶部43は、前記ロボット25が所定の順序で動作することによって順次変化するロボット25の姿勢(動作姿勢)であって、前記動作プログラム中の指令コードに対応した動作姿勢に係るデータを記憶する機能部である。この動作姿勢に係るデータは、前記手動運転制御部46による制御の下で、前記AGV操作盤37を用いたティーチング操作により、当該ロボット25を手動運転して、目標とする各姿勢を取らせたときの、当該各姿勢におけるロボット25の各関節(モータ)の回転角度データであり、この回転角度データが動作姿勢に係るデータとして前記動作姿勢記憶部43に格納される。
【0076】
ロボット25の具体的な動作姿勢としては、カメラ31がメインタッチパネル163の標識表示領域r3を撮像可能な撮像姿勢(
図11参照)と、無人搬送車35が工作機械10の作業位置に停車した状態で、ハンド29によってメインタッチパネル163の操作ボタン166〜168を操作可能な操作姿勢(図示省略)と、工作機械10に対して作業行うための作業姿勢(図示省略)とが設定される。
【0077】
前記撮像姿勢は、
図11に示すように、例えば一対のカメラ31による光軸の先にメインタッチパネル163の標識表示領域r3が位置するように設定される。
【0078】
前記ロボット25の作業姿勢としては、ハンド29によって、載置面36に載置されたバケット38内の加工前のワーク100を把持して取出す取出し姿勢と、ハンド29によって、該取出した加工前のワーク100を工作機械10内の待機位置にある下刃物台14の投入用のワーク受け部材142Aにセットする投入姿勢と、工作機械10内の待機位置にある下刃物台14の払出し用のワーク受け部材142Bから、加工後のワーク100を把持して取出す払出し姿勢と、把持した加工後のワーク100をバケット38内に収納する収納姿勢とが設定される。
【0079】
また、前記ロボット25の操作姿勢としては、ハンド29によってメインタッチパネル163の扉開ボタン166を押す扉開操作姿勢と、ハンド29によってメインタッチパネル163の扉閉ボタン167を押す扉閉操作姿勢と、ハンド29によってメインタッチパネル163の起動ボタン168を押す起動操作姿勢とが設定される。各操作姿勢では、例えば
図12に示すように、ハンド29における一対の把持部材292の一方を、メインタッチパネル163の各操作ボタン166〜168に押し当てる。このとき、把持部材292の先端のエッジ292aのみをメインタッチパネル163に接触させることで、各操作ボタン166〜168をピンポイントで(正確に)操作することができる。エッジ292aは曲面状に形成されていることが好ましい。こうすることで、メインタッチパネル163にエッジ292aとの接触痕が生じるのを防止することができる。
【0080】
前記自動運転制御部47は、前記動作プログラム記憶部41に格納された自動運転用プログラム及びマップ生成用プログラムのいずれかを用い、当該プログラムに従って無人搬送車35、ロボット25及びカメラ31を動作させる機能部である。その際、前記移動位置記憶部42及び動作姿勢記憶部43に格納されたデータが必要に応じて使用される。自動運転制御部47による無人搬送車35及びロボット25の具体的な制御処理については後述する。
【0081】
前記基準画像記憶部45は、ティーチング操作時に、無人搬送車35が工作機械10に対して設定された作業位置に在り且つロボット25が撮像姿勢にあるときに、メインタッチパネル163の標識表示領域r3に表示された位置識別標識T1を、2つのカメラ31により撮像して得られた画像を、基準画像として記憶する機能部である。
【0082】
前記補正量算出部50は、前記自動運転制御部47による制御の下で、前記動作プログラム記憶部41に格納された自動運転用プログラムに従って前記ロボット25が自動運転される際に、当該ロボット25が撮像姿勢に在り、2つのカメラ31によって前記位置識別標識T1が撮像されると、当該自動運転時に得られた位置識別標識T1の画像と、前記基準画像記憶部45に格納された基準画像とを基に、ティーチング操作時におけるロボット25の撮像姿勢と、自動運転時におけるロボット25の撮像姿勢との誤差量を算出する。
【0083】
図9(b)に自動運転時に撮像された位置識別標識T1の一例を示している。前記カメラ31は所謂ステレオカメラであり、これらによって得られる画像から、カメラ31と位置識別標識T1との間の相対的な位置関係、及び位置識別標識T1に対するカメラ31の回転角、例えば、直交3軸周りの回転角を算出することができる。斯くして、前記基準画像を基に算出される位置関係及び回転角、並びに自動運転時に得られる画像を基に算出される位置関係及び回転角から、ティーチング時の撮像姿勢と、自動運転時の撮像姿勢との間の誤差量を算出することができる。
【0084】
そして、補正量算出部50は、ロボット25に操作姿勢を取らせたときにロボット25と各操作ボタン166〜168との位置関係が、ティーチング操作時と比べて前記誤差量分だけずれると認識(推定)して、認識したずれ量を補正するべく、ロボット25を各操作姿勢に移行させる際のティーチングデータの補正量を算出する。換言すると、補正量算出部50は、位置識別標識T1の画像を基に、ロボット25と各操作ボタン166〜168との位置関係を認識し、認識した位置関係を基に、ロボット25の各操作姿勢の補正量を算出する。
【0085】
尚、本例では、バケット38内の加工前のワーク100を取出す取出し姿勢、及び、バケット38内に加工後のワーク100を収納する収納姿勢については、無人搬送車35の停車位置にバラツキが生じたとしても、ロボット25とバケット38内のワーク100との位置関係は変化しないので、補正を行わない。また、投入用のワーク受け部材142Aにワーク100を投入する投入姿勢、及び、払出し用のワーク受け部材142Bからワーク100を払出す払出し姿勢についても、各ワーク受け部材142A,142Bの溝部142aによるワーク100の位置ずれ許容度が比較的大きいので、補正を行わない。これにより、ロボット25の姿勢補正が不必要に実行されてロボット25の動作が遅延するのを防止している。
【0086】
図13は、AGV制御装置40により実行される無人搬送車35及びロボット25の自動運転制御の一例を示すフローチャートである。
【0087】
この自動運転制御では、先ず、自動運転制御部47が、動作プログラム記憶部41に記憶された動作プログラムに従って、無人搬送車35を工作機械10に対して設定された作業位置に停車させる(ステップS1)。
【0088】
自動運転制御部47は、無人搬送車35を前記作業位置に停車させた後、ロボット25に撮像姿勢(
図11参照)を取らせるとともにカメラ31に撮像処理を開始させる(ステップS2)。
【0089】
次いで、自動運転制御部47は、カメラ31による撮像画像を取得し、取得した撮像画像中に、位置識別標識T1を検出したか否かを判定する(ステップS3)。
【0090】
ここで、工作機械10が、メインタッチパネル163の操作ボタン166〜168に対する操作待ち状態にある場合には、上述したように、工作機械10の表示制御部173によって標識表示領域r3(
図8参照)に位置識別標識T1が表示される。
【0091】
自動運転制御部47では、撮像画像中に位置識別標識T1を検出できない場合(ステップS3でNOの場合)には、工作機械10が操作待ち状態でないものとして、ロボット25を撮像姿勢に維持してカメラ31による撮像処理を継続する。
【0092】
一方、自動運転制御部47では、撮像画像中に位置識別標識T1を検出した場合(ステップS3でYESの場合)には、工作機械10が操作待ち状態にあるものとして、ロボット25に操作ボタン166〜168を操作させる前準備として、補正量算出部50にロボット25の操作姿勢の補正量を算出させる。具体的には、補正量算出部50は、上述したように、位置識別標識T1の画像を基に、ロボット25と、メインタッチパネル163の各操作ボタン166〜168との位置関係を認識し(ステップS4)、認識した位置関係を基に、ロボット25の操作姿勢の補正量を算出する(ステップS5)。
【0093】
そして、自動運転制御部47は、前記補正量算出部50が算出した補正量を基に、動作姿勢記憶部43に記憶されたロボット25の扉開操作姿勢を補正して、ロボット25に該補正した扉開操作姿勢を取らせる(ステップS6)。これにより、メインタッチパネル163の扉開ボタン166がロボット25のハンド29により押されて、開閉扉15が全閉位置から全開位置に移動する。
【0094】
この状態で、自動運転制御部47は、ロボット25にワーク100の投入及び払出しを実行させる(ステップS7)。具体的には、先ず、ロボット25に、前記取出し姿勢を取らせて、無人搬送車35のバケット38内(加工前収納部38a内)の加工前のワーク100をハンド29により把持させる。次いで、ロボット25に前記投入姿勢を取らせて、ハンド29に把持したワーク100を投入用のワーク受け部材142Aにセットし、次いで、ロボット25に前記払出し姿勢を取らせて、ハンド29に、払出し用のワーク受け部材142Bにセットされた加工後のワーク100を把持させる。そして、ロボット25に前記収納姿勢を取らせて、ハンド29が把持した加工後のワーク100を無人搬送車35のバケット38内(加工後収納部38b内)に収納させる。こうして、ロボット25によるワーク100の投入払出し作業が完了する。
【0095】
そして、自動運転制御部47は、ロボット25によるワーク100の投入払出しが完了した後、ステップS5で算出した補正量を基に、動作姿勢記憶部43に記憶されたロボット25の扉閉姿勢を補正して、ロボット25に該補正した扉閉姿勢を取らせる(ステップS8)。これにより、メインタッチパネル163の扉閉ボタン167がロボット25のハンド29により押されて、開閉扉15が全開位置から全閉位置に移動する。
【0096】
続いて、自動運転制御部47は、ステップS5で算出した補正量を基に、動作姿勢記憶部43に記憶されたロボット25の起動操作姿勢を補正して、ロボット25に該補正した起動操作姿勢を取らせる(ステップS9)。これにより、メインタッチパネル163の起動ボタン168がロボット25のハンド29により押されて、加工動作機構部20によるワーク100の加工が実行される。
【0097】
自動運転制御部47は、ロボット25に起動姿勢を取らせた後は、現在加工中のワーク100が最後のワークであるか否かを判定する(ステップS10)。この判定では、工作機械10に投入したワーク100の数が、所定個数に達したか否かを判定する。この所定個数は、例えばAGV操作盤37を介してオペレータにより設定される。自動運転制御部47は、現在加工中のワーク100が最後のワークであると判定した場合(ステップS10でYESの場合)には、ロボット25により最後のワーク100を払出した後、無人搬送車35を次工程(例えば、測定工程や洗浄工程)の作業位置に移動させる一方、最後のワークでないと判定した場合(ステップS10でNОの場合)にはステップ2に戻り、ロボット25に撮像姿勢を取らせてカメラ31による撮像処理を実行する。そうして、全てのワーク100の加工が終了するまで、ステップS1〜ステップS10の処理を繰り返すことで、ロボット25と工作機械10とを協働させてワーク100の無人加工が実現される。
【0098】
以上説明したように本実施形態の協働システム1によれば、AGV制御装置40は、カメラ31が撮像した位置識別標識T1の画像を基に、無人搬送車35に搭載されたロボット25と、メインタッチパネル163に表示された各操作ボタン166〜168との位置関係を認識して、認識した位置関係を基に、ロボット25にこれらの操作ボタン166〜168を操作させるように構成されている。これにより、無人搬送車35の停車位置のバラツキが生じたとしても、ロボット25と各操作ボタン166〜167との位置関係を精度良く把握することができるので、ロボット25による各操作ボタン166〜168の操作を正確に行うことができる。
【0099】
また、位置識別標識T1は、NC操作盤16のメインタッチパネル163に表示されるので、例えば位置識別標識T1をNC操作盤16から離れた工作機械10のカバー表面に設けるようにした場合に比べて、ロボット25による各操作ボタン166〜168の操作精度を向上させることができる。
【0100】
また、本実施形態では、工作機械10が、メインタッチパネル163の操作ボタン166〜168に対する操作待ち状態になると、表示制御部173によってメインタッチパネル163の標識表示領域r3に位置識別標識T1が表示される。そして、AGV制御装置40の自動運転制御部47は、カメラ31による撮像画像中に位置識別標識T1を検出した場合(ステップS3でYESの場合)に、ロボット25にメインタッチパネル163の操作ボタン166〜168の操作を実行させるように構成されている(ステップS6,ステップS8及びステップS9)。
【0101】
これによれば、AGV制御装置40と工作機械制御装置17との間で通信手段を有していない場合であっても、AGV制御装置40が位置識別標識T1を検出したことをトリガーとして、適切なタイミングでロボット25に操作ボタン166〜168の操作を実行させることができる。
【0102】
また、本実施形態では、ロボット25は、該ロボット25に備わったハンド29の一部(一方の把持部材292のエッジ292a)を各操作ボタン166〜168に接触させることで、各操作ボタン166〜168の操作を行うように構成されている。
【0103】
これによれば、ロボット25に備わった既存のハンド29の一部を利用して各操作ボタン166〜168を操作することができる。よって、各操作ボタン166〜168を操作するための操作部材を別途設ける場合に比べて、部品点数を削減してコスト低減することができる。
【0104】
(変形例1)
次に、実施形態の変形例1を説明する。この変形例では、メインタッチパネル163の標識表示領域r3に、位置識別標識T1の他に、
図14に示す扉開完了標識T2を表示可能になっている点、及び、扉開完了標識T2に基づくロボット25の動作制御を行う点で前記実施形態とは異なる。
【0105】
すなわち、本変形例では、ロボット25が扉開ボタン166を押した後(前記実施形態におけるステップS6の後)、開閉扉15が実際に全開位置に移動したときに、工作機械制御装置17の表示制御部173による制御の下、
図14に示すように、メインタッチパネル163の標識表示領域r3に扉開完了標識T2を表示する。扉開完了標識T2は円形状の図形標識とされているが、これに限ったものではなく、撮像画像を画像処理したときに位置識別標識T1と区別可能であれば如何なるデザイン構成(形状、模様、及び色彩等)であってもよい。また、前記開閉扉15が実際に全開位置に移動したことは、工作機械10内に設けられたセンサ(例えば、開閉扉15を検知する近接センサ等)からの信号を基に検出すればよい。
【0106】
一方、ロボット25は、扉開ボタン166を押した後(前記実施形態におけるステップS6の後)、AGV制御装置40の自動運転制御部47による制御の下、撮像姿勢を取ってカメラ31による撮像処理を開始する。そして、自動運転制御部47は、カメラ31による撮像画像中に扉開完了標識T2を検出した場合には、ロボット25にワーク100の投入払出し動作(前記実施形態におけるステップS7の動作)を実行させる一方、扉開完了標識T2を検出しない場合には、ロボット25による投入払出し動作を禁止してカメラ31に撮像処理を継続させる。
【0107】
本変形例によれば、ロボット25が扉開ボタン166を押した後、開閉扉15が実際に全開位置に移動しない限り、ロボット25によるワーク100の投入払出し動作は実行されない。したがって、例えば、開閉扉15が故障により開放動作の途中で停止してしまった場合には、ロボット25によるワーク100の投入払出し動作は実行されないので、ロボット25が開閉扉15と干渉するのを防止することができる。
【0108】
(変形例2)
次に、実施形態の変形例2を説明する。この変形例では、メインタッチパネル163の標識表示領域r3に、位置識別標識T1の他に、
図15に示す工程完了標識T3を表示可能になっている点、及び、工程完了標識T3に基づくロボット25の動作制御を行う点で前記実施形態とは異なる。
【0109】
すなわち、本変形例では、工作機械制御装置17の表示制御部173は、例えばNC操作盤16を介してオペレータが入力したジョブ情報を基に、全てのワーク100の加工が完了したか否かを判定する。そして、表示制御部173は、全てのワーク100の加工が完了したと判定した場合には、
図15に示すように、メインタッチパネル163の標識表示領域r3に工程完了標識T3を表示する。本変形例では、工程完了標識T3は三角形状の図形標識とされているが、これに限ったものではなく、撮像画像を画像処理したときに他の標識(位置識別標識T1及び扉開完了標識T2等)と区別可能であれば如何なるデザイン構成(形状、模様、及び色彩等)であってもよい。
【0110】
一方、AGV制御装置40の自動運転制御部47は、ロボット25に起動ボタン168を押させた後(前記実施形態のステップS9の処理を実行した後)、ロボット25に撮像姿勢を取らせてカメラ31による撮像処理を実行する。そして、自動運転制御部47は、カメラ31による撮像画像中に工程完了標識T3を検出した場合には、ロボット25に最後のワーク100を払出させた後、無人搬送車35を次工程(例えば、測定工程や洗浄工程)の作業位置に移動させる一方、撮像画像中に工程完了標識T3が検出されない場合には、ロボット25を撮像姿勢に維持してカメラ31による撮像処理を継続する。
【0111】
本変形例によれば、前記実施形態のようにオペレータがAGV操作盤37を介して予めワーク100の加工総数を入力しておく必要がないので、オペレータの準備負担を低減することができる。
【0112】
(変形例3)
次に、実施形態の変形例3を説明する。この変形例では、
図16に示すように、ロボット25が、ボールプランジャ293を介してメインタッチパネル163の操作ボタン166〜168を操作する点で前記実施形態とは異なる
【0113】
ボールプランジャ293は、ハンド29におけるボディ291の側面にブラケット部材294を介して支持されている。
【0114】
ブラケット部材294は、ロボット25が操作姿勢を取った状態で、ボディ291の側面から一対の把持部材292と平行に斜め下方に延びた後、メインタッチパネル163側に直角に折れ曲がるように形成されている。
【0115】
ボールプランジャ293は、ブラケット部材294の先端部に形成された取付穴294aに圧入又は螺合して固定されている。ボールプランジャ293は、ボール293aと、ボール293aをメインタッチパネル163側に付勢する付勢バネ293bとを有している。そして、ロボット25が各操作姿勢を取った際に、ボールプランジャ293のボール293aが、各操作姿勢に対応する操作ボタン166〜168に接触するようになっている。このボール293aが操作部材として機能し、付勢バネ293bが、ボール293aと各操作ボタン166〜168との接触時の衝撃を緩和する緩衝部として機能する。
【0116】
本変形例3によれば、ロボット25が各操作姿勢を取った際に、操作部材であるボール293aがメインタッチパネル163に作用させる衝撃を緩和することができる。よって、ロボット25による各操作ボタン166〜168の操作を安全に行うことができる。
【0117】
(他の実施形態)
前記実施形態では、AGV制御装置40の自動運転制御部47は、カメラ31による撮像画像中に位置識別標識T1を検出したときに、ロボット25による操作ボタン166〜168の操作処理を実行するように構成されているが、操作処理のタイミングはこれに限ったものではない。例えば、カメラ31により工作機械10のパトライト(登録商標)を監視しておき、パトライトの色が加工動作の完了(NCプログラムの実行完了)を示す色に切り替わったことを検出したときに、ロボット25による操作処理を実行するようにしてもよい。
【0118】
前記実施形態において、ワーク100の加工動作が完了すると、表示制御部173によりメインタッチパネル163の標識表示領域r3に位置識別標識T1を表示するようにしているが、これに限ったものではない。例えば、工作機械10が各種の異常(加工トラブルや機器の故障)に起因して停止している場合には、ワーク100の加工が完了していたとしても、位置識別標識T1をメインタッチパネル163の標識表示領域r3に表示しないようにしてもよい。これにより、工作機械10に異常が生じているにも拘わらずロボット25が操作ボタン166〜168を操作して二次異常が発生するのを回避することができる。
【0119】
前記実施形態では、工作機械10の操作待ち状態は、三つの操作ボタン166〜168が全て操作されたことをもって操作待ち状態が解除される例を示したが、これに限ったものではなく、例えば、ワーク100の加工完了後、三つの操作ボタン166〜168のうち最初に操作する必要がある扉開ボタン166が操作されたことをもって、操作待ち状態が解除されたと判定してもよい。
【0120】
前記実施形態では、補正量算出部50が算出した補正量を基にロボット25の操作姿勢のみを補正するようにしているが、これに限ったものではなく、ロボット25の操作姿勢に加えて作業姿勢(投入払出し作業時の各作業姿勢)も補正するようにしてもよい。
【0121】
前記実施形態では、位置識別標識T1をメインタッチパネル163に表示するようにしているが、これに限ったものではなく、位置識別標識T1はNC操作盤16の表面に物理的に固定されていてもよい。一例として、位置識別標識T1が印字されたシールをNC操作盤16の表面に貼付けてもよい。
【0122】
前記実施形態では、表示制御部173による制御の下、メインタッチパネル163の表示画面上で位置識別標識T1の表示/非表示を切替えることで、位置識別標識T1を撮像可能状態と撮像不能状態とに切替えるようにしているが、これに限ったものではない。例えば、NC操作盤16の表面に位置識別標識T1を物理的に固定し、スライド式のシャッターや回動式の扉等からなる可動部材によって、位置識別標識T1を撮像可能状態と撮像不能状態とに切替えるようにしてもよい。この場合、可動部材は、工作機械制御装置17からの指令を受けたアクチュエータによって、位置識別標識T1を覆う覆い位置と、位置識別標識T1を露出させる露出位置とに選択的に切替えられる。
【0123】
前記実施形態では、カメラ31がロボット25に取付けられている例を説明したが、これに限ったものではなく、カメラ31は、例えば無人搬送車35に取付けられていてもよい。
【0124】
前記実施形態では、メインタッチパネル163に表示される操作ボタン166〜168を被操作部の一例として説明したが、これに限ったものではなく、被操作部は、例えばNC操作盤16に物理的に固定されたハードボタン164であってもよい。また、被操作部である操作ボタンの数は三つに限らず、二つ以下であってもよいし、四つ以上であってもよい。また、被操作部は、押しボタン式の操作ボタンに限らず、例えばレバー式の操作スイッチ等で構成されていてもよい。
【0125】
前記実施形態では、無人搬送車35が、工作機械10による全てのワーク100の加工が完了するまで作業位置に停車している例を説明したが、これに限ったものではない。例えば、工作機械10の隣に測定装置及び洗浄装置を並べて、工作機械10によるワーク100の加工中は、無人搬送車35を、測定装置及び洗浄装置に対して予め設定された作業装置に移動させて、ロボット25に、加工後のワーク100の寸法測定及び洗浄処理を実行させるようにしてもよい。
【0126】
また、前記実施形態では、AGV制御装置40は無人搬送車35に搭載されているが、これに限ったものではない。AGV制御装置40は、例えば工場の建屋内に設置されて無人搬送車35及びロボット25を無線通信により遠隔操作するものであってもよい。
【0127】
また、前記実施形態では、工作機械10が、ロボット25及び無人搬送車35との通信機器を有していない例を説明したが、これに限ったものではなく、通信機器を有していてもよい。このように通信機器を有する場合においても、必要に応じて、ロボット25にNC操作盤16を操作させることで、通信機器の故障や通信規格の不一致があっても、工作機械10とロボット25とを協働させることができる。
【0128】
前記実施形態では、産業機械の一例として工作機械10を挙げて説明したが、これに限ったものではない。産業機械とは工作機械10に限らず、産業上利用可能な全ての機械を含むものである。
【0129】
また、本発明には、前記実施形態及び前記変形例1〜3の任意の組合わせが含まれる。
【0130】
尚、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【課題】産業機械と、ロボットが搭載された無人搬送車とを備えた協働システムにおいて、無人搬送車の停車位置にバラツキが生じたとしても、ロボットに、産業機械の操作盤に設けられた被操作部を正確に操作させる。
【解決手段】産業機械の操作盤16の所定箇所には位置識別標識T1が設けられ、無人搬送車又はロボット25は、無人搬送車25が所定の作業位置に停車した状態で操作盤16の前記所定箇所を撮像可能なカメラ31を有している。ロボット25及び無人搬送車を制御する制御装置は、無人搬送車を作業位置に停車させた状態で、カメラ31に操作盤16の所定箇所を撮像させる撮像処理と、該撮像処理により得られた撮像画像中に含まれる位置識別標識T1の画像を基に、被操作部166〜168とロボット25との位置関係を認識して、認識した該位置関係を基に、ロボット25に操作盤16の被操作部166〜168を操作させる操作処理とを実行する。