(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6848272
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】形鋼及びそれを用いた斜材支持構造並びに形鋼の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04C 3/07 20060101AFI20210315BHJP
E04B 7/02 20060101ALI20210315BHJP
E04B 1/24 20060101ALI20210315BHJP
B21C 37/00 20060101ALI20210315BHJP
B21D 7/08 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
E04C3/07
E04B7/02 521Z
E04B1/24 E
B21C37/00 A
B21C37/00 K
B21D7/08 E
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-171518(P2016-171518)
(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公開番号】特開2018-35631(P2018-35631A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 明良
(72)【発明者】
【氏名】冨村 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】家成 徹
【審査官】
兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−094095(JP,A)
【文献】
特開平09−268701(JP,A)
【文献】
特公昭48−039655(JP,B1)
【文献】
特開2005−194771(JP,A)
【文献】
特開平03−035819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 3/04−3/11
E04B 1/24
E04B 7/02
H02S 20/23−20/24
B21C 37/00
B21D 5/08,7/08
B21D 47/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手状の第1板部と、
前記第1板部の幅方向の一端と接合された第2板部と、
前記第1板部の幅方向の他端と接合された第3板部と
を備え、
前記第2及び第3板部の幅方向が前記第1板部の幅方向と交わるように前記第2及び第3板部が延在されている形鋼であって、
前記第1板部には、前記第1板部の板面の一部が当該板面に直交する方向に突出するように屈曲されたリブが形成されており、前記リブは、前記第1板部の長手方向の一端から他端に向かって前記リブの幅が狭くなるように設けられ、前記リブの端部は、前記第1板部の長手方向の一端において開放されるとともに、前記第1板部の長手方向の他端側において閉鎖されており、前記第1板部の板面から前記リブの頂部に至る前記リブの深さは、前記第1板部の長手方向の一端から他端に向かって浅くなっており、
前記第1板部の幅が前記第1板部の長手方向の一端から他端に向かって広くなるように、前記第2板部に対して前記第3板部が傾斜して延在されている、
形鋼。
【請求項2】
水平に対して傾斜して延在する斜材を支持する斜材支持構造であって、
長手状の第1板部と、前記第1板部の幅方向の一端に接合された第2板部と、前記第1板部の幅方向の他端に接合された第3板部とを有し、前記第2及び第3板部の幅方向が前記第1板部の幅方向と交わるように前記第2及び第3板部が延在されている複数の型鋼であって、前記第1板部には、前記第1板部の板面の一部が当該板面に直交する方向に突出するように屈曲されたリブが形成されており、前記リブは、前記第1板部の長手方向の一端から他端に向かって前記リブの幅が狭くなるように設けられ、前記リブの端部は、前記第1板部の長手方向の一端において開放されるとともに、前記第1板部の長手方向の他端側において閉鎖されており、前記第1板部の板面から前記リブの頂部に至る前記リブの深さは、前記第1板部の長手方向の一端から他端に向かって浅くなっており、前記第1板部の幅が前記第1板部の長手方向の一端から他端に向かって広くなるように、前記第2板部に対して前記第3板部が傾斜して延在されている複数の形鋼、並びに
前記第2板部が水平に延在するように前記複数の形鋼を支持する支持体
を備え、
前記複数の形鋼の前記第3板部に前記斜材が載置されている
ことを特徴とする斜材支持構造。
【請求項3】
前記斜材は、屋根材である
ことを特徴とする請求項2記載の斜材支持構造。
【請求項4】
前記斜材は、屋外の床材である
ことを特徴とする請求項2記載の斜材支持構造。
【請求項5】
前記斜材は、太陽電池パネルである
ことを特徴とする請求項2記載の斜材支持構造。
【請求項6】
長手状の第1板部と、前記第1板部の幅方向の一端に接合された第2板部と、前記第1板部の幅方向の他端に接合された第3板部とを有し、前記第2及び第3板部の幅方向が前記第1板部の幅方向と交わるように前記第2及び第3板部が互いに平行に延在されている形鋼素体を準備するステップ、
互いに離間して配置された一対の下ロールを有する下型と、前記下ロール間の上方に配置された上ロールを有する上型との間に、前記形鋼素体の第1板部を配置するステップ、並びに
前記上ロールとともに前記下ロール間に前記第1板部を押込み、前記下ロール間への前記第1板部の押込み量を変化させつつ、前記下型及び前記上型に対して相対的に前記形鋼素体を前記第1板部の長手方向に変位させて、前記第1板部の板面の一部が当該板面に直交する方向に突出するように屈曲されたリブを前記第1板部に形成し、前記第1板部の幅が前記第1板部の長手方向の一端から他端に向かって広くなるように、前記第2板部に対して前記第3板部を傾斜して延在させるステップ
を含み、
前記リブは、前記第1板部の長手方向の一端から他端に向かって前記リブの幅が狭くなるように設けられ、前記リブの端部は、前記第1板部の長手方向の一端において開放されるとともに、前記第1板部の長手方向の他端側において閉鎖されており、前記第1板部の板面から前記リブの頂部に至る前記リブの深さは、前記第1板部の長手方向の一端から他端に向かって浅くなっている、
形鋼の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば形鋼等の形鋼及び斜材支持構造並びに形鋼の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の形鋼としては、例えば下記の特許文献1等に示されている形鋼を挙げることができる。すなわち、従来の形鋼は、長手状の板体からなるウェブと、ウェブを介して互いに連結された上フランジ及び下フランジとを有している。ウェブの幅は、ウェブの長手方向に均一とされており、上フランジ及び下フランジは互いに平行に延在されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−70419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の形鋼では、上フランジ及び下フランジは互いに平行に延在されているので、下フランジを水平に延在させると、上フランジも水平に延在される。このため、例えば屋根下地等の水平に対して傾斜して延在される斜材を従来の形鋼によって直接支えようとする場合、形鋼を水平に対して傾斜した状態で支持する必要がある。家屋等の建築物には、例えば柱や梁等の水平又は鉛直に延在された部材が含まれている。しかしながら、形鋼を傾斜して支持するための部材は、その形鋼を支持するためだけに別途準備する必要がある。すなわち、従来の形鋼を用いて斜材を支えようとした場合、
図21に示すように形鋼150を傾斜支持するための付加部材9が必要となり、コストが増大してしまう。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、形鋼を傾斜支持するための付加部材を必要とせずに斜材を支持することができる形鋼及び斜材支持構造並びに形鋼の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る形鋼は、長手状の第1板部と、第1板部の幅方向の一端と接合された第2板部と、第1板部の幅方向の他端と接合された第3板部とを備え、第2及び第3板部の幅方向が第1板部の幅方向と交わるように第2及び第3板部が延在されている形鋼であって、第1板部には、
第1板部の板面の一部が当該板面に直交する方向に突出するように屈曲されたリブが形成されており、
リブは、第1板部の長手方向の一端から他端に向かってリブの幅が狭くなるように設けられ、リブの端部は、第1板部の長手方向の一端において開放されるとともに、第1板部の長手方向の他端側において閉鎖されており、第1板部の板面からリブの頂部に至るリブの深さは、第1板部の長手方向の一端から他端に向かって浅くなっており、第1板部の幅が第1板部の長手方向の一端から他端に向かって広くなるように、第2板部に対して第3板部が傾斜して延在されている。
【0007】
本発明に係る形鋼を用いた斜材支持構造は、水平に対して傾斜して延在する斜材を支持する斜材支持構造であって、長手状の第1板部と、第1板部の幅方向の一端に接合された第2板部と、第1板部の幅方向の他端に接合された第3板部とを有し、第2及び第3板部の幅方向が第1板部の幅方向と交わるように第2及び第3板部が延在され
ている複数の型鋼であって、第1板部には、第1板部の板面の一部が当該板面に直交する方向に突出するように屈曲されたリブが形成されており、リブは、第1板部の長手方向の一端から他端に向かってリブの幅が狭くなるように設けられ、リブの端部は、第1板部の長手方向の一端において開放されるとともに、第1板部の長手方向の他端側において閉鎖されており、第1板部の板面からリブの頂部に至るリブの深さは、第1板部の長手方向の一端から他端に向かって浅くなっており、第1板部の幅が第1板部の長手方向の一端から他端に向かって広くなるように、第2板部に対して第3板部が傾斜して延在されている複数の形鋼、並びに第2板部が水平に延在するように複数の形鋼を支持する支持体を備え、複数の形鋼の第3板部に斜材が載置されている。
【0008】
本発明に係る形鋼の製造方法は、長手状の第1板部と、第1板部の幅方向の一端に接合された第2板部と、第1板部の幅方向の他端に接合された第3板部とを有し、第2及び第3板部の幅方向が第1板部の幅方向と交わるように第2及び第3板部が延在されている形鋼素体を準備するステップ、互いに離間して配置された一対の下ロールを有する下型と、下ロール間の上方に配置された上ロールを有する上型との間に、形鋼素体の第1板部を配置するステップ、並びに上ロールとともに下ロール間に第1板部を押込み、下ロール間への第1板部の押込み量を変化させつつ、下型及び上型に対して相対的に形鋼素体を第1板部の長手方向に変位させて、
第1板部の板面の一部が当該板面に直交する方向に突出するように屈曲されたリブを第1板部に形成し、
第1板部の幅が第1板部の長手方向の一端から他端に向かって広くなるように、第2板部に対して第3板部を傾斜して延在させるステップを含
み、リブは、第1板部の長手方向の一端から他端に向かってリブの幅が狭くなるように設けられ、リブの端部は、第1板部の長手方向の一端において開放されるとともに、第1板部の長手方向の他端側において閉鎖されており、第1板部の板面からリブの頂部に至るリブの深さは、第1板部の長手方向の一端から他端に向かって浅くなっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の形鋼及びそれを用いた斜材支持構造によれば、第2板部に対して第3板部が傾斜して延在されているので、第2板部が水平に延在するように形鋼が支持されることにより、第3板部が水平に対して傾斜して延在される。これにより、形鋼を傾斜支持するための付加部材を必要とせずに斜材を支持することができる。また、本発明の形鋼の製造方法により上述のような形鋼を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1による形鋼を示す斜視図である。
【
図6】
図1の形鋼を用いた斜材支持構造の第1態様を示す斜視図である。
【
図7】
図1の形鋼を用いた斜材支持構造の第2態様を示す斜視図である。
【
図8】
図1の形鋼を用いた斜材支持構造の第3態様を示す斜視図である。
【
図9】
図1の形鋼を用いた斜材支持構造の第4態様を示す斜視図である。
【
図10】
図1の形鋼を用いた斜材支持構造の第5態様を示す斜視図である。
【
図11】
図1の形鋼を用いた斜材支持構造の第6態様を示す斜視図である。
【
図12】
図1の形鋼を用いた斜材支持構造の第7態様を示す斜視図である。
【
図13】
図1の形鋼を用いた斜材支持構造の第8態様を示す斜視図である。
【
図14】本発明の実施の形態1による形鋼の製造方法で用いる形鋼素体を示す斜視図である。
【
図15】本発明の実施の形態1による形鋼の製造方法で用いる形鋼製造装置を示す斜視図である。
【
図17】
図1の形鋼の第1変形例を示す斜視図である。
【
図18】
図1の形鋼の第2変形例を示す斜視図である。
【
図19】
図1の形鋼の第3変形例を示す斜視図である。
【
図20】
図1の形鋼の第4変形例を示す斜視図である。
【
図21】従来の形鋼を用いた斜材支持構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による形鋼1を示す斜視図であり、
図2は
図1の形鋼1の側面図であり、
図3は
図1の形鋼1の正面図であり、
図4は
図1の形鋼1の長手方向の中央断面図であり、
図5は
図1の形鋼1の背面図である。
図1及び
図2に示すように、本実施の形態1の形鋼1は、第1板部2、第2板部3及び第3板部4を有している。これら第1〜第3板部2〜4は長手状の板体であり、断面形状がH形となるように第1板部2によって第2板部3及び第3板部4が互いに連結されている。
【0012】
第1板部2は、長手状の一枚板によって構成されている。一枚板とは、第1板部2の幅方向Wに複数の板材が接合された接合板ではなく、一枚の板材によって構成されたものを指す。なお、第1板部2の幅方向Wとは、第1板部2の長手方向L及び板厚方向Tの両方に直交する方向である。第1板部2の板厚は、例えば0.8mm以上かつ6.0mm以下の範囲等とすることができる。
【0013】
第2板部3は第1板部2の下辺2aと接合されており、第3板部4は第1板部2の上辺2bとに接合されている。下辺2a及び上辺2bは、第1板部2の幅方向Wに互いに離間して第1板部2の長手方向Lに延在された第1板部2の一端及び他端である。第2及び第3板部3,4は、それら第2及び第3板部3,4の幅方向が第1板部2の幅方向Wと交わるように延在されている。
【0014】
本実施の形態のように断面形状がH形となるように第1〜第3板部2〜4が互いに接合されているとき、形鋼1をH形鋼と呼び、第1板部2をウェブと呼び、第2板部3を下フランジと呼び、第3板部4を上フランジと呼ぶこともできる。
【0015】
第1板部2、第3板部4及び第2板部3としては、例えば熱間圧延鋼板及び冷間圧延鋼板並びにこれらにめっき等の表面処理を施した表面処理鋼板等を用いることができる。
【0016】
ここで、第1板部2には、第1板部2の長手方向Lに延在するリブ20が形成されている。リブ20は、第1板部2の板面の一部が屈曲されたものであり、第1板部2の長手方向Lの一端2cから他端2dに向かって深さDが浅くなるように形成されている(
図2〜
図5参照)。
【0017】
このようなリブ20が第1板部2に形成されていることで、第1板部2の幅は、第1板部2の長手方向Lの一端2cから他端2dに向かって広くされている。換言すると、第1板部2の長手方向Lの他端2dにおける第1板部2の幅W2は、第1板部2の長手方向Lの一端2cにおける第1板部2の幅W1よりも広くされている。このため、第3板部4は第2板部3に対して傾斜して延在されており、第2板部3が水平に延在するように第1板部2が支持されたとき、第3板部4が水平に対して傾斜して延在される。第2板部3に対する第3板部4の勾配は、例えば0.5/100以上かつ57.6/100以下の範囲等とすることができる。
【0018】
なお、本実施の形態では、リブ20の頂部20aを結ぶ稜線は、長手方向Lの各位置における第1板部2の幅方向Wの中央位置を通り、第2板部3と非平行に延びている。しかしながら、稜線が第2板部3と平行に延びるようにリブ20が形成されてもよい。
【0019】
また、
図2に特に示すように、一端2c及び他端2dにおける第1板部2の下角部の角度θ1,θ2は90°とされていることが好ましい。これは、第2板部3が水平に延在するように第1板部2が支持されたときに、第1板部2の一端2c及び他端2dを鉛直方向に沿って延在させることができるためである。一端2cにおける第1板部2の上角部の角度θ3は鈍角とされており、他端2dにおける第1板部2の上角部の角度θ4は鋭角とされている。
【0020】
次に、
図6は、
図1の形鋼1を用いた斜材支持構造の第1態様を示す斜視図である。第1態様の斜材支持構造は、水平に対して傾斜して延在する屋根材6(斜材)を支持する構造である。より具体的には、第1態様の斜材支持構造は屋根下地(野地板)を支持している。
図6に示すように、斜材支持構造は、複数の形鋼1と支持体5とを有している。
【0021】
各形鋼1は
図1〜
図5で示したものであり、各形鋼1の第3板部4は第2板部3に対して傾斜して延在されている。また、各形鋼1は、互いに平行に所定の間隔をおいて配置されている。
【0022】
支持体5は、第2板部3が水平に延在するように各形鋼1を支持している。
図3の第1態様では、支持体5は、プレハブ住宅の天板部分によって構成されている。しかしながら、支持体5は、例えば木造住宅における小屋梁や軒桁等の他の部材によって構成されてもよい。
【0023】
上述のように各形鋼1の第3板部4が第2板部3に対して傾斜して延在されているので、第2板部3が水平に延在するように各形鋼1が支持体5によって支持されることで、各形鋼1の第3板部4が水平に対して傾斜して延在されている。屋根材6は、第3板部4に載置されて固定されている。本態様のような斜材支持構造は、勾配が0.5/100以上かつ5/100以下の陸屋根に特に適している。陸屋根の場合、小屋裏が特に不要なためである。
【0024】
次に、
図7は、
図1の形鋼1を用いた斜材支持構造の第2態様を示す斜視図である。第2態様の斜材支持構造は、第1態様と同様に屋根材6を支持する構造である。但し、他端2dを互いに突き合わせるように形鋼1を配置して、両流れの屋根の屋根材6を支持するように構成されている。このように、片流れの屋根のみならず、両流れの屋根にも本発明の斜材支持構造を適用することができる。その他の構成は、第1態様と同じである。
【0025】
次に、
図8は、
図1の形鋼1を用いた斜材支持構造の第3態様を示す斜視図である。第3態様の斜材支持構造は、第1及び第2態様と同様に屋根材6を支持する構造である。但し、本態様の屋根材6は、庇を構成するものである。支持体5は、例えば梁等の建物の躯体によって構成されている。このように、建物の上部を覆う屋根のみならず、庇にも本発明の斜材支持構造を適用することができる。その他の構成は、第1態様と同じである。
【0026】
次に、
図9は、
図1の形鋼1を用いた斜材支持構造の第4態様を示す斜視図である。第4態様の斜材支持構造は、第1〜第3態様と同様に屋根材6を支持する構造である。但し、本態様の屋根材6は、物置の屋根を構成するものである。支持体5は、物置本体によって構成されている。このように、家屋のみならず、他の建築物の屋根にも本発明の斜材支持構造を適用することができる。その他の構成は、第1態様と同じである。
【0027】
次に、
図10は、
図1の形鋼1を用いた斜材支持構造の第5態様を示す斜視図である。第5態様の斜材支持構造は、第1〜第4態様と同様に屋根材6を支持する構造である。但し、本態様の屋根材6は、カーポートの屋根を構成するものである。第5態様では、支持体5は、地盤に立設された支柱によって構成されている。このように、壁を有しない工作物の屋根にも本発明の斜材支持構造を適用することができる。その他の構成は、第1態様と同じである。
【0028】
次に、
図11は、
図1の形鋼1を用いた斜材支持構造の第6態様を示す斜視図である。第6態様の斜材支持構造は、水平に対して傾斜して延在する屋外の床材7を支持する構造である。本態様の床材7は、バルコニーの床材によって構成されている。支持体5は、例えば梁等の建物の躯体によって構成されている。屋外の床は、屋内の床と異なり、雨水の排水機能を持たせるために所定の勾配を有して配設される。このような屋外の床材の支持にも本発明の斜材支持構造を適用することもできる。その他の構成は、第1態様と同じである。
【0029】
次に、
図12は、
図1の形鋼1を用いた斜材支持構造の第7態様を示す斜視図である。第7態様の斜材支持構造は、第6態様と同様に屋外の床材7を支持する構造である。但し、本態様の床材7は、デッキの床材によって構成されている。支持体5は、例えば基礎等の建物の躯体、地盤に形成された土台又は地面によって構成されている。このように、バルコニーのみならず、デッキ等の他の屋外の床材の支持にも本発明の斜材支持構造を適用することができる。その他の構成は、第1態様と同じである。
【0030】
次に、
図13は、
図1の形鋼1を用いた斜材支持構造の第8態様を示す斜視図である。第8態様の斜材支持構造は、太陽電池パネル8を支持する構造である。支持体5は、例えば地盤に形成された土台又は地面によって構成されている。このように、太陽電池パネル8の支持にも本発明の斜材支持構造を適用することができる。その他の構成は、第1態様と同じである。
【0031】
次に、
図1〜
図13に示す形鋼1の製造方法について説明する。
図1〜
図13に示す形鋼1は、
図14に示す形鋼素体110と、
図15及び
図16に示す形鋼製造装置とを用いて製造することができる。
【0032】
図14は、本発明の実施の形態1による形鋼の製造方法で用いる形鋼素体110を示す斜視図である。
図14に示すように、形鋼素体110は、長手状の第1板部2と、第1板部2の幅方向Wの一端に接合された第2板部3と、第1板部2の幅方向Wの他端に接合された第3板部4とを有している。第2及び第3板部3,4は、それら第2及び第3板部3,4の幅方向が第1板部2の幅方向Wと交わるように延在されている。形鋼素体110の第1板部2はリブ20を有しない平板体であり、第2及び第3板部3,4は互いに平行に延在されている。このような形鋼素体110としては、量産品のH形鋼等を用いることができる。
【0033】
次に、
図15は本発明の実施の形態1による形鋼の製造方法で用いる形鋼製造装置を示す斜視図であり、
図16は
図15の上型及び下型を示す説明図である。形鋼製造装置には、互いに離間して配置された一対の下ロール100aを有する下型100と、下ロール100a間の上方に配置された上ロール101aを有する上型101とが設けられている。各下ロール100aは、それら下ロール100a間の離間距離が調整可能なように、各下ロールの軸方向に個々に変位可能に設けられている。また、下ロール100a及び上ロール101aは、下ロール100a間への上ロール101aの押込み量を調整することができるように、相対的に互いに近づく方向及び離れる方向に変位可能に構成されている。
【0034】
本実施の形態の形鋼1の製造方法では、上述の形鋼素体110を準備した後に、その形鋼素体110の第1板部2を上述の形鋼製造装置の下型100と上型101との間に配置する。その次に、下ロール100a間に上ロール101aとともに形鋼素体110の第1板部2を押込む。このとき、下ロール100a間への上ロール101aの押込み量に対応する深さを有する凹部(リブ20)が第1板部2に形成される。その次に、下ロール100a間への第1板部2の押込み量を変化させつつ、下型100及び上型101に対して相対的に形鋼素体110を第1板部2の長手方向Lに変位させて、第1板部2の長手方向Lの一端2cから他端2dに向かって深さが浅くなるリブ20を第1板部2に形成する。
図15は、第1板部2の他端2d側からリブ20の形成を開始して、第1板部2の一端2cにおいてリブ20の形成を完了した状態を示している。しかしながら、第1板部2の一端2c側からリブ20の形成を開始してもよい。
【0035】
次に、
図17は、
図1の形鋼1の第1変形例を示す斜視図である。
図1の形鋼1では第1板部2に1本のリブ20が形成されていたが、
図17に示すように複数本のリブ20を第1板部2に形成してもよい。複数本のリブ20を形成する場合、
図17に示すように、各リブ20の間隔、最も第2板部3に近いリブ20と第2板部3との間の間隔、及び最も第3板部4に近いリブ20と第3板部4との間の間隔を等しくすることができる。これらの間隔は、各リブ20の稜線を基準に定めることができる。
【0036】
次に、
図18は、
図1の形鋼1の第2変形例を示す斜視図である。第1板部2に複数本のリブ20を形成する場合、
図18に示すように各リブ20の突出方向を変えてもよい。
【0037】
次に、
図19は、
図1の形鋼1の第3変形例を示す斜視図である。
図1では断面形状がH形の形鋼1を示したが、
図19に示すように溝形の形鋼120にも本願発明を適用できる。形鋼120は、断面形状がコ字状となるように第1板部2によって第2板部3及び第3板部4が互いに連結されたものである。溝形の形鋼120の場合でも、第1板部2にリブ20を形成し、第2板部3に対して第3板部4を傾斜して延在させることができる。同様に、例えばZ形鋼等の他の形状の形鋼にも本願発明を適用することもできる。その他の構成は、
図1の形鋼1と同様である。
【0038】
次に、
図20は、
図1の形鋼1の第4変形例を示す斜視図である。
図20に示すように、リップ付溝形にも本願発明を適用できる。リップ付溝形の形鋼130は、リップ3a,4aがそれぞれ設けられた第2板部3及び第3板部4を有するものである。同様に、例えばリップ付Z形鋼等の他のリップ付形鋼にも本願発明を適用することもできる。その他の構成は、
図1の形鋼1と同様である。
【0039】
このような形鋼及び斜材支持構造によれば、形鋼1,120,130の第3板部4が第2板部3に対して傾斜して延在されているので、第2板部3が水平に延在するように形鋼が支持されることにより、第3板部4が水平に対して傾斜して延在される。これにより、形鋼を傾斜支持するための付加部材を必要とせずに斜材を支持することができる。この構成は、屋根材6、床材7又は太陽電池パネル8を支持することに特に有用である。また、第1板部2にリブ20が設けられているので、第1板部2の強度を向上できる。
【0040】
また、このような形鋼の製造方法では、下ロール100a間への第1板部2の押込み量を変化させつつ、下型100及び上型101に対して相対的に形鋼素体110を第1板部2の長手方向Lに変位させて、第1板部2の長手方向Lの一端2cから他端2dに向かって深さが浅くなるリブ20を第1板部2に形成するので、上述のような形鋼1,120,130を容易に得ることができる。なお、リブ20の形状に対応する凹部及び凸部を有する雌型及び雄型を準備し、これら雌型及び雄型を用いたプレス加工により形鋼1を製造する方法も考えられる。このような方法の場合、リブ20の形状毎に複数の雌型及び雄型を準備する必要があり、製造コストが増大してしまう。本発明の形鋼の製造方法のように変位可能に構成された下ロール100a及び上ロール101aを用いることで、1つの装置により多く形状のリブを第1板部に形成でき、製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0041】
1,120,130 形鋼
2 第1板部
20 リブ
3 第2板部
4 第3板部
5 支持体
6 屋根材
7 床材
8 太陽電池パネル
100 下型
100a 下ロール
101 上型
101a 上ロール
110 形鋼素体