(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の一次コイル、前記二次コイル、前記巻枠は、それぞれ、JIS C 2550−1:2011に規定される一次コイル、二次コイル、巻枠であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気特性測定器。
前記第1の励磁電流、または、前記第1の励磁電流に基づいて導出される前記試験片における磁界強度に基づいて、前記第1の励磁電流により発生する磁界強度が予め設定された磁界強度以上であるか否かを判定する判定手段を更に有することを特徴とする請求項9に記載の磁気特性測定システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述したように非特許文献1に記載の方法では、一次コイルおよび二次コイルの巻き方と長さ(コイル幅)に制限がある。具体的に非特許文献1には、一次コイルおよび二次コイルを190mm以上の長さに均一に分布させて巻くことと、各コイルの巻回数を総巻回数の1/4とすることとが規定されている。そこで、高磁場における電磁鋼板の交流磁気特性を測定することができるようにするために、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器に対し、1次コイルの巻回数を増やすことが考えられる。尚、非特許文献1では、一次コイルおよび二次コイルの巻回数は、励磁電源、測定機器、および周波数に合わせて設定してもよいとされている(ただし、非特許文献1では、総巻回数として700回が推奨されている)。
【0011】
図1は、磁気特性試験器の構成の参考例を示す図である。
図1(a)は、磁気特性試験器の平面図(上から見た図)を示す。
図1(b)は、
図1(a)のI−I断面図である。尚、各図のX、Y、Z座標は、各図の向きの関係を示すものである。○の中に●が示されているものは、紙面の奥側から手前側に向かう方向を示す。○の中に×が示されているものは、紙面の手前側から奥側に向かう方向を示す。
【0012】
図1(a)および
図1(b)において、磁気特性試験器は、4つの一次コイルN
1と、4つの二次コイルN
2と、巻枠Fとを有する。尚、
図1(a)では、一次コイルN
1および二次コイルN
2の領域のうち、巻枠Fに重なる部分の領域の図示を省略している。4つの一次コイルN
1は直列に接続され、全体として1つの一次コイルN
1になる。4つの二次コイルN
2も直列に接続され、全体として1つの二次コイルN
2になる。
【0013】
図1(a)および
図1(b)に記載の磁気特性試験器は、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器に対し、一次コイルN
1のみを変更したものである。非特許文献1に記載のように、巻枠Fは長方形の断面をもち、巻枠F内には空間が形成される(
図1(b)を参照)。
図1(a)に示すように、巻枠Fは、正方形の4つの辺を構成するように配置され、巻枠Fの各辺を構成する部分に、二次コイルN
2が一次コイルN
1よりも巻枠F側になるように、一次コイルN
1および二次コイルN
2が巻枠Fに対して巻き回される(即ち、一次コイルN
1および二次コイルN
2は、巻枠Fにより支えられる)。巻枠Fの内部には、磁気特性の測定対象の電磁鋼板(試験片S)が複数配置される。また、非特許文献1に記載されているように、複数の電磁鋼板(試験片S)は、その端部が一枚ずつ交互に重なり合うようにして、正方形に組まれ、全体として、長さと断面積の等しい4つの辺を構成する。
【0014】
前述したように非特許文献1には、巻枠Fの各辺を構成する領域に位置する各一次コイルN
1の巻回数が同じになるようにすることが規定されている。また、非特許文献1には、試験片Sの内側の縁が形成する正方形の辺の長さが220mmに規定されている。これらの規定を守った上で、一次コイルN
1の巻回数を増やせば、高磁場における試験片Sの交流磁気特性を測定することができる。そこで、一次コイルN
1の巻回数を増やすと、
図1(a)および
図1(b)に示すように、一次コイルN
1を190mm以上の長さに均一に分布させることができない。このため、
図1(a)および
図1(b)に示す磁気特性試験器では、高磁場における試験片Sの交流磁気特性を測定することはできるが、非特許文献1に記載の条件と異なる条件で試験片Sの交流磁気特性を測定することになる。
【0015】
以上の知見の下、本発明者らは、低磁場においては、非特許文献1に記載の条件で試験片Sの交流磁気特性を測定することができ、且つ、高磁場における試験片Sの交流磁気特性も測定することができる技術を見出した。以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
【0016】
(磁気特性測定器)
図2は、本実施形態の磁気特性測定器100の構成の一例を示す図である。
図2(a)は、磁気特性測定器100の平面図(上から見た図)を示す。
図2(b)は、
図2(a)のI−I断面図である。
図2(a)および
図2(b)において、磁気特性測定器100は、4つの第1の一次コイルN
1Oと、4つの第2の一次コイルN
1Aと、4つの二次コイルN
2と、巻枠Fとを有する。尚、
図2(a)では、第1の一次コイルN
1O、第2の一次コイルN
1A、および二次コイルN
2の領域のうち、巻枠Fに重なる部分の領域の図示を省略している。4つの第1の一次コイルN
1Oは直列に接続され、全体として1つの一次コイルN
1になる。4つの第2の一次コイルN
1Aも直列に接続され、全体として1つの第2の一次コイルN
1Aになる。4つの二次コイルN
2も直列に接続され、全体として1つの二次コイルN
2になる。
【0017】
図1(a)を参照しながら説明したように、巻枠Fは、正方形の4つの辺を構成するように配置される。巻枠Fの各辺を構成する部分に、二次コイルN
2が第1の一次コイルN
1Oよりも巻枠F側になるように、第1の一次コイルN
1Oおよび二次コイルN
2が巻き回される(即ち、第1の一次コイルN
1Oおよび二次コイルN
2は、巻枠Fにより支えられる)。非特許文献1に記載されているように、第1の一次コイルN
1Oおよび二次コイルN
2は、巻枠Fに対して190mm以上の長さに均一に分布させて巻かれる。また、巻枠Fの各辺に位置する各第1の一次コイルN
1Oの巻回数は同じである。同様に、巻枠Fの各辺に位置する各二次コイルN
2の巻回数も同じである。前述したように各第1の一次コイルN
1Oは直列に接続される。各二次コイルN
2も直列に接続される。巻枠Fの内部には、磁気特性の測定対象の電磁鋼板(試験片S)が複数配置される。また、複数の電磁鋼板(試験片S)は、その端部が一枚ずつ交互に重なり合うようにして、正方形に組まれ、全体として、長さと断面積の等しい4つの辺を構成する。電磁鋼板は、方向性電磁鋼板であっても、無方向性電磁鋼板であってもよい。また、電磁鋼板以外の軟磁性材料(からなる板)を試験片Sとして用いてもよい。
【0018】
以上のように第1の一次コイルN
1O、二次コイルN
2、および巻枠Fは、非特許文献1に記載のものと同じである。ただし、第1の一次コイルN
1O、二次コイルN
2、および巻枠Fは、非特許文献1に記載と同じものである必要はない。例えば、非特許文献1に記載の規格が変更されれば、その変更に合わせて第1の一次コイルN
1O、二次コイルN
2、および巻枠Fも変更することができる。また、第1の一次コイルN
1O、二次コイルN
2、および巻枠Fを、非特許文献1に対応するその他の規格に合わせたものとすることができる。また、各規格の主旨を逸脱しない範囲で第1の一次コイルN
1O、二次コイルN
2、および巻枠Fの構成を当該規格に対し変更してもよい。
【0019】
第2の一次コイルN
1Aは、巻枠Fの各辺を構成する部分のそれぞれに対して配置される。第2の一次コイルN
1Aは、第1の一次コイルN
1Oよりも外側に、第1の一次コイルN
1Oおよび二次コイルN
2と略同軸となるように巻き回される。即ち、巻枠Fが構成する同じ辺に位置する第1の一次コイルN
1O、二次コイルN
2、および第2の一次コイルN
1Aは、略同軸となる(
図2(b)を参照)。従って、
図2(a)に示すように、第2の一次コイルN
1Aのコイル幅(コイルの軸の方向(各辺に沿う方向)の長さ)は、第1の一次コイルN
1Oのコイル幅よりも小さい。尚、第1の一次コイルN
1O、二次コイルN
2、および第2の一次コイルN
1Aの軸は、それらの長手方向(
図2(b)に示す例ではY軸方向)に垂直な断面(
図2(b)に示す例ではX−Z断面)における重心の位置を通り、且つ、当該長手方向に延びる軸である。
【0020】
また、4つの第2の一次コイルN
1Aは、直列に接続され、全体として1つの第2の一次コイルN
1Aになる。このようにして接続された第2の一次コイルN
1Aの巻方向と、当該第2の一次コイルN
1Aと略同軸の第1の一次コイルN
1Oの巻方向とが同じになるようにする。即ち、例えば、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aの軸に沿う2つの方向(
図2(b)に示す例ではY軸の正負の方向)のうち一方の方向(例えばY軸の正の方向(紙面の手前側から奥側の方向))に向かって第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aを辿った場合に、第1の一次コイルN
1Oが右回りである場合には、第2の一次コイルN
1Aも右回りとなる。従って、同時刻において、第1の一次コイルN
1Oに流れる励磁電流により発生する磁界の向きと、第2の一次コイルN
1Aに流れる励磁電流により発生する磁界の向きは、同じになる。
【0021】
また、本実施形態では、第2の一次コイルN
1Aの巻回数(総巻回数)は、第1の一次コイルN
1Oの巻回数(総巻回数)よりも多い。第2の一次コイルN
1Aの巻回数(総巻回数)は、第1の一次コイルN
1Oの巻回数(総巻回数)の2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。
【0022】
また、本実施形態では、
図2(b)に示すように、第2の一次コイルN
1Aに対する巻枠はなく、第2の一次コイルN
1Aは、第1の一次コイルN
1Oとの間に空隙が形成されるように配置される。第1の一次コイルN
1Oと第2の一次コイルN
1Aとの間には、断熱部材Hが配置される。断熱部材Hは、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aの温度上昇を抑制するためのものであり、非磁性且つ非電導性の断熱性を有する材料により構成される。断熱部材Hにより、第2の一次コイルN
1Aに大きな交流電流が流れることにより第2の一次コイルN
1Aの温度が高くなることを抑制すると共に、第2の一次コイルN
1Aの発熱によって、第1の一次コイルN
1Oの温度が高くなることを抑制することができる。断熱部材Hを構成する材料や断熱部材Hの厚みは、このような目的を達成することができる範囲で適宜決定することができる。
【0023】
また、本実施形態では、巻枠Fの各辺に位置する各第2の一次コイルN
1Aの巻回数は同じであるのが好ましい。非特許文献1に記載の条件に合わせることができるからである。ただし、巻枠Fの各辺に位置する各第2の一次コイルN
1Aの巻回数は異なっていてもよい。また、各第2の一次コイルN
1Aは、均一に分布されているのが好ましい。非特許文献1に記載の条件に合わせることができるからである。ただし、第2の一次コイルN
1Aの巻回数は多くなるので、第2の一次コイルN
1Aは、必ずしも均一に巻き回されていなくてもよい。この場合、第2の一次コイルN
1Aの巻幅(
図2(b)に示す例では、Y軸方向の長さ)は、巻枠Fから遠くなるほど小さくなる。
【0024】
(磁気特性測定システム)
図3は、磁気特性測定システムの構成の一例を示す図である。
図3において、磁気特性測定システムは、磁気特性測定器100と、発振器210と、振幅調整器220、230と、電圧計240と、電流計250、260と、送風機270と、処理装置300と、を有する。
【0025】
発振器210は、交流電力(交流電圧)を出力(発振)する。
振幅調整器220は、例えば電力増幅器を有し、後述する処理装置300からの指示に基づいて、発振器210から出力された交流電圧であって、第1の一次コイルN
1Oの両端に印加される交流電圧の振幅を調整する。振幅調整器220で振幅が調整された交流電圧は、第1の一次コイルN
1Oの両端に印加される。尚、この交流電圧は、試験片Sに対する励磁電圧である。この励磁電圧に応じて第1の一次コイルN
1Oには励磁電流が流れる。
【0026】
振幅調整器230は、例えば電力増幅器を有し、後述する処理装置300からの指示に基づいて、発振器210から出力された交流電圧であって、第2の一次コイルN
1Aの両端に印加される交流電圧の振幅を調整する。振幅調整器220で振幅が調整された交流電圧は、第2の一次コイルN
1Aの両端に印加される。尚、この交流電圧は、試験片Sに対する励磁電圧である。この励磁電圧に応じて第2の一次コイルN
1Aには励磁電流が流れる。
【0027】
前述したように、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aの巻方向は同じである。また、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aを発振器210に対し並列に接続し、発振器210から出力された交流電圧を、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aのそれぞれに並列に印加する。このようにすることにより、第1の一次コイルN
1Oに流れる励磁電流により発生する磁界と、第2の一次コイルN
1Aに流れる励磁電流により発生する磁界の、同時刻における方向が同じになる。即ち、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aに印加される交流電圧の位相は同じになる(同期する)。
【0028】
電圧計240は、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aに流れる励磁電流により発生する磁界により二次コイルN
2の両端に誘起される電圧(二次コイルN
2により検出される電圧)を測定する。以下の説明では、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aに流れる励磁電流により発生する磁界により二次コイルN
2の両端に誘起される電圧を、必要に応じて二次電圧と称する。
電流計250は、第1の一次コイルN
1Oに流れる励磁電流を測定する。以下の説明では、第1の一次コイルN
1Oに流れる励磁電流を、必要に応じて元励磁電流と称する。
電流計260は、第2の一次コイルN
1Aに流れる励磁電流を測定する。以下の説明では、第2の一次コイルN
1Aに流れる励磁電流を必要に応じて第2の励磁電流と称する。
図3から明らかなように、元励磁電流と第2の励磁電流は別の電流であり、同一の経路を通らない。
【0029】
送風機270は、少なくとも第2の一次コイルN
1Aに対して送風を行う。送風機270により、第2の一次コイルN
1Aを強制的に冷却することができ、第2の一次コイルN
1Aの温度上昇をより確実に抑制することができる。本実施形態では、送風機270は、第2の一次コイルN
1Aと巻枠Fとの間の領域を含む領域に対し、概ね第2の一次コイルN
1Aの軸の方向(
図2(b)に示す例では、Y軸方向)に風を送る。従って、第2の一次コイルN
1Aだけでなく、第1の一次コイルN
1Oおよび二次コイルN
2についても送風機270により強制的に冷却される。
【0030】
処理装置300は、二次電圧、元励磁電流、および第2の励磁電流を入力として、振幅調整器220、230を制御することと、試験片Sの交流磁気特性を導出して出力することとを行う。本実施形態の処理装置300は、デジタル処理を行う。二次電圧、元励磁電流、および第2の励磁電流は、アナログの信号であるが、これらはデジタル信号に変換されているものとして、以下の処理装置300の説明を行う。以下に、処理装置300が有する機能の一例を説明する。処理装置300のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、信号処理回路、A/D変換器、D/A変換器、および各種のインターフェースを用いることにより実現される。
【0031】
第1の磁界強度導出部301は、電流計250により測定された元励磁電流(の瞬時値)I
1O(t)[A]と、第1の一次コイルN
1Oの巻回数n
1Oと、試験片Sの磁路長l[m]とに基づいて、以下の(1)式により、第1の磁界強度(の瞬時値)H
1O(t)[A/m]を導出する(tは時刻を表す)。
H
1O(t)=n
1O×I
1O(t)÷l ・・・(1)
第1の磁界強度H
1O(t)は、元励磁電流I
1O(t)により試験片Sの内部に発生する磁界強度に対応する。
【0032】
第2の磁界強度導出部302は、電流計260により測定された第2の励磁電流(の瞬時値)I
1A(t)[A]と、第2の一次コイルN
1Aの巻回数n
1Aと、試験片Sの磁路長l[m]とに基づいて、以下の(3)式により、第2の磁界強度(の瞬時値)H
1A(t)[A/m]を導出する(tは時刻を表す)。
H
1A(t)=n
1A×I
1A(t)÷l ・・・(2)
第2の磁界強度H
1A(t)は、第2の励磁電流I
1A(t)により試験片Sの内部に発生する磁界強度に対応する。
【0033】
判定部303は、第1の磁界強度導出部301により導出された第1の磁界強度H
1O(t)が、予め設定された磁界強度以上であるか否かを判定する。本実施形態では、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器で測定が可能な磁界強度(磁界の強さ)の上限値に基づいて、磁界強度の上限値を予め設定する。例えば、10000A/mを磁界強度の上限値として予め設定することができる。磁界強度の上限値は、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器で測定が可能な磁界強度(磁界の強さ)の上限値であっても、余裕を見て、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器で測定が可能な磁界強度(磁界の強さ)の上限値を下回る値としてもよい。
【0034】
尚、判定部303は、第1の磁界強度導出部301により導出された第1の磁界強度H
1O(t)を用いずに、(1)式により、第1の磁界強度H
1O(t)を導出してもよい。このようにする場合、判定部303は、元励磁電流I
1O(t)を入力する構成となる。また、予め設定された磁界強度に対応する元励磁電流I
1O(t)を、元励磁電流I
1O(t)の上限値として(1)式により予め求めておいて判定部303に設定してもよい。このようにする場合、判定部303は、電流計250により測定された元励磁電流(の瞬時値)I
1O(t)が、元励磁電流I
1O(t)の上限値以上になったか否かを判定することができる。電流計250により測定された元励磁電流(の瞬時値)I
1O(t)が、元励磁電流I
1O(t)の上限値以上であることと、第1の磁界強度H
1O(t)が、予め設定された磁界強度以上であることとは等価だからである。
【0035】
振幅制御部304は、判定部303による判定の結果に基づいて、振幅調整器220、230に対し、振幅調整器220、230で調整する振幅を指示する。振幅制御部304が有する機能の具体例を説明する。
まず、振幅制御部304は、第1の磁界強度導出部301により導出された第1の磁界強度H
1O(t)が、予め設定された磁界強度以上でない場合、振幅調整器230に対して、第2の一次コイルN
1Aに励磁電圧を印加しないこと(励磁電圧の振幅を0(ゼロ)にすること)を指示する。これにより、振幅調整器230からは励磁電圧が出力されない。
【0036】
また、振幅制御部304は、第1の磁界強度導出部301により導出された第1の磁界強度H
1O(t)が、予め設定された磁界強度以上でない場合、振幅調整器220に対して、前回の指示のときよりも、予め設定された大きさだけ大きな振幅を指示する。これにより、振幅調整器220は、前回よりも予め設定された大きさだけ大きな振幅の励磁電圧を第1の一次コイルN
1Oに対して印加する。
【0037】
本実施形態では、以上のようにすることにより、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器で測定可能な磁界強度の上限値よりも小さな磁界強度が試験片Sに発生する場合、第2の一次コイルN
1Aに第2の励磁電流I
1Oを流さずに、元励磁電流I
1Aのみによって試験片Sを励磁する。従って、この場合、磁気特性測定器100は、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器と同じようにして試験片Sを励磁する。
【0038】
その後、第1の磁界強度導出部301により導出された第1の磁界強度H
1O(t)が、予め設定された磁界強度以上になると、振幅制御部304は、振幅調整器230に対して、前回の指示のときよりも、予め設定された大きさだけ大きな振幅を指示する。これにより、振幅調整器230は、前回よりも予め設定された大きさだけ大きな振幅の励磁電圧を第2の一次コイルN
1Aに対して印加する。尚、振幅制御部304は、励磁電圧を第2の一次コイルN
1Aに対して印加することを振幅調整器230に最初に指示する場合、前回の指示値は0(ゼロ)である。
【0039】
また、振幅制御部304は、第1の磁界強度導出部301により導出された第1の磁界強度H
1O(t)が、予め設定された磁界強度以上になると、振幅調整器220に対して、前回の指示のときと同じ振幅を指示する。これにより、振幅調整器220は、前回と同じ大きさの振幅の励磁電圧を第1の一次コイルN
1Oに対して印加する。
【0040】
本実施形態では以上のようにすることにより、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器で測定可能な磁界強度の上限値よりも大きな磁界強度が試験片Sに発生するような過剰な元励磁電流I
1O(t)が、第1の一次コイルN
1Oに流れることを防止することができる。即ち、第1の一次コイルN
1Oに流れる元励磁電流I
1O(t)の大きさは、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器で測定可能な磁界強度を発生するのに必要な大きさに維持される。そして、試験片Sは、第1の一次コイルN
1Oに流れる元励磁電流I
1O(t)による磁界と、第2の一次コイルN
1Aに流れる第2の励磁電流I
1A(t)による磁界とを加算した磁界により励磁される。前述したように、元励磁電流I
1O(t)により発生する磁界と、第2の励磁電流I
1A(t)により発生する磁界の、同時刻における方向は同じになる。よって、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器よりも大きな磁界で試験片Sを励磁させることができる。
【0041】
磁界強度加算部305は、第1の磁界強度導出部301により導出された時刻tの第1の磁界強度H
1O(t)と、第2の磁界強度導出部302により導出された当該時刻tの第2の磁界強度H
1A(t)とを加算する。以下の説明では、磁界強度加算部305で加算された磁界強度を、必要に応じて合成磁界強度H
t(t)と称する。尚、第2の励磁電流I
1A(t)が第2の一次コイルN
1Aに流れていない場合、第2の磁界強度導出部302により導出される第2の磁界強度H
1A(t)は0(ゼロ)である。この場合、第2の磁界強度導出部302により第2の磁界強度H
1A(t)は導出されない。従って、この場合、合成磁界強度H
t(t)は、第1の磁界強度導出部301により導出された時刻tの第1の磁界強度H
1O(t)となる。
【0042】
磁束密度導出部306は、電圧計240により測定された二次電圧V
2(t)と、磁界強度加算部305により導出された合成磁界強度H
t(t)とに基づいて、試験片Sの内部の磁束密度B(t)(の瞬時値)を導出する。本実施形態では、この際、磁束密度導出部306は、二次コイルN
2内の空隙の磁束密度を数値演算により補償する。
具体的に磁束密度導出部306は、二次電圧V
2[V]と、二次コイルN
2の巻回数n
2と、二次コイルN
2の断面積(軸に垂直な方向の断面積(コイルがつくるループの面積))S
2[m
2]と、二次コイルN
2内の試験片Sの断面積(二次コイルN
2の軸に垂直な方向の断面積)S
S[m
2]とに基づいて、以下の(3)式および(4)式に基づいて、試験片Sの内部の磁束密度(の瞬時値)B(t)[T]を導出する。
V
2(t)=−n
2×dφ(t)/dt ・・・(3)
φ(t)=B(t)×S
S+B
a(t)×S
2 ・・・(4)
ここで、φは、二次コイルN
2を貫く磁束(の瞬時値)[wb]、B
a(t)は、二次コイルN
2内の空隙の磁束密度(の瞬時値)である。
【0043】
また、磁束密度導出部306は、磁界強度加算部305により導出された合成磁界強度H
t(t)と、真空の透磁率μ
0[H/m]と、空気の比透磁率μ
sと基づいて、以下の(5)式の計算を行うことにより、二次コイルN
2内の空隙の磁束密度(の瞬時値)B
a(t)[T]を導出する。
B
a(t)=μ
0×μ
s×H
t(t) ・・・(5)
二次コイルN
2内の空隙の磁束密度B
a(t)は、第2のコイルN
2内の空隙に起因して発生する磁束密度に対応する。尚、磁束密度導出部306は、空気の比透磁率μ
sを1に近似して(5)式の計算を行ってもよい。
【0044】
そして、磁束密度導出部306は、以下の(6)式のように、二次コイルN
2を貫く磁束φから、二次コイルN
2内の空隙の磁束(B
a(t)×S
2)を減算した値を、試験片Sの内部の磁束密度B(t)として導出する。
B(t)=(φ−B
a(t)×S
2)/S
S ・・・(6)
【0045】
本実施形態では、以上のような数値演算により空隙補償を行う。非特許文献1では、相互誘導器の測定結果を用いて空隙補償を行うが、本実施形態では、相互誘導器を用いずに空隙補償を行う。本実施形態の磁気特性測定器100では、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aにより励磁コイルが構成されるため、励磁コイルの構成が、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器よりも複雑になる。このため、相互誘導器を用いた空隙補償のための構成が複雑になると共に、励磁電流が大きくなることにより、相互誘導器における空隙補償コイルからの漏れ磁束が大きくなる虞がある。そこで、本実施形態では、(5)式および(6)式により、空隙補償を行う。
【0046】
磁気特性導出部307は、磁束密度導出部306により導出された試験片Sの内部の磁束密度B(t)と、磁界強度加算部305により導出された合成磁界強度H
t(t)とに基づいて、試験片Sの直流磁気特性または交流磁気特性を導出する。例えば、磁気特性導出部307は、試験片Sの内部の磁束密度B(t)と、合成磁界強度H
t(t)とに基づいて、試験片Sの磁化特性曲線、試験片Sのヒステリシス曲線、試験片Sの透磁率、試験片Sの皮相電力、および試験片Sの鉄損の少なくとも何れか1つを、試験片Sの直流磁気特性または交流磁気特性として導出することができる(尚、試験片Sのヒステリシス曲線の面積は、試験片Sの鉄損に対応し、試験片Sの磁化特性曲線の微分値は、試験片Sの透磁率に対応する)。
【0047】
出力部308は、磁気特性導出部307により導出された試験片Sの直流磁気特性または交流磁気特性の情報を出力する。試験片Sの直流磁気特性または交流磁気特性の情報の出力形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、外部装置への送信、および処理装置300の内部・外部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを採用することができる。
【0048】
(まとめ)
以上のように本実施形態では、磁気特性測定器100は、第1の一次コイルN
1Oとは別の第2の一次コイルN
1Aを有する。第2の一次コイルN
1Aは、第1の一次コイルN
1Oよりも外側に、第1の一次コイルN
1Oと間隔を有した状態で、第1の一次コイルN
1Oと略同軸となり、且つ、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aに流れる電流により発生する磁界の向きが同時刻において同じになるように配置される。従って、低磁場においては、非特許文献1に記載の条件と異なる条件で試験片Sの交流磁気特性を測定することができると共に、高磁場における試験片Sの交流磁気特性を測定することができる。
【0049】
(変形例)
本実施形態では、第1の一次コイルN
1Oと略同軸の第2の一次コイルN
1Aが1つである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、第1の一次コイルN
1Oと略同軸の第2の一次コイルN
1Aは複数あってもよい。この場合、それら複数の第2の一次コイルN
1Aは、第1の一次コイルN
1Oおよび二次コイルN
2と略同軸となるように巻き回される。また、複数の第2の一次コイルN
1Aのうち、第1の一次コイルN
1Oに最も近い位置にある第2の一次コイルN
1Aは、本実施形態で説明したように、第1の一次コイルN
1Oとの間に空隙が形成されるように配置するのが好ましい。また、相互に隣り合う2つの第2の一次コイルN
1Aの間にも空隙が形成されるようにするのが好ましい。複数の第2の一次コイルN
1Aの巻回数は、同じであっても異なっていてもよい。また、複数の第2の一次コイルN
1Aは、直列に接続されても並列に接続されてもよい。複数の第2の一次コイルN
1Aを直列に接続した場合には、第2の一次コイルN
1A(全体)の巻回数を増やすことができる。複数の第2の一次コイルN
1Aを並列に接続した場合には、第2の一次コイルN
1Aに流す励磁電流の大きさを大きくしても第2の一次コイルN
1Aの発熱を抑制することができる。第2の一次コイルN
1Aの電流密度を低くすることができるからである。
【0050】
また、本実施形態では、第1の一次コイルN
1Oと第2の一次コイルN
1Aとの間に断熱部材Hを配置することと、送風機270により第2の一次コイルN
1Aを強制的に冷却することとを行う場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これらの少なくとも何れか一方を行わなくてもよい。断熱材Hを設けない場合、第2の一次コイルN
1Aと第1の一次コイルN
1Oとの間の空隙が断熱層となる。この空隙(第2の一次コイルN
1Aの内周端と第1の一次コイルN
1Oの外周端との距離)は、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aの温度上昇を抑制する観点から、適宜設定される。送風機270を用いる場合には、送風機270による第2の一次コイルN
1Aの冷却効果を考慮して、この空隙を設定することができる。尚、第2の一次コイルN
1Aの発熱が第1の一次コイルN
1Oの温度に与える影響が小さい場合には、第2の一次コイルN
1Aと第1の一次コイルN
1Oとの間の空隙はなくてもよいし、送風機270を用いなくてもよい。また、送風機270に替わり、液体などの冷媒により第2の一次コイルN
1Aを強制的に冷却してもよい。
【0051】
また、本実施形態では、1つの発振器210を用いて第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aに励磁電流(元励磁電流、第2の励磁電流)を流す場合を例に挙げて説明した。しかしながら、第1の一次コイルN
1Oに元励磁電流を流す発振器と、第2の一次コイルN
1Aに第2の励磁電流を流す発振器とを別々に設けてもよい。尚、この場合、各発振器から発生させる交流電圧を同期させれば(各発振器から発生させる交流電圧の位相を揃えれば)、本実施形態の磁気特性測定器100を前述したようにして動作させることできる。また、各発振器から発生する交流電圧の位相を180°ずらせば、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aの巻方向を逆にしても、第1の一次コイルN
1Oおよび第2の一次コイルN
1Aに流れる電流により発生する磁界の向きが同時刻において同じになる。
【0052】
本実施形態のように、(5)式および(6)式により空隙補償を行えば、相互誘導器を用いる場合よりも容易に且つ正確に空隙補償ができるので好ましい。しかしながら、このような空隙補償を行わずに、非特許文献1に記載のように相互誘導器を用いた空隙補償を行ってもよい。この場合、相互誘導器には第2の励磁電流を流す第2の二次コイルを巻くことにより空隙補償を行う。
また、本実施形態では、処理装置300に含まれる各部301〜308は、必ずしも1つの装置(処理装置300)で実現されなくてもよい。例えば、判定部303および振幅制御部304は、処理装置300とは別の処理装置に含まれていてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、非特許文献1に記載のエプスタイン試験器で測定が可能な磁界強度(磁界の強さ)の上限値に基づいて、磁界強度の上限値を予め設定し、振幅調整器220は、第1の磁界強度H
1O(t)が、当該予め設定された磁界強度以上になると、前回の指示のときのときと同じ振幅の励磁電圧を第1の一次コイルN
1Oに印加する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、振幅調整器220は、第1の磁界強度H
1O(t)が、当該予め設定された磁界強度以上になると、前回の指示のときよりも予め設定された大きさだけ小さな振幅の励磁電圧を第1の一次コイルN
1Oに印加してもよい。このようにしても、第1の磁界強度H
1O(t)が予め設定された磁界強度以上になっている場合に第1の一次コイルN
1Oに印加される励磁電圧の振幅が、第1の磁界強度H
1O(t)が予め設定された磁界強度以上になっていない場合に第1の一次コイルN
1Oに印加される励磁電圧の振幅以下になる。従って、第1の一次コイルN
1Oに過剰な励磁電流(元励磁電流)が流れることを抑制することができる。
また、本実施形態では、試験片Sが電磁鋼板である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、試験片Sは、電磁鋼板以外の軟質磁性材料からなる試験片であってもよい。
【0054】
また、非特許文献1では、(1)式および(2)式のようにして磁界強度を導出する場合の磁路長lを一定値とする。しかしながら、高磁場においては、第1の一次コイルN
1Oの間の磁束の漏れにより、実効磁路長が短くなる。そこで、(1)式および(2)式のようにして磁界強度を導出することに加え、以下のようにして磁界強度を導出することもできる。即ち、巻枠Fの4つの辺を構成する領域の少なくとも1つの領域のうち、その中央を含む一部の領域に穴部(または凹部)を設け、非特許文献2に記載のHコイルを、当該穴部(または凹部)に配置し、当該Hコイルにより検出された電圧に基づいて、試験片Sの内部に発生する磁界強度を導出することもできる。このとき、Hコイルの軸の方向は、巻枠Fが構成する4つ辺のうち、当該Hコイルが配置される辺に配置される第1の一次コイルN
1Oの軸の方向と略平行になるようにする(
図2(b)に示す例では、Y軸方向)。巻枠Fの4つの辺を構成する領域の少なくとも隣接する2つの領域にHコイルを配置して導出される磁界強度は、無方向性鋼板の鉄損の異方性を導出するために用いることができる。
【0055】
尚、以上説明した本発明の実施形態のうち処理装置300が行う処理は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0056】
(請求項との関係)
以下に、請求項と実施形態の対応関係の一例を説明する。尚、請求項の記載が実施形態の記載に限定されないことは、変形例などに記載した通りである。
<請求項1>
巻枠は、例えば、巻枠Fを用いることにより実現される。
試験片は、例えば、試験片Sを用いることにより実現される。
第1の励磁電流は、例えば、元励磁電流I
1O(t)を用いることにより実現される。
第1の一次コイルは、例えば、第1の一次コイルN
1Oを用いることにより実現される。
二次電圧は、例えば、二次電圧V
2を用いることにより実現される。
二次コイルは、例えば、二次コイルN
2を用いることにより実現される。
第2の励磁電流は、例えば、第2の励磁電流I
1A(t)を用いることにより実現される。
第2の一次コイルは、例えば、第2の一次コイルN
1Aを用いることにより実現される。
<請求項3>
空隙に配置される部材であって、断熱性を有する材料により構成された部材は、例えば、断熱部材Hを用いることにより実現される。
<請求項6>
磁気特性測定器は、例えば、磁気特性測定器100を用いることにより実現される。
磁気特性導出手段は、例えば、磁気特性導出部307を用いることにより実現される。
<請求項7>
冷却手段は、例えば、送風機270を用いることにより実現される。
<請求項8>
試験片における第1の磁界強度は、例えば、第1の磁界強度H
1O(t)を用いることにより実現される。
第1の磁界強度導出手段は、例えば、第1の磁界強度導出部301を用いることにより実現される。
試験片における第2の磁界強度は、例えば、第2の磁界強度H
1A(t)を用いることにより実現される。
合成磁界強度は、例えば、合成磁界強度H
t(t)を用いることにより実現される。
磁界強度加算手段は、例えば、磁界強度加算部305を用いることにより実現される。
試験片における磁束密度は、例えば、試験片Sの内部の磁束密度B(t)を用いることにより実現される。
磁束密度導出手段は、例えば、磁束密度導出部306を用いることにより実現される。
<請求項9>
第1の印加手段は、例えば、発振器210および振幅調整器220を用いることにより実現される。
第1の励磁電圧は、例えば、第1の一次コイルN
1Oの両端に印加される励磁電圧を用い
ることにより実現される。
第2の印加手段は、例えば、発振器210および振幅調整器230を用いることにより実現される。
第2の励磁電圧は、例えば、第2の一次コイルN
1Aの両端に印加される励磁電圧を用いることにより実現される。
<請求項10>
判定手段は、例えば、判定部303を用いることにより実現される。