(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明において、他の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。なお、各実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0019】
[情報表示システム]
本発明の実施の形態に係る情報表示システムについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る情報表示システムを示すブロック図である。
図1において、情報表示システム100は、車載装置1と、タイヤ情報表示装置2と、情報蓄積装置3と、管理者装置4とを備える。
【0020】
情報表示システム100は、車両(図示せず)に装着されたタイヤ200に関するタイヤ情報を取得し、取得したタイヤ情報をユーザに提供する。本例では、タイヤ200の空気圧とタイヤ200の温度とを、ユーザに提供するタイヤ情報とする。タイヤ200には、空気圧センサと、温度センサとが設けられている。本例では、タイヤ200のバルブにセンサ201が設けられている。センサ201は、タイヤ200の空気圧とタイヤ200の温度とを検出する。
【0021】
センサ201は、タイヤ200の空気圧および温度の情報すなわちタイヤ情報を、タイヤ200の識別情報とともに、車載装置1に送信することが望ましい。タイヤ200の識別情報は、タイヤ200を特定するための情報である。
【0022】
車載装置1は、車両に搭載される。車載装置1は、Tire Pressure Monitoring System(タイヤ空気圧監視システム)の車載装置であってもよい。車載装置1は、タイヤ200の空気圧の測定値を空気圧センサから取得する。空気圧センサは、タイヤ200の空気圧を周期的に測定する。空気圧センサは、タイヤ200の空気圧を、例えば、1分間おきに測定する。
【0023】
また、車載装置1は、タイヤ200の温度の測定値を温度センサから取得する。温度センサは、タイヤ200の温度を周期的に測定する。温度センサは、タイヤ200の温度を例えば、1分間おきに測定する。
【0024】
車載装置1は、測定した情報を、例えばWi−Fi通信により、タイヤ情報表示装置2へ送信する。また、車載装置1は、測定した情報を、例えばWi−Fiアクセスポイントを経由して、Wi−Fi通信により、情報蓄積装置3へ送信する。
【0025】
タイヤ情報表示装置2は、例えば、タイヤ200が装着されている車両の運転者が使用する。タイヤ情報表示装置2は、タイヤ情報を表示したり、タイヤ情報を音声として出力したりする。タイヤ情報表示装置2は、車載装置1、情報蓄積装置3からタイヤ情報を受信する。タイヤ情報表示装置2を利用することにより、運転している車両に装着されているタイヤ200の状態を知ることができる。タイヤ情報表示装置2は、取得したタイヤ情報を表示することにより、タイヤ情報をユーザに提示する。タイヤ情報表示装置2は、タブレット装置やノート型PC(Personal Computer)などの可搬型の装置であることが望ましい。
【0026】
タイヤ情報表示装置2は、車載装置1が測定した情報を、例えばWi−Fi通信によって受信する。タイヤ情報表示装置2は、例えばインターネット網などのネットワークを介して、情報蓄積装置3と情報の授受を行うことができる。このため、タイヤ情報表示装置2は、情報蓄積装置3からもタイヤ情報を受信することができる。
【0027】
情報蓄積装置3は、タイヤを管理する会社や組織が使用する装置である。情報蓄積装置3は、例えば、タイヤを製造したりタイヤを販売したりする会社や組織が使用する装置である。情報蓄積装置3は、タイヤ情報を受信し、受信したタイヤ情報を自装置内に蓄積する。情報蓄積装置3は、例えばインターネットなどのネットワークを介してまたはWi−Fi通信によって、タイヤ情報を受信する。タイヤ情報は、車載装置1、管理者装置4から送信される。情報蓄積装置3を利用することにより、管理しているタイヤの状態を知ることができる。
【0028】
管理者装置4は、車両を管理する会社や組織が使用する装置である。管理者装置4は、例えば、運送会社、バス会社、タクシー会社が使用する装置である。管理者装置4は、タイヤ情報を受信し、受信したタイヤ情報を自装置内に記憶する。管理者装置4は、例えばインターネットなどのネットワークを介してタイヤ情報を受信する。タイヤ情報は、タイヤ情報表示装置2、情報蓄積装置3から送信される。管理者装置4を利用することにより、管理している車両に装着されているタイヤの状態を知ることができる。
【0029】
管理者装置4は、例えばインターネット網などのネットワークを介して、情報蓄積装置3と情報の授受を行うことができる。このため、管理者装置4は、情報蓄積装置3からタイヤ情報を受信することができる。
【0030】
[車載装置]
図2は、車載装置1の機能の例を示すブロック図である。
図2において、車載装置1は、制御部11と、記憶部12とを備える。制御部11は、車載装置1の動作を統括的に制御する装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などを備える。
【0031】
制御部11は、情報取得部111と、位置取得部112と、送信部113と、入出力部(I/O)114とを有する。具体的には、制御部11のCPUが、各種のプログラムを読み込んで実行することにより、これらの機能が実現される。情報取得部111は、タイヤ情報を他の装置から取得する。情報取得部111が取得したタイヤ情報は、記憶
部12に記憶される。位置取得部112は、位置情報を他の装置から取得する。位置取得部112が取得した位置情報は、記憶
部12に記憶される。送信部113は、記憶
部12に記憶されたタイヤ情報および位置情報を、他の装置へ送信する。
【0032】
記憶
部12は、制御部11での処理に用いられる各種のプログラムやデータを格納する装置である。記憶
部12は、例えば、不揮発性メモリにより構成される。
【0033】
情報取得部111が取得するタイヤ情報は、タイヤ200の空気圧情報と、タイヤ200の温度情報との少なくとも一方を含む。また、情報取得部111が取得するタイヤ情報は、タイヤ情報を取得したタイヤを識別するためのタイヤ識別情報を含む。情報取得部111が取得したタイヤ情報は、位置取得部112が取得した位置情報と共に、送信部113から送信される。
【0034】
[車載装置による処理]
次に、車載装置1による処理について説明する。
図3は、車載装置1の制御部11などによる処理の例を示すフローチャートである。
図3に示すように、ステップS101では、車載装置1は、情報取得部111によって、タイヤ200の空気圧情報を取得する。ステップS102では、車載装置1は、情報取得部111によって、タイヤ200の温度情報を取得する。ステップS103では、車載装置1は、位置取得部112によって、タイヤ200が装着されている車両の位置を示す位置情報を取得する。ステップS104では、車載装置1は、送信部113により、タイヤ情報と位置情報とを他の装置へ送信する。
【0035】
[タイヤ情報表示装置]
図4は、タイヤ情報表示装置2の機能の例を示すブロック図である。
図4において、タイヤ情報表示装置2は、制御部21と、記憶部22と、出力部23と、バッテリ24とを備える。制御部21は、タイヤ情報表示装置2の動作を統括的に制御する装置であり、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備える。また、制御部21は、情報取得部211と、位置取得部212と、決定部213と、変換部214と、入出力部(I/O)215とを有する。具体的には、制御部21のCPUが、各種のプログラムを読み込んで実行することにより、これらの機能が実現される。プログラムは、例えば、タイヤ情報表示装置2専用のアプリケーションプログラムを含む。
【0036】
情報取得部211は、タイヤ200の空気圧情報およびタイヤ200の温度情報を取得する。情報取得部211は、車載装置1が送信する、空気圧情報および温度情報を取得する。
【0037】
位置取得部212は、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して、自装置すなわちタイヤ情報表示装置2の現在の位置についての位置情報を取得する。GPSは、人工衛星からの電波を受信することで、タイヤ情報表示装置2の現在の位置(緯度、経度、高度)を検出する。また、セルラーフォンの基地局からの信号を利用するAGPS(Assisted GPS)によって、タイヤ情報表示装置2の現在の位置を取得してもよい。さらに、Wi−Fiの電波を利用して位置情報を取得してもよい。FM多重放送等で供給されるGPSの誤差情報を利用し、位置検出の精度を上昇するDGPS(Differential GPS)を利用してもよい。なお、位置取得部212は、外部の他の装置から位置情報を取得してもよい。例えば、位置取得部212は、車載装置1が送信する位置情報を取得して、それを自装置の位置情報としてもよい。
【0038】
決定部213は、位置取得部212が取得した位置情報に基づいて、情報取得部211が取得したタイヤ情報についての出力態様を決定する。変換部214は、決定部213が決定した出力態様に基づいて、情報取得部211が取得した情報を変換する。
【0039】
記憶部22は、テーブル221と、動作言語記憶部222とを含む。テーブル221は、決定部213および変換部214によって参照される。動作言語記憶部222は、タイヤ情報表示装置2の初期設定の際に、ユーザが設定する動作言語を記憶する。動作言語は、タイヤ情報表示装置2における表示や音声出力に用いられる言語である。
【0040】
出力部23は、表示部231と、音声出力部232とを含む。表示部231は、情報取得部211が受信したタイヤ情報などを表示する。表示部231は、例えば、液晶モニタによって構成される。表示部231は、情報を入力するためのタッチパネルと一体に構成されていてもよい。音声出力部232は、タイヤ情報などに関する音を出力する。音声出力部232は、例えば、スピーカである。
【0041】
バッテリ24は、タイヤ情報表示装置2の各部に電力を供給する。バッテリ24は、充電可能である。図示しないケーブルによってタイヤ情報表示装置2が商用電源に接続されることにより、バッテリ24は充電される。
【0042】
[タイヤ情報表示装置のテーブル]
図5から
図7は、記憶部22に記憶されているテーブル221の例を示す図である。テーブル221は、複数のテーブル221A、221B、221Cを含んでいてもよい。
図5は、位置情報と国名との対応を示すテーブル221Aの例を示す図である。テーブル221Aは、位置取得部212が取得した位置情報を、その位置情報による位置が属する国名に変換するためのテーブルである。なお、
図5および
図6において、国名には、都道府県市町村など地方公共団体の名称、地域の名称、州の名称などが含まれるものとする。
【0043】
例えば、位置情報[N35°40′52.62″,E139°45′57.93″]には、「JP」(日本)が対応付けられている。また、例えば、位置情報[N40°41′21.00″,W74°02′40.00″]には、「US」(米国)が対応付けられている。
【0044】
図6は、国名と単位系との対応を示すテーブル221Bの例を示す図である。テーブル221Bは、国名を、その国において法規で定められている単位系に変換するためのテーブルである。テーブル221Bを参照すると、「JP」(日本)については「MKS」単位系、「US」(米国)については「FPS」単位系、が対応する。
【0045】
図7は、単位系と変換式との対応を示すテーブル221Cの例を示す図である。テーブル221Cは、タイヤ情報を、単位系に変換するための変換式に変換するためのテーブルである。例えば、「FPS」単位系の空気圧の単位[PIS]を、「MKS」単位系の空気圧の単位[KPa]に変換する場合、「FPS」単位系の空気圧の値を6.895倍すればよい。また、例えば、「FPS」単位系の温度の単位[°F]を、「MKS」単位系の温度の単位[°C]に変換する場合、「FPS」単位系の温度の値から「42」を引いてさらに「1.8」で除算すればよい。なお、「FPS」単位系の重さの単位[lb]を、「MKS」単位系の重さの単位[kg]に変換する場合には、「FPS」単位系の重さの値に「0.4536」を乗じればよい。
【0046】
[タイヤ情報表示装置による処理]
次に、タイヤ情報表示装置2による処理について説明する。
図8は、タイヤ情報表示装置2の制御部21などによる処理の例を示すフローチャートである。
【0047】
図8に示すように、ステップS201では、タイヤ情報表示装置2は、情報取得部211によって、タイヤ情報を取得する。ステップS202では、タイヤ情報表示装置2は、位置取得部212によって、位置情報を取得する。ステップS203では、タイヤ情報表示装置2は、決定部213によって、テーブル221を参照し、タイヤ情報の出力態様を決定する。決定部213は、自装置の位置において適用される、法規に適合する表示態様を、タイヤ情報の出力態様として決定する。
【0048】
ステップS204では、決定された出力態様に基づき、変換部214によって、タイヤ情報を変換する。ステップS205では、変換されたタイヤ情報を、出力部23によって出力する。このように処理することにより、位置情報に基づき、法規に適した態様で、タイヤ情報を出力することができる。
【0049】
例えば、計量単位、言語、使用方法、色、音声、通貨などの出力態様について、位置情報に基づき、法規に適した態様を実現できる。法規に適した態様を実現できれば、仕向け先ごとに装置を提供する必要はなく、仕向け先に関係なく共通の装置を提供できるようになり、コスト削減が可能となる。また、タイヤ情報表示装置2のユーザは、タイヤ情報表示装置2を使用する国や地域に合わせた設定などの手間をかける必要がなく、仕向け先の法規に適した表示などの出力態様を実現できる。タイヤ情報表示装置2が位置情報をもとに出力態様を変更することにより、表示切替作業の手間を削減したり、表示切替忘れを防止したりすることができる。また、複数国を跨いで移動する際でも現在地に合わせた出力態様により法規を順守できる環境を提供することができる。
【0050】
なお、
図8に示すフローチャートによる処理は、タイヤ情報表示装置2の起動時に開始され、タイヤ情報表示装置2によって周期的に行われる。アプリケーションプログラムによって
図8に示すフローチャートによる処理を行う場合は、アプリケーションプログラムのダウンロードおよびインストール時から処理を開始してもよいし、アプリケーションプログラムの起動時から処理を開始してもよい。
【0051】
[情報蓄積装置]
図9は、情報蓄積装置3の機能の例を示すブロック図である。
図9において、情報蓄積装置3は、制御部31と、記憶部32とを備える。制御部31は、情報蓄積装置3の動作を統括的に制御する装置であり、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備える。また、制御部31は、受信部311と、送信部312と、入出力部(I/O)313とを有する。具体的には、制御部31のCPUが、各種のプログラムを読み込んで実行することにより、これらの機能が実現される。受信部311は、タイヤ情報および位置情報を受信する。送信部312は、タイヤ情報および位置情報を送信する。記憶部32は、例えば、不揮発性メモリあるいは磁気記憶装置により構成される。記憶部32は、受信部311が受信したタイヤ情報および位置情報を記憶する。
【0052】
[情報蓄積装置による処理]
次に、情報蓄積装置3による処理について説明する。
図10は、情報蓄積装置3の制御部31などによる処理の例を示すフローチャートである。
図10に示すように、ステップS301では、情報蓄積装置3は、受信部311がタイヤ情報および位置情報を受信したか否かを判定する。ステップS301の判定の結果、受信部311がタイヤ情報および位置情報を受信した場合(ステップS301でYes)、情報蓄積装置3は、ステップS302において、タイヤ情報を記憶部32へ書込む。
【0053】
ステップS303では、情報蓄積装置3は、送信部312がタイヤ情報および位置情報を送信するか否か判定する。ステップS303の判定の結果、送信部312がタイヤ情報および位置情報を送信する場合(ステップS303でYes)、情報蓄積装置3は、ステップS304において、タイヤ情報を記憶部32から読出す。情報蓄積装置3は、ステップS305において、送信部312からタイヤ情報および位置情報を送信する。
【0054】
なお、ステップS301の判定の結果、受信部311がタイヤ情報を受信していない場合(ステップS301でNo)、情報蓄積装置3は、ステップS303の判定を行う。また、ステップS303の判定の結果、送信部312がタイヤ情報を送信しない場合(ステップS303でNo)、情報蓄積装置3は、処理を終了する。
【0055】
[管理者装置]
図11は、管理者装置4の機能の例を示すブロック図である。
図11において、管理者装置4は、制御部41と、記憶部42と、表示部43とを備える。制御部41は、管理者装置4の動作を統括的に制御する装置であり、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備える。また、制御部41は、受信部411と、送信部412と、入出力部(I/O)413とを有する。具体的には、制御部41のCPUが、各種のプログラムを読み込んで実行することにより、これらの機能が実現される。受信部411は、タイヤ情報および位置情報を受信する。送信部412は、タイヤ情報および位置情報を送信する。記憶部42は、例えば、不揮発性メモリあるいは磁気記憶装置により構成される。記憶部42は、受信部411が受信したタイヤ情報および位置情報を記憶する。
【0056】
[管理者装置による処理]
次に、管理者装置4による処理について説明する。
図12は、管理者装置4の制御部41などによる処理の例を示すフローチャートである。
図12に示すように、ステップS401では、管理者装置4は、受信部411がタイヤ情報および位置情報を受信したか否かを判定する。ステップS401の判定の結果、受信部411がタイヤ情報および位置情報を受信した場合(ステップS401でYes)、管理者装置4は、ステップS402において、タイヤ情報を記憶部42へ書込む。
【0057】
ステップS403では、管理者装置4は、タイヤ情報および位置情報を表示部43によって表示するか否かを判定する。ステップS403の判定の結果、タイヤ情報および位置情報を表示部43によって表示する場合(ステップS403でYes)、管理者装置4は、ステップS404において、タイヤ情報および位置情報を記憶部42から読出す。管理者装置4は、ステップS405において、読出したタイヤ情報を表示部43によって表示する。
【0058】
ステップS406では、管理者装置4は、送信部412がタイヤ情報および位置情報を送信するか否か判定する。ステップS406の判定の結果、送信部412がタイヤ情報および位置情報を送信する場合(ステップS406でYes)、管理者装置4は、ステップS407において、タイヤ情報および位置情報を記憶部42から読出す。管理者装置4は、ステップS408において、読出したタイヤ情報を送信部412によって送信する。
【0059】
なお、ステップS401の判定の結果、受信部411がタイヤ情報および位置情報を受信していない場合(ステップS401でNo)、管理者装置4は、ステップS403の判定を行う。また、ステップS403の判定の結果、タイヤ情報および位置情報を表示部43によって表示しない場合(ステップS403でNo)、管理者装置4は、ステップS406の判定を行う。ステップS406の判定の結果、送信部412がタイヤ情報および位置情報を送信しない場合(ステップS406でNo)、管理者装置4は、処理を終了する。
【0060】
[情報出力方法]
図8を参照して説明したように、タイヤ情報表示装置2においては、以下のような情報出力方法が採用されている。すなわち、移動が可能で、情報を表示する情報表示装置における情報出力方法であって、上記情報を取得する情報取得ステップ(ステップS201)と、自装置の位置を示す位置情報を取得する位置取得ステップ(ステップS202)と、上記位置取得ステップ(ステップS202)において取得した位置情報に基づいて、自装置の位置において適用される、法規に適合する表示態様を、上記情報取得ステップ(ステップS201)において取得した情報についての出力態様として決定する決定ステップ(ステップS203)と、上記決定ステップ(ステップS203)において決定した出力態様に基づいて、上記情報取得ステップ(ステップS201)において取得した情報を変換する変換ステップ(ステップS204)と、上記変換ステップ(ステップS204)において変換された情報を、上記決定ステップ(ステップS203)において決定した出力態様に基づいて出力する出力ステップ(ステップS205)とを含む情報出力方法が採用されている。上記情報出力方法によれば、位置情報に基づき、適用される法規に適合する出力態様を決定し、法規を順守した情報出力を行うことができる。
【0061】
[制御プログラム]
上記タイヤ情報表示装置2においては、制御部21のCPUがアプリケーションプログラムを読込んで実行することによって、情報取得部211、位置取得部212、決定部213、変換部214および入出力部(I/O)215の各機能を実現することができる。このアプリケーションプログラムは、移動が可能で、情報を表示する情報表示装置を、制御する制御プログラムであって、コンピュータに、前記情報を取得する情報取得機能と、自装置の位置を示す位置情報を取得する位置取得機能と、前記位置取得機能によって取得した位置情報に基づいて、自装置の位置において適用される、法規に適合する表示態様を、前記情報取得機能によって取得した情報についての出力態様として決定する決定機能と、前記決定機能によって決定した出力態様に基づいて、前記情報取得機能によって取得した情報を変換する変換機能と、前記変換機能によって変換された情報を、前記決定機能によって決定した出力態様に基づいて出力する出力機能とを実現させるための制御プログラムである。このアプリケーションプログラムは、所定のWebサイトからダウンロードされ、タイヤ情報表示装置2にインストールされてもよいし、タイヤ情報表示装置2の出荷時にタイヤ情報表示装置2に予め組込まれていてもよい。この制御プログラムを実行すれば、位置情報に基づき、適用される法規に適合する出力態様を決定し、法規を順守した情報出力を行うことができる。
【0062】
[変形例1]
上記の例では、車載装置1からタイヤ情報表示装置2へ、タイヤ情報とともに位置情報を送信する場合について説明したが、車載装置からタイヤ情報だけを送信し、位置情報についてはタイヤ情報表示装置2においてGPSなどを利用して取得してもよい。
図13は、車載装置の変形例による機能を示すブロック図である。
図13に示す車載装置1Aは、
図2に示す車載装置1とは異なり、位置取得部を有していない。
【0063】
次に、車載装置1Aによる処理について説明する。
図14は、
図13の車載装置1Aの制御部11などによる処理の例を示すフローチャートである。
図14に示すように、ステップS101では、車載装置1Aは、情報取得部111によって、タイヤ200の空気圧情報を取得する。ステップS102では、車載装置1Aは、情報取得部111によって、タイヤ200の温度情報を取得する。ステップS104では、車載装置1Aは、送信部113により、タイヤ情報を他の装置へ送信する。
【0064】
[変形例2]
車載装置1は近距離無線により、タイヤ情報および位置情報を送信してもよい。車載装置1は、例えば、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fiなどを近距離無線として用いることができる。このため、車載装置1とタイヤ情報表示装置2との位置が近い場合、タイヤ情報表示装置2は、車載装置1からタイヤ情報および位置情報を取得できる。すなわち、タイヤ情報表示装置2は、車載装置1からタイヤ情報および位置情報を取得できれば、車載装置1の位置をタイヤ情報表示装置2の位置とみなし、車載装置1から取得した位置情報に基づいて、出力態様を決定すればよい。タイヤ情報表示装置2が可搬型であり、車載装置1とタイヤ情報表示装置2の位置が離れている場合、タイヤ情報表示装置2は、近距離無線では車載装置1からタイヤ情報および位置情報を取得できないことがある。この場合のタイヤ情報表示装置2の処理について説明する。
図15は、車載装置1から近距離無線により、タイヤ情報および位置情報を送信する場合における、タイヤ情報表示装置2の処理の例を示すフローチャートである。
【0065】
図15に示すように、ステップS201Aでは、タイヤ情報表示装置2は、車載装置1からタイヤ情報および位置情報を近距離無線によって受信しようとする。ステップS201Bでは、タイヤ情報表示装置2は、情報取得部111がタイヤ情報および位置情報を正常に受信できたか否かを判定する。
【0066】
ステップS201Bにおける判定の結果、情報取得部111がタイヤ情報および位置情報を正常に受信できなかった場合(ステップS201BでNo)、タイヤ情報表示装置2は、ステップS201Cにおいて、情報取得部111により、情報蓄積装置3からタイヤ情報を受信する。ステップS202では、タイヤ情報表示装置2は、位置取得部212により、位置情報を取得する。この際、位置取得部212は、例えば、GPSなどを利用して位置情報を取得する。
【0067】
ステップS203では、タイヤ情報表示装置2は、決定部213によって、テーブル221を参照し、タイヤ情報の出力態様を決定する。決定部213は、自装置の位置において適用される、法規に適合する表示態様を、タイヤ情報の出力態様として決定する。ステップS203以降の処理は、
図8を参照して説明した処理と同様である。
【0068】
ステップS201Bにおける判定の結果、情報取得部111がタイヤ情報および位置情報を正常に受信できた場合(ステップS201BでYes)、タイヤ情報表示装置2は、ステップS201Dにおいて、情報取得部111が受信した位置情報を用いることとし、ステップS203の処理に移る。ステップS203以降の処理は、
図8を参照して説明した処理と同様である。
【0069】
以上の処理を行うことにより、車載装置1から近距離無線によって位置情報を正常に受信できれば、タイヤ情報表示装置2において位置情報を取得する処理を行うことがないため、タイヤ情報表示装置2のバッテリ24の電力消費を抑えることができる。特に、位置取得部212が、GPSを利用して位置情報を取得する場合、位置情報を取得する処理を行わないようにすることで、電力消費は大きく抑えることができる。また、車載装置1から近距離無線によって位置情報を正常に取得できない場合は、車載装置1とタイヤ情報表示装置2との位置が離れているといえる。このため、そのような場合は、車載装置1とタイヤ情報表示装置2との距離を判定する処理を不要とし、GPSなどを利用して位置情報を取得することができる。
【0070】
[変形例3]
タイヤ情報表示装置2において、電波状況の悪化などにより位置取得部212が位置情報を取得できない場合がある。そのような場合、動作言語記憶部222の記憶内容に基づいて、情報取得部211が取得したタイヤ情報の出力態様を決定してもよい。つまり、タイヤ情報表示装置2の初期設定の際に、ユーザが設定した動作言語に基づき、設定されている動作言語に対応する地域を暫定的に使用地域とみなし、タイヤ情報の出力態様を決定してもよい。例えば、動作言語として「日本語」が動作言語記憶部222に記憶されている場合は日本向けの出力態様に、「English(USA)」が動作言語記憶部222に記憶されている場合は米国向けの出力態様とすればよい。その後、電波状況が好転して位置取得部212が位置情報を取得できた場合には、取得できた時点でその位置情報に応じて出力態様を決定すればよい。
【0071】
[変形例4]
タイヤ情報表示装置2において、法規を順守した表示を行うには、タイヤ情報表示装置2の位置情報の設定をユーザの操作によって自由に変更できることは好ましくない。位置情報の設定をユーザの操作によって変更されると、設定された位置情報によっては、法規を順守していない表示態様で表示が行われることも考えられるからである。例えば、日本国内で、米国での仕様による表示が行われることが考えられる。このため、ユーザの操作による位置情報の設定を許可しないこととすれば、位置情報に基づいて、常に法規を順守した表示を行うことができる。
【0072】
しかしながら、ユーザの操作による位置情報の設定を一切許可しないのは不都合がある。そのような不都合を解消するため、例えば、タイヤ情報表示装置2において、初期設定については、ユーザの操作による位置情報の設定を許可するという策が考えられる。
【0073】
図16は、ユーザの操作による位置情報の設定を許可する場合の処理を示すフローチャートである。
図16に示すように、ステップS501では、タイヤ情報表示装置2について、すでに初期設定が行われたか否かを判定する。ステップS501の判定の結果、タイヤ情報表示装置2について、初期設定が行われていないと判定した場合(ステップS501でNo)、タイヤ情報表示装置2は、ステップS502において、ユーザの操作による位置情報の設定を許可する。その後、ステップS503において、タイヤ情報表示装置2において、ユーザの操作による位置情報の設定を含む初期設定が行われる。
【0074】
一方、ステップS501の判定の結果、タイヤ情報表示装置2について、すでに初期設定が行われていると判定した場合(ステップS501でYes)、タイヤ情報表示装置2は、ステップS504において、ユーザの操作による位置情報の設定を許可しない。以上の処理により、必要な場合に限り、ユーザの操作による位置情報の設定を許可し、タイヤ情報表示装置2において、法規を順守した表示を行うことができる。
【0075】
[変形例5]
タイヤ情報表示装置2において、位置情報を変換式に直接対応付けるテーブルを採用してもよい。
図17は、位置情報と変換式とを対応付けるテーブルの例を示す図である。例えば、
図5から
図7までを参照して説明したテーブル221A、221Bおよび221Cの代わりに、
図17に示すテーブル221Dを用いてもよい。
図17に示すテーブル221Dを用いることにより、国名や単位系に変換することなく、位置情報を変換式に直接変換でき、処理時間を短縮できる。なお、
図17において、国名には、都道府県市町村など地方公共団体の名称、地域の名称、州の名称などが含まれるものとする。
【0076】
[変形例6]
上記は、タイヤ情報を表示する情報表示システムについて説明したが、タイヤ情報に限定することなく、各種の情報について、法規を順守した出力態様を採用することができる。例えば、上記タイヤ情報表示装置2を、国や地域を跨って運行する車両について、運行管理を行うシステムに適用することができる。その場合、車両の運行管理に必要な情報、例えば速度の制限、表示言語、労働時間などの表示を行う際に、仕向け先の国や地域の法規を順守した出力態様を採用することができる。
【0077】
[変形例7]
また、例えば、上記タイヤ情報表示装置2を、顧客情報を表示する情報表示装置として用い、個人情報を保護するための法規を順守した出力態様を採用することができる。これにより、個人情報の表示を禁止する国や地域においては個人情報を表示せず、そのような禁止していない国や地域においては個人情報を表示することができる。
【0078】
[変形例8]
上記タイヤ情報表示装置2を、タイヤの管理情報を表示する情報表示装置として用い、地域ごとの法規に適した表示を行うことができる。例えば、タイヤ型式やブラント、メーカーや指定空気圧、在庫管理情報、タイヤ単体の使用履歴などについて、各国や地域の法規を順守した出力態様を採用することができる。タイヤ単体の使用履歴とは、例えば、空気圧、温度、更生回数、車両への装着ポジション、走行距離である。
【0079】
[変形例9]
上記タイヤ情報表示装置2を、タイヤの販売管理情報を表示する情報表示装置として用い、国や地域ごとの法規を順守した出力態様を採用することができる。例えば、タイヤの販売本数、販売金額(現地通貨)、需要予測などについて、各国や地域ごとの法規を順守した出力態様を採用することができる。
【0080】
[変形例10]
また、上記タイヤ情報表示装置2において、位置情報に基づき、車両の運転席の位置すなわち、右ハンドルか左ハンドルかを判定し、表示内容を決定することができる。例えば、タッチパネルに表示するボタンの配置などを位置情報に基づき、決定することができる。ただし、国や地域を跨って運行しても運転席の位置が変更されることはないため、確認して手動での設定を促すメッセージの表示または音声案内の出力を行うことが望ましい。例えば、「表示に不都合がある場合は、手動で設定してください」などのメッセージ表示または音声出力を行うことが望ましい。
【0081】
[まとめ]
以上のように、自装置の位置を示す位置情報を取得して出力態様を決定することにより、仕向け先を意識しない共通ハードウェアやソフトウェアにて、仕向け先に合わせた情報表示などを行う仕組みを実現できる。特に、日本国内では法定計量単位に関連するものは計量法にて単位が定められており、計量法に定める単位以外のものが表示されてしまう場合、販売者が計量法第9条に違反することになってしまう。このため、販売者側はユーザが法定計量単位以外を選択できない仕組みを提供する義務がある。上記のように、使用する法定計量単位が異なる国や地域において、出力態様を自動で切替えることにより、仕向け先の国や地域におけるユーザの混乱を回避できる。