(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6848680
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】同期電動機の制御装置
(51)【国際特許分類】
H02P 21/06 20160101AFI20210315BHJP
H02P 25/022 20160101ALI20210315BHJP
【FI】
H02P21/06
H02P25/022
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-101593(P2017-101593)
(22)【出願日】2017年5月23日
(65)【公開番号】特開2018-198479(P2018-198479A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】野村 尚史
(72)【発明者】
【氏名】彦根 修
(72)【発明者】
【氏名】劉 江桁
【審査官】
池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−205857(JP,A)
【文献】
特開2015−180130(JP,A)
【文献】
特開2015−128355(JP,A)
【文献】
特開平10−243679(JP,A)
【文献】
特開2013−243876(JP,A)
【文献】
特開平11−299297(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0191656(US,A1)
【文献】
国際公開第2005/112249(WO,A1)
【文献】
中国特許出願公開第1715095(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 21/06
H02P 25/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体電力変換器により同期電動機を制御するための制御装置であって、前記同期電動機のトルク指令値から電流指令値を演算する電流指令演算器を備えた制御装置において、
前記電流指令演算器は、
前記トルク指令値から磁束上限値を演算する磁束上限値演算手段と、
前記トルク指令値から磁束下限値を演算する磁束下限値演算手段と、
前記同期電動機の磁束指令値を前記磁束上限値及び前記磁束下限値により基準化して基準化磁束指令値を演算する基準化変換手段と、
前記トルク指令値及び前記基準化磁束指令値を入力とする関数により前記電流指令値を演算して出力する手段と、
を備えたことを特徴とする同期電動機の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載した同期電動機の制御装置において、
前記磁束上限値演算手段は、トルクがトルク指令値に等しく、かつ、トルク/電流を最大にするときの磁束を前記磁束上限値として演算することを特徴とする同期電動機の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した同期電動機の制御装置において、
前記磁束下限値演算手段は、トルクがトルク指令値に等しく、かつ、トルク/磁束を最大にするときの磁束を前記磁束下限値として演算することを特徴とする同期電動機の制御装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載した同期電動機の制御装置において、
前記磁束下限値演算手段は、前記同期電動機の電流が電流制限値以上になる場合には、トルクがトルク指令値に等しく、かつ、前記同期電動機の電流が電流制限値に等しいときの磁束を前記磁束下限値として演算することを特徴とする同期電動機の制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載した同期電動機の制御装置において、
前記磁束指令値からトルク制限値を演算するトルク制限値演算手段と、
前記トルク制限値の範囲内に前記トルク指令値を制限する手段と、
を備えたことを特徴とする同期電動機の制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載した同期電動機の制御装置において、
前記トルク制限値演算手段は、前記同期電動機の磁束が磁束指令値に等しく、かつ、トルク/磁束を最大にするときのトルクを前記トルク制限値として演算することを特徴とする同期電動機の制御装置。
【請求項7】
請求項5に記載した同期電動機の制御装置において、
前記トルク制限値演算手段は、前記同期電動機の電流が電流制限値以上になる場合には、前記同期電動機の磁束が磁束指令値に等しく、かつ、前記同期電動機の電流が電流制限値に等しいときのトルクを前記トルク制限値として演算することを特徴とする同期電動機の制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載した同期電動機の制御装置において、
前記トルク指令値から前記磁束指令値を演算する磁束指令値演算手段を備え、
前記磁束指令値演算手段は、前記同期電動機のトルクが前記トルク指令値に等しく、かつ、トルク/電流を最大にするときの磁束を前記磁束指令値として演算することを特徴とする同期電動機の制御装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載した同期電動機の制御装置において、
前記同期電動機の端子電圧が電圧制限値以下になるように前記磁束指令値を制御する手段を有することを特徴とする同期電動機の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石同期電動機(以下、PMSM)やシンクロナスリラクタンスモータ(以下、SynRM)等の同期電動機の最大出力を増大させ、かつ、高精度なトルク制御を実現する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、同期電動機の効率を向上し、かつ、高精度なトルク制御を実現する技術が開発されている。
例えば、特許文献1に記載されたPMSMの制御装置では、電動機の端子電圧が制限値よりも低い場合は、トルク/電流が最大になるように磁束指令値を制御し、端子電圧が制限値よりも高い場合は、端子電圧が制限値以下になるように磁束指令値を制御する。そして、電動機のトルクがトルク指令値に等しくなるように負荷角調節器により負荷角指令値を演算し、磁束指令値と負荷角指令値とから電流指令値を演算する。この電流指令値に従って電動機の電流を制御することにより、効率の向上及び高精度なトルク制御を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−124811号公報(
図1〜
図5等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電流指令値の演算方法では、原理的に、負荷角がトルクの増加関数である必要がある。
一方、電動機の端子電圧を制限値に制御した場合、その出力が最大になるのはトルク/電圧が最大になる動作点であり、この動作点は、トルク/磁束が最大になる動作点にほぼ等しい。しかし、トルク/磁束が最大になる動作点では、負荷角がトルクの増加関数ではなくなるので、特許文献1に記載された技術では電流指令値を演算できなくなり、結果として電動機の最大出力まで運転することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の解決課題は、同期電動機の最大出力を増大させると共に効率を向上させ、高精度なトルク制御を実現可能とした同期電動機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、
半導体電力変換器により同期電動機を制御するための制御装置であって、前記同期電動機のトルク指令値から電流指令値を演算する電流指令演算器を備えた制御装置において、
前記電流指令演算器は、
前記トルク指令値から磁束上限値を演算する磁束上限値演算手段と、
前記トルク指令値から磁束下限値を演算する磁束下限値演算手段と、
前記同期電動機の磁束指令値を前記磁束上限値及び前記磁束下限値により基準化して基準化磁束指令値を演算する基準化変換手段と、
前記トルク指令値及び前記基準化磁束指令値を入力とする関数により前記電流指令値を演算して出力する手段と、を備えたことを特徴とする。
これにより、同期電動機の最大出力まで安定的に運転することができ、しかもトルクを高精度に制御することが可能である。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した同期電動機の制御装置において、前記磁束上限値演算手段は、トルクがトルク指令値に等しく、かつ、トルク/電流を最大にするときの磁束を前記磁束上限値として演算することを特徴とする。
これにより、演算誤差を低減でき、トルク制御精度をより向上させることができる。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した同期電動機の制御装置において、前記磁束下限値演算手段は、トルクがトルク指令値に等しく、かつ、トルク/磁束を最大にするときの磁束を前記磁束下限値として演算することを特徴とする。
これにより、演算誤差を低減でき、トルク制御精度をより向上させることができる。
【0009】
請求項4に記載した発明は、請求項1または2に記載した同期電動機の制御装置において、前記磁束下限値演算手段は、前記同期電動機の電流が電流制限値以上になる場合には、トルクがトルク指令値に等しく、かつ、前記同期電動機の電流が電流制限値に等しいときの磁束を前記磁束下限値として演算することを特徴とする。
これにより、演算誤差を低減すると共にトルク制御精度を一層向上させることができる。
【0010】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載した同期電動機の制御装置において、前記磁束指令値からトルク制限値を演算するトルク制限値演算手段と、前記トルク制限値の範囲内に前記トルク指令値を制限する手段と、を備えたことを特徴とする。
これにより、磁束指令値に応じてトルクを適切に制限することができる。
【0011】
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した同期電動機の制御装置において、前記トルク制限値演算手段は、前記同期電動機の磁束が磁束指令値に等しく、かつ、トルク/磁束を最大にするときのトルクを前記トルク制限値として演算することを特徴とする。
これにより、トルクを同期電動機の最大トルク以下に制限することができる。
【0012】
請求項7に記載した発明は、請求項5に記載した同期電動機の制御装置において、前記トルク制限値演算手段は、前記同期電動機の電流が電流制限値以上になる場合には、前記同期電動機の磁束が磁束指令値に等しく、かつ、前記同期電動機の電流が電流制限値に等しいときのトルクを前記トルク制限値として演算することを特徴とする。
これにより、同期電動機の電流を電流制限値以下に制御することができる。
【0013】
請求項8に記載した発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載した同期電動機の制御装置において、前記トルク指令値から前記磁束指令値を演算する磁束指令値演算手段を備え、 前記磁束指令値演算手段は、前記同期電動機のトルクが前記トルク指令値に等しく、かつ、トルク/電流を最大にするときの磁束を前記磁束指令値として演算することを特徴とする。
これにより、トルク/電流を最大に制御することができる。
【0014】
請求項9に記載した発明は、請求項1〜8の何れか1項に記載した同期電動機の制御装置において、前記同期電動機の端子電圧が電圧制限値以下になるように前記磁束指令値を制御する手段を有することを特徴とする。
これにより、同期電動機の端子電圧を電圧制限値以下に制御することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、同期電動機の最大出力を増大させると共に、高精度なトルク制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【
図2】
図1における電流指令演算器のブロック図である。
【
図3】
図2における基準化変換器の入出力特性を示す図である。
【
図4】
図2における電流指令生成部のトルク指令値と基準化磁束指令値Ψ
a(Table)*との関係を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
周知のように、同期電動機は、回転子に同期した直交回転座標を構成するd,q軸上で制御を行うことで、高性能なトルク制御や速度制御を実現することができる。
PMSMの場合、回転子の磁極のN極方向をd軸と定義し、このd軸から90°進み方向をq軸と定義する。また、SynRMの場合、インダクタンスが最大になる方向をd軸と定義し、このd軸から90°進み方向をq軸と定義する。
【0018】
図1は、この実施形態に係るPMSM等の同期電動機80の制御装置を示すブロック図である。
まず、
図1に基づいて、同期電動機80の速度制御、電流制御、及び、電圧制御について説明する。
【0019】
位置・速度検出回路91は、同期電動機80に取り付けられた位置・速度センサ90の出力信号から、速度検出値ω
rと位置検出値θ
rとを求める。なお、これらの検出値ω
r,θ
rは、位置・速度センサ90及び位置・速度検出回路91を用いずに、電動機80の電流及び端子電圧から演算しても良い。
【0020】
減算器16は、速度指令値ω
r*と速度検出値ω
rとの偏差を求め、速度調節器17は上記偏差を零にするように動作してトルク指令値τ
*を演算する。電流指令演算器18は、トルク指令値τ
*、速度検出値ω
r、電圧制限値V
alim、電圧指令値振幅V
a*に基づいて、電動機80の端子電圧が電圧制限値V
alim以下の条件で電動機80の効率を最大にし、かつ、トルクをトルク指令値τ
*に制御するようなd,q軸電流指令値i
d*,i
q*を演算する。
【0021】
電圧振幅演算器21は、d,q軸電圧指令値v
d*,v
q*のベクトル和から、電圧指令値振幅V
a*を演算する。電圧制限値演算器22は、直流電圧検出回路12により得た直流電圧検出値E
dcから、電圧制限値V
alimを演算する。
【0022】
一方、u相電流検出器11u、w相電流検出器11wは、電動機80に流れる相電流i
u,i
wをそれぞれ検出する。座標変換器14は、これらの相電流検出値i
u,i
w、及び、演算により求めた残りのv相電流演算値i
vを、位置検出値θ
rを用いて二相量のd,q軸電流検出値i
d,i
qに座標変換する。
【0023】
減算器19aは、d軸電流指令値i
d*とd軸電流検出値i
dとの偏差を求め、d軸電流調節器20aは、上記偏差を零にするように動作してd軸電圧指令値v
d*を演算する。また、減算器19bは、q軸電流指令値i
q*とq軸電流検出値i
qとの偏差を求め、q軸電流調節器20bは、上記偏差を零にするように動作してq軸電圧指令値v
q*を演算する。
座標変換器15は、d,q軸電圧指令値v
d*,v
q*を、位置検出値θ
rを用いて三相量の相電圧指令値v
u*,v
v*,v
w*に座標変換し、PWM回路13に出力する。
【0024】
整流回路60は、三相交流電源50を整流して得た直流電圧をインバータ等の電力変換器70に供給する。
PWM回路13は、電力変換器70の出力電圧を相電圧指令値v
u*,v
v*,v
w*に制御するためのゲート信号を生成する。電力変換器70は、ゲート信号に基づいて内部の半導体スイッチング素子を制御し、電動機80の端子電圧を相電圧指令値v
u*,v
v*,v
w*に制御する。
以上に述べた制御により、電動機80の速度及びトルク等を指令値通りに制御することができる。
【0025】
次に、
図1における電流指令演算器18の詳細を、
図2に基づいて説明する。
図2において、磁束指令演算器121は、トルク指令値τ
*から磁束指令値Ψ
aMTPAを演算する。この磁束指令値Ψ
aMTPAは、トルクがトルク指令値τ
*に等しく、かつ、トルク/電流を最大にするときの磁束とする。なお、Ψ
aMTPAを演算式により求めるのは困難であるため、折線近似関数を利用して演算する。
【0026】
磁束制限値演算器122は、磁束制限値Ψ
alimを数式1により演算する。
【数1】
【0027】
磁束指令演算器121から出力された磁束指令値Ψ
aMTPAは、出力制限器123により上限値が磁束制限値Ψ
alimに制限され、磁束指令値Ψ
a0*として出力される。
【0028】
また、電圧制限値V
alimと電圧指令値振幅V
a*との偏差を減算器124により求める。積分調節器からなる磁束調節器125は、上記偏差を零にするように動作して磁束補正係数K
Ψaを演算し、この磁束補正係数K
Ψaは、出力制限器126により上限値が1.0倍、下限値が零に制限される。
【0029】
出力制限器123,126からそれぞれ出力された磁束指令値Ψ
a0*と磁束補正係数K
Ψaとは乗算器127により乗算され、磁束指令値Ψ
a*が演算される。これにより、電動機80の端子電圧を電圧制限値V
alim以下に制御するための磁束指令値Ψ
a*を演算することができる。
【0030】
磁束指令値Ψ
a*はトルク制限値演算器131に入力されてトルク制限値τ
limが演算される。
このトルク制限値τ
limは、磁束が磁束指令値Ψ
a*に等しく、かつ、トルク/磁束を最大にするときのトルクとする。ただし、電流が電流制限値以上になる場合は、磁束が磁束指令値Ψ
a*に等しく、かつ、電流が電流制限値に等しいときのトルクとする。
トルク制限値τ
limを演算式により求めるのは困難であるため、折線近似関数を利用して演算する。
【0031】
トルク指令値τ
*は、出力制限器132により上限値がトルク制限値τ
lim、下限値が(−τ
lim)に制限され、トルク指令値τ
**として出力される。これにより、磁束指令値Ψ
a*に応じてトルクを電動機80の最大トルク以下に制限し、かつ、電流を電流制限値以下に制限することができる。
【0032】
基準化変換器141は、
図3に示す入出力特性に基づき、後述の磁束上限値Ψ
amax、磁束下限値Ψ
aminを含む磁束指令値Ψ
a*に応じた基準化磁束指令値Ψ
a(Table)*を演算し、電流指令生成部144に出力する。
【0033】
また、前述のトルク指令値τ
**は磁束上限値演算器142及び磁束下限値演算器143に入力され、磁束上限値Ψ
amax及び磁束下限値Ψ
aminがそれぞれ演算される。ここで、磁束上限値Ψ
amaxは、トルクがトルク指令値τ
**に等しく、かつ、トルク/電流を最大にするときの磁束とする。磁束下限値Ψ
aminは、トルクがトルク指令値τ
**に等しく、かつ、トルク/磁束を最大にするときの磁束とする。
ただし、電流が制限値以上になる場合は、トルクがトルク指令値τ
**に等しく、かつ、電流が制限値に等しいときの磁束とする。磁束上限値Ψ
amax及び磁束下限値Ψ
aminを演算式により求めるのは困難であるため、折線近似関数を利用して演算する。
【0034】
電流指令生成部144は、トルク指令値τ
**及び基準化磁束指令値Ψ
a(Table)*に基づいて、トルクをトルク指令値τ
**に制御し、かつ、磁束を基準化磁束指令値Ψ
a(Table)*に制御するようなd,q軸電流指令値i
d*,i
q*を演算する。この演算を演算式により行うのは困難であるため、トルク指令値τ
**と基準化磁束指令値Ψ
a(Table)*とを入力とし、d,q軸電流指令値i
d*,i
q*を出力とするテーブルを線形補間することにより、d,q軸電流指令値i
d*,i
q*を演算する。
【0035】
図4は、電流指令生成部144におけるトルク指令値と基準化磁束指令値Ψ
a(Table)*とのテーブルの例を示している。
磁束のテーブルは、通常使用する磁束上限値Ψ
amaxと磁束下限値Ψ
aminとの間を0〜1[pu]の範囲で用意しておく。これにより、テーブル数を低減し、線形補間に起因する誤差を低減できると共に線形補間演算を簡素化することができる。
また、弱め磁束制御を行う場合には速度が高いため、小さな磁束制御誤差が大きな電圧制御誤差になりやすい。そこで、
図4に示すように磁束とトルクとが小さい領域では、テーブルを多く設けることにより、線形補間に起因する磁束制御誤差を低減する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、PMSMやSynRM等の各種の同期電動機をインバータ等の電力変換器により駆動する制御装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
50 三相交流電源
60 整流回路
70 電力変換器
80 同期電動機
90 位置・速度センサ
91 位置・速度検出回路
11u u相電流検出器
11w w相電流検出器
12 直流電圧検出回路
13 PWM回路
14 座標変換器
15 座標変換器
16 減算器
17 速度調節器
18 電流指令演算器
19a,19b 減算器
20a d軸電流調節器
20b q軸電流調節器
21 電圧振幅演算器
22 電圧制限値演算器
121 磁束指令演算器
122 磁束制限値演算器
123 出力制限器
124 減算器
125 磁束調節器
126 出力制限器
127 乗算器
131 トルク制限値演算器
132 出力制限器
141 基準化変換器
142 磁束上限値演算器
143 磁束下限値演算器
144 電流指令生成部