(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6848709
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】重包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 30/10 20060101AFI20210315BHJP
B65D 33/28 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
B65D30/10 B
B65D33/28
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-117867(P2017-117867)
(22)【出願日】2017年6月15日
(65)【公開番号】特開2019-1509(P2019-1509A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2019年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 知之
(72)【発明者】
【氏名】景山 誠二
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭32−011691(JP,Y1)
【文献】
実公昭50−001447(JP,Y1)
【文献】
登録実用新案第3204671(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/10
B65D 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重畳する第1の面部分と第2の面部分を有するチューブで構成され、一端側の封かん部と他端側の充てん口とを有する重包装袋であって、
前記充てん口の近傍に、前記充てん口に沿って前記第1の面部分に配置され、前記封かん部および前記充てん口をつなぐ前記重包装袋の両側縁から両端が延出するように取り付けられた口紐と、
前記充てん口の部分に設けられ、前記口紐を覆って接着保持する折り返し部と、
を備え、
前記折り返し部は、
前記口紐を覆う前記第1の面部分の谷折り領域と、
前記谷折り領域の谷折り線と前記両側縁とのそれぞれの交点から、前記第1の面部分の前記充てん口側の縁辺まで延在する第1山折り領域と、
前記交点から前記第2の面部分の前記充てん口側の縁辺まで延在する第2山折り領域と、
を有し、
前記口紐は、前記谷折り線と前記第1の面部分の前記充てん口側の前記縁辺と前記両側縁の前記第1山折り領域とによって囲まれた台形の前記谷折り領域で覆われて接着保持されていることを特徴とする重包装袋。
【請求項2】
前記折り返し部は平坦に折り返され、当該折り返された状態において、前記第1の面部分から前記第1山折り領域を折り曲げたときに形成される第1山折り線、および前記第2の面部分から前記第2山折り領域を折り曲げたときに形成される第2山折り線は、前記両側縁上のそれぞれの前記交点から、両前記交点を結ぶ前記谷折り線に対して、第1角度および第2角度をもって延在しており、前記第1角度と前記第2角度とが、余角の関係にあることを特徴とする請求項1に記載の重包装袋。
【請求項3】
前記折り返し部を構成する前記第1の面部分の端縁の長さが前記第2の面部分の端縁の長さより小であることを特徴とする請求項1または2に記載の重包装袋。
【請求項4】
外側チューブと内側チューブとの2層構造を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の重包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体などを収納するための重包装袋に関し、例えば米などの穀類を収納するためのクラフト紙製の重包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の包装袋は、長尺の帯状をなすクラフト紙の幅方向両端部を重ね合わせて糊付けし、これによって形成される長尺のチューブを一定間隔で切断し、一方の切断端部を封緘処理し、他方の開口を出し入れ口としたものである。特に、数キログラム〜30キログラム程度の米および小麦などの穀粒物やセメントなどの粉粒体を収納する重包装袋は、2層以上の積層構造を有するものとして作製されるのが一般的である。ここで、米や麦に使用する重包装袋は、強度および剛性の点で3層構造の重包装袋が一般的であるが、3層構造とする分、製造コストが嵩み、また全体の厚さが増すので未使用時に必要な収納容積も増すことになる。したがって、製造コストや収納性を考慮すれば、2層構造とすることが好ましいが、重包装袋として要求される強度を充足していなくてはならない。
【0003】
重包装袋に要求される強度には、まず流通時に加わる負荷を考慮した、衝撃に対する強度がある。本発明者は、30kgの玄米を充てんした坪量75g/m
2、75g/m
2および84g/m
2のクラフト紙の2層構造を有する重包装袋をそれぞれ複数袋用意し、水平として1.2mの高さから10回落下させる、JIS Z 0217に準拠した落下破袋試験を行ったところ、いずれの重包装袋においても破れが生じないことが確認された。
【0004】
一方、重包装袋は、特許文献1に記載されているように、紙袋の充てん口に沿って、紙袋の両側から両端を延出させた状態で口紐を取り付け、充てん口部分(口部)を小幅で数回折り畳み、口紐の両端を結着して包装を行うのが一般的である。したがって、重包装袋には、特に粉粒体の充てんに付随する作業時において、口紐の取り付け部分を含む口部の破れが生じない強度を持つことも強く要望される。充てんに付随する作業とは、充てんした粉粒体の偏りをならすために、重包装袋の口部を両手で把持して持ち上げ、上下に揺らすなどの作業であり、このとき口部には大きな負荷がかかるからである。すなわち、一般的な重包装袋で口紐を取り付けるためには、袋の口部付近の最外の1層が口紐を覆うように折り返されて貼り付けられる。そうすると、従来の口紐付き重包装袋では、袋の口部を構成する紙が1層少ない部分ができ、その部分の強度が低下することになる。このため、充填物の偏りを均す作業などの際に両手で把持する部分の強度が不足して口部に破れを生じ易くなるという問題が生じるのである。特に、上述のように、クラフト紙の2層構造を有する重包装袋は、製造コストや収納性の点で好ましく、落下破袋試験において充分な強度を有していたものの、口部の強度の低下は大きな問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−30907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって本発明は、製造コストや収納性に優れた、口紐を有する重包装袋において、口紐の取り付け部分の口部の強度が保たれる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明は、重畳する第1の面部分と第2の面部分を有するチューブで構成され、一端側の封かん部と他端側の充てん口とを有する重包装袋であって、充てん口の近傍に、充てん口に沿って第1の面部分に配置され、封かん部および充てん口をつなぐ重包装袋の両側縁から両端が延出するように取り付けられた口紐と、充てん口の部分に設けられ、口紐を覆って接着保持する折り返し部と、を備え、折り返し部は、口紐を覆う第1の面部分の谷折り領域と、谷折り領域の谷折り線と両側縁とのそれぞれの交点から、第1の面部分の充てん口側の縁辺まで延在する第1山折り領域と、交点から第2の面部分の充てん口側の縁辺まで延在する第2山折り領域と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の折り返し部は台形状に形成され、その台形状の折り返し部によって、重包装袋の両側縁から内側に偏倚した位置で口紐が保持される。したがって、粉粒体の充てんに付随して行われる作業時に、作業者は口部近傍で口紐とともに充てん口の両側縁付近を把持できるので、口紐の取り付け部分の破れが生じにくいものとなる。また、折り返し部の接着の範囲は、両側縁から離れた台形の斜辺に限界されるので、作業時において口部には十分な開口面積が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による重包装袋を米(玄米)袋に応用した一実施形態の使用状態における外観を表す立体投影図である。
【
図2】
図1に示した米袋の外観を充てん口側から見た立体投影図である。
【
図3】
図2中のIII−III線に沿った断面図である。
【
図4】(a)および(b)は、
図1の紙袋の充てん口部分の折り返し部の形成を説明するために、それぞれ、重包装袋の表側および裏側の充てん口部分を示す平面図である。
【
図5】
図4(a)および(b)を用いて説明した折り返し工程が完了した充てん口部分を示す平面図である。
【
図6】粉粒体の充てん後に行われる作業を説明する説明図である。
【
図7】
図5とは異なる折り返しを行った充てん口部分の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし本発明は以下に詳述する実施形態に限られることはなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能なものである。また、以下の実施形態では、玄米を被充てん物とし、これを30kg充てんするのに適した米袋を例示するが、本発明は広く粉粒体の収納に適用できるものである。また、充てんする粉粒体の重量などに合わせて、重包装袋の寸法等は適宜定め得るものである。
【0011】
(重包装袋の構成)
図1および
図2を参照するに、30kgの米(玄米)が充てんされる米袋に応用した実施形態が示されている。これらの図に示すように、本実施形態に係る米袋10は、一端側の封かん部11と他端側の充てん口12とを有するひだなし片底貼りのチューブ構造を採用している。したがって、米の充てん前(未使用時または非使用時)には、合同の略矩形状を呈する一対の(第1および第2の)面部分10Aおよび10Bが重畳するものとなる。また、片底はり構造を採用したことにより、米を米袋10内に充てんした場合、
図1に示すように安定した自立性を確保することができる。
【0012】
図2およびそのIII−III線断面図である
図3に示すように、米袋10は、外側チューブ13および内側チューブ14からなる2層構造を有している。つまり、第1および第2の面部分10A,10Bは、外側チューブ13が形成する外側層と内側チューブが形成する内側層とを含んでいる。このため、従来の3層構造の重包装袋よりも製造コストを下げることができるとともに、嵩張りを少なくして未使用時または非使用時の収納性を向上することができる。
【0013】
米袋10の第1の面部分10Aの表面10Fには、封かん部11と充てん口12とをつなぐ米袋10の両側縁を越えて延出する口紐16が、充てん口12の近傍且つこれと平行に、接着により取り付けられている。なお、この口紐16が配される米袋の面10Fを以下では表面と称し、その反対側の面を裏面と称することもある。なお、この裏面は、例えば米に関する検査証明が印刷される面とされ得る。
【0014】
本実施形態では、充てん口12付近で外側チューブ13および内側チューブ14をともに、口紐16を覆うように台形状に折り返した折り返し部17を形成する。そしてその折り返し部17が表面10Fと重なる領域を糊付けすることにより、口紐16は表面10Fによって強固に接着保持される。外側チューブ13および内側チューブ14からなる2層構造の米袋10の基本構成は、周知の形態で製造され、適宜の部位で層間接着を行うことで、相互にずれのない安定した2層構造を得ることができる。また、折り返し部17に位置する外側チューブ13および内側チューブ14の部分間の層間接着も適宜行うことができるが、全面的に接着しておくことが、口紐16を確実に保持する上で好ましい。
【0015】
(折り返し部の形成)
封かん部11の舟形底の形成方法に関しては、従来から周知である任意の方法を適宜採用することが可能である。一方、本実施形態の特徴をなす折り返し部17は、次のような工程で形成することができる。
【0016】
図4(a)および(b)は、
図1の米袋の充てん口部分の折り返し工程を説明するために、それぞれ、表側および裏側の充てん口部分を示す平面図である。また、
図5は折り返し工程が完了した充てん口部分を示す平面図である。
【0017】
まず、
図5に示すように、本実施形態の折り返し部17は、第1の面部分10Aの側に形成される谷折り領域17Cおよび第1山折り領域17Aと、第2の面部分10Bの側に形成される第1山折り領域17Bと、を有する。これらの領域は、
図4(a)および(b)に示す谷折り線21および山折り線23、33に沿った折り曲げを行うことで形成される。なお、
図4(a)および(b)において二点鎖線で示すこれらの折り線は、印刷などによって表示されていることを意味するものではなく、あくまで折り曲げ箇所の説明のためのものである。但し、折り曲げ工程に先立って、第1の面部分10Aおよび第2の面部分10Bに折り目加工を施しておくことは有効である。
【0018】
(折り返し部の条件)
谷折り線21は、
図4(a)に示すように、口紐16の直近にあってこれと平行に延在する。そして第1山折り線23は、谷折り線21と米袋10の両側縁10Sのそれぞれの交点25から、谷折り線21に対して第1角度αをもって延在し、第1の面部分10Aの充てん口12側の縁辺上の位置27に達するようにされる。また、第2山折り線33は、
図4(b)に示すように、上記それぞれの交点25から、谷折り線21に対して第2角度βをもって延在し、第2の面部分10Bの充てん口12側の縁辺上の位置37に達するようにされる。そして、谷折り線21および山折り線23、33に沿った折り返しを行うことで、
図5に示すような折り返し部17が形成される。
【0019】
ここで、未使用の米袋の収納性を考えれば、折り返し部17は弛みのない平坦な状態に折り返されていることが好ましい。予め折り返し部が平坦な状態に折り返されていない場合でも、第1の面部分10Aが平坦に折り返されて口紐を覆うように接着されている状態で、充てん口部分を折り畳むことにより、第2の面部分10Bも第1の面部分10Aと同じ平面に位置するように折り畳むことができる。そのとき、折り返し部17は、弛みのない平坦な状態に折り返されて、第1および第2角度α,βを底角とする直角三角形となる。
【0020】
そのように折り返し部17を形成したときの第1および第2角度α,βの関係は次のようになる。第1および第2山折り線23,33での山折りを行うことで形成される折り返し部の縁辺17Eは、米袋10の角10Cから位置27までの部分と、角10Cから位置37までの部分と、で形成される。折り返し部17が弛みなく平坦に折り返されるときには、
図5に示すように、それらの部分が一直線状をなすこと、すなわち、それらの部分の長さの合計が縁辺17Eの長さに一致している状態となる。換言すれば、角10Cであった位置は、折り返し部17の形成後には縁辺17E上に位置するが、交点25からその位置10C’に下ろした線は縁辺17Eの垂線となる。これは、第1角度αと第2角度βとが余角の関係をなしていること(α+β=90度であること)を意味する(因みに、第1角度αおよび第2角度βは、縁辺17Eを底辺とする
図5に示される直角三角形状の部分の2つの底角、すなわち、それぞれ位置27および位置37を挟む2辺がなす角度に等しい)。
【0021】
なお、上述したように必須の構成ではないが、
図4(a)および(b)に示すように第1の面部分10Aおよび第2の面部分10Bに折り目加工を施しておけば、折り返し工程が円滑に行われ、且つ、折り返し部17が確実に弛みなく平坦な状態に折り返されることになる。しかしこれらは厳密なものではなく、紙のコシや伸縮を考慮して、ある程度の公差は許容され得る。また、米袋10の充てん口12の両側に形成される2つの折り返し部17Aにおいて、第1角度同士および第2角度同士は、必ずしも等しくなくてもよい。
【0022】
ここで、折り返し部17は、口紐16を固定する側の第1の面部分10の端縁の長さが反対側(第2の面部分10B)の端縁の長さよりも小となるようにことが好ましいが、その理由を説明する。
【0023】
図2および
図5に示したような折り返し部17を有する米袋10に対しては、充てん口12に定量供給装置などのノズルを挿入して米の充てんが行われる。そして充てん後には、通常、米の偏りをならすための作業が行われる。その作業にあたり、作業者Wは、
図6に示すように裏面10Rを自身の側に向けた状態とする。そして、充てん口12の内側に第一指(親指)を差し入れ、袋の両側縁からやや表面10F側に寄った位置で第二指〜第五指を添え、口紐16とともに充てん口12の両側縁付近を把持する。したがって、米袋10を持ち上げ、上下に揺らすなどして米Rの片寄りなどをならす作業を行っても、口紐の取り付け部分の破れが生じにくいものとなる。なお、その作業後に折り返し部17を含めて充てん口部分を小幅で表面10F側に数回折り畳み、口紐16の両端を結着すれば、
図1に示した状態を得ることができる。
【0024】
ここで、第1の面部分10の端縁の長さが第2の面部分10Bの端縁の長さよりも小であれば(このとき角度はα<βの関係となる)、
図5に示すように、縁辺17Eは第1の面部分10Aの前縁に対して鈍角を、第2の面部分10Bの前縁に対して鋭角をなす。つまり、第1の面部分10Aの前縁および第2の面部分10Bの前縁は、それぞれ、等脚台形の上底および下底をなす。したがって、作業者が裏側の面10Rを自身に向けて親指を差し入れたとき、側縁10S近傍に親指が位置した状態となるので、充てん口を開けやすく、且つ大きな開口を確保できることになる。
【0025】
これに対して、第1の面部分10Aの端縁の長さが第2の面部分10Bの端縁の長さよりも大であれば(このとき角度はα>βの関係となる)、
図7に示すように、縁辺17Eは第1の面部分10Aの前縁に対して鋭角を、第2の面部分10Bの前縁に対して鈍角をなす。つまり、第1の面部分10Aの前縁および第2の面部分10Bの前縁がそれぞれ下底および上底となる逆等脚台形状の折り返し部17が形成されてしまう。すると、作業者が裏側の面10Rを自身に向けて親指を差し入れたとき、側縁10Sから離れた部位に親指が位置した状態となるので、大きな開口を確保しにくくなる。よって、口紐の取り付け部分の破れが生じにくいことに加え、充てん時の作業性考慮すれば、少なくとも、第1の面部分10の端縁の長さが第2の面部分10Bの端縁の長さよりも大でないこと(すなわちα>βでないことが好ましく、特に第1の面部分10の端縁の長さが第2の面部分10Bの端縁の長さよりも小であれば(すなわちα<βであれば)作業性の一層の向上に資することができるのである。
【0026】
(実施形態の効果の検証)
本発明者は、坪量75g/m
2、78g/m
2および84g/m
2のクラフト紙の2層構造を有し、上記実施形態にしたがって製造した紙袋をそれぞれ複数袋用意し、いずれにも30kgの玄米を充てんした。そして、
図6で説明したような、米袋10を持ち上げて上下に揺らす作業を繰り返し行ったが、いずれも口紐の取り付け部分を含む口部での破れは生じなかった。
【0027】
以上から、本発明者は、2層構造の米袋であっても、上述した実施形態のように口紐の取り付け部分の構造を定めることで口部の強度を保つことができ、少なくとも、流通をさほど考慮しなくて済む保存米用の米袋であれば、十分に実用に耐えるとの知見を得た。
【0028】
なお、坪量が高いほどクラフト原紙の「コシ」が強くなるので、使用感は高まるものの、落下の衝撃によって口紐16が配される口部に負担がかかることが予測される。本発明者は、上記各種の米袋についてJIS Z 0217の規定による10回を超える落下試験を行ったところ、坪量75g/m
2および坪量78g/m
2とした袋のほうが破れが生じにくいことを確認した。よって、単価の低廉な坪量75g/m
2〜78g/m
2のクラフト紙を用いた2層構造とし、上記実施形態を適用して米袋を構成することが、製造コストの低廉化および収納性の向上を図りつつも、口紐の取り付け部分を含む口部には十分な強度および開口面積が確保される上で好ましいことがわかった。
【0029】
(その他)
本発明は、口紐を保持するとともに口部の強度を高める折り返し部の構成に特徴を有するものであって、単層構造または3層構造以上の重包装袋への適用を排除するものではない。また、2層以上の構造とする場合において、坪量の異なるものの積層構造が採用されてもよい。さらに、チューブを構成する紙についても、上述のようなクラフト紙に限らず、クルパック紙などが採用されてもよい。要は、収納する粉粒体の形状、寸法、重量および製造工程などを勘案して適宜の層構造が採用されればよいのである。
【0030】
つまり、本発明の概念は本願の特許請求の範囲、特にその請求項1に記載された事項に基づいて解釈されるべきものであり、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が可能である。つまり、上述した実施形態に記載した事項は、本発明を限定するためのものではなく、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
【符号の説明】
【0031】
10 米袋
10A 第1の面部分
10B 第2の面部分
10F 米袋の表面
10R 米袋の裏面
11 封かん部
12 充てん口
13 外側チューブ
14 内側チューブ
16 口紐
17 折り返し部
17A、17B 山折り領域
17C 谷折り領域
21 谷折り線
23、33 山折り線