特許第6848823号(P6848823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6848823ワイヤーハーネス支持部材、支持部材付ワイヤーハーネス及び支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6848823
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネス支持部材、支持部材付ワイヤーハーネス及び支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20210315BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   H02G3/30
   B60R16/02 623A
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-221793(P2017-221793)
(22)【出願日】2017年11月17日
(65)【公開番号】特開2019-97223(P2019-97223A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼倉 龍太
(72)【発明者】
【氏名】横井 基宏
(72)【発明者】
【氏名】江端 大輔
(72)【発明者】
【氏名】池田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中野 悠
(72)【発明者】
【氏名】荒井 健太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
(72)【発明者】
【氏名】宇治田 智
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−154568(JP,A)
【文献】 特開2000−324663(JP,A)
【文献】 実開昭55−074220(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、
前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、
前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で前記取付対象部材の周方向において位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材と、
を備えるワイヤーハーネス支持部材。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤーハーネス支持部材であって、
前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記複数の電線の少なくとも一部を束ねた電線束を保持する電線束保持部を含む、ワイヤーハーネス支持部材。
【請求項3】
複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、
前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、
前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材と、
を備え、
前記ベースは、スライドガイドを含み、
前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記スライドガイドに対して前記取付対象部材の周方向における位置を変える方向にスライド移動可能なスライド固定部を含む、
ワイヤーハーネス支持部材。
【請求項4】
複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、
前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、
前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材と、
を備え、
前記ベースは、スライドガイドを複数含み、
前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記スライドガイドに対してスライド移動可能なスライド固定部を含み、
前記少なくとも1つの電線保持部材のスライド固定部は、前記複数のスライドガイドのうちの1つに固定可能である、ワイヤーハーネス支持部材。
【請求項5】
複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、
前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、
前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材と、
を備え、
前記ベースは、複数の固定部を含み、
前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記複数の固定部のうちの1つに固定可能な保持部側固定部を含む、
ワイヤーハーネス支持部材。
【請求項6】
複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、
前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、
前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な複数の電線保持部材と、
を備える、ワイヤーハーネス支持部材。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス支持部材と、
複数の電線の少なくとも一部が前記ワイヤーハーネス支持部材の前記少なくとも1つの電線保持部材に保持されたワイヤーハーネスを備える、支持部材付ワイヤーハーネス。
【請求項8】
複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材とを備えるワイヤハーネス支持部材と、
複数の電線の少なくとも一部が前記ワイヤーハーネス支持部材の前記少なくとも1つの電線保持部材に保持されたワイヤーハーネスと、
を備え、
前記ワイヤーハーネス支持部材を複数備え、
少なくとも2つの前記ワイヤーハーネス支持部材の間で、前記複数の電線の少なくとも一部を保持する電線保持部材が異なる位置で前記ベースに固定されている、支持部材付ワイヤーハーネス。
【請求項9】
請求項8に記載の支持部材付ワイヤーハーネスと、
前記複数のワイヤーハーネス支持部材が固定された取付対象部材と、
を備え、
前記ワイヤーハーネスが前記取付対象部材に沿って配設されると共に、少なくとも2つのワイヤーハーネス支持部材の間で、前記複数の電線の少なくとも一部を保持する電線保持部材の位置が前記取付対象部材の周方向において異なっている、支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネスを取付対象部材の周りに支持する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、前記棒状周辺部品の外周部に対して嵌合可能な周方向一部分で開口した部分筒状に形成された嵌合部と、前記ワイヤーハーネスの外周部を覆う形状に形成され、前記ワイヤーハーネスを前記棒状周辺部品に沿って延在させる形態で前記嵌合部と一体に形成された保護部とを備えるワイヤーハーネス支持部材を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−11837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤーハーネスを車両の取付対象部材に取付ける場合を想定すると、当該取付対象部材の周りには内装カバー、各種機器等が存在し得る。
【0005】
取付対象部材に対してワイヤーハーネスを一定位置に支持する構成では、ワイヤーハーネスがその周辺部品に干渉する恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、ワイヤーハーネスを取付対象部材に対して比較的自由な位置に支持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様は、複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で前記取付対象部材の周方向において位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材とを備える。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係るワイヤーハーネス支持部材であって、前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記複数の電線の少なくとも一部を束ねた電線束を保持する電線束保持部を含む。
【0009】
第3の態様は、複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材と、を備え、前記ベースは、スライドガイドを含み、前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記スライドガイドに対して前記取付対象部材の周方向における位置を変える方向にスライド移動可能なスライド固定部を含む。
【0010】
第4の態様は、複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材と、を備え、前記ベースは、スライドガイドを複数含み、前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記スライドガイドに対してスライド移動可能なスライド固定部を含み、前記少なくとも1つの電線保持部材のスライド固定部は、前記複数のスライドガイドのうちの1つに固定可能とされている。
【0011】
第5の態様は、複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材と、を備え、前記ベースは、複数の固定部を含み、前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記複数の固定部のうちの1つに固定可能な保持部側固定部を含む。
【0012】
第6の態様は、複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な複数の電線保持部材と、を備える。
【0013】
第7の態様に係る支持部材付ワイヤーハーネスは、第1から第6のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネス支持部材と、複数の電線の少なくとも一部が前記ワイヤーハーネス支持部材の前記少なくとも1つの電線保持部材に保持されたワイヤーハーネスを備える。
【0014】
第8の態様に係る支持部材付ワイヤーハーネスは、複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材とを備えるワイヤハーネス支持部材と、複数の電線の少なくとも一部が前記ワイヤーハーネス支持部材の前記少なくとも1つの電線保持部材に保持されたワイヤーハーネスと、を備え、前記ワイヤーハーネス支持部材を複数備え、少なくとも2つの前記ワイヤーハーネス支持部材の間で、前記複数の電線の少なくとも一部を保持する電線保持部材が異なる位置で前記ベースに固定されているものである。
【0015】
第9の態様に係る支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造は、第8の態様に係る支持部材付ワイヤーハーネスと、前記複数のワイヤーハーネス支持部材が固定された取付対象部材と、を備え、前記ワイヤーハーネスが前記取付対象部材に沿って配設されると共に、少なくとも2つのワイヤーハーネス支持部材の間で、前記複数の電線の少なくとも一部を保持する電線保持部材の位置が前記取付対象部材の周方向において異なっているものである。
【発明の効果】
【0016】
第1から第9の態様によると、複数の電線の少なくとも一部を保持した少なくとも1つの電線保持部材を、ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定することができる。このため、ワイヤーハーネスを取付対象部材に対して比較的自由な位置に支持できる。
【0017】
第2の態様によると、電線保持部材によって、電線束単位で複数の電線を保持することができ、電線保持が容易となる。
【0018】
第3の態様によると、少なくとも1つの電線保持部材を、ベースに対してスライド移動させることで、少なくとも1つの電線保持部材の固定位置を設定することができる。
【0019】
第4の態様によると、少なくとも1つの電線保持部材のスライド固定部を、複数のスライドガイドのうちの任意のものに固定可能することで、少なくとも1つの電線保持部材の固定位置を設定することができる。
【0020】
第5の態様によると、少なくとも1つの電線保持部材の保持部側固定部を、ベースの複数の固定部のうちの任意のものに固定することで、少なくとも1つの電線保持部材の固定位置を設定することができる。
【0021】
第6の態様によると、複数の電線を、複数の電線保持部材で分散して支持することができる。これにより、ワイヤーハーネスを取付対象部材からなるべく大きくはみ出ないように当該取付対象部材の周りで支持することができる。
【0022】
第7の態様によると、ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス支持部材とが一体化されているため、ワイヤーハーネスを取付対象部材に支持する作業を容易に実施できる。
【0023】
第8の態様によると、少なくとも2つのワイヤーハーネス支持部材の間で、前記複数の電線の少なくとも一部を保持する電線保持部材が異なる位置で前記ベースに固定されているため、取付対象部材の複数の領域においてワイヤーハーネスに対して干渉し易い周辺部品の配置が異なる場合等に、容易に対応できる。
【0024】
第9の態様によると、取付対象部材の複数の領域においてワイヤーハーネスに対して干渉し易い周辺部品の配置が異なる場合等に、当該干渉を回避し得るようにワイヤーハーネスを支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造を示す概略斜視図である。
図2】支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造を示す概略正面図である。
図3】ワイヤーハーネス支持部材を示す分解斜視図である。
図4】ワイヤーハーネス支持部材を示す分解斜視図である。
図5】電線保持部材を示す平面図である。
図6】ベースに対する電線保持部材の保持位置の例を示す説明図である。
図7】ベースに対する電線保持部材の保持位置の他の例を示す説明図である。
図8】ベースに対する電線保持部材の保持位置のさらに他の例を示す説明図である。
図9】ベースに対する電線保持部材の保持位置のさらに他の例を示す説明図である。
図10】第2実施形態に係る支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造を示す概略斜視図である。
図11】ワイヤーハーネス支持部材を示す分解斜視図である。
図12】ベースに対する電線保持部材の保持位置の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るワイヤーハーネス支持部材、支持部材付ワイヤーハーネス及び支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造について説明する。図1は支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造10を示す概略斜視図であり、図2は同支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造10を示す概略正面図である。
【0027】
支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造10は、ワイヤーハーネスWHを保持するワイヤーハーネス支持部材20を、取付対象部材12に支持するための構造である。つまり、ワイヤーハーネスWHが取付対象部材12に沿って配設される場合において、取付対象部材12に固定されたワイヤーハーネス支持部材20が、ワイヤーハーネスWHを取付対象部材12に沿って支持する。
【0028】
例えば、ワイヤーハーネスWHは、ワイヤーハーネス支持部材20が取付けられた形態に組立てられて、車両組立工場に搬送される。車両組立工場において、ワイヤーハーネス支持部材20が取付対象部材12に固定される。これにより、ワイヤーハーネスWHが取付対象部材12に沿って支持される。なお、ワイヤーハーネスWHとワイヤーハーネス支持部材20とが別々に車両組立工場に搬送あれ、当該車両組立工場において、ワイヤーハーネスWHにワイヤーハーネス支持部材20が取付けられると共に、ワイヤーハーネス支持部材20が取付対象部材12に固定されてもよい。
【0029】
上記取付対象部材12としては、例えば、レインフォースメント、車体フレーム等であることが想定される。レインフォースメントは、車体の補強部材であり、通常、棒状に形成されている。レインフォースメントは、例えば、車両における運転席及び助手席前にあるインストルメントパネル内において、当該車両の幅方向に沿って配設される。インストルメントパネル内に配設される電気機器に対するワイヤーハーネスがインストルメントパネル内に配設される場合、当該ワイヤーハーネスはレインフォースメントに沿って配設される。上記支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造10は、このような場合に、ワイヤーハーネスをレインフォースメントに沿って支持する構造として適用することができる。もちろん、支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造10は、その他の車体フレーム等、例えば、金属ボディの一部に細長い突出部分が形成された箇所等に対してワイヤーハーネスを支持する構造としても、適用できる。
【0030】
ここでは、取付対象部材12が棒状の部材、より具体的には、円筒状の部材であるとして説明する。また、取付対象部材12には、ワイヤーハーネス支持部材20を一定位置に保つための固定孔13が形成されている。ここでは、取付対象部材12の長手方向中間部において、当該取付対象部材12の中心軸の両側部分の2箇所に固定孔13が形成されている。後述する位置決め突部24pが当該固定孔13に嵌り込むことによって、ワイヤーハーネス支持部材20が取付対象部材12に対して抜け止状態でかつ当該ワイヤーハーネス支持部材20の延在方向において一定位置で支持される。
【0031】
支持部材付ワイヤーハーネス18は、ワイヤーハーネスWHと、ワイヤーハーネス支持部材20とを備える。
【0032】
ワイヤーハーネスWHは、複数の電線Wを含む。電線Wは、芯線と芯線を覆う絶縁被覆とを含む絶縁電線である。芯線は、銅又はアルミニウム等の導電性材料によって形成される。芯線は単線であってもよいし、撚線であってもよい。絶縁被覆は、樹脂等が芯線の外周に押出成形されて形成されたものである。
【0033】
複数の電線Wは、取付対象部材12に沿って配設される部分で、当該取付対象部材12周りに集合している。複数の電線Wは、取付対象部材12の端部から延出する箇所及び取付対象部材12に沿って配設される箇所において、必要に応じて外方に向けて分岐していてもよい。複数の電線Wは、各分岐先で、コネクタ等を通じて、電子制御ユニット、負荷、センサ等の電気機器に接続されてもよい。
【0034】
複数の電線Wは、取付対象部材12に沿って配設される箇所で、複数のグループに分割され、分割されたグループ毎に束ねられている(図2参照、図1では1つの電線束Wbのみ図示)。各電線束Wbは、分岐する単位毎にグループ分けされてもよいが、これは必須ではない。
【0035】
ワイヤーハーネス支持部材20においては、各電線束Wbは、別々に保持されるが、他の部分では、各電線束Wbに含まれる複数の電線Wが1つの束となるように保持されていてもよい。また、複数のワイヤーハーネス支持部材20が設けられる場合、それぞれのワイヤーハーネス支持部材20において保持される電線束Wbは、同じようにグループ分けされたものでなくてもよい。
【0036】
ここでは、複数の電線Wは、ワイヤーハーネス支持部材20において支持される箇所で、8個の電線束Wbに分けられている例で説明する。
【0037】
図3及び図4はワイヤーハーネス支持部材20を示す分解斜視図であり、図5は電線保持部材30を示す平面図である。
【0038】
図1図5に示すように、ワイヤーハーネス支持部材20は、上記のようなワイヤーハーネスWHの複数の電線束Wbを、取付対象部材12に対して支持するものであり、ベース22と、少なくとも1つの電線保持部材30とを備える。
【0039】
ベース22は、取付対象部材12の周囲の少なくとも一部を覆った状態で当該取付対象部材12に取付けられる。
【0040】
ベース22は、中間長尺部23の両端部に一対の側部長尺部24が同一方向に延出するように連結された構成とされている。かかるベース22は、例えば、樹脂により一体形成された部材とすることができる。一対の側部長尺部24間の間隔寸法は、取付対象部材12の外径と同じ程度に設定されている。また、一対の側部長尺部24の長さ寸法は、取付対象部材12の外径の半分を超える程度、ここでは、取付対象部材12の直径程度に設定されている。
【0041】
そして、中間長尺部23及び一対の側部長尺部24の延在方向を、取付対象部材12の延在方向に対して直交させた姿勢で、中間長尺部23及び一対の側部長尺部24で囲まれる空間内に、取付対象部材12を配設することができる。この状態で、中間長尺部23の内向き面を取付対象部材12の外周面に接触させると共に、一対の側部長尺部24の内向き面を取付対象部材12の外周面の両側部に接触させることができる。
【0042】
また、一対の側部長尺部24の内向き部分のうち、中間長尺部23の内向き面が取付対象部材12の外周面に接触した状態で取付対象部材12の外周面の両側部に接触する部分に、位置決め突部24pが形成されている。位置決め突部24pは、取付対象部材12に形成された固定孔13に嵌り込み可能に形成されている。
【0043】
本ベース22を取付対象部材12に取付ける際には、一対の側部長尺部24を外向きに弾性変形させて、一対の側部長尺部24の間に取付対象部材12を配設する。そして、中間長尺部23が取付対象部材12の外周の一部に接触するまで、ベース22を取付対象部材12に対して押すと、一対の位置決め突部24pが対応する一対の固定孔13に嵌り込む。この後、一対の側部長尺部24が互いに平行となる姿勢に弾性復帰すると、一対の位置決め突部24pが対応する一対の固定孔13に嵌り込んだ状態が維持され、ベース22が取付対象部材12に取付けられた状態に保たれる。この状態では、一対の位置決め突部24pが対応する一対の固定孔13に嵌り込む構成によって、取付対象部材12に対するベース22の回り止、取付対象部材12の延在方向に対する位置ずれ防止がなされる。
【0044】
また、この状態では、中間長尺部23及び一対の側部長尺部24が取付対象部材12の周囲の少なくとも一部、ここでは、周囲3方を囲った状態となる。ベース22が取付対象部材12の周囲の少なくとも一部を覆っていることから、取付対象部材12の周囲の少なくとも一部を覆うベース22の部分に電線保持部材30を位置調整可能に取付けることができる。もって、取付対象部材12の周囲に電線Wを支持する位置を調整することができる。
【0045】
取付対象部材12に対してベース22を取付ける構造は上記例に限られない。例えば、ベースに形成された突起が、取付対象部材に形成された孔に圧入されることによって、ベースが取付対象部材に対して取付けられる構成であってもよい。また、ベースの先端部が内向きに曲っており、その内向きに曲る部分によって取付対象部材からのベースの脱落防止が図られていてもよい。また、取付対象部材に形成された孔に、ベースに形成された抜け止用の突起が嵌り込む構造のみによって、取付対象部材に対してベースが固定されてもよい。
【0046】
上記ベース22は、電線保持部材30を位置調整可能に固定するための電線保持部材固定部として、スライドガイド25を含む。ここでは、上記中間長尺部23、一対の側部長尺部24のそれぞれの外向き部分にスライドガイド25が一体形成されている。中間長尺部23、一対の側部長尺部24の全ての外向き部分にスライドガイド25が形成されていることは必須ではなく、中間長尺部23、一対の側部長尺部24のうちの1つ又は2つの外向き部分にのみスライドガイド25が一体形成されてもよい。
【0047】
スライドガイド25は、電線保持部材30が位置調整可能に固定される部分である。スライドガイド25については、電線保持部材30との関係で後述する。
【0048】
電線保持部材30は、複数の電線Wの少なくとも一部を保持した状態で、ベース22に対して取付対象部材12の周囲で位置調整可能に固定可能に構成されている。
【0049】
電線保持部材30は、電線保持部32と、スライド固定部40とを備える。電線保持部材30は、樹脂等で一体形成された部材とすることができる。
【0050】
電線保持部32は、電線Wを保持可能に構成されている。ここでは、電線保持部32は、複数の電線Wの少なくとも一部を束ねた電線束Wbを保持可能に構成されている。
【0051】
より具体的には、電線保持部32は、底部33と、一対の側壁部34とを含む。底部33は、細長い板状に形成されている。一対の側壁部34は、細長板状に形成されており、底部33の両側部から当該底部33の一方主面側に立上がるように突設されている。底部33と一対の側壁部34とによって、両端及び上方が開口する樋状の電線保持部32が形成される。一対の側壁部34の間隔寸法は、電線Wの外径の2倍以上に設定されており、複数の電線Wを束ねた電線束Wbを、底部33上で一対の側壁部34の間に配設した状態に配置することができる。底部33の延在方向中間部には、突部33aが突設されている。ここでは、底部33の延在方向中間部に、間隔をあけて2つの突部33aが形成されている。より具体的には、後述する孔部42hに対して電線保持部32の延在方向両外側の一対の縁部分に突部33aが形成されている。突部33aは底部33の幅方向に沿う細長い突起である。後述するように、電線束Wbが電線保持部32内に配設された状態で、突部33aが電線束Wbに当接することで、電線束Wbが電線保持部32内においてその延在方向に対して位置ずれすることが抑制される。
【0052】
電線保持部32の端部(ここでは両端部)には、結束用延出片35が形成されている。結束用延出片35は、細長く形成されており、電線保持部32の端部から当該電線保持部32の延在方向に沿って外側に向けて延出している。結束用延出片35の先端部には、その手前の部分の外周面に対して外側に突出する抜け止部35aが形成されている。そして、電線束Wbを電線保持部32の延在方向に沿った姿勢で電線保持部32内に配設する。すると、電線保持部32の端部において、結束用延出片35が電線束Wbに沿って配設される。この状態で、電線束Wb及び結束用延出片35に粘着テープ又は結束バンド等の結束部材36が巻付けられる。これにより、電線束Wbが電線保持部32に保持される。
【0053】
電線保持部32の例は上記例に限られない。例えば、電線保持部が棒状又は細長い板状に形成され、この電線保持部と当該電線保持部に沿って配設された電線W又は電線束Wbとが、粘着テープ又は結束バンド等の結束部材によって結束される構成であってもよい。
【0054】
スライド固定部40は、ベース22に対して位置調整可能に固定される固定部の一例であり、ここでは、スライドガイド25に対してスライド移動可能に構成されている。
【0055】
スライドガイド25及びスライド固定部40について説明する。
【0056】
スライドガイド25は、中間長尺部23及び一対の側部長尺部24のいずれかの外向き面(以下では、中間長尺部23に設けられている例を中心に説明する)において、中間長尺部23の延在方向に沿って延在する長尺形状に形成されている。スライドガイド25は、中間長尺部23の外向き面の幅方向中間部において中間長尺部23の延在方向に沿って延びる細長い長尺基部26と、当該長尺基部26の先端部から長尺基部26の幅方向両側に向って突出しつつ中間長尺部23の延在方向に沿って延びる幅広部27とを備える。このため、幅広部27の側部は、長尺基部26の両側において中間長尺部23の外向き面に対して離れた位置に配設され、これらの間に一対の側方溝26gが形成される。このスライドガイド25をその延在方向に対して直交する横断面で見ると、略T字状をなす。
【0057】
幅広部27の外向き面の幅方向中央部には、中間長尺部23の延在方向に沿って延びる溝28が形成されている。この溝28及び上記側方溝26gは、スライドガイド25の一端側で開口しており、他端側において止め部28s、26sによって閉じられている。電線保持部材30は、スライドガイド25に対して一端側からスライド可能に嵌め込まれ、スライドガイド25の他端側で止め部28s、26sに接触することによって当該スライドガイド25からの抜け止が図られる。
【0058】
溝28内には、その延在方向に沿って間隔をあけた複数箇所に係止突起29が形成されている。複数の係止突起29は、止め部28sから等間隔をあけて設けられている。1つの係止突起29は、溝28の開口部分に設けられている。電線保持部材30は、止め部28sと当該止め部28sに近い係止突起29との間の位置、及び、各係止突起29の間の各位置において、位置調整可能に固定される。ここでは、係止突起29が4つ設けられているため、止め部28sと当該止め部28sに近い係止突起29との間の1つの位置、及び、各係止突起29の間の3つの各位置、つまり、4箇所において位置調整可能に固定される。
【0059】
係止突起29は、中間長尺部23の延在方向に沿って一方側に向けて徐々に突出寸法が低くなる傾斜面29aを有している。係止突起29のうち中間長尺部23の延在方向に沿って一方側を向く面は、その延在方向に対して直交する面29bに形成されている。
【0060】
スライド固定部40は、電線保持部32の延在方向中間部に形成されている。
【0061】
スライド固定部40は、一対のガイド突部42と、係止片44とを備える。
【0062】
すなわち、底部33の延在方向中間部に方形状の孔部42hが形成されている。底部33に形成された孔部42hに対して、電線保持部32の延在方向両外側部分から底部33の外側に向うようにして一対のガイド突部42が形成されている。ガイド突部42は、底部33の外向き面から外方に向うガイド基部42aと、ガイド基部42aの先端部から反対側のガイド基部42aに向うように突出するガイド端部42bとを含む。電線保持部32の側方から観察すると、一対のガイド突部42のそれぞれは、先端部が互いに相手側に向うL字状の形状をなしている。一対のガイド基部42aの間隔寸法は、幅広部27の幅寸法と同程度に設定され、それらの間に幅広部27をスライド可能に配設することができる。底部33の外向き面とガイド端部42bの内向き面との間の距離は、幅広部27の厚み寸法と同程度に設定されており、幅広部27の両側部を、底部33の外向き面とガイド端部42bの内向き面との間にスライド移動可能に配設することができる。また、ガイド端部42bの厚み寸法は、側方溝26gの幅寸法と同程度に設定されており、ガイド端部42bを側方溝26g内にスライド移動可能に配設することができる。
【0063】
そして、スライドガイド25の一端部から、一対のガイド端部42bを一対の側方溝26g内に嵌め込むと共に、幅広部27の両側部を底部33の外向き面とガイド端部42bの内向き面との間に嵌め込むことで、スライド固定部40をスライドガイド25に対してスライド移動可能にセットすることができる。
【0064】
係止片44は、上記係止突起29に係止可能に構成されている。より具体的には、係止片44は、底部33の孔部42hのうち電線保持部32の幅方向一方側の縁から他方側の縁に向けて延出している。係止片44は、底部33の孔部42hのうち電線保持部32の幅方向一方側の縁に連結されており、他の3方では、底部33から分離している。このため、係止片44は、その基端部を曲げ箇所として、底部33の内外方向に弾性的に変形することができる。
【0065】
係止片44の外向き面には、止め突部45が突設されている。止め突部45は、電線保持部32の幅方向一方側から他方側に向けて順次突出寸法が大きくなる傾斜面45aを有している。また、止め突部45のうち電線保持部32の幅方向他方側を向く面は、当該幅方向に対して直交する面45bに形成されている。止め突部45は、底部33の外向き面よりも外方に突出している。スライド固定部40をスライドガイド25に対してセットした状態で、止め突部45は、溝28内に配設され、係止突起29に係止可能な程度に溝28内に突出している。
【0066】
スライド固定部40をスライドガイド25に対してセットする際には、止め突部45が溝28の開口近くにある係止突起29に接触する。そして、止め突部45の傾斜面45aと係止突起29の傾斜面29aとが接触する。スライド固定部40をさらに押込むと、傾斜面45aが傾斜面29aに押し当てられ、係止片44が底部33の内側に弾性変形する。止め突部45が係止突起29を乗越えるまで、スライド固定部40を押込むと、係止片44が元の形状に弾性復帰し、止め突部45の面45bと係止突起29の面29bとが向い合って互いに接触可能な状態となる。これにより、止め突部45がスライドガイド25の開口に最も近い係止突起29とその隣の係止突起29との間に配設される。この位置で、電線保持部材30がスライドガイド25に対して支持される。
【0067】
スライド固定部40をスライドガイド25に対してさらに押込んでいくと、上記と同様に、止め突部45が次の係止突起29を乗越え、当該次の係止突起29とその次の係止突起29との間に位置決め保持される。これにより、スライド固定部40を、隣合う止め突部45の各間の任意の位置で、スライドガイド25に対して位置決め保持することができる。スライド固定部40をスライドガイド25に対して最も奥まで押込むと、止め突部45が最も奥の係止突起29と止め部28sとの間に位置した状態で、電線保持部材30がスライドガイド25に対して位置決め保持することができる。
【0068】
このように、電線保持部材30は、各スライドガイド25に対して位置調整可能に保持可能である。また、上記ベース22には、複数のスライドガイド25が設けられており、電線保持部材30を複数のスライドガイド25のうちの一つに固定可能であるため、複数のスライドガイド25のそれぞれに対して、電線保持部材30を保持した状態とすること、或は、保持させない状態とすることも可能である。図1及び図2では、中間長尺部23に形成されたスライドガイド25に複数(ここでは4つ)の電線保持部材30を保持し、一方の側部長尺部24に形成されたスライドガイド25に複数(ここでは4つ)の電線保持部材30を保持し、他方の側部長尺部24には電線保持部材30を保持していない状態を示している。
【0069】
ワイヤーハーネス支持部材20による電線保持部材30の保持例を説明する。保持例は、支持部材付ワイヤーハーネス18が取付対象部材12に取付けられた状態を想定したとき、その周りの空きスペースの形態に合せることができる。
【0070】
例えば、図6に示すように、車両において取付対象部材12の上方及び両側方に、周辺部品100、102、104が存在する場合を想定する。周辺部品100、102、104としては、車両の内装パネル(ダッシュパネル等)、電気機器、空調用ダクト部品等であることが想定される。取付対象部材12と上方の周辺部品100との間、取付対象部材12と一側方の周辺部品102との間には、ある程度の空きスペースが存在し、取付対象部材12と他側方の周辺部品104との間のスペースは比較的狭いとする。
【0071】
この場合、全ての電線Wを一つに束ねると、図6に示す電線束Wb1のように、比較的太い束となる。このため、取付対象部材12の周りのいずれのスペースにおいても、当該電線束Wb1を配設することは困難となる。
【0072】
そこで、電線Wを複数のグループに分けて、グループ毎に束ね、複数(ここでは8つ)の電線束Wbとする。そして、各電線束Wbを別々に電線保持部材30によって保持し、中間長尺部23のスライドガイド25に複数(ここでは4つ)の電線保持部材30を保持させると共に、一方の側部長尺部24のスライドガイド25には電線保持部材30を保持させない状態とする。
【0073】
これにより、複数の電線Wを取付対象部材12に分散させて保持することが可能となる。また、取付対象部材12の周囲のうち空きスペースが狭い場所には、電線束Wbを配設せず、空きスペースが広い場所に電線Wを配設することで、取付対象部材12の周囲の空きスペースを有効に活用して、複数の電線束Wbを取付対象部材12に沿って配設することが可能となる。
【0074】
例えば、図7に示すように、取付対象部材12と両側の方の周辺部品102、104との間には、ある程度の空きスペースが存在し、取付対象部材12と上の周辺部品100との間のスペースは比較的狭いとする。
【0075】
この場合、全ての電線Wを一つに束ねると、図7に示すように、電線束Wb1のように、比較的太い束となる。このため、取付対象部材12の周りのいずれのスペースにおいても、当該電線束Wb1を配設することは困難となる。
【0076】
そこで、電線Wを複数のグループに分けて、グローブ毎に束ね、複数(ここでは8つ)の電線束Wbとし、一対の側部長尺部24のスライドガイド25のそれぞれに複数(ここでは4つ)の電線保持部材30を保持させると共に、中間長尺部23のスライドガイド25には電線保持部材30を保持させない状態とする。
【0077】
これにより、複数の電線Wを取付対象部材12に分散させて保持することが可能となる。また、取付対象部材12の周囲のうち空きスペースが狭い場所には、電線束Wbを配設せず、空きスペースが広い場所に電線Wを配設することで、取付対象部材12の周囲の空きスペースを有効に活用して、複数の電線束Wbを取付対象部材12に沿って配設することが可能となる。
【0078】
なお、取付対象部材12の上方及び両側のそれぞれにある程度の空きスペースが確保される場合には、中間長尺部23及び一対の側部長尺部24のスライドガイド25のそれぞれに複数(ここでは4つ)の電線保持部材30を保持させてもよい。この場合でも、全ての電線Wを一つに束ねた場合を比較すると、取付対象部材12の上方及び両側の空きスペースを有効に利用できる。
【0079】
また、図8に示すように、取付対象部材12の斜め上方に周辺部品106が近接して配設されるような場合も考えられる。この場合、取付対象部材12の上方の他側寄りの空きスペースが小さくなり、取付対象部材12の他側の上方の空きスペースが小さくなる。
【0080】
このような場合には、他方の側部長尺部24のスライドガイド25の下側寄りに少なくとも1つ(ここでは2つ)の電線保持部材30を保持させると共に、中間長尺部23のスライドガイド25の一側寄りに少なくとも1つ(ここでは3つ)の電線保持部材30を保持させる。一方の側部長尺部24のスライドガイド25には、空きスペースに応じて配設可能な範囲で電線保持部材30を保持させる。
【0081】
これにより、取付対象部材12の周りの空きスペースに応じて、当該空きスペースを活用して、複数の電線束Wbを取付対象部材12に沿って配設することが可能となる。
【0082】
上記例では、中間長尺部23が取付対象部材12の上側に位置する例で説明したが、中間長尺部23は、取付対象部材12に対して側方に位置していてもよいし、下方に位置していてもよい。
【0083】
また、取付対象部材12の延在方向において、空きスペースの位置は必ずしも一定とは限らない。例えば、図9に示すように、取付対象部材12の延在方向の第1領域E1において、取付対象部材12の両側に周辺部品110、112が近接して配設され、第2領域E2において、取付対象部材12の一側に周辺部品110が近接して配設され、上方に周辺部品114が近接して配設される場合がある。なお、図9は取付対象部材12を上方から見た例を示している。この場合、第1領域E1においては、取付対象部材12の上方に電線W(電線束Wb)を配設可能な空きスペースが確保され、第2領域E2においては、取付対象部材12の一側方に電線W(電線束Wb)を配設可能な空きスペースが確保される。
【0084】
そこで、第1領域E1においては、ワイヤーハーネス支持部材20において、電線W(電線束Wb)を上方の中間長尺部23で保持する。第2領域E2においては、ワイヤーハーネス支持部材20において、電線W(電線束Wb)を一側方の側部長尺部24で保持する。つまり、少なくとも2つのワイヤーハーネス支持部材20の間で、複数の電線W(電線束Wb)を保持する電線保持部材30が、取付対象部材12の周方向において異なる位置でベース22に固定されるようにする。
【0085】
これにより、取付対象部材12の延在方向において、空きスペースの位置が一定では無い場合等に、当該空きスペースの位置に応じて、取付対象部材12の周囲の空きスペースを有効に活用して、複数の電線束Wbを取付対象部材12に沿って配設することが可能となる。
【0086】
このように、本実施形態によると、電線W(電線束Wb)を保持した少なくとも1つの電線保持部材30を、ベース22に対して取付対象部材12の周囲で位置調整可能に固定することができる。ここでは、上記複数のスライドガイド25に対する電線保持部材30の固定の有無を設定すること、スライドガイド25に対する電線保持部材30の保持位置を調整することによって、電線保持部材30を位置調整可能にベース22に固定することができる。このため、ワイヤーハーネスWHを、取付対象部材12に対してその周辺の空きスペース等を考慮して比較的自由な位置に支持できる。
【0087】
このため、車両の電子化等に伴うECU(電子制御ユニット)が増加し、これにより、電線数が増加しても、当該多数の電線を電線保持部材30周りに配索しやすい。また、デザイン上、他の機能部品の増加(例えば、消音部材)等によって、ワイヤーハーネスの配索スペースが圧迫されても、残ったスペースを有効に利用してワイヤーハーネスを配索しやすい。
【0088】
なお、ベース22を取付対象部材12に固定する前の状態で、当該ベース22に対して空きスペース等を考慮して所定の位置に電線保持部材30が保持された支持部材付ワイヤーハーネス18を準備しておくとよい。これにより、ワイヤーハーネス支持部材20を取付対象部材12に固定した後で、電線束Wb及び電線保持部材30の位置調整を行うことが不要となる。もっとも、ワイヤーハーネス支持部材20を取付対象部材12に固定した後、電線保持部材30をスライドガイド25に対して移動させて、当該電線保持部材30及び電線束Wbの位置調整を行ってもよい。
【0089】
また、電線保持部材30は、複数の電線Wを束ねた電線束Wbを保持するため、電線束Wb単位で複数の電線を保持することができ、別々に電線Wを保持する場合と比べて、電線Wの保持が容易となる。
【0090】
なお、複数の電線保持部材30が保持する電線束Wbのそれぞれの外径は、同じである必要は無い。例えば、取付対象部材12に対して比較的空きスペースが大きい場所に配設される電線束Wbについては比較的太い電線束Wbとし、比較的空きスペースが小さい場所に配設される電線束Wbについては比較的細い電線束Wbとしてもよい。
【0091】
また、電線保持部材30は、スライドガイド25に対してスライドして位置調整可能であるため、当該電線保持部材30の固定位置を、スライド移動によって設定することができる。
【0092】
スライドガイド25に対して電線保持部材30を一定位置に支持する構成は上記例に限られない。例えば、スライドガイドにその延在方向に対して直交する溝又は凸条が連続して形成され、スライド固定部側に当該溝又は凸条に係止し得る凸条又は溝が形成されており、より多段階的な位置で、スライドガイドに対してスライド固定部が位置決めされる構成であってもよい。
【0093】
また、複数のスライドガイド25のそれぞれが複数の固定部であると捉え、電線保持部材30のスライド固定部40は、複数のスライドガイドのうちの1つに固定可能な保持部側固定部であると捉えることができる。この場合、電線保持部材30を、複数のスライドガイド25のうちの任意のものに固定することで、当該電線保持部材30の固定位置を設定することができる。
【0094】
また、複数の電線保持部材30が設けられているため、複数の電線Wを、当該複数の電線保持部材30で分散して保持することができる。これにより、ワイヤーハーネスWHを取付対象部材12からなるべく大きくはみ出ないようにしつつ、当該取付対象部材12の周りで分散して支持することができる。
【0095】
また、ワイヤーハーネスWHにワイヤーハーネス支持部材20と取付けられて、それらが一体化されたものを準備しておくことで、ワイヤーハーネスWHを取付対象部材12に支持する作業を容易に行える。
【0096】
また、少なくとも2つのワイヤーハーネス支持部材20の間で、複数の電線W(電線束Wb)を保持する電線保持部材30が、取付対象部材12の周方向において異なる位置でベース22に固定されるようにすることで、取付対象部材12の複数の領域E1、E2において、ワイヤーハーネスWHに干渉し易い周辺部品の配置が異なる場合でも、その状況に容易に対応して、ワイヤーハーネスWHを当該空きスペースを有効に利用しつつ取付対象部材12に沿って配設することができる。
【0097】
{第2実施形態}
第2実施形態に係るワイヤーハーネス支持部材、支持部材付ワイヤーハーネス及び支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造について説明する。図10は支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造210を示す概略斜視図であり、図11はワイヤーハーネス支持部材220を示す分解斜視図である。なお、本実施の形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0098】
支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造210は、支持部材付ワイヤーハーネス218を、取付対象部材12に支持するための構造である。支持部材付ワイヤーハーネス218は、ワイヤーハーネスWHと、ワイヤーハーネス支持部材220とを備える。
【0099】
ワイヤーハーネス支持部材220は、ベース222と、電線保持部材230とを備える。
【0100】
ベース222は、取付対象部材12の周囲の少なくとも一部を覆った状態で当該取付対象部材12に取付けられる。
【0101】
ベース222は、筒の一部をなす部分筒状に形成されている。ベース222は、半筒を超えた部分筒である。かかるベース22は、例えば、樹脂により一体形成された部材とすることができる。ベース222の内周面の曲率半径は、取付対象部材12の外周面の曲率半径と一致している。
【0102】
ベース222の延在方向両端部の両側部が、ベース222の延在方向中間部に対して、周方向のスリット222Sを介して分離されている。これにより、ベース222の延在方向両端部の両側部の一対の弾性変形片223が、ベース222の内外方向に弾性変形可能とされている。
【0103】
ベース222の両端部のそれぞれに設けられた一対の弾性変形片223の先端部に、内向きに突出する係止爪223aが形成されている。取付対象部材12のうち一対の係止爪223aに対応する部分に、当該係止爪223aが嵌る孔部12pが形成されている。
【0104】
ベース222を取付対象部材12の周囲に被せるように当該取付対象部材12にセットすると、ベース222の両端部のそれぞれの一対の弾性変形片223が外向きに弾性変形し、各係止爪223aが孔部12pに嵌り込むと、各弾性変形片223が元の形状に復帰する。これにより、各係止爪223aが孔部12pに嵌り込んだ状態に維持され、もって、ベース222が取付対象部材12に固定された状態に保たれる。この状態では、各係止爪223aが対応する一対の孔部12pに嵌り込む構成によって、取付対象部材12に対するベース222の回り止、取付対象部材12の延在方向に対する位置ずれ防止がなされる。
【0105】
取付対象部材12に対してベース222を取付ける構造は上記例に限られない。例えば、上記係止爪223aが省略され、半筒を越す部分筒に形成されたベースが取付対象部材の周囲を、半分を超えて覆うことによって、当該ベースが取付対象部材から抜け止状態に保持される構成であってもよい。この場合、ベースの内周部に少なくとも1つの突起部を形成し、当該突起部を取付対象部材12に形成された孔に嵌め込むことによって、ベースの位置ずれを抑制してもよい。また、ベースに形成された突起が、固定対象部材に形成された孔に圧入されることによって、ベースが固定対象部材に対して取付けられる構成であってもよい。また、固定対象部材に形成された孔に、ベースに形成された抜け止用の突起が嵌り込む構造のみによって、固定対象部材に対してベースが固定されてもよい。また、ベースが、取付対象部材の周囲を1周覆う筒状に形成され、その周方向の途中にベースを開閉可能にするヒンジ部が設けられた構成とされてもよい。この場合、ヒンジ部の介して繋がる2つの部分の先端部に相互に係止し合う係止部及び被係止部を設け、ベースを取付対象部材の周囲に取付けた状態で、係止部及び被係止部が係止し合って、ベースが取付対象部材に取付けられる構成であってもよい。この場合、ベースの内周部に少なくとも1つの突起部を形成し、当該突起部を取付対象部材12に形成された孔に嵌め込むことによって、ベースの位置ずれを抑制してもよい。
【0106】
ベース222は、取付対象部材12を周方向の少なくとも一部を覆っている。このため、当該ベース222に、取付対象部材12の周方向に分散するように、電線保持部材230を固定するための固定部225を複数設けることができる。そして、複数の固定部225のうちの任意のものに電線保持部材230を固定することによって、当該電線保持部材230及び電線W(電線束Wb)の保持位置を調整することができる。固定部225については、電線保持部材230との関係で後述する。
【0107】
電線保持部材230は、複数の電線Wの少なくとも一部を保持した状態で、ベース222に対して取付対象部材12の周囲で位置調整可能に固定可能に構成されている。
【0108】
電線保持部材230は、電線保持部232と、保持部側固定部240とを備える。電線保持部材230は、樹脂等で一体形成された部材とすることができる。
【0109】
電線保持部232は、電線Wを保持可能に構成されている。ここでは、電線保持部232は、複数の電線Wの少なくとも一部を束ねた電線束Wbを保持可能に構成されている。
【0110】
より具体的には、電線保持部232は、部分筒状に形成されている。電線保持部232の内周面の曲率半径は、保持対象となる電線束Wbの外周の曲率半径と同じかこれよりも大きく設定されており、当該電線束Wbを電線保持部232内に配設することができる。電線保持部232の延在方向中間部の内周部に、その周方向に沿う突部233aが突設されている。ここでは、電線保持部232の延在方向中間部に、間隔をあけて2つの突部233aが形成されている。後述するように、電線束Wbが電線保持部232内に配設された状態で、突部233aが電線束Wbに当接することで、電線束Wbが電線保持部232内においてその延在方向に対して位置ずれすることが抑制される。
【0111】
電線保持部232の端部(ここでは両端部)には、外周側に向けて突出する抜け止部235aが形成されている。そして、電線束Wbを電線保持部232の延在方向に沿った姿勢で電線保持部232内に配設する。この状態で、電線保持部232の端部及び電線束Wbに粘着テープ又は結束バンド等の結束部材が巻付けられる。これにより、電線束Wbが電線保持部232に保持される。
【0112】
電線保持部232の外周部にその周方向に沿って分散するようにして、複数の固定部225が設けられており、電線保持部材230は、複数の固定部225うちの任意のものに固定可能である。
【0113】
複数(ここでは4つ)の固定部225は、電線保持部232の外周部の周方向に沿って複数(ここでは4つ)に分散して形成されている。
【0114】
各固定部225は、複数(ここでは4つ)の固定片226を含む。4つの固定片226は、ベース222の両端寄りのそれぞれの位置に、一対ずつ設けられている。一対の固定片226は、ベース222の周方向において上記電線保持部232を配設可能な間隔寸法をあけて設けられている。各固定片226は、ベース222の外周面から外向けに突出する板状片に形成されている。各固定片226の先端部は先端側に向けて徐々に幅狭になる形状に形成されている。また、各固定片226の先端部の一方主面に係止突部227が形成されている。係止突部227は、固定片226の先端部から基端部に向うに従って徐々に突出寸法が大きくなる形状に形成されている。また、係止突部227のうち固定片226の基端側を向く面は、固定片226の突出方向に対して直交する面に形成されている。
【0115】
保持部側固定部240は、電線保持部232に設けられ、上記固定部225に固定される部分である。ここでは、保持部側固定部240は、電線保持部232の周囲に設けられた複数(ここでは4つ)の保持部側固定受部241を備える。ここでは、電線保持部232の両端寄りの2つの位置のそれぞれの両側部に一対の保持部側固定受部241が設けられている。保持部側固定受部241は、上記固定片226を挿通可能な貫通孔が形成された、偏平角筒状に形成されている。保持部側固定受部241は、貫通孔の貫通方向を電線保持部232の幅方向中間部の厚み方向に沿わせた姿勢で、電線保持部232の側部に一体形成されている。
【0116】
そして、ベース222に設けられた複数の固定部225のいずれか1つを取付対象として、当該固定部225を構成する複数の固定片226を、各保持部側固定部240を構成する複数の保持部側固定受部241の貫通孔にそれぞれ挿入する。係止突部227が貫通孔を越えるまで、電線保持部232をベース222に向けて押込むと、係止突部227が保持部側固定受部241の周縁部に抜止め状態で係止する。複数の固定片226が各保持部側固定受部241に対して同様に抜け止係止することで、電線保持部材230がベース222の外周の固定部225に固定される。
【0117】
上記例では、ベース222に複数の固定片226が設けられ、電線保持部材230に複数の保持部側固定受部241が設けられる例で説明したが、ベース側に1つの固定片が設けられ、電線保持部材側に1つの保持部側固定受部が設けられる構成であってもよい。固定片が保持部側固定受部に抜け止状態に挿入保持される例は上記例に限られず、各種抜け止構成を採用することができる。また、上記例では、ベース222側の固定片226を、電線保持部材230側の保持部側固定受部241に挿入する例で説明したが、これとは逆に、ベース側に孔を有する固定受部が設けられ、電線保持部材側に当該固定受部に挿入される固定片を設けてもよい。
【0118】
本第2実施形態によっても、複数の固定部225のうちの任意のものに電線保持部材230を固定することができる。このため、電線W(電線束Wb)を保持した少なくとも1つの電線保持部材230を、ベース222に対して取付対象部材12の周囲で位置調整可能に固定することができる。これにより、ワイヤーハーネスWHを、取付対象部材12に対してその周辺の空きスペース等を考慮して比較的自由な位置に支持できる。例えば、図12に示すように、取付対象部材12の斜め上方に周辺部品300が存在するような場合において、その部分を避けて、複数の固定部225のうち、ベース222の一側寄りの一部(図12では左側の2つ)の固定部225に電線保持部材230を固定するようにできる。取付対象部材12の周囲に全体に空きスペースが十分確保される場合には、複数の固定部225の全てに電線保持部材230を固定してもよい。
【0119】
また、複数の電線W(電線束Wb)を取付対象部材12の周囲で、複数の電線保持部材230によって分散して保持することで、取付対象部材12から電線Wが大きく突出しないようにワイヤーハーネスWHを取付対象部材12に沿って保持できる。
【0120】
このように、本第2実施形態によっても、スライドガイド25及びスライド固定部40による作用効果を除いて、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0121】
{変形例}
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0122】
例えば、第1実施形態におけるベース22が第2実施形態におけるベース222と同様の形状とされていてもよい。この場合、スライドガイドは、部分筒をなるベースの外周面の周方向に沿って形成されていればよい。
【0123】
本明細書及び図面は下記の各態様を開示している。
第1の態様は、複数の電線を含むワイヤーハーネスを取付対象部材に対して支持するためのワイヤーハーネス支持部材であって、前記取付対象部材の周囲の少なくとも一部を囲った状態で前記取付対象部材に取付けられるベースと、前記複数の電線の少なくとも一部を保持した状態で、前記ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定可能な少なくとも1つの電線保持部材とを備える。
第2の態様は、第1の態様に係るワイヤーハーネス支持部材であって、前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記複数の電線の少なくとも一部を束ねた電線束を保持する電線束保持部を含む。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るワイヤーハーネス支持部材であって、前記ベースは、スライドガイドを含み、前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記スライドガイドに対してスライド移動可能なスライド固定部を含む。
第4の態様は、第3の態様に係るワイヤーハーネス支持部材であって、前記ベースは、前記スライドガイドを複数含み、前記少なくとも1つの電線保持部材のスライド固定部は、前記複数のスライドガイドのうちの1つに固定可能とされている。
第5の態様は、第1又は第2の態様に係るワイヤーハーネス支持部材であって、前記ベースは、複数の固定部を含み、前記少なくとも1つの電線保持部材は、前記複数の固定部のうちの1つに固定可能な保持部側固定部を含む。
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネス支持部材であって、前記少なくとも1つの電線保持部材は、複数の電線保持部材を含む。
第7の態様に係る支持部材付ワイヤーハーネスは、第1から第6のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネス支持部材と、複数の電線の少なくとも一部が前記ワイヤーハーネス支持部材の前記少なくとも1つの電線保持部材に保持されたワイヤーハーネスを備える。
第8の態様は、第7の態様に係る支持部材付ワイヤーハーネスであって、前記ワイヤーハーネス支持部材を複数備え、少なくとも2つの前記ワイヤーハーネス支持部材の間で、前記複数の電線の少なくとも一部を保持する電線保持部材が異なる位置で前記ベースに固定されているものである。
第9の態様に係る支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造は、第8の態様に係る支持部材付ワイヤーハーネスと、前記複数のワイヤーハーネス支持部材が固定された取付対象部材と、を備え、前記ワイヤーハーネスが前記取付対象部材に沿って配設されると共に、少なくとも2つのワイヤーハーネス支持部材の間で、前記複数の電線の少なくとも一部を保持する電線保持部材の位置が前記取付対象部材の周方向において異なっているものである。
第1から第9の態様によると、複数の電線の少なくとも一部を保持した少なくとも1つの電線保持部材を、ベースに対して前記取付対象部材の周囲で位置調整可能に固定することができる。このため、ワイヤーハーネスを取付対象部材に対して比較的自由な位置に支持できる。
第2の態様によると、電線保持部材によって、電線束単位で複数の電線を保持することができ、電線保持が容易となる。
第3の態様によると、少なくとも1つの電線保持部材を、ベースに対してスライド移動させることで、少なくとも1つの電線保持部材の固定位置を設定することができる。
第4の態様によると、少なくとも1つの電線保持部材のスライド固定部を、複数のスライドガイドのうちの任意のものに固定可能することで、少なくとも1つの電線保持部材の固定位置を設定することができる。
第5の態様によると、少なくとも1つの電線保持部材の保持部側固定部を、ベースの複数の固定部のうちの任意のものに固定することで、少なくとも1つの電線保持部材の固定位置を設定することができる。
第6の態様によると、複数の電線を、複数の電線保持部材で分散して支持することができる。これにより、ワイヤーハーネスを取付対象部材からなるべく大きくはみ出ないように当該取付対象部材の周りで支持することができる。
第7の態様によると、ワイヤーハーネスとワイヤーハーネス支持部材とが一体化されているため、ワイヤーハーネスを取付対象部材に支持する作業を容易に実施できる。
第8の態様によると、少なくとも2つのワイヤーハーネス支持部材の間で、前記複数の電線の少なくとも一部を保持する電線保持部材が異なる位置で前記ベースに固定されているため、取付対象部材の複数の領域においてワイヤーハーネスに対して干渉し易い周辺部品の配置が異なる場合等に、容易に対応できる。
第9の態様によると、取付対象部材の複数の領域においてワイヤーハーネスに対して干渉し易い周辺部品の配置が異なる場合等に、当該干渉を回避し得るようにワイヤーハーネスを支持できる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0124】
10、210 支持部材付ワイヤーハーネスの支持構造
12 取付対象部材
18、218 支持部材付ワイヤーハーネス
20、220 ワイヤーハーネス支持部材
22、222 ベース
25 スライドガイド
26g 側方溝
28 溝
29 係止突起
30、230 電線保持部材
32、232 電線保持部
40 スライド固定部
42 ガイド突部
44 係止片
225 固定部
226 固定片
240 保持部側固定部
241 保持部側固定受部
W 電線
WH ワイヤーハーネス
Wb 電線束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12