(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の場合、エアシリンダによって進退するピンによって台車を回転テーブルに対して位置決めしているため、回転テーブルの回転範囲がエアシリンダによって規制され、回転テーブルを連続的に一方向に回転させることが困難であった。
【0005】
一方、台車を介さずに回転テーブル上に被加工材を直接位置決めすれば、上記不都合は解消するが、回転テーブル上に被加工材を移動させる移動装置が新たに必要となると共に、被加工材を回転テーブル上に位置決めする専用の冶具が必要となる。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、構成を徒に複雑にすることなく、回転テーブルを連続回転可能なショット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係るショット装置は、被加工材が載置されると共に、下面に位置決め穴が形成された台車を載置可能であると共に、
一方向に連続的に複数周回回転可能な回転テーブルと、前記回転テーブル上に設けられると共に、位置決めピンが上方への付勢力によって前記回転テーブル上に載置された前記台車の前記位置決め穴に挿入可能とされた位置決めピン機構と、前記回転テーブル上に載置された台車上の被加工材に対して投射材を投射する投射装置と、を備える。
【0008】
このように形成されたショット装置では、被加工材が搭載された台車が回転テーブル上に載置された際、回転テーブル上に設けられ上方への付勢力で付勢された位置決めピン機構の位置決めピンが、台車の下面に形成された位置決め穴に挿入され、回転テーブル上で台車が位置決め固定される。
【0009】
この状態で回転テーブルを回転させるため、回転テーブルの外部の機構等に干渉されて回転範囲が規制されることなく、回転テーブルを同一方向に複数周回回転させることができる。したがって、回転テーブルを同一方向に連続的に回転させつつ、回転テーブルに位置決め固定された台車に搭載された被加工材に投射装置から投射材を投射することによって被加工材の加工精度を周方向でより均一にすることができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係るショット装置は、請求項1記載の発明に係るショット装置において、前記付勢力に抗して前記位置決めピンを下降させる解除機構と、前記解除機構を前記位置決めピンに対して接近及び離間させる進退機構と、を備える。
【0011】
このように形成されたショット装置では、進退機構によって解除機構を位置決めピンに接近させることで、解除機構によって位置決めピン機構の付勢力に抗して位置決めピンを下降させることができる。これにより、例えば、台車の位置決め穴に挿入されていた位置決めピンを抜き出し、回転テーブルに対する位置決めを解除することができる。
【0012】
一方、台車が回転テーブル上に載置された場合には、この状態から進退機構によって解除機構を位置決めピンから離間させることによって、解除機構による位置決めのピンの下降が解除される。すなわち、台車の位置決め穴に位置決めピンが挿入され、付勢力によって挿入状態が維持されるため、回転テーブルに対して台車が位置決め固定される。
【0013】
また、進退機構によって解除機構が回転テーブル(位置決めピン機構)から離間されているため、回転テーブルの回転時に解除機構が位置決めピン機構と干渉することが防止され、回転テーブルが同一方向に連続的に周回することが可能となる。
請求項3記載の発明に係るショット装置は、被加工材が載置されると共に、下面に位置決め穴が形成された台車を載置可能であると共に、回転可能な回転テーブルと、前記回転テーブル上に設けられると共に、位置決めピンが上方への付勢力によって前記回転テーブル上に載置された前記台車の前記位置決め穴に挿入可能とされた位置決めピン機構と、前記回転テーブル上に載置された台車上の被加工材に対して投射材を投射する投射装置と、前記付勢力に抗して前記位置決めピンを下降させる解除機構と、前記解除機構を前記位置決めピンに対して接近及び離間させる進退機構と、を備える。
【0014】
請求項
4記載の発明に係るショット装置は、請求項1
〜3のいずれか1項記載の発明に係るショット装置において、前記回転テーブルが配置される投射室と、前記回転テーブル上に設置され、前記台車が移動可能とされた第1レールと、前記台車が移動可能とされると共に、前記投射室の内部に台車を案内し、前記第1レールと接続可能とされた第2レールと、を備える。
【0015】
このように形成されたショット装置では、投射室の内部に延在する第2レールから回転テーブル上に設置された第1レール上を台車の移動させることによって、台車を回転テーブル上に移動させることができる。すなわち、質量の大きい被加工材を搭載した台車をスムーズに移動でき、作業効率が向上する。また、回転テーブルの第1レール上を台車が移動するため、回転テーブル上の所定位置に台車を容易に位置決めできる。
【0016】
請求項
5記載の発明に係るショット装置は、請求項
4記載の発明に係るショット装置において、一端側に前記台車上に被加工材を載置
すると共に前記被加工材を台車から降ろす載置位置と、他端側に加工済みの被加工材を載置した台車が待機する待機位置とが設けられた搬送装置をさらに備え、前記搬送装置の前記載置位置と前記待機位置の間に前記第2レールの前記回転テーブル側と反対側の端部が接続されている。
【0017】
このように形成されたショット装置では、先ず、搬送装置の載置位置で、第1の被加工材が第1の台車に搭載される。次に、第1の台車は、搬送装置で第2レールとの接続位置まで搬送され、第2レールから投射室の回転テーブル上に搬送され、回転テーブル上で被加工材の加工が行われる。この加工中に搬送装置の載置位置で第2被加工材が第2の台車に載置される。
【0018】
第1の被加工材の加工が終了すると、第2レールによって搬送装置の第2レールとの接続位置に第1の台車が搬送されてくる。この状態で、搬送装置によって第1の台車が待機位置に搬送されると共に、載置位置に位置していた第2の台車が第2レール接続位置まで搬送される。
【0019】
続いて、第2レールから投射室の回転テーブル上に第2の台車が搬送されると共に、搬送装置の待機位置から搭載位置に第1の台車を搬送し、台車上から加工済みの第1の被加工材を降ろす。
【0020】
このように、投射室で加工済みの被加工材を搭載した台車を搬送装置の待機位置で一旦待機させることにより、次の被加工材を搭載した台車を迅速に投射室に搬送することができるため、生産効率が向上する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1
〜3記載の発明に係るショット装置は、上記構成としたので、簡略な構成で、回転テーブルを一方向に連続的に回転させることができる。
【0022】
請求項
4記載の発明に係るショット装置は、上記構成としたので、回転テーブル上に台車を容易に位置決めできる。
【0023】
請求項
5記載の発明に係るショット装置は、上記構成としたので、生産効率に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態に係るショット装置について
図1〜
図10を参照して説明する。
【0026】
[構成]
先ず、ショット装置としてのショットピーニング装置10について説明する。
【0027】
(全体)
ショットピーニング装置10は、
図9に示すように、投射材を被加工材Wに対して投射する投射室12と、投射室12に被加工材Wを載置した台車30を案内する搬送部14と、を備えている。
【0028】
〈搬送部〉
搬送部14は、
図9に示すように、台車30(
図1、
図2(A)、(B)参照)を矢印X方向に搬送するローラコンベア16と、ローラコンベア16の間から上昇して台車30を支持すると共に、V型レール102A、102Bによって矢印X方向と直交する矢印Y方向に移動させる台車リフト装置18と、台車リフト装置18のV型レール102A、102Bに連続して投射室12内の回転テーブル146上まで台車30を案内するガイド部20と、台車リフト装置18のV型レール102A、102B及びガイド部20のV型レール104A、104B上を回転テーブル146まで台車30を移動させる移送装置22と、有する。
【0029】
(台車)
先ず、被加工材W(
図10のみ図示)を載置して搬送部14を移動して、投射室12の回転テーブル146上に案内される台車30について説明する。なお、
図2では、矢印X1方向に沿って視ることを正面視、矢印Y2方向に沿って視ることを側面視という。
【0030】
台車30は、
図1、
図2(A)、(B)に示すように、平面視矩形状の底板32と、底板32の略中央部から鉛直上方(矢印Z1方向)に延在する平面視矩形状の支持筒部(角柱部)34と、支持筒部34の上部に固定された円形の支持板36と、支持板36上に固定され支持板36よりも大径の円板である載置板38とを備えている。
【0031】
また、
図1、
図2(A)、(B)に示すように、支持筒部34のX方向両端部からは、矢印X1方向又は矢印X2方向に延在する平面視矩形の張出部40A、40Bが形成されている。底板32の矢印X1方向端部に鉛直上方に延在する側板42Aが固定されており、側板42Aに張出部40Aの矢印X1方向端部が接合されている。すなわち、底板32と、支持筒部34と、張出部40Aと、側板42Aで矩形となるように構成されている。この張出部40Aの矢印X1方向端部から下方に矢印Y方向に所定間隔をおいて、後述する車軸48、54を回転自在に軸支する軸受44A、46Aが形成されている。
【0032】
なお、底板32と、張出部40Bの間にも、同様に、側板42B、軸受44B、46Bが設けられている。
【0033】
この側板42A、42Bに設けられた図示しない孔部に挿通され、軸受44A、44Bに回転自在に支持された車軸48の両端部に車輪50A、50Bが取り付けられている。この車輪50A、50Bには、
図2(B)に示すように、周回するV溝52を有すると共に、その下端が底板32の下端よりも上方となるように配設されている。
【0034】
同様に、
図1に示すように、側板42A、42Bに設けられた図示しない孔部に挿通され、軸受46A、46Bに回転自在に支持された車軸54の両端部に車輪56A、56Bが取り付けられている。この車輪56A、56Bも、周回するV溝58を有すると共に、その下端が底板32の下端よりも上方となるように配設されている。
【0035】
また、
図2(A)に示すように、側板42Aの矢印Y方向の中央には、矢印X1方向に延在して突出された棒状の凸部60Aが設けられている。凸部60Aの下面には、後述する位置決めピン186が挿入される挿入穴62Aが形成されている。
【0036】
なお、側板42Bにも、同様に凸部60B及び挿入穴62Bが形成されている。
【0037】
さらに、
図2(A)に示すように、支持板36の矢印Y1方向端部近傍には、下面から下方に延在する取付板64Aが設けられている。この取付板64Aには、取付板64Aから矢印Y1方向に突出した取付部66Aと、取付部66Aの先端に取り付けられた板部68Aと、板部68Aから矢印Y1方向に延在する支持棒70と、支持棒70の先端で下方に延在するセンサプレート72と、を有する。
【0038】
一方、
図1及び
図2(A)に示すように、支持板36の矢印Y2方向端部近傍にも同様に、取付板64B、取付部66B、板部68Bが設けられており、板部68Bから矢印Y2方向に延在する上下一対の支持板74A、74Bと支持板74A、74B間に支持されたピン76と、を有する。
【0039】
(ローラコンベア)
次に、台車30を矢印X方向に搬送するローラコンベア16の構成について簡略に説明する。ローラコンベア16は、
図9に示すように、一対の側板80A、80B間に回転自在に軸支された複数のローラ82が矢印X方向に一定間隔をおいて設置されている。この複数のローラ82には、駆動ローラから図示しないタイミングベルト等を介して回転力が伝達される構成である。
【0040】
したがって、ローラコンベア16に台車30を載置すると、ローラコンベア16のローラ82に台車30の底板32が当接され、ローラコンベア16の駆動により台車30が矢印X1方向又は矢印X2方向に搬送される構成である。
【0041】
なお、ローラコンベア16の矢印X2方向端部がローラコンベア16上の台車30に対して被加工材W(
図10参照)を載置又は台車30から被加工材W降ろす載置位置とされる。また、ローラコンベア16の矢印X1方向端部が加工済みの被加工材Wを搭載した台車30が待機する待機位置WA(
図9参照)とされている。
【0042】
さらに、ローラコンベア16は、図示しない近接センサで検出されることにより、台車リフト装置18上で台車30が停止されるように構成されている。
【0043】
(台車リフト装置)
台車リフト装置18は、
図9に示すように、ローラコンベア16の矢印X方向の略中央で、ローラ82の下方に配置されている。
【0044】
台車リフト装置18は、
図3に示すように、基台90の上部には、略中央部にメインシリンダ91が設けられていると共に、四隅に4本の補助シリンダ(
図3には、一対の補助シリンダ94A、94Bのみ記載。以下、4本の補助シリンダという意味で「補助シリンダ94A、94B」という)が備えられている。メインシリンダ91のロッド92と、補助シリンダ94A、94Bのロッド96A、96Bが上端でレール支持台98を支持している。レール支持台98は、台車30の車輪50A、50Bの矢印X方向幅に相当する長さで矢印X方向に延在しており、その上面の両端部にブラケット100A、100Bが配設されている。
【0045】
このブラケット100A、100Bは、ローラコンベア16の側板80A、80B間の全幅に亘って矢印Y方向に延在している。このブラケット100A、100Bの上面に、矢印Y方向に延在し、台車30の車輪50A、50B、56A、56B(以下、「車輪50A〜56B」という場合がある)のV溝52、58に挿入可能なV型レール102A、102Bが配設されている。
【0046】
なお、このV型レール102A、102Bは、
図3に示すように、台車リフト装置18の初期位置(原位置)において、ローラコンベア16において矢印X方向に所定間隔をおいて配置されたローラ82、82の間に位置すると共に、その上端がローラ82よりも下方に位置するように配設されている。したがって、底板32が矢印X方向にローラ82上をスライドすることにより搬送される台車30が初期位置に位置するV型レール102A、102Bと干渉することが防止される構成である。
【0047】
図4に示すように、台車リフト装置18のメインシリンダ91及び補助シリンダ94A、94Bが駆動されたロッド92、96A、96Bが上方に突出してレール支持台98等を上昇させると、V型レール102A、102Bがローラ82、82の間からローラ82の上方に上昇し、ローラ82上に位置していた台車の車輪50A〜56BのV溝52、58に挿入されると共に、車輪50A〜56B(台車30)をさらに上昇させ、台車30(底板32)をローラ82から離間させる構成である。
【0048】
このとき、台車リフト装置18のV型レール102A、102Bは、ガイド部20の後述するV型レール104A、104Bと同一高さで連続するように配置されている。
【0049】
(ガイド部)
図9に示すように、ローラコンベア16の側板80Aの横から投射室12の内部の回転テーブル146まで延在するものであり、台車リフト装置18のV型レール102A、102Bと同形のV型レール104A、104Bから構成されている。
【0050】
すなわち、V型レール104A、104Bは、上昇位置とされたV型レール102A、102Bと矢印Y方向で連続されると共に、回転テーブル146の後述するV型レール148A、148BBと接続されるものである。すなわち、台車30がV型レール104A、104B上を、ローラコンベア16から投射室12の回転テーブル146まで搬送される構成である。
【0051】
(移送装置)
ローラコンベア16から回転テーブル146に台車30を移送させる移送装置22は、
図9に示すように、基台110上に配置されたシリンダ112と、シリンダ112のロッド114の矢印Y1方向端部に設けられ、台車30のピン76を把持及び把持解除可能な把持部116とを備える。
【0052】
移送装置22は、台車リフト装置18が駆動され、台車30がローラコンベア16のローラ82から持ち上げられ(離間され)、V型レール102A、102B上に載置されると、シリンダ112が駆動されロッド114が矢印Y1方向に移動し、把持部116が台車30の矢印Y2方向端部に設けられたピン76を把持する構成である。この状態で、さらにシリンダ112が駆動されてロッド114が矢印Y1方向に移動することによって、V型レール102A、102B、104A、104B、148A、148B上を矢印Y1方向に台車30が移動される構成である。
【0053】
〈投射室〉
投射室12は、
図9及び
図10に示すように、床面120、側壁121、天井122で閉塞された部屋である。
図10に示すように、床面120を上下方向に貫通するように回転テーブル146を回転させる回転装置124(
図6参照)が設けられている。また、投射室12には、平面視で回転装置124を挟んで矢印X方向の両側に後述するピン調整機構152A、152Bが配設された箱体200A、200Bが床面120上に設置されている。
【0054】
また、投射室12の側壁121の内側(矢印X2方向側)には、隔壁125が形成されており、隔壁125の上部に投射材を投射する投射装置126が配設されている。すなわち、投射装置126から回転装置124の回転テーブル146上に位置決めされた台車30上の被加工材Wに投射材を投射する構成とされている。
【0055】
さらに、
図9に示すように、投射室12の床面120上には、投射室12の入口127を開閉する昇降扉128が設けられており、この入口127を介してローラコンベア16から回転テーブル146まで延在するガイド部20(V型レール104A、104B)が配設されている。
【0056】
なお、回転テーブル146の矢印Y1方向側には、近接センサ129が配設されている。近接センサ129に台車30のセンサプレート72が接近することにより、近接センサ129から検出信号が後述する制御部230に出力される構成である。これにより、制御部230は、移送装置22に駆動停止信号を出力し、回転テーブル146上の所定位置に台車30を停止させる構成である。
【0057】
(回転装置)
回転装置124は、
図6に示すように、投射室12の床面120の下方に配置されたモータ140と、モータ140の駆動軸142に取り付けられたカップリング143と、カップリング143の上端に取り付けられた支持台144と、支持台144の上部に取り付けられた平面視円形の回転テーブル146と、を備えている。すなわち、回転テーブル146は、モータ140の駆動力によって回転可能とされている。
【0058】
回転テーブル146の端部で径方向反対側には、一対の位置決め機構130A、130Bを構成する位置決めピン機構150A、150Bと、ピン調整機構152A、152Bを備えている。
【0059】
位置決め機構130A(位置決めピン機構150A及びピン調整機構152A)は、位置決め機構130B(位置決めピン機構150B及びピン調整機構152B)と左右対称であるため、位置決め機構130Aのみ説明し、位置決め機構130Bの説明を省略する。
【0060】
(位置決めピン機構)
位置決めピン機構150Aは、
図7に示すように、回転テーブル146上に締結された矩形の基板160上の長手(矢印Y)方向の略中央に円筒形のガイド筒体162が立設されていると共に、長手方向両端部にシリンダ164A、164Bが立設されている。シリンダ164A、164Bのロッド166A、166Bの先端(上端)には支持板168が取り付けられている。支持板168は、
図7に示すように、側面視ハット形状であり、上板部170と、上板部170の両端部から下方に延在する縦板部172A、172Bと、縦板部172A、172Bの下端からそれぞれ矢印Y1方向、矢印Y2方向に延在するフランジ部174A、174Bと、を備えている。
【0061】
上板部170の下面側には、円筒状の穴176が形成された案内部178が形成されている。この案内部178の穴176内をガイド筒体162が相対移動可能とされている。
【0062】
また、基板160の上面と、支持板168の縦板部172A、172Bの下面には、それぞれ一対の円柱形のボス180A、180B、182A、182Bが形成されている。このボス180A、182A間、ボス180B、182B間にそれぞれコイルスプリング184A、184Bが配設されている。
【0063】
さらに、支持板168の上板部170の中央には、上方に突出し先端が円錐台形状とされた位置決めピン186が設けられている。この位置決めピン186は、台車30が回転テーブル146上に到達したときに、台車30の挿入穴62Aに挿入されるものである。
【0064】
(ピン調整機構)
ピン調整機構152A、152Bは、
図5に示すように、平面視で矢印X方向において回転テーブル146を挟んで対称に配置されている。以下、ピン調整機構152Aについてのみ説明し、ピン調整機構152Bの説明を省略する。
【0065】
ピン調整機構152Aは、
図6に示すように、投射室12の床面120上に設置され、回転テーブル146側のみ開口された略矩形体の箱体200Aの内部に配置とされている。
図6及び
図8に示すように、ピン調整機構152Aは、箱体200Aの内部に、後述する爪部材206Aを矢印X方向に進退させる一対のシリンダ202A、203A(
図5参照)と、爪部材206Aを上下方向に移動させるシリンダ204Aと、位置決めピン機構150Aの支持板168を押し下げるための爪部材206Aと、を備えている。なお、シリンダ202Aが進退機構、シリンダ204A及び爪部材206Aが解除機構に相当する。
【0066】
シリンダ202Aは、箱体200Aの底板208A上に設けられた基台210A上に設置されている。シリンダ202Aは、箱体200Aの開口部212A側(矢印X2方向)に向って進退可能なロッド213Aを有する。また、シリンダ203Aも、同様に、ロッド214Aを有する。ロッド213A、214Aの先端には、取付板215を介してシリンダ204Aが取り付けられている。
【0067】
シリンダ204A、上下方向に進退自在なロッド216Aを有しており、ロッド216Aの先端に取付板217Aを介して爪部材206Aが取り付けられている。
【0068】
爪部材206Aは、取付板217Aに締結されるプレート218Aと、プレート218Aの矢印Y方向の両端部から開口部212A側に突出形成された一対の爪部220A、222Aとを有する。爪部220Aは、
図6及び
図8に示すように、矢印Y方向から視てC型に形成されており、上下方向に所定距離離間して開口部212A側に突出した上爪224Aと下爪226Aを有している。爪部222Aも同様の構成である。
【0069】
シリンダ204Aのロッド216Aが上方に伸びた状態でシリンダ202Aのロッド214Aを開口部212A側に伸ばすと、爪部材206Aの爪部220A、222Aの上爪224Aと下爪226Aとの間に位置決めピン機構150Aの上板部170が位置することになる(
図8(B)参照)。
【0070】
(制御部)
ローラコンベア16、台車リフト装置18、移送装置22、回転装置124、昇降機構128、ピン調整機構152A及び投射装置126の駆動制御を行う制御部230を有する。制御部230は、
図6にのみ記載し、他の図では図示省略している。
【0071】
[作用]
次に、ショットピーニング装置10で被加工材Wを加工処理する場合の作用について説明する。
【0072】
先ず、作業員がローラコンベア16の矢印X2側端部の載置位置SA(
図9参照)で、台車30に被加工材Wを搭載する。
【0073】
この際、台車30の底板32は、車輪50A〜56Bよりも低い位置しているため、ローラコンベア16のローラ82に当接している。したがって、制御部230からローラコンベア16に駆動信号が出力されることにより、台車30が矢印X1方向に搬送される。
【0074】
ローラコンベア16上で台車リフト装置18の上部に台車30が到達すると、図示しない近接センサがその到達を検出し、この検出信号に基づいて制御部230がローラコンベア16の駆動を停止する。
【0075】
これにより、台車30が台車リフト装置18上で停止すると、制御部230は、台車リフト装置18に駆動信号を出力する。台車リフト装置18は、
図3及び
図4に示すように、メインシリンダ91及び補助シリンダ94A、94Bが駆動されロッド92、96A、96Bが上方に移動する。これにより、ロッド92、96A、96Bの上端に取り付けられたレール支持台98にブラケット100A、100Bを介して支持されたV型レール102A、102Bがローラコンベア16のローラ82間から上昇し、台車30の車輪50A〜56BのV溝52、58に挿入され、車輪50A〜56Bが支持される。
【0076】
さらに、補助シリンダ94A、94Bのロッド96A、96Bが一層上方に移動することで、V型レール102A、102Bに車輪50A〜56Bが支持された台車30がさらに上方に移動し、底板32がローラ82から離間する(
図4参照)。
【0077】
また、この上昇によって、台車リフト装置18のV型レール102A、102Bと、ガイド部20のV型レール104A、104Bの高さが同一となり、矢印Y方向で接続される(
図9参照)。
【0078】
このように、台車リフト装置18のメインシリンダ91及び補助シリンダ94A、94Bのロッド92、96A、96Bが上端位置まで到達したことを制御部230が検知すると、昇降扉128と移送装置22に駆動信号が出力される。
【0079】
これにより、昇降扉128が上昇して投射室12の入口127が開口される。
【0080】
また、移送装置22のシリンダ112が駆動されることで、ロッド114が所定距離矢印Y1方向に移動して把持部116が閉じることにより、台車30の矢印Y2方向端部に設けられたピン76を把持部116が把持する。この状態で、さらにシリンダ112のロッド114が矢印Y1方向に移動することで、V型レール102A、102Aに位置している台車30が、ガイド部20のV型レール104A、104B上を矢印Y1方向に移動し、回転装置124の回転テーブル146上に設けられたV型レール148A、148B上まで搬送される。
【0081】
投射室12に設けられた近接センサ129に台車30の矢印Y1方向端部に設けられたセンサプレート72が接近することにより、近接センサ129から制御部230に検出信号が出力され、移送装置22の駆動が停止される。
【0082】
なお、この移送装置22による台車30の移動が行われる前に、制御部230は、ピン調整機構152A、152Bに駆動信号を出力して位置決めピン186の位置を調整する。すなわち、
図8(A)に示すように、初期状態とされたピン調整機構152Aでは、シリンダ202A、203Aが駆動されることによりロッド213A、214Aが開口部212A側(矢印X2方向)に移動し、爪部材206Aの爪部220A、222Aが矢印X2方向に前進する。
【0083】
なお、ピン調整機構152Aの初期状態とは、
図8(A)に示すように、シリンダ202A、203Aのロッド213A、214Aが矢印X1方向に移動し、シリンダ204Aのロッド216Aが上方に移動した状態をいう。
【0084】
この結果、
図8(B)に示すように、爪部220A(222A)の上爪224Aと下爪226Aの間に位置決めピン機構150Aの上板部170が位置することになる。
【0085】
この状態で、シリンダ204Aに駆動信号が出力され、ロッド216Aが下降させられる。これにより、
図8(C)に示すように、爪部220A(222A)の上爪224Aがピン位置決めピン機構150Aの支持板168の上板部170の上面に当接し、コイルスプリング184A、184Bの付勢力に抗して支持板168を押し下げる。
【0086】
この状態で、回転テーブル146(V型レール148A、148B)上に台車30が搬送されてくる。したがって、ピン位置決めピン機構150Aの位置決めピン186が、回転テーブル146上に搬送されてくる台車30の凸部60Aと干渉することはない。
【0087】
制御部230に近接センサ129からの検知信号が入力されると、ピン調整機構152Aのシリンダ204Aに駆動信号が出力され、ロッド216Aが上昇させられる。これにより、爪部220A(222A)の下爪226Aがピン位置決めピン機構150Aの支持板168の上板部170の下面に当接して支持板168を押し上げる。この結果、
図8(D)に示すように、支持板168の上板部170の上方に設けられていた位置決めピン186が台車30の凸部60Aに形成されている挿入穴62Aに挿入される。すなわち、台車30が回転テーブル146上で位置決めされる。さらに、シリンダ202A、203Aに駆動信号が出力され、ロッド214Aが矢印X1方向に移動する。これにより、爪部材206Aの爪部220A、222Aが矢印X1方向に後退し、爪部材206Aが初期位置(上位置)に復帰される。
【0088】
この結果。支持板168がコイルスプリング184A、184Bの付勢力のみで、上方に付勢されている状態になる。
【0089】
ここで、制御部230から回転装置124のモータ140に駆動信号が出力され、回転テーブル146と台車30が共に回転する。また、投射装置126に駆動信号が出力され回転する台車30上の被加工材Wに投射材を投射する。
【0090】
被加工材Wに対する加工が終了すると、投射装置126の駆動が停止されると共に。回転装置124(回転テーブル146)の回転が停止される。なお、平面視で回転テーブル146は、V型レール148A、148Bが矢印Y方向を向くように、停止される。
【0091】
回転装置124(回転テーブル146)の回転が停止すると、制御部230は、ピン調整機構152Aに対して駆動信号を出力する。これにより、シリンダ202Aが駆動され、ロッド214Aが矢印X2方向に移動する。これにより、爪部材206Aの爪部220A、222Aが矢印X2方向に前進し、支持板168の上板部170の上方に上爪224A、下方に下爪226Aを位置させる(
図8(B)参照)。この際、支持板168の上板部170上の位置決めピン186上には、台車30の凸部60Aが位置しているが、爪部材206Aの爪部220Aと爪部222Aは、矢印Y方向に所定距離離間して設けられているため、爪部材206Aが凸部60Aと干渉することはない。
【0092】
この状態で、シリンダ204Aを駆動してロッド216Aを下降させることによって、爪部材206Aの爪部220A、222Aの上爪224Aが支持板168の上板部170に当接し、コイルスプリング184A、184Bの付勢力に抗して支持板168を押し下げる。
【0093】
この結果、支持板168の上方に設けられた位置決めピン186が台車30の挿入穴62Aから抜け出す。
【0094】
ここで、制御部230は、移送装置22に駆動信号を出力する。これにより、移送装置22のシリンダ112が駆動され、ロッド114を矢印Y2方向に移動させることによって、回転テーブル146のV型レール148A、148B上に位置する台車30をV型レール104A、104Bを介して台車リフト装置18のV型レール102A、102B上まで搬送する。なお、図示しない近接センサが台車リフト装置18上に台車30が到達した検出信号を制御部230に出力することにより、制御部230は移送装置22の駆動を停止する。これにより、台車30は、台車リフト装置18のV型レール102A、102B上で停止する。
【0095】
この状態で制御部230は、台車リフト装置18に駆動信号を出力する。これにより、台車リフト装置18は、メインシリンダ91及び補助シリンダ94A、94Bを駆動してレール支持台98を下降させる。これにより、ブラケット100A、100Bを介してレール支持台98に支持されているV型レール102A、102Bが、ローラコンベア16のローラ82間でローラ82の上端よりも下方まで下降する。
【0096】
これにより、
図3に示すように、台車30の車輪50A〜56BからV型レール102A、102Bが外れると共に、台車30の底板32がローラコンベア16のローラ82に当接される。
【0097】
この状態で、制御部230は、ローラコンベア16に駆動信号を出力する。ローラコンベア16は、台車30を矢印X1方向、すなわち待機位置WAに搬送する。すでに、次の被加工材Wを搭載した台車30(以下、「次の台車30」という)がローラコンベア16の矢印X2方向端部の載置位置SAに位置しているため、台車30と次の台車30を矢印X1方向に同時に搬送して、台車30が載置位置SAに戻る前に、次の台車30を投射室12の回転テーブル146上に送りこむものである。
【0098】
なお、ローラコンベア16から回転テーブル146上に次の台車30が移動すると、ローラコンベア16は、待機位置WAで待機していた加工済みの被加工材Wを搭載した台車30を載置位置SAに搬送し、台車30から被加工材Wを降ろす。
【0099】
このように、本実施形態に係るショットピーニング装置10では、被加工材Wを搭載した台車30の挿入穴62A、62Bに回転テーブル146上に設けられた位置決めピン機構150Aの位置決めピン186を挿入することにより、台車30を回転テーブル146上に位置決めしているため、モータ140の回転により回転テーブル146上に位置決めされた台車30及び台車30に搭載された被加工材Wを回転することができる。
【0100】
特に、位置決めピン186を挿入穴62A、62Bから抜き出すために設けられたピン調整機構152A、152Bの爪部材206A、206Bは、位置決めピン186を含む位置決めピン機構150A、150Bの支持板168 (上板部170)に対して進退自在とされているため、位置決めピン186を挿入穴62A、62Bから抜き差しするときのみ位置決めピン機構150A、150Bの支持板168(上板部170)と干渉(当接)させ、位置決め固定時には回転テーブル146の径方向外側に後退し、支持板168(上板部170)との非干渉(非接触)状態とされている。
【0101】
また、位置決めピン186が設けられた支持板168がコイルスプリング184A、184Bによって常時鉛直上方、すなわち、台車30の挿入穴62A、62B側に付勢されているため、位置決めピン186が挿入穴62A、62Bに挿入された状態が維持される。
【0102】
したがって、ピン調整機構152A、152B(爪部材206A、206B)が回転テーブル146の回転範囲を規制することはなく、回転テーブル146が一方向に連続的に(複数周回)回転可能とされる。この結果、台車30上に搭載された被加工材Wを周方向で一層均一に加工することができる。
【0103】
また、本実施形態では、ピン調整機構152A、152Bによって位置決めピン機構150A、150Bの位置決めピン186を下降可能な構成としているため、挿入穴62A、62Bから位置決めピン186を抜き出すときのみならず、台車30を回転テーブル146上に移動させるときに、位置決めピン186を下降させて台車30と位置決めピン186との干渉を防止することができる。
さらに、本実施形態では、ピン調整機構152A、152Bの爪部材206A、206Bが、位置決め固定時には回転テーブル146の径方向外側に後退(回転テーブル146から離間)するため、加工時に回転テーブル146上の台車30に搭載されたワークWに対して投射される投射材から離間され、投射材によって損傷することが抑制される。
【0104】
さらに、本実施形態では、台車30をローラコンベア16から台車リフト装置18のV型レール102A、102B、ガイド部20のV型レール104A、104B、回転テーブル146上に設けられたV型レール148A、148Bに沿って移動するため、比較的重量の大きい被加工材Wを搭載した台車30の移動がスムーズになる。
【0105】
しかも、回転テーブル146では、V型レール148A、148B上を移動する台車30を位置決めするため、台車30の位置決め作業性に優れる。
【0106】
さらに、
図9に示すように、ローラコンベア16とガイド部20(V型レール104A、104B)とを平面視T字型に配置し、投射室12の回転テーブル146上で加工が終了した被加工材Wを搭載した台車30は、ローラコンベア16上で載置位置SAとは逆方向(矢印X1方向)の待機位置WAに搬送される。この際、ローラコンベア16の載置位置SAで待機していた次の被加工材Wを搭載した台車30が台車リフト装置18上に搬送される。
【0107】
すなわち、加工済みの被加工材Wを搭載した台車30がローラコンベア16上の待機位置WAに搬送される間に、次の被加工材Wを搭載した台車30がローラコンベア上を台車リフト装置18上に搬送されるため、生産効率が向上する。
【0108】
(その他)
本実施形態では、ショットピーニング装置10に適用したが、投射材を被加工材Wに投射するショット装置であれば、他の装置に適用しても良い。例えば、ショットブラスト装置等である。
【0109】
また、本実施形態では、台車30が回転テーブル146上に移動してくる場合に、ピン調整機構152A、152Bで位置決めピン186を下降させる構成としたが、台車30との当接により機械的に位置決めピン186を下降させる構成でも良い。