特許第6848907号(P6848907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6848907
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】固定用結束バンド
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/32 20060101AFI20210315BHJP
   B65D 63/12 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   H02G3/32
   B65D63/12 A
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-44104(P2018-44104)
(22)【出願日】2018年3月12日
(65)【公開番号】特開2019-161814(P2019-161814A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】新葉 実
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕一
(72)【発明者】
【氏名】京極 正法
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−86989(JP,A)
【文献】 特開2001−278329(JP,A)
【文献】 特開2014−9810(JP,A)
【文献】 特開平8−145021(JP,A)
【文献】 特開2004−274073(JP,A)
【文献】 実開平7−10518(JP,U)
【文献】 特開2004−278703(JP,A)
【文献】 特開2016−135048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/32
B65D 63/12
F16L 13/14
F16B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を結束して取付板に固定する固定用結束バンドであって、
前記取付板に固定するための係止部として、外部付勢によって内側に弾性変形して縮径する一対の弾性片を有し、
一対の前記弾性片には、結束バンドがそれぞれ連結されていることを特徴とする固定用結束バンド。
【請求項2】
前記結束バンドは、拘束した電線の配線方向が、一対の前記弾性片が弾性変形する方向と直交する向きに連結されていることを特徴とする請求項1記載の固定用結束バンド。
【請求項3】
前記結束バンドは、前記弾性片の解放端から上方に向けて延設された連結片に連結され、
前記連結片には、前記係止部が前記取付板に取り付けられた状態で、前記取付板の表面に弾性をもって当接される当接片が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の固定用結束バンド。
【請求項4】
一対の前記弾性片には、前記結束バンドがそれぞれ上下逆向きに連結されている請求項1乃至3のいずれかに記載の固定用結束バンド。
【請求項5】
軸部と、
前記軸部の上部に形成された押圧片と、具備し、
一対の前記弾性片は、前記軸部の下部に弾性変形可能に連結され、前記軸部を隙間を介して両側から挟み込むように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の固定用結束バンド。
【請求項6】
前記押圧片の上面は、前記軸部に対して垂直な押圧面として形成されていることを特徴とする請求項5記載の固定用結束バンド。
【請求項7】
前記押圧片にも、1以上の前記結束バンドが連結されていることを特徴とする請求項5又は6記載の固定用結束バンド。
【請求項8】
前記弾性片に連結された前記結束バンドと、前記押圧片に連結された前記結束バンドとは、交わる電線束のそれぞれの向きに対応して方向が設定されていることを特徴とする請求項7記載の固定用結束バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束した電線を取付板に固定する固定用結束バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、複合機、MFP、プリンター等の画像形成装置の機内には、多くの電線が使用されており、電線の広がりを抑えるために結束バンドが使用されている。そして、結束した電線を樹脂ガイド、板金(シャーシ)等の取付板に固定する場合には、係止部を備えた固定用結束バンドが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−246663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、電線束を2つに分けて取付板に固定したい場合、固定穴を2箇所設け、固定用結束バンドを2つ使用するしかなく、材料費、加工費、作業工数が増えてしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電線を2つに分けて結束することができる固定用結束バンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の固定用結束バンドは、電線を結束して取付板に固定する固定用結束バンドであって、前記取付板に固定するための係止部として、外部付勢によって内側に弾性変形して縮径する一対の弾性片を有し、一対の前記弾性片には、結束バンドがそれぞれ連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電線を2つに分けて結束することができ、結束した2つの電線を取付板に固定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る固定用結束バンドの第1の実施の形態の概略構成を示す正面図及び側面図である。
図2図1に示す固定用結束バンドの着脱動作を説明する説明図である。
図3】本発明に係る固定用結束バンドの第2の実施の形態の概略構成を示す正面図である。
図4】本発明に係る固定用結束バンドの第3の実施の形態の概略構成を示す正面図及び側面図である。
図5図4に示す固定用結束バンドによる結束例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付してある。
【0010】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態の固定用結束バンド1は、図1を参照すると、固定部2と、第1結束バンド部3aと、第2結束バンド部3bとを備えている。固定部2、第1結束バンド部3a及び第2結束バンド部3bは、樹脂成形によって一体に形成されている。なお、図1において、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【0011】
固定部2は、軸部21と、軸部21の上部に形成された押圧片22と、軸部21の下部に弾性変形可能に連結された一対の弾性片23a、23bとを備えている。軸部21及び一対の弾性片23a、23bは、樹脂ガイド、板金(シャーシ)等の取付板に固定するための係止部4として機能する。係止部4の断面形状は、取付板に形成された取付穴の形状に応じて設定される。
【0012】
弾性片23a、23bは、隙間を介して軸部21を両側から挟み込むように配置され、外部付勢によって内側(軸部21に近づく方向)に弾性変形する。弾性片23a、23bの外側面には、それぞれ段部24a、24bが形成されている。そして、係止部4の断面形状は、下部から徐々に拡径し、段部24a、24bで縮径される。
【0013】
押圧片22は、係止部4を取付板に形成された取付穴に押し込んで固定するための操作部として機能する。押圧片22の上面は、軸部21に対して垂直な押圧面22aとして形成されている。
【0014】
弾性片23aの解放端には、第1結束バンド部3aが連結された連結片25aが上方に向けて延設され、弾性片23bの解放端には、第2結束バンド部3bが連結された連結片25bが上方に向けて延設されている。連結片25aと連結片25bとは、隙間を介して軸部21及び押圧片22を両側から挟み込むように配置されている。
【0015】
また、連結片25a及び連結片25bには、外側斜め下方に向けて延設された当接片26a、当接片26bがそれぞれ形成されている。当接片26a、26bは、係止部4が取付板に取り付けられた状態で、取付板の表面に弾性をもって当接される。
【0016】
第1結束バンド部3a及び第2結束バンド部3bは、鋸歯状の係合溝31が形成されたバンド32と、挿通されたバンド32をロックする頭部33とからなる公知の構造でそれぞれ構成されている。そして、第1結束バンド部3a及び第2結束バンド部3bは、図2に示すように、拘束した電線束5の配線方向が、軸部21の軸方向X及び弾性片23a、23bが弾性変形する方向Yと直交する向きに、頭部33が連結片25a及び連結片25bの解放端にそれぞれ連結されている。なお、電線束5は、1本以上の電線である。
【0017】
本実施の形態では、第1結束バンド部3a及び第2結束バンド部3bの頭部33は、バンド32が挿通される開口34が軸部21の軸方向Xと平行になる向きに連結片25a及び連結片25bにそれぞれ連結されている。そして、バンド3を頭部33の開口34に下側から上側に挿通することでロックされる構造になっている。また、バンド3の係合溝31は、拘束した電線束5に接触しない外側の面に形成されている。
【0018】
第1結束バンド部3a及び第2結束バンド部3bの頭部がそれぞれ連結された連結片25a及び連結片25bは、隙間を介して押圧片22を両側から挟み込むように配置されている。従って、第1結束バンド部3a及び第2結束バンド部3bによって拘束された電線束5も押圧片22を挟んで両側に配置されることになり、押圧片22の押圧面22aは、電線束5によって覆われることなく解放された状態となる。
【0019】
従って、図2(a)に示すように、第1結束バンド部3a及び第2結束バンド部3bによって電線束5をそれぞれ拘束した状態の固定用結束バンド1を取付板6に固定する場合には、押圧面22aを矢印αで示す軸部21の軸方向に押圧することで、取付板6に形成された固定穴61に向けて係止部4を簡単に押し込むことができる。
【0020】
固定穴61に係止部4を押し込むことで、一対の弾性片23a、23bが内側(軸部21に近づく方向)に弾性変形して縮径され、固定穴61内へ挿入される。そして、図2(b) に示すように、弾性片23a、23bのそれぞれの段部24a、24bが固定穴61を貫通すると、一対の弾性片23a、23bが復元して拡径され、段部24a、24bと当接片26a、26bとの挟み込みによって係止部4が取付板6に係止され、固定用結束バンド1が固定される。
【0021】
取付板6に固定された固定用結束バンド1を取り外す場合には、図2(b)に示すように、第1結束バンド部3a及び第2結束バンド部3bによってそれぞれ拘束された電線束5を、矢印βで示す方向、すなわち電線束5が押圧片22に近づく方向に押圧する。これにより、連結片25a、25bを介して一対の弾性片23a、23bが内側(軸部21に近づく方向)に弾性変形して縮径され、係止部4を固定穴61から簡単に取り外すことができる。
【0022】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の固定用結束バンド1aは、図3を参照すると、第1の実施の形態の固定用結束バンド1の構成に加え、第3結束バンド部3c及び第4結束バンド部3dの頭部がそれぞれ押圧片22の側面に連結されている。第3結束バンド部3c及び第4結束バンド部3dは、第1結束バンド部3a及び第2結束バンド部3bと同様に公知の構造でそれぞれ構成されている。なお、押圧片22に連結する結束バンド部の数には、限定はなく、1本でも、3以上であっても良い。
【0023】
図3に示す例では、第3結束バンド部3c及び第4結束バンド部3dが、第1結束バンド部3a及び第2結束バンド部3bと直交する方向に連結されているが、交わる電線束5のそれぞれの向きに対応して方向を設定すると良い。これにより、電線束5が交わる箇所でそれぞれの電線束5を簡単に拘束して固定することができる。
【0024】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態の固定用結束バンド1bは、図4を参照すると、第1の実施の形態の固定用結束バンド1の第1結束バンド部3aが上下逆向きに連結されている。従って、図5に示すように、第1結束バンド部3aと第2結束バンド部3bとで電線束5を巻き回す向きが異なり、第1結束バンド部3aでは、電線束5が頭部33よりも上方で結束され、第2結束バンド部3bでは、電線束5が頭部33よりも下で結束されることになる。これにより、電線束5をそれぞれ異なる高さで結束することができる。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電線束5を結束して取付板6に固定する固定用結束バンド1であって、取付板6に固定するための係止部4として、外部付勢によって内側に弾性変形して縮径する一対の弾性片23a、23bを有し、一対の弾性片23a、23bには、結束バンド(第1結束バンド部3a、第2結束バンド部3b)がそれぞれ連結されている。
この構成により、電線を2つに分けて結束することができ、結束した2つの電線を取付板に固定することができる。また、結束した電線を介して一対の弾性片23a、23bにアクセスすることができるため、取付板6への着脱操作を簡単に行うことができる。
【0026】
さらに、本実施の形態において、結束バンド(第1結束バンド部3a、第2結束バンド部3b)は、拘束した電線束5の配線方向が、一対の弾性片23a、23bが弾性変形する方向と直交する向きに連結されている。
この構成により、拘束された電線束5を操作することで、一対の弾性片23a、23bが簡単に弾性変形させることができ、取付板6からの取り外し作業(固定穴61からの抜去)を簡単に行うことができる。
【0027】
さらに、本実施の形態において、結束バンド(第1結束バンド部3a、第2結束バンド部3b)は、弾性片23a、23bの解放端から上方に向けてそれぞれ延設された連結片25a、25bに連結され、連結片25a、25bは、係止部4が取付板6に取り付けられた状態で、取付板6の表面に弾性をもって当接される当接片26a、26bがそれぞれ形成されている。
この構成により、取付板6にしっかりと固定することができる。
【0028】
さらに、本実施の形態において、一対の弾性片23a、23bには、結束バンド(第1結束バンド部3a、第2結束バンド部3b)がそれぞれ上下逆向きに連結されている。
この構成により、電線束5をそれぞれ異なる高さで結束することができる。
【0029】
さらに、本実施の形態において、軸部21と、軸部21の上部に形成された押圧片22と、具備し、一対の弾性片23a、23bは、軸部21の下部に弾性変形可能に連結され、軸部21を隙間を介して両側から挟み込むように配置されている。
この構成により、軸部21の上方が電線束5によって覆われることなく解放された状態となるため、押圧片22を押圧することで、取付板6に形成された固定穴61に向けて係止部4を簡単に押し込むことができる。
【0030】
さらに、本実施の形態において、押圧片22の上面は、軸部21に対して垂直な押圧面22aとして形成されている。
この構成により、産業用ロボットによる吸引式ハンドでも扱うことが可能となる。
【0031】
さらに、本実施の形態において、押圧片22にも、1以上の結束バンド(第3結束バンド部3c、第4結束バンド部3d)が連結されている。
この構成により、3以上の電線束5を結束することができる。
【0032】
さらに、本実施の形態において、弾性片23a、23bに連結された結束バンド(第1結束バンド部3a、第2結束バンド部3b)と、押圧片22に連結された結束バンド(第3結束バンド部3c、第4結束バンド部3d)とは、交わる電線束5のそれぞれの向き(直交方向)に対応して方向が設定されている。
この構成により、電線束5が交わる箇所でそれぞれの電線束5を簡単に拘束して固定することができる。
【0033】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0034】
1、1a、1b 固定用結束バンド
2 固定部
3a 第1結束バンド部
3b 第2結束バンド部
3c 第3結束バンド部
3d 第4結束バンド部
4 係止部
5 電線束
6 取付板
21 軸部
22 押圧片
23a、23b 弾性片
24a、24b 段部
25a、25b 連結片
26a、26b 当接片
31 係合溝
32 バンド
33 頭部
34 開口
61 固定穴
図1
図2
図3
図4
図5