(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の係合機構、第1の電源、及び第1の気化器を備える第1のエアロゾル送達デバイスであって、前記第1の気化器が、前記第1の電源から電力を選択的に受けて、使用者が吸引するための第1のエアロゾルを第1のエアロゾル前駆材料から生成するように構成されている、第1のエアロゾル送達デバイスと、
第2の係合機構、第2の電源、及び第2の気化器を備える第2のエアロゾル送達デバイスであって、前記第2の気化器が、前記第2の電源から電力を選択的に受けて、使用者が吸引するための第2のエアロゾルを第2のエアロゾル前駆材料から生成するように構成されている、第2のエアロゾル送達デバイスと
を具備するエアロゾル送達システムであって、
前記第1のエアロゾル送達デバイス及び前記第2のエアロゾル送達デバイスが結合されているときには前記第1のエアロゾル送達デバイス及び前記第2のエアロゾル送達デバイスは一緒に使用されて、第1のエアロゾル及び第2のエアロゾルを1人の使用者に送達することができるように、かつ、前記第1のエアロゾル送達デバイス及び前記第2のエアロゾル送達デバイスが結合されていないときには前記第1のエアロゾル送達デバイス及び前記第2のエアロゾル送達デバイスは別個に使用されて、第1のエアロゾル及び第2のエアロゾルを別々の使用者に送達することができるように、前記第1のエアロゾル送達デバイスの前記第1の係合機構、及び前記第2のエアロゾル送達デバイスの前記第2の係合機構が、前記第1のエアロゾル送達デバイスを前記第2のエアロゾル送達デバイスに選択的に結合するよう、互いに解放可能に相互係合するように構成されている、エアロゾル送達システム。
前記第1のエアロゾル送達デバイスが、使用時に使用者へ前記第1のエアロゾルを送達するための第1のマウスピース開口部を備え、前記第2のエアロゾル送達デバイスが、使用時に使用者へ前記第2のエアロゾルを送達するための第2のマウスピース開口部を備え、前記第1のマウスピース開口部及び前記第2のマウスピース開口部が、前記第1のエアロゾル送達デバイスと前記第2のエアロゾル送達デバイスとが結合されているときに隣り合って配置される、請求項1に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1のエアロゾル送達デバイス及び前記第2のエアロゾル送達デバイスが細長く、前記第1のエアロゾル送達デバイスと前記第2のエアロゾル送達デバイスとが結合されているときに互いに平行な、それぞれの長手方向軸線に沿って延びる、請求項1又は2に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1の係合機構及び前記第2の係合機構が、前記第1のエアロゾル送達デバイスを前記第2のエアロゾル送達デバイスに選択的に磁気的に結合するように配置された一つ以上の磁石を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1の係合機構及び第前記2の係合機構が、前記第1のエアロゾル送達デバイスを前記第2のエアロゾル送達デバイスに選択的に、機械的に結合するように構成された機械的なインターロック要素を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1の係合機構が、前記第1のエアロゾル送達デバイスにおける第1の形状を有する部分を備え、前記第2の係合機構が、前記第2のエアロゾル送達デバイスにおける第2の形状を有する部分を備え、前記第1の形状が、前記第1のエアロゾル送達デバイスを前記第2のエアロゾル送達デバイスに選択的に結合するために、前記第2の形状と協働して係合するように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1の形状及び前記第2の形状がそれぞれ、前記第1のエアロゾル送達デバイス及び前記第2のエアロゾル送達デバイスのインターロック螺旋部分を備える、請求項6に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1のエアロゾル送達デバイス及び前記第2のエアロゾル送達デバイスを互いに直行するそれぞれの延び方向の軸線と接触させ、次いで、前記第1のエアロゾル送達デバイス及び前記第2のエアロゾル送達デバイスの少なくとも一方をその延び方向の軸線を中心にして回転させている間に前記軸線同士が互いに平行になるように前記第1のエアロゾル送達デバイス及び前記第2のエアロゾル送達デバイスの一方を他方に対して回転させることによって、前記第1のエアロゾル送達デバイスが前記第2のエアロゾル送達デバイスに対して選択的に、機械的に結合されるよう、前記第1の形状及び前記第2の形状が構成されている、請求項6又は7に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1の係合機構が弾性クリップを備え、前記第2の係合機構が、前記第1のエアロゾル送達デバイスを前記第2のエアロゾル送達デバイスに選択的に結合する前記クリップによって係合されるように構成された、第2のエアロゾル送達デバイスの一部分を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1の係合機構が前記第1のエアロゾル送達デバイスからの凸部を備え、前記第2の係合機構が前記第2のエアロゾル送達デバイスに凹部を備え、前記第2のエアロゾル送達デバイスの凹部が、前記第1のエアロゾル送達デバイスからの凸部を受けて、前記第1のエアロゾル送達デバイスを前記第2のエアロゾル送達デバイスに選択的に結合するように構成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1のエアロゾル送達デバイスが第1の電気インターフェースを備え、前記第2のエアロゾル送達デバイスが第2の電気インターフェースを備え、前記第1の電気インターフェース及び前記第2の電気インターフェースは、これらが結合されるときに前記第1のエアロゾル送達デバイスと前記第2のエアロゾル送達デバイスとの間に電気接続部を形成するように構成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1のエアロゾル送達デバイスが、前記第1のエアロゾル送達デバイスの動作を制御するように構成された第1の制御ユニットを備え、前記第2のエアロゾル送達デバイスが、前記第2のエアロゾル送達デバイスの動作を制御するように構成された第2の制御ユニットを備え、前記第1の制御ユニット及び前記第2の制御ユニットのうちの少なくとも一方は、前記第1のエアロゾル送達デバイスと前記第2のエアロゾル送達デバイスとが結合されているときに、他方のエアロゾル送達デバイスの前記動作の態様を、前記第1のエアロゾル送達デバイスと前記第2のエアロゾル送達デバイスとの間の電気接続部を通してやり取りされる制御信号によって制御するように構成されている、請求項11に記載のエアロゾル送達システム。
前記他方のエアロゾル送達デバイスの動作の態様が、前記他方のエアロゾル送達デバイスの気化器に供給される電力の量を含む、請求項12に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1のエアロゾル送達デバイスと前記第2のエアロゾル送達デバイスとが結合されているときに、前記第1の気化器が、前記第1のエアロゾル送達デバイスと前記第2のエアロゾル送達デバイスとの間の電気接続部を通して、前記第2の電源から電力を選択的に受けるようにさらに構成されており、及び/又は前記第2の気化器が、前記第1のエアロゾル送達デバイスと前記第2のエアロゾル送達デバイスとの間の電気接続部を通して、前記第1の電源から電力を選択的に受けるようにさらに構成されている、請求項11〜13のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
前記第1の電源及び前記第2の電源から一つの気化器へ供給される電力の相対量が、前記第1の電源及び前記第2の電源に残っている電力の相対量に基づいて決定される、請求項14に記載のエアロゾル送達システム。
第1の係合手段、第1の電源手段、及び第1の気化手段を備える第1のエアロゾル送達手段であり、前記第1の気化手段が、前記第1の電源手段から電力を選択的に受けて、使用者が吸引するための第1のエアロゾルを第1のエアロゾル前駆材料から生成するように構成されている、第1のエアロゾル送達手段と、
第2の係合手段、第2の電源手段、及び第2の気化手段を備える第2のエアロゾル送達手段であり、前記第2の気化手段が、前記第2の電源手段から電力を選択的に受けて、使用者が吸引するための第2のエアロゾルを第2のエアロゾル前駆材料から生成するように構成されている、第2のエアロゾル送達手段と
を具備するエアロゾル送達システムであって、
前記第1のエアロゾル送達手段及び前記第2のエアロゾル送達手段が結合されているときには前記第1のエアロゾル送達手段及び前記第2のエアロゾル送達手段は一緒に使用されて、第1のエアロゾル及び第2のエアロゾルを1人の使用者に送達することができるように、かつ、前記第1のエアロゾル送達手段及び前記第2のエアロゾル送達手段が結合されていないときには前記第1のエアロゾル送達手段及び前記第2のエアロゾル送達手段は別個に使用されて、第1のエアロゾル及び第2のエアロゾルを別々の使用者に送達することができるように、前記第1のエアロゾル送達手段の前記第1の係合手段、及び前記第2のエアロゾル送達手段の前記第2の係合手段が、前記第1のエアロゾル送達手段を前記第2のエアロゾル送達手段に選択的に結合するよう、互いに解放可能に相互係合するように構成されている、エアロゾル送達システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴について、本書にて論じ説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来どおり実施することができ、これらについては、話を簡潔にする目的で、詳細には論ぜず説明もしない。したがって、本書にて言及するが詳細には説明していない装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実施するための任意の従来の手法によって実施できることを理解されたい。
【0014】
本開示は、eシガレット等の、エアロゾル供給システムとも呼ばれることがある、エアロゾル送達システムに関する。以下の説明全体にわたって、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語を使用することがあるが、この用語は、エアロゾル送達システム又は電子エアロゾル送達システムと互換的に使用することができることを理解されたい。さらに、当該技術分野では一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化」及び「エアロゾル化」等の関連の用語もまた、互換的に使用され得る。
【0015】
本開示は、少なくとも二つのエアロゾル送達デバイスを含むエアロゾル送達システムを提示する。各エアロゾル送達デバイスは、エアロゾル送達デバイスの中に入れることができるそれぞれのエアロゾル前駆材料からエアロゾルを生成するために、また、この前駆材料から生成されたエアロゾルを続けて使用者に送達するために必要な構成要素を備える。本開示は、エアロゾル送達デバイスがそれぞれの係合機構を備えるシステムを提示し、この係合機構は、エアロゾル送達デバイスを選択的に結合するように互いに相互係合することができ、それにより、使用時に、第1及び第2のエアロゾル送達デバイスが第1及び第2のエアロゾルをただ1人の使用者に送達することができる。例えば、その使用者は、両方のエアロゾル送達デバイスのマウスピース開口部を同時に吸って、結合されたエアロゾル送達デバイスによって別々に生成されたエアロゾルの混合物を受けることができる。係合機構は、性質が機械的でも磁気的でもよく、通常使用時(すなわち、各マウスピース開口部を同時に吸うとき)には各エアロゾル送達デバイスが分離しないようにするのに十分に強い結合が得られるが、エアロゾル送達デバイスへの分離力を(意図的に)加えた場合には各エアロゾル送達デバイスを分離できるようにする。非結合状態では、各エアロゾルデバイスは、他のエアロゾル送達デバイスとは別個にエアロゾルを生成するように構成される。すなわち、各エアロゾル送達デバイスは別々に使用することができる。このようにして、例えば異なる香料又はエアロゾル前駆材料の組み合わせが得られるようにエアロゾル送達デバイスを切り替えることを、個々のエアロゾル送達デバイスを分解することなく直感的かつ容易に行うことができる。
【0016】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル送達デバイス10の概略図である。エアロゾル送達デバイス10は、点線LAで示された長手方向軸線に沿って延びる、全体的に立方の形状を有し(
図4も参照)、二つの主構成要素、すなわち制御ユニット20及びカトマイザ30を備える。
【0017】
カトマイザ30は、ニコチン(又は、より一般的には前駆材料)を含む液体製剤のリザーバを収容する内部チャンバ、ヒータ(又は、より一般的には気化器/アトマイザ)、及びマウスピース端部35を含む。カトマイザ30は、少量の液体製剤をリザーバからヒータへ移送するためのウィック又は同様の機構をさらに含むことができる。制御ユニット20は、電力をエアロゾル送達デバイス10へ供給する電源/電力源としての再充電可能バッテリーと、エアロゾル送達デバイス10を全体的に制御するための回路基板とを含む。ヒータが、回路基板によって制御されたバッテリーから電力を受けるとき、ヒータはニコチンを気化(加熱)し、次に、このエアロゾル(蒸気)は使用者によって、マウスピース端部35を通して、詳細にはその一つ以上の開口部352(
図3及び
図4参照)を通して吸引される。
【0018】
制御ユニット20とカトマイザ30は、
図1に示されるように、長手方向軸線LAに平行な方向に分離することによって互いに取り外し可能であるが、デバイス10が使用中のときには、
図1に25A及び25Bとして概略的に示された、制御ユニット20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的接続性を得るための連結部によって接合されている。カトマイザ30に連結するために使用される制御ユニット20の電気コネクタはまた、制御ユニット20がカトマイザ30から取り外されているときに充電デバイス(図示せず)を連結するためのソケットとして機能することもでき、或いは、制御ユニット20は、その一方の端部に専用充電ポート(USBポート等)を備えることができ、例えば、この端部の反対側の端部は、カトマイザ30に結合するように構成される。カトマイザ30は、ニコチンの供給がなくなると制御ユニット20から取り外し捨てる(また必要があれば別のカトマイザと交換する)ことができる。
【0019】
図1は、カトマイザ30及び制御ユニット20の様々な面を概略的に示す。詳細には、制御ユニット20は、上面/上部面222及び下面/下部面224を有する。下面224は、制御ユニット20の、上面222と正反対の面である。同様に、カトマイザ30も上面322及び下面324を有する。下面324は、カトマイザ30の、上面322と正反対の面である。この用語、すなわち上/下又は同義語は、単に説明の便宜上使用され、通常の使用においてエアロゾル送達デバイス10の特定の向きが採用されなければならないことを示唆するものではないと理解されたい。場合によっては、又は後で明らかになるように、エアロゾル送達デバイス10は、上面222及び322が下に向くように、すなわち
図1に見える面の向きが逆になるように、長手方向軸線LAを中心にして回転させることもできる。
【0020】
図1は(また後で説明する
図3も)、カトマイザ30のマウスピース端部35を別個のボックスとして示している。この表示は、マウスピース端部35がカトマイザ30の別個の部片/構成要素であることを示す意味ではなく、カトマイザ30の領域であることを示す意味であり、この領域は、デバイス10によって生成されたエアロゾルを使用者がカトマイザ30のマウスピース端部35を用いて吸引したいときに使用者の唇と触れ、このマウスピース端部は、例えば一つ以上の開口部352によってエアロゾルがカトマイザ30の内側から外側へ通過できるような何らかの態様で変更され得ることを理解されたい。同様に、代替実施態様では、マウスピース端部35は、カトマイザ30の本体に取付可能、かつ本体から取外し可能である別個の構成要素として提供されることも理解されたい。これらの代替実施態様では、カトマイザ(エアロゾル前駆体を貯蔵するためのリザーバを収容する)の本体は、例えばリザーバが空であるときに、又は生成されるエアロゾルの香料を変えるために、別の本体と置き換える、又は切り替えることができる。マウスピース端部35を保持することは、エアロゾル送達デバイスを別々の使用者間で交換する場合に衛生上の理由で有利であり得る。
【0021】
図1でも分かるように、この実施態様の制御ユニット20は、長手方向軸線LAに沿って互いに間隔をあけて置かれた二つの磁性部分(磁石)226を備える。磁性部分226は、エアロゾル送達デバイス10を第2のエアロゾル送達デバイスと選択的に磁気的に結合させるために、第2のエアロゾル送達の第2の係合機構と相互係合するように配置された第1の係合機構を形成する。磁性部分226は、所望の向きに並べられた磁極を有し得る。すなわち、磁性部分は、磁極が上向き/下向き配置(例えば、S極が上面222に向いており、N極が下面224に向いている)、又は左向き/右向き配置(例えば、S極が連結部25Bに向いており、N極が制御ユニット20の反対側端部に向いている)のどちらかになるように配置することができる。磁気的結合については以下でより詳細に説明する。
【0022】
各磁性部分226の間に、正及び負の電気端子をそれぞれ形成するように構成された二つの電気接点228が設けられる。電気接点228は、制御ユニット20の中のコントローラ、及び電力源に接続される。本質的に、電気接点228は、電力及び/又は制御信号が、磁性部分226によってエアロゾル送達デバイス10に磁気的に結合された第2のエアロゾル送達デバイスから電力源若しくはコントローラへ、又は電力源若しくはコントローラから第2のエアロゾル送達デバイスへ、通されることを可能にする。すなわち、電力及び/又は制御信号は、電気的結合を使用して、結合されたエアロゾル送達デバイス間に通すことができる。電気的結合については以下でより詳細に説明する。
【0023】
磁性部分226及び電気接点228は、
図1で原寸に比例して示されていないことを理解されたい。
図1で、これらの部分226及び接点228は、制御ユニット20の本体の中に突出しており、また制御ユニットの下面224と同じ高さであるとして概略的に示されている。しかし、別の実施形態の磁性部分226及び電気接点228は、制御ユニット20の本体の面224に付けられた/設けられたストリップとして構成することができ、ストリップの厚さに等しい分だけ面224から突出してもよい
【0024】
図2及び
図3はそれぞれ、
図1のエアロゾル送達デバイスの制御ユニット20及びカトマイザ30の概略図を示している。様々な構成要素及び細部、例えば配線及びより複雑な成形は、図を分かりやすくするために、磁性部分226及び電気接点228と共に省略されていることに留意されたい。
【0025】
図2に示されるように、制御ユニット20は、エアロゾル送達デバイス10、並びにエアロゾル送達デバイス10を制御する(マイクロ)コントローラ等のチップに電力供給するための再充電可能バッテリー又は電池210を電力源として含む。コントローラは、センサユニットも含む小さいプリント回路基板(PCB)215に取り付けられる。使用者がマウスピース端部35を吸った場合、空気は、一つ以上の空気入口穴(
図1及び
図2には示されていない)を通ってエアロゾル送達デバイス10に引き込まれる。センサユニットはこの空気流を検出し、この検出に応答してコントローラは、電力をバッテリー210からカトマイザ30のヒータ155へ供給する。
【0026】
図3に示されるように、カトマイザ30は、カトマイザを制御ユニット20につなぐために、カトマイザ30の中心(長手方向)軸線に沿ってマウスピース端部35からコネクタ25Aまで延びる空気通路161を含む。ニコチン含有液体のリザーバ160は、空気通路161のまわりに設けられている。このリザーバ160は、例えば、液体に浸漬された綿又は発泡体を設置することによって実現することができる。カトマイザはまた、リザーバ160からの液体を加熱して、空気通路161を通って流れマウスピース端部35から出るエアロゾルを生成するための、ワイヤコイルの形のヒータ155を含む。マウスピース端部35は、空気通路161に流体的に連結された二つの開口部352を備え、この開口部から使用者の肺までエアロゾルを流すことができる。ヒータは、ライン166及び167を介して電力供給され、このラインは、バッテリー210の対立する極(正と負、又はその逆)にコネクタ25Aを介して接続される(電源ライン166及び167とコネクタ25Aの間の配線の詳細は、
図3では省略されている)。
【0027】
制御ユニット20の一方の端部は、制御ユニット20をカトマイザ30のコネクタ25Aにつなぐためのコネクタ25Bを形成している。コネクタ25Aと25Bは、制御ユニット20とカトマイザ30の間の機械的及び電気的接続をもたらす。コネクタ25Bは、二つの電気端子、外側電極240及び内側電極250を含み、これらは絶縁体260によって分離されている。コネクタ25Aは同様に、絶縁体172によって分離された、内側電極175及び外側電極171を含む。絶縁体172は、外側電極171によって取り囲まれている。外側電極171及び240並びに内側電極175及び250は、金属等の導電性材料から形成され、或いは導電性材料でコーティング/めっきされ(例えば銀めっき)、絶縁体171及び260は、プラスチック、ゴム、シリコーン、又は他の適切な材料等の非導電性から形成される。カトマイザ30が制御ユニット20に連結されると、カトマイザ30の内側電極175及び外側電極171はそれぞれ、制御ユニット20の内側電極250及び外側電極240と係合する。内側電極250はコイルばね255に装着され、それにより内側電極175は内側電極250を押してコイルばね255を押し縮めて、カトマイザ30が制御ユニット20に連結されたときの良好な電気的接触を確実にする助けになる。
【0028】
カトマイザコネクタ25Aは、二つの突辺(ラグ)ないしはタブ180A、180Bを備え、これらはカトマイザ30の長手方向軸線から離れるよう互いに反対の方向に延びている。これらのタブ180A、180Bは、カトマイザ30と制御ユニット20との間で機械的連結を行うために使用される。この実施態様のタブ180A、180Bは、カトマイザ30が長手方向軸線LAに沿って制御ユニット20に向けて押し付けられたときに、制御ユニット20の対応する凹部(図示せず)と撓みをもって係合して、カトマイザ30を制御ユニット20に結合するスナップ嵌めタイプの係合を実現する。この関連で、タブ180A、180Bは、カトマイザ30を制御ユニット20に挿入できるように長手方向軸線LAに向かう方向に押し付け可能であり、タブ180A、180Bが対応する凹部と係合しているときにカトマイザ30と制御ユニット20が分離することに抵抗するように形づくられている。スナップ嵌め係合は、カトマイザ30と制御ユニット20の間の確実で堅い連結を実現し、それにより、カトマイザ30と制御ユニット20は、ぐらつきや曲がりなしで互いに固定位置に保持され、偶発的な分離が生ずる可能性は非常に小さい。上述の態様の代替的態様で構成されている他のスナップ嵌め係合機構が設けられてもよい。さらに、別の実施形態では、制御ユニット20とカトマイザ30の間に、バヨネット又はねじ連結等の別の形の連結手段が使用されてもよいことを理解されたい。
【0029】
上述のように、カトマイザ30は、液体リザーバ160が使い尽くされると一般には捨てられ、新しいカトマイザが購入され組み込まれる。或いは、カトマイザ30が新しい液体で充填され取り替えられることもある。どちらの場合も、カトマイザ30は一般に、制御ユニット20から取り外される。
【0030】
図4は、カトマイザ30と制御ユニット20が結合されたときの、
図1〜
図3のエアロゾル送達デバイス10の概略的な斜視図である。この実施態様では、エアロゾル送達デバイス10は実質的に立方形であり、長手方向軸線LAと直交する面で見ると実施的に台形の断面を有し、この台形の最大辺は、台形の二つの非平行辺の間で湾曲している。二つの非平行辺の間の離隔距離は、本書ではエアロゾル送達デバイス10の幅Wと呼ばれ、下面324から上面322へ向かう方向に増大する。用語の最大辺及び最短辺とは、幅方向にとった各辺の相対的な長さを指す。
図4はさらに、最長湾曲辺と最短辺との間の最大離隔距離であるデバイスの高さHを長さLと共に示し、この長さLは、エアロゾル送達デバイス10(すなわち、カトマイザ30と制御ユニット20が一緒)の全長である。長さ方向は、長手方向軸線LAと平行である。
【0031】
それに応じて、上面222及び322は、エアロゾル送達デバイス10の長さに沿って幅方向に湾曲している。カトマイザ30と制御ユニット20は、長手方向軸線LAに沿って同じ断面を有し、それにより、それぞれの上面222、322及び下面224、324は、カトマイザ30と制御ユニット20が結合されると互いに連続する。湾曲した上面222及び322は、使用者によっては把持/保持しやすいと感じることができるデバイスを実現する。
【0032】
図4はさらに、カトマイザ30のマウスピース端部に二つのマウスピース開口部352を示す。これらの開口部352は、空気がエアロゾル送達デバイス10の外部から吸入されてデバイス10を通り抜け、気化されたエアロゾル前駆材料と混合され、マウスピース端部35の開口部352を通って流出して使用者の肺に入ることができるように、エアロゾル送達デバイス10全体を通して設けられた空気流チャネルと連通している。開口部352は三日月形に設けられ、上方の開口部は長さが下方の開口部よりも長い。これは開口部352を配置する一つの例示的態様であり、所定のパターンで配置された複数の円形の穴又は単一の開口部等、別の開口部の配置が行われてもよいことを理解されたい。いくつかの実施態様では、開口部は、デバイスを出ていく空気に特定の方向性を与えるように配置される。例えば、その開口部は、長手方向軸線に対して傾斜した方向に沿って空気を誘導するように構成されてもよい。
【0033】
図5A及び
図5Bは、本開示のいくつかの実施形態によるエアロゾル送達システム100を概略的に示す。
図5Aは、非結合/分離状態のエアロゾル送達システム100を概略的に示し、
図5Bは、結合状態のエアロゾル送達システム100を概略的に示す。
【0034】
図5Aをまず参照すると、本開示のエアロゾル送達システム100は、複数のエアロゾル送達デバイスを非結合状態で含み、送達デバイス間には離隔距離があることが示されている。この開示の原理は、本書では二つのエアロゾル送達デバイスに関して説明するが、その原理は、二つよりも多いエアロゾル送達デバイスを備えるエアロゾル送達システムにも同様に当てはまり得ることを理解されたい。
【0035】
図5Aは、
図1〜
図4のエアロゾル送達デバイス10である第1のエアロゾル送達デバイス10を示す。カトマイザ30と制御ユニット20は、コネクタ25A及び25Bによって結合され、エアロゾルの生成及び使用者へのその送達を行う用意ができた状態になる。この状態で、使用者はマウスピース端部35を吸い、上述のようにエアロゾル送達デバイス10によって生成されたエアロゾルを受けることができる。
【0036】
加えて、
図5Aは第2のエアロゾル送達デバイス10’を示す。第2のエアロゾル送達デバイス10’は、この実施態様では、第1のエアロゾル送達デバイス10と類似している構成要素を含む。第2のエアロゾル送達デバイス10’の構成要素は、第1のエアロゾル送達デバイス10のものとはプライム(’)を使用して区別される。したがって、簡潔にするために、別記されない限り、同じ参照符号を有するがプライムがあることだけは異なる構成要素は、以前に記載されたプライムのない構成要素と同じ機能及び構造を有する。したがって、第2のエアロゾル送達デバイス10’は、第2のマウスピース端部35’を含む第2のカトマイザ30’、及び第2の制御ユニット20’を備える。第2のカトマイザ30’と第2の制御ユニット20’は、連結部25A’及び25B’によって結合され、エアロゾルの生成及び使用者への送達を行う用意ができている状態になる。この状態で、使用者は第2のマウスピース端部35’を吸い、第1のエアロゾル送達デバイス10に関して同様に説明したように、第2エアロゾル送達デバイス10’によって生成されたエアロゾルを受けることができる。
【0037】
第2のカトマイザ30’は、任意選択で、そのリザーバ160’に、例えば異なる香料、又はニコチンの異なる強さ/濃度を有する別の原料液体を備えることで、カトマイザ30とは異なり得る。そうでなければ、この実施態様では、第2のカトマイザ30’はカトマイザ30と全く同じである。
【0038】
第2の制御ユニット20’は、第2の係合機構によって、構造について、詳細には磁性部分226’の向き/並びが制御ユニット20とは相違している。この実施態様では、磁性部分226’は、第1のエアロゾル送達デバイス10の磁性部分226と第2のエアロゾル送達デバイス10’の磁性部分226’との間の磁気的結合を可能にするために、各磁性部分226’の極性が第1のエアロゾル送達デバイス10の磁性部分226の極性と比べて逆になるように配置される。
図5Aは、それぞれのエアロゾル送達デバイス10、10’の磁性部分226と226’との間に作用する磁力を表す二つの両頭矢印を示す。当業者には容易に理解されるであるように、第2のエアロゾル送達デバイス10’の磁性部分226’の磁極が、第1のエアロゾル送達デバイス10の対応する磁性部分226に対して逆にされると、磁気吸引力が発生して磁性部分226と226’が互いに引き付け合うようになる。
【0039】
それに応じて、磁力が十分に強いと、エアロゾル送達デバイス10、10’が磁気吸引力によって互いの方に引き付けられ結合する。
図5Bは、磁気的に結合された状態の第1のエアロゾル送達デバイス10及び第2のエアロゾル送達デバイス10’を示す。この状態では、各エアロゾル送達デバイス10、10’のマウスピース端部35及び35’は、互いに隣り合って設置されている。この関連で、磁気結合力は、通常の使用中に(すなわち、デバイスを吸引しているときに)一方のエアロゾル送達デバイスが他方に対して摺動/ねじり/滑りを生じさせないために十分に強くなければならないが、力又はその要素を磁気吸引力が作用する方向に加えることによってデバイス10、10’を使用者が分離できるように十分に弱くなければならない。それゆえに、結合しているとき、使用者は二つのデバイス10、10’をあたかも単一のデバイスを扱っているように操作することができ、デバイス10、10’が分離することがない。
【0040】
結合しているとき、それぞれのエアロゾル送達デバイス10、10’の長手方向軸線LA、LA’は、
図5Bで分かるように実質的に平行である。同様に、磁性部分226及び226’の配置により、エアロゾル送達デバイス10、10’は、その長さが重なり合う/揃うようになる。言い換えると、長手方向軸線に沿った一つの方向に最も遠い第1又は第2のエアロゾル送達デバイス10、10’の縁部から、長手方向軸線に沿った反対の方向に最も遠い反対側の縁部までのエアロゾル送達システム100の全長は、軽微なずれがなければ、個々のエアロゾル送達デバイス10、10’の長さとほぼ同じである。
【0041】
図5Cは、長手方向軸線LAに沿って、
図5Bのライン5Cで示されたマウスピース端部35、35’に向かう方向に見たときの、結合状態(すなわち、
図5B)のエアロゾル送達システム100を概略的に表す。図で分かるように、各エアロゾル送達デバイス10、10’の下面224、324及び224’、324’は結合状態で当接する(それゆえに、相対的に言えば、下面224’及び324’は、実際には第2のエアロゾル送達デバイス10’の最上面になる)。結合状態では、使用者は、自分の唇を第1のエアロゾル送達デバイス10の上面322に当て(詳細には上唇)、また第2のエアロゾル送達デバイス10’の上面322’に当て(詳細には下唇)、隣り合うマウスピース端部35と35’を同時にくわえる。このようにして、結合状態のエアロゾル送達システム100を使用者が吸うと、第1のエアロゾル送達デバイス10を通過する(かつ第1のエアロゾル送達デバイスによって生成されたエアロゾルを含み得る)空気と、第2のエアロゾル送達デバイス10’を通過する(かつ第2のエアロゾル送達デバイスによって生成されたエアロゾルを含み得る)空気とを含む、空気の混合物が吸引される。空気(生成されたエアロゾルを含み得る)は、
図5Cに示されるように、開口部352及び352’を通ってそれぞれのエアロゾル送達デバイスから出ていく。このようにして使用者は、エアロゾル送達デバイス10、10’の両方で生成されたエアロゾルの混合物を吸引することができる。
【0042】
エアロゾル送達システム100の全高は、
図5Cに示されるように、個々のエアロゾル送達デバイス10、10’の高さHの2倍に等しい。したがって、個々のデバイス10、10’それぞれの高さHは、両方のマウスピース端部をくわえる使用者にとって快適な結合状態の全高になるように選択されなければならない。単なる例として、全高は15mm程度であってもよく、これは個々のエアロゾル送達デバイスそれぞれが7.5mmの高さHを有することを意味する。これにより、使用者がマウスピース35、35’の両方を結合状態で、また各マウスピース端部を別個に非結合状態で確実にくわえることができるようになる。
【0043】
結合状態では、エアロゾル送達デバイス10、10’のそれぞれを動作させて、デバイスに収容されたそれぞれの原料液体からエアロゾルを生成できることを理解されたい。したがって、二つのデバイスが相互係合/相互結合されているときには、1人の使用者が両方のエアロゾルの混合物を吸引することができる。それぞれのエアロゾルの組み合わせ(すなわち、香味/強さ)を変えるには、使用者が、第1と第2のエアロゾル送達デバイス10、11を引き離し/分離し、第2のエアロゾル送達デバイス10’を、異なる原料液体が収容されている第3のエアロゾル送達デバイス(図示せず)と取り換える。エアロゾルの組み合わせをこのように変えるのは、個々のエアロゾル送達デバイス10、10’の大がかりな分解を全く必要としない。そうしないで、使用者は、それぞれのエアロゾル送達デバイスの個々のカトマイザを引き離さずにエアロゾル送達デバイス全体を変えることによって、エアロゾル供給源を直感的に簡単に交換することができる。
【0044】
加えて、第1と第2のエアロゾル送達デバイス10、10’が磁気的に結合されと、各エアロゾル送達デバイス10、10’の電気接点228と228’が接触して、制御ユニット20が制御ユニット20’と電気的に結合/接続される。磁性部分226及び226’と同じように、制御ユニット20は、第2のエアロゾル送達デバイス10’の電気接点228’の極性が、第1のエアロゾル送達デバイス10の対応する電気接点228の極性に対して逆になっているという点で、制御ユニット20と構造が異なり得る。これにより、第1と第2のエアロゾル送達デバイス10、10’が磁気的に結合されたときに適切な電気接続が可能になる。上述のように、この電気接続により、電力及び/又は制御信号が第1と第2のエアロゾル送達デバイス10、10’の間を通ることが可能になる。
【0045】
制御信号は、エアロゾル送達デバイスに設置された各コントローラのどちらかで受けられ、それぞれのエアロゾル送達デバイス10、10’がどのように動作すべきかを決定するために使用される電気信号である。
【0046】
制御信号は、例えば、使用者による吸引によってそれぞれのエアロゾル送達デバイス10、10’のそれぞれで生成されるべきエアロゾルの体積又は分量の指示を含む。この例では、送達デバイス10、10’のコントローラのそれぞれに供給源識別情報が与えられ、この情報は、それぞれのエアロゾル送達デバイス10、10’に収容された原料液体(より一般的にはエアロゾル前駆材料)を特定する。例えば、第1のエアロゾル送達デバイス10は、リンゴ加香物を含む原料液体を有することができ、第2のエアロゾル送達デバイス10’は、ストロベリー加香物を含む原料液体を有することができる。供給源識別情報は、エアロゾル送達デバイス10,10’を使用する前に例えばコンピュータ等にUSBケーブルを介して接続することによって、使用者がそれぞれの送達デバイス10、10’の制御ユニット20、20’にプログラムすることができ、或いは、各カトマイザ30、30’が、供給源識別情報を記憶する電子的に読出し可能なチップ等を備え、カトマイザ30、30’がそのそれぞれの制御ユニット20、20’に結合されたときに、チップがコントローラによって読み出されて供給源識別情報が得られる。
【0047】
所与の例における香料の最適な混合物は、カトマイザ30、30’の製造者によって決められた、又は使用者がその好みに基づいて設定した、例えば2:1の比とすることができる。第1と第2のエアロゾル送達デバイス10、10’が初めて結合されたとき、供給源識別情報は、電気接続部を使用して二つのデバイス間でやり取りされる。したがって、第1のエアロゾル送達デバイス10は、それがストロベリー加香物と混合されるべきという指示を受け取り、その結果コントローラは、ストロベリー加香されたエアロゾルと適切に混合されるある量のリンゴ加香エアロゾルを生成するようにヒータ155に供給される電力の量を制御する。この制御は、製造者からのすべての製造香料及びその組み合わせを照会するルックアップテーブルに基づいて実施することができる。同じく、第2のエアロゾル送達デバイス10’は、第1のエアロゾル送達デバイス10’から供給源識別情報を受け取り、それに応じて、適切な量のストロベリー加香エアロゾルを同様に生成するようにヒータ155’を制御する。いくつかの実施態様では、それぞれのエアロゾル送達デバイスで生成されるエアロゾルの量は、例えば適切なセンサを使用して検出される、エアロゾル送達デバイスを通って流れる空気流の関数でもあることを理解されたい。これらの実施態様では、エアロゾルは、空気流の強さにかかわらず香料比が維持されるように、香料比及び検出された空気流の両方に応じて各デバイスで生成される。
【0048】
以上では、エアロゾルの量(したがって香料の比)が、組み合わされ吸引されるべき検出された香料に基づいて自動的に設定される状況について説明していることを理解されたい。代替実施態様では、使用者が、生成されるエアロゾルの量を直接制御することができる。上述のように、パフセンサ等の適切なセンサが、1パフ(1回の吸込み)を検出されたときにヒータ155、155’を作動させるために使用される。香料比を調整するために使用者は、例えば、一つ以上のボタン(対応の制御ユニット20、20’(図には示されていない)の上面222及び222’に配置されている)を押すことができる。このようなボタンは、吸引前又は吸引中に香料の比を動的に変えることを可能にし得る(例えば、それぞれ個々のエアロゾル送達デバイス10、10’によって生成される量を増大又は低減させることによって)。いくつかの実施態様では、第1のエアロゾル送達デバイス10のボタンを押すと、第2のエアロゾル送達デバイス10’で生成されるエアロゾルに影響を与えることができる。この場合、制御信号は、エアロゾル送達デバイスのうちの一方で行われるボタン押しの指示を含み得る。
【0049】
別の実施態様では、使用者は、デバイスが結合されたときに、エアロゾル送達デバイスのうちの一方を通る空気流に影響を及ぼす何らかの動作を行うことができる。例えば、使用者は、マウスピース端部の一方だけを(又は一方の端部をより強く)一服する(パフする)ことができ、或いはエアロゾル送達デバイスのうちの一方のマウスピース端部の開口部を塞ぐことができる。こうした場合、両方のパフセンサからの出力が異なることになり、その違いは、エアロゾル送達デバイスの特定の制御機能に帰することができる。例えば、パフセンサによって検出された空気流値が大きいエアロゾル送達デバイスは、ヒータに供給される相対電力を、例えば他方のエアロゾル送達デバイスのヒータに供給される相対電力を低減しながら増大させることによって、それが混合物中に生成するエアロゾルの比率を増加するように制御することができる。すなわち、一方のエアロゾル送達デバイスがエアロゾル出力量を増大する(混合物がよりリンゴベースになる)ように命令された場合、他方のエアロゾル送達デバイスの出力は低減される。使用者は、デバイスの一方又は他方との情報交換に基づいて、所望の比を設定することができる。吸引されるエアロゾルの総量は、パフの強さによって決まるが、吸引される各香料の量は、その総量に対して香料比に基づいて設定される。
【0050】
別の実施態様では、制御信号は、第1と第2のエアロゾル送達デバイス10、10’のコントローラ間の通信を含み、前記通信は、第1と第2の送達デバイス10、10’の両方の機能を制御することを担うマスタコントローラを確立するために使用される。他のコントローラがスタンバイ/低電力モードになっていることがあるので、マスタコントローラを使用することがエネルギー/電力消費を減らす助けになり得る。加えて、他の構成要素、例えば、流れ/パフセンサもまた低電力モードになっていることがある。
【0051】
この関連において、初めて結合されるとき、コントローラは、デバイス情報(現在のバッテリー充電、ソフトウェア/ハードウェアバージョン、使用統計データ等の他のパラメータに加えて、供給源識別情報を含み得る)を別のエアロゾル送達デバイスの別のコントローラに送るように構成される。コントローラは、受け取ったデバイス情報をそれ自体のデバイス情報と比較することによって、利用可能なコントローラから単一のコントローラ(マスタコントローラ)を決定するようにプログラムされる。次に、各コントローラは、それがマスタコントローラになるべきかどうかを決定する。(例えば、バッテリー充電が他のデバイスと比べて少ない、又はコントローラが他の(一つ以上の)コントローラと互換性がない、又は他の何らかの理由により)第1のコントローラがマスターになるべきではないと決定された場合は、さらなる措置はとられない。
【0052】
逆に、第1のコントローラがマスターになるべきと決定された場合は、このコントローラは、その適格性を残りのコントローラに示す信号を(電気接続部を介して)送信する。残りのコントローラがそれ自体をマスタコントローラ候補と判断しない場合は、残りのコントローラは肯定応答(ACK)信号をコントローラへ返信する。ACK信号の総数が受信されたデバイス情報のセットの総数と等しければ、コントローラはそれ自体をマスタコントローラに指名し、コントローラのそれぞれ(したがってエアロゾル送達デバイス10、10’のそれぞれの機能)に対する責任を負う。逆に、残りのコントローラのうちの一つがマスタコントローラの候補になると決定した場合には、そのコントローラが第1のコントローラに否定応答(NACK)を返信する。このNACK信号を受信すると、第1のコントローラはマスタコントローラにならず、NACK信号を送信しているコントローラがマスタコントローラ候補にとどまる。この処理は、マスタコントローラが選択されるまで、又は処理がタイムアウトするまで繰り返すことができ、タイムアウトの場合には、マスタコントローラが候補セットからランダムに選択されてもよい。
【0053】
以上は、いくつかのコントローラからマスタコントローラをどのように選択できるかという一例にすぎないことを理解されたい。マスタコントローラがどのようにして選択されるかという正確な過程は、本開示の原理には特に重要ではなく、通信を別々のエアロゾル送達デバイス10、10’のコントローラ間で電気接続部を使用して行うことができる。しかし、当業者には、マスタコントローラを選択するための上述の選択処理と組み合わせて、又はその代わりに使用できる他の過程は理解されよう。
【0054】
制御信号に加えて、電気接続部228及び228’は、電力がエアロゾル送達デバイス10、10’の間でやり取り/供給されることを可能にもする。言い換えると、第1のエアロゾル送達デバイス10のバッテリー又は電池210からの電力を第2のエアロゾル送達デバイス10’のバッテリー又は電池210’へ、又は第2のエアロゾル送達デバイス10’のカトマイザ30’のヒータ155’へ直接、供給することができる。
【0055】
例えば、電力は、第1と第2のエアロゾル送達デバイス10、10’の間で共有して、充電が同じレベルのそれぞれのバッテリー210、210’を得ることができる。言い換えると、充電が最少のバッテリーを充電するために、電力を充電が最大のバッテリーから充電が最少のバッテリーへ供給することができる。電力は、一方のバッテリーからもう一方まで、それぞれのバッテリーの充電が等しくなるまで、又はほぼ等しくなるまで供給することができ、それにより、分離された場合には、両方の送達デバイスが個別に使用されてエアロゾルを生成することができる。別の実施態様では、充電はエアロゾルの出力比に比例して分配され、例えば上の例を用いると、電力が第1と第2のエアロゾル送達デバイス10、10’の間で2:1の比で分配される。
【0056】
一実施態様では、制御ユニット20及び20’は、電力をバッテリー間で受動的に分配するように構成された適切な回路を備える。すなわち、接点228及び228’を使用して電気接続が行われるとすぐに電力が、適切なレベルの充電にバッテリーが達するまで供給される。或いは、制御ユニット20、20’は、特定の動作に応答して電力を供給するように構成された回路を備える。これらの特定の操作には、例えば、使用者が、制御ユニット20及び/若しくは20’の上面222及び/若しくは222’に設けられたボタンを押すこと、又は、適切なセンサによって検出されるような、検出されたパフ/吸引に応答することが含まれてもよい。
【0057】
さらに別の代替実施態様では、電力がバッテリー210及び210’に供給されず、代わりに、検出されたパフに応答してヒータ155及び/又は155’に直接供給される。例えば、コントローラは、どのバッテリーの充電が最大であるかを決定し(エアロゾル送達デバイス10、10’間の送信デバイス情報に基づいて)、決定されたバッテリーを使用して電力をヒータ155とヒータ155’の両方に、電気接続部を介して供給することができる。このようにして、どの時点でも充電が最大であるバッテリーを優先的に使用して、エアロゾル送達デバイス10、10’の両方でエアロゾルを生成することができる。充電の差がゼロに達する、又は逆転すると(すなわち、ヒータ155とヒータ155’の両方に電力を供給しているバッテリーが、充電が最少のバッテリーになる)、両方のデバイスに電力を供給することを担うバッテリーが切り替えられ、別のバッテリーがその代わりに使用される。このようにして、バッテリー間の充電の差が小さくなると、バッテリーは交互に使用され、どの時点でも各バッテリーは充電がほぼ同じレベルにあるということになる。これは、上記と同様の利益をもたらす。
【0058】
さらに別の実施態様では、制御ユニット20、20’のそれぞれが、上述したような専用のUSB(又は同様の)充電ポートを備える。結合されると、使用者はUSB電力ケーブル(すなわち、主電源等の電力源から電力を供給するように構成されたUSBケーブル)をUSB充電ポートのどちらか一方に接続することができる。USB電力ケーブルがUSBポートに接続されると、供給される電力は、それぞれのバッテリー210、210’に電気接点228、228’を使用して分配され、それにより両方のバッテリーを単一の電力ケーブル及び単一のポートを使用して充電することができる。例えば、使用者がUSB電力ケーブルを制御ユニット20に接続する場合、制御ユニット20(又はマスタコントローラ)は、受けた電力の一部又は全部を制御ユニット20’のバッテリー210’に電気接点228及び228’を介して分配するように構成される。電力は、任意の事前設定条件に従って移送されることもある。例えば電力は、各バッテリーが入力電力の半分を受けるように分配することができる(すなわち、電力の50%がバッテリー210に、50%がバッテリー210’に向けられる)。或いは、電力分配比は、バッテリー210、210’の充電の現在のレベルに基づいて選択されてもよく、充電が少ないバッテリーには、入ってくる電力のうちのより大きい割合が分配される。別の実施態様では、電力は最初に、電力ケーブルに結合された制御ユニットのバッテリー、例えばバッテリー210に分配されて、そのバッテリーが特定のレベル(例えば、満充電)まで充電された後に、電力ケーブルに結合されていない制御ユニットのバッテリー、例えばバッテリー210’に分配される。このようにして、使用者は、単一の電力ケーブル、及びケーブルのエアロゾル送達デバイスへの単一の接続部だけで、両方の(又は複数の)エアロゾル送達デバイスを十分に充電することができる。これにより、使用者はケーブルを充電ポートのどれかに接続することだけを気にすればよいので、非常に簡単な充電機構が使用者に提供される。
【0059】
二つのエアロゾル送達デバイス10、10’がそれぞれの係合機構、相互係合を介して磁気的及び電気的に結合されるエアロゾル送達システム100について上で説明してきた。説明した実施態様では、磁性部分226、226’及び電気接点228、228’は、それぞれのエアロゾル送達デバイスの一つの面に設けられる。しかし、別の実施態様では、第2の(すなわち別の)磁性部分及び電気接点がエアロゾル送達デバイスの他の面に配置される。例えば、各エアロゾル送達デバイスの係合機構は、二つの群の磁性部分及び電気接点を備える(上面222、222’及び下面224、224’に配置されている)。この実施態様では、上面222、222’の磁性部分のそれぞれは、その磁極が同じ第1の方向に並べられ、下面224、224’の磁性部分のそれぞれは、その磁極が第2の、反対方向に並べられている。したがって、このような配置構成では、それぞれのエアロゾル送達デバイスの上面と下面の磁気的結合が容易になる。すなわち、上で説明した実施態様とは異なり、磁気的結合が二つの面間で許容されない場合には(磁性部分226、226’が互いに反発するので)、この実施態様では使用者が、一方のエアロゾル送達デバイスを長手方向軸線LAを中心にして180°だけ回転させて、第2の磁性部分との間に磁気引力をもたらすことができる。同様に、同じことが電気接点についても言える。
【0060】
さらに、別の実施態様では、係合機構(すなわち、磁性部分)及び電気接点は、
図4のエアロゾル送達デバイスの概して台形の断面の非平行辺に対応する面に配置される(すなわち、上面222、222’と下面224、224’を連結する側面)。この配置構成では、エアロゾル送達デバイスをその非平行面どうしが当接するように配置することによって、多数のエアロゾル送達デバイスの磁気的結合を容易にすることができる。
【0061】
係合機構の磁性部分226、226’及び電気接点228、228’について、制御ユニット20、20’の面に設けられるとして説明してきたが、係合機構(磁性部分226、226’)及び/又は電気接点228、228’は、追加的に又は別法として、カトマイザ30、30’の面に設けられてもよいことを理解されたい。
【0062】
さらに、代替実施態様では、第2のエアロゾル送達デバイス10’の係合機構は、制御ユニット20’又はカトマイザ30’のハウジングを備える。この実施態様では、第2のエアロゾル送達デバイスは磁性材料で作られる。すなわち、制御ユニット20’のハウジングは、第1のエアロゾル送達デバイス10の係合機構(例えば、磁性部分226)に磁気的に引き付けられる材料から形成される。したがって、この実施態様では、磁性部分226と226’の精密な位置合わせが必要とされず、対向するデバイスの磁性部分が、
図5Aに示されるように、その間で引き付け合う磁気的な結合をもたらすようにして並べられているかどうかは重要でない。その代わりに、磁気的な結合が磁性部分226と制御ユニット20’の一領域の間で起こる。この実施態様では、両方のエアロゾル送達デバイス10、10’が磁性部分226、226’を備える必要はないが、別の実施態様では、両方のエアロゾル送達デバイス10、10’が、磁性部分226又は226’と、それぞれのカトマイザ30、30’及び/又は制御ユニット20、20’のハウジングとの両方を含むそれ自体の係合機構を備える。この実施態様は、例えばエアロゾル送達デバイスの積重ね配置を可能にし、積重ねの二つの送達デバイス間の結合が、上述のように、他方の送達デバイスのハウジングに結合する、一方のエアロゾル送達デバイスの磁性部分によって実現される。
【0063】
リザーバ160、160’は、手元の用途に応じて任意の量のエアロゾル前駆材料を収容するように構成できることに留意されたい。しかし、一実施態様では、各リザーバに収容される液体エアロゾル前駆材料の総量は、一体に結合されることが意図されているエアロゾル送達デバイスの数で割られる例えば2mLに設定される。したがって、二つのエアロゾル送達デバイスから成るエアロゾル送達システムでは、それぞれのリザーバが、最大1mLの液体エアロゾル前駆材料を収容するように構成される。このようにして、個別のエアロゾル送達デバイスが結合される場合、液体エアロゾル前駆材料の総量は、通常の使用において2mLを超えない。
【0064】
以上では、磁気的に結合されている二つのエアロゾル送達デバイス10、10’を備えるエアロゾル送達システム100について説明している。しかし、本開示の原理は、エアロゾル送達デバイスの相互係合を実現する機械的な係合機構を備えるエアロゾル送達デバイスに適用することができる。すなわち、各エアロゾル送達デバイスは、磁気的にではなく機械的に係合機構によって選択的に互いに結合される。
【0065】
図6A及び
図6Bは、結合されたときに機械的にインターロック/結合されたエアロゾル送達デバイス600を形成する本開示の第2の実施態様による二つのエアロゾル送達デバイス610及び610’を、その長手方向軸線からオフセットされた方向に沿って見たものとして概略的に示す。
【0066】
詳細には、
図6Aは、分離状態の第1のエアロゾル送達デバイス610及び第2のエアロゾル送達デバイス610’を示す。第1及び第2のエアロゾル送達デバイス610、610’は、それぞれのカトマイザ630、630’及び制御ユニット620、620’を備える。
図6Aでは、第2の制御ユニット620’は第2のカトマイザ630’から分離されて示され、そのため、コネクタ625A’及び625B’が露出しているが、第1の制御ユニット610は、コネクタ(図示せず)を介して第1のカトマイザ630と結合されて示されている。
【0067】
図6A及び
図6Bには、制御ユニット620、620’及びカトマイザ630、630’の内部構造は示されずに、エアロゾル送達デバイス610、610’の外面だけが示されている。しかし、第1及び第2のエアロゾル送達デバイス610、610’は、エアロゾル送達デバイスとして機能するのに要求される必要な内部構成要素、例えば、カトマイザ30及び制御ユニット20に関して
図2及び
図3に示されたものと同様の構成要素を備える。当業者であれば、上述の実施態様を考慮して、また従来の手法に応じて必要とされる、必要な構成要素を容易に使用するであろう。
【0068】
第2の実施態様のエアロゾル送達デバイス610、610’は実質的に半円筒形を有する。すなわち、エアロゾル送達デバイス10、10’のどちらの端部の断面も半円である。しかし、
図1及び
図5A〜
図5Cの第1の実施態様におけるような磁気的結合を行うための磁性部分を有する制御ユニット620、620’の代わりに、エアロゾル送達デバイス610、610’(詳細には、そのカトマイザ630、630’の部分)は、インターロック部631、631’を備える。インターロック部は、この実施態様のそれぞれの係合機構を構成する。
【0069】
各インターロック部631、631’は、この実施態様では、インターロック部631、631’に接合したマウスピース端部635、635’の端部から、カトマイザ630、630’の反対側の端部まで画定されている。インターロック部631、631’は、使用者がカトマイザ630、630’の内部を見ることができるように、透明な材料から形成される。インターロック部631、631’は中空構造であり、この実施態様ではエアロゾル送達デバイスごとに、エアロゾル前駆材料/液体製剤が貯蔵されるリザーバを含む。透明な構造により使用者は、エアロゾル前駆材料が少なくなっているとき、又は交換が必要なときを視覚的に検知することができる。しかし、エアロゾル送達デバイス610、610’は一般に、任意の適切な材料、例えば不透明なプラスチック、金属等から形成することができる。
【0070】
図6Aで分かるように、インターロック部631、631’は、それぞれの長手方向軸線LA、LA’に沿って一定量だけ動くときに、半円筒の形が長手方向軸線LAを中心にして次第に回転するようにして構成されている。すなわち、第1のエアロゾル送達デバイス610では、一方がマウスピース端部635からカトマイザ630の反対側の端部に向かって進むにつれて、半円筒の形が、例えば時計回りで、長手方向軸線LAを中心にして全部で約270°だけ回転する。単なる例として、半円筒の形は1cm当たり54°という一定量だけ回転させることができ、それゆえにインターロック部は長さが約5cmということになる(長手方向軸線に沿って)。同様に、第2のエアロゾル送達デバイス610’のカトマイザ630’は、カトマイザ630と同じピッチでインターロック部631’の長手方向軸線LA’に沿って回転する半円筒の形を有する。
図6Aに示される両方のインターロック部631、631’において、インターロック部の始め(すなわち、マウスピース端部635、635’のすぐ後の端部)の半円筒形断面は、長手方向軸線のまわりの回転方向の定義に応じて270°又は90°だけ反対側の端部の半円筒形断面に対してオフセットされていることを理解されたい。
【0071】
しかし、別の実施態様では、半円筒形断面の形がカトマイザ630、630’の長手方向軸線に沿って回転する程度は、上述したものよりも大きいことも小さいこともあることを理解されたい。例えば、一つの実施態様では、半円筒の形は、長手方向軸線に沿ってインターロック部の一方の端部から他方の端部まで移動するときに、長手方向軸線LA、LA’を中心にして全部で90°だけ回転する。すなわち、この例では、半円筒の形は、1cm当たり18°という一定量で5cmの長さにわたって回転する。加えて、別の実施態様では、回転の程度はインターロック部の長さに沿って一定ではなく、例えば回転量は、長手方向軸線LA、LA’の長さに沿って異なっていることがある。しかし、回転量が異なっている場合、インターロック部631、631’には、長手方向軸線に沿った各位置において同じ又は同様の程度/大きさの変化がなければならない。
【0072】
インターロック部631、631’をこのように構成すると、使用者が機械的結合を使用してエアロゾル送達デバイス610、610’を結合することが可能になる。
図6Bは、(解放可能に)結合された状態のエアロゾル送達システム600を概略的に示し、使用者は、エアロゾル送達デバイス610、610’が機械的に結合できるように特定の操作を行っている。
【0073】
この実施態様では、具体的な操作には、それぞれのエアロゾル送達デバイス610、610’のインターロック部631、631’を整合させること、及びエアロゾル送達デバイス610、610’両方の半円筒の形の平坦面どうしが当接するようにインターロック部631、631’を一緒にひねる/押し付けることが含まれる。
図6Bは、(機械的に)結合された状態のエアロゾル送達システム600を概略的に示し、
図6Aの第1及び第2のエアロゾル送達デバイス610、610’は、インターロック部631、631がインターロックするように操作されている。
図6Bで分かるように、別個の送達デバイス610、610’がインターロックされると、これらは円筒の形(それぞれの半円筒の形から成る)を画定し、共通の長手方向軸線を共有する。結合されるとき、この実施態様のインターロック部631、631’の半円筒の形は、共通の長手方向軸線に沿って同じ方向に回転するが(例えば、時計回りに)、開始位置は互いに180°だけオフセットされている。さらに、インターロック部631、631’により、それぞれのエアロゾル送達デバイス610、610’は、デバイス610、610’が結合されるときに、互いに隣り合うことが可能になる。
【0074】
インターロック部631、631’の構成により、各インターロック部(したがって、カトマイザ630、630’及び取り付けられた制御ユニット620、620’)が一体的に機械的に結合され、特定の操作の組だけがインターロック部630、631’を分離する/引き離すようにして保持されることが可能になる。したがって、インターロック部631、631’は、通常の使用中に(すなわちデバイスを吸引するときに)一方のエアロゾル送達デバイスがもう一方に対して摺動する/ねじれる/滑ることを防止又は実質的に防止するが、適切な力/動きが加わるもとでは、エアロゾル送達デバイス610、610’を迅速かつ直感的に分離することを可能にする。
【0075】
図示されていないが、インターロック部631、631’は分割壁と共に形成され、この分離壁は、インターロック部の中空内部の中に二つのコンパートメント(隔室)を画定するために、それぞれのインターロック部の長さに沿って延びている。断面では、分割壁は、インターロック部の断面を分割する。二つのコンパートメントは、インターロック部の中で流体的に分離されている。コンパートメントの一方はリザーバを形成し、エアロゾル前駆材料(例えば、気化されるべき流体)を収容する。他方のコンパートメントは、空気が制御ユニット620、620’からマウスピース端部635、635’まで通過できるようにする、例えば空気通路161と類似している空気通路を形成する。
【0076】
いくつかの実施態様では、分割壁は形が半円であり、断面で見たとき、半円形のインターロック部を、インターロック部の半円の形全体よりも半径が小さい半円の形を有する第1のコンパートメントと、第1のコンパートメントよりも半径が大きい環状断面を有する第2のコンパートメントとに分割する。言い換えると、第2のコンパートメントは、第1のコンパートメントの外側の湾曲縁部を取り囲むように形成されるが、これらのコンパートメントは他の断面形状を有するように形成できることを理解されたい。この実施態様では、分割壁は、それぞれのインターロック部の回転に応じてねじれている。
【0077】
解放可能に結合された状態では、エアロゾル送達システム100のように、それぞれのエアロゾル送達デバイス610、610’のマウスピース端部635、635’は、互いに隣り合っている。同様に、第1及び第2のエアロゾル送達デバイス610、610’のそれぞれの長手方向軸線LA、LA’は、互いに平行になっている。システム100について説明したのとほとんど同じようにして、使用者は、自分の唇をそれぞれのマウスピース端部635、635’のまわりに当てて、両方のマウスピース端部を同時にくわえることができる。使用者がマウスピース端部635、635’を吸うと、空気がそれぞれのインターロック部の空気通路(第2のコンパートメント)に沿って進み(ヒータの位置に応じて、それぞれのエアロゾル送達デバイス610、610’の生成されたエアロゾルと混合される前か後のどちらかに)、マウスピース端部635、635’に入る。その結果、マウスピース端部635、635’を吸う使用者には、第1と第2のエアロゾル送達デバイス610、610’の両方で生成されたエアロゾルの混合物を供給することができる。前述のエアロゾルシステム100のように、エアロゾルシステム600は、使用者が、エアロゾル送達デバイス610、610’を分解及び再組立てすることなく、液体製剤(例えば香料)を直感的かつ容易に切り替えができるようにすることが容易に理解されよう。加えて、エアロゾル送達デバイス610、610’のそれぞれは、引き離された状態でも単独で機能することができる。すなわち使用者は、デバイス610で生成されたエアロゾルを、デバイス610’と結合されていないときに吸引することができる。
【0078】
インターロック部631は、長手方向軸線を中心にして同じ方向に半円筒の形が回転するので、インターロック部631’と機械的にインターロックできることを理解されたい。インターロック部631は、同じ形状を有するがその長手方向軸線を中心にして反対方向に回転する(例えば、1cm当たり54°の一定量だけ反時計回りに)別のインターロック部とはインターロックすることが、この実施態様ではできない。したがって、磁性部分226、226’とほとんど同じように、特定のインターロック部(したがって、カトマイザ/制御ユニット)を組み合わせることができない。このことは、長手方向軸線を中心にした回転は同じ方向であるが、それぞれのインターロック部の長手方向軸線に沿った回転角度の変量は異なるという場合でも、そうであり得る。これは、例えば、特定の香料又はニコチンの強さが組み合わされることを防止するのに役に立ち得る。その理由は、これらの液体製剤を相互排他的なインターロック部に貯蔵することができるからである。
【0079】
図6A及び
図6Bには示されていないが、エアロゾル送達デバイス610、610’は、結合されたエアロゾル送達デバイス610、610’の間で制御信号又は電力を伝送できるようにするために、電気接点228、228’と類似している電気接点を備えることもできる。例えば、電気接点は、半円筒形制御ユニットの平坦な(すなわち、湾曲していない)面に配置することができる。それゆえに、インターロック動作を行うと、その電気接点が接触して二つのエアロゾル送達デバイス610、610’を電気的に結合する。電力及び/又は制御信号の伝送は、上述のように実行することができる。
【0080】
上述のインターロック部631、631’は一例として示されているにすぎず、当業者には、インターロック部631、631’が相互インターロック機能を実現するために他の形を取り得ることが理解されよう。例えば、半円筒の形の回転角度は説明したものより大きくても小さくてもよく、或いは、全体の断面が正方形でもよく、又はより一般的には、インターロック部が半円筒形とは対照的な多角形でもよい。同様に、インターロック部631、631’はカトマイザ630、630’において形成されているとして示されているが、制御ユニット620、620’が代わりに、又はそれに追加してインターロック部を備えてもよいことを理解されたい。
【0081】
上述の第2の実施態様では、機械的な結合を行うためにインターロック部/カトマイザという形状を使用している。したがって、機械的な結合を行うための係合機構は、エアロゾル送達デバイスと一体化して形成される。別の実施態様では、二つ以上のエアロゾル送達デバイスの機械的な結合は、一体化して形成された機械的結合を使用する他の態様で実現される。
【0082】
例えば、図示されていないが、エアロゾル送達デバイスは、その外面に配置され別のエアロゾル送達デバイスの一部分を受けるように構成された、一つ以上のクリップを一体化して備えることができる。この実施態様の第1のエアロゾル送達デバイスの係合機構は、デバイスの外面と一体化して形成された一つ以上のクリップであり、第2のエアロゾル送達デバイスの係合機構は、一つ以上のクリップによって受けることができる、第2のエアロゾル送達デバイスの外面の一部分又は一部位である。例えば、円形又はほぼ円形の断面を有する第2のエアロゾル送達デバイスに対して、クリップはC字形で設けられ、第2のエアロゾル送達デバイスの本体は、C字形クリップの内側の部分にC字端部間の離隔部を通して押し込むことができる。この実施態様では、C字形クリップは弾性的に変形可能であり、対向するエアロゾル送達デバイスの直径/寸法よりもわずかに(例えば、10%未満、又は5%未満)小さい内径/寸法を有する。したがって、弾性的に変形可能なC字形クリップは、対向するエアロゾル送達デバイスに対し径方向に圧迫する力をC字形クリップの内側の領域に入れられているときに加える。ここで、径方向に圧迫する力とは、C字形クリップの内側領域の中心点に向かって、その領域の直径に沿って作用する力を意味する。したがって、この実施態様では、二つのエアロゾル送達デバイスは機械的に結合して、通常の使用中に滑らない/摺動しない配置を実現することができる。これらのエアロゾル送達デバイスは、そのマウスピース端部が上述の通りに全体として並ぶように結合できることは明らかであろう。
【0083】
代替実施態様では、一方のエアロゾル送達デバイスは、第1の係合機構として一体化して形成された凸部をその外面に備えることができ、この凸部は、他方のエアロゾル送達デバイスの外面に第2の係合機構として設けられた、対応する形状の凹部に機械的に受け入れられる(かつ保持される)ように形づくられる。したがって、凸部を凹部に挿入することによって、また任意選択で凸部を摺動させて/回転させて/押して凹部(結合中に凸部を案内する軌道を画定することができる)に入れることによって、二つのエアロゾル送達デバイスを機械的に結合し、通常の使用中に一体に保持することができる。凸部及び凹部は、二つのデバイスを解放可能に一体に固定できるようにする任意の対応する形、例えば断面で見たときの対応するT字形を取ることができる。このような機械的な結合機構が当技術分野では一般に知られており、任意の適切な機構を本開示の原理に従って使用することができる。
【0084】
加えて、本開示の原理では、特殊な機械的結合機構を使用する必要がない。適切であろう任意の利用可能な機構を使用することができる。
【0085】
システム100は、全体的に立方形の形状を有するエアロゾル送達デバイスを備えるが、システム600は、全体的に半円筒形の形状600を有するエアロゾル送達デバイスを備えるということを上で説明した。しかし、本開示の原理は、説明した形状を有するエアロゾル送達デバイスに限定されず、その表面間の結合が可能にされるならば、任意の形状を有するエアロゾル送達デバイスを使用することができる。加えて、エアロゾル送達デバイス10、10’、610、610’については、別個であるが連結可能なカトマイザ30、30’、630、630’及び制御ユニット20、20’、620、620’を備える二部品構造であるとして一般的に説明した。しかし、本開示の原理は、二つよりも多い又は少ない主要構成要素から形成されているエアロゾル送達デバイスに適用される。例えば、本開示は、単一部品(すなわち一体化)構造を有するエアロゾル送達デバイスに適用される。
【0086】
以上では、エアロゾル送達デバイスのそれぞれで生成されたエアロゾルが混合され吸引されることも全般的に開示された。すなわち、使用者が吸引する空気は、マウスピース端部から出るときに混合される別々のエアロゾルの混合物を含む。しかし、別の実施態様では、二つのエアロゾルは、使用者に吸引される間、実質的に分離されたままであってもよい。これらの実施態様では、生成された別々のエアロゾルは、上述した個々のエアロゾルに方向性を与えるマウスピース端部35、35’を用いて、口の別々の領域へと誘導される。エアロゾル送達デバイスが連結されると、別々のエアロゾルは、別々の方向に沿って誘導される。例えば、第1のデバイスによって生成されたエアロゾルは、長手方向軸線LA、LA’に対して角度が付けられた第1の方向に沿って、全体的に誘導することができ、第2のデバイスによって生成されたエアロゾルは、長手方向軸線に対して角度が付けられているが第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、全体的に誘導することができる。エアロゾルが向けられる口の領域は、結合されたエアロゾル送達デバイスの向きによって決まるが、口腔の左側及び右側に別々に向けられる別々のエアロゾルを想像することができよう。
【0087】
以上、エアロゾル送達システムについて説明した。このシステムは、第1の係合機構、第1の電源、及び第1の気化器を含み、第1の気化器は、第1の電源から電力を選択的に受けて、使用者が吸引するための第1のエアロゾルを第1のエアロゾル前駆材料から生成するように構成されており、システムはさらに、第2の係合機構、第2の電源、及び第2の気化器を備える第2のエアロゾル送達デバイスを含み、第2の気化器は、第2の電源から電力を選択的に受けて、使用者が吸引するための第2のエアロゾルを第2のエアロゾル前駆材料から生成するように構成されており、第1のエアロゾル送達デバイスの第1の係合機構、及び第2のエアロゾル送達デバイスの第2の係合機構は、第1のエアロゾル送達デバイスを第2のエアロゾル送達デバイスに選択的に結合するために、互いに解放可能に相互係合するように構成され、そのようにして、第1のエアロゾル送達デバイス及び第2のエアロゾル送達デバイスは、これらが結合されているときに一緒に使用して、第1及び第2のエアロゾルをただ1人の使用者に送達することができ、第1のエアロゾル送達デバイス及び第2のエアロゾル送達デバイスが結合されていないときには別個に使用して、第1及び第2のエアロゾルを別々の使用者に送達することができる。
【0088】
上述の実施形態は、いくつかの点で一部の特定の例示的なエアロゾル送達システムに注目しているが、他の技術を用いるエアロゾル送達システムに同じ原理が適用できることを理解されたい。すなわち、エアロゾル送達システムの様々な態様が機能する特定の方法は、本書に記載の諸例の根源的な原理に直接関連していない。
【0089】
様々な問題に対処し、技術を進歩させるために、本開示では例示によって、特許請求された本発明を実践できる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、諸実施形態の単なる代表例であり、網羅的及び/又は排他的なものではない。これらの利点及び特徴は、特許請求された本発明を理解することを助け教示するためにだけ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本開示に対する限定、又は特許請求の範囲の等価物に対する限定と解釈されるべきものではないこと、並びに、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、また変更を加えることができることを理解されたい。様々な実施形態は、本書に特に記載されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部材、ステップ、手段等の様々な組み合わせを適切に含むか、これらから成るか、これらから本質的に成ることができ、したがって、従属項の特徴は、請求項に明示されているもの以外に、独立項の特徴と組み合わせて一緒にされ得ることを理解されたい。本開示は、現在は特許請求されていないが将来は特許請求される可能性のある他の発明を含み得る。