(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の把持片又は前記第2の把持片は、前記基板と接触する側の面に当該基板と面接触する把持面を備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板の実装構造。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0011】
先ず、本実施の形態の電子機器の構成を説明する。ここで、「電子機器」とは、全ての基板などの電子部品が筐体に実装された製品形態である電子機器だけでなく、所望の基板などの電子部品が筐体に実装され、その後、適宜、納品先で他の電子部品が実装される状態の仮実装形態の電子機器も含む概念である。
【0012】
以下の説明では、説明を明確にするために、直交三次元(XYZ)座標系を用いて説明する。このとき、X軸−側が基板が挿入される側であり、X軸+側が基板が抜去される側である。
図1は、本実施の形態の電子機器を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態の電子機器を示す平面図である。
図3は、本実施の形態の電子機器を示す正面図である。なお、
図1及び
図2は、カバーを省略して筐体の内部が視認できる状態で示している。
【0013】
本実施の形態の電子機器1は、仮実装形態の電子機器であり、
図1及び
図2に示すように、筐体2、バックボード3及び基板4を備えている。筐体2は、筐体本体21、バーティション22及びガイドレール23を備えている。筐体本体21は、Z軸方向から見て略矩形状の箱体であり、筐体本体21のZ軸+側が開放されている。
【0014】
詳細には、筐体本体21は、底部21a、第1の側壁部21b、第2の側壁部21c、第3の側壁部21d及び第4の側壁部21eを備えている。底部21aは、例えば、Z軸方向から見て略矩形状である。第1の側壁部21bは、例えば、底部21aのX軸+側の辺からZ軸+側に突出しており、YZ平面と略平行な板状体を基本形態としている。
【0015】
第2の側壁部21cは、例えば、底部21aのX軸−側の辺からZ軸+側に突出しており、YZ平面と略平行な板状体を基本形態としている。第3の側壁部21dは、例えば、底部21aのY軸+側の辺からZ軸+側に突出しており、XZ平面と略平行な板状体を基本形態としている。そして、第3の側壁部21dのX軸+側の端部は、第1の側壁部21bのY軸+側の端部と接続され、第3の側壁部21dのX軸−側の端部は、第2の側壁部21cのY軸+側の端部と接続されている。
【0016】
第4の側壁部21eは、例えば、底部21aのY軸−側の辺からZ軸+側に突出しており、XZ平面と略平行な板状体を基本形態としている。そして、第4の側壁部21eのX軸+側の端部は、第1の側壁部21bのY軸−側の端部と接続され、第4の側壁部21eのX軸−側の端部は、第2の側壁部21cのY軸−側の端部と接続されている。
【0017】
このような筐体本体21は、
図1乃至
図3に示すように、基板4を収容するための複数のスロット21fを備えている。例えば、スロット21fは、基板4を挿抜するための開口部を第1の側壁部21bに備えている。そして、Z軸方向に3段のスロット21fを重ねたスロット群がY軸方向に2列並んでいる。これらのスロット21fは、基板4のX軸+側の端部をボルト5によって固定可能な構成とされている。但し、スロット21fの個数や配置は、適宜、変更することができる。
【0018】
パーティション22は、筐体本体21の内部を区画する。このようにパーティション22によって区画された筐体本体21の内部に基板4や他の電子部品6が実装されている。例えば、パーティション22として、第1のパーティション22a、第2のパーティション22b、第3のパーティション22c及び第4のパーティション22dを備えている。
【0019】
第1のパーティション22aは、YZ平面と略平行に配置された板状体であり、第3の側壁部21dと第4の側壁部21eとを連結するようにY軸方向に延在している。第2のパーティション22bは、XZ平面と略平行に配置された板状体であり、Y軸−側のスロット群におけるY軸−側の端部から第1のパーティション22aまで到達するようにX軸方向に延在している。
【0020】
第3のパーティション22cは、XZ平面と略平行に配置された板状体であり、Y軸−側のスロット群におけるY軸+側の端部から第1のパーティション22aまで到達するようにX軸方向に延在している。第4のパーティション22dは、XZ平面と略平行に配置された板状体であり、Y軸+側のスロット群におけるY軸−側の端部から第1のパーティション22aまで到達するようにX軸方向に延在している。但し、パーテンションの個数や配置は、実装される基板4や電子部品6の大きさや配置などに応じて、適宜、変更することができる。
【0021】
ガイドレール23は、基板4が筐体2の内部に挿入される際に当該基板4を案内しつつ支持する。ここで、
図4は、本実施の形態の電子機器で用いるガイドレールを示す斜視図である。
図5は、
図2のV−V断面図である。
【0022】
ガイドレール23は、筐体本体21の各スロット21fに対応するように配置されている。例えば、ガイドレール23は、XZ平面を挟んで鏡面対称に配置されるように、第2のパーティション22bのY軸+側の面、及び第3のパーティション22cのY軸−側の面に固定されている。また、ガイドレール23は、XZ平面を挟んで鏡面対称に配置されるように、第3のパーティション22cのY軸+側の面、及び筐体本体21の第3の側壁部21dのY軸−側の面に固定されている。
【0023】
ここで、XZ平面を挟んでY軸+側に配置されるガイドレール23とY軸−側に配置されるガイドレール23とは、鏡面対称の構成であるので、Y軸−側に配置されるガイドレール23を代表して説明する。ガイドレール23は、例えば、
図4に示すように、ベース部23a、第1の案内部23b、第2の案内部23c及び支持部23dを備えている。
【0024】
ベース部23aは、X軸方向に長手方向を有する板状体である。ベース部23aは、例えば、Y軸方向から見て矩形状を基本形態としており、ベース部23aのY軸+側の面及びY軸−側の面がXZ平面と略平行に配置されている。
【0025】
第1の案内部23bは、ベース部23aからY軸+側に突出しており、ベース部23aのX軸+側の端部からX軸−側に延在している。第1の案内部23bは、例えば、ベース部23aのZ軸+側の辺に沿って配置されている。そして、第1の案内部23bのZ軸−側の面がXY平面と略平行に配置されている。このような第1の案内部23bのX軸方向の長さは、基板4のX軸方向の長さに対して短い。
【0026】
第2の案内部23cは、第1の案内部23bとZ軸方向に間隔を開けて配置されている。第1の案内部23bと第2の案内部23cとの間隔T1は、詳細は後述するが、基板4のZ軸方向の厚さに対して若干広い。第2の案内部23cは、ベース部23aからY軸+側に突出しており、ベース部23aのX軸+側の端部からX軸−側に延在している。
【0027】
第2の案内部23cは、例えば、ベース部23aのZ軸−側の辺に沿って配置されている。そして、第2の案内部23cのZ軸+側の面がXY平面と略平行に配置されている。このような第2の案内部23cのX軸方向の長さも、基板4のX軸方向の長さに対して短い。
【0028】
このように第1の案内部23bと第2の案内部23cとがZ軸方向に間隔T1を開けて配置されることで、ベース部23aのY軸+側の面と、第1の案内部23bのZ軸−側の面と、第2の案内部23cのZ軸+側の面と、によって基板4の挿入溝23eが形成されている。なお、間隔T1は、基板4をスムーズに挿入溝23eに挿入できる程度に当該基板4のZ軸方向の厚さに対して広ければよい。
【0029】
ここで、ガイドレール23は、詳細は後述するが、基板4を挿入溝23eに誘導するための第1の誘導部23fを備えているとよい。第1の誘導部23fは、第1の案内部23bにおけるZ軸−側の面のX軸+側の端部に形成された第1の誘導面23g、及び第2の案内部23cにおけるZ軸+側の面のX軸+側の端部に形成された第2の誘導面23hを備えている。
【0030】
第1の誘導面23gは、X軸+側に向かうに従ってZ軸+側に向かって傾斜する傾斜面である。第2の誘導面23hは、X軸+側に向かうに従ってZ軸−側に向かって傾斜する傾斜面である。このような第1の誘導面23g及び第2の誘導面23hによって、第1の誘導部23fは、X軸+側に向かうに従ってZ軸方向の間隔が広くなる形状とされている。但し、第1の誘導部23fは、少なくとも第1の誘導面23g又は第2の誘導面23hの一方を備えていればよい。
【0031】
支持部23dは、基板4のX軸−側の部分を支持する。支持部23dは、例えば、
図5に示すように、X軸+側から見て基板4をZ軸方向から把持する把持部として構成されている。つまり、「把持」とは、基板4をX軸方向の等しい位置で把持する場合に限らず、基板4をX軸方向の異なった位置で把持する場合も含む概念である。詳細には、支持部23dは、第1の把持片23i及び第2の把持片23jを備えている。
【0032】
第1の把持片23iは、
図4に示すように、ベース部23aからY軸+側に突出しており、第1の案内部23bに対してX軸−側に配置されている。そして、第1の把持片23iは、挿入溝23eに挿入された基板4のZ軸+側の面と面接触する把持面23kを第1の把持片23iのZ軸−側の面に備えている。そのため、第1の把持片23iの把持面23kは、大凡、X軸+側から見て挿入溝23eと重なるように配置されている。
【0033】
第2の把持片23jは、ベース部23aからY軸+側に突出しており、第2の案内部23cに対してX軸−側に配置されている。そして、第2の把持片23jは、挿入溝23eに挿入された基板4のZ軸−側の面と面接触する把持面23lを第2の把持片23jのZ軸+側の面に備えている。そのため、第2の把持片23jの把持面23lは、大凡、X軸+側から見て挿入溝23eと重なるように配置されている。
【0034】
ちなみに、
図4では、第1の把持片23iと第2の把持片23jとをX軸方向で段違いに配置しているが、Z軸方向に重なるように配置してもよい。このような第1の把持片23iの把持面23kと第2の把持片23jの把持面23lとのZ軸方向の間隔T2は、詳細は後述するが、基板4のZ軸方向の厚さに対して若干狭い。
【0035】
これにより、詳細は後述するが、基板4のX軸−側の端部を第1の把持片23iと第2の把持片23jとで把持して支持することができる。なお、間隔T2は、電子機器1に振動が伝わった際に当該基板4が振られないように、支持部23dで基板4を把持することができる程度に当該基板4のZ軸方向の厚さに対して狭いとよい。
【0036】
ここで、支持部23dは、詳細は後述するが、X軸+側から見て基板4を第1の把持片23iと第2の把持片23jとの間に誘導するための第2の誘導部23mを備えているとよい。第2の誘導部23mは、第1の把持片23iにおけるZ軸−側の面のX軸+側の端部に形成された第1の誘導面23n、及び第2の把持片23jにおけるZ軸+側の面のX軸+側の端部に形成された第2の誘導面23oを備えている。
【0037】
第1の誘導面23nは、X軸+側に向かうに従ってZ軸+側に向かって傾斜する傾斜面である。第2の誘導面23oは、X軸+側に向かうに従ってZ軸−側に向かって傾斜する傾斜面である。但し、第2の誘導部23mは、少なくとも第1の誘導面23n又は第2の誘導面23oの一方を備えていればよい。
【0038】
バックボード3は、
図1及び
図2に示すように、第1のパーティション22aのX軸+側の面に固定されている。そして、バックボード3には、X軸+側に突出するようにコネクタ(第2のコネクタ)3aが固定されている。このようなコネクタ3aは、筐体2に実装される基板4に対応するように配置されている。
【0039】
基板4は、
図1及び
図2に示すように、筐体2の内部に実装されている。つまり、基板4は、詳細は後述するが、筐体本体21のスロット21fに収容された状態で、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部がガイドレール23の挿入溝23eに挿入されつつ、基板4のX軸−側の部分がZ軸方向から支持部23dによって把持されている。
【0040】
そして、基板4のX軸−側の端部には、コネクタ(第1のコネクタ)4aがX軸−側に突出するように固定されており、基板4のコネクタ4aとバックボード3のコネクタ3aとが電気的に接続された状態で、基板4のX軸+側の端部がボルト5によって筐体本体21のスロット21fに固定されている。
【0041】
ちなみに、基板4と筐体本体21のスロット21fとの固定構造は、本開示の本質的部分ではないため、詳細な説明は省略するが、基板4を筐体本体21のスロット21fに良好に挿入しつつ当該筐体本体21のスロット21fに固定できる構造であればよい。
【0042】
このような構成の電子機器1においては、筐体本体21における基板4が実装される区画以外の区画に他の電子部品6が実装された状態で、筐体本体21のZ軸+側の開口部が蓋体で覆われている。ちなみに、
図1及び
図3では、筐体本体21における基板4が実装されたスロット21f以外のスロット21fがカバー7によって塞がれている。
【0043】
次に、基板4を筐体本体21に実装する流れを説明する。先ず、基板4のコネクタ4aをX軸−側に配置した状態で、基板4を筐体本体21のスロット21fに挿入しつつ当該基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の端部を各々のガイドレール23の挿入溝23eに挿入する。
【0044】
このとき、ガイドレール23が第1の誘導部23fを備えていると、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の端部をスムーズに各々のガイドレール23の挿入溝23eに挿入することができる。
【0045】
そして、基板4をX軸−側に押し込んで、挿入溝23eからX軸−側に突出した基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の端部を第1の把持片23iに接触させ、基板4のZ軸+側の面と第1の把持片23iの把持面23kとを面接触させる。
【0046】
さらに、基板4をX軸−側に押し込んで、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の端部を第2の把持片23jに接触させ、基板4のZ軸−側の面と第2の把持片23jの把持面23lとを面接触させる。これにより、
図5に示すように、基板4のX軸−側の部分が第1の把持片23iの把持面23kと第2の把持片23jの把持面23lとで把持されて支持される。
【0047】
このとき、ガイドレール23が第2の誘導部23mを備えていると、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の端部が第1の把持片23iに接触する際にZ軸−側に誘導され、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の端部が第2の把持片23jに接触する際にZ軸+側に誘導される。
【0048】
これにより、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の端部が、第1の把持片23i及び第2の把持片23jの把持面が形成された面の側に対して逆側に潜り込むことを抑制できる。そのため、X軸+側から見て、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の端部を、第1の把持片23iの把持面23kと第2の把持片23jの把持面23lとの間に誘導することができる。
【0049】
さらに、基板4をX軸−側に押し込んで、基板4のコネクタ4aをバックボード3のコネクタ3aと電気的に接続し、基板4を筐体本体21のスロット21fにボルト5によって固定すると、基板4の実装が完了する。
【0050】
このとき、基板4のコネクタ4aとバックボード3のコネクタ3aとが電気的に接続された状態で、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の部分が支持部23dによって支持される。
【0051】
ここで、ガイドレール23のベース部23aのX軸方向の長さは、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸+側の部分を挿入溝23eに挿入でき、且つ基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の部分を支持部23dによって支持できるように、ベース部23aに第1の案内部23b、第2の案内部23c及び支持部23dを配置できる長さであればよい。
【0052】
このような基板4のコネクタ4aとバックボード3のコネクタ3aとが電気的に接続された状態で、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の部分が支持部23dによって支持される、基板4の実装構造は、少なくとも基板4のY軸+側及びY軸−側の側部が挿入される挿入溝23e、及び基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の部分を支持する支持部23dを備えていると実現することができる。
【0053】
本実施の形態の基板4の実装構造及び電子機器1は、基板4のコネクタ4aとバックボード3のコネクタ3aとが電気的に接続された状態で、基板4のY軸+側及びY軸−側の側部におけるX軸−側の部分を支持部23dによって支持することができる。
【0054】
これにより、電子機器1を輸送する際に当該電子機器1に振動が伝わっても、基板4のコネクタ4aとバックボード3のコネクタ3aとの接続部に作用する負担を軽減することができる。そのため、例えば、当該接続部に作用する負担に耐え得るように、基板4のコネクタ4aやバックボード3のコネクタ3aに強固なDIP(Dual In line package)型などの大型のコネクタを採用したり、コネクタ4aを基板4にボルト接合したり、コネクタ3aをバックボード3にボルト接合したり、する対策が不要となる。その結果、電子機器1の製造を簡略化することができ、しかも、SMT(Surface Mount Technology)型などの小型のコネクタを採用して電子機器1を小型化することができる。
【0055】
また、第1の把持片23iに把持面23kを備え、第2の把持片23jに把持面23lを備えている場合、当該把持面23k、23lによって基板4をしっかりと把持することができる。
【0056】
しかも、ガイドレール23に第1の案内部23b、第2の案内部23c及び支持部23dが一体的に形成されているので、筐体本体21への固定が容易である。但し、第1の案内部23b、第2の案内部23c及び支持部23dは、個別に筐体本体21に固定されていてもよい。
【0057】
上述した実施の形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0058】
例えば、上述した実施の形態では、支持部23dが基板4を把持する構成とされているが、少なくとも基板4をZ軸−側から支持できる構成であればよい。そして、支持部23dは、基板4のX軸−側の部分を支持できる個数及び配置であればよい。