(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6849324
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】共押出し共形バッテリーセパレータおよび電極
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20210315BHJP
H01M 50/40 20210101ALI20210315BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M2/14
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-113132(P2016-113132)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-17005(P2017-17005A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2019年6月7日
(31)【優先権主張番号】14/751,826
(32)【優先日】2015年6月26日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】コリー・リン・コブ
【審査官】
阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−136454(JP,A)
【文献】
特開2007−160304(JP,A)
【文献】
特開昭61−004572(JP,A)
【文献】
特開2014−146592(JP,A)
【文献】
特開2012−143746(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/035499(WO,A1)
【文献】
特開2015−097159(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0133201(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0111283(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0315538(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00−4/62
H01M 50/40−50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセパレータの吸入ポートと、
前記セパレータの吸入ポートからセパレータ材料を受け取るよう構成される少なくとも第1、第2、および第3の一連のチャネルと、
少なくとも1つの電極の吸入ポートと、
前記電極の吸入ポートから電極材料を受け取るよう構成される第4の一連のチャネルと、
を含む、共押出印字ヘッドであって、
前記セパレータが、前記電極材料の上面を覆うセパレータ上段部と、前記電極材料の側面を覆うセパレータ両側部と、前記セパレータ上段部と同一の厚さで前記セパレータ両側部から電極面方向に広がるセパレータ外縁部とからなり、
前記共押出印字ヘッドがさらに、
前記第1、前記第2、前記第3、および前記第4の一連のチャネルにそれぞれノズルを介して接続する第1の合流部であって、前記セパレータ材料を受け取りセパレータフローに合流させ、前記電極材料を受け取り電極フローに合流させるよう配置され、前記セパレータフローの上段層と前記電極フローとが垂直に積層される第1の合流部と、
前記第1の合流部に接続し、前記セパレータフローと前記電極フローを受け取り、合流させるよう配置される第2の合流部と、
前記第2の合流部に接続する出口ポート、および出口ノズルであって、前記出口ポートは前記第2の合流部から前記ノズルを介して基板上に前記電極材料および前記セパレータ材料の一部を積層として付着させるよう構成される、出口ポートおよび出口ノズルと、
を含み、
前記第1、前記第2、および前記第3の一連のチャネル及びこれらに接続するノズル開口が、それぞれ、前記セパレータ外縁部を形成する一連の第1のチャネル・ノズル開口、前記セパレータ両側部を形成する一連の第2のチャネル・ノズル開口、および、前記セパレータ上段部を形成する一連の第3のチャネル・ノズル開口であり、
前記一連の第1のチャネル・ノズル開口及び前記一連の第3のチャネル・ノズル開口は、前記電極面方向に並ぶ同形状の矩形チャネル・ノズル開口であり、前記一連の第2のチャネル・ノズル開口は、前記一連の第1のチャネル・ノズル開口及び前記一連の第3のチャネル・ノズル開口よりも積層方向に高く、単独で前記セパレータ両側部の片側を形成する矩形チャネル・ノズル開口である、
共押出印字ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリーの製造に関し、より詳細には、共押出装置を用いるバッテリーの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
共押出装置を用いる様々な構造体の製造は、いくつかの特許出願および交付済み特許で議論されてきた。共押出装置とは、2種類以上の材料を同時に押し出して何らかの構造体を作る装置である。バッテリーを製造する際、このタイプの装置を用いてセパレータと電極を同時に押し出して、バッテリーの構成要素を形成することができる。
【0003】
共押出成形の例として、米国特許公報第2012/0156364号明細書で開示されているアプローチが挙げられ、このアプローチでは、印字ヘッドが1つのタイプの装置から組合せフィンガーの材料が同時に押し出される。材料は供給チャネルに充填され、別々のフローとして組み合わされる。次いで、これらの材料が印字ヘッドから吐出されるとき分離され、再度組み合わされて、2種類の材料のストライプが交互に組み合わされた構造体が形成される。別のアプローチでは、水平に並んだ構造体が、垂直方向に、組み合わされたストライプに延在する。米国特許公報第2014/0186519号明細書では、このタイプの構造体の製造が教示されている。
【0004】
これらの構造体を用いるバッテリーの製造は、別の公報でも議論されている。例えば、米国特許公報第5,714,278号明細書では、バッテリーに使用する多孔質のセパレータの材料にマスク領域を形成する。多孔質のセパレータの材料にマスク領域を形成することができ、これにより、アノード部とカソード部を並べて、縁効果を回避することが容易になる。しかし、共押出印字ヘッドでは、これらのマスク領域は形成されない。
【0005】
米国特許公報第2011/0217585号明細書では、セパレータが一体のバッテリー、および、そのようなバッテリーの製造方法が議論されている。セパレータは様々な方法で形成されるが、一般には、カソードまたはアノードのどちらか一方に直接接して形成される。これらのセパレータは、単層構造でも多層構造でもよい。これらのアプローチでは、押出成形を用いて、電極とセパレータを同時に形成しない。
【0006】
別のアプローチでは、連続層における電気泳動蒸着を用いて薄膜バッテリーを形成する。電気泳動蒸着を用いて連続層を形成する。このアプローチの例は、米国特許公報第2013/0244102号明細書に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのアプローチはどれも、共押出印字ヘッドを用いて、電極とセパレータを同時に形成しない。これらのタイプの印字ヘッドは、構造が簡単であり、異なる材料を同時に吐出することができるなど、いくつかの利点を有するが、セパレータ構造体と電極を同時に形成することはできない。セパレータ構造体と電極を同時に形成しないため、セパレータを電極に対して正確に共形には形成できない。共形セパレータを有することにより、電極の周りに層を提供して、バッテリーの短絡を防止する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態では、少なくとも1つのセパレータの吸入ポートと、セパレータの吸入ポートからセパレータ材料を受け取るよう構成される少なくとも第1、第2、および第3の一連のチャネルと、少なくとも1つの電極吸入ポートと、電極吸入ポートから電極材料を受け取るよう構成される第4の一連のチャネルと、第1、第2、および第3の一連のチャネルに接続する第1の合流部であって、セパレータ材料を受け取りセパレータフローに合流させ、電極材料を受け取り電極フローに合流させるよう配置される第1の合流部と、第1の合流部に接続し、セパレータフローと電極フローを受け取り、合流させるように配置される第2の合流部と、第2の合流部に接続し、第2の合流部から基板上にセパレータ材料および電極材料を積層として付着させ、セパレータ材料が電極材料の上面および側面を覆うようにする出口ポートと、を有する共押出印字ヘッドを開示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、従来技術の実施形態による、バッテリーを示す図である。
【
図2】
図2は、従来技術の実施形態による、バッテリーを製造するためのフローチャートである。
【
図3】
図3は、従来技術の実施形態による、バッテリーを製造するためのフローチャートである。
【
図4】
図4は、共形セパレータを有するバッテリーの電極の実施形態を示す図である。
【
図5】
図5は、共形セパレータを有するバッテリーの電極の実施形態を示す図である。
【
図6】
図6は、共形セパレータを有するバッテリーの電極の実施形態を示す図である。
【
図7】
図7は、共形セパレータを有するバッテリーの電極の実施形態を示す図である。
【
図8】
図8は、1回のパスで積層材料を形成可能な印字ヘッドの実施形態を示す図である。
【
図9】
図9は、共形セパレータを有するバッテリーの電極の実施形態を示す図である。
【
図10】
図10は、1回のパスで基板上に積層を形成可能な印字ヘッドの実施形態を示す図である。
【
図11】
図11は、1回のパスで基板上に積層を形成可能な印字ヘッドの実施形態を示す図である。
【
図12】
図12は、1回のパスで基板上に積層を形成可能な印字ヘッドの実施形態を示す図である。
【
図13】
図13は、1回のパスで基板上に積層を形成可能な印字ヘッドの実施形態を示す図である。
【
図14】
図14は、1回のパスで基板上に積層を形成可能な印字ヘッドの実施形態を示す図である。
【
図15】
図15は、1回のパスで基板上に積層を形成可能な印字ヘッドの実施形態を示す図である。
【
図16】
図16は、共形セパレータの形成の工程を示す図である。
【
図17】
図17は、共形セパレータの形成の工程を示す図である。
【
図18】
図18は、共形セパレータの形成の工程を示す図である。
【
図19】
図19は、共形セパレータを有するバッテリーの実施形態を示す図である。
【
図20】
図20は、共形セパレータを有するバッテリーの実施形態を示す図である。
【
図21】
図21は、共形セパレータを有するバッテリーの実施形態を示す図である。
【
図22】
図22は、共形セパレータを有するバッテリーの実施形態を示す図である。
【
図23】
図23は、多層のセパレータを有する印字ヘッドの実施形態を示す図である。
【
図24】
図24は、多層のセパレータを有する印字ヘッドの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
典型的なバッテリーでは、セパレータの主な役割は、イオンの移動中、アノードとカソードの物理的な接触を防止することである。この議論は、アノード電極とカソード電極に関する。
図1には、従来技術の実施形態である、カソード16、アノード12、およびセパレータ14を有するバッテリー10が示されている。セルを組み立てるとき、セパレータの領域は、どちらの電極よりも大きい。セパレータを処理して、アノード電極およびカソード電極よりも大きなサイズに切断する。フルセル組立体内では、セパレータが大きいため、電極どうしの端面/側面接触が防止される。
【0011】
図2には、アノード、カソード、およびセパレータから成るフルセルを作成するための、従来バッテリーの製造工程の一例が示されている。示されている通り、この製造工程では、アノードは一方のクリーンルームで製造される。この製造工程では、ステップ21で、アノードのスラリーが形成され、次いで、ステップ23で、集電板上にこれらのスラリーをスロットコーティングし、それと同時に、ステップ25で厚さを制御するためにカレンダリングを行う。次いで、ステップ27でアノードを乾燥する。同様に、この製造工程では、ステップ20で、カソードのスラリーを形成し、次いでステップ22で、集電板上にスラリーをスロットコーティングし、それと同時に、ステップ24で厚さを制御するためにカレンダリングを行う。ステップ26でカソードを乾燥する。ステップ29およびステップ28で、両方の電極に分離する。電極を分離する際、通常、電極材料のロールを所望の幅に分離する。ステップ31で、最終的にセルが組み立てられる。
【0012】
本明細書の実施形態では、処理30において、ステップ32でアノードのスラリー、カソードのスラリー、およびセパレータのスラリーを形成する。次いで、ステップ34で、これらの3つのスラリーは、本明細書で開示される印字ヘッドにより、集電板上に共に押し出され、それと同時に、ステップ36で、厚さを制御するためにカレンダリングが行われる。ステップ38で、これらの組合せ構造体を乾燥させる。次いで、ステップ40で、押し出された構造体と共に残った集電板を組み立てる。
【0013】
図4〜
図7には、本明細書で示される共押出印字ヘッドにより製造可能なバッテリー構造体の実施形態が示されている。
図4では、電極52は共形セパレータを有し、この共形セパレータにより電極の上面および側面が覆われる。本明細書で使用される用語である共形とは、セパレータが電極と同じ形になることを意味する。電極42は、電極52と同様に単一の材料から構成され得る。あるいは、電極は、
図5に示される一体型構造体56で構成され得る。この一体型構造体は、上述の先行特許で議論された共押出印字ヘッドで製造可能である。
【0014】
図6および
図7では、セパレータは電極に対して共形であり、電極の上面および側面を覆うだけでなく集電板まで延在する。これにより、アノードとカソードとをさらに分離する。
図6では、セパレータ50は、外延部54を有する電極52に対して共形である。
図7には、同様の構造体であるが、一体型電極56で構成される電極が示されている。
【0015】
これらの構造体の製造後、残りの電極を取り付けてフルセルを形成し、このフルセルを巻き付け、あるいは切断し好適な形式にする。現在の製造工程では、電極よりも大きな領域のサイズに切断されたセパレータシートを用いるため、最終的にセルを組み立てる際、両側面でセパレータシートが不足する可能性があるが、共押出技術では、電極の周りに共形のセパレータを製造可能である。
【0016】
図8には、印字ヘッド62の実施形態が示されている。この印字ヘッド62は、対象の基板60上に構造体を粘性スラリーとして押し出す。溶媒を取り除き、構造体を高密度化するために、これらの材料を乾燥または加熱する必要があり得る。
図8に示される通り、吸入ポート64、66、および68がスラリーを受け取り、最終的に、これらのスラリーは印字ヘッドから吐出され、電極52または一体型電極56、およびセパレータ50を形成するが、これらの構造体では外延部54の有無を問わない。
【0017】
図8の印字ヘッドまたは同様の構造体により、
図4〜
図7の構造体を形成することができる。印字ヘッド内の流体経路およびマニホールドにより、セパレータおよび電極のスラリーまたはインクが分配される。
図9に示される通り、
図6の構造体を複数の区域に分けることができる。電極材料52は、
図10〜
図12で議論する印字ヘッド内の1セットのノズルから吐出される。セパレータは異なる3つの区域で構成され得る。外延部54は、本明細書ではS1で示す1つのスラリーで構成され得る。両側面70は、本明細書ではS2で示す別のスラリーで構成され得る。上段層50は、S3で示す別のスラリーで構成され得る。これらのスラリーは同じスラリーから供給され得、電極を覆う均一の層を形成する。あるいは、絶縁性を高めるために、あるいは、その他のバッテリー特性を向上させるために、これらのスラリーは別々の材料で構成され得る。これらの流れ、および供給は制御可能であるが、これに関しては、後程、より詳しく議論する。
【0018】
図10には、印字ヘッド62の一実施形態の側面図が示されている。印字ヘッドは、印字ヘッドを封止する上段プレート82と、部品を整列させるための後方取付けプレート72とを有する。インクは後方プレート72から入り、材料によって、マニホールド74、76、および80を介してノズルに供給される。なお、インクはこのページの前から「離れて」移動し、マニホールド80から出力ノズルに流れ込む。ノズルプレート78の積層により押出しノズルが形成され、最終的にこの押出しノズルを介してスラリーが印字ヘッドより吐出される。
【0019】
図11には、
図10の押出しノズル78の拡大部86の図が示されている。
図13には、より詳細な拡大部86が示されている。印字ヘッドの方向は、出来上がる構造体の構成を理解するうえで重要である。集電板から成り得る基板は、印字ヘッドの「上部」に位置し、先ず、基板上に位置するノズル94から電極材料Eが吐出され、次いで、ノズル96からのセパレータのスラリーS3、およびノズル92からのセパレータスラリーS2に、この電極材料Eが覆われるように印字ヘッドは材料を吐出する。セパレータのスラリーS1は、印字ヘッドのノズル90から吐出され、基板上の電極の材料と同じ位置に付着する。印字ヘッドの組合せ部から材料が合流部に吐出される際、印字ヘッドの壁98によりこれらの材料が隔てられる。
【0020】
図13には、互いに隔てられた個々のスラリーが示されており、セパレータのスラリーや電極のスラリーは互いに隔てられている。より良い理解を得るために
図12を参照して、
図13〜
図15を議論する。
図12では、印字ヘッド62がブロック図で示されている。印字ヘッドは、セパレータのスラリー用の吸入ポート64と、電極のスラリー用の吸入ポート68を有する。印字ヘッドの第1の部分には、電極のスラリーとセパレータのスラリーを受け取るためのセクション83およびセクション81が配置されている。第1の合流部85で、セパレータのスラリーはセパレータのフローに合流し得、第1の合流部の分離部87で電極のスラリーは電極のフローに合流し得る。次いで、第2の合流部89でセパレータのフローと電極のフローが、合流して1つのフローとなり、印字ヘッドの出力部91から吐出される。
図14および
図15は、スラリーのフローを吐出するノズルを出口方向から見た図である。
【0021】
図14では、スラリーは第1の合流部を通過しており、セパレータ「S」のスラリーは全て混ざり合い、「E」のスラリーも全て混ざり合っているが、「S」のスラリーと「E」のスラリーは互いに隔てられている。
図15では、「S」のスラリーと「E」のスラリーは混ざり合っている。なお、上記のことは印字ヘッド内で発生し、これらの一連のスラリーは合流したフローとして印字ヘッドから吐出され、合流したフローは互いに接触するが混ざり合わない。
【0022】
図16〜
図17には、方法の動作が示され、この動作ではセパレータの材料の層は、電極の材料よりも広い。これらの図面では、このページに入る方向、またはこのページから出ていく方向に材料が押し出される。セパレータ材料50は電極材料の上部のノズル、および電極材料の側面のノズルに分配され、電極材料より「広い」ストライブを形成する。このことは、
図13に示される大きなノズル92を使用することなく実現可能である。
【0023】
印字ヘッドから材料が吐出される直前、セパレータ材料50は基板60に対して電極材料より「高く」配置される。材料が印字ヘッドから吐出されると、これらの材料は、もはや印字ヘッド内で支持されていないため、セパレータ材料50は電極材料52の上部を流れ始める。基板60上に到着すると、セパレータ50は電極材料の上部の留まり、外延部54を形成する。外延部54を形成するセパレータ50の位置は、セパレータに用いられるノズルの数が、電極材料に用いられるノズルの数よりどのくらい多いかに依存する。
【0024】
図19〜
図22には、セパレータS3の上段層の上に別の層を有するバッテリー構造体別の実施形態が示されている。通常、この層はセパレータの第2の上段層であるが、第1の電極とは反対のタイプの電極材料から成り得る。
図19では、電極52はその上に形成されるセパレータ50を有する。この実施形態では、反対の電極100はセパレータ50の上段に形成される。
図20には、
図19と同様であるが、一体型電極56を有する実施形態が示されている。
図21および
図22には、一体型電極の有無とは関係なく外延部54を有するセパレータに取り付けられたアノードを有する実施形態が示されている。
【0025】
図23には、別の印字ヘッドの実施形態が示されている。この実施形態では、プレート78の積層には、追加の押出しノズルのセットが含まれる。
図24には、プレート78の部分102の分解図が示されている。この実施形態では、電極材料の隣の基板上に配置されるセパレータS2を供給するチャネル104は、その前のセパレータS2を供給するチャネルよりも大きい。印字ヘッドからスラリーS3を吐出させるためのノズル96には、別の一連のノズル106が隣接する。この特定の実施形態では、チャネル106が第4のスラリーS4を供給することにより、多層で構成されるセパレータを可能にする。
【0026】
一実施形態では、S3とS4は異なるセパレータ材料から成る。乾燥後、S3とS4の材料は有孔率、絶縁特性、または熱特性など、異なる特性を有し得る。上述した通り、この付加的なスラリーが、最初に用いられる電極材料Eと反対のタイプの電極材料であり得ることも可能である。例えば、Eがアノード材料の場合、S4はカソード材料である、あるいは、その反対である。
【0027】
このように、共押出印字ヘッドを用いることにより、1回のパスで、電極構造体の周りに共形セパレータを製造することができる。共形セパレータによりバッテリーセルの短絡が少なくなり、より安全なバッテリーが保証される。本明細書の実施形態により、分離工程で、セパレータシートを電極より大きく切断する必要がなくなる。この電極−パレータ構造体により、所望の幅は小さくなり、従来のバッテリー製造において用いられる分離工程は必要なくなる。