(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6849377
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】電子機器用包装体および仕切り体
(51)【国際特許分類】
B65D 77/26 20060101AFI20210315BHJP
B65D 5/495 20060101ALI20210315BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20210315BHJP
B65D 85/38 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
B65D77/26 S
B65D5/495
B65D5/50 101Z
B65D85/38
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-200315(P2016-200315)
(22)【出願日】2016年10月11日
(65)【公開番号】特開2018-62355(P2018-62355A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2019年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 二朗
(72)【発明者】
【氏名】松尾 英則
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−312648(JP,A)
【文献】
特開2012−224340(JP,A)
【文献】
特開2000−264392(JP,A)
【文献】
米国特許第04194675(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第102012014269(DE,A1)
【文献】
特開2005−145503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/26
B65D 5/495
B65D 5/50
B65D 85/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装箱に収納される仕切り体と、スペーサとを備え、
前記仕切り体は、
互いに向き合う第1の仕切り板と、前記第1の仕切り板の間に略直交する向きで取り付けられる複数の第2の仕切り板と、を有し、
前記スペーサは、
前記第2の仕切り板の上部および下部に着脱可能に取り付けられ、
前記第2の仕切り板は、
開口する下端から上側方向に伸びる一対の長溝と、
開口する上端から下側方向に伸びる一対の短溝と、を有し、
前記長溝および前記短溝には、前記第1の仕切り板が嵌め込まれ
前記第1の仕切り板は、
内側から上端に向かって伸びる複数の引掛け部と、
前記引掛け部同士の間に設けられた嵌合溝と、を有し、
前記第2の仕切り板は、
前記嵌合溝の内側端と、前記長溝の内側端とが当接するように略直交して前記第1の仕切り板に嵌め込まれ、
前記引掛け部は、
隣り合う他の引掛け部側に突出する凸部を上端付近に有し、
前記凸部は、
隣り合う他の引掛け部側に傾斜する第1の辺と、上側方向に略垂直に伸びる第2の辺と、前記引掛け部側に傾斜する第3の辺とを有し、
前記引掛け部に隣り合う他の引掛け部は、
前記引掛け部側に傾斜する第4の辺と、前記他の引掛け部の内側方向に略垂直に伸びる第5の辺とを有し、
前記第2の仕切り板は、
前記短溝および前記長溝の中心軸と、前記嵌合溝の中心軸との重なりによって規定された回転軸を中心に所定方向に回転する
ことを特徴とする電子機器用包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器用包装体であって、
前記第2の仕切り板は、
前記短溝に挟まれる位置に、矩形の切り欠きと、前記矩形の切り欠きよりも内側に位置し、内側方向に湾曲する半円形の切り欠きと、を組み合わせた凹部を有する
ことを特徴とする電子機器用包装体。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器用包装体であって、
前記第2の仕切り板は、
前記凹部を上部および下部に有している
ことを特徴とする電子機器用包装体。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器用包装体であって、
前記第1の仕切り板および前記第2の仕切り板は、
前記第1の辺と、前記第2の仕切り板の内側端とが向き合う位置で位置決めされる
ことを特徴とする電子機器用包装体。
【請求項5】
請求項2に記載の電子機器用包装体であって、
前記スペーサは、
連続する前記第2の仕切り板の凹部によって形成されるスペーサ受入部に嵌め込まれる
ことを特徴とする電子機器用包装体。
【請求項6】
請求項1に記載の電子機器用包装体であって、
前記第1および第2の仕切り板は各々、
上下方向の長さを有し、左右方向に連続して形成される中芯を有し、
前記スペーサは、
前記仕切り体に取り付けられた際、前記第2の仕切り板に略直交する方向の長さを有し、前記第1の仕切り板に略並行する方向に連続して形成された中芯を有する
ことを特徴とする電子機器用包装体。
【請求項7】
互いに向き合う第1の仕切り板と、前記第1の仕切り板の間に略直交する向きで取り付けられる複数の第2の仕切り板と、を備え、
前記第2の仕切り板は、
開口する下端から上側方向に伸びる一対の長溝と、
開口する上端から下側方向に伸びる一対の短溝と、を有し、
前記長溝および前記短溝には、前記第1の仕切り板が嵌め込まれ、
前記第1の仕切り板は、
内側から上端に向かって伸びる複数の引掛け部と、
前記引掛け部同士の間に設けられた嵌合溝と、を有し、
前記第2の仕切り板は、
前記嵌合溝の内側端と、前記長溝の内側端とが当接するように略直交して前記第1の仕切り板に嵌め込まれ、
前記引掛け部は、
隣り合う他の引掛け部側に突出する凸部を上端付近に有し、
前記凸部は、
隣り合う他の引掛け部側に傾斜する第1の辺と、上側方向に略垂直に伸びる第2の辺と、前記引掛け部側に傾斜する第3の辺とを有し、
前記引掛け部に隣り合う他の引掛け部は、
前記引掛け部側に傾斜する第4の辺と、前記他の引掛け部の内側方向に略垂直に伸びる第5の辺とを有し、
前記第2の仕切り板は、
前記短溝および前記長溝の中心軸と、前記嵌合溝の中心軸との重なりによって規定された回転軸を中心に所定方向に回転する
ことを特徴とする仕切り体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用梱包体および仕切り体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、包装容器に関し、「カートン台紙により組み立てた収納ケース20の内部に、液晶パネルを封入したシールドバック袋を2個ずつ2列に収納する。収納ケース20の上辺部に、両側一対の凹部40323,23を形成する。複数個の収納ケース20を、カートン台紙により組み立てた底台30の内部に1列に収納する。底台30の内部に収納された複数個の収納ケース20に跨がって、各収納ケース20の凹部40323,23に天押さえ40,40を嵌め込む。天押さえ40もカートン台紙により組み立てられている。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09‐309525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の包装容器は、2行2列の収納スペースを有する複数の収納ケースを台紙に嵌め込むことにより、複数の電子機器部品を包装することができる。しかしながら、収納ケースおよび台紙は、複雑に折り曲げて組み立てる必要がある。また、組立後の状態で保管スペースを縮小することについては何ら考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より簡単に組み立てることができ、組立後の保管スペースを縮小できる電子機器用包装体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る電子機器用包装体は、外装箱に収納される仕切り体と、スペーサとを備え、前記仕切り体は、互いに向き合う第1の仕切り板と、前記第1の仕切り板の間に略直交する向きで取り付けられる複数の第2の仕切り板と、を有し、前記スペーサは、前記第2の仕切り板の上部および下部に着脱可能に取り付けられる。
【0007】
また、前記第2の仕切り板は、開口する下端から上側方向に伸びる一対の長溝と、開口する上端から下側方向に伸びる一対の短溝とを有し、前記長溝および前記短溝には、前記第1の仕切り板が嵌め込まれても良い。
【0008】
また、前記第2の仕切り板は、前記短溝に挟まれる位置に、矩形の切り欠きと、前記矩形の切り欠きよりも内側に位置し、内側方向に湾曲する半円形の切り欠きと、を組み合わせた凹部を有しても良い。
【0009】
また、前記第2の仕切り板は、前記凹部を上部および下部に有しても良い。
【0010】
また、前記第1の仕切り板は、内側から上端に向かって伸びる複数の引掛け部と、前記引掛け部同士の間に設けられた嵌合溝と、を有し、前記第2の仕切り板は、前記嵌合溝の内側端と、前記長溝の内側端とが当接するように略直交して前記第1の仕切り板に嵌め込まれても良い。
【0011】
また、前記引掛け部は、隣り合う他の引掛け部側に突出する凸部を上端付近に有しても良い。
【0012】
また、前記凸部は、隣り合う他の引掛け部側に傾斜する第1の辺と、上側方向に略垂直に伸びる第2の辺と、前記引掛け部側に傾斜する第3の辺とを有しても良い。
【0013】
また、前記引掛け部に隣り合う他の引掛け部は、前記引掛け部側に傾斜する第4の辺と、前記他の引掛け部の内側方向に略垂直に伸びる第5の辺とを有しても良い。
【0014】
また、前記第1の仕切り板および前記第2の仕切り板は、前記第1の辺と、前記第2の仕切り板の内側端とが向き合う位置で位置決めされても良い。
【0015】
また、前記第2の仕切り板は、前記短溝および前記長溝の中心軸と、前記嵌合溝の中心軸との重なりによって規定された回転軸を中心に所定方向に回転しても良い。
【0016】
また、前記スペーサは、連続する前記第2の仕切り板の凹部によって形成されるスペーサ受入部に嵌め込まれても良い。
【0017】
また、前記第1および第2の仕切り板は各々、上下方向の長さを有し、左右方向に連続して形成される中芯を有し、前記スペーサは、前記仕切り体に取り付けられた際、前記第2の仕切り板に略直交する方向の長さを有し、前記第1の仕切り板に略並行する方向に連続して形成された中芯を有しても良い。
【0018】
また、本発明の一態様に係る仕切り体は、互いに向き合う第1の仕切り板と、前記第1の仕切り板の間に略直交する向きで取り付けられる複数の第2の仕切り板と、を備え、前記第2の仕切り板は、開口する下端から上側方向に伸びる一対の長溝と、開口する上端から下側方向に伸びる一対の短溝とを有し、前記長溝および前記短溝には、前記第1の仕切り板が嵌め込まれる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電子機器用包装体は、より簡単に組み立てることができ、組立後の保管スペースを縮小することができる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】
図3は、仕切り体を構成する仕切り板Aを示した図である。
【
図4】
図4は、仕切り体を構成する仕切り板Bを示した図である。
【
図9】
図9は、回転軸Nを中心に回転している様子の一例を示した平面図である。
【
図10】
図10は、仕切り体400の折り畳む様子の一例を示した平面図である。
【
図11】
図11は、スペーサが嵌め込まれた仕切り体の平面図である。
【
図13】
図13は、スペーサが嵌め込まれた仕切り体400の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る電子機器用包装体の分解図である。電子機器用包装体は、外装箱100と、上部スペーサ200および下部スペーサ300(以下、上部スペーサおよび下部スペーサを分けずに「スペーサ200、300」という場合がある)と、仕切り体400と、を有し、複数の薄型電子機器α(例えば、3.5インチハードディスク、タブレット端末およびノートパソコンなど)を包装する包装容器である。以下、各部の構成および効果について説明する。
【0023】
図1に示すように、外装箱100は、仕切り体400に収納された包装対象を収容する箱形の部材であって、ダンボール材などから所定の大きさに形成されている。なお、外装箱100の大きさおよび材質は特に限定されるものではなく、例えば、スペーサ200、300が嵌め込まれた仕切り体400の大きさと略同じ大きさを有していれば良い。また、外装箱100は、図示する形状のものに限定されるものではなく、仕切り体400、スペーサ200、300および電子機器αを収容できればどのような形状のものであっても良い。
【0024】
外装箱100は、箱部101および箱部101と一体形成されている蓋部102を有している。箱部101は、仕切り体400と、スペーサ200、300と、仕切り体400に収納された電子機器αを収容する収容空間を有し、底面に対向する位置には開口103が設けられている。また、箱部101は、開口103の両側に一対のフラップ104を有している。また、箱部101は、蓋部102との連結部分に対向する一辺に、蓋部102のタック溝105に差し込まれる係合片106を有している。
【0025】
蓋部102は、箱部101の開口103を塞ぐ薄板状に形成され、開口103を塞いだ際に箱部101の内側面と向き合うタック107を有している。また、タック107には、箱部101の係合片が差し込まれるタック溝105が設けられている。蓋部102を閉じた際、係合片106がタック溝105に差し込まれることにより、蓋部102と箱部101とが係り合い、外装箱100に外力が加わった際に蓋部102が開いてしまうことを防止できる。
【0026】
図2は、スペーサ200、300の展開図である。スペーサ200、300は、段ボール材などから所定の大きさ(例えば、縦286mm×横128mm)を有する矩形に形成され、長手方向に伸びる一対の折り曲げ線201、301(折筋)が設けられている。スペーサ200、300は、折り曲げ線201、301に沿って谷折りすることにより、
図1に示すようにコの字型に組み立てられる。
【0027】
組立後のスペーサ200、300は、対向する一対の側部202、302と、側部202、302に直交する向きで側部202、302同士の間に挟まれる平部203、303とを有するコの字型の形状となる。なお、折り曲げ線201、301の位置は、後述する凹部403の幅および高さに応じて適宜設計されれば良い。
【0028】
図2に示すEは、短手方向の長さを有し、段ボール材の表層同士の間に設けられている波状の中芯を示している。中芯は、長手方向に連続して形成されている。このような向きに設けられた中芯は、短手方向に加わる圧力に対するスペーサ200、300の強度を高める。
【0029】
図3は、仕切り体400を構成する仕切り板Aを示した図である。仕切り板Aは、段ボール材などから所定の大きさに形成され、左右一対の短溝401および長溝402と、上下一対の凹部403とを有している。
【0030】
短溝401は、長溝402よりも短い所定の長さ(例えば、20mm)に形成され、仕切り板Aの上端側が開口している。なお、後述するように、短溝401には、仕切り板Bの凸部Hが引っ掛かり、仕切り板Aが仕切り板Bから外れることを防止する。
【0031】
長溝402は、短溝401よりも長い所定の長さ(例えば、83.5mm)に形成され、仕切り板Aの下端側が開口している。なお、後述するように、長溝402には、仕切り板Aと仕切り板Bとが直交する向きで嵌合するように、仕切り板Bの嵌合溝420が嵌め込まれる。
【0032】
上下一対の凹部403は各々、短溝401同士または長溝402同士の間に設けられた切り欠きであって、仕切り板Aの外周から内側方向に形成された矩形の切り欠き404と、矩形の切り欠き404よりも内側に位置し、内側方向に湾曲する半円形の切り欠き405とが組み合わされた形状をしている。
【0033】
半円形の切り欠き405の直径は、矩形の切り欠き404の対向する一辺よりも短い長さ(例えば、40mm)に形成されている。また、矩形の切り欠き404の長手方向および短手方向の長さは各々、スペーサ200、300の平部203、303の幅および側部202、302の高さと略同じ所定の大きさ(例えば、幅80mm×高さ30mm)に形成されている。
【0034】
なお、後述するように、凹部403には、組み立てられたスペーサ200、300が嵌め込まれる。また、半円形の切り欠き405は、仕切り体400に収納された電子機器αを指で摘んで取り出し易いように設けられたものである。
【0035】
図3に示すFは、上下方向の長さを有し、段ボール材の表層同士の間に設けられている波状の中芯を示している。中芯は、左右方向に連続して形成されている。このような向きに形成された中芯は、上下方向に加わる圧力に対する仕切り板Aの強度を高める。
【0036】
図4は、仕切り体400を構成する仕切り板Bを示した図である。仕切り板Bは、段ボール材などから所定の大きさに形成され、仕切り板Bの左右方向に連続して設けられている複数(例えば、8つ)の引掛け部410と、引掛け部の間に設けられている複数(例えば、7つ)の嵌合溝420とを有している。
【0037】
引掛け部410は、仕切り板Bの左端に設けられている引掛け部aと、仕切り板Bの右端に設けられている引掛け部bと、引掛け部aおよびbの間に設けられている引掛け部cとがあり、各々異なる形状をしている。
【0038】
図5は、引掛け部cの拡大図である。引掛け部cの外周の形状は、上側に向かって略垂直に伸びる所定長さ(例えば、68.5mm)の辺Oと、辺Oの先端から引掛け部Cの左上側に向かって傾斜する辺Pと、辺Pから上側に向かって略垂直に伸びる辺Qと、辺Qから引掛け部cの右上側に向かって傾斜する辺Rと、辺Rから水平方向に伸び、仕切り板Bの上端を規定する辺Sと、辺Sから引掛け部cの右下側に向かって傾斜する辺Tと、辺Tから引掛け部cの下側に向かって略垂直に伸びる辺Uとを有している。
【0039】
図6は、引掛け部aの拡大図である。引掛け部aは、仕切り板Bの左端に設けられており、上端まで略垂直に伸びる所定長さ(例えば、83.5mm)の辺Vと、辺Vから水平方向に伸び、仕切り板Bの上端を規定する辺Wと、辺Tと、辺Uとを有している。なお、辺Tおよび辺Uは、引掛け部cと同じであるため、同一の符号を付している。
【0040】
図7は、引掛け部bの拡大図である。引掛け部bは、仕切り板Bの右端に設けられており、辺Oと、辺Pと、辺Qと、辺Rと、辺Rから水平方向に伸び、仕切り板Bの上端を規定する辺Xと、辺Tと、辺Xから下側に向かって略垂直に伸びる辺Yとを有している。なお、辺O〜辺Rは、引掛け部cと同じであるため、同一の符号を付している。
【0041】
引掛け部bおよび引掛け部cは、それらの上端付近に凸部Hを有している。具体的には、凸部Hは、辺Pと、辺Qと、辺Rとにより形成され、左隣の引掛け部aまたは引掛け部cの辺Uの方向に突出している。
【0042】
図8は、嵌合溝420の開口の拡大図である。例えば、引掛け部aと引掛け部cとの間に設けられている嵌合溝420を例に説明すると、嵌合溝420の開口上部Iは、例えば、引掛け部aの辺Tと引掛け部cの辺Rによって広がった形状をしている。また、開口中部Jは、引掛け部aの辺Tと、引掛け部cの凸部によって開口上部Iよりも狭い幅に形成されている。また、嵌合溝420の開口下部Kは、引掛け部aの辺Uと、引掛け部cの辺Pによって、開口中部Jよりも広く、開口上部Iよりも狭い幅に形成されている。
【0043】
図4に示すGは、上下方向の長さを有し、段ボール材の表層同士の間に設けられている波状の中芯を示している。中芯は、左右方向に連続して形成されている。このような向きに形成された中芯は、上下方向に加わる圧力に対する仕切り板Bの強度を高める。
【0044】
次に、仕切り体400について説明する。仕切り体400は、例えば、7枚の仕切り板Aと、一対(2枚)の仕切り板Bとを直交する向きに組み合わせることにより形成される。具体的には、仕切り板Aを仕切り板Bに取り付ける場合、仕切り板Aを仕切り板Bに直交する向きで、長溝402の内側端(長溝402の底部)406を嵌合溝420の内側端(嵌合溝420の底部)421に当接する位置まで嵌め込む。このようにして、一対の仕切り板Bに対して全ての仕切り板A(例えば、7枚)を取り付ける。
【0045】
仕切り板Bに仕切り板Aが嵌め込まれると、短溝401内に引掛け部bまたはcの凸部Hが進入し、短溝401の内側端(短溝401の底部)407と、引掛け部bおよびcの辺Pとが向き合うように位置決めされる。
【0046】
そのため、仕切り体400から仕切り板Aを上側方向に引き抜こうとすると、短溝401の内側端407が引掛け部bまたはcの凸部H(辺P)に接触して引っ掛かる。したがって、仕切り板Aを上側方向に持ち上げても、仕切り板Bから容易に外れなくなる。
【0047】
なお、仕切り板Aをより大きな力で上側方向に引っ張ることによって、仕切り板Bから引き抜くことができる。上側方向に引き抜くためのより大きな力が仕切り板Aに加わると、短溝401の内側端407は引掛け部bまたはcの辺Pに沿って斜上方向にスライドする。そして、短溝401の内側端407が辺Pの傾斜端まで来ると、引っ掛かりがなくなるため、仕切り板Aは仕切り板Bから引き抜くことができる。
【0048】
なお、仕切り体400が組み立てられると、仕切り体400の上部および下部には、凹部403が連続して連なることにより形成される直方形のスペーサ受入部430が形成される。
【0049】
また、仕切り板Bに嵌め込まれた仕切り板Aは、短溝401および長溝402の中心軸Lと、嵌合溝420の中心軸Mとによって規定された共通の回転軸Nを中心に回転することができる。
【0050】
図9は、回転軸Nを中心に回転している様子の一例を示した平面図である。なお、説明の都合上、凹部403および引掛け部a〜cは図示していない。
【0051】
仕切り板Aが仕切り板Bに嵌め込まれると、仕切り板Aの上側から下側方向に伸びる短溝401および長溝402の中心軸Lは、仕切り板Bの上側から下側方向に伸びる嵌合溝420の中心軸Mと重なり、回転軸Nを形成する。
【0052】
図10は、仕切り体400の折り畳む様子の一例を示した平面図である。図示するよう、仕切り板Aに矢印方向の力が加わると、仕切り板Aは、回転軸Nを中心に矢印方向に回転する。
【0053】
回転軸Nを中心に仕切り板Aが回転することにより、仕切り体400は、組み立てられた状態で折り畳まれる。そのため、仕切り体400を保管する際の保管スペースを縮小することができる。また、前述の外装箱100も、折り畳むことができるように形成されても良い。また、スペーサ200、300は、矩形の薄板から形成されているため、この字型に組み立てる前の薄板状に戻すことが可能である。すなわち、仕切り体400、外装箱100およびスペーサ200、300はいずれも折り畳むか薄板状に変形できるため、保管の省スペース化に大きく貢献することができる。
【0054】
なお、
図10は、仕切り板Aの回転方向および仕切り体400が折り畳まれる様子の一例を示したものであって、仕切り体400は、より薄くなるように(仕切り板B同士の間隔がより近くなるように)折り畳めても良い。
【0055】
次に、各部材の組み立て順序の一例について説明する。前述の通り、仕切り板Aを仕切り板Bに嵌め込み、仕切り体400を作成する。また、仕切り体400の下部に形成されたスペーサ受入部430に組立後の下部スペーサ300を嵌め込む。具体的には、平部303が仕切り体400に対向する向きに、下部スペーサ300をスペーサ受入部430に嵌め込む。
【0056】
下部スペーサ300が嵌め込まれると、仕切り体400には、仕切り板AおよびBと下部スペーサ300とで仕切られた複数の収納スペースが形成される。電子機器αは、収納スペースに収納される。
【0057】
また、電子機器αを収納した状態で、仕切り体400の上部に形成されたスペーサ受入部440に組立後の上部スペーサ200を嵌め込む。具体的には、平部203が仕切り体400に対向する向きに、上部スペーサ200をスペーサ受入部440に嵌め込む。
【0058】
図11は、スペーサ200、300が嵌め込まれた仕切り体400の平面図である。
図12は、スペーサ200、300が嵌め込まれた仕切り体400の正面図である。
図13は、スペーサ200、300が嵌め込まれた仕切り体400の側面図である。包装対象の電子機器αは、仕切り体400およびスペーサ200、300に囲まれた状態で外装箱100に収容される。
【0059】
これにより、収納スペースは、仕切り体400と、スペーサ200、300とにより囲まれる。このような収納スペースは、高い圧縮強度を有している。特に、スペーサ200、300は、仕切り体400の左右方向の長さを有し、仕切り体Bの長手方向に連続して形成されている中芯を有している。そのため、収納スペースに左右方向からの外力が加わった場合でも、高い圧縮強度を発揮する。また、スペーサ200、300により、前述の回転軸Nを軸とする仕切り板Aの回転を制限することができる。
【0060】
また、仕切り板AおよびBは各々、仕切り体400の上下方向の長さを有し、仕切り板Aの左右方向および仕切り板Bの長手方向に連続して形成されている中芯を有している。そのため、収納スペースに上下方向からの外力が加わった場合でも、高い圧縮強度を発揮する。
【0061】
また、収納された電子機器αは、上部スペーサ200を取り外し、矩形または半円形の切り欠き404、405からのぞく電子機器αの一部を指で摘むことにより、収納スペースから容易に取り出すことができる。
【0062】
以上、本実施形態に係る電子機器用包装体について説明した。このような電子機器用包装体によれば、より簡単に組み立てることができ、組立後の保管スペースを縮小することができる。
【0063】
なお、外装箱100に収容される仕切り体400の向きは特に限定されるものではなく、上下を逆にして収容されても良く、左右を逆にして収容されても良く、上下左右を逆にして収容されても良い。前述の仕切り体400ならびに仕切り板Aおよび仕切り板Bの説明で示した上下および左右の方向は、説明上便宜的に設定したものであって、本実施形態に係る仕切り体400の収容方向を限定するものではない。
【0064】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
100・・・外装箱、200・・・上部スペーサ、300・・・下部スペーサ、
400・・・仕切り体、α・・・電子機器、101・・・箱部、102・・・蓋部、
103・・・開口、104・・・フラップ、105・・・タック溝、106・・・係合片、107・・・タック、201(301)・・・折り曲げ線、202(302)・・・側部、203(303)・・・平部、A・・・仕切り板A、B・・・仕切り板B、401・・・短溝、402・・・長溝、403・・・凹部、404・・・矩形の切り欠き、405・・・半円形の切り欠き、410・・・引掛け部、420・・・嵌合溝