(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
回転翼を利用して、異なる粒径を有する粒子を含む固気二相流から粗粒を分離する分級機が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1が開示する分級機は、回転翼を有する回転式分級器と、回転式分級器を取り囲む分級補助コーンとを有している。分級補助コーンの上端部には、分級補助コーンの外側方を上昇してきた固気二相流の上昇気流を回転式分級器に向かう横向の旋回流に変える複数の偏流板が設けられている。旋回流とされた固気二相流は、その後回転式分級器に向かうが、慣性力の大きい粗粒は固気二相流から分離される。更に、回転式分級器に到達した粗粒は、回転翼と衝突してはじかれ、固気二相流から分離される。
【0004】
また、特許文献2が開示する分級機では、固定フィンと回転フィンとの間に、円筒形状の下降流形成部材が配置されている。固定フィン同士の隙間を通過した固気二相流は、下降流形成部材に衝突し、下方に向かって流れる。その後、固気二相流の流動方向が、下降流形成部材の下端部付近で回転フィンに向かって変化するとき、慣性力の大きな粗粒が、固気二相流から分離して下方に落下する。
ただし、下降流生成部材とハウジングの側壁との間にて循環渦が発達すると、循環渦によって、下降流形成部材に衝突する固気二相流の流れが押し下げられる。このため、下降流形成部材によって生成される下降流が弱くなり、下降流形成部材による粗粒の分離効果が弱くなる。そこで、特許文献2が開示する分級機は、ハウジングの側壁上部から上面板の外周部にかけて傾斜部材が設けられ、傾斜部材によって循環渦の発達が抑制されている。
【0005】
一方、特許文献3には、下降流形成部材(偏向リング)を設けた場合、回転フィンへの流入流速のピークが上下方向にて回転フィンの中央位置にあり、流速分布に偏りが生じることが記載されている。流入流速のピークが大きいと、粗粒が固気二相流に同伴して回転フィンを通過してしまう。
そこで、特許文献3が開示する分級機では、固定フィンとして、環状の固定フィン(ルーバ)が用いられている。ルーバは、分級機の中心軸に向けて下向きに傾斜している。固気二相流の流動方向は、ルーバによって下向きに変更され、その後、回転フィンに向かって変化する。このようにルーバを用いた場合、固気二相流の流動方向が下向きに変更され、下降流が強められることで、粗粒が下降流によって搬送されて分離される。また、ルーバを用いた場合、回転フィンへの流入流速のピークは殆どなく、回転フィンに到達する粗粒が減少させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2及び特許文献3が開示するように、傾斜部材やルーバによって、固気二相流の下降流を強くすることは、粗粒を分離する上で重要である。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、固気二相流の下降流を強めることが可能であり、粗粒を確実に分離可能である新規な分級機、該分級機を備える竪型粉砕機、及び石炭焚ボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る分級機は、
天井壁及び周壁を有するとともに、ガス流入口及び前記ガス流入口よりも上方にガス流出口を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置された回転分級部であって、鉛直軸に沿う回転軸を中心として回転可能であり、前記回転軸の周方向に配列された複数の回転ベーンを有する回転分級部と、
前記回転軸の径方向にて前記周壁と前記回転ベーンとの間に配置されるとともに前記回転軸の周方向に配列された複数の非回転ベーン を有する、固定分級部と、
前記回転ベーンと前記非回転ベーンとの間に位置して前記天井壁に取り付けられ、上方から下方に近付くにつれて外径が徐々に小さくなる円錐台形状の外周面を有する下降流形成部と
を備える。
【0009】
上記構成(1)によれば、下降流形成部が、上方から下方に近付くにつれて外径が小さくなる円錐台形状の外周面を有しており、外周面が鉛直軸に対し傾斜している。このため、固気二相流が、下降流形成部の外周面に沿って円滑に流れることができ、下降流形成部とハウジングの周壁との間での循環渦の発達を抑制することができる。これにより、固気二相流が下降流形成部に向かって流れてきた後、下降流形成部によって斜め下方に向けられ、固気二相流の下降流を強めることができる。この結果として、粗粒が回転ベーン間の隙間に到達せずに下降させられ、固気二相流に同伴して回転ベーン間の隙間を通過する粗粒が減少させられる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
鉛直軸に対する前記下降流形成部の外周面の傾斜角は20°以上45°以下である。
【0011】
上記構成(2)によれば、下降流形成部の外周面と鉛直軸とがなす傾斜角が20°以上であるので、下降流形成部とハウジングの周壁との間での循環渦の発達を抑制し、固気二相流を下降流形成部の外周面に沿って斜め下方に円滑に流動させることができる。この結果として、固気二相流の下降流を強めることができ、固気二相流に同伴して回転ベーン間の隙間を通過する粗粒が減少させられる。
一方、上記構成(2)によれば、下降流形成部の外周面と鉛直軸とがなす傾斜角が45°以下であり、下降流形成部によって、天井壁に沿って流れてきた固気二相流に含まれる粗粒を下方に向けてはじくことができる。この結果として、天井壁に沿って流れてきた固気二相流に含まれる粗粒が回転ベーンに到達することを防止することができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(1)又は(2)において、
前記回転軸の径方向にて、前記下降流形成部の外周面の上縁は、前記回転ベーンと前記非回転ベーンとの中間よりも前記非回転ベーン側に位置している。
【0013】
回転軸の径方向にて下降流形成部と回転ベーンとの距離が短い場合、回転分級部の分級性能が低下するという問題がある。この点、上記構成(3)によれば、下降流形成部の外周面の上縁が、非回転ベーン側に配置されているので、回転軸の径方向にて、下降流形成部と回転ベーンとの距離を十分に確保することができる。この結果として、回転分級部の性能低下を防止することができる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(3)の何れか1つにおいて、
前記回転分級部を囲むように前記複数の非回転ベーンに取り付けられた少なくとも1つの環状整流部を更に備え、
前記少なくとも1つの環状整流部は、上方から下方に近付くにつれて外径が徐々に小さくなる円錐台形状の外周面を有する。
【0015】
上記構成(4)によれば、環状整流部によって、固気二相流の下降流を生成することができ、より確実に粗粒を分離可能である。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(4)において、
前記少なくとも1つの環状整流部は、上下方向に配列された複数の環状整流部を含む。
【0017】
上記構成(5)によれば、複数の環状整流部によって、固気二相流の下降流を生成することができ、より確実に粗粒を分離可能である。
【0018】
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(5)の何れか1つにおいて、
前記複数の非回転ベーンは、
ベーン本体と、
前記ベーン本体の表面上に配置された複数のガイド板であって、前記ベーン本体の表面に沿ってそれぞれ延び且つ上下方向に間隔をあけて配置された複数のガイド板と
を含み、
前記複数のガイド板の各々は、前記回転軸の径方向にて外側に位置する外端と、前記回転軸の径方向にて内側に位置する内端とを有し、前記ガイド板の内端が前記ガイド板の外端よりも下方に位置するように湾曲又は傾斜している。
【0019】
上記構成(6)によれば、複数のガイド板によって、非回転ベーンの表面に沿って流れる固気二相流が下方に向けられ、固気二相流の下降流を生成することができる。この結果として、上記構成(6)によれば、より確実に粗粒を分離可能である。
【0020】
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係る竪型粉砕機は、
上記構成(1)乃至(6)の何れか1つに記載の分級機と、
前記ハウジング内に配置されるとともに前記回転分級部の下方に位置するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの上方に配置され、前記ターンテーブル上の粉砕対象物を粉砕可能な粉砕ローラと、
を備える。
【0021】
上記構成(7)によれば、粗粒の混入が抑制された粉末を得ることができる。
【0022】
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係る石炭焚ボイラは、
上記構成(7)に記載の竪型粉砕機と、
前記竪型粉砕機によって粉砕された石炭の粉末を燃焼させるように構成された火炉と、を備える。
【0023】
上記構成(8)によれば、竪型粉砕機によって粗粒の混入が抑制された微粉炭を得ることができ、得られた微粉炭を火炉において燃焼させることができる。この結果として、燃焼ガスに含まれるNOxや灰中未燃分を低減することができ、これによりボイラ効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、固気二相流の下降流を強めることが可能であり、粗粒を確実に分離可能である新規な分級機、該分級機を備える竪型粉砕機、及び石炭焚ボイラが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る分級機1a〜1dについて説明する。分級機1a〜1dは、分級対象の粉末から、所定の粒径を有する粉末を選別するための装置である。
なお、以下の説明では、特に区別する必要がない場合、分級機1a〜1dを一括して分級機1とも称し、竪型粉砕機3a,3bを一括して竪型粉砕機3とも称し、下降流形成部16a,16bを一括して下降流形成部16とも称する。
【0028】
図1及び
図4に示すように、分級機1は、ハウジング10と、回転分級部12と、固定分級部14と、下降流形成部16とを有している。
ハウジング10は、天井壁18及び周壁20を有するとともに、ガス入口22及びガス入口22よりも上方に位置するガス出口24を有している。ガス入口22を通じてハウジング10内に流入したガスは、固定分級部14及び回転分級部12を通過して、ガス出口24を通じてハウジング10から流出可能である。
例えば、ハウジング10は円筒形状を有し、ガス入口22は周壁20の下部に形成され、ガス出口24は天井壁18に形成されている。
【0029】
回転分級部12は、ハウジング10内に配置されており、鉛直軸に沿う回転軸Oを中心として回転可能である。回転分級部12は、回転軸Oの周方向に間隔をあけて配置された複数の回転ベーン26を有している。例えば、
図2、
図3、
図5及び
図10〜
図12に示したように、各回転ベーン26は、鉛直方向に長い長方形の板形状を有し、回転軸Oに沿ってみたとき、回転軸Oを中心とする仮想円の接線方向に対し傾斜して配置されている。また例えば、回転分級部12は、天井壁18の中央を貫通して鉛直方向に延びる円筒形状の駆動シャフト28に連結され、ハウジング10の外に設けられた駆動機構(回転分級部駆動機構)30によって駆動シャフト28を回転させることで、回転させられる。ガス出口24は、回転軸Oの径方向にて駆動シャフト28と回転ベーン26との間に位置している。
【0030】
固定分級部14は、回転軸Oの周方向に間隔をあけて配列された複数の非回転ベーン32を有する。非回転ベーン32は、回転軸Oの径方向にて周壁20と回転ベーン26との間に配置されている。例えば、
図2、
図3、
図5及び
図10〜
図15に示したように、各非回転ベーン32は、鉛直方向に長い長方形の板形状のベーン本体34を有し、ベーン本体34は、回転軸Oに沿ってみたとき、回転軸Oを中心とする仮想円の接線方向に対し傾斜して配置されている。
なお、
図2、
図3、
図5及び
図10に示す非回転ベーン32は、ベーン本体34のみによって構成されている。また、非回転ベーン32は、回転軸Oを中心として回転はしないが、回転軸Oを囲む仮想円の接線方向に対する傾斜角が変化するように揺動可能に配置されていてもよい。
【0031】
下降流形成部16は天井壁18に取り付けられ、回転軸Oの径方向にて回転ベーン26と非回転ベーン32との間に位置している。下降流形成部16は環形状を有し、回転軸Oを囲むように配置されている。そして、下降流形成部16は、上方から下方に近付くにつれて外径が徐々に小さくなる円錐台形状の外周面36を有している。
【0032】
上述した分級機1によれば、粒度の分級対象である粉末はガス、例えば空気によって搬送される。つまり、分級対象の粉末は、ガスとともに固気二相流として流れる。そして、分級対象の粉末のうち相対的に粒径が小さい粒子は、ガスとともに固定分級部14及び回転分級部12を通過し、ガス出口24を通じてハウジング10から流出可能である。つまり、相対的に粒径が小さい粒子は、固気二相流としてハウジング10から流出可能である。
一方、分級対象の粉末のうち相対的に粒径が大きい粒子は、固定分級部14又は回転分級部12によってガスの流れから分離され、ガス出口24を通じて流出することはできない。すなわち、相対的に粒径が大きい粒子は、固定分級部14によって旋回させられるとともに重力により下降し、回転分級部12に到達することができない。また、相対的に粒径が大きい粒子は、回転分級部12に到達したとしても、回転している回転ベーン26によって弾かれ、回転ベーン26の隙間を通過することができない。
【0033】
そして、上述した分級機1によれば、下降流形成部16が、上方から下方に近付くにつれて外径が小さくなる円錐台形状の外周面36を有しており、外周面36が鉛直軸に対し傾斜している。このため、固気二相流が、下降流形成部16の外周面36に沿って円滑に流れることができ、下降流形成部16とハウジング10の周壁20との間での循環渦の発達を抑制することができる。これにより、固気二相流が下降流形成部16に向かって流れてきた後、下降流形成部16によって斜め下方に向けられ、固気二相流の下降流を強めることができる。この結果として、粗粒が回転ベーン26間の隙間に到達せずに下降させられ、固気二相流に同伴して回転ベーン26間の隙間を通過する粗粒が減少させられる。なお、本明細書において粗粒とは、粒径が150μm以上の粒子である。
【0034】
また、上述した分級機1によれば、下降流形成部16が、鉛直軸に対し傾斜した円錐台形状の外周面36を有しているので、下降流形成部が円筒形状の外周面を有している場合に比べ、圧力損失も低減することができる。
更に、上述した分級機1によれば、下降流形成部16が、鉛直軸に対し傾斜した円錐台形状の外周面36を有しているので、下降流形成部が円筒形状の外周面を有している場合に比べ、下降流形成部16の強度を高くすることができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、
図2、
図5、
図7及び
図9〜
図11に示すように、下降流形成部16の縦断面でみて、鉛直軸に対する下降流形成部16の外周面36の傾斜角θは20°以上45°以下である。
【0036】
上記構成によれば、下降流形成部16の外周面36と鉛直軸とがなす角度(傾斜角θ)が20°以上であるので、下降流形成部16とハウジング10の周壁20との間での循環渦の発達を抑制し、固気二相流を下降流形成部16の外周面36に沿って斜め下方に円滑に流動させることができる。この結果として、固気二相流の下降流を強めることができ、固気二相流に同伴して回転ベーン26間の隙間を通過する粗粒が減少させられる。
一方、上記構成によれば、下降流形成部16の外周面36と鉛直軸とがなす角度(傾斜角θ)が45°以下であり、下降流形成部16によって、天井壁18に沿って流れてきた固気二相流に含まれる粗粒を下方に向けてはじくことができる。この結果として、天井壁18に沿って流れてきた固気二相流に含まれる粗粒が回転ベーン26に到達することを防止することができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、
図2、
図5、
図7及び
図9〜
図11に示すように、回転軸Oの径方向にて、下降流形成部16の外周面36の上縁は、回転ベーン26と非回転ベーン32との中間よりも非回転ベーン32側に位置している。
【0038】
回転軸Oの径方向にて下降流形成部16と回転ベーン26との距離が短い場合、換言すれば、下降流形成部16と回転ベーン26との間の空間が狭い場合、回転分級部12の分級性能が低下するという問題がある。この点、上記構成によれば、下降流形成部16の外周面36の上縁が、非回転ベーン32側に配置されているので、回転軸Oの径方向にて、下降流形成部16と回転ベーン26との距離を十分に確保することができる。この結果として、回転分級部12の性能低下を防止することができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、
図6及び
図7に示したように、下降流形成部16aは、円錐台形状の金属製の環状部材によって構成されている。この場合、環状部材は、天井壁18に溶接によって固定可能である。
【0040】
幾つかの実施形態では、
図8及び
図9に示したように、下降流形成部16bは、円錐台形状の金属製の環状部38と、環状部38と一体に形成された内向きの鍔部40によって構成されている。鍔部40は、環状部38の上縁から径方向内側に突出している。そして、鍔部40には、複数のボルト孔42が周方向に間隔をあけて形成されている。この場合、下降流形成部16bは、天井壁18にボルト44によって固定可能である。なお、鍔部40にボルト孔42を設けずに、天井壁18に対し鍔部40を溶接してもよい。
【0041】
幾つかの実施形態では、分級機1は、
図10に示したように、回転分級部12を囲むように複数の非回転ベーン32に取り付けられた少なくとも1つの環状整流部46を更に有していてもよい。少なくとも1つの環状整流部46は、上方から下方に近付くにつれて外径が徐々に小さくなる円錐台形状の外周面を有している。
上記構成によれば、環状整流部46によって、固気二相流の下降流を生成することができ、より確実に粗粒を分離可能である。
【0042】
幾つかの実施形態では、分級機1は、
図10に示したように、上下方向(鉛直方向)に配列された複数の環状整流部46を有していてもよい。
上記構成によれば、複数の環状整流部46によって、固気二相流の下降流を生成することができ、より確実に粗粒を分離可能である。
【0043】
幾つかの実施形態では、複数の非回転ベーン32の各々は、
図12〜
図15に示したように、ベーン本体34と、複数のガイド板35とを有している。
ベーン本体34は、前述したように、例えば上下方向に長い四角形の板形状を有している。
複数のガイド板50は、ベーン本体34の表面上に配置されている。具体的には、回転軸Oの径方向にて外側を向いているベーン本体34の外面上に配置されている。各ガイド板50は、ベーン本体34の表面に沿ってそれぞれ延び、且つ、上下方向に間隔をあけて配置されている。
そして、複数のガイド板50の各々は、回転軸Oの径方向にて外側に位置する外端52と、回転軸Oの径方向にて内側に位置する内端54とを有し、ガイド板50の内端54がガイド板50の外端52よりも下方に位置するように湾曲又は傾斜している。
【0044】
上記構成によれば、複数のガイド板50によって、非回転ベーン32の表面に沿って流れる固気二相流が下方に向けられ、固気二相流の下降流、特に粗粒の下降流を生成することができる。この結果として、上記構成によれば、より確実に粗粒を分離可能である。
【0045】
幾つかの実施形態では、分級機1は、
図12に示すように、非回転ベーン32を囲む円筒形状の環状壁56を有する。そして、
図12及び
図15に示すように、環状壁56には、非回転ベーン32に対応して窓58が形成されている。従って、複数の窓58が回転軸Oの周方向に間隔をあけて設けられている。
非回転ベーン32は、ガスの流路を残しながら窓58を覆うように配置され、回転軸Oの径方向にて外側に位置するベーン本体34の長辺は、回転軸Oの径方向にて内側に位置するベーン本体34の長辺よりも、環状壁56の近くに位置している。
【0046】
上記構成によれば、複数の窓58を有する環状壁56を設け、窓58を覆うように非回転ベーン32を配置したことで、窓58を通過する固気二相流をより強く旋回させることができる。この結果として、上記構成によれば、より確実に粗粒を分離可能である。
特に、
図12及び
図15に示すように、複数の窓58を有する環状壁56と、ガイド板50を有する非回転ベーン32とを組み合わせれば、窓58を通過する固気二相流の下降流をより強くすることができる。この結果として、上記構成によれば、より確実に粗粒を分離可能である。
【0047】
幾つかの実施形態では、ガイド板50は、外端52側の水平部60と、内端54側の傾斜部62と、水平部60と傾斜部62とを繋ぐ湾曲部64とを有する。
上記構成によれば、水平部60に沿って流れてきた固気二相流の流動方向が湾曲部64によって徐々に曲げられ、傾斜部62に沿わされる。この結果として、低圧力損失にて固気二相流の下降流を生成可能である。
幾つかの実施形態では、複数のガイド板50が上下方向に相互に離間して平行に配置されている。
【0048】
幾つかの実施形態では、
図1、
図2、
図4、
図5、
図10及び
図11に示したように、分級機1は、ハウジング10内に、逆円錐形状の仕切壁65を有し、仕切壁65の上縁上に非回転ベーン32が配置されている。固気二相流は、仕切壁65の外側を上方に向かって上昇し、その後、非回転ベーン32間の隙間に流入する。非回転ベーン32間の隙間を通過した固気二相流から分離された粗粒は、仕切壁65の内側を下降する。仕切壁65の下端には開口が設けられ、粗粒は、開口を通じて仕切壁65の下方へと流れる。
幾つかの実施形態では、
図11に示したように、環状壁56は、仕切壁65の上縁に一体に連なっている。
【0049】
幾つかの実施形態では、
図1及び
図2に示したように、回転ベーン26は、回転軸Oに沿って延びている。
幾つかの実施形態では、
図4、
図5、
図10及び
図11に示したように、回転ベーン26は、回転軸Oに対し傾斜して延びている。
また、幾つかの実施形態では、回転ベーン26の下端は、回転ベーン26の上端よりも、回転軸Oの回転方向にて後方に位置している。この構成によれば、回転する回転ベーン26によって粗粒を下方に向けてはじくことができ、より確実に粗粒を分離可能である。
【0050】
以下、本発明の実施形態に係る竪型粉砕機3について説明する。
竪型粉砕機3は、
図1及び
図4に示したように、上述した分級機1の何れか1つと、ターンテーブル66と、少なくとも1つの粉砕ローラ68とを有している。
ターンテーブル66は、ハウジング10内に配置され、回転分級部12の下方に位置している。ターンテーブル66は回転軸Oを中心として回転可能であり、例えば、ハウジング10の外部に配置された駆動機構(ターンテーブル駆動機構)70によって回転させられる。
【0051】
粉砕ローラ68は、ターンテーブル66上に配置されている。粉砕ローラ68は、回転軸Oの径方向にてターンテーブル66の中心から離れて配置されている。例えば、竪型粉砕機3は、回転軸Oの周方向に配列された3つの粉砕ローラ68を有する。粉砕ローラ68は、図示しない付勢機構によってターンテーブル66に押し付けられる。
上記した竪型粉砕機3によれば、ターンテーブル66上の粉砕対象物は、ターンテーブル66の回転に伴い、遠心力により回転軸Oの径方向にて外側に移動し、粉砕ローラ68とターンテーブル66との間に挟まれて粉砕される。粉砕により得られた粉末(粉砕物)はガスの流れにのって上方に運ばれ、この間、質量の大きい粗粒が分離される。そして、ガスによって上方に搬送された粉末は、分級機1によって分級される。分離された粗粒は、ターンテーブル66上に戻り、再度粉砕される。
そして上記した竪型粉砕機3によれば、分級機1によって粗粒が分離されるので、粗粒の混入が抑制された粉末を得ることができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、ターンテーブル66よりも下方にガス入口22が設けられ、ターンテーブル66の外周とハウジング10の周壁20との間に、上方に向けてガスを吹き出すガス吹出し口72が設けられる。
幾つかの実施形態では、竪型粉砕機3は、天井壁18を回転軸Oに沿って貫通する粉砕対象物を供給するための供給管74を有する。供給管74の下端開口は、ターンテーブル66の中心上に位置し、供給管74を通じてターンテーブル66の中央に粉砕対象物を供給可能である。なお、この場合、駆動シャフト28は、供給管74の外側に相対回転可能に嵌合される。
【0053】
以下、本発明の実施形態に係る石炭焚ボイラ5について説明する。
図16に示したように、石炭焚ボイラ5は、上述した竪型粉砕機3と、竪型粉砕機3によって粉砕された石炭の粉末(微粉炭)を燃焼させるように構成された火炉80と、を有している。
【0054】
上記した石炭焚きボイラ5によれば、竪型粉砕機3によって粗粒の混入が抑制された微粉炭を得ることができ、得られた微粉炭を火炉80において燃焼させることができる。この結果として、燃焼ガスに含まれるNOxや灰中未燃分を低減することができ、これによりボイラ効率を向上させることができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、石炭焚ボイラ5は、送風機82、石炭バンカ84及び給炭機86を有する。
竪型粉砕機3には、送風機82から空気Aが送り込まれるとともに、石炭バンカ84及び給炭機86から原料としての石炭が供給されるようになっている。
【0056】
幾つかの実施形態では、石炭焚ボイラ5は、送風機88及び予熱器89,90を有する。
送風機82から送り込まれた燃焼用空気Aは空気A1と空気A2に分岐される。このうち、空気A1は、送風機88によって竪型粉砕機3に送られる。空気A1の一部は、予熱器90によって加熱されて温空気として竪型粉砕機3に送られる。ここで、予熱器90によって加熱された温空気と、送風機88から予熱器90を経由せずに直接送られる冷空気とは、混合空気が適温となるように混合調整されてから竪型粉砕機3に供給されるようになっていてもよい。このようにして竪型粉砕機3に供給された空気A1は、竪型粉砕機3の内部においてガス吹出し口72(
図1及び
図4参照)から吹き出すようになっている。
【0057】
原料としての石炭は、石炭バンカ84に投入された後、給炭機86により所定量ずつ、供給管74(
図1及び
図4参照)を介して竪型粉砕機3に供給される。竪型粉砕機3にて粉砕された微粉炭は、ガス吹出し口72からの空気A1の気流により乾燥されながらガス出口24(
図1及び
図4参照)から空気A1により搬出される。そして、微粉炭は、ウィンドボックス92内の微粉炭バーナを介して火炉(ボイラ本体)80に送られて、火炉80内バーナにより着火されて燃焼する。
【0058】
なお、送風機53に送り込まれた燃焼用空気Aのうち空気A2は、予熱器89及び予熱器90により加熱されて、ウィンドボックス92を介して火炉80に送られて、火炉80内で微粉炭の燃焼に供される。
【0059】
幾つかの実施形態では、石炭焚ボイラ5は、集塵機94、脱硝装置96、送風機98、脱硫装置100及び煙突102を有する。
火炉80において微粉炭の燃焼で生成した燃焼ガス(排ガス)は、集塵機94で塵埃が除去された後、脱硝装置96に送られて、排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)が還元される。そして、該排ガスは、予熱器90を経て送風機98で吸引され、脱硫装置100で硫黄分が除去されて、煙突102から大気中に放出されるようになっている。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。