特許第6849522号(P6849522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6849522
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】鉛筆削り
(51)【国際特許分類】
   B43L 23/02 20060101AFI20210315BHJP
   B43L 23/04 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   B43L23/02 Z
   B43L23/04 Z
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-91430(P2017-91430)
(22)【出願日】2017年5月1日
(65)【公開番号】特開2018-187827(P2018-187827A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390006921
【氏名又は名称】ナカバヤシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100185535
【弁理士】
【氏名又は名称】逢坂 敦
(72)【発明者】
【氏名】廣田 倫央
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−007697(JP,U)
【文献】 国際公開第2013/187456(WO,A1)
【文献】 実公昭50−013148(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 23/02
B43L 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃を回転することにより鉛筆を削る削り部と;
前記削り部を内包して支持するケーシングと;
前記ケーシングの内部に、前記削り部で削られた鉛筆から生ずる削りカスを収容する空間を形成し、前記削りカスを排出する開口が設けられた、削りカス収容部と;
前記ケーシングにより回動可能またはスライド可能に支持され、前記削りカス収容部の開口を塞ぐ蓋と;
前記蓋を前記削りカス収容部の開口を塞ぐ位置に留める蓋ストッパーと;
前記蓋を前記削りカス収容部の開口を塞ぐ位置から動けるように、前記蓋ストッパーが前記蓋を前記削りカス収容部の開口を塞ぐ位置に留めることがないようにするための力を得る蓋ストッパー操作部と;
前記蓋ストッパーと前記蓋ストッパー操作部との間に設けられ、前記蓋ストッパー操作部に作用した力を前記蓋または前記蓋ストッパーに伝達し、前記蓋ストッパーが前記蓋を前記削りカス収容部の開口を塞ぐ位置に留めることがないようにする蓋ストッパー連係部とを備え
前記蓋ストッパーは、前記蓋に支持され、前記ケーシングと係合することにより前記蓋を前記削りカス収容部の開口を塞ぐ位置に留め、
前記蓋ストッパー操作部は、前記係合を解除するために、前記蓋ストッパーに作用する力を得て、
前記蓋ストッパー連係部は、前記蓋ストッパー操作部に作用した力を前記蓋ストッパーに伝達し、前記蓋ストッパーを動かして前記ケーシングとの係合を解除する、
鉛筆削り。
【請求項2】
前記蓋ストッパーは、前記蓋に固定され変形可能な軸部と、該軸部の先端に配置され前記ケーシングと係合する爪とを有し、該爪は前記軸部の先端側の面と反対側に前記軸部の軸方向に対し傾斜する傾斜面を有しており、
前記蓋ストッパー連係部は、前記蓋ストッパー操作部が操作されることにより、前記蓋ストッパーの前記傾斜面を押して前記軸部を変形させて前記爪を動かし、前記蓋ストッパーと前記ケーシングとの係合を解除する、
請求項1に記載の鉛筆削り。
【請求項3】
前記蓋ストッパー操作部が押しボタンである、
請求項1または2に記載の鉛筆削り。
【請求項4】
前記押しボタンに押圧防止具を備え、
前記押圧防止具は、
前記押しボタンが押される方向に前記押しボタンと一緒に変位し、前記押しボタンを押す方向と直交する方向にスライド可能な押圧防止板と、
前記押圧防止板を前記押しボタンが押される方向に動かないように支持する押圧支持部とを有し、
前記押圧防止板には、切欠きまたは穴が形成され、前記押圧防止板をスライドさせることにより前記切欠きまたは穴が前記押圧支持部の位置へと動き、前記押圧防止板が前記押圧支持部に支持されなくなる、
請求項3に記載の鉛筆削り。
【請求項5】
前記押圧防止板は、スライドする方向に変形可能なバネ部を有し、
前記押圧防止板は、スライドさせる力がなくなると元の位置に戻る、
請求項4に記載の鉛筆削り。
【請求項6】
前記削り部は、水平方向に鉛筆を挿入するように配置され、
前記ケーシングには、前記削り部より上方に該鉛筆削りを把持するための把持部が設けられ、
前記蓋ストッパー操作部は、前記削り部より上方に配置される;
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の鉛筆削り。
【請求項7】
前記蓋ストッパー操作部が、前記把持部に配置される;
請求項6に記載の鉛筆削り。
【請求項8】
前記蓋は、回動可能にケーシングに支持され、
前記ケーシングには、前記開口の外周と隙間を有して前記開口を囲む溝が形成され、さらに、前記溝より外側の外面に窪みが形成され、また、前記蓋が前記ケーシングに支持された位置から前記溝より離れたところに第2溝が形成され;
前記蓋は前記開口より大きな板状に形成され、前記開口を囲む溝に嵌まる凸条部を有し、さらに、前記ケーシングの溝より外側の外面の窪みに嵌まる折り曲げ部を有し、また、前記第2溝に嵌まる第2凸条部を有する;
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の鉛筆削り。
【請求項9】
前記蓋は、前記削り部を挟んで前記把持部とは反対側に配置され、
前記蓋ストッパー操作部は、前記鉛筆が挿入される方向において、該鉛筆削りの重心より片側にずれた位置に配置され、
前記蓋は、前記鉛筆が挿入される方向において、前記蓋ストッパー操作部が配置された位置と反対側の端部で回動可能に支持される、
請求項8に記載の鉛筆削り。
【請求項10】
前記蓋を前記削りカス収容部の開口を開いた位置に付勢するバネをさらに備える、
請求項8または9に記載の鉛筆削り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛筆削りに関する。特に削りカスを捨て易い鉛筆削りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、卓上で使用する鉛筆削りにおいては、手動式、電動式を問わず、削りカスは鉛筆削りの刃の下に挿入した削りカス受け容器に受け入れている。削りカスが一杯になると削りカス受け容器を鉛筆削りから引き出して、削りカスをゴミ箱等に捨て、また、鉛筆削りに挿入する。このように、削りカスが一杯になった削りカス受け容器を引き出し、ゴミ箱等に捨てるとすると、削りカス受け容器を引き出す際に削りカスが周囲にこぼれたり、削りカスが一杯になった削りカス受け容器をゴミ箱まで運ぶ際にも、削りカスがこぼれることがあり、周囲や手を汚してしまうという問題があった。
【0003】
そこで、鉛筆削りの底部に削りカスを受止める削りカス受け部を設け、かつ、削りカス受け部に蝶番で止められた蓋を設け、蓋を開閉することにより削りカスを捨てられる鉛筆削りが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−121997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された発明では、蓋に固着した突起を、鉛筆削り本体上でスライドするスライド部で挟むことにより、蓋が開かない構造としている。そのために、削りカスを捨てるときには、ゴミ箱等の上で片方の手で鉛筆削りを持って、反対の手でスライド部をずらして蓋を開ける必要がある。さらに、スライド部が突起に緩く嵌まるようにすると、意図しないときに蓋が開いてしまう可能性があり、逆にスライド部が突起にきつく嵌まるようにすると、スライド部をスライドさせる際に力が入って鉛筆削りを揺らし、削りカスが飛び散ってしまうこともある。このように、特許文献1に記載された鉛筆削りは、まだ扱い易いとは言えないものであった。
【0006】
そこで、本発明は、削りカスを捨て易く、かつ、簡易で軽量な構造で安価に製造できる、鉛筆削りを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る鉛筆削り1は、例えば図1〜4および9に示すように、刃を回転することにより鉛筆を削る削り部30と、削り部30を内包して支持するケーシング10と、ケーシング10の内部に、削り部30で削られた鉛筆から生ずる削りカスを収容する空間を形成し、削りカスを排出する開口42が設けられた、削りカス収容部40と、ケーシング10により回動可能またはスライド可能に支持され、削りカス収容部40の開口42を塞ぐ蓋70と、蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置に留める蓋ストッパー72、74と、蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置から動けるように、蓋ストッパー72、74が蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置に留めることがないようにするための力を得る蓋ストッパー操作部50、52と、蓋ストッパー72、74と蓋ストッパー操作部50、52との間に設けられ、蓋ストッパー操作部50に作用した力を蓋70または蓋ストッパー74に伝達し、蓋ストッパー72、74が蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置に留めることがないようにする蓋ストッパー連係部58、60、62とを備える。
【0008】
このように構成すると、蓋ストッパー操作部に作用した力を、蓋ストッパー連係部を介して蓋または蓋ストッパーに伝達し、蓋ストッパーが蓋を削りカス収容部の開口を塞ぐ位置に留めることがないようにし、蓋を開くことができるので、簡易で軽量な構造で安価に、蓋を開いて削りカスを捨て易い鉛筆削りとなる。
【0009】
本発明の第2の態様の鉛筆削り1では、例えば図3および4に示すように、蓋ストッパー72、74は、蓋70に支持され、ケーシング10と係合することにより蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置に留め、蓋ストッパー操作部50は、係合を解除するために、蓋ストッパー72、74に作用する力を得て、蓋ストッパー連係部58、60、62は、蓋ストッパー操作部50に作用した力を蓋ストッパー72、74に伝達し、蓋ストッパー72、74を動かしてケーシング10との係合を解除する。このように構成すると、蓋ストッパーとケーシングが係合して蓋を削りカス収容部の開口を塞ぐ位置に留めるので、蓋がしっかりと閉じられる。さらに、ストッパー操作部に作用した力を、蓋ストッパー連係部を介しては蓋ストッパーに伝達し、蓋ストッパーを動かして、蓋ストッパーとケーシングとの係合を解除し、蓋を開くことができるので、簡易で軽量な構造で安価に、蓋を開いて削りカスを捨て易い鉛筆削りとなる。
【0010】
本発明の第3の態様の鉛筆削り1では、例えば図3および4に示すように、蓋ストッパー72、74は、蓋70に固定され変形可能な軸部72と、軸部72の先端に配置されケーシング10と係合する爪74とを有し、爪74は軸部72の先端側の面と反対側に軸部72の軸方向に対し傾斜する傾斜面を有しており、蓋ストッパー連係部58、60、62は、蓋ストッパー操作部50、52が操作されることにより、蓋ストッパー74の傾斜面を押して軸部72を変形させて爪74を動かし、蓋ストッパー74とケーシング10との係合を解除する。このように構成すると、蓋ストッパー操作部の操作により、蓋ストッパー連係部が蓋ストッパーの傾斜面を押して軸部を変形させて爪を動かし、蓋ストッパーとケーシングとの係合を解除するので、簡易で軽量で安価に、蓋を開く構造とすることができる。
【0011】
本発明の第4の態様の鉛筆削り1では、例えば図3に示すように、蓋ストッパー操作部が押しボタン50である。このように構成すると、蓋ストッパー操作部が押しボタンであるので、蓋を開くための操作をし易い鉛筆削りとなる。
【0012】
本発明の第5の態様の鉛筆削り1では、例えば図5〜8に示すように、押しボタン50に押圧防止具52、56を備え、押圧防止具52は、押しボタン50が押される方向に押しボタン50と一緒に変位し、押しボタン50を押す方向と直交する方向にスライド可能な押圧防止板52と、押圧防止板52を押しボタン50が押される方向に動かないように支持する押圧支持部56とを有し、押圧防止板52には、切欠き54または穴が形成され、押圧防止板52をスライドさせることにより切欠き54または穴が押圧支持部56の位置へと動き、押圧防止板52が押圧支持部56に支持されなくなる。このように構成すると、押圧防止板を押圧支持部に支持されなくなる位置に動かさないと、押しボタンを押して蓋を開くことができないので、意図しないで押しボタンを押して蓋が開いてしまう誤作動を防止できる。
【0013】
本発明の第6の態様の鉛筆削り1では、例えば図5〜8に示すように、押圧防止板52は、スライドする方向に変形可能なバネ部53を有し、押圧防止板52は、スライドさせる力がなくなると元の位置に戻る。このように構成すると、スライドさせる力がなくなると、バネ部により元の位置、すなわち、押圧防止板が押圧支持部により下方に変位できないように支持される位置に戻るので、意図しないで押しボタンを押して蓋が開いてしまう誤作動を防止できる。
【0014】
本発明の第7の態様の鉛筆削り1では、例えば図1、3および4に示すように、削り部30は、水平方向に鉛筆を挿入するように配置され、ケーシング10には、削り部30より上方に鉛筆削りを把持するための把持部20が設けられ、蓋ストッパー操作部50、52は、削り部30より上方に配置される。このように構成すると、蓋ストッパー操作部が把持部の近くに配置されるので、片手で操作することができる。なお、「削り部より上方」とは、卓上に置いた状態で削り部の重心より上方を指す。
【0015】
本発明の第8の態様の鉛筆削り1では、例えば図1、3および4に示すように、蓋ストッパー操作部50、52が、把持部20に配置される。このように構成すると、蓋ストッパー操作部が把持部に配置されるので、片手で操作し易い。
【0016】
本発明の第9の態様の鉛筆削り1では、例えば図9に示すように、蓋70は、回動可能にケーシング10に支持され、ケーシング10には、開口42の外周と隙間を有して開口42を囲む溝16が形成され、さらに、溝16より外側の外面に窪み14が形成され、また、蓋70がケーシング10に支持された位置から溝16より離れたところに第2溝15が形成され、蓋70は開口42より大きな板状に形成され、開口42を囲む溝16に嵌まる凸条部76を有し、さらに、ケーシング10の溝16より外側の外面の窪み14に嵌まる折り曲げ部78を有し、また、第2溝15に嵌まる第2凸条部75を有する。このように構成すると、凸条部が溝に嵌まり、さらに、蓋の折り曲げ部が窪みに嵌まり、また第2凸条部が第2溝に嵌まることにより、削りカス収容部から削りカスが漏れることを防止できる。
【0017】
本発明の第10の態様の鉛筆削り1では、例えば図3に示すように、蓋70は、削り部30を挟んで把持部20とは反対側に配置され、蓋ストッパー操作部50、52は、鉛筆が挿入される方向において、鉛筆削りの重心より片側にずれた位置に配置され、蓋70は、鉛筆が挿入される方向において、蓋ストッパー操作部50、52が配置された位置と反対側の端部で回動可能に支持される。このように構成すると、把持部を掴んで鉛筆削りをゴミ箱等の上に持ってきて、蓋ストッパー操作部を操作することで、蓋を開いて削りカスを排出できるので、使い勝手がよい。さらに、蓋ストッパー操作部が配置された位置と反対側の端部で蓋が回動可能に支持されるので、削りカス収容部から削りカスを排出させるのに蓋が邪魔にならない。
【0018】
本発明の第11の態様の鉛筆削り1では、例えば図3および4に示すように、蓋70を削りカス収容部40の開口42を開いた位置に付勢するバネ77をさらに備える。このように構成すると、バネで蓋を開いた位置に付勢するので、削りカスを排出するときに、蓋が邪魔になることを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、蓋ストッパー操作部に作用した力を、蓋ストッパー連係部を介して蓋または蓋ストッパーに伝達し、蓋ストッパーが蓋を削りカス収容部の開口を塞ぐ位置に留めることがないようにし、蓋を開くことができるので、簡易で軽量な構造で安価に、蓋を開いて削りカスを捨て易い鉛筆削りを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態としての電動鉛筆削りの斜視図である。
図2図1の電動鉛筆削りの蓋を開いたところである。
図3図1の電動鉛筆削りの内部の要部を示す透視側面図である。
図4図1の電動鉛筆削りの蓋を開く機構を示す斜視図である。
図5】蓋ストッパー操作部およびその関連部分を示す部分斜視図である。
図6】蓋ストッパー操作部およびその関連部分を示す分解斜視図である。
図7】押圧防止板と押圧支持部を示す部分斜視図であって、押圧防止板が押圧支持部に支持された状態を示す。
図8】押圧防止板と押圧支持部を示す部分斜視図であって、押圧防止板が押圧支持部に支持されない状態を示す。
図9図1の電動鉛筆削りの蓋を開いたところを下方から見た斜視図である。
図10】本発明の実施の形態としての手動鉛筆削りの斜視図である。
図11図10の手動鉛筆削りの蓋を開いたところである。
図12図10の電動鉛筆削りの蓋を開く機構を示す斜視図である。
図13】本発明の実施の形態としての縦型電動鉛筆削りの斜視図である。
図14図13の縦型電動鉛筆削りの蓋を開いたところである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一または相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。図1は、本発明の実施の形態としての電動鉛筆削り1の斜視図である。図2は、電動鉛筆削り1の削りカスを排出するために蓋70を開いたところを示す斜視図である。図3は、電動鉛筆削り1の内部の要部を示す透視側面図である。電動鉛筆削り1は、図1に示す姿勢で卓上に置かれて使用されるのが一般的であり、以降の説明でも、特に姿勢の説明がない限り、そのように卓上に置かれているものとする。
【0022】
電動鉛筆削り1は、鉛筆挿入孔32から鉛筆を挿入すると回転し、鉛筆を削る刃(不図示)を有する削り部30を備える、削り部30は、鉛筆を削るための刃や、刃を回転させるモータ(不図示)等を有するが、削り部30は公知の構造であるので、詳細な説明は省略する。電動鉛筆削り1では、鉛筆挿入孔32から鉛筆を水平方向に挿入する。なおここで、「水平方向」とは厳密な水平ではなく、縦型電動鉛筆削りと区別できる程度に水平方向であればよく、たとえば水平面に対し45°以内であればよい。
【0023】
削り部30はケーシング10により支持される。なお、削り部30として一まとまりで支持される必要はなく、例えば、鉛筆を削るための刃とモータとは別々に支持されてもよい。また、「ケーシング10に支持される」という場合に、ケーシング10が内部に支持構造を備え、削り部30を支持する場合も含む。ケーシング10は、電動鉛筆削り1の外周を覆い、内部構造を支持する。ケーシング10は、底部を下部ケーシング11として取り外し可能な構造とすると、製造時に削り部30の内部への収納、および、メンテナンス時に削り部30へのアクセスが可能となり、好ましい。また、ケーシングの上部に片手で持ち易い把手20を形成すると、削りカスを捨てる際に片手で作業し易く好ましい。把手20は、ケーシング10上部の全長に形成されず、片手の大きさに適した長さに形成されてもよい。電動鉛筆削り1では、鉛筆挿入孔32が形成された側に形成される。なおここで、把手20が形成されるケーシング10の「上部」とは、削り部30より上方、すなわち、削り部30の重心位置より上方を指すが、好ましくは、ケーシング10の頂部である。
【0024】
ケーシング10の内部に、削り部30の刃で削られた鉛筆の削りカスを収容するための削りカス収容部40が形成される。削りカス収容部40は、削り部30の刃に連通し削りカスを収容する空間を画定する壁であり、削り部30の刃等は該空間に配置されてもよい。削りカス収容部40の底部は開口42とされる。ケーシング10には、削りカス収容部40の内部を視認するために透明に形成されたのぞき窓12が形成されるのが好ましい。なお、削りカス収容部40は、ケーシング10と一体に形成されてもよい。
【0025】
電動鉛筆削り1は、開口42を塞ぐための板状の蓋70を有する。蓋70には蓋支持部79が面外に突出し、蓋支持部79を介してケーシング10に回動可能に接続される。蓋70がケーシング10に回動可能に支持されることにより、蓋70は自重により開くことが可能になる。さらに図4に示すように、蓋70を開く方向に付勢するバネ77を備えてもよい。バネ77で蓋70を開く方向に付勢すると、蓋70は蓋支持部79を介して回動するので、図2に示すように蓋70がケーシング10に当たる位置に留まる。なお、蓋70は、例えばケーシング10に形成された溝によりスライド可能に支持されてもよい。蓋70がスライド可能に支持される場合には、例えばバネによる付勢力により開くように構成する。
【0026】
蓋70の削りカス収容部40側の面には、変形可能な軸部72が固定される。軸部72は、曲げ変形可能な円柱あるいは角柱でよい。軸部72の先端、すなわち、蓋70からの遠位端には、ケーシング10と係合する爪74が固定される。軸部72と爪74とは一体で成形されてもよい。さらに蓋70と一体に成形されてもよい。軸部72と爪74とで、蓋ストッパーを構成できる。なお、「蓋ストッパーが動かされる」という場合、軸部72が変形して爪74が動かされることを含む。爪74は、軸部72の軸直交方向に軸部72より広い面を有することにより、ケーシング10と係合する。すなわち、図9に示すように、ケーシング10の底面に軸部72と爪74とが通る穴と、爪74が係合する面を有する蓋係止部18を形成する。蓋70を閉じると、爪74と軸部72は穴を通過し、ケーシング下部11の裏側に形成された面と係合する構成とすることができる。詳細には、爪74が面と係合する際には、軸部72を変形させながら面の位置を通過し、爪74が係合する面に至ると、軸部72の変形を少なくするように爪74が動くことにより、爪74は蓋係止部18の面と係合する。すなわち、ケーシング10と係合する。ケーシング10と係合する蓋ストッパーは、軸72と爪74には限られず、公知の構成でよい。
【0027】
なお、蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置に留める蓋ストッパーは、蓋70に固定された変形可能な軸部7ケーシング10と係合する爪74との構成には限られない。例えば、蓋70とケーシング10に互いに引き合う磁石(不図示)を配置し、磁力で蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置に留めてもよい。その他、公知の構成で蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置に留めることでよい。
【0028】
続いて、図4も参照して、爪74と蓋係止部18との係合を解除するための機構について説明する。爪74の軸部72の先端側の面と反対側の面、すなわち、係合する面と相対する面は、軸部72の軸方向に対し傾斜する傾斜面として形成される。傾斜面は、爪74の係合を解除する方向が高く形成される。すなわち、傾斜面を下方に押されると、爪74には係合を解錠する方向に動かす分力が生ずる。
【0029】
ケーシング10の上部、本実施の形態では把持部である把手20に、押しボタン50が配置される。押しボタン50は、蓋70を回動可能にするための力であって、爪74に作用してケーシング10との係合を解除させる力を得る蓋ストッパー操作部を構成する。
【0030】
押しボタン50の下方には、一端が回転可能に支持され、他端が回転する押圧梁58が配置される。押圧梁58が回転して下方に移動する先には、蓋ストッパー連係上部60および蓋ストッパー連係下部62が配置される。蓋ストッパー連係上部60は、押圧梁58の下方を向いた端部と接触する端部を有する鉛直方向を向いた軸と、その軸の先端で二股に分かれて下方に向けて延在する2本の軸とを有する。蓋ストッパー連係上部60の2本の軸のそれぞれの下端に、リブを有する鉛直方向を向いた軸である蓋ストッパー連係下部62が配置される。蓋ストッパー連係下部62の下端66は、爪74の傾斜面の直上に位置する。なお、蓋ストッパー連係上部60と蓋ストッパー連係下部62とは一体に形成されても、それぞれを形成後に繋げてもよい。それぞれの蓋ストッパー連係下部62には、蓋ストッパー連係下部62を上方に付勢するバネ64が配置される。
【0031】
押しボタン50が下方に押されると、押圧梁58を押し下げる。押圧梁58が支持された端部を中心に僅かに回動することにより、下方を向いた端部が蓋ストッパー連係上部60および蓋ストッパー連係下部62を下方に押す。そのために、蓋ストッパー連係下部62の下端66は、爪74の傾斜面を下方に押す。傾斜面を下方に押されることにより、爪74はケーシング10との係合を解除する方向に動く。よって、押しボタン50を下方に押すことにより、爪74とケーシング10との係合を解除できる。なお、押しボタン50を下方に押す力がなくなると、バネ64の付勢力により、蓋ストッパー連係下部62、蓋ストッパー連係上部60および押圧梁58は上方に持ち上げられ、爪74を下方に押す力もなくなる。また、押しボタン50も押される前の元の位置に戻る。
【0032】
ここで、押圧梁58、蓋ストッパー連係上部60および蓋ストッパー連係下部62は、押しボタン50、すなわち蓋ストッパー操作部に作用した力を蓋ストッパーである爪74に伝達する蓋ストッパー連係部を構成する。なお、蓋ストッパー操作部と蓋ストッパー連係部が一体に形成されてもよい。例えば、押圧梁58と蓋ストッパー連係上部60および蓋ストッパー連係下部62が一体に形成されても、他の要素が一体に形成されてもよい。蓋ストッパー連係上部60が二股に分かれ、蓋ストッパー連係下部62が2本となることにより、ケーシング10内に削り部30を収容する空間を確保できる。また、蓋70を2箇所でケーシング10に係止することで、しっかりと蓋70を開口42を塞ぐ位置に留めることができる。なお、蓋70を係止するのは、1箇所でも3箇所以上でもよい。1箇所でも係合する幅の長い爪74を用いると、しっかりと蓋70を開口42を塞ぐ位置に留めることができる。
【0033】
なお、蓋70とケーシング10に互いに引き合う磁石を配置し、磁力で蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置に留めた場合には、蓋ストッパー連係具としては、たとえばケーシング側の磁石(不図示)を蓋側の磁石と引き合う位置からずらして離すことで、あるいは、引っ込めて離すことで、互いの磁力の影響を弱め、蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置に留めることがないようにできる。あるいは、蓋ストッパー連係具で蓋70を押し開け、磁石の距離を離すことで、互いの磁力の影響を弱め、蓋70を削りカス収容部40の開口42を塞ぐ位置に留めることがないようにできる。
【0034】
次に図5〜8をも参照して、蓋ストッパー操作部の詳細を説明する。図5は押しボタン50とその関連部分を、把手20を長手方向中央面で切断して示す斜視図である。図6は、図5に示す押しボタン50、押圧防止板52、押圧梁58および中央面で切断された把手20の分解斜視図である。押しボタン50は、円盤状で中央が窪み、中央に貫通部が形成された上部と、押圧梁58上での座りを良くし、後述する押圧防止板52のバネ部53の端部を拘束する下部とを有する。押しボタン50の上部のみが把手20、すなわちケーシング10から突出し、下部は把手20の内部に配置される。
【0035】
押しボタン50の直下に押圧防止板52が配置される。押圧防止板52は、押しボタン50と押圧梁58の間で、上下方向には押しボタン50と一緒に変位するが、水平方向にはスライド可能である。具体的には、把手20の長手方向にスライド可能で、短手方向には把手20に挟まれスライドはしない。押圧防止板52は、押しボタン52の上部の中央に形成された貫通部を貫通して、窪みの中に突出する押圧防止板突起55を有する。
【0036】
ここで、図7および図8を参照して、押圧防止板52の機能について説明する。図7に示すように、押圧防止板52は、把手20に形成された押圧支持部56により支持され、通常は下方には変位できない。押圧支持部56は、把手20の内側の下面から上方に突出し、側面にも繋がるように形成されているが、底面から突出する柱状であってもよい。押圧防止板52には切欠き54が形成されている。なお、押圧支持部56が柱状であるときには、押圧防止板52には切欠き54の代わりに穴(不図示)が形成される。押圧防止板52をスライドすることにより、図8に示すように、切欠き54が押圧支持部56の位置へと動く。よって、押圧防止板52は、押圧支持部56に支持されなくなり、下方に変位できるようになる。すなわち、押しボタン50を押して、蓋ストッパー、具体的には爪74を動かしてケーシング10との係合を解除し、蓋70を開くことができるようになる。すなわち、押圧防止板52と押圧支持部56で、押しボタン50が誤作動により押されてしまうことを防止する押圧防止具を構成できる。
【0037】
押圧防止板52は、押圧防止板52がスライドする方向に曲折しながら延在するバネ部53を有する。典型的には、押圧防止板52をABS樹脂等のプラスチック製として、バネ部53は押圧防止板52と一体で成形される。しかし、バネ部53は押圧防止板52と別体で形成されて固着されてもよい。さらに、バネ部53は、弦巻バネ等、他の公知のバネであってもよい。バネ部53の先端は押しボタン50の下部により動きを拘束される。そこで、押圧防止板52をスライドさせても、スライドさせる力がなくなると、バネ部53の復元力により元の位置、すなわち、押圧防止板52が押圧支持部56により支持されて下方に変位できない位置に戻る。
【0038】
このように、蓋ストッパー操作部を、押しボタン50、押圧防止板52で構成することにより、蓋70を開くときには、押しボタン50の中央の押圧防止板突起55を把手20の長手方向に押して、押圧防止板52が押圧支持部56に支持されない位置にスライドする。その上で、押しボタン50を押下して、爪70とケーシング10との係合を解除する。押圧防止板52をスライドさせない限り、押しボタン50を押下しようとしても出来ない。よって、意図しないで押しボタン50を押して蓋70が開いてしまう誤作動を防止できる。
【0039】
次に図9をも参照して、蓋70が削りカス収容部40の開口42を塞ぐための詳細について説明する。ケーシング10(詳細には、下部ケーシング11)の底面において、蓋70と重なる部分は、重ならない部分より後退した面とされる。そのために、蓋70を閉じたときに、電動鉛筆削り1を卓上に置いたときの底面は蓋70の外面とケーシング下部11の面とで構成されるが、一つの平らな面となる。ケーシング10の蓋70と重なる底面に、開口42の外周と隙間を有して開口42を囲む溝16が形成される。さらにケーシング10の側面において、蓋70と重なる底面と繋がる部分に窪み14を形成する。すなわち、ケーシング10に段差を形成する。また、底面において、蓋70の回動中心から溝16より離れたところに第2溝15が底面の幅方向を横断して形成される。蓋70には、溝16に嵌まる凸条部76を形成し、さらに、蓋の両側を折り曲げて折り曲げ部78を形成し、また、第2溝15に嵌まる第2凸条部75を形成する。折り曲げ部78は、ケーシング10の側面の窪み14に嵌まる。
【0040】
このように構成すると、蓋70とケーシング10とは、蓋70がケーシングの底面に密着するだけではなく、凸条部76が溝16に嵌まることにより、削りカス収容部40から削りカスが漏れることを防止できる。さらに、蓋70が回動するときに動きが大きく隙間を生じ易い両側と回動中心からの遠位側で第2凸条部75が第二溝15に嵌まり、両側では折り曲げ部78が窪み14に嵌まることにより、削りカス収容部40から削りカスが漏れることを防止できる。このように、二重に漏れを防止することにより、鉛筆芯の削り粉などの小さなゴミの漏れまでを防止することができる。
【0041】
このように構成した電動鉛筆削り1は、以下のように使用できる。把手20を掴んでゴミ箱の上に電動鉛筆削り1を持ってきて、押圧防止板52をスライドさせつつ、押しボタン50を押すことで、蓋70を開いて削りカスを排出できるので、使い勝手がよい。特に、把手20と蓋70が削り部30を挟んで反対側にあるため、把手20を掴んで下方向に削りカスを排出できるので、使い勝手がよい。また、押しボタン50、押圧防止板52等の蓋ストッパー操作部が把手20に配置されているので、片手で電動鉛筆削り1を持ち、かつ、蓋70を開くことができる。
【0042】
特に、図1〜3に示すように、電動鉛筆削り1の鉛筆挿入孔32側に把手20が形成され、蓋ストッパー操作部が鉛筆挿入孔32とは反対側に配置されるので、鉛筆を削る際に鉛筆を持つ利き手で、把手20を掴み、利き手の親指で押圧防止板52をスライドさせて押しボタン50を押し易く、片手で使い易い。その際に、蓋70が鉛筆挿入孔32側でケーシング10により支持されて回動するので、削りカス収容部40から削りカスを排出させるのに蓋70が邪魔にならない。すなわち、親指側を下に傾ければよいので、押しボタン50を押したときの手の位置のままで、削りカスを排出させ易い。なお、蓋70はバネ77で付勢されているので、開いたままの位置に留まる。
【0043】
また、電動鉛筆削り1によれば、蓋ストッパー操作部(押しボタン50)に作用した力を、蓋ストッパー連係部58、60、62を介して蓋ストッパー(爪74)に伝達し、蓋ストッパーを動かして(軸部72を変形させて)、蓋ストッパー(爪74)とケーシング10との係合を解除し、蓋70を開くことができるので、簡易で軽量な構造で安価に、蓋70を開いて削りカスを捨て易い電動鉛筆削りを提供することができる。
【0044】
なお、蓋ストッパー操作部、蓋ストッパー連係部、蓋ストッパーの構造は、上記の構造に限定されない。蓋ストッパー操作部は、スライド式ボタンでもレバーでもよい。蓋ストッパー連係部は、蓋ストッパー操作部に作用した力を蓋ストッパーに伝えるための公知の構造でよく、1本の部材で構成されても、ゴムベルトとプーリを用いる構造でもよい。蓋ストッパーは、ケーシング10と係合することにより蓋70を開口42を塞ぐ位置に留める構造であればよく、例えばスライドする爪であってもよい。
【0045】
また、電動鉛筆削り1を持つための把持部は、把手20として構成されずに、例えば、持ち易いように窪んだ形状あるいは、窪んだ部分に凹凸を付けて掴み易くした形状としてもよく、把持するための公知の形状であってもよい。また、把持部の位置も、限定されないが、削り部30より上方にあると、重い削り部の重心より上方で電動鉛筆削り1を持つことになるので、安定する。さらに、把持部が頂部に形成されると、上から電動鉛筆削り1をつかめるので、掴み易い。また、電動鉛筆削り1では、蓋ストッパー操作部(押しボタン50、押圧防止板52)は、把手20に配置されたが、蓋ストッパー操作部の位置は特に限定されない。ただし、蓋ストッパー操作部も削り部30より上方に設けられると、電動鉛筆削り1を持った手で、蓋ストッパー操作部を操作できるので、片手で操作できて好適である。蓋ストッパー操作部が把持部に配置されると、さらに操作し易くなる。
【0046】
次に、図10〜12を参照して、本発明の第2の実施の形態としての手動鉛筆削り2について説明する。手動鉛筆削り2の構成は、電動鉛筆削り1と共通する部分が多いので、電動鉛筆削り1と相違する点についてのみ説明する。手動鉛筆削り2では、削り部30にモータ等を備えず、ハンドル連結部34を備える。ハンドル連結部34には、ケーシング10の外部に位置するハンドル80が連結し、ハンドル80を手動で回転することにより、削り部30の刃を回転する。そのために、削り部30を小さくでき、手動鉛筆削り2を全体として小さくできる。よって、手動鉛筆削り2では、把手20がケーシング10の上部の全長に形成される。また、片手で鉛筆を鉛筆挿入孔32に挿入し、他の手でハンドル80を回すため、使用者は手動鉛筆削り2の側面に位置することが普通である。そこで、のぞき窓12はケーシングの側面に設けられる。
【0047】
通常は、ハンドル80を利き手で回すので、利き手で把手20を掴んだときに、蓋ストッパー操作部(押しボタン50、押圧防止板52)をハンドル80側に配置し、親指で蓋ストッパー操作部を操作し易くする。また、蓋70は鉛筆挿入孔32側でケーシング10に回動可能に支持されるようにし、手動鉛筆削り2の削りカス収容部から削りカスを捨て易くするのがよい。
【0048】
手動鉛筆削り2では、削り部30が小さいので、蓋ストッパー連係部58、60、62の構造を変更することができる。押圧梁58は、電動鉛筆削り1の場合と同様であるが、蓋ストッパー連係上部60の二股に分かれた2つの下部を繋ぐ蓋ストッパー連係補強部61を有する。蓋ストッパー連係補強部61で蓋ストッパー連係上部60の二股に分かれた2つの下部を繋ぐことにより、蓋ストッパー連係上部60の変形が抑えられ、蓋ストッパー連係下部62の構造をシンプルに、すなわちリブ等を省略することができる。
【0049】
次に、図13および14を参照して、本発明の第3の実施の形態としての縦型電動鉛筆削り3について説明する。縦型電動鉛筆削り3の構成は、電動鉛筆削り1と共通する部分が多いので、電動鉛筆削り1と相違する点についてのみ説明する。縦型鉛筆削り3では、ケーシング10が略円柱形を有し、図13に示すような姿勢で、その1端面を卓上に載せて使用する。鉛筆挿入孔32は、他端面に配置される。よって、鉛筆(不図示)を鉛直方向に向けて、鉛筆挿入孔32に挿入する。
【0050】
略円柱形のケーシング10は、下方に行くにつれ太くなり、またある高さより上では、上方に行くにつれ太くなる。下方で太くなることにより、卓上との接地面積が広くなると共に、重量の大きなモータ等を下方に納めやすくなり、使用時に安定する。また、上方で太くすることにより掴み易くなる。すなわち、徐々に太くなる上方が把持部となる。
【0051】
縦型電動鉛筆削り3では、蓋ストッパー操作部は側面に配置される。すなわち、縦型電動鉛筆削り3の上方を掴んだときに、操作し易い位置に配置するのが好ましい。蓋ストッパー連係部(不図示)では、押しボタン50を押す水平向きの力を、垂直向きに変換し、蓋ストッパー(軸72、爪74)を動かしてケーシングとの係合を解除し、蓋70を開く。このような蓋ストッパー連係部は、公知の構造でよい。なお、蓋ストッパー操作部は上面(鉛筆挿入孔32が配置される面)に配置されてもよい。蓋ストッパー操作部を上面に配置すると、電動鉛筆削り1で説明したような蓋ストッパー連係部を用いることができる。
【0052】
縦型電動鉛筆削り3(のケーシング10)の形状は略円柱形に限られず、四角柱、多角柱、楕円柱等、任意の形状でよい。また、下方や上方が太く形成されなくても、中央が太く形成されてもよい。表面に凹凸を付けることにより把持部としてもよい。
【0053】
電動鉛筆削り1または縦型電動鉛筆削り3は、例えばリチウムイオン充電池をさらに有する充電式鉛筆削りであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 電動鉛筆削り
2 手動鉛筆削り
3 縦型電動鉛筆削り
10 ケーシング
11 下ケーシング
12 のぞき窓
14 窪み
15 第2溝
16 溝
18 蓋係止部
20 把手(把持部)
30 削り部
32 鉛筆挿入孔
34 ハンドル連結部
40 削りカス収容部
42 開口
50 押しボタン(蓋ストッパー操作部)
52 押圧防止板(蓋ストッパー操作部)
53 バネ部(蓋ストッパー操作部)
54 切欠き(蓋ストッパー操作部)
55 押圧防止板突起
56 押圧支持部
58 押圧梁(蓋ストッパー連係部)
60 蓋ストッパー連係上部(蓋ストッパー連係部)
61 蓋ストッパー連係補強部(蓋ストッパー連係部)
62 蓋ストッパー連係下部(蓋ストッパー連係部)
64 バネ
66 蓋ストッパー連係部下端
70 蓋
72 軸部(蓋ストッパー)
74 爪(蓋ストッパー)
75 第2凸条部
76 凸条部
77 蓋を付勢するバネ
78 折り曲げ部
79 蓋支持部
80 ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14