(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の作業車両を適用した農業用のトラクタの側面図である。トラクタは、左右一対の前輪1,1及び後輪(走行部)2,2によって機体フレーム3aが支持された走行機体3と、該走行機体3の後部にリンク4を介して昇降駆動に連結されるロータリ耕耘装置等の作業機(図しない)とを備えている。
【0017】
走行機体2のボンネット6の後方には操縦部7が設置されている。操縦部7には、オペレータが乗込み、各種作業を行う。例えば、本トラクタは、ロータリ耕耘装置を圃場に接地する位置まで下降させた状態で、前進走行させることにより、圃場の耕耘作業を行うことが可能になる。
【0018】
図2は操縦部の構成を示す斜視図であり、
図3はステアリングコラムの内部構造を示す斜視図である。操縦部7は、オペレータが着座するシート8と、該シート8の前方に配置されたステアリングコラム9と、該ステアリングコラム9内に設置されたステアリング軸11に支持されたステアリング12と、前記ステアリングコラム9の下端部からシート8側に至る範囲に設けられ且つ上面が操縦部7の床面となる床材13と、前記ステアリング12の左右一方の側部側に前後揺動操作に支持された走行レバー14と、前記ステアリング12の左右他方の側部側に上下揺動操作に支持された作業レバー16と、前記ステアリングコラム9の下部の左右一方側に配置された解除ペダル17及びクラッチペダル18と、左右他方側に配置されたブレーキペダル19,21と、前記ステアリングコラム9の正面上部の左右一方寄りに上下揺動操作可能に支持された規制レバー(規制操作具)22と、左右他方寄りに上下揺動操作可能に支持された駐車ブレーキレバー(駐車ブレーキ操作具)23とを備えている。
【0019】
ステアリングコラム9は、ステアリング軸11の周囲の後方範囲をカバーするコラムカバー24と、該コラムカバー24内に配置され且つステアリング軸11を支持するコラムフレーム26とを有している。コラムフレーム26は、側面視で下方が開放されたコの字状をなすように金属製の板状部材を屈曲形成することにより構成され、機体フレーム3a側に支持固定されている。
【0020】
走行レバー14は、前後揺動によって、走行機体3の前進走行と後進走行との切換操作を行う。作業レバー16は、上下揺動によって、作業機の昇降操作を行う。走行レバー14及び作業レバー16は、ステアリングコラム9側に揺動操作可能に支持されている。
【0021】
クラッチペダル18は、床材13の下方のスペースに支持される基端部に対して、床材13の上方側に臨む先端部が前方に位置している。このクラッチペダル18全体は前記基端部を支点として上下揺動可能に支持されている。クラッチペダル18の先端部には踏板18aが設置されている。このクラッチペダル18は、ステアリングコラム9から若干離れた位置に配置されている。ちなみに、解除ペダル17はステアリングコラム9の下部に配置されている。
【0022】
そして、クラッチペダル18を下方揺動位置に踏込むことにより、エンジン(図示しない)からの動力を伝動最上流側で断続する主クラッチ(図示しない)の切断状態への切換を行う切断操作を行い、エンジンからの動力伝動を遮断させる。一方、前記踏込みを解除すると、弾性部材27(
図4,
図5参照)の付勢力によって、上方揺動位置に復帰し、主クラッチが接続状態に切換えられ、エンジン動力が車輪や作業機に伝動される。
【0023】
ブレーキペダル19,21は、ステアリングコラム9の片側側方に左右一対で設けられている。この一対のブレーキペダル19,21は、床材13の下方のスペースに支持される基端部に対して、床材13の上方側に臨む先端部が前方に位置している。ブレーキペダル19,21の全体は前記基端部を支点として上下揺動可能に支持されている。このブレーキペダル19,21の先端部には踏板19a、21aが設置されている。
【0024】
左右のブレーキペダル19,21は、夫々、下方揺動位置に踏込む入操作によって、左右の後輪2,2に個別に制動力を作用させるブレーキ操作を行う一方で、この踏込みを解除する切操作によって、引張スプリング等の弾性部材28,29(
図4参照)の付勢力により上方揺動位置に復帰し、左右の後輪2,2への前記制動力が非作用な状態に切換えられる。
【0025】
すなわち、左右のブレーキペダル19,21は、左右の後輪2,2への制動力の作用・非作用を個別に切換える。ちなみに、左右一対の後輪2,2毎に、上述のブレーキペダル19,21が設けられ、この一対のブレーキペダル19,21毎に図示しない制動装置が設けられ、この2つの制動装置が左右の後輪2,2に各別に制動力を作用させる。
【0026】
解除ペダル17は、ステアリングコラム9のクラッチペダル18側の側部側に配置され、コラムフレーム26側(機体フレーム3a側)に固定された支持ブラケット31に上下揺動可能に支持されている。この解除ペダル17によって、左右のブレーキペダル19,21が連結されて同一の揺動姿勢で一体的に操作及び作動される両ブレーキ状態と、該連結が解除されて左右のブレーキペダル19,21を各別に操作可能な片ブレーキ状態との切換を行う。
【0027】
規制レバー22は、ステアリングコラム9における解除ペダル17の真上側に上下揺動可能に支持されている。この規制レバー22は、その前端がコラムフレーム26に支持される。この規制レバー22の上下揺動によって、解除ペダル17による両ブレーキ状態から片ブレーキ状態への移行を規制する規制操作側規制状態(規制状態)と、該規制をしない規制操作側非規制状態(非規制状態)との切換操作を行う。
【0028】
駐車ブレーキレバー23は、ステアリングコラム9におけるブレーキペダル19,21寄り箇所に上下揺動可能に支持されている。この駐車ブレーキレバー23は、その前端がコラムフレーム26に支持される。この駐車ブレーキレバー23の上下揺動によって、駐車ブレーキ状態と駐車ブレーキ解除状態との切換操作を行う。
【0029】
次に、
図3乃至
図6に基づき、ブレーキペダル19,21、連結機構32、解除ペダル17、規制レバー22及び駐車ブレーキレバー23の構成を詳述する。
【0030】
図4,
図5はブレーキペダル、連結機構、解除ペダル、規制レバー及び駐車ブレーキレバーの構成を示す右後方側斜視図及び左後方側斜視図であり、
図6は解除ペダル側の要部分解斜視図である。本トラクタの操縦部側には、左右のブレーキペダル19,21同士を連結する連結機構32と、連結機構32と解除ペダル17を連係させる作動側連係機構33と、解除ペダル17による両ブレーキ状態から片ブレーキ状態への切換を規制する規制操作側カム(規制部材,規制操作側規制部材)34及び駐車ブレーキ側カム(規制部材,駐車ブレーキ側規制部材)35と、規制操作側カム35と規制レバー22とを連係させる規制操作側連係機構(操作側連係機構)36と、上述した駐車ブレーキ状態と駐車ブレーキ解除状態との切換を行う駐車ブレーキ機構37と、駐車ブレーキ機構37と駐車ブレーキレバー23とを連係させる駐車ブレーキ作動側連係機構38と、駐車ブレーキレバー23による駐車ブレーキ状態及び駐車ブレーキ解除状態の一方から他方及び他方から一方への切換に連動して駐車ブレーキ側カム35による規制の有無の切換が行われるように、駐車ブレーキレバー23と駐車ブレーキ側カム35とを連係させる駐車ブレーキ操作側連係機構39とが設けられている。
【0031】
上述した支持ブラケット31は、両面が左右方向を向いた金属製の板状部材であり、ステアリングコラム9の解除ペダル17に近い側の側部側に配置されている。この支持ブラケット31の前後の各端部にはステアリング軸11側に延びる固定プレート(固定部材)41,42が溶接されている。
【0032】
この前後の固定プレート41,42がボルト等によりコラムフレーム26に着脱自在に取付固定されることにより、前記ブラケット31がコラムフレーム26側に固定されてステアリングコラム9の一部を構成している。
【0033】
上述した左右のブレーキペダル19、21は、基端部から中途部に向かって前方に延び且つ先端部が上方に曲げ形成されたアーム部19b,21bと、アーム部19b,21bの先端部に一体的に形成された前記踏板19a,21aと、アーム部19b,21bの基端部に一体的に形成された左右方向の筒状部19c,21cを有している。
【0034】
この筒状部19c、21cが、機体フレーム3a側に支持された左右方向の支持軸40に挿通されることにより、ブレーキペダル19,21が前記支持軸40を支点として上下揺動可能に機体フレーム3a側に支持されている。
【0035】
上記連結機構32は、一方の筒状部21cの後部に一体的に形成された支持部43と、他方の筒状部19cの一体的に形成された係止部44と、前記支持部43のフラットな上面側に配置され且つ該上面に垂直な軸回りに前後回動自在に支持された連結アーム46とを有している。
【0036】
一対のブレーキペダル19,21が同一の上下揺動姿勢である状態で、連結アーム46を前方位置に揺動させると、連結アーム46の係止部44側の端部(先端部)が、係止部44の凹部44aに嵌合されて係止され、上述した両ブレーキ状態に切換えられる。一方、この両ブレーキ状態において、連結アーム46を後方に揺動させると、連結アーム46の係止部44への係止が解除され、上述の片ブレーキ状態に切換えられる。
【0037】
この連結アーム46の基端部と、前記支持部43の後端部とに架け渡された引張スプリング等の弾性部材47によって、この連結アーム46は、前方に揺動側(係止側)に付勢されている。また、左右のブレーキペダル19,21は、上述した弾性部材28,29によって、上方揺動側に弾性付勢され、ストッパ等によって設定される両ブレーキペダル19,21の最上方揺動位置は、側面視で同一又は略同一に設定されている。このため、オペレータが何も操作してない状態では、自動的に、この2つのブレーキペダル19,21が両ブレーキ状態で最上方揺動位置に保持される。
【0038】
ちなみに、前記支持軸40には、上述のクラッチペダル18も支持され、この支持軸40はクラッチペダル18の上下揺動支点にもなっている。
【0039】
上述した解除ペダル17は、支持ブラケット31のステアリング軸11から遠い側の側面に沿う板状に形成され且つ側面視L字上をなすアーム部48と、該アーム部48の上寄り位置に一体的に形成された左右方向の筒状部49と、前記アーム部48の前記筒状部49よりもさらに上部に位置に一体的に形成された左右方向の接当ピン(接当部)51と、該アーム部48の下端部に支持され且つ左右方向に延びる筒状に形成された踏込部52とを有している。
【0040】
アーム部48における筒状部49の後方位置には、長孔48aが穿設されている。筒状部49は、支持ブラケット31から遠ざかる側に突出形成され、その内周面側の空間は、解除ペダル17を左右方向に貫通する被支持孔17aの少なくとも一部(本例では大部分)を構成している。接当ピン51はアーム部48から左右両側に突出形成されている。踏込部52は、支持ブラケット31から遠ざかる側に突出形成されている。
【0041】
一方、支持ブラケット31には、被支持孔17aに挿入される左右方向のペダル軸53が解除ペダル17側に向かって突出形成されている。このペダル軸53の被支持孔17aへの挿入によって、解除ペダル17は、上下揺動可能に支持ブラケット31(ステアリングコラム9)に支持される。
【0042】
ちなみに、支持ブラケット31には、ペダル軸53の被支持孔17aへの挿入時に接当ピン51が挿通される挿通孔31aが穿設されている。さらに、この支持ブラケット31には、ペダル軸53の被支持孔17aへの挿入時にアーム部48の長孔48aに挿通される左右方向のストッパピン(ストッパ)54が左右両側にそれぞれ突出形成されている。
【0043】
上述の長孔48aは、ペダル軸53を中心とする円弧に接する方向に沿って形成され、ストッパピン54の円形断面の径よりも幅広に設定されている。そして、前記ストッパピン54が長孔48aの長手方向の一端と他端との間で移動する範囲に、解除ペダル17の上下揺動範囲が限定されている。すなわち、ストッパピン54は、解除ペダル17の操作範囲を規定する部材として機能している。
【0044】
解除ペダル17は、該解除ペダル17と支持ブラケット31との間に架渡された引張スプリング56等の弾性部材によって、上方揺動側に弾性付勢されている。この引張スプリング56は、前記ストッパピン54におけるアーム部48から遠ざかる側に突出した部分と、該ストッパピン54の下方に配置され且つアーム部48の下端部から支持ブラケット31側に突出形成された左右方向の係止ピン57とに架け渡されている。すなわち、支持ブラケット31のストッパピン54は、解除ペダル17の揺動を規制する部材として機能するとともに、引張スプリング56を支持する部材としても機能する。
【0045】
上記作動側連係機構33は、連結アーム48と解除ペダル17とを連結する引張ワイヤによって構成されている。具体的には、引張ワイヤ33が、アーム部48の下端側から上方に延びて、さらにステアリングコラム9の上部側を経由し、ブレーキペダル19,21に沿って後方に延出され、連結アーム46の基端側に達している。
【0046】
そして、引張スプリング56の弾性力に抗して解除ペダル17を踏込み操作して下方位置(片ブレーキ状態切換位置)に揺動させた場合、引張ワイヤ33が引張作動し、引張スプリング47の弾性力に抗して連結アーム46が後方位置に揺動され、片ブレーキ状態への切換が行われる一方で、該踏込み操作を解除した場合、該解除ペダル17が引張スプリング56の弾性力によって上方位置(両ブレーキ状態切換位置)に揺動され、引張ワイヤ33による引張力が解除され、引張スプリング47の弾性力によって、連結アーム46が前方位置に揺動され、両ブレーキ状態への切換が行われる。
【0047】
すなわち、作動側連係機構を構成する引張ワイヤ33は、片ブレーキ状態及び両ブレーキ状態の一方から他方及び他方から一方への切換が可能なように、解除ペダル17と連結機構32(連結アーム46)とを連結させている。また、前記引張スプリング56は、片ブレーキ状態から両ブレーキ状態への切換側である上方揺動側に解除ペダル17を付勢するように構成されている。
【0048】
上記規制操作側カム34及び上記駐車ブレーキ側カム35は、側面視で同一形状に成形され、支持ブラケット31から左右両側に突出形成されたカム軸(規制部材側支持軸)58によって、支持ブラケット31に上下回動可能に支持され、背面視で規制操作側カム34と駐車ブレーキ側カム35との間に支持ブラケット31が配置されている。
【0049】
言換えると、規制操作側カム34及び駐車ブレーキ側カム35は、同一軸であるカム軸58で、ステアリングコラム9側(具体的には、支持ブラケット31)に上下回動可能に支持されている。ちなみに、規制操作側カム34及び駐車ブレーキ側カム35は、カム軸58を支点として、各別に異なる姿勢で上下回動させることが可能である。この他、支持ブラケット31の解除ペダル17側の面側には規制操作側カム34が配置され、反対側の面側には駐車ブレーキ側カム35が配置されている。
【0050】
そして、規制操作側カム34は、上方位置(規制位置)に回動されると、接当ピン51との接当位置が側面視でカム軸58から近い位置に変位し、解除アーム17が両ブレーキ状態切換位置で保持されて該解除アーム17の片ブレーキ状態切換位置への下方揺動操作(踏込み操作)が規制される上述の規制操作側規制状態(規制状態)に切換えられる一方で、下方位置(非規制位置)に回動されると、接当ピン51との接当位置が側面視でカム軸58から遠い位置に変位し、解除アーム17の両ブレーキ状態切換位置から片ブレーキ状態切換位置への下方揺動操作(踏込み操作)が可能になる上述の規制操作側非規制状態(非規制状態)に切換えられる。
【0051】
ちなみに、規制操作側カム34は、引張スプリング55等の弾性部材によって、非規制位置に付勢されている。具体的には、この引張スプリング55、がストッパピン54の解除ペダル17側に突出した端部と、規制操作側カム34との間に、上下方向を向いた姿勢で架渡され、規制操作側カム34を下方側に弾性付勢している。ちなみに、規制レバー22の上下揺動操作時に必要とする操作力は、この引張スプリング55の弾性力よりも大きく設定されており、この引張スプリング55の弾性力によって、規制レバー22が下方揺動作動することは無いようになっている。
【0052】
一方、駐車ブレーキ側カム34も、上方位置(規制位置)に回動されると、接当ピン51との接当位置が側面視でカム軸58から近い位置に変位し、解除アーム17が両ブレーキ状態切換位置で保持されて該解除アーム17の片ブレーキ状態切換位置への下方揺動操作(踏込み操作)が規制される上述の駐車ブレーキ側規制状態(規制状態)に切換えられる一方で、下方位置(非規制位置)に回動されると、接当ピン51との接当位置が側面視でカム軸58から遠い位置に変位し、解除アーム17の両ブレーキ状態切換位置から片ブレーキ状態切換位置への下方揺動操作(踏込み操作)が可能になる上述の駐車ブレーキ側非規制状態(非規制状態)に切換えられる。
【0053】
上記規制操作側連係機構36は、規制レバー22の支持端側端部である前端部と、規制操作側カム34の上端部とを連結するリンクから構成されている。規制レバー22を上方位置(規制操作位置)に揺動することにより、リンク36が上方移動し、規制操作側カム34が規制位置に上方回動される一方で、下方位置(規制解除操作位置)に揺動すると、リンク36が下方移動し、規制操作側カム34が非規制位置に下方回動される。
【0054】
すなわち、規制操作側連結機構36は、規制レバー22による上下揺動によって、規制操作側カム34の規制状態及び非規制状態の一方から他方及び他方から一方への切換を行うように、両者を連結している。
【0055】
なお、上述のリンク36には、規制レバー22と規制操作側カム34との連結時の長さを調整する調整手段であるネジ機構36aが設けられており、この長さ調整によって異なるサイズへの適用が可能になり、汎用性が向上する。
【0056】
上記駐車ブレーキ機構37は、片側のブレーキペダル19,21(本例では左右内側のブレーキペダル19)を入操作状態で保持するように構成されている。具体的には、駐車ブレーキ機構37は、前記ブレーキペダル19の左右内側近傍に配置され且つ機体フレーム3a側に上下回動可能に支持されたロックアーム59と、該ロックアーム59の前縁側に形成されたノッチ59aに係合するように該ブレーキペダル19から左右内側に突出形成された係合片61とを有している。
【0057】
前記ブレーキペダル19が踏込まれた入操作状態時に、ロックアーム59を自身の上端部を支点として上方位置(駐車ブレーキ位置)に回動することにより、該ロックアーム59のノッチ59aと係合片61とを係合させ、上述の駐車ブレーキ状態への切換を行う。この駐車ブレーキ状態への切換を行った場合、前記ブレーキペダル19は、上記踏込みが解除されても、ノッチ59aと係合片61との係合によって、入操作状態で保持される。
【0058】
一方、ロックアーム59を自身の上端部を支点として下方位置(駐車ブレーキ解除位置)に回動することにより、該ロックアーム59のノッチ59aと係合片61との係合が解除され、上述の駐車ブレーキ解除状態への切換が行われる。この駐車ブレーキ解除状態への切換を行った状態で、前記ブレーキペダル19の踏込みを解除した場合、弾性部材28の付勢力によって、前記ブレーキペダル19が入操作状態から切操作状態に切換えられる。
【0059】
上記駐車ブレーキ作動側連係機構38は、駐車ブレーキレバー23の中途部と、ロックアーム59とを連結するリンクによって構成されている。駐車ブレーキレバー23を上方位置(駐車ブレーキ操作位置)に揺動した場合、リンク38が上方移動し、ロックアーム59の駐車ブレーキ位置への切換が行われる。一方、駐車ブレーキレバー23を下方位置(駐車ブレーキ解除操作位置)に揺動した場合、リンク38が下方移動し、ロックアーム59の駐車ブレーキ解除位置への切換が行われる。
【0060】
すなわち、駐車ブレーキ作動側連係機構38は、駐車ブレーキレバー23の上下揺動によって、駐車ブレーキ機構37の駐車ブレーキ状態及び駐車ブレーキ解除状態の一方から他方及び他方から一方への切換が行われるように、駐車ブレーキレバー23と駐車ブレーキ機構37とを連係させる。
【0061】
ちなみに、このリンク63には、横杆62と駐車ブレーキ側カム35との連結時の長さを調整する調整手段63aが設けられている。具体的には、駐車ブレーキ側カム35に取付ける取付孔63a,63aが複数形成され、どの取付孔63aを使用するかによって、前記長さを調整できる。これによって種々のサイズに適用可能になり、汎用性が高まる。
【0062】
ところで、片側のブレーキペダル19が駐車ブレーキ機構37により入操作状態で保持された駐車ブレーキ状態では、斜面等においても車体を走行停止させた状態で保持するため、連結機構32(左右のブレーキペダル19,21)が両ブレーキ状態に切換えられている必要性がある。
【0063】
このため、駐車ブレーキレバー23による駐車ブレーキ解除状態から駐車ブレーキ状態への切換に伴って駐車ブレーキ側カム35が規制位置から非規制位置に回動されるように、駐車ブレーキレバー23と駐車ブレーキ側カム35とを、上述の駐車ブレーキ規制操作側連係機構39によって連係させている。
【0064】
具体的には、この駐車ブレーキ規制操作側連係機構39は、ステアリングコラム9の左右一方寄り(ブレーキペダル19,21寄り)に配置された駐車ブレーキレバー23の中途部から左右他方側(規制レバー22側)に突出する左右方向の横杆62と、該横杆62の該他方側端部から駐車ブレーキ側カム35に向かって下方に延出されたリンク63とを有している。
【0065】
言い換えると、駐車ブレー規制操作側連係機構39は、上記ステアリングコラム9において解除ペダル17側から規制レバー22側に至り且つ規制レバー22側から駐車ブレーキレバー23側に至る背面視で、L字状のスペースに配置されている。
【0066】
そして、駐車ブレーキレバー23を、駐車ブレーキ操作位置に上方揺動操作することにより、横杆62を介して、リンク63が上方に移動作動し、駐車ブレーキ側カム35が規制位置に上方回動する。一方、駐車ブレーキレバー23を、駐車ブレーキ解除操作位置に下方揺動操作することにより、横杆62を介して、リンク63が下方に移動作動し、駐車ブレーキ側カム35が非規制位置に下方回動する。
【0067】
次に、
図7及び
図8に基づき、規制操作側カム34及び駐車ブレーキ側カム35の構成を詳述する。
【0068】
図7(A)は規制位置に回動された規制操作側カムの側面図であり、(B)は非規制位置に回動された規制操作側カムの側面図である。規制操作側カム34は、カム軸58を中心とする円弧状に形成された規制部34aと、該規制部34aよりもカム軸58側に凹状に窪み且つ規制部34aと連続して形成された非規制部34bとを有している。規制部34aは、非規制部34bよりも広い範囲に形成されている。
【0069】
この規制操作側カム34が規制位置に回動された状態では、両ブレーキ状態切換位置に上方揺動された状態の解除ペダル17の接当ピン51が前記規制部34aに近接又は接当し、この解除ペダル17の片ブレーキ状態切換位置への下方揺動が規制される。この状態が上述の規制操作側規制状態となる。
【0070】
一方、この規制操作側カム34が非規制位置に回動された状態では、解除ペダル17の接当ピン51が、凹状をなす非規制部34bによって形成されたスペース内を移動可能になり、前記解除ペダル17が片ブレーキ状態切換位置と両ブレーキ状態切換位置との間で揺動可能になる。この状態が上述の規制操作側非規制状態となる。
【0071】
図8(A)は規制位置に回動された駐車ブレーキ側カムの側面図であり、(B)は非規制位置に回動された駐車ブレーキ側カムの側面図である。駐車ブレーキ側カム35は、カム軸58を中心とする円弧状に形成された規制部35aと、該規制部35aよりもカム軸58側に凹状に窪み且つ規制部35aと連続して形成された非規制部35bとを有している。規制部35aは、非規制部35bよりも広い範囲に形成されている。
【0072】
この駐車ブレーキ側カム35が規制位置に回動された状態では、両ブレーキ状態切換位置に上方揺動された状態の解除ペダル17の接当ピン51が前記規制部35aに近接又は接当し、この解除ペダル17の片ブレーキ状態切換位置への下方揺動が規制される。この状態が上述の駐車ブレーキ側規制状態となる。
【0073】
一方、この駐車ブレーキ側カム35が非規制位置に回動された状態では、解除ペダル17の接当ピン51が、凹状をなす非規制部35bによって形成されたスペース内を移動可能になり、前記解除ペダル17が片ブレーキ状態切換位置と両ブレーキ状態切換位置との間で揺動可能になる。この状態が駐車ブレーキ側非規制状態となる。
【0074】
ちなみに、規制操作側カム34の非規制位置と駐車ブレーキ側カム35の非規制位置とは側面視で同一位置に設定されている。一方、2つの規制部34a,35aは非規制部34b,35bよりも広い範囲に形成されているため、規制操作側カム34の規制位置と駐車ブレーキ側カム35規制位置とは側面視で異なる位置に設定することが容易である。
【0075】
すなわち、規制操作側カム34の回動範囲と、駐車ブレーキ側カム35の回動範囲とは、側面視で一致させる必要がなく、異なる範囲に設定可能であり、このため、規制操作側連係機構36と、駐車ブレーキ操作側連係機構39との位置合せを高精度で行う必要がなくなり、組付作業の難易度が低くなる。