特許第6849539号(P6849539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6849539
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】ミスト発生装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/16 20060101AFI20210315BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20210315BHJP
   F24F 13/22 20060101ALN20210315BHJP
【FI】
   F24F6/16
   F24F6/00 B
   !F24F13/22 222
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-115729(P2017-115729)
(22)【出願日】2017年6月13日
(65)【公開番号】特開2019-2602(P2019-2602A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2019年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 長
(72)【発明者】
【氏名】宮島 晃
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−003806(JP,A)
【文献】 特開平04−011916(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/182548(WO,A1)
【文献】 実開昭62−105439(JP,U)
【文献】 特開2015−222156(JP,A)
【文献】 特開2015−222148(JP,A)
【文献】 実開昭62−001038(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0077614(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00−6/18
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、当該器具本体内にあり水を貯水する貯水タンクと、供給された水を回転により周囲に飛散させる回転体と、当該回転体を回転駆動させるミストモータと、前記回転体の回転により飛散した水が衝突する衝突体と、当該衝突体で水が破砕されることで発生したミストを含んだ加湿空気を送風口から室内に送風する送風ファンと、前記貯水タンクより下流側で前記貯水タンクの上方に載置され加湿空気が流通する気水分離ケースと、当該気水分離ケースを構成する内壁に下端が隣接し下方へ傾斜するように設置され前記気水分離ケース内を流通する加湿空気を蛇行させるためのバッフル板と、当該バッフル板の側方端面に形成され鉛直方向へ延伸する立ち部と、を備え、
前記立ち部は、前記バッフル板の下端で前記気水分離ケースの内壁と隣接する箇所を切り欠いており、
前記バッフル板の下端で前記立ち部を切り欠いた部分と前記気水分離ケースの内壁との間に排水部を形成し、前記排水部に隣接し前記排水部を通過する加湿空気の流路に邪魔板を設置したことを特徴とするミスト発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミストを含む加湿空気を室内へ供給するミスト発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、貯水タンクの水を回転体が回転することで汲み上げて周囲に飛散させ、飛散された水が衝突体に衝突することでミストが発生し、送風ファンにより器具本体内に取り込んだ空気が貯水タンクを通過し、ミストを含んだ加湿空気として室内に送風されるミスト発生装置があり、貯水タンクの下流側で貯水タンクの上方に載置された気水分離ケース内を加湿空気が流通すると、気水分離ケース内に鉛直下方へ向けて傾斜するよう設置されたバッフル板により加湿空気を蛇行させて上昇させ、バッフル板に加湿空気中のミストを付着させることで、室内へ向けて径の小さな微粒ミストを含む加湿空気を多量に放出しつつ、送風口付近に水滴が溜まって濡れることや、送風口下方の器具本体の設置面が濡れることを防止することができるようにしたものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−3806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、バッフル板上に溜まった水が貯水タンクへ流れ落ちずに溜まり続けると、溜まった水が送風口へ向けて上昇する加湿空気中に混合して送風口まで達し大粒ミストを含む加湿空気が多量に室内へ送風されることや、送風口付近や器具本体の設置面が濡れてしまう虞があり、また、器具本体のメンテナンス時に作業者が気水分離ケースを引き抜いた時、バッフル板上に溜まった水が流れ落ちてメンテナンス作業の現場の床面が濡れる虞があったので、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、器具本体と、当該器具本体内にあり水を貯水する貯水タンクと、供給された水を回転により周囲に飛散させる回転体と、当該回転体を回転駆動させるミストモータと、前記回転体の回転により飛散した水が衝突する衝突体と、当該衝突体で水が破砕されることで発生したミストを含んだ加湿空気を送風口から室内に送風する送風ファンと、前記貯水タンクより下流側で前記貯水タンクの上方に載置され加湿空気が流通する気水分離ケースと、当該気水分離ケースを構成する内壁に下端が隣接し下方へ傾斜するように設置され前記気水分離ケース内を流通する加湿空気を蛇行させるためのバッフル板と、当該バッフル板の側方端面に形成され鉛直方向へ延伸する立ち部と、を備え、
前記立ち部は、前記バッフル板の下端で前記気水分離ケースの内壁と隣接する箇所を切り欠いており、
前記バッフル板の下端で前記立ち部を切り欠いた部分と前記気水分離ケースの内壁との間に排水部を形成し、前記排水部に隣接し前記排水部を通過する加湿空気の流路に邪魔板を設置したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、バッフル板の下端に排水部を形成し、排水部に隣接し排水部を通過する加湿空気の流路に邪魔板を設置したので、バッフル板上に溜まった水が排水部を介して貯水タンクへ戻されることでバッフル板上に水が大量に溜まることがなく、また、邪魔板により加湿空気がショートカットして気水分離ケースを通過することを抑制できるため、大粒ミストを含む加湿空気が室内へ多量に送風されることを防止すると共に送風口付近や器具本体の設置面が濡れることを防止し、メンテナンス作業時に気水分離ケースから水が漏れ出すことがなく器具本体の設置面付近の床面が濡れないことで、メンテナンス時の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】この発明の一実施形態の外観を説明する斜視図
図2】同実施形態の概略構成図
図3】同実施形態の制御ブロック図
図4】同実施形態の運転開始から終了までの動作を説明するフローチャート
図5】同実施形態の気水分離ケース内の構成を説明する図
図6】同実施形態のバッフル板付近の構成を説明する部分拡大平面視図
図7】同実施形態のバッフル板付近の構成を説明するA−A’断面図
図8】同発明の他の実施形態の気水分離ケース内の構成を説明する図
図9】同他の実施形態を説明する部分拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、この発明の一実施形態におけるミスト発生装置を図に基づいて説明する。
1は器具本体、2は器具本体1上部に形成され複数のルーバー3が設置された送風口、4は器具本体1の正面上部を構成する上面パネル、5は器具本体1の正面下部を構成する下面パネル、6は複数のスイッチが備えられ各種操作指令を行う操作部、7は図示しないブレーカーを隠すブレーカーカバーである。
【0009】
8は器具本体1内の略中段高さ位置にあって所定量の水を貯水する貯水タンクであり、この貯水タンク8内には、水中に下端を水没させ駆動軸9に軸支された筒状の回転体10が備えられている。
【0010】
前記回転体10は、中空逆円錐形で上方に向かって円周が徐々に拡大するものであり、駆動軸9に接続され回転体10を回転駆動させるミストモータ11を駆動させ、回転体10が回転することによる回転の遠心力で貯水タンク8の水を汲み上げ、回転体10の外壁および内壁を伝わせて水を押し上げて、回転体10の外壁を伝わせて押し上げた水を周囲に飛散させると共に、回転体10の内壁を伝わせて押し上げた水を回転体10の上端に形成された複数の図示しない飛散口から外周方向へ飛散させる。
【0011】
12は回転体10の上部外周に所定間隔を離間させて位置し、回転体10と共に回転する円筒状の多孔体で、該多孔体12には、その全周壁に多数のスリットや金網やパンチングメタル等から成る衝突体としての多孔部13が設置されている。
【0012】
前記ミストモータ11を駆動させ、回転体10を回転させたことで発生する遠心力で貯水タンク8内の水を汲み上げると共に空気を飛散させ、多孔部13を通過した水滴が破砕されることで、水を微細化して粒径がナノメートル(nm)サイズの微粒ミストが多量に効率良く生成される。
【0013】
14は下面パネル5内に設置され所定の回転数で駆動することで室外の乾燥空気を吸引して器具本体1内を流通させる送風ファン、15は貯水タンク8の上部に載置され内部にミストモータ11が載置されており開口16から流入した空気を貯水タンク8内まで流通させる風洞、17は貯水タンク8の下流側で貯水タンク8の上方に載置された気水分離ケース、18は当該気水分離ケース17を構成する内壁37にいずれか一方の側方、下端及び上端とが隣接し鉛直下方に向けて傾斜するように設置され加湿空気の流通路を蛇行させるためのバッフル板であり、気水分離ケース17の鉛直上方側に設置されたバッフル板18aと、鉛直下方側に設置されたバッフル板18bとが鉛直方向に対して互い違いとなるように設置されていることで、気水分離ケース17内を上昇する加湿空気を略逆S字状に蛇行して流通させる。
【0014】
そして、前記送風ファン14が所定の回転数で駆動すると、器具本体1の底面に形成された吸気口19から吸い込んだ室内の乾燥空気が器具本体1の上部方向へ送風され、貯水タンク8の上流側に形成された吸入経路20内を送風ファン14によって送風された乾燥空気が流通し、開口16から風洞15内へ流入した乾燥空気が貯水タンク8内へ流入するとミストを含む加湿空気となって気水分離ケース17内に流入する。
気水分離ケース17内に流入した加湿空気は、気水分離ケース17の鉛直方向に対して互い違いに設置されたバッフル板18a、18bにより略逆S字状に蛇行して上昇し、加湿空気が蛇行することでバッフル板18a、18bに多量の加湿空気が接触し、加湿空気に含まれる大粒ミストがバッフル板18a、18bに水滴として付着する。
バッフル板18a、18bは鉛直下方に向けて傾斜するように設置されているので、バッフル板18a、18b上に付着した水滴はバッフル板18a、18bの下端に溜まり、バッフル板18a、18bと内壁37との隙間や後述する排水部41から排水されることで、バッフル板18a、18b上に水滴が溜まり続けることがない。
【0015】
21は貯水タンク8内に設置され貯水を加熱する加熱ヒータであり、貯水タンク8の外壁に設置され貯水温度を検知する貯水温度センサ22で検知される温度が所定温度となるよう、ON/OFF状態が適宜切り替えられる。
【0016】
23は貯水タンク8内に設置されフロートが上下することで水位を検知する水位センサであり、貯水タンク8内の水位が低下して下限水位以下になったらOFF信号を出力し、水位が上昇して上限水位以上になったらON信号を出力し、更に水位が上昇して貯水タンク8内が満水となったら満水信号を出力する。
【0017】
24は貯水タンク8の側面に一端が接続され貯水タンク8内に市水を給水する給水管であり、当該給水管24の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水タンク8内への給水を制御する給水弁25と、給水圧を所定値まで減圧する減圧弁26とが備えられている。
【0018】
27は貯水タンク8底部に一端が接続され貯水タンク8内の水を器具本体1外部に排水する硬質塩化ビニル管で構成された排水管であり、当該排水管27の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水タンク8内水の排水を制御する排水弁28が備えれている。
【0019】
29は送風口2の壁面に設置され送風口2から室内へ向けて送風される加湿空気の温度を検知する送風温度センサ、30は送風ファン14の近傍に設置され器具本体1の下部にある銅製の網が設置された吸気口19へ吸い込まれる乾燥空気の雰囲気温度を検知する吸気温度センサ、31は前記吸気温度センサ30の近傍に設置され器具本体1が設置された室内の相対湿度を検知する湿度センサであり、各センサで検知された温度や相対湿度に基づいて、ミストモータ11や送風ファン14の回転数を変化させ、加熱ヒータ21のON/OFF状態を切り替える。
【0020】
32は各センサで検知された検知値や操作部6上に備えられた図示しない各スイッチでの設定内容に基づき運転内容や弁の開閉を制御するマイコンで構成された制御部であり、ミストモータ11を所定の回転数で駆動させるミストモータ制御手段33と、送風ファン14を所定の回転数で駆動させる送風ファン制御手段34と、加熱ヒータ21のON/OFF状態を切り替えて貯水タンク8内の水温を制御する加熱ヒータ制御手段35とが備えられている。
【0021】
36は気水分離ケース17を構成する内壁37にスポット溶接で接続された取り付け板であり、当該取り付け板36は、内壁37との接着面で所定角度に折り曲げられ、バッフル板18bの下端と当接し、取り付け板36及びバッフル板18bの下端に共に形成されたネジ穴38に図示しないネジが連通するように螺着することで、取り付け板36の所定位置にバッフル板18bを固定することが可能であり、メンテナンス時にバッフル板18bを気水分離ケース17から取り外して清掃可能としている。
【0022】
39は各バッフル板18の側方端面に形成された立ち部で、気水分離ケース17の内壁37と隣接しない側のバッフル板18aの側方端面に形成された立ち部39aは鉛直下方へ向けて延出され、内壁37と隣接しない側のバッフル板18bの側方端面に形成された立ち部39bは鉛直上方へ向けて延出されることで、貯水タンク8から流入し気水分離ケース17を上昇する加湿空気が略逆S字状に蛇行し、各バッフル板18の立ち部39に多くの加湿空気が接触することで、加湿空気中の水分が各バッフル板18と立ち部39とに付着する。
【0023】
40は取り付け板36に形成された切り欠きであり、当該切り欠き40は、立ち部39bの下端を挟み込むように形成されていることで、バッフル板18bを取り外す時、取り付け板36に引っ掛かることなくスムーズに気水分離ケース17内から取り出すことができる。
【0024】
41はバッフル板18bの下端にある立ち部39bと気水分離ケース17の内壁37との間に形成された排水部であり、バッフル板18b上に溜まった水が排水部41から貯水タンク8へ滴下し、バッフル板18b上に水が溜まり続けることを防止する。
【0025】
42は切り欠き40より器具本体1の前面側に位置し取り付け板36を延出して形成され排水部41と隣接する邪魔板であり、貯水タンク8から気水分離ケース17内に流入した加湿空気が上昇する時、加湿空気がバッフル板18bを迂回せずに排水部41からショートカットして上昇する流路に邪魔板42が形成されたことで、加湿空気が排水部41を通過するのを抑制し、加湿空気中の大粒ミストが送風口2から多量に送風されるのを防止する。
【0026】
43は気水分離ケース17に設置された取っ手であり、メンテナンス時に作業者が取っ手43を把持して器具本体1の前面方向へ引き出すことで気水分離ケース17を取り出すことが可能となる。
【0027】
次に、この一実施形態での運転開始から終了までの動作について図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、操作部6の図示しない運転スイッチが操作されたら、制御部32は、排水弁28を開弁して貯水タンク8内の水を排水し、水位センサ23でOFF信号が検知されたら給水弁25を開弁して貯水タンク8内を水で洗い流すクリーニング動作を行い、所定時間経過したら排水弁28を閉弁することで給水弁25から流入する水を貯水タンク8内に供給し、水位センサ23でON信号が検知されたら、所定量の水が貯水タンク8内に供給されたとして給水弁25を閉弁する洗浄モードを行う(ステップS101)。
【0028】
ステップS101の洗浄モードが終了したら、制御部32は、貯水温度センサ22で検知される貯水温度が室温と同値になるまで加熱ヒータ制御手段35で加熱ヒータ21をON状態にして、ミストモータ11及び送風ファン14が所定の回転数となるようミストモータ制御手段33及び送風ファン制御手段34で制御する立ち上げ動作を実行する立ち上げモードを行う(ステップS102)。
【0029】
ステップS102の立ち上げモードが終了したら、制御部32は、図示しない加湿スイッチ及び風量スイッチで設定された加湿レベルと風量レベルとに基づいて、ミストモータ11と送風ファン14とが所定の回転数で駆動するようミストモータ制御手段33と送風ファン制御手段34とで回転数を制御し、加熱ヒータ21のON/OFF状態を加熱ヒータ制御手段35で切り替えて制御して、加湿レベルと風量レベルとに合わせた所定の温度範囲内にするミスト運転を実行する通常運転モードを行う(ステップS103)。
【0030】
また、制御部32は、前記ミスト運転中に貯水タンク8の水位が下限水位以下となって水位センサ23がOFF信号を出力したと判断したら、給水弁25を開弁して貯水タンク8内への給水を開始し、貯水タンク8の水位が上限水位に達して水位センサ23がON信号を出力したと判断したら、給水弁25を閉弁して貯水タンク8内への給水を停止することで、常時ミスト運転が実施可能な水位を保持することができる。
【0031】
また、制御部32は、前記通常運転モードが開始されたら時間カウントを開始し、カウントした時間が所定の運転時間を経過したと判断したら後述する水入れ替え動作を開始して、所定の水入れ替え時間である10分間が経過したと判断したら、水入れ替え動作を終了させ、ミスト運転を再開する。
【0032】
ステップS103の通常運転モードが開始されてから経過した時間が16時間となったか、または通常運転モード中に運転スイッチが操作されミスト運転終了の指示があったと判断したら、制御部32は、ミストモータ11を停止させてから排水弁28を開弁して貯水タンク8内の水を排水し、所定時間経過したら給水弁25を開弁して貯水タンク8内を洗浄してから排水弁28を閉弁して貯水タンク8内に所定量だけ貯水する洗浄運転を行い、その後、加熱ヒータ21をON状態にして水を65℃前後に加熱し除菌を行う除菌運転を10分間実施し、10分経過後に貯水タンク8内を冷却する冷却運転を実行し、貯水温度が60℃未満になったら排水弁28を開弁して排水するクリーニングモードを行う(ステップS104)。
【0033】
ステップS104のクリーニングモードが終了したら、制御部32は、乾燥モード(ステップS105)に移行し、送風ファン14が所定の回転数(例えば、800rpm)で駆動するよう送風ファン制御手段34で制御し、所定時間(例えば3時間)だけ送風ファン14を駆動させ続ける乾燥運転を実施して、3時間経過したと判断したら、送風ファン14を停止させて運転を終了する。
【0034】
次に、ミスト運転時における気水分離ケース17内の加湿空気の流れを説明する。
まず、貯水室8内で発生した大粒ミストと微粒ミストとを含む加湿空気が気水分離ケース17内に流入すると、加湿空気は、気水分離ケース17内に設置された各バッフル板18と立ち部39とを迂回しながら略逆S字状に蛇行して上昇し、各バッフル板18や立ち部39に加湿空気が触れることで、加湿空気中のミストが各バッフル板18や立ち部39に付着する。
【0035】
ここで、ミストの質量の関係により、加湿空気中の微粒ミストは各バッフル板18や立ち部39に付着しても質量が軽いことで、上昇する加湿空気の風力により各バッフル板18や立ち部39から剥離して送風口2へ案内されるが、加湿空気中の大粒ミストは質量が重いため上昇する加湿空気の風力では上昇し難いことから、各バッフル板18や立ち部39に大粒ミストが多く溜まる。
【0036】
そして、各バッフル板18や立ち部39で捕集された大粒ミストは水滴として各バッフル板18上に溜まり、各バッフル板18が鉛直下方へ向けて傾斜していることで、水滴が一定の重みとなったら各バッフル板18の下端に案内されて溜まり、各バッフル板18の下端と内壁37との隙間から落下し貯水室8へ戻されるので、送風口2付近に多量の大粒ミストが到達するのを抑制し、送風口2から室内へ多量の大粒ミストが送風されることや、送風口2付近が濡れて水滴が落下し器具本体1の設置面を濡らすことを未然に防止することができる。
【0037】
ここで、加湿空気は器具本体1外の乾燥空気に水分を含ませたものであることから、乾燥空気中の塵埃や水分中のカルキを含んでおり、気水分離ケース17を流通する時、各バッフル板18や立ち部39に加湿空気中の塵埃やカルキが付着する。
特に、気水分離ケース17の下方に位置するバッフル板18bと立ち部39bは、貯水室8に最も近く多量の加湿空気と接触するため、塵埃やカルキが他の箇所と比較して溜まりやすくなっており、バッフル板18bの下端と内壁37との隙間に塵埃やカルキが溜まることで水滴がバッフル板18b上から排水されず、大粒ミストが加湿空気に含まれたまま送風口2まで案内される虞が高い。
【0038】
そこで、バッフル板18bの下端の立ち部39bと気水分離ケース17の内壁37との間に排水部41を形成することで、バッフル板18b及び立ち部39bに付着した水滴がバッフル板18bの下端に溜まると、水滴が排水部41を介して貯水室8へ戻されるため、バッフル板18b上に水滴が溜まり続けることがなく、加湿空気に多量の大粒ミストが含まれた状態で送風口2まで案内されることを未然に阻止することができる。
【0039】
また、排水部41と隣接し切り欠き40を挟んだ取り付け板43と平行な位置に取り付け板41を延出した邪魔板42を形成したことで、貯水室8から上昇した加湿空気が立ち部39bを迂回せずに排水部41をショートカットして通過しようとしても、邪魔板42により加湿空気の通過が阻止されるため、加湿空気が排水部41を通過することが抑制され、加湿空気中の大粒ミストが各バッフル板18や立ち部39に接触せず、送風口2まで案内されて室内へ送風されることが抑制できる。
【0040】
以上のように、バッフル板18bの下端と気水分離ケース17の内壁37との間に排水部41を形成し、取り付け板36を延出した邪魔板42を切り欠き40を挟むようにして形成したので、貯水室8から塵埃やカルキを含む加湿空気が気水分離ケース17内に流入し、バッフル板18bと内壁37との隙間に塵埃やカルキが付着しても、バッフル板18b上に溜まった水が排水部41を介して貯水室8へ戻されるので、大粒ミストが送風口2まで多量に案内されることがなく、また、排水部41から加湿空気がショートカットして通過するのを邪魔板42で抑制することができるため、大粒ミストを多量に含む加湿空気が室内へ送風されるのを防止すると共に、送風口2付近の濡れや器具本体1の設置面の濡れが発生するのを未然に阻止することができる。
【0041】
また、器具本体1内のメンテナンスを実施するため、上面パネル4を取り外して器具本体1の内部を露出させた状態にし、作業者が気水分離ケース17の取っ手43を把持して器具本体1の前面方向へ引いた時、バッフル板18bと気水分離ケース17の内壁37との間に大量に水滴が溜まることがないため、気水分離ケース17から水が漏れることがなく器具本体1付近の水濡れを防止できるため、メンテナンス作業時に器具本体1の設置面付近が濡れることを防止することができメンテナンス性が向上する。
【0042】
なお、本実施形態では取り付け板36の側方を延出して邪魔板42を形成しているが、これに限らず、図8及び図9で示すように、立ち部39bの下端に内壁37と平行な邪魔板42を別部材で設置してもよく、排水部41から加湿空気がショートカットして気水分離ケース17内を通過することが抑制可能な構成であればよいものである。
【0043】
また、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 器具本体
2 送風口
8 貯水タンク
10 回転体
11 ミストモータ
13 多孔部
14 送風ファン
17 気水分離ケース
18 バッフル板
37 内壁
41 排水部
42 邪魔板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9