(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底壁と、該底壁から立設する一対の側壁と、該各側壁の先端から互いに他側の前記側壁に向けて延びるリップ部と、該一対のリップ部の間に形成された開口部と、を有する略C字状の一定断面のベース材と、
前記開口部から挿入されて前記両リップ部の内面にそれぞれ係止する2つの係止部と、配線・配管材を保持する保持部材が取り付けられる保持部材取付部と、を有する本体部を備え、前記一対の側壁のうち一方の側壁の内面に弾接する弾接片が前記本体部から延設された駒体と、
からなり、
前記弾接片の弾発力により前記駒体の本体部における前記弾接片が形成された側の反対側が前記一対の側壁のうち他方の側壁側へと押圧されることにより、前記駒体の本体部は、前記ベース材の底壁から離間した位置に仮保持され得ることを特徴とする配線・配管材保持台座。
底壁と、該底壁から立設する一対の側壁と、該各側壁の先端から互いに他側の前記側壁に向けて延びるリップ部と、該一対のリップ部の間に形成された開口部と、を有する略C字状の一定断面のベース材と、
前記開口部から挿入されて前記両リップ部の内面にそれぞれ係止する2つの係止部と、配線・配管材を保持する保持部材が取り付けられる保持部材取付部と、を有する本体部を備え、前記一対の側壁のうち一方の側壁の内面に弾接する弾接片が前記本体部から延設された駒体と、
からなり、
前記弾接片の弾発力により前記駒体の本体部における前記弾接片が形成された側の反対側が前記一対の側壁のうち他方の側壁側へと押圧されることにより、前記駒体の本体部は、前記開口部の延びる方向に沿った移動が規制されることを特徴とする配線・配管材保持台座。
前記駒体の本体部を前記弾接片側から、前記ベース材の開口部に挿入し、前記本体部の反弾接片形成側を前記開口部に挿入する方向へと傾動させることで、前記弾接片が弾性変形し、前記反弾接片形成側が前記開口部から内部に挿入されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の配線・配管材保持台座。
前記駒体のリップ部先端当接部は、前記駒体が前記ベース材の底壁に当接した状態で、該ベース材のリップ部の先端に当接することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の配線・配管材保持台座。
前記駒体の係止部が前記ベース材のリップ部内面に係止した状態で、前記駒体の本体部の前記開口部から外方に臨む箇所は、前記ベース材の側壁の先端側外面よりも突出しないことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の配線・配管材保持台座。
前記駒体は、前記バンド体を前記保持部材取付部の貫通孔に挿通した状態で、前記ベース材の開口部から挿入可能であることを特徴とする請求項8に記載の配線・配管材保持装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された配線保持構造101では、駒体103には、その底部にベース材102の底壁105に弾接する弾性脚部121が設けられ、その上部にベース材102のリップ部107に係止する係止部115が設けられているので、弾性脚部121の弾発力によりベース材102のリップ部107と底壁105との間に駒体105が仮保持される。そのため、ベース材102のリップ部107から底壁105までの深さが大きく異なるものには対応できない。例えば、深形のベース材に合わせて形成された駒体105では、浅形のベース材に挿入し難い。逆に、浅形のベース材に合わせて形成された駒体105では、深形のベース材に挿入しても、係止部115がリップ部107に届かずに係止できない。
【0005】
そこで、本発明は、ベース材の深さにかかわらず駒体を仮保持できる配線・配管材保持台座及び配線・配管材保持装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の配線・配管材保持台座は、底壁と、該底壁から立設する一対の側壁と、該各側壁の先端から互いに他側の前記側壁に向けて延びるリップ部と、該一対のリップ部の間に形成された開口部と、を有する略C字状の一定断面のベース材と、前記開口部から挿入されて前記両リップ部の内面にそれぞれ係止する2つの係止部と、配線・配管材を保持する保持部材が取り付けられる保持部材取付部と、を有する本体部を備え、
前記一対の側壁のうち一方の側壁の内面に弾接する弾接片が前記本体部から延設された駒体と、からなり、前記弾接片の弾発力により前記駒体の本体部における前記弾接片が形成された側の反対側が
前記一対の側壁のうち他方の側壁側へと押圧されることにより、前記駒体の本体部は、前記ベース材の底壁から離間した位置に仮保持され得るものである。
【0007】
請求項2の配線・配管材保持台座は、底壁と、該底壁から立設する一対の側壁と、該各側壁の先端から互いに他側の前記側壁に向けて延びるリップ部と、該一対のリップ部の間に形成された開口部と、を有する略C字状の一定断面のベース材と、前記開口部から挿入されて前記両リップ部の内面にそれぞれ係止する2つの係止部と、配線・配管材を保持する保持部材が取り付けられる保持部材取付部と、を有する本体部を備え、
前記一対の側壁のうち一方の側壁の内面に弾接する弾接片が前記本体部から延設された駒体と、からなり、前記弾接片の弾発力により前記駒体の本体部における前記弾接片が形成された側の反対側が
前記一対の側壁のうち他方の側壁側へと押圧されることにより、前記駒体の本体部は、前記開口部の延びる方向に沿った移動が規制されるものである。
【0008】
請求項3配線・配管材保持台座は、特に、前記本体部における前記弾接片が形成された側との反対側に、
前記他方の側壁側のリップ部における前記底壁と対向するリップ部内面に係止する前記係止部に隣接し、前記他方の側壁側のリップ部における、前記一方の側壁側のリップ部と対向する先端に当接するリップ部先端当接部が設けられている。
【0009】
請求項4の配線・配管材保持台座は、特に、前記駒体の本体部を前記弾接片側から、前記ベース材の開口部に挿入し、前記本体部の反弾接片形成側を前記開口部に挿入する方向へと傾動させることで、前記弾接片が弾性変形し、前記反弾接片形成側が前記開口部から内部に挿入される。
請求項5の配線・配管材保持台座は、特に、前記駒体のリップ部先端当接部は、前記駒体が前記ベース材の底壁に当接した状態で、該ベース材のリップ部の先端に当接する。
請求項6の配線・配管材保持台座は、特に、前記駒体の係止部が前記ベース材のリップ部内面に係止した状態で、前記駒体の本体部の前記開口部から外方に臨む箇所は、前記ベース材の側壁の先端側外面よりも突出しない。
【0010】
請求項7の配線・配管材保持装置は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の配線・配管材保持台座と、前記駒体の保持部材取付部に取り付けられる保持部材と、からなり、前記保持部材は、前記ベース材に配線・配管材を押し付けるとともに、該配線・配管材と前記駒体の係止部とで前記ベース材のリップ部を挟持するようにして該配線・配管材を保持するものである。
請求項8の配線・配管材保持装置は、特に、前記保持部材は、前記配線・配管材を締結可能なバンド体からなり、前記保持部材取付部は、前記係止部が係止する前記リップ部に沿って延びる方向に貫通形成された貫通孔からなる。
請求項9の配線・配管材保持装置は、特に、前記駒体は、前記バンド体を前記保持部材取付部の貫通孔に挿通した状態で、前記ベース材の開口部から挿入可能である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び請求項2の発明は、底壁、側壁、リップ部及び開口部を有する略C字状の一定断面のベース材と、2つの係止部と保持部材取付部とを有する本体部を備え、ベース材の一方の側壁の内面に弾接する弾接片が本体部から延設された駒体と、からな
るので、弾接片の弾発力により駒体のリップ部先端当接部が他方の側壁側のリップ部の先端に押圧されることで、ベース材の一方の側壁と他方の側壁側のリップ部との間に駒体が仮保持される。そのため、ベース材の深さにかかわらず駒体を仮保持できる。
そして、請求項1の発明は、駒体の本体部が、ベース材の底壁から離間した位置に仮保持されるので、保持部材取付部がベース材の開口部の近傍に位置するように駒体を仮保持できる。このため、保持部材取付部に対して保持部材を容易に取り付け得るとともに、保持部材により配線・配管材を容易に締結して保持できる。
また、請求項2の発明は、駒体の本体部が、開口部の延びる方向に沿った移動が規制されるので、駒体のベース材の長手方向への自由移動が規制される。このため、ベース材が縦向き等に配設される場合でも、駒体が自然落下したり移動するのを防止できるので、保持部材で締結する際に駒体を保持している必要がなく、作業性が向上する。
更に、請求項3の発明は、本体部における前記弾接片が形成された側との反対側に、他方の側壁側のリップ部における、前記一方の側壁側のリップ部と対向する先端に当接するリップ部先端当接部が設けられているので、請求項1、請求項2と同様の効果を奏する。
【0012】
請求項4の発明は、前記駒体の本体部を前記弾接片側から、前記ベース材の開口部に挿入し、前記本体部の反弾接片形成側を前記開口部に挿入する方向へと傾動させることで、前記弾接片が弾性変形し、前記反弾接片形成側が前記開口部から内部に挿入されるので、従来のように、駒体をベース座の開口部から挿入した後、駒体を90度回して取り付けたりする場合に比べて、ベース材の開口部の外方から駒体を容易に挿入して仮保持できる。
請求項5の発明は、前記駒体のリップ部先端当接部は、前記駒体が前記ベース材の底壁に当接した状態で、該ベース材のリップ部の先端に当接するので、駒体は、ベース材の底壁上に落ち込んでも、正規の姿勢を維持した状態で、ベース材の長手方向にずれない。
請求項6の発明は、前記駒体の係止部が前記ベース材のリップ部内面に係止した状態で、前記駒体の本体部の前記開口部から外方に臨む箇所は、前記ベース材の側壁の先端側外面よりも突出しないので、保持部材の取り付けや配線・配管材の保持の際に駒体が邪魔にならず、作業性が高められる。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の配線・配管材保持台座と、駒体の保持部材取付部に取り付けられる保持部材と、からなり、保持部材は、ベース材に配線・配管材を押し付けるとともに、配線・配管材と駒体の係止部とでベース材のリップ部を挟持するようにして配線・配管材を保持するので、少なくとも請求項1又は2の発明と略同様の効果を奏し、リップ部の挟持により保持部材がリップ部を押し付けて、駒体が開口部の長手方向にずれるのを抑制できるとともに、保持部材により配線・配管材を強固且つ安定的に保持できる。
請求項8の発明は、前記保持部材は、前記配線・配管材を締結可能なバンド体からなり、前記保持部材取付部は、前記係止部が係止する前記リップ部に沿って延びる方向に貫通形成された貫通孔からなるので、バンド体は、ベース材に配線・配管材を押し付けるとともに、配線・配管材と駒体の係止部とでベース材のリップ部を挟持するようにして配線・配管材を保持する。そのため、バンド体により配線・配管材を強固且つ安定的に締結して保持できる。
請求項9の発明は、前記駒体は、前記バンド体を前記保持部材取付部の貫通孔に挿通した状態で、前記ベース材の開口部から挿入可能であるので、予め貫通孔にバンド体を挿通した駒体をベース材の開口部から挿入して仮保持できる。そのため、バンド体により配線・配管材を迅速に締結して保持できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の配線・配管材保持台座及び配線・配管材保持装置を図に基づいて説明する。なお、本実施形態では、配線・配管材として、電線に外皮を被せたケーブルを例示する。
【0016】
図1乃至
図3において、配線・配管材保持装置Dは、天井や壁面等の構造物に対してケーブル10を保持するためのものである。この配線・配管材保持装置Dは、配線・配管材保持台座1と、請求項1の保持部材に該当し、ケーブル10を締結して保持するバンド体17と、を備えている。この配線・配管材保持台座1は、天井や壁面等の構造物に取り付けられる鋼材製のベース材2と、ベース材2に対してケーブル10を保持するための合成樹脂製の駒体3と、を備えている。以下、各構成部について詳細に説明する。
【0017】
上記ベース材2は、平板状の底壁5と、底壁5の両縁側から立設する平板状の一対の側壁6a、6bと、各側壁6a、6bの先端から互いに他側の側壁に向けて延びる一対のリップ部7a、7bと、一対のリップ部7a、7bの間に形成された平面矩形状の開口部8と、を備えている。このベース材2は、略C字状の一定断面を長手方向に沿って有している。ただし、ベース材2の底壁5には、構造物にベース材2を取り付けるための取付孔9が形成されているため、ベース材2の略C字状の断面は長手方向に沿って一定断面で厳密に連続しておらず略連続している。また、リップ部7a、7bの先端側には、底壁5側に向かって延びる曲折部11が設けられている。この曲折部11の底壁5と対向する面は、駒体3の後述する係止部15、16が係止するリップ部の内面12とされている。また、一方のリップ部7a(7b)の曲折部11において他方のリップ部7b(7a)の曲折部11と対向する面は、駒体3の後述するリップ部先端当接部48が当接するリップ部の先端13とされている。なお、本実施形態では、上記リップ部7a、7bと底壁5との間隔が比較的小さな浅形のベース材2(
図3参照)と、リップ部7a、7bと底壁5との間隔が比較的大きな深形のベース材2(
図9参照)と、を例示する。
【0018】
上記駒体3は、
図4乃至
図6に示すように、ベース材2の開口部8から挿入されて両リップ部7a、7bの内面12にそれぞれ係止する2つの係止部15、16と、ケーブル10を保持するバンド体17が取り付けられる保持部材取付部18と、を有する本体部19を備えている。この本体部19は、平面略矩形状に形成されており、ベース材2の開口部8の幅よりも大きな外形を有している。また、本体部19の側面には、一方の側壁6a(6b)の内面に弾接する弾接片21が外方に向かって一体に延設されている。なお、本実施形態では、駒体3の平面視において、本体部19の弾接片側(即ち、弾性片21が形成された側)と反弾接片形成側(即ち、弾接片21が形成された側と反対側)とを結ぶ方向を前後方向Pとするとともに、前後方向Pと直交する方向を左右方向Qとする。
【0019】
上記係止部15は、本体部19の弾接片側に設けられており、係止部16は、本体部19の反弾接片形成側に設けられている。これら各係止部15、16は、本体部19の左右方向Qに延びている。また、各係止部15、16の上面には、滑り止め用の突条23が左右方向Qに並設されている。また、各係止部15、16がベース材2のリップ部の内面12に係止した状態では、駒体3の本体部19の開口部8から外方に臨む箇所は、ベース材2の側壁6a、6bの先端側外面よりも突出しない(
図3(a)参照)。また、本体部19の下側には、ベース材2の底壁5上に載置可能な一対の脚部24、25が設けられている。この脚部24は、本体部19の弾接片側(具体的に、本体部19の係止部15の直下)に設けられており、脚部26は、本体部19の反弾接片形成側(具体的に、本体部19の係止部16の直下)に設けられている。また、各脚部24、25は、本体部19の左右方向Qに延びている。また、本体部19の反弾接片形成側の脚部25には、先端側に向かって本体部19の内側に傾斜する傾斜面26が形成されている。この傾斜面26は、駒体3の弾接片側をベース材2の開口部8に挿入したときに、リップ部7a、7bに当接して駒体3の傾動動作を補助するようになっている(
図7(c)参照)。さらに、本体部19の弾接片側の脚部24の底側には、本体部19の左右方向Qで弾接片21と一致する位置に上方に凹む凹部27が形成されている(
図4(c)参照)。なお、上記各係止部としては、例えば、3つ以上を備える形態を採用してもよく、左右方向Qに連続していても、分断された複数の形態であってもよい。
【0020】
上記バンド体17は、ケーブル10を締結(即ち、結束)可能なように可撓製を有する合成樹脂により形成されている。このバンド体17の長手方向の一端側には、バンド体17の他端側が挿通可能な挿通孔31を有するヘッド部32が一体に形成されている(
図3(b)参照)。そして、周知のとおり、バンド体17の一方の表面には、鋸歯状の係止突起33がバンド体17の長手方向に多数並んで形成されている。一方、ヘッド部32の挿通孔31内には、挿通孔31に挿通されたバンド体17の係止突起33に係止する係止片34が設けられている。この係止片34の係止作用は、挿通孔31からバンド体17を引き抜く方向にのみ機能して、バンド体17の締め付け状態を解除不能にできる。なお、上記バンド体としては、上述の係止形態に限られず、他の係止形態を採用してもよい。例えば、バンド体と別体のクリップ等の固定具によりバンド体の締め付け状態を解除不能にする形態や、バンド体の長手方向に沿って形成された係合部同士の係合によりバンド体の締め付け状態を解除不能にする形態を採用できる。
【0021】
上記保持部材取付部18には、バンド体17を挿通可能な貫通孔36が形成されている。この保持部材取付部18は、本体部19の2つの係止部15、16の間に配置される底板37と、底板37の両縁側から立ち上がる一対の側板38a、38bと、一対の側板38a、38bの上端を繋いで底板37を覆う天板39と、を備えており、これら各板37、38a、38b、39の内側に貫通孔36が形成されている。この貫通孔36は、係止部15、16が係止するリップ部7a、7bに沿って延びる方向(即ち、本体部19の左右方向Q)に貫通形成されている。また、貫通孔36の中心は、本体部19の前後方向Pにおいて中央から反弾接片形成側寄りにずれている(
図6(b)参照)。ただし、貫通孔36として、中心が本体部19の前後方向Pの中央に配置されたものを採用してもよい。また、天板39の左右方向Qの長さは、平面視で底板37の左右方向Qの両端側が露呈するように、底板37及び側板38a、38bの左右方向Qの長さよりも短い寸法に設定されている。さらに、天板39の下面は、本体部19の左右方向Qにおいて中央側から両端側に向かって高くなるような傾斜状に形成されている(
図6(c)参照)。これら天板39の長さ設定及び天板39の傾斜状の下面により、貫通孔36へのバンド体17の挿通性が高められる。なお、上記本体部19の反弾接片形成側の係止部16と側板38bとは直接連絡されているが、本体部19の弾接片側の係止部15と側板38aとは段差部43を介して連絡されている。この段差部43は、駒体3の前後方向Pに沿って複数(具体的に2個)設けられている。
【0022】
上記弾接片21は、本体部19の脚部24の外面に一端が接続される略U字の湾曲板部45と、湾曲板部45の先端側から斜め上方に向かって延びる平板部46と、を備えている(
図6参照)。この弾接片21は、全体として略J字板状に形成されており、本体部19に対して片持ち状態で支持されている。また、湾曲板部45の板厚は、平板部46の板厚よりも小さな寸法に設定されている。そして、平板部46の先端がベース材2の一方の側壁6a(6b)に押圧されて湾曲板部45が弾性変形することで、一方の側壁6a(6b)に対して弾接片21が弾接するようになっている(
図3(a)参照)。なお、上記弾接片としては、上述の略J字板状で片持ち支持のものに限らず、その他の形態のものを採用してもよい。例えば、略V字板状や略C字板状の形態を採用できるし、片持ち支持でなく両持ち支持の形態を採用できる。
【0023】
上記本体部19の反弾接片形成側には、弾接片21が一方の側壁6a(6b)に弾接するときに、他方の側壁6b(6a)側のリップ部の先端13に当接するリップ部先端当接部48が設けられている(
図3(a))。このリップ部先端当接部48は、本体部19における、他方の側壁6b(6a)側のリップ部の内面12に係止する一方の係止部16に隣接して配置されている。具体的に、リップ部先端当接部48は、一方の係止部16に隣接して立ち上がる側板38bにより構成されている。そして、リップ部先端当接部48は、駒体3が浅形のベース材2の底壁5に当接した状態で、ベース材2のリップ部の先端13に当接可能とされている(
図7(d)参照)。ただし、リップ部先端当接部48は、駒体3が深形のベース材2(
図9参照)の底壁5に当接した状態で、ベース材2のリップ部の先端13に当接しない。さらに、本体部19の弾接片21側には
、一方の側壁6a(6b)側のリップ部の先端13に当接可能なリップ部先端当接部49が設けられている(
図9(b)及び
図10(b)参照)。このリップ部先端当接部49は、一方の係止部15に隣接して配置される段差部43により構成されている。このリップ部先端当接部49は、リップ部先端当接部48と協働してベース材2の一対のリップ部間である開口部8内に入り込むことで、開口部8における幅方向すなわち駒体3の前後方向Pの外力による移動を防止し、弾接片21の変形を阻止し、同方向のがたつきを防止している。
【0024】
ここで、上記弾接片21が一方の側壁6a(6b)に弾接するとき、弾接片21の弾発力により駒体3のリップ部先端当接部48が他方の側壁6b(6a)側のリップ部の先端13に押圧されることにより、駒体3の本体部19は、ベース材2の底壁5から離間した位置に仮保持される(
図8(a)参照)。この仮保持された駒体3の本体部19は、ベース材2の開口部8の延びる方向に沿った移動(即ち、駒体3の前後方向P及び左右方向Qへの移動)が規制されるとともに、ベース材2の開口部8の深さ方向に沿った移動(特に、駒体3の落下)が規制される。そして、
図3に示すように、仮保持された駒体3の貫通孔36にバンド体17を挿通し、バンド体17によりケーブル10を締結することで、駒体3が開口部8の外方に向かって引き上げられ、各係止部15、16がリップ部の内面12に係止する。このとき、バンド体17は、ベース材2にケーブル10を押し付けるとともに、ケーブル10と駒体3の各係止部15、16とでベース材2のリップ部7a、7bを挟持するようにしてケーブル10を保持する。なお、上記リップ部7a、7bの挟持を邪魔しないように、弾接片21の先端は、係止部15、16がリップ部の内面12に係止する前に、ベース材の側壁6a(6b)とリップ部7a(7b)との境界の角部に当接しない。
【0025】
次に、上記構成の配線・配管材保持台座1を用いてケーブル10を保持する方法を説明する。
図7(a)、(b)に示すように、駒体3の本体部19を弾接片側から浅形のベース材2の開口部8に挿入し、
図7(c)に示すように、弾接片21を一方の側壁6aに当接させ且つ傾斜面26を他方の側壁6bのリップ部7bに当接させた状態より、本体部19の反弾接片形成側を開口部8に挿入する方向へと傾動させる。すると、弾接片21が弾性変形しつつ側壁6a上を上方に摺動し、本体部19の反弾接片形成側が開口部8から内部に挿入される。このとき、
図7(d)に示すように、駒体3の脚部24、25がベース材2の底壁5上に載置されるとともに、弾接片21の弾発力により駒体3のリップ部先端当接部48が他方の側壁6b側のリップ部の先端13に押圧され、駒体3は、ベース材2の底壁5に当接した位置に仮保持される。
【0026】
次に、
図8(a)に示すように、指先等で駒体3を引き上げることで、駒体5は、ベース材2の底壁5から離間した位置に仮保持される。次いで、
図8(b)に示すように、仮保持された駒体3の貫通孔36にバンド体17を挿通する。その後、
図8(c)に示すように、駒体3と対応する位置でベース材2を横切るようにケーブル10を配置し、バンド体17をケーブル10の外周に巻き回して締め付けることで、バンド体17によりケーブル10を締結して保持する。このとき、
図8(d)に示すように、バンド体17は、ベース材2にケーブル10を押し付けるとともに、ケーブル10と駒体3の各係止部15、16とでベース材2のリップ部7a、7bを挟持するようにしてケーブル10を保持する。このように、配線・配管保持台座1に仮保持された駒体3の貫通孔36にバンド体17を挿通し、バンド体17によりケーブル10を保持することで、配線・配管材保持装置Dが構成される。
【0027】
なお、本実施形態では、駒体3をベース材2の底壁5から離間した位置に仮保持し(
図8(a)参照)、その状態より駒体3の貫通孔36にバンド体17を挿通するようにしたが、これに限定されず、例えば、駒体3をベース材2の底壁5に当接した位置に仮保持し(
図7(d)参照)、その状態より駒体3の貫通孔36にバンド体17を挿通し、バンド体17でケーブル10を締結する際に、駒体3を引き上げるようにしてもよい。
【0028】
次に、上記駒体3を深形のベース材2に仮保持する方法を説明する。
図9(a)に示すように、駒体3の本体部19を弾接片側からベース材2の開口部8に挿入し、
図9(b)に示すように、弾接片21を一方の側壁6aに当接させ且つ傾斜面26を他方の側壁6bのリップ部7bに当接させた状態より、指先等で駒体3を底側から支えつつ、本体部19の反弾接片形成側を開口部8に挿入する方向へと傾動させる。すると、駒体3のリップ部先端当接部49が一方の側壁6a側のリップ部の先端13に当接した状態で、弾接片21が弾性変形しつつ側壁6a上を上方に摺動し、本体部19の反弾接片形成側が開口部8から内部に挿入される。このとき、
図9(c)に示すように、弾接片21の弾発力により駒体3のリップ部先端当接部48が他方の側壁6b側のリップ部の先端13に押圧され、駒体3は、ベース材2の底壁5から離間した位置に仮保持される。なお、上記駒体3の仮保持後には、浅形のベース材2に対するケーブル10の保持作用と略同様にして、仮保持された駒体3の貫通孔36に挿通したバンド体17によりケーブル10を保持する。
【0029】
次に、上記駒体3を深形のベース材2に仮保持する他の方法を説明する。
図10(a)に示すように、駒体3を適当な傾斜姿勢でベース材2の開口部8に挿入してベース材2内に配置し、
図10(b)に示すように、駒体3のリップ部先端当接部49が一方の側壁6a側のリップ部の先端13に当接した状態で、弾接片21を一方の側壁6aに当接させて弾性変形させつつ、駒体3の反弾接片形成側を開口部8の外方に向かう方向へと傾動させる。すると、
図10(c)に示すように、弾接片21の弾発力により駒体3のリップ部先端当接部48が他方の側壁6b側のリップ部の先端13に押圧され、駒体3は、ベース材2の底壁5から離間した位置に仮保持される。なお、上記駒体3の仮保持後には、浅形のベース材2に対するケーブル10の保持作用と略同様にして、仮保持された駒体3の貫通孔36に挿通したバンド体17によりケーブル10を保持する。
【0030】
なお、上記深形のベース材2から仮保持された駒体3を取り外す場合、指先等で仮保持された駒体3をベース材2の底壁5まで落とし込み、その駒体5を適当な傾斜姿勢として摘み上げてベース材2内から取り出す。一方、浅形のベース材2から仮保持された駒体3を取り外す場合、指先等で仮保持された駒体3をベース材2の長手方向に沿って移動させ、ベース材2の側方端部から取り出す。
【0031】
次に、本実施形態の配線・配管材保持台座1の作用・効果を説明する。
本実施形態の配線・配管材保持台座1は、底壁5、側壁6a、6b、リップ部7a、7b及び開口部8を有する略C字状の一定断面のベース材2と、2つの係止部15、16と保持部材取付部18とを有する本体部19を備え、ベース材2の一方の側壁6a(6b)の内面に弾接する弾接片21が本体部19から延設された駒体3と、からなり、駒体3の本体部19における弾接片21が形成された側との反対側には、他方の側壁6b(6a)側のリップ部7b(7a)における底壁5と対向するリップ部内面12に係止する係止部16に隣接し、他方の側壁6b(6a)側のリップ部7b(7a)における、一方の側壁6a(6b)側のリップ部7a(7b)と対向する先端13に当接するリップ部先端当接部48が設けられているので、弾接片21の弾発力により駒体3のリップ部先端当接部48が他方の側壁6b(6a)側のリップ部の先端13に押圧されることで、ベース材2の一方の側壁6a(6b)と他方の側壁6b(6a)側のリップ部7b(7a)との間に駒体3が仮保持される。そのため、ベース材2の深さにかかわらず駒体3を仮保持できる。
【0032】
そして、本実施形態では、駒体3の本体部19は、ベース材2の底壁5から離間した位置に仮保持されるので、保持部材取付部18の貫通孔36がベース材2の開口部8の近傍に位置するように駒体3を仮保持できる。そのため、貫通孔36に対してバンド体17を容易に挿通して取り付け得るとともに、バンド体17によりケーブル10を容易に締結して保持できる。
また、本実施形態では、駒体3の本体部19は、開口部8の延びる方向に沿った移動が規制されるので、駒体3のベース材2の長手方向への自由移動が規制される。そのため、ベース材が縦向き等に配設される場合でも、駒体が自然落下したり移動するのを防止できるので、保持部材で締結する際に駒体を保持している必要がなく、貫通孔36に対してバンド体17を容易に挿通して取り付け得るとともに、バンド体17によりケーブル10を容易に締結して保持できる。
【0033】
また、本実施形態では、駒体3の本体部19を弾接片側から、ベース材2の開口部8に挿入し、本体部19の反弾接片形成側を開口部8に挿入する方向へと傾動させることで、弾接片21が弾性変形し、反弾接片形成側が開口部8から内部に挿入される。これにより、ベース材2の開口部8の外方から駒体3を容易に挿入して仮保持できる。これに対して、従来のように、一旦ベース材102内に駒体103を入れてから平面視で90度回転させる形態(
図13参照)では、弾性脚部121を弾性変形させつつ駒体103を90度回転させる必要があり、煩雑な仮保持作業となる。
さらに、本実施形態では、駒体3のリップ部先端当接部48は、駒体3が浅形のベース材2の底壁5に当接した状態で、ベース材2のリップ部の先端13に当接する。これにより、駒体3は、ベース材2の底壁5上に落ち込んでも、正規の姿勢を維持した状態で、ベース材2の長手方向にずれない。
【0034】
また、本実施形態では、駒体3の係止部15、16がベース材2のリップ部内面12に係止した状態で、駒体3の本体部19の開口部8から外方に臨む箇所は、ベース材2の側壁6a、6bの先端側外面よりも突出しない。これにより、バンド体17の取り付けやケーブル10の保持の際に駒体3が邪魔にならず、作業性が高められる。
さらに、本実施形態では、バンド体17で締結することで、ベース材2にケーブル10を押し付けることができ、この押し付け力で駒体3の係止部15、16とともにベース材2のリップ部7a、7bを挟持して、ベース材2に対するケーブル10のずれを防止できる。そのため、バンド体17によりケーブル10を強固且つ安定的に締結して保持できる。
【0035】
ところで、上記実施形態の配線・配管材保持台座1では、ベース材2に仮保持された駒体3の貫通孔36にバンド体17を挿通する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、予め貫通孔36にバンド体17を挿通した駒体3をベース材2の開口部8から挿入して仮保持するようにしてもよい。具体的に、
図11(a)に示すように、駒体3の貫通孔36にバンド体17を予め挿通しておき、
図11(b)に示すように、バンド体17が挿通された駒体3の弾接片側をベース材2の開口部8に挿入して傾動させて、
図11(c)に示すように、駒体3をベース材2に仮保持する。この形態によると、駒体3は、バンド体17を保持部材取付部18の貫通孔36に挿通した状態で、ベース材2の開口部8から挿入可能であるので、予め貫通孔36にバンド体17を挿通した駒体3をベース材2の開口部8から挿入して仮保持できる。そのため、バンド体17によりケーブル10を迅速に締結して保持できる。
【0036】
また、上記実施形態では、ベース材2の開口部8から駒体3を挿入して仮保持するようにしたが、これに限定されず、例えば、ベース材2の側方端部から駒体3を挿入して仮保持してもよい。具体的に、
図12(a)に示すように、ベース材2の側方端部に対して駒体3の左右方向Qの一端側を対向させた状態より、駒体3をベース材2の側方端部から挿入する。このとき、弾接片21を一方の側壁6aに押圧して弾性変形させつつ、リップ部先端当接部48が他方の側壁6b側のリップ部の先端13に押圧されるように駒体3を挿入し、
図12(b)に示すように、その駒体3をベース材2の長手方向に沿って所望の位置まで移動させて仮保持する。なお、深形のベース材2の側方端部から駒体3を挿入する場合、上述と略同様の仮保持形態の他に、挿入された駒体3をベース材2の長手方向に沿って所望の位置まで移動させ、その後、駒体3を指先等で引き上げて、弾接片21を一方の側壁6a(6b)に押圧して弾性変形させつつ、リップ部先端当接部48が他方の側壁6b(6a)側のリップ部の先端13に押圧されるように駒体3を仮保持する形態も採用できる。
【0037】
また、上記実施形態では、弾接片21の弾発力により、他方の側壁6b(6a)側に押圧された、駒体3の本体部19におけるベース材2と当接する箇所は、リップ部の先端13であるが、本発明を実施する場合には、これに限られるものではなく、他方の側壁6b(6a)の内面であってもよい。すなわち、駒体3のリップ部先端当接部48は、省略してもよいし、リップ部先端当接部49とともに、ベース材2の開口部8における幅方向のずれを防止するものとしてのみに利用してもよい。
【0038】
更に、上記実施形態において、浅形のベース材2に取り付けるときに、脚部24,25がベース材2の底壁5に当接する位置で、リップ部先端当接部48が、リップ部の先端13に当接しているが、深形のベース材2に合わせて、脚部24,25を
図4の下方に延長して長く伸ばし、または、リップ部先端当接部48を下方に延長して、駒体3がベース材2の底壁5に当接する位置で、リップ部先端当接部48がリップ部の先端13に当接するようにしてもよい。
【0039】
加えて、駒体3における脚部24,25の内側間隔は、開口部8の幅であるリップ部間の幅よりも狭く形成されているとともに、保持部材取付部18の貫通孔36の幅よりも広く形成されている。そのため、脚部24,25間の空間を利用して、貫通孔36に挿通されるバンド体17よりも幅広のバンド体でケーブル10を締結保持することもできる。この場合は、脚部24,25間の空間も保持部材取付部として作用する。
【0040】
さらに、上記実施形態では、駒体3として、平面視で略矩形状の本体部19を備えるものを例示したが、これに限定されず、例えば、平面視で略円形状、略楕円形状、5角以上の多角形状の本体部を備えるものを採用してもよい。さらに、合成樹脂ではなく金属により形成される駒体を採用してもよい。さらに、上記実施形態では、2種類の深さの異なるベース材2に対応する駒体3を例示したが、これに限定されず、例えば、3種類以上の深さの異なるベース材に対応する駒体としてもよい。
【0041】
さらに、上記実施形態では、保持部材として、保持部材取付部18の貫通孔36に挿通されてケーブル10を締結するバンド体17を例示したが、これに限定されず、例えば、保持部材取付部18にネジ止め、嵌合等により取り付けられてケーブル10を把持するサドル等を採用してもよい。
【0042】
さらに、上記実施形態では、配線・配管材として、ケーブル10を例示したが、適用される配線・配管材はこれに限定されず、ケーブル等の配線の他に、線管、給水管、給湯管等の配管材としてもよい。