特許第6849618号(P6849618)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6849618中性エンドペプチダーゼの阻害剤(NEP阻害剤)および/またはアンジオテンシンII拮抗薬と組み合わせた可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激薬および/または活性化薬ならびにその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6849618
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】中性エンドペプチダーゼの阻害剤(NEP阻害剤)および/またはアンジオテンシンII拮抗薬と組み合わせた可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激薬および/または活性化薬ならびにその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20210315BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20210315BHJP
   A61K 31/216 20060101ALI20210315BHJP
   A61K 31/41 20060101ALI20210315BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210315BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20210315BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20210315BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20210315BHJP
   A61P 7/10 20060101ALI20210315BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20210315BHJP
   A61P 3/14 20060101ALI20210315BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20210315BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   A61K31/192
   A61K31/506
   A61K31/216
   A61K31/41
   A61P43/00 121
   A61P9/00
   A61P13/12
   A61P11/00
   A61P43/00 105
   A61P43/00 111
   A61P7/10
   A61P3/06
   A61P3/14
   A61P7/02
   A61P9/04
【請求項の数】13
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2017-567712(P2017-567712)
(86)(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公表番号】特表2018-520151(P2018-520151A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】EP2016066891
(87)【国際公開番号】WO2017013010
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2019年5月20日
(31)【優先権主張番号】15178141.6
(32)【優先日】2015年7月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514298139
【氏名又は名称】バイエル・ファルマ・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・マルクヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・フォルマン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス−ペーター・シュタシュ
【審査官】 榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/056511(WO,A1)
【文献】 特表2013−526598(JP,A)
【文献】 特表2014−522383(JP,A)
【文献】 JOHN J V MCMURRAY; MILTON PACKER; AKSHAY S DESAI; ET AL,ANGIOTENSIN-NEPRILYSIN INHIBITION VERSUS ENALAPRIL IN HEART FAILURE,NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE,2014年 9月11日,VOL:371, NR:11,PAGE(S):993 - 1004,URL,http://dx.doi.org/10.1056/NEJMoa1409077
【文献】 J. Clin. Pharmacol.,2010年,Vol.50, No.4,p.401-414
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 45/00−45/08
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
の化合物からなる群から選択されるsGC刺激薬、もしくは、式
【化6】
sGC活性化薬、サクビトリルおよびバルサルタン、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物を含むキット
【請求項2】

【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
の化合物からなる群から選択されるsGC刺激薬、もしくは、式
【化12】
のsGC活性化薬、および、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物を含む、請求項1に記載のキット
【請求項3】

【化13】
のsGC刺激薬、または、式
【化14】
のsGC活性化薬、および、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物を含む、請求項1または2に記載のキット
【請求項4】

【化15】
のsGC刺激薬、および、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物を含む、請求項1から3いずれか一項に記載のキット。
【請求項5】

【化16】
のsGC刺激薬、および、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
心血管障害、腎障害、肺障害の処置および/または予防のための、さらに線維性疾患の処置および/または予防のための方法に使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載のキット
【請求項7】
不活性で無毒の薬剤的に適した賦形剤と組み合わせた、

【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
の化合物からなる群から選択されるsGC刺激薬、もしくは、式
【化22】
sGC活性化薬、サクビトリルおよびバルサルタン、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物を含む薬物。
【請求項8】
ACE阻害剤、レニン阻害剤、β遮断薬、アセチルサリチル酸、利尿薬、カルシウム拮抗薬、スタチン、ジギタリス(ジゴキシン)誘導体、カルシウム感受性増強薬、硝酸塩および抗血栓薬からなる群から選択される1または複数のさらなる有効成分と組み合わせた、

【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
の化合物からなる群から選択されるsGC刺激薬、もしくは、式
【化28】
sGC活性化薬、サクビトリルおよびバルサルタン、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物を含む薬物。
【請求項9】
心血管障害、腎障害、肺障害の処置および/または予防のための、さらに線維性疾患の処置および/または予防のための方法において用いるための

【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
の化合物からなる群から選択されるsGC刺激薬、もしくは、式
【化34】
sGC活性化薬、サクビトリルおよびバルサルタン、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物を含む薬物。
【請求項10】

【化35】
のsGC刺激薬、または、
【化36】
のsGC活性化薬を含む医薬組成物、ならびに、バルサルタン、および、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルを含む医薬組成物を含むキット。
【請求項11】

【化37】
のsGC刺激薬、または、式
【化38】
の化合物を含む医薬組成物、ならびに、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物を含む医薬組成物
を含む、請求項10に記載のキット。
【請求項12】

【化39】
の化合物を含む医薬組成物、および、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物を含む医薬組成物を含む、請求項11に記載のキット。
【請求項13】

【化40】
の化合物を含む医薬組成物、および、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物を含む医薬組成物を含む、請求項11に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心血管障害、例えば駆出率が保持されている心不全または駆出率が低下した心不全、腎障害、例えば慢性腎不全、泌尿器系障害、肺障害、中枢神経系の障害の処置および/または予防のための、例えば認知症の脳血管の状態の場合の脳灌流の調節のための、線維性疾患およびその他の疾患症状(例えば、脳、腎臓または心臓に影響を及ぼす終末器官損傷)の処置および/または予防のための中性エンドペプチダーゼの阻害剤および/またはアンジオテンシンII拮抗薬と組み合わせた可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激薬および/または活性化薬ならびにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物細胞で最も重要な細胞伝達系の1つは、サイクリックGMP(cGMP)である。内皮から放出され、ホルモンおよび機械的シグナルを伝達する一酸化窒素(NO)とともに、サイクリックGMPはNO/cGMP系を形成する。グアニル酸シクラーゼは、グアノシン三リン酸(GTP)からcGMPの生合成を触媒する。現在までに知られているこのファミリーの代表は、構造的特徴かまたはリガンドの種類によって2つの群、つまり、ナトリウム利尿ペプチドによって刺激され得る粒子状グアニル酸シクラーゼと、NOによって刺激され得る可溶性グアニル酸シクラーゼに分類することができる。可溶性グアニル酸シクラーゼは2つのサブユニットからなり、調節中枢の一部であるヘムを1個のヘテロ二量体あたり1個含む可能性が高い。これは活性化機構に最も重要である。NOはヘムの鉄原子と結合することができ、したがって酵素の活性を著しく増加させる。一方、ヘムを含まない調製物はNOに刺激されない。一酸化炭素(CO)もヘムの中心の鉄原子と結合することができるが、COによる刺激はNOによる刺激よりもずっと小さい。粒子状の膜結合グアニル酸シクラーゼは、サイトゾル触媒ドメイン、膜貫通領域および細胞外リガンド結合ドメインからなる。ナトリウム利尿ペプチドと細胞外リガンド結合ドメインの結合は、触媒ドメインの活性化およびGTPからcGMPの生合成を導く。中性エンドペプチダーゼ(ネプリライシン)は、タンパク質切断によってナトリウム利尿ペプチドを不活性化し、結果的に粒子状のグアニル酸シクラーゼの効果を抑制する。
【0003】
cGMPを形成することによって、そして結果として生じるホスホジエステラーゼイオンチャネルおよびプロテインキナーゼの調節のおかげで、グアニル酸シクラーゼは、様々な生理学的プロセスにおいて、特に平滑筋細胞の弛緩および増殖、血小板凝集および血小板粘着、神経細胞シグナル伝達において、さらに上述のプロセスの崩壊に基づく障害においても重要な役割を果たす。病態生理学的条件下で、NO/cGMP系は抑制され得、それが例えば、高血圧症、血小板活性化、細胞増殖の増加、内皮機能障害、動脈硬化症、狭心症、心不全、心筋梗塞、血栓症、卒中および性機能障害をもたらし得る。
【0004】
高い効率おび低レベルの副作用が予測されるために、生物のcGMPシグナル経路の影響を標的化することによる、そのような障害に対する、可能性のあるNO非依存性の処置は有望な手法である。
【0005】
今まで、可溶性グアニル酸シクラーゼの治療的刺激には、その効果がNOの直接放出に基づく有機硝酸塩などの化合物が主に使用されてきた。NOは、生物変換によって形成され、ヘムの中心の鉄原子に作用することよって可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化させる。副作用の他に、耐性の発生がこの処置様式の重大な欠点の1つである。
【0006】
sGC活性化薬および刺激薬によって、ヘムを含まない形態と同様に天然の可溶性グアニル酸シクラーゼは直接活性化または刺激される。
【0007】
sGC活性化薬を使用して、可溶性グアニル酸シクラーゼの酸化型、および最終的にNOとは独立にsGCのヘムを含まない型を直接刺激することも可能である。この酸化/ヘムを含まない型は、酸化ストレスにさらされる組織に比較的高い濃度で蓄積することがあるので、sGC活性化薬を使用することにより、酸化ストレス下での組織の標的化処置もできるはずである。
【0008】
LCZ696は、ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤)であり、そのためにアンジオテンシンII拮抗薬バルサルタンとネプリライシン阻害剤サクビトリルからなる二重有効成分である。ネプリライシン抑制によって、ナトリウム利尿ペプチドの分解の減少が実現される。これらは、その前糸球体血管での血管拡張効果のために、特に利尿およびナトリウム利尿作用を有する。その上、それらは近位尿細管部でのナトリウム再吸収を阻害することもできる。
【0009】
LCZ696(アンジオテンシン受容体拮抗薬バルサルタンとNEP阻害剤サクビトリルの組合せ)によるアンジオテンシン受容体封鎖とネプリライシン抑制の組合せが、心不全の患者の臨床試験(第III相)で最近調査され、その結果死亡リスクおよび入院が減少した(McMurrayら、2014 NEJM)。ANPおよびcGMPの望ましい増加に加えて、レニンおよびアンジオテンシンの代償性増加を、健康な被験体と高血圧患者の両方へのLCZ696投与で測定した(Gu J.ら、J Clin Pharmacol.2010 Apr;50(4):401−14)。
【0010】
血圧を低下させるためにLCZ696を投与することの不利な点は、心拍の代償作用、例えば、血圧低下を伴う反射性頻拍などが観察され得ることである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】McMurrayら、2014 NEJM
【非特許文献2】Gu J.ら、J Clin Pharmacol.2010 Apr;50(4):401−14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、平均動脈圧を低下させ、心拍などの血行動態パラメータへの影響ができる限り少ないか全くない、心血管障害の処置のための医薬品有効成分の組合せを提供することである。これは、上記の不利点である血圧の低下に関連する心拍の代償作用を克服することを目的とする。
【0013】
この目的を達成するために、ネプリライシン阻害剤および/またはアンジオテンシンII拮抗薬と組み合わせたsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬を、実験条件下で、結果として生じる血漿および組織cGMPレベルに起因する血圧および心拍へのプラスの効果が示され得ると仮定して、急性および特に慢性使用下で調査した。これらの実験条件は、健康な動物で、または高血圧症の動物(例えば、自然発症高血圧ラット)でも構成される。この例では、実験は、ネプリライシン阻害剤とアンジオテンシンII拮抗薬の唯一の組合せ、例えば、LCZ696などに対して「一対一で」sGC刺激薬および/または活性化薬によって行われる。
【0014】
これらの実験は、サクビトリル(ネプリライシンの抑制による粒子状、膜依存性グアニル酸シクラーゼの活性化)および/またはアンジオテンシンII拮抗薬と組み合わせたsGC刺激薬および/または活性化薬で可溶性グアニル酸シクラーゼを刺激することによってcGMPの強化が、例えば、心拍および平均動脈圧などの血行動態パラメータに有利な効果を有するかどうかを決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上に述べた目的に対する解決策および本発明の主題は、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬と、ネプリライシン阻害剤および/またはアンジオテンシンII拮抗薬との以下の組合せである。
【0016】
可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激薬および/または活性化薬と、ネプリライシン阻害剤および/またはアンジオテンシンII拮抗薬との組合せは、血管弛緩および/または制御可能な血圧低下をもたらす。そのため、この組合せは、疾患、好ましくは心血管障害の処置および/または予防に、特に、駆出率が保持されている心不全または駆出率が低下した心不全、腎障害、肺障害の処置および/または予防、ならびにヒトおよび動物における処置および/または線維性疾患に適している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】B−x)物質投与;式(6)の化合物0.3mg/kg経口投与;二重の組合せ:30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタン経口投与、三重の組合せ:式(6)の化合物0.3mg/kg、30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタン経口投与後の、時間[h]に対する偏差%としての平均動脈圧および心拍を示す図である。
図2】B−x)物質投与;式(6)の化合物0.1mg/kg経口投与;二重の組合せ:30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタン経口投与、三重の組合せ:式(6)の化合物0.1mg/kg、30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタン経口投与後の、時間[h]に対する偏差%としての平均動脈圧および心拍を示す図である。
図3】B−x)物質投与;式(29)の化合物10mg/kg経口投与;二重の組合せ:30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタン経口投与、三重の組合せ:式(29)の化合物10mg/kg、30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタン経口投与後の、時間[h]に対する偏差%としての平均動脈圧および心拍を示す図である。
図4】B−x)物質投与;式(29)の化合物3mg/kg経口投与;二重の組合せ:30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタン経口投与、三重の組合せ:式(29)の化合物3mg/kg、30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタン経口投与後の、時間[h]に対する偏差%としての平均動脈圧および心拍を示す図である。
図5】B−x)物質投与;式(29)の化合物1mg/kg経口投与;二重の組合せ:30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタン経口投与、三重の組合せ:式(29)の化合物1mg/kg、30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタン経口投与後の、時間[h]に対する偏差%としての平均動脈圧および心拍を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
投与される本発明による組合せのアンジオテンシンII拮抗薬は、例として、そして好ましくは、バルサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、エプロサルタンまたはアジルサルタンおよび好ましくはバルサルタンである。
【0019】
バルサルタンは、式(30)のアンジオテンシンII拮抗薬(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチルプロパ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]アミン
【化1】
またはその塩、溶媒和物または塩の溶媒和物であり、欧州特許第0443983A号および米国特許第5399578A号に記載されている。
【0020】
本発明による組合せのNEP阻害剤は、式(31)のN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸
【化2】
または酸のエステル、あるいは各々の例では、酸またはエステルの塩、溶媒和物または塩の溶媒和物である。本発明による組合せのNEP阻害剤の酸およびエステルは、欧州特許第0555175A1号に記載されている。
【0021】
N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸の好ましい形態は、エチルエステル、エチルN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタノエートの形態である。
【0022】
エチルN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタノエートに関して、好ましい塩には、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩が含まれる。
【0023】
本発明による組合せでは、バルサルタンおよびNEP阻害剤は、各々の例では個々にまたは三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物として存在してよい。
【0024】
三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物複合体は、LCZ696としても公知であり、欧州特許第1948158A1号により詳細に記載されている。
【0025】
本発明による組合せの状況において、sGC刺激薬および活性化薬は、以下の公開される明細書に開示される化合物である:国際公開第03/097063号、国際公開第03/09545号、国際公開第04/009589号、国際公開第03/004503号、国際公開第02/070462号、国際公開第2007/045366号、国際公開第2007/045369号、国際公開第2007/045370号、国際公開第2007/045433号、国際公開第2007/045367号、国際公開第2007/124854号、国際公開第2007/128454号、国際公開第2008/031513号、国際公開第2008/061657号、国際公開第2008/119457号、国際公開第2008/119458号、国際公開第2009/127338号、国際公開第2010/079120号、国際公開第2010/102717号、国際公開第2011/051165号、国際公開第2011/147809号、国際公開第2011/141409号、国際公開第2014/012935号、国際公開第2012/059549号、国際公開第2012/004259号、国際公開第2012/004258号、国際公開第2012/059548号、国際公開第2012/028647号、国際公開第2012/152630号、国際公開第2012/076466号、国際公開第2014/068099号、国際公開第2014/068104号、国際公開第2012/143510号、国際公開第2012/139888号、国際公開第2012/152629号、国際公開第2013/004785号、国際公開第2013/104598号、国際公開第2013/104597号、国際公開第2013/030288号、国際公開第2013/104703号、国際公開第2013/131923号、国際公開第2013/174736号、国際公開第2014/012934号、国際公開第2014/068095号、国際公開第2014/195333号、国際公開第2014/128109号、国際公開第2014/131760号、国際公開第2014/131741号、国際公開第2015/018808号、国際公開第2015/004105号、国際公開第2015/018814号、国際公開第98/16223号、国際公開第98/16507号、国際公開第98/23619号、国際公開第00/06569号、国際公開第01/19776号、国際公開第01/19780号、国際公開第01/19778号、国際公開第02/042299号、国際公開第02/092596号、国際公開第02/042300号、国際公開第02/042301号、国際公開第02/036120号、国際公開第02/042302号、国際公開第02/070459号、国際公開第02/070460号、国際公開第02/070461号、国際公開第02/070510号、国際公開第2012/165399号、国際公開第2014/084312号、国際公開第2011/115804号、国際公開第2012/003405号、国際公開第2012/064559号、国際公開第2014/047111号、国際公開第2014/047325号、国際公開第2011/149921号、国際公開第2010/065275号、国際公開第2011/119518号、国際公開第2015/08885号、国際公開第2015/08886号、国際公開第2014/144100号。
【0026】
本発明による組合せの状況において好ましいsGC刺激薬および活性化薬は、
国際公開第00/06569号の実施例16として開示される、2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5−(4−モルホリニル)−4,6−ピリミジンジアミン(1)、
国際公開第02/42301号の実施例1として開示される、2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5−(4−ピリジニル)−4−ピリミジンアミン(2)、
国際公開第03/095451号の実施例8として開示される、メチル4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5−ピリミジニル(メチル)カルバメート(3)、
国際公開第03/095451号の実施例5として開示される、メチル4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5−ピリミジニルカルバメート(4)、
国際公開第01/019780号の実施例8aとして開示される、4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)カルボン酸(5)、
国際公開第2011/147809号に開示される、メチル{4,6−ジアミノ−2−[5−フルオロ−1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメート(6)、メチル{4,6−ジアミノ−2−[5−フルオロ−1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}メチルカルバメート(7)、メチル{4,6−ジアミノ−2−[5−フルオロ−1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}(2,2,2−トリフルオロエチル)カルバメート(8)、
国際公開第00/02851号に開示される、ナトリウム塩(9)としての5−クロロ−2−(5−クロロチオフェン−2−スルホニルアミノ−N−(4−(モルホリン−4−スルホニル)フェニル)ベンズアミド、
国際公開第00/02851号に開示される、2−(4−クロロフェニルスルホニルアミノ)−4,5−ジメトキシ−N−(4−(チオモルホリン−4−スルホニル)フェニル)ベンズアミド(10)、
国際公開第2009/032249号に開示される、1−{6−[5−クロロ−2−({4−トランス−4−}トリフルオロメチル)シクロヘキシル]ベンジル}オキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(11)、
国際公開第2009/071504号に開示される、1−[6−(2−(2−メチル−4−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ベンジルオキシ)フェニル)ピリジン−2−イル]−5−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸(12)、
国際公開第2009/068652号に開示される、1[6−(3,4−ジクロロフェニル)−2−ピリジニル−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(13)、
国際公開第2009/123316号に開示される、1−({2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(14)、4−({2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)安息香酸(15)および1−({2−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−メチル−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(16)、
国際公開第2010/065275号に開示される、4−アミノ−2−[5−クロロ−3(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(17)、4−アミノ−2[5−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−インダゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(18)、4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)1H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−1−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(19)、4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−1H−チエノ[2,3−d]ピラゾール−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(20)、4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[7−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−b]ピリダジン−5−イル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(21)、4−アミノ−2−[6−クロロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(22)、4−アミノ−2−[6−フルオロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(23)、4−アミノ−2−[6−フルオロ−3−(2,3,6−トリフルオロベンジル)6−フルオロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(24)、4−アミノ−5,5−ジメチル−2−[3−(2,4,6−トリフルオロベンジル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(25)、4−アミノ−2−[3−(2−シクロペンチルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−5,5−ジメチル−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(26)、
国際公開第00/06568号の実施例1として開示されるBAY 41−2272として公知の、3−(4−アミノ−5−シクロプロピルピリミジン−2−イル)−1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(27)、
国際公開第2014/131760号の実施例1として開示される、2−{5−フルオロ−1−[(3−フルオロピリジン−2−イル)メチル]−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル}−5−メチル−5−(トリフルオロメチル)−4−[(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−オン(28)、
国際公開第2012/139888号の実施例22として開示される、3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−シクロプロピルプロパン酸(29)、
国際公開第2014/012934号の例として開示される、5−{[2−(4−カルボキシフェニル)エチル][2−(2−{[3−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル]メトキシ}フェニル)エチル]アミノ}−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−カルボン酸の式(32)および5−{(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[3−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル]メトキシ}フェニル)エチル]アミノ}−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−2−カルボン酸の式(33)、
式(34)のent−N−[(2S)−アミノ−2−メチルブチル]−8−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−2,6−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーA)、式(35)のent−N−(2−アミノ−2−メチルブチル)−8−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−2,6−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーB)、式(36)のent−N−(2−アミノ−5,5,5−トリフルオロ−2−メチルペンチル)−2,6−ジメチル−8−[(2,3,6−トリフルオロベンジル)オキシ]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーB)、式(37)のent−N−(2−アミノ−5,5,5−トリフルオロ−2−メチルペンチル)−8−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−2,6−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーB)、式(38)のent−N−(2−アミノ−5,5,5−トリフルオロ−2−メチルペンチル)−8−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−2,6−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーA)、式(39)のent−N−(2−アミノ−3−フルオロ−2−メチルプロピル)−2,6−ジメチル−8−[(2,3,6−トリフルオロベンジル)オキシ]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーB)、式(40)のent−N−(2−アミノ−3−フルオロ−2−メチルプロピル)−8−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−2,6−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーB)、式(41)のent−N−(2−アミノ−3−フルオロ−2−メチルプロピル)−8−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−2,6−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーA)、式(42)のrac−N−(2−アミノ−3−フルオロ−2−メチルプロピル)−8−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−2,6−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミドホルメート、式(43)のent−N−(2−アミノ−3−フルオロ−2−メチルプロピル)−2,6−ジメチル−8−[(2,3,6−トリフルオロベンジル)オキシ]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーA)、式(44)のent−N−(2−アミノ−3−フルオロ−2−メチルプロピル)−8−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−6−(ジフルオロメチル)−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーB)、式(45)のent−N−(2−アミノ−3−フルオロ−2−メチルプロピル)−8−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−6−(ジフルオロメチル)−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミド(エナンチオマーA)であり、式(46)のent−N−(2−アミノ−3−フルオロ−2−メチルプロピル)−8−[(2,6−ジフルオロベンジル)オキシ]−6−(フルオロメチル)−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボキサミドは、国際公開第2014/068099号に例として開示される。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
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【化30】
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【化44】
【化45】
【化46】
【0027】
式(1)、(2)、(3)、(4)、(6)〜(8)、(17)〜(27)および(34)〜(46)の化合物は、sGC刺激薬として公知である。
【0028】
式(5)および(9)〜(16)、(29)、(32)および(33)の化合物は、sGC活性化薬として公知である。
【0029】
本発明による組合せの状況において、式(1)、(2)、(3)、(4)、(6)〜(8)および(17)〜(27)のsGC刺激薬ならびに式(5)および(9)〜(16)および(29)の活性化薬が好ましい。
【0030】
本発明による組合せの状況において、好ましいsGC刺激薬は、式(1)、(2)、(3)、(4)、(6)、(7)、(27)および(28)の化合物である。
【0031】
本発明による組合せの状況において、特に好ましいのは、式(3)、(4)、(6)、(7)および(28)のsGC刺激薬である。
【0032】
本発明による組合せの状況において、特に好ましいのは、式(3)および(6)のsGC刺激薬である。
【0033】
本発明による組合せの状況において、特に好ましいのは、式(6)のsGC刺激薬である。
【0034】
本発明による組合せの状況において、特に好ましいのは、式(29)のsGC活性化薬である。
【0035】
本発明による組合せは、平均動脈圧を低下させることにより心血管疾患の効果的な処置を可能にし、できる限り、心拍などの血行動態パラメータへの影響を全くまたはほとんど起こらない。そのため、先行技術で公知の治療形態の上記の不利点、例えば、血圧の低下を伴う心拍の代償作用を克服することができた。
【0036】
さらに、本発明による組合せは、予測不能で有用な、薬理学的かつ薬物動態的な活性範囲を示す。
【0037】
本発明による組合せは、その血管弛緩作用(血管緊張低下)および血小板凝集の抑制のために疾患の予防および/または処置に適しており、血圧の低下および冠血流量の増加をもたらす。これらの効果は、可溶性および/または粒子状グアニル酸シクラーゼの刺激ならびに/あるいはアンジオテンシン受容体の封鎖に媒介される。その上、本発明による組合せは、cGMPレベルを増加させる物質、例えばEDRF(内皮由来弛緩因子)、NO供与体、プロトポルフィリンIX、アラキドン酸またはフェニルヒドラジン誘導体の作用を向上させる。
【0038】
本発明はさらに、心血管障害、例えば駆出率が保持されている心不全または駆出率が低下した心不全、腎障害、例えば慢性腎不全、泌尿器系障害、肺障害、中枢神経系の障害の処置のための、例えば認知症の脳血管の状態の場合の脳灌流の調節のための、線維性疾患およびその他の疾患症状(例えば、脳、腎臓または心臓に影響を及ぼす終末器官損傷)の処置および/または予防のための、ネプリライシン阻害剤および/またはアンジオテンシンII拮抗薬と組み合わせた、sGC活性化薬および/またはsGC刺激薬の使用に関する。
【0039】
本発明はさらに、アンジオテンシンII拮抗薬と組み合わせたsGC活性化薬および/またはsGC刺激薬に関し、また、心血管障害、例えば駆出率が保持されている心不全または駆出率が低下した心不全、腎障害、例えば慢性腎不全、泌尿器系障害、肺障害、中枢神経系の障害の処置のための、例えば認知症の脳血管の状態の場合の脳灌流の調節のための、線維性疾患およびその他の疾患症状(例えば、脳、腎臓または心臓に影響を及ぼす終末器官損傷)の処置および/または予防のためのその使用に関する。
【0040】
選択として、本発明は、ネプリライシン阻害剤、例えば好ましくはサクビトリルなど、および/またはアンジオテンシンII拮抗薬、例えば好ましくはバルサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、エプロサルタンまたはアジルサルタンなどと組み合わせたsGC刺激薬および/または活性化薬の投与に関する。
【0041】
選択として、本発明は、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルならびに/あるいはバルサルタンを含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルならびに/あるいはバルサルタンを含む組合せに関する。
【0042】
本発明はさらに、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬とLCZ696を含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【0043】
本発明は、特に好ましくはsGC刺激薬、サクビトリルおよび/またはアンジオテンシンII拮抗薬を含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【0044】
本発明はさらに、特に好ましくはsGC刺激薬、サクビトリルおよび/またはバルサルタンを含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【0045】
本発明はさらに、特に好ましくはsGC刺激薬およびLCZ696を含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【0046】
本発明はさらに、特に好ましくは、式(6)の化合物、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルおよび/またはバルサルタンを含む組合せに関し、いずれの場合も、式(6)の化合物の塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ならびにN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルおよび/またはバルサルタンに関する。
【0047】
本発明はさらに、特に好ましくは式(6)の化合物とLCZ696を含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【0048】
本発明はさらに、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬とバルサルタンを含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬とバルサルタンの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【0049】
本発明はさらに、式(6)の化合物とバルサルタンを含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、式(6)の化合物およびバルサルタンの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【0050】
組み合わせる成分は、塩として存在してよい。本発明の状況において好ましい塩は、組み合わせる化合物の生理的に許容される塩である。また、それ自体は製薬用途に適していないが、例えば、組み合わせる化合物の単離または精製に使用することができる塩も含められる。
【0051】
本発明はさらに、式(6)の化合物対バルサルタン対N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルのモル比が、0.01〜1:1:1である組合せに関する。
【0052】
本発明はさらに、式(6)の化合物対三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物のモル比が0.01〜1:1である組合せに関する。
【0053】
本発明はさらに、式(6)の化合物対N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルのモル比が、0.01〜1:1である組合せに関する。
【0054】
本発明はさらに、式(6)の化合物対バルサルタンのモル比が0.01〜1:1である組合せに関する。
【0055】
本発明はさらに、式(6)の化合物が毎日1回投与され、バルサルタンおよびエチルN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタノエートまたはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルが毎日2回投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0056】
本発明はさらに、1.25〜20mgの式(6)の化合物、20〜200mgのバルサルタンおよび20〜200mgのN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルが投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0057】
本発明はさらに、1.25〜20mgの式(6)の化合物および20〜200mgのN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルが投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0058】
本発明はさらに、1.25〜20mgの式(6)の化合物および20〜200mgのバルサルタンが投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0059】
本発明はさらに、式(6)の化合物が毎日1回投与され、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物が毎日2回投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0060】
本発明はさらに、1.25〜20mgの式(6)の化合物および40〜400mgの三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物が投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0061】
本発明はさらに、式(6)の化合物対バルサルタン対N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルのモル比が、0.001〜1:1:3、0.001〜1:3:1、0.001〜1:1:2、0.001〜1:2:1または0.001〜1:1:1、好ましくは0.005〜0.75:1:3、0.005〜0.75:3:1、0.005〜0.75:1:2、0.005〜0.75:2:1または0.005〜0.75:1:1、最も好ましくは0.01〜0.5:1:1である、本発明による組合せに関する。
【0062】
本発明はさらに、式(6)の化合物対三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物のモル比が0.001〜1:1、好ましくは0.005〜0.75:1、最も好ましくは0.01〜0.5:1である、本発明による組合せに関する。
【0063】
本発明はさらに、式(29)の化合物、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルおよび/またはバルサルタンを含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、式(29)の化合物の塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルおよび/またはバルサルタンを含む組合せに関する。
【0064】
本発明はさらに、式(29)の化合物および三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物を含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含む組合せに関する。
【0065】
本発明はさらに、式(29)の化合物およびバルサルタンを含む組合せに関し、さらにいずれの場合も、式(29)の化合物の塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ならびにバルサルタンを含む組合せに関する。
【0066】
本発明はさらに、式(29)の化合物対バルサルタン対N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルのモル比が0.02〜1:1:1である組合せに関する。
【0067】
本発明はさらに、式(29)の化合物対三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物のモル比が0.02〜1:1である組合せに関する。
【0068】
本発明はさらに、式(29)の化合物対N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルのモル比が、0.02〜1:1である組合せに関する。
【0069】
本発明はさらに、式(29)の化合物対バルサルタンのモル比が0.02〜1:1である組合せに関する。
【0070】
本発明はさらに、式(29)の化合物が毎日1回投与され、バルサルタンおよびエチルN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタノエートまたはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸が毎日2回投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0071】
本発明はさらに、2.5〜20mgの式(29)の化合物、20〜200mgのバルサルタンおよび20〜200mgのN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルが投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0072】
本発明はさらに、2.5〜20mgの式(29)の化合物および20〜400mgのN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルが投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0073】
本発明はさらに、2.5〜20mgの式(29)の化合物、20〜400mgのバルサルタンまたはそのエステルが投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0074】
本発明はさらに、式(29)の化合物が毎日1回投与され、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物が毎日2回投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0075】
本発明はさらに、2.5〜20mgの式(29)の化合物および40〜400mgの三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物が投与される、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0076】
本発明はさらに、式(29)の化合物対バルサルタン対N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルのモル比が、0.001〜1:1:3、0.001〜1:3:1、0.001〜1:1:2、0.001〜1:2:1または0.001〜1:1:1、好ましくは0.005〜0.75:1:3、0.005〜0.75:3:1、0.005〜0.75:1:2、0.005〜0.75:2:1または0.005〜0.75:1:1、最も好ましくは0.02〜0.5:1:1である、本発明による組合せに関する。
【0077】
本発明はさらに、式(29)の化合物対三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物のモル比が0.001〜1:1、好ましくは0.005〜0.75:1、最も好ましくは0.01〜0.5:1である、本発明による組合せに関する。
【0078】
本発明はさらに、疾患の処置および/または予防のための本発明による組合せに関する。
【0079】
本発明はさらに、心血管障害、腎障害、肺障害の処置および/または予防のための、さらに線維性疾患の処置および/または予防のための方法で使用するための本発明による組合せに関する。
【0080】
本発明はさらに、本発明による少なくとも1つの組合せを不活性で無毒の薬剤的に適した賦形剤と併せて含む薬物に関する。
【0081】
本発明はさらに、本発明による少なくとも1つの組合せを、ACE阻害剤、レニン阻害剤、β遮断薬、アセチルサリチル酸、利尿薬、カルシウム拮抗薬、スタチン、ジギタリス(ジゴキシン)誘導体、カルシウム感受性増強薬、硝酸塩および抗血栓薬からなる群から選択される1または複数のさらなる有効成分と併せて含む薬物に関する。
【0082】
本発明はさらに、心血管障害、腎障害、肺障害の処置および/または予防のための、さらに線維性疾患の処置および/または予防のための、本発明による少なくとも1つの組合せを含む薬物に関する。
【0083】
本発明はさらに、本発明による少なくとも1つの組合せを使用する、ヒトおよび動物における心血管障害、腎障害、肺障害の処置および/または予防のための方法、さらに線維性疾患の処置および/または予防のための方法に関する。
【0084】
本発明はまた、キットの形態の別々の医薬組成物の組合せにも関する。これは、2または3の別々の単位:sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の医薬用組成物、医薬用NEP阻害剤組成物ならびに/あるいは医薬用バルサルタン組成物を含むキットである。
【0085】
本発明はまた、2つの単位:sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬を含む医薬用組成物と、NEP阻害剤および/またはバルサルタンを含む医薬用組成物を含む好ましいキット形態にも関する。
【0086】
本発明はまた、2つの単位:sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬を含む医薬用組成物と、LCZ696を含む医薬用組成物を含む好ましいキット形態にも関する。
【0087】
本発明はまた、2つの単位:式(6)の化合物を含む医薬用組成物と、LCZ696を含む医薬用組成物を含む好ましいキット形態にも関する。
【0088】
本発明はまた、2つの単位:式(29)の化合物を含む医薬用組成物と、LCZ696を含む医薬用組成物を含む好ましいキット形態にも関する。
【0089】
キットは、別々の成分が異なる剤形で、または異なる投与間隔で投与されなければならない場合に特に有利である。
【0090】
本発明はさらに、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬を含む医薬用組成物ならびにアンジオテンシンII拮抗薬およびN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルを含む医薬用組成物を含むキットに関する。
【0091】
本発明はさらに、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬を含む医薬用組成物ならびにバルサルタンおよびN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルを含む医薬用組成物を含むキットに関する。
【0092】
本発明はさらに、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬を含む医薬用組成物ならびに三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物を含む医薬用組成物を含むキットに関する。
【0093】
本発明はさらに、式(6)の化合物を含む医薬用組成物ならびにバルサルタンおよびN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルを含む医薬用組成物を含むキットに関する。
【0094】
本発明はさらに、式(6)の化合物を含む医薬用組成物および三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物を含む医薬用組成物を含むキットに関する。
【0095】
本発明はさらに、式(29)の化合物を含む医薬用組成物ならびにバルサルタンおよびN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸またはそのエステルを含む医薬用組成物を含むキットに関する。
【0096】
本発明はさらに、式(29)の化合物を含む医薬用組成物および三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオン酸塩−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチラート]ヘミ五水和物を含む医薬用組成物を含むキットに関する。
【0097】
したがって、本発明による組合せは、心血管障害、例えば、血圧上昇(高血圧症)、抵抗性高血圧症、急性および慢性心不全、駆出率が保持されている心不全(HFpEF)または駆出率が低下した心不全(HFrEF)、冠動脈心疾患、安定および不安定狭心症、末梢血管および心血管障害、不整脈、心房性および心室性不整脈および伝導障害、例えば、房室ブロックI〜III度(ABブロックI〜III)、上室性頻脈性不整脈、心房細動、心房粗動、心室細動、心室粗動、心室性頻脈性不整脈、多形性心室頻拍、心房性および心室性期外収縮、AV接合部期外収縮、洞不全症候群、失神、AV結節性リエントリー性頻拍、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、急性冠動脈症候群(ACS)、自己免疫性心機能障害(心膜炎、心内膜炎、弁膜炎、大動脈炎、心筋症)、心原性ショック、敗血性ショックおよびアナフィラキシーショックなどのショック、動脈瘤、ボクサー心筋症(心室性期外収縮(PVC))などの処置および/または予防のための、血栓塞栓性障害および虚血、例えば心筋虚血、心筋梗塞、卒中、心肥大、一過性虚血性発作、子癇前症、炎症性循環障害、冠動脈および末梢動脈の痙攣、例えば肺水腫、脳浮腫、腎浮腫または心不全に起因する浮腫などの浮腫形成、末梢循環障害、再潅流障害、動脈および静脈血栓症、微量アルブミン尿症、心筋機能不全、内皮機能障害などの処置および/または予防のための、例えば血栓溶解治療、経皮経管血管形成術(PTA)、経管冠動脈形成術(PTCA)、心臓移植およびバイパス手術後の再狭窄を防ぐための、ならびに微小血管および大血管障害(脈管炎)、フィブリノゲンおよび低密度リポタンパク質(LDL)のレベルの増加およびプラスミノゲン活性化因子インヒビター1(PAI−1)の濃度増加を防ぐための、ならびに男性の勃起不全および女性の性機能障害の処置および/または予防のための薬物に使用することができる。
【0098】
本発明の状況において、用語「心不全」は、心不全の急性発現と慢性発現の両方、ならびにより特異的なまたは関連する疾患の種類、例えば急性非代償性心不全、右心不全、左心不全、全体的な不全、虚血性心筋症、拡張型心筋症、肥大性心筋症、特発性心筋症、先天性心疾患、心臓弁異常に関連する心不全、僧帽弁狭窄、僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁狭窄、大動脈弁閉鎖不全、三尖弁狭窄、三尖弁閉鎖不全、肺動脈弁狭窄、肺動脈弁閉鎖不全、複合型心臓弁異常、心筋の炎症(心筋炎)、慢性心筋炎、急性心筋炎、ウイルス性心筋炎、糖尿病性心不全、アルコール性心筋症、心臓貯蔵障害、拡張期心不全および収縮期心不全および既存の慢性心不全の悪化の急性期(悪化する心不全)を包含する。
【0099】
その上、本発明による組合せは、動脈硬化症、脂質代謝異常、低リポタンパク質血症、異脂肪血症、高トリグリセリド血症、高脂血症、高コレステロール血症、無βリポタンパク血症、シトステロール血症、黄色腫症、タンジール病、脂肪症、肥満の処置および/または予防ならびに複合型高脂血症およびメタボリック症候群の処置および/または予防のために使用することができる。
【0100】
本発明による組合せはまた、一次および二次レイノー現象、微小循環機能障害、跛行、末梢神経および自律神経障害、糖尿病性微小血管症、糖尿病性網膜症、四肢での糖尿病性潰瘍、壊疽、CREST症候群、エリテマトーデス、爪真菌症、リウマチ性障害の処置および/または予防のためにも、そして創傷治癒を促進するためにも使用することができる。本発明による組合せはまた、筋ジストロフィー、例えばBecker−Kiener型筋ジストロフィー(BMD)およびDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)の処置にも適している。
【0101】
本発明による組合せは、さらに、泌尿器系障害、例えば、良性前立腺症候群(BPS)、良性前立腺過形成(BPH)、良性前立腺腫大(BPE)、膀胱下尿道閉塞(BOO)、下部尿路症候群(LUTS、猫泌尿器症候群(FUS)を含む)など、神経性過活動膀胱(OAB)および(IC)を含む泌尿生殖器系の障害、失禁(UI)、例えば、混合型尿失禁、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁または溢流性尿失禁(MUI、UUI、SUI、OUI)など、骨盤痛、男性および女性泌尿生殖器系の器官の良性および悪性障害の処置および/または予防に適している。
【0102】
本発明による組合せはまた、腎障害、特に急性および慢性腎機能不全および急性および慢性腎不全の処置および/または予防にも適している。本発明の状況において、用語「腎機能不全」は、腎不全の急性発現と慢性発現の両方、ならびに根底にあるかまたは関連する腎障害、例えば腎低灌流、透析時低血圧症、閉塞性尿路疾患、糸球体症、糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、糸球体硬化症、尿細管間質障害など、腎症障害、例えば一次および先天性腎疾患、腎炎など、免疫学的腎障害、例えば腎移植拒絶および免疫複合体誘導性腎障害など、有毒物質により誘発される腎症、造影剤により誘発される腎症、糖尿病性および非糖尿病性腎症、腎盂腎炎、腎嚢胞、腎硬化症、高血圧性腎硬化症およびネフローゼ症候群を包含し、これらは診断によって、例えば、クレアチニンおよび/または水排泄の異常低下、尿素、窒素、カリウムおよび/またはクレアチニンの血中濃度の異常上昇、腎酵素、例えばグルタミルシンセターゼの活性の変化、尿浸透圧または尿量の変化、微量アルブミン尿の増加、マクロアルブミン尿、糸球体および細動脈の損傷、尿細管の拡張、高リン血症および/または透析の必要性によって特徴づけることができる。本発明はまた、腎不全の続発症、例えば肺水腫、心不全、尿毒症、貧血、電解質障害(例えば高カリウム血症、低ナトリウム血症)ならびに骨および糖代謝の障害の処置および/または予防のための本発明による組合せの使用も包含する。
【0103】
その上、本発明による組合せは、喘息性障害、肺動脈性肺高血圧症(PAH)およびその他の形態の肺高血圧症(PH)(左心疾患、HIV、鎌状赤血球貧血、血栓塞栓症(CTEPH)、サルコイドーシス、COPDまたは肺線維症に関連する肺高血圧症を含む)などの肺障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺傷害(ALI)、α1−アンチトリプシン欠乏症(AATD)、肺線維症、肺気腫(例えばタバコの煙により誘発される肺気腫)および嚢胞性線維症(CF)の処置および/または予防にも適している。その上、本発明によって記載される組合せは、気管支拡張薬としても使用することができる。
【0104】
本発明に記載される組合せはまた、NO/cGMP系の生涯を特徴とする中枢神経系障害の処置および/または予防のための組合せでもある。これらは、軽度認知機能障害、加齢性学習障害および記憶障害、加齢性記憶喪失、血管性認知症、頭蓋脳損傷、脳卒中、脳卒中後に発生する認知症(脳卒中後認知症)、外傷後頭蓋脳損傷、一般的な集中力低下、学習障害および記憶障害を伴う小児の集中力低下、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、ピック症候群をはじめとする前頭葉の変性を伴う認知症、パーキンソン病、進行性の核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症を伴う認知症、筋委縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、脱髄現象、多発性硬化症、視床変性症、クロイツフェルト・ヤコブ認知症、HIV認知症、認知症を伴う統合失調症またはコルサホフ精神病などの、状況疾患/症候群に特に関連して発生するような認知障害後の知覚、集中、学習または記憶の改善に特に適している。それらはまた、不安、緊張およびうつの状態、CNSに関連する性機能障害および睡眠障害などの中枢神経系障害の処置および/または予防、ならびに食物、刺激物質および依存性物質の摂取の病理学的障害の制御にも適している。
【0105】
その上、本発明による組合せは、脳灌流の調節にも適しており、例えば脳血管性認知症および片頭痛の制御に効果的な薬剤である。それらは、脳卒中、脳虚血および頭蓋脳外傷などの脳梗塞(脳卒中)の続発症の予防および制御にも適している。本発明による組合せは、疼痛および耳鳴の状態を制御するためにも同様に使用することができる。
【0106】
その上、本発明による組合せは、抗炎症作用を有し、そのために敗血症(SIRS)、多臓器不全(MODS、MOF)、腎臓の炎症性障害、慢性小腸炎(IBD、クローン病、UC)、膵炎、腹膜炎、リウマチ障害、炎症性皮膚障害および炎症性眼障害の処置および/または予防のための抗炎症薬として使用することができる。
【0107】
さらに、本発明による組合せは、自己免疫疾患の処置および/または予防にも使用されてよい。
【0108】
本発明による組合せはまた、内臓、例えば肺、心臓、腎臓、皮膚、骨髄、特に肝臓の線維性疾患、ならびに皮膚線維症および線維性眼障害の処置および/または予防にも適している。本発明の状況において、用語「線維性疾患」には、特に以下の用語が含まれる:肝線維症、肝硬変、肺線維症、心内膜心筋線維症、腎症、糸球体腎炎、間質性腎線維症、糖尿病に起因する線維性損傷、骨髄線維症および類似する線維性疾患、全身性硬化症、強皮症、デジタル潰瘍、モルフェア、ケロイド、肥厚性瘢痕(外科手技後も含む)、母斑、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症および結合組織の障害(例えばサルコイドーシス)。
【0109】
本発明による組合せは、例えば緑内障手術の結果としての術後瘢痕の制御にも適している。
【0110】
本発明による組合せは、老化および角質化する皮膚に美容的に使用することもできる。
【0111】
さらに、本発明による組合せは、肝炎、新生物、骨粗鬆症、骨形成障害、緑内障および胃不全麻痺の処置および/または予防に適している。
【0112】
本発明による組合せは、単独で、または必要であれば、その他の有効成分と組み合わせて使用することができる。本発明は、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による組合せの少なくとも1つおよび1または複数のさらなる有効成分を含む薬物をさらに提供する。組合せに適した有効成分の好ましい例としては以下が挙げられる:
降圧活性成分、例として、好ましくはアンジオテンシンII拮抗薬、ACE阻害剤、カルシウム拮抗薬、エンドセリン拮抗薬、レニン阻害剤、α受容体遮断薬、β受容体遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬およびまた利尿薬の群のもの;
有機硝酸塩およびNO供与体、例えばナトリウムニトロプルシド、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1、および吸入NO;
環状グアノシン一リン酸(cGMP)の分解を阻害する化合物、例えばホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、5および/または9の阻害剤、特にシルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィルなどのPDE5阻害剤;
抗血栓薬、例として、好ましくは血小板凝集阻害剤、抗凝固薬または線維素溶解促進性物質の群のもの;
脂質代謝を変更する活性化合物、例として、好ましくは甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤(好ましい例はHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤)、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、高分子胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群のもの。
【0113】
抗血栓薬は、好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝固薬または線維素溶解促進性物質の群の化合物を意味すると理解される。
【0114】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、血小板凝集阻害剤、例として、好ましくはアスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールと組み合わせて投与される。
【0115】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、トロンビン阻害剤、例として、好ましくはキシメラガトラン、ダビガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンと組み合わせて投与される。
【0116】
好ましい実施形態では、本発明による組合せは、GPIIb/IIIa拮抗薬、例として、好ましくはチロフィバンまたはアブシキマブと組み合わせて投与される。
【0117】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、第Xa因子阻害剤、例として、好ましくはリバーロキサバン、DU−176b、アピキサバン、オタミキサバン、フィデキサバン、ラザキサバン、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX 9065a、DPC 906、JTV 803、SSR−126512またはSSR−128428と組み合わせて投与される。
【0118】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与される。
【0119】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、ビタミンK拮抗薬、例として、好ましくはクマリンと組み合わせて投与される。
【0120】
降圧薬は、好ましくはカルシウム拮抗薬、アンジオテンシンII拮抗薬、ACE阻害剤、エンドセリン拮抗薬、レニン阻害剤、α受容体遮断薬、β受容体遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、および利尿薬の群の化合物を意味すると理解される。
【0121】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、カルシウム拮抗薬、例として、好ましくはニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムと組み合わせて投与される。
【0122】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、α1受容体遮断薬、例として、好ましくはプラゾシンと組み合わせて投与される。
【0123】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、β受容体遮断薬、例として、好ましくはプロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラゾロール、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールと組み合わせて投与される。
【0124】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、アンジオテンシンII拮抗薬、例として、好ましくはロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエンブサルタンと組み合わせて投与される。
【0125】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、ACE阻害剤、例として、好ましくはエナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キナプリル、ペリンドプリルまたはトランドプリルと組み合わせて投与される。
【0126】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、エンドセリン拮抗薬、例として、好ましくはボセンタン、ダルセンタン、アンブリセンタンまたはシタクスセンタンと組み合わせて投与される。
【0127】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、レニン阻害剤、例として、好ましくはアリスキレン、SPP−600またはSPP−800と組み合わせて投与される。
【0128】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、例として、好ましくはスピロノラクトンまたはエプレレノンと組み合わせて投与される。
【0129】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、ループ利尿薬、例えばフロセミド、トラセミド、ブメタニドおよびピレタニドと、カリウム保持性利尿薬、例えばアミロライドおよびトリアムテレンと、アルドステロン拮抗薬、例えばスピロノラクトン、カンレノ酸カリウムおよびエプレレノンと、ならびにチアジド利尿薬、例えばヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、キシパミドおよびインダパミドと組み合わせて投与される。
【0130】
脂質代謝調節因子は、好ましくはCETP阻害剤、甲状腺受容体アゴニスト、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤などのコレステロール合成阻害剤、ACAT阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、高分子胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤およびリポタンパク質(a)拮抗薬の群の化合物を意味すると理解される。
【0131】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、CETP阻害剤、例として、好ましくはダルセトラピブ、BAY60−5521、アナセトラピブまたはCETPワクチン(CETi−1)と組み合わせて投与される。
【0132】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、甲状腺受容体アゴニスト、例として、好ましくはD−チロキシン、3,5,3’−トリヨードチロニン(T3)、CGS23425またはアキシチロム(CGS26214)と組み合わせて投与される。
【0133】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、スタチンのクラスのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例として、好ましくはロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンまたはピタバスタチンと組み合わせて投与される。
【0134】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、スクアレン合成阻害剤、例として、好ましくはBMS−188494またはTAK−475と組み合わせて投与される。
【0135】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、ACAT阻害剤、例として、好ましくはアバシミベ、メリナミド、パクチミベ、エフルシミベまたはSMP−797と組み合わせて投与される。
【0136】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、MTP阻害剤、例として、好ましくはインプリタピド、BMS−201038、R−103757またはJTT−130と組み合わせて投与される。
【0137】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、PPAR−γアゴニスト、例として、好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わせて投与される。
【0138】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、PPAR−δアゴニスト、例として、好ましくはGW501516またはBAY68−5042と組み合わせて投与される。
【0139】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、コレステロール吸収阻害剤、例として、好ましくはエゼチミブ、チクエシドまたはパマクエシドと組み合わせて投与される。
【0140】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、リパーゼ阻害剤、例として、好ましくはオルリスタットと組み合わせて投与される。
【0141】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、高分子胆汁酸吸着剤、例として、好ましくはコレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム(colesolvam)、コレスタゲルまたはコレスチミドと組み合わせて投与される。
【0142】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、胆汁酸再吸収阻害剤、例として、好ましくはASBT(=IBAT)阻害剤、例えばAZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635と組み合わせて投与される。
【0143】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組合せは、リポタンパク質(a)拮抗薬、例として、好ましくはゲムカベンカルシウム(CI−1027)またはニコチン酸と組み合わせて投与される。
【0144】
本発明による組合せにおいて、成分は、全身にかつ/または局所に作用することができる。この目的のため、成分は適した方法で、例えば経口、非経口、経肺、経鼻、舌下、舌、口内、直腸、皮膚、経皮、結膜または経耳経路で、あるいは植込またはステントとして投与することができる。
【0145】
本発明による組合せは、これらの投与経路に適した投与形態で投与することができる。
【0146】
経口投与に適した投与形態は、先行技術に従って機能し、本発明による組合せを迅速にかつ/または変更された方法で放出し、該組合せの構成物である化合物を、結晶形態および/または非晶質形態および/または溶解形態で含むものであり、例えば錠剤(非コーティング錠あるいは、例えば本発明による組合せによる化合物の放出を制御する胃液抵抗性または遅延溶解または不溶性のコーティングを施したコーティング錠)、口腔で急速に崩壊する錠剤またはフィルム/ウエハ、フィルム/凍結乾燥物、カプセル剤(例えば硬質または軟質ゼラチンカプセル)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、噴霧剤または溶液である。
【0147】
好ましい投与形態には、錠剤形態(非コーティング錠あるいは、例えば本発明による組合せによる化合物の放出を制御する胃液抵抗性または遅延溶解または不溶性のコーティングを施したコーティング錠)、口腔で急速に崩壊する錠剤またはフィルム/ウエハが含まれ、特に好ましい投与形態は、錠剤形態(非コーティング錠あるいは、例えば本発明による組合せによる化合物の放出を制御する胃液抵抗性または遅延溶解または不溶性のコーティングを施したコーティング錠)、口腔で急速に崩壊する錠剤またはフィルム/ウエハである。
【0148】
非経口投与は、再吸収ステップを回避して(例えば静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内経路によって)、または再吸収を含めて(例えば筋肉内、皮下、皮内、経皮なまたは腹腔内経路によって)達成することができる。非経口投与に適した投与形態には、とりわけ、溶液、懸濁液、乳剤、凍結乾燥物または無菌粉末の形態の注射および点滴用製剤が含まれる。
【0149】
その他の投与経路のための適した例は、吸入用薬物(粉末吸入器、ネブライザーを含む)、点鼻剤、溶液または噴霧剤、舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/ウエハまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁液(ローション剤、振盪混合物)、親油性懸濁液、軟膏、クリーム、経皮治療系(例えば、パッチ)、乳剤、ペースト剤、フォーム剤、撒布剤、植込またはステントである。
【0150】
経口または非経口投与が好ましく、経口投与がより好ましい。特に好ましいのは、錠剤形態による経口投与である。
【0151】
本発明による組合せでは、成分は述べた投与形態に変換することができる。これは、それ自体公知の方法で不活性の無毒の薬剤的に適した賦形剤と混合することにより達成することができる。これらの賦形剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然高分子(例えばアルブミン)、安定剤(例えば、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸)、着色剤(例えば、無機顔料、例えば酸化鉄)および香料および/または臭気中和剤が含まれる。
【0152】
本発明による組合せでは、成分は、1つの複合単位剤形で、2つの別々の単位剤形で、または3つの別々の単位剤形で一緒にまたは別々に投与されてよい。単位剤形は固定された組合せであってもよい。
【0153】
治療上有効な量の本発明による組合せの各々の成分は、同時にまたは任意の順序で連続して投与されてよい。
【0154】
一実施形態では、成分は、本発明による成分の放出が異なる時期に行われる、いわゆる遅延放出製剤に存在してよい。例として、その各々が本発明による組合せの1または複数の成分を含む、複数の遅延放出溶解コーティングを施した錠剤が挙げられる。
【0155】
本発明の一実施形態では、経口投与の場合、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約1.25〜20mg、1.25〜5mg1日1回、約5〜10mg1日1回または10〜20mg1日1回である。
【0156】
本発明の一実施形態では、バルサルタンの用量は、約20〜110mg1日2回、20〜50mg1日2回または50〜110mg1日2回である。
【0157】
本発明の一実施形態では、NEP阻害剤の用量は、約20〜100mg1日2回、約20〜50mg1日2回または50〜100mg1日2回である。
【0158】
本発明の一実施形態では、LCZ696の用量は、約40〜400mg、50〜200mg1日2回、50〜100mg1日2回または100〜200mg1日2回である。
【0159】
本発明の一実施形態では、バルサルタンは、適した単位剤形、例えばカプセル剤または錠剤の形態で提供され、治療上有効な量の、例えば、20〜320mgのバルサルタンを含み、それを患者に投与することができる。有効成分は1日3回投与されてよく、例えば20mgまたは40mgのバルサルタンの一日量から出発して、それを毎日80mg超に増やし、さらに毎日160mgから毎日320mgに増やす。好ましくは、バルサルタンは1日1回または1日2回、心不全の患者にそれぞれ80mgまたは160mgの用量で投与される。対応する用量は、例えば、朝に、正午にまたは夜に服用することができる。心不全の場合は、1日4回または1日2回投与が好ましい。
【0160】
本発明の一実施形態では、NEP阻害剤は、例えば20mg〜800mg、好ましくは50mg〜700mg、より好ましくは100mg〜600mgおよびさらにより好ましくは100mg〜300mgを含有する単位形、例えば錠剤またはカプセル剤で投与され、それは1日1回投与される。
【0161】
上記の用量は、本発明の状況において、好ましい単位形が錠剤またはカプセル剤でありうる固定用量の組合せとして処方されることがある。
【0162】
本発明の好ましい実施形態では、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜20mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約25mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約25mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜20mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約50mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約50mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜20mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約100mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約100mg1日2回である。
【0163】
本発明の好ましい実施形態では、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約5〜10mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約25mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約25mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約5〜10mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約50mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約50mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約5〜10mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約100mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約100mg1日2回である。
【0164】
本発明の好ましい実施形態では、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜5mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約25mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約25mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜5mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約50mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約50mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜5mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約100mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約100mg1日2回である。
【0165】
本発明の好ましい実施形態では、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約10〜20mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約25mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約25mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約10〜20mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約50mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約50mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約10〜20mg1日1回であり、バルサルタンの用量は、約100mg1日2回であり、NEP阻害剤の用量は、約100mg1日2回である。
【0166】
本発明のさらに好ましい実施形態では、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜20mg1日1回であり、LCZ696の用量は、約50mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約5〜10mg1日1回であり、LCZ696は、約100mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜5mg1日1回であり、LCZ696の用量は、約200mg1日2回である。
【0167】
本発明のさらに好ましい実施形態では、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約10〜20mg1日1回であり、LCZ696の用量は、約50mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約10〜20mg1日1回であり、LCZ696は、約100mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約10〜20mg1日1回であり、LCZ696の用量は、約200mg1日2回である。
【0168】
本発明のさらに好ましい実施形態では、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜5mg1日1回であり、LCZ696の用量は、約50mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜5mg1日1回であり、LCZ696は、約100mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約2.5〜5mg1日1回であり、LCZ696の用量は、約200mg1日2回である。
【0169】
本発明のさらに好ましい実施形態では、sGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約5〜10mg1日1回であり、LCZ696の用量は、約50mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約5〜10mg1日1回であり、LCZ696は、約100mg1日2回であり、また、好ましくはsGC刺激薬および/またはsGC活性化薬の用量は、約5〜10mg1日1回であり、LCZ696の用量は、約200mg1日2回である。
【0170】
それにもかかわらず、一部の例では述べた量から、具体的には体重、投与経路、有効成分に対する個々の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔の関数として外れることが必要である場合がある。したがって、一例では上述の最小量よりも少ない量で十分に対応することもできる一方で、他の例では述べた上限を超えなければならない。より多くの量を投与する場合は、それを1日に数回の個別の用量に分割することが得策でありうる。
【0171】
実験項
以下の実施例は、本発明を例示する。本発明は実施例に限定されない。
【0172】
別段の規定のない限り、以下の試験および実施例に記載の百分率は、重量百分率であり;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈率および濃度データは、各々の例で体積に基づく。
【0173】
生理学的効力の評価
本発明による組合せの心血管障害の処置への適合性は、以下のアッセイ系で示すことができる:
【0174】
覚醒ラットの血圧および心拍の無線テレメトリー測定
Data Sciences International DSI、USAから市販されているテレメトリーシステムを、覚醒ラット(ウィスター系Unilever/WUまたは自然発症高血圧ラット/SHR)での測定に用いた。このシステムは、3つの主な構成要素:(1)埋め込み型送信器(PhysioTel(登録商標)テレメトリー送信器)、(2)受信器(PhysioTel(登録商標)受信器)と、受信器が多重化装置(DSI Data Exchange Matrix)を経由して連結されている(3)データ収集コンピュータからなる。テレメトリーシステムは、覚醒動物の血圧、心拍および身体の動きをその通常の生育地で連続的に記録することを可能にする。
【0175】
調査は、体重が200gよりも大きい成体雌ラットで実施した。送信器の埋め込み後、実験動物を個々にMakrolon(登録商標)III型ケージに収容する。動物は、標準飼料および水を自由に摂取できる。試験実験室での昼/夜リズムは、部屋の照明を変えることで設定する。
【0176】
送信器埋め込み:
使用したテレメトリー送信器(例えば、PA−C40 HD−S10、DSI)は、最初の実験使用の少なくとも14日前に無菌条件下で実験動物に外科的に埋め込まれた。
【0177】
埋め込みのために、絶食させた動物をイソフルラン(IsoFlo(登録商標)、Abbott、開始5%、維持2%)で麻酔し、剃毛し、腹部の広い面積を消毒した。腹腔を白線に沿って開口した後、システムの液体充填測定カテーテルを分岐の上で頭蓋方向に下行大動脈に挿入し、組織接着ボンド(Vetbond(商標)、3M)で固定した。送信器ハウジングを腹腔内の腹壁筋肉に固定し、創傷を層ごとに閉じる。手術後、感染予防のための抗生物質(Ursocyclin(登録商標)10%、60mg/kg皮下、0.06ml/体重100g、Serumwerk Bernburg AG、Germany)および鎮痛薬(Rimadyl(登録商標)、4mg/kg皮下、Pfizer、Germany)が投与される。
【0178】
物質および溶液:
別段の規定のない限り、調査する物質は、各例の動物の群(n=6)に経口的に投与される。2ml/体重kgの投与量に従って、試験物質を適した溶媒混合物に溶解する。溶媒で処置した群の動物を対照として使用する。
【0179】
実験の概略:
テレメトリー測定システムを、24匹の動物用に設定する。
【0180】
システムで生存する装置を装着した各ラットを、別々の受信アンテナ(RPC−1受信器、DSI)に割り当てた。埋め込んだ送信器は、導入した磁気スイッチを介して外部から始動させることができ、実験の実施前の間に送信に切り替えられる。発せられるシグナルは、データ収集システム(Windows用のDataquest(商標)A.R.T.、DSIまたはPonemah、DSI)によってオンラインで検出することができ、適切に処理することができる。
【0181】
標準的な手順では、以下の項目が各々の例で10秒間測定される:(1)収縮期血圧(SBP)、(2)拡張期血圧(DBP)、(3)平均動脈圧(MAP)、(4)心拍(HR)および(5)活性(ACT)。これらのパラメータは、投与後24時間にわたり測定される。
【0182】
測定値の取得は、コンピュータ制御下で5分間隔で繰り返される。絶対値として得られる原始データは、現在測定される気圧によって図中で補正される(Ambient Pressure Reference Monitor、APR−1、DSI)。
【0183】
評価:
実験終了後、分析ソフトウェア(Dataquest(商標)A.R.T.4.1 AnalysisまたはPonemah、DSI)を用いて収集した個々のデータを選別した。物質の投与前2時間の時点をブランク値と仮定した。
【0184】
データは、平均値(30分平均)を求めることによって、プリセット可能な期間で平滑化される。
【0185】
文献:
K.Witte,K.Hu,J.Swiatek,C.Mussig,G.ErtlおよびB.Lemmer,Experimental heart failure in rats:effects on cardiovascular circadiam thythms and on myocardial β−adrenergic signaling,Cardiovasc.Res.47(2):203−405,2000。
【0186】
L−NAMEで処置したRen−2トランスジェニックラットでの長期研究
sGC調節薬、ネプリライシン阻害剤、アンジオテンシンII拮抗薬ならびにその二重および三重の組合せの投与後の心血管作用は、ラットの高レニン、低NOの血圧モデルでの血行動態およびホルモンパラメータへの長期的な作用を求めることによって実証される。
【0187】
雄トランスジェニックRen−2ラット(TGR(mRen2)27)を構内で飼育し、制御された光および温度条件下に保つ。10〜20週齢から動物を異なる群に無作為化する。対照群にはプラセボを、試験群にsGC調節薬、ネプリライシン阻害剤、アンジオテンシンII拮抗薬ならびにその二重および三重の組合せを4〜10週間与える。プラセボおよび処置群のラットには、飲用水を介して30〜100mg/lL−NAMEも与える。試験物質は、トランスクトール/クレモフォール/水(10/20/70=v/v/v)の混合物中の懸濁液として、またはチロース懸濁液として経口投与する。収縮期血圧および心拍を、ケージの覚醒動物に「テールカフ」法を用いて37℃の一定温度で毎週測定する。尿収集は、0日目、実験中および実験の終わりに代謝ケージで行い、タンパク尿、尿中電解質排泄量を求める。調査の終わりに、左心室圧および心収縮を麻酔下で測定する。最後に、断頭により動物を犠牲にし、血液試料を取り出す。血漿および尿のパラメータを生化学的に求める、例えば、ANP(RIA Kit RK 005−24、Phoenix Pharmaceuticals、Inc.、USA)、cGMP(RIA Kit RE29075、IBL International GmbH、Germany)、レニン、アンジオテンシンI(RIA Kit CA−1533、DiaSorin S.p.A.、Italy)およびアルドステロン(P2714、DiaSorin S.p.A.、Italy)。器官、例えば、腎臓、心臓、肺などを取り出し、遺伝子発現プロフィールおよび病理組織学的データを収集する。
【0188】
イヌの高血圧性心不全モデル
sGC調節薬(sGC刺激薬またはsGC活性化薬)、ネプリライシン阻害剤、アンジオテンシンII拮抗薬ならびにその二重および三重の組合せの投与後の心血管作用を、アンジオテンシンII拮抗薬誘発性急性高血圧症によって起こる「軽度」収縮期心不全のイヌモデルで評価する。左心室機能不全の実験動物モデルは、180bpmで10日間の右室の「頻拍ペーシング」によって引き起こされる。このモデルの実験での実施は、詳細に記載されている。[Redfield et al.,Circulation 1993;87:2016−2022]
【0189】
高血圧性「腎ラップ」イヌ
sGC調節薬(sGC刺激薬またはsGC活性化薬)、ネプリライシン阻害剤、アンジオテンシンII拮抗薬、ならびにその二重および三重の組合せの血圧および心拍への作用を高血圧性「腎ラップ」イヌモデルで試験する。このモデルでは、1つの腎臓が絹で巻かれ、一方2つ目の腎臓は主腎動脈の閉塞に付される。[Page et al.,Science 1939;89:2307−2308;Goldblatt et al.,Proc Natl Acad Sci 1976;73:1722−1724]。手術の約4週後、イヌは安定した高血圧になる。
【0190】
結果:
結果は、ネプリライシン阻害剤とアンジオテンシンII拮抗薬との三重の組合せ中の式(6)の化合物について、式(6)の化合物の単回投与およびネプリライシン阻害剤とアンジオテンシンII拮抗薬の二重の組合せと比較して図1および2に示される。
【0191】
式(6)の化合物は、0.1mg/kgの経口用量で血行動態作用(血圧、心拍)を示さない;0.3mg/kgで約−10%の平均動脈圧の低下および心拍の一過性の増加が観察された。二重の組合せとして経口投与される比較物質は、約−20%の平均動脈圧の低下を示し、その用量で関連する反射性頻拍を調査した。0.1mg/kgの式(6)の化合物を二重の組合せに加えると、二重の組合せだけと比較して、心拍の再帰的増加の低下と、平均動脈圧の同じ低下を導く。
【0192】
0.3mg/kgの用量の式(6)の化合物とネプリライシン阻害剤およびアンジオテンシンII拮抗薬の組合せは、血圧の低下にさらなる効果を示す。驚くことに、心拍への非相加な効果は、三重の組合せ治験で観察された(相加的な代償性効果でも反射性頻拍でもない)。二重および三重の組合せでは、30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタンを使用した。
【0193】
結果は、ネプリライシン阻害剤とアンジオテンシンII拮抗薬との三重の組合せ中の式(29)の化合物について、式(29)の化合物の単回投与およびネプリライシン阻害剤とアンジオテンシンII拮抗薬の二重の組合せと比較して図3、4および5に示される。
【0194】
式(29)の化合物は、約−10%または15%の平均動脈圧の低下ならびに3mg/kgおよび10mg/kgの経口用量で関連する反射性頻拍を示す。式(29)の化合物は、1mg/kgの経口用量で反射性頻拍を示す。二重の組合せとして経口投与される比較物質は、調査した用量で約−15%の平均動脈圧の低下を示す。式(29)の化合物とネプリライシン阻害剤およびアンジオテンシンII拮抗薬の三重の組合せは、血圧の低下に効果を示す。二重および三重の組合せでは、30mg/kgサクビトリルおよび10mg/kgバルサルタンを使用した。
図1
図2
図3
図4
図5