特許第6849872号(P6849872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6849872-木造建築物用免震装置 図000002
  • 特許6849872-木造建築物用免震装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6849872
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】木造建築物用免震装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   E04H9/02 331Z
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-24890(P2019-24890)
(22)【出願日】2019年1月29日
(65)【公開番号】特開2020-122381(P2020-122381A)
(43)【公開日】2020年8月13日
【審査請求日】2019年11月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519052112
【氏名又は名称】奥村 吾郎
(72)【発明者】
【氏名】奥村 吾郎
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−129931(JP,A)
【文献】 実公平04−042363(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台固定プレートを設置した上部プレートと基礎固定プレートの間に免震材をはさみ込み固定して、建築物の基礎と土台の間に側面から脱着可能な方法で設置することを特徴とする木造建築物用免震装置。
【請求項2】
前記木造建築物用免震装置の上部プレートおよび基礎固定プレートから免震材を脱着可能にすることで免震材の交換変更ができる請求項1記載の木造建築物用免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物を免震化する免震装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、木造建築物は安全性の観点から、耐震性を高めたり制震構造を取り入れる建築物が多くなっている。現状において木造建築物の免震構造は基礎と土台の間に免震用の架台を造りその上に建築物を乗せ免震する方法を採用しているが免震構造はその構造の複雑さと高額な設置費用の面から普及しづらい状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2008−266958号 公報
【特許文献2】特開2007−321439号 公報
【0003】
特許文献1においては、架台を強度の高い針葉樹積層材を使用し複数の転がり支承を用いて免震構造としている。この構造は本来梁材として使用する針葉樹積層材を土台として使用し堅固な架台を形成するものでありコストアップになる。また、転がり支承のみで免震化しているため動きは滑らかであるが抵抗が少ないために強風時にも建物が揺れる可能性がある。そして、免震装置の交換は難しいと考えられる。
【0004】
特許文献2においては、転がり支承、ダンパー、復元ゴムバンドから成るL型、T型、十型の免震装置を基礎と架台との間に設置し免震構造としている。この構造では免震装置は土台の交差する部分と角の部分にしか設置できず、装置間の距離が長くなる場所が出てくる。その対処法としては特許文献1同様に土台の断面を大きくすることが必要になり、さらに装置自体が複雑で取付および保守点検も容易におこなえないと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は免震装置の取付、保守点検、交換を簡易化することにより免震材の選択を多様化でき、かつ在来の木造建築構造の変更を最小限にして免震化できる免震装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態は免震装置を基礎および土台に対して側面から取付ける事により脱着が可能になり、また2種類の異なる設置プレートを使用することで土台が交差する部分や角の部分にも設置可能とした。免震材も設置プレートに脱着可能な方法で固定するため多種多様なものより選択および変更交換が可能になる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、免震装置の脱着が可能になるため免震装置の設置、交換、保守点検が簡易におこなえる。さらに、免震材が脱着可能になるため積層ゴム、転がり支承、滑り支承等の免震材に変更が可能であり、免震材を効果的に選択使用することで免震効果を上げることが期待できる。
【0008】
免震装置を構成する部品の形状および点数を簡略化することで大量生産および生産コストの軽減が期待できる。さらに、設置方法は従来の木造建築物工事の技術で対応できるため基礎の構造も特別な形態に変更する必要はない。
【0009】
免震装置設置により基礎と土台の間にできる隙間は床下換気口として有効に作用する。さらに、設置、交換、保守点検のために必要な床下空間は災害時の備蓄倉庫としての有効利用ができる。
【0010】
本発明は軽量鉄骨構造ほか軽量な建築物および構造物にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る木造建築物用免震装置の実施形態における設置説明図である。図中の(A)(B)は免震装置のタイプを表す。
図2】本発明に係る木造建築物用免震装置の詳細図である。図中の(A)(B)は免震装置のタイプ別平面図を表し(AX)(BX)は平面図中の矢印向き立面図を(Y−Y)は矢印向き断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明する。本実施形態における木造建築物用免震装置は図1に示すように、(A)タイプと(B)タイプの2種類の免震装置を使用し基礎8と土台9の間で有効に作用される部分に適宜設置することで地震の揺れを軽減する。
【0013】
図1において基礎8には基礎固定ビス6を使用し、土台9には土台固定ビス7使用して側面より固定する。この固定方法により免震装置は脱着可能になる。現状においてはビスによる固定方法が最良と考えるが、その他の脱着可能な固定方法の使用も可能である。
【0014】
図2において木造建築物用免震装置の詳細を説明する。免震装置は(A)タイプと(B)タイプの2種類があり、免震材を固定する基礎固定プレート2a、2bと上部プレート3a、3bの違いにより免震材1を1個もしくは2個固定できるようにした。これにより(A)タイプを使用することで図1に示す土台9が交差する部分や角部分の下部にも設置可能になる。
【0015】
図2において免震材1を基礎固定プレート2a、2bと上部プレート3a、3bにネジ5によって固定する。この固定方法により免震材1の取外しが可能になり免震材1の選択肢も多種多様なものから適宜変更することができる。現状においてはネジによる固定方法が最良と考えるが、その他の脱着可能な固定方法の使用も可能である。
【0016】
図2において土台固定プレート4を上部プレート3a、3bの任意の位置に基礎8と土台9の寸法を考慮のうえ固定する。これにより基礎8と土台9の寸法変化にも対応でき、設置する免震材1の相対的位置を任意に調整できる。
【符号の説明】
【0017】
1 免震材
2a (A)タイプ基礎固定プレート
2b (B)タイプ基礎固定プレート
3a (A)タイプ上部プレート
3b (B)タイプ上部プレート
4 土台固定プレート
5 免震材固定ネジ
6 基礎固定ビス
7 土台固定ビス
8 基礎
9 土台
10 柱
図1
図2