(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部にシリンダライナ(3)を有するシリンダ(2)と、前記シリンダライナ内に往復動可能に挿通されて被圧縮流体を圧縮するピストン(5)と、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダ内に挿通されて前記ピストンを前記シリンダライナ内で往復動させるピストンロッド(12)と、前記ピストンロッドと前記シリンダとの間に配設されて前記ピストンロッドと前記シリンダとの間を密にするシール部(30)とを有するピストンポンプ本体(1)と、アクチュエータロッド(61)が前記ピストンポンプ本体の前記ピストンロッドに連結されて前記ピストンロッドを介して前記ピストンを前記シリンダ内で往復動させるアクチュエータ(60)と、前記ピストンポンプ本体と前記アクチュエータとの間に配設されて前記ピストンポンプ本体の基部側の端部に設けられた前記ピストンロッドの突出口(47)を外側から密に覆う中間部(50)と、前記中間部内へ気体を供給して前記中間部内の気圧を高める気体供給機構(71,72,74,75)とを備え、前記気体供給機構は、前記気体を供給する気体供給源(71)と、前記気体供給源から供給された前記気体の圧力を調整して前記中間部へ供給する圧力調整部(72)と、前記被圧縮流体の前記ピストンポンプ本体への供給圧力(P)を検出する圧力検出部(74)と、前記圧力検出部が検出した前記被圧縮流体の前記供給圧力に基づいて前記圧力調整部を作動させて前記中間部へ供給される前記気体の前記圧力を調整させるコントローラ(75)とを備えたことを特徴とするピストンポンプ装置。
前記コントローラ(75)は、前記圧力調整部(72)に前記中間部(50)へ供給される前記気体の前記圧力が前記被圧縮流体の前記供給圧力(P)よりも高くなるように調整させることを特徴とする、請求項1に記載のピストンポンプ装置。
前記第2のシール部(52)は、自己潤滑性を有する材料からなるシールリング(53)と、前記シールリングを前記ロッド部へ押圧して前記シールリングと前記ロッド部との間を密にさせる押圧部材(54)とを備えたことを特徴とする、請求項3に記載のピストンポンプ装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、液化天然ガスを燃料とするディーゼル機関は、車両等においてこれまでも使用されてきた。しかしながら、近年、重油系燃料を使用する低速ディーゼル機関において、NOX 、SOX 等の排出量を減少させて排出環境性能を向上させるために、高圧の天然ガスを機関のシリンダ内に噴射して燃焼させる、高圧ガス噴射型低速2サイクルディ一ゼル機関の開発が進められている。高圧ガス噴射型低速2サイクルディ一ゼル機関は、比較的大型のディ一ゼル機関であり、一般的には船舶等に使用される。
【0003】
一方、船舶等においては、液化ガス供給装置をガス危険区域へ配置することができることが必要であり、そのために安全性に優れた液化ガス供給装置の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。この液化ガス供給装置において、低温の液化天然ガスを所望の圧力まで昇圧して吐出し、その高圧の液化天然ガスを加熱して気化させる加熱装置へ供給するための昇圧機器として、ピストンポンプ装置が使用される。
【0004】
この従来のピストンポンプ装置のピストンポンプ本体は、例えば
図7に示すように、次のような構成を有している(例えば、特許文献1参照)。ピストンポンプ101のシリンダ102内のシリンダライナ103、シリンダヘッド室104、シリンダライナ103内に挿入されるピストン105、シリンダヘッド室104内に配設されるバルブヘッド106、シリンダ102に取り付けられるシリンダヘッド107が配設される。
【0005】
シリンダヘッド室104は、シリンダライナ103とシリンダヘッド107との間のシリンダ102内に設けられている。ピストン105は、図示しないコントローラにより制御されたアクチュエータなどを駆動源として、ピストン105の基部に取り付けられたピストンロッド112等を介してシリンダライナ103内を往復動する。シリンダ102は液体燃料の供給口108を有し、低温の液体燃料がこの供給口108を通して比較的低圧でシリンダヘッド室104内に導かれる。
【0006】
ピストン105より加圧された液体燃料は、吐出口109を通して高圧で外部へ吐出される。シリンダヘッド107内には、吐出口109に連通する吐出路110が軸方向に穿設される。シリンダライナ103はバルブヘッド106側にバルブ収容室113を有し、バルブ収容室113内には、図示しないバルブプレートと、バルブプレートをバルブヘッド106側へ付勢する図示しない圧力ばねとからなる吸入弁が配設されている。ピストン105は、外周部に複数のピストンリング溝118が削成され、各ピストンリング溝118にはピストンリング119がそれぞれ取り付けられる。
【0007】
また、シリンダ102とシリンダライナ103との間から洩れた液体燃料は、排出口128,129を介してそれぞれ液体燃料の供給側に戻される。また、上述のピストンロッド112は、シリンダ102内に配設された複数のロッドパッキンからなるシール部121により、シリンダ102との間が液密及び気密にされて、上述の排出口129などを介して連通する供給側の液体燃料が、シリンダ102とピストンロッド112との間から外部へ洩れださないようにしている。また、シール部121には外部から窒素ガスが供給されて与圧され、これによってもシリンダ102とピストンロッド112との間から液体燃
料が外部に洩れ出さないようにしている。
【0008】
上述のシール部121は、シリンダ102とピストンロッド112との間に介装される複数個のロッドパッキンが軸方向に配設されて構成されている。各ロッドパッキンは、3つの接線分割型リングセグメントからなるものや、3つの渦巻き型リングセグメントからなるものなどから形成され、かつ、このロッドパッキンが、例えば軸方向に2つずつ層状に組付けられて、上述の各パッキン部を形成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、従来のピストンポンプ本体のシール部121は、複数のロッドパッキンから構成され、かつ、各ロッドパッキンは、3つの接線分割型リングセグメントからなるものや、3つの渦巻き型リングセグメントからなるものなどから形成され、かつ、このロッドパッキンが、例えば軸方向に2つずつ層状に組付けられて、上述の各パッキン部を形成している。また、上述のように、シール部121には外部から窒素ガスが供給されて与圧され、これによってもシリンダ102とピストンロッド112との間から液体燃料が外部に洩れ出さないようにしている。
【0011】
一方、例えば極低温液体の加圧用に使用されるピストンポンプ装置の場合には、上述のロッドパッキンの材質として、例えばフッ素樹脂複合材が使用されることが多い。このフッ素樹脂複合材は、熱膨張係数が金属材の10倍程度あり、温度変化の影響を受けやすく、しかも極低温条件下では剛性が極めて高くなり、変形しにくくなるという性質を有する。
【0012】
このため、極低温液体の加圧用のピストンポンプ装置においては、ロッドパッキンを形成する各リングセグメントは、運転に伴う温度低下により大きく収縮して、その形状がピストンロッド112の外形に沿わなくなると共に、極めて硬くなり、変形しにくくなる。
【0013】
このため、極低温下ではロッドパッキンの各リングセグメントがピストンロッド112の外周部に沿わなくなり、このシール部121を構成するロッドパッキンとピストンロッド112との間から液体燃料(気化したものも含まれる)の一部が、ピストンロッド112の基部側の吐出口から外部へ洩れだすという問題がある。
【0014】
この一方、ピストンポンプ本体とアクチエータとの間を連結する接続箱と、アクチエータロッドとの間には、従来は特別なシール機構は設けられていないから比較的密性が低い。このため、液体燃料のピストンロッド112の基部側の吐出口からの洩れが増加すると、接続箱とアクチエータロッドとの間の隙間から液体燃料が洩れ出して、そのまま大気中へ放出される。
【0015】
他方、ロッドパッキンとピストンロッド112との間から洩れた液体燃料の一部は、予圧を終えた窒素ガスとともにそのまま大気中へ放出される。しかしながら、温度低下等に基づくロッドパッキンの変形や硬化によって液体燃料の漏洩量が多くなると、大気中へ放出される液体燃料も増加する。また、このロッドパッキンからの液体燃料の漏洩量を減少させるために、供給する窒素ガスの圧力を高めてこれに対処しようとすると、多量の窒素ガスを消費するという問題が発生する。
【0016】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、大きな温度低下等があっても被圧縮流体の外部への放出を大幅に抑制することができる、ピストンポンプ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の課題を解決するために、本発明のピストンポンプ装置は、内部にシリンダライナを有するシリンダと、シリンダライナ内に往復動可能に挿通されて被圧縮流体を圧縮するピストンと、ピストンに連結されると共にシリンダ内に挿通されてピストンをシリンダライナ内で往復動させるピストンロッドと、ピストンロッドとシリンダとの間に配設されてピストンロッドとシリンダとの間を密にするシール部とを有するピストンポンプ本体と、そのアクチュエータロッドがピストンポンプ本体のピストンロッドに連結されてピストンロッドを介してピストンをシリンダ内で往復動させるアクチュエータと、ピストンポンプ本体とアクチュエータとの間に配設されてピストンポンプ本体の基部側の端部に設けられたピストンロッドの突出口を外側から密に覆う中間部と、この中間部内へ気体を供給して中間部内の気圧を高める気体供給機構とを備えたことにある。ここで、上述の基部側とはアクチュエータ側をいい、後述の先端部側とはピストンポンプ本体のピストン側のことをいう。また、密とは、例えば液密や気密などをいう。以下、同様である。
【0018】
このように、ピストンポンプ本体とアクチュエータとの間に配設されてピストンポンプ本体の基部側の端部に設けられたピストンロッドの突出口と上記ロッド部とを外側から覆う中間部を設け、この中間部内へ気体を供給して中間部内の気圧を高める気体供給機構を備えることにより、中間部内が予圧されて、ピストンポンプ本体の基部側の端部に設けられたピストンロッドの突出口から洩れ出す被圧縮流体の漏洩量を、大幅に減少させることができる。これにより、大きな温度低下等があっも、ピストンポンプ本体のピストンロッドとのシリンダとの間から洩れた被圧縮流体の大気中への放出を大幅に抑制することができる。
【0019】
上記ピストンポンプ装置において、気体供給機構は、気体を供給する気体供給源と、気体供給源から供給された気体の圧力を調整して中間部へ供給する圧力調整部と、被圧縮流体のピストンポンプ本体への供給圧力を検出する圧力検出部と、圧力検出部が検出した被圧縮流体の供給圧力に基づいて圧力調整部を作動させて中間部へ供給される気体の圧力を調整させるコントローラとを備えることが望ましい。
【0020】
中間部内へ予圧のために供給される気体の圧力は、被圧縮流体のピストンポンプ本体への供給圧力に応じて調整されることが最適である。上述のように、コントローラが、圧力検出部が検出した被圧縮流体の供給圧力に基づいて圧力調整部を作動させて、中間部内へ予圧のために供給される気体の圧力を調整することにより、中間部に対して被圧縮流体の供給圧力に応じた最適な予圧を行うことができる。
【0021】
上記ピストンポンプ装置において、コントローラは、圧力調整部に中間部へ供給される気体の圧力が被圧縮流体の供給圧力よりも高くなるように調整させることが望ましい。
【0022】
発明者による様々な検証実験から、中間部内へ予圧のために供給される気体の圧力を被圧縮流体の供給圧力よりも高くすることにより、ピストンポンプ本体から基部側へ突出するピストンロッドのシリンダからの突出口から洩れ出す被圧縮流体の漏洩量を大幅に減少させることができることが判明した。これにより、大きな温度低下等があっても、ピストンポンプ本体のピストンロッドとシリンダとの間から洩れた被圧縮流体の、大気中への放出をさらに大幅に抑制することができる。
【0023】
又は、上述の課題を解決するために、本発明のピストンポンプ装置は、内部にシリンダ
ライナを有するシリンダと、シリンダライナ内に往復動可能に挿通されて被圧縮流体を圧縮するピストンと、ピストンに連結されると共にシリンダ内に挿通されてピストンをシリンダライナ内で往復動させるピストンロッドと、ピストンロッドとシリンダとの間に配設されてピストンロッドとシリンダとの間を密にすると共に外部から供給された気体により予圧されるシール部とを有するピストンポンプ本体と、このピストンポンプ本体のシール部に与圧のために供給された気体を外部へ排気させる排気路と、この排気路に配設されて排気路から排気される気体の排気状態量を調整する排気調整機構とを備えたことにある。
【0024】
このように、ピストンロッドとシリンダとの間に配設されてピストンロッドとシリンダとの間を密にすると共に外部から供給された気体により予圧されるシール部を有するピストンポンプ本体に対し、ピストンポンプ本体のシール部に与圧のために供給された気体を外部へ排気させる排気路と、この排気路に配設されて排気路から排気される気体の排気状態量を調整する排気調整機構とを備えることにより、シール部の背圧が最適に調整されて、シール部から外部へ洩れ出す被圧縮流体の漏洩量を大幅に減少させることができる。
【0025】
これにより、大きな温度低下等があっても、シール部を通過してピストンロッドの基部側から、あるいはシール部の与圧用の気体に混入してその排気路からそれぞれ外部へ洩れ出す被圧縮流体の、大気中への放出を大幅に抑制することができる。また、与圧用気体の大量消費を抑制することができる。
【0026】
さらに、シール部は、ピストンロッドの軸方向に複数個が配設されてなるパッキン部により構成されることが一般的であるが、この場合、各パッキン部が受ける液体燃料の供給圧力の、各パッキン部に作用する圧力差を極力小さくすることが、シール部全体の密性及び耐久性を確保するためには極めて重要である。
【0027】
本発明のピストンポンプ装置によれば、上述のように排気路から排気される気体の排気状態量を調整する排出調整機構を設けることにより、各パッキン部が受ける液体燃料の供給圧力の、各パッキン部に作用する圧力差をそれぞれ小さくすることができ、これによりシール部全体の密性及び耐久性を大幅に向上させることができる。
【0028】
上記ピストンポンプ装置において、排気調整機構は、排気状態量を調整する排気調整部と、被圧縮流体のピストンポンプ本体への供給圧力を検出する圧力検出部と、圧力検出部が検出した被圧縮流体の供給圧力に基づいて排気調整部を作動させるコントローラとを備えることが望ましい。
【0029】
シール部から排気される与圧用気体の、例えば、排気流量や排気圧力などの排気状態量は、被圧縮流体のピストンポンプ本体への供給圧力に応じて調整されることが望ましい。上述のように、コントローラが、圧力検出部が検出した被圧縮流体の供給圧力に基づいて排気調整部を作動させることにより、シール部から排気される与圧用気体の排気状態量を最適に調整することができる。
【0030】
上記ピストンポンプ装置において、排気状態量は、上記気体の排気流量であり、排気調整部は、排気流量を調整することができる流量制御弁を備え、この流量制御弁が、排気路から外部へ排気させる気体の排気流量が所定量になるように調整することが望ましい。及び又は、排気状態量は、上記気体の排気圧力であり、排気調整部は、排気圧力を調整することができる圧力制御弁を備え、この圧力制御弁が、排気路から外部へ排気させる気体の排気圧力が所定圧になるように調整することが望ましい。
【0031】
このように、排気調整部を流量制御弁により、又は、排気調整部を圧力制御弁により、又は、排気調整部を流量制御弁と圧力制御弁とによって構成することにより、予圧用の気
体の排気量及び又は排気圧を最適に調整することができ、これによりシール部の予圧が最適になされて、被圧縮流体の漏洩量を大幅に減少させることができる。
【0032】
上記ピストンポンプ装置において、コントローラは、気体の排気圧力が被圧縮流体の供給圧力よりも低くなるように上記排気調整機構に調整させることが望ましい。
【0033】
発明者による様々な検証実験から、上述の排気状態量をシール部の予圧用気体の排気圧力が被圧縮流体の供給圧力よりも低くなるように調整することにより、ピストンポンプ本体のシール部から洩れ出す被圧縮流体の漏洩量を大幅に減少させることができることが判明した。これにより、大きな温度低下等があっても、被圧縮流体の外部への放出をさらに確実に抑制することができる。
【0034】
又は、上述の課題を解決するために、本発明のピストンポンプ装置は、内部にシリンダライナを有するシリンダと、シリンダライナ内に往復動可能に挿通されて被圧縮流体を圧縮するピストンと、ピストンに連結されると共にシリンダ内に挿通されてピストンをシリンダライナ内で往復動させるピストンロッドと、ピストンロッドとシリンダとの間に配設されてピストンロッドとシリンダとの間を密にするシール部とを有するピストンポンプ本体と、そのアクチュエータロッドがピストンポンプ本体のピストンロッドに連結されてピストンロッドを介してピストンをシリンダ内で往復動させるアクチュエータと、ピストンポンプ本体から基部側へ突出したピストンロッド又はアクチュエータから先端部側へ突出したアクチュエータロッドからなるロッド部と、ピストンポンプ本体とアクチュエータとの間に配設されてピストンポンプ本体の基部側の端部に設けられたピストンロッドの突出口と上記ロッド部とを外側から覆う中間部と、この中間部とロッド部との間に、かつ、中間部の基部側に配設されて、中間部とロッド部との間を密にする第2のシール部とを備えたことにある。
【0035】
このように、ピストンポンプ本体とアクチュエータとの間に配設されて、ピストンポンプ本体の基部側の端部に設けられたピストンロッドの突出口とロッド部とを外側から密に覆う中間部を設け、その中間部とロッド部との間に、かつ中間部の基部側に配設されて、中間部とロッド部との間を密にする第2のシール部をさらに備えることにより、従来は比較的密性が低いとされていた中間部の基部側の密性を一段と高めることができ、中間部全体の密性を高めることができる。したがって、大きな温度低下等があっても、ピストンポンプ本体のピストンロッドとシリンダとの間から洩れた被圧縮流体の、大気中への放出を大幅に抑制することができる。
【0036】
上記ピストンポンプ装置において、第2のシール部は、自己潤滑性を有する材料からなるシールリングと、このシールリングをロッド部へ押圧してシールリングとロッド部との間を密にさせる押圧部材とを備えることが望ましい。
【0037】
自己潤滑性を有する材料からなるシールリングは、比較的単純な構造でありながら無給油であってもこのシールリングとロッド部との間に充分な摺動性を付与し、中間部とロッド部との間に極めて高い密性を与えることができる。これにより、ピストンポンプ本体のピストンロッドとシリンダとの間から洩れた被圧縮流体の、大気中への放出をさらに防止することができる。特にシールリングが自己潤滑性を有する材料からなるから、第2のシール部に対して特別な給油機構を設ける必要はない。このため、コスト的にも廉価で、メンテナンスも容易である。
【発明の効果】
【0038】
上述のように、本発明のピストンポンプ装置は、内部にシリンダライナを有するシリンダと、シリンダライナ内に往復動可能に挿通されて被圧縮流体を圧縮するピストンと、ピ
ストンに連結されると共にシリンダ内に挿通されてピストンをシリンダライナ内で往復動させるピストンロッドと、ピストンロッドとシリンダとの間に配設されてピストンロッドとシリンダとの間を密にするシール部とを有するピストンポンプ本体と、アクチュエータロッドがピストンポンプ本体のピストンロッドに連結されてピストンロッドを介してピストンをシリンダ内で往復動させるアクチュエータと、ピストンポンプ本体とアクチュエータとの間に配設されてピストンポンプ本体の基部側の端部に設けられたピストンロッドの突出口を外側から覆う中間部と、この中間部内へ気体を供給して中間部内の気圧を高める気体供給機構とを備える。
【0039】
又は、本発明のピストンポンプ装置は、内部にシリンダライナを有するシリンダと、シリンダライナ内に往復動可能に挿通されて被圧縮流体を圧縮するピストンと、ピストンに連結されると共にシリンダ内に挿通されてピストンをシリンダライナ内で往復動させるピストンロッドと、ピストンロッドとシリンダとの間に配設されてピストンロッドとシリンダとの間を密にすると共に外部から供給された気体により予圧されるシール部とを有するピストンポンプ本体と、このピストンポンプ本体のシール部に与圧のために供給された気体を外部へ排気させる排気路と、この排気路に配設されて排気路から排気される気体の排気状態量を調整する排気調整機構とを備える。
【0040】
又は、本発明のピストンポンプ装置は、内部にシリンダライナを有するシリンダと、シリンダライナ内に往復動可能に挿通されて被圧縮流体を圧縮するピストンと、ピストンに連結されると共にシリンダ内に挿通されてピストンをシリンダライナ内で往復動させるピストンロッドと、ピストンロッドとシリンダとの間に配設されてピストンロッドとシリンダとの間を密にするシール部とを有するピストンポンプ本体と、そのアクチュエータロッドがピストンポンプ本体のピストンロッドに連結されてピストンロッドを介してピストンをシリンダ内で往復動させるアクチュエータと、ピストンポンプ本体から基部側へ突出したピストンロッド又はアクチュエータから先端部側へ突出したアクチュエータロッドからなるロッド部と、ピストンポンプ本体とアクチュエータとの間に配設されてピストンポンプ本体の基部側の端部に設けられたピストンロッドの突出口と上記ロッド部とを外側から覆う中間部と、この中間部とロッド部との間に、かつ、中間部の基部側に配設されて中間部とロッド部との間を密にする第2のシール部とを備える。
【0041】
したがって、本ピストンポンプ装置は、大きな温度低下等があっても被圧縮流体の外部への放出を大幅に抑制することができる、という優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明に係るピストンポンプを実施するための形態を、
図1ないし
図6を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のピストンポンプ装置の構成要素の一つであるピストンポンプ本体1を示し、
図2は、本発明のピストンポンプ装置のピストンポンプ本体1の一部と、他の構成要素である接続箱(中間部)50及びアクチュエータ60を示す。
【0044】
図1及び
図2に示すピストンポンプ装置は、例えば船舶等に使用されるもので、高圧の液化天然ガスを噴射して燃焼させる高圧ガス噴射型低速2サイクルディーゼル機関の液化ガス供給装置などに使用される。そして、供給された極低温の液体燃料(被圧縮流体)を所望の圧力まで昇圧して吐出して、この液体燃料を加熱して気化させるための加熱装置へ供給する。
【0045】
図2に示すように、本ピストンポンプ装置は、
図1に示すピストンポンプ本体1と、このピストンポンプ本体1のピストンロッド(ロッド部)12の基部側に連結されて、ピストンロッド12をシリンダ2のシリンダライナ3内で往復動させるためのアクチュエータロッド(ロッド部)61を有する油圧駆動のアクチュエータ60と、ピストンポンプ本体1とアクチュエータ60との間に配設されて、ピストンポンプ本体1から基部側へ突出したピストンロッド12とアクチュエータ60から先端部側へ突出したアクチュエータロッド61とを、それらの連結部を含めて外側から液密及び気密に覆う接続箱50とから形成されている。
【0046】
この接続箱50は、ピストンポンプ本体1とアクチュエータ60とを同軸状に支持している。ピストンポンプ本体1のピストンロッド12とアクチュエータ60のアクチュエータロッド61は、接続箱50内で連結されて一体に連動する。
【0047】
ピストン5で加圧される液体燃料は、ピストンポンプ本体1から基部側へ突出したピストンロッド12の、ピストンポンプ本体1の突出口47から洩れだすことがある。接続箱50はこの突出口47とピストンロッド12を液密及び気密に外側から覆って、突出口47から洩れ出した液体燃料を極力外部へ、すなわち大気中に放出させないようにしている。
【0048】
図1に示すように、ピストンポンプ本体1には、内部にシリンダライナ3を有するシリンダ2と、シリンダライナ3内に液密及び気密に往復動可能に挿通されたピストン5と、シリンダ2の先端部に液密及び気密に取り付けられるシリンダヘッド7と、シリンダ2内のシリンダライナ3とシリンダヘッド7との間に画成される空洞であるシリンダヘッド室4と、シリンダヘッド室4内に配設されるバルブヘッド6と、バルブヘッド6内に穿設されてシリンダヘッド室4とシリンダライナ3内とを連通させる複数個の吸入路17とが配設される。各吸入路17は、バルブヘッド6の周方向に略等間隔に配設される。
【0049】
シリンダヘッド室4は、シリンダライナ3とシリンダヘッド7との間のシリンダ2内に、周方向の360°にわたり連通するように設けられている。ピストン5は、上述のアクチュエータ60によりシリンダライナ3内を往復動する。シリンダ2は液体燃料の供給口8を有し、極低温の液体燃料がこの供給口8を介して比較的低圧でシリンダヘッド室4内へ供給される。
【0050】
ピストン5により加圧された液体燃料は、シリンダヘッド7の吐出口9を介して高圧で外部へ吐出される。シリンダヘッド7内には、吐出口9に連通する吐出路10が軸方向に穿設される。シリンダライナ3はバルブヘッド6側にバルブ収容室13を有し、このバルブ収容室13内には、図示しないバルブプレートと、このバルブプレートをバルブヘッド
6側へ付勢する図示しない圧力ばねとからなる吸入弁が配設されている。
【0051】
ピストン5は、外周部に複数のピストンリング溝18が削成され、各ピストンリング溝18にはピストンリング19がそれぞれ取り付けられる。また、ピストン5の先端部は、ピストン5よりも小径に形成されてバルブヘッド6側へ突出してなる突起16を有する。一方、シリンダ2とシリンダライナ3との間から洩れた液体燃料は、排出口28,29を介してそれぞれ液体燃料の供給側に戻される。
【0052】
上述のピストンロッド12は、シリンダ2内に配設されたシール部30により、シリンダ2との間が液密及び気密にされて、例えば上述の排出口29を介して連通する供給側の液体燃料が、シリンダ2とピストンロッド12との間から外部へ洩れないようにしている。シール部30は、リテイナ31を介してコイルばね32により基部側へ付勢されて、シリンダ2内に固定される。
【0053】
また、シール部30には、シンリダ2に穿設された窒素ガス供給路43を通して外部から窒素ガスが供給されて与圧され、これによってもシリンダ2とピストンロッド12との間から液体燃料が外部へ洩れないようにしている。シール部30から洩れた一部の液体燃料は、この与圧用の窒素ガスにより希釈された後に、後述する窒素ガス排気路44を通して、ピストンポンプ本体1から窒素ガスと共に大気中へ排気される。すなわち、放出される液体燃料は窒素ガスよって希釈されているから、大気中での爆発等が防止される。
【0054】
ピストンポンプ本体1において、バルブ収容室13内の吸入弁は、ピストン5の吸入行程時に吸入路17の出口を開弁させると共に、ピストン5の圧縮行程時に吸入路17の出口を閉弁させる。吐出弁11は、ピストン5の吸入行程時にシリンダヘッド7に設けた吐出路10を閉弁させると共に、ピストン5の圧縮行程時に吐出路10を開弁させる。
【0055】
バルブヘッド6には、シリンダライナ3側の端面からシリンダヘッド7の吐出路10へ連通する出口開口部21が穿設され、吐出弁11がシリンダヘッド7の吐出路10の下部に配設される。吐出弁11は、外周部に複数の流入孔を有する一方、シリンダライナ3側の先端部には流入孔が形成されていないから、この先端部が内部のばねの付勢力によってバルブヘッド6の出口開口部21の近傍のシリンダヘッド7側の端面に当接することにより、閉弁することができる。
【0056】
吐出弁11は、圧縮行程時にピストン5がバルブヘッド6側へ伸長し始めると、シリンダライナ3側からの液体燃料の圧力によって、内部のばねの付勢力に抗して開弁する。また、吐出弁11は、ピストン5の最大伸長時に、内部のばねの付勢力によってバルブヘッド6の出口開口部21の近傍のシリンダヘッド7側の端面に当接して、再び閉弁する。
【0057】
図3に示すように、上述のシール部30は、例えば、軸方向に層状に並設されると共に内周部がピストンロッド12の外周部に沿うようにそれぞれ形成された環状の、6つのパッキン部35〜40と、2つのスペーサ41,42とにより形成される。
【0058】
各パッキン部35〜40は、複数個のロッドパッキン45,46,53が組み合わされて、これらのロッドパッキン45,46,53が軸方向に層状に同軸状に重ね合わされて形成される。ロッドパッキン45,46,53は、例えば、径方向に平板状であって内周部内にピストンロッド12を挿通させることができるように環状に形成されたものであり、例えば、柔軟性のあるフッ素樹脂複合材により形成される。
【0059】
パッキン部39を軸方向の両側から挟むように配設される2つのスペーサ部41,42は、外周部に形成された環状の環状通路41a,42aと、その環状通路41a,42a
から内周部に向かって穿設されてなる複数個の径方向通路41b,42bとを有する。
【0060】
ピストンポンプ本体1の基部側に位置するスペーサ部42の環状通路42a及び径方向通路42bは、シリンダ2を貫通して形成された窒素ガス供給路43に連通し、この窒素ガス供給路43を通して窒素ガスがスペーサ部42の環状通路42aと径方向通路42bとに供給される。
【0061】
このスペーサ部42の環状通路42aと径方向通路42bとに供給された窒素ガスは、まずパッキン部39に背圧をかけてこれを予圧する。そして、パッキン部39を通して先端部側のスペーサ部41へ洩れ出た窒素ガスは、スペーサ部41よりも先端部側のパッキン部38〜35に背圧をかけてこれらを予圧する。
【0062】
他方、スペーサ部41の環状通路41a及び径方向通路41bは、ピストン5を貫通してピストンポンプ本体1の外部へ延びる窒素ガス排気路44に連通し、この窒素ガス排気路44を通して窒素ガスが大気中へ排気される。
【0063】
すなわち、これらのスペーサ部41,42よりも先端部側に配設されるパッキン部35〜39が窒素ガスによって与圧されて、液体燃料がシール部30から外部へ極力漏洩しないようにしている。スペーサ部41よりも先端部側のパッキン部38から洩れ出た液体燃料の一部は、窒素ガス排気路44を通して排気される窒素ガスによって希釈された後に、大気中に排気される。
【0064】
図4に示すように、上述の接続箱50の基部側に、この接続箱50とアクチュエータ60から突出するアクチュエータロッド61との間を液密及び気密にするシール部(第2のシール部)52が配設される。
図5に示すように、接続箱50側には周方向にシール溝51が削成され、このシール溝51にシール部52が配設される。
【0065】
このシール部52は、例えばフッ素樹脂複合材からなるシールリング53と、シールリング53をアクチュエータロッド61へ押圧して接続箱50とアクチュエータロッド61との間を液密及び気密にするOリング(押圧部材)54とから形成される。
【0066】
このように、接続箱50の基部側に、この接続箱50とアクチュエータ60から突出するアクチュエータロッド61との間を液密及び気密にするシール部52を設けることにより、接続箱50の液密及び気密性をより確実なものにすることができる。これにより、大きな温度低下等があってロッドパッキン45,46,53が変形したり硬化したりしても、液体燃料の大気中への放出を確実に抑制することができる。
【0067】
特にシール部50を、無給油であっても充分な摺動性を有する材料、すなわち、自己潤滑性を有する材料の一例としてのフッ素樹脂複合材からなるシールリング53と、このシールリング53をアクチュエータロッド61へ押圧してシールリング53とアクチュエータロッド61との間を液密及び気密にするOリング54とから形成することにより、シール部50に対して特別な給油機構を設けることなく、シールリング53とアクチュエータロッド61との間に充分な摺動性を付与することができる。
【0068】
また、シール溝51の内部は、弾性材からなるOリング54の圧縮変形によって液密及び気密にされる。これにより、接続箱50とアクチュエータ60から突出するアクチュエータロッド61との間に、従来よりも格段に優れた液密性と気密性とを付与することができる。
【0069】
すなわち、シール部52は、上述のようにシールリング53とOリング54とからなる
という比較的単純な構造でありながら、接続箱50とアクチュエータロッド61との間に極めて高い液密性と気密性とを付与することができ、かつコスト的にも廉価で、メンテナンスも容易である。シールリング53のシール性は極めて高い。なお、シールリング53は、上述のフッ素樹脂複合材以外のより最適な材料から形成される場合もある。
【0070】
この一方、上述の接続箱50は、以下のように、その内部が窒素ガスにより予圧されている。
図4において、実線は窒素ガス路、破線は電気路、一点鎖線は液体燃料路を示す。
図4に示すように、窒素ガスの供給源(気体供給源)71と、この窒素ガス供給源71から供給された窒素ガスの圧力を調整して接続箱50内へ供給する電空レギュレータ(圧力調整部)72と、ピストンポンプ本体1によって圧縮される液体燃料のピストンポンプ本体1への供給圧力Pを検出する圧力センサ(圧力検出部)74と、この圧力センサ74が検出した液体燃料の供給圧力Pに基づいて、上述の電空レギュレータ72を作動させて接続箱50内へ供給する窒素ガスの圧力を調整させるコントローラ75とが配設される。
【0071】
上述の圧力センサ74は、余剰となり図示しない液体燃料タンクへ戻されて回収される液体燃料の回収路73に配設されて、この回収路73における液体燃料の供給圧力Pを検出する。コントローラ75は電空レギュレータ72を電気的に制御して、接続箱50内へ供給する窒素ガスの圧力を、圧力センサ74が検出した液体燃料の供給圧力Pよりもやや高い圧力に調整する。
【0072】
これにより、接続箱50内の気圧が高められて、ピストンポンプ本体1の基部側の端部に設けられたピストンロッド12の突出口47から洩れ出す液体燃料の漏洩量が減少する。これにより、大きな温度低下等があってロッドパッキン45,46,53が変形したり硬化したりしても、液体燃料の大気中への放出が大幅に抑制される。接続箱50は、窒素ガスによる与圧に耐えうるように十分な強度を備えている。
【0073】
このように、予圧のために接続箱50内へ供給される窒素ガスの圧力は、液体流体のピストンポンプ本体1への供給圧力Pに応じて調整されることが最適である。上述のように、コントローラ75が、圧力センサ74が検出した液体燃料の供給圧力Pに基づいて電空レギュレータ72を作動させて、予圧用の窒素ガスの圧力を調整することにより、液体燃料の供給圧力Pに応じた最適な接続箱50の予圧を行うことができる。
【0074】
この一方、
図4に示すように、窒素ガス排気路44に流量制御弁(排気調整部)80が配設され、シール部30を予圧した窒素ガスは、この流量制御弁80を通して所定量が大気中へ放出される。すなわち、窒素ガスは適量に調整されて大気中へ排気される。
【0075】
また、上記コントローラ75により制御される電空レギュレータ(排気調整部)81が配設され、この電空レギュレータ81には、上述の窒素ガス排気路44と上述の接続箱50を与圧した窒素ガスの排気路である窒素ガス排気路82とが接続される。
【0076】
すなわち、圧力センサ74が検出した液体燃料の供給圧力Pに基づいて、コントローラ75が窒素ガス排気路44を通じてピストンポンプ本体1のシール部30から排気される窒素ガスと、窒素ガス排気路82を通じて接続箱50から排気される窒素ガスとの排気流量を適切に調整することにより、流量制御弁80を通して大気中へ排気される窒素ガスが、液体燃料の供給圧力Pよりもやや低い圧力に調整された後に、大気中へ排出される。
【0077】
これにより、シール部30のパッキン部38の背圧が所定圧に保持される。これにより、パッキン部35〜39に対する背圧が最適に保持されて、大きな温度低下等があってロッドパッキン45,46,53が変形したり硬化したりしても、窒素ガス排気路44を通じた液体燃料の大気中への放出が大幅に抑制される。
【0078】
ここで、上述のように、接続箱50中の窒素ガスは液体燃料の供給圧力Pよりもやや高い圧力に調整されているから、電空レギュレータ81においては、接続箱50から延びる窒素ガス排気路82側からの窒素ガスが、ピストンポンプ本体1のシール部30から延びる窒素ガス排気路44側へ流れ込む。
【0079】
これにより、窒素ガス排気路44中の窒素ガスの圧力を適切に保持することができると共に、上述の電空レギュレータ72及び電空レギュレータ81は、それらの内部が曝されるのは不活性ガスである窒素ガスのみであるから腐食が発生しにくく、電空レギュレータ72,81の耐久性が十分に確保される。
【0080】
ここで、ピストンロッド12の軸方向に複数個が配設されてなるパッキン部35〜40では、各パッキン部35〜40が受ける液体燃料の供給圧力の、各パッキン部35〜40に作用する圧力差を極力小さくすることが、ロッドパッキン45,46,53の液密性と気密性及び耐久性、ひいてはシール部30全体の液密性と気密性及び耐久性とを確保するためには極めて重要であり、特定の箇所からの過度な排気はそれに逆行する。
【0081】
上述のように、与圧に使用した窒素ガスの大気中への排気圧力を最適に調整するための機構を新たに設けることにより、各パッキン部35〜40が受ける液体燃料の供給圧力の、各パッキン部35〜40に作用する圧力差をそれぞれ小さくすることができ、ロッドパッキン45,46,53、ひいてはシール部30全体の液密性と気密性及び耐久性が著しく向上する。
【0082】
図6に、上述の
図4とは別のピストンポンプ装置を示す。
図4との共通部分は、同一の符号によって示される。
【0083】
上述のシール部30を予圧した窒素ガスの窒素ガス排気路44に、コントローラ75により作動される電空リリーフ弁(圧力制御弁)85が配設され、窒素ガス排気路44内の窒素ガスは、この電空リリーフ弁85を通して所定圧に調整された後に大気中へ放出される。
【0084】
すなわち、圧力センサ74が検出した液体燃料の供給圧力Pに基づいて、コントローラ75が電空リリーフ弁85の作動を電気的に制御して、窒素ガス排気路44を通じて排気される窒素ガスの圧力を最適に、かつ直接的に調整する。圧力制御弁である電空リリーフ弁85を用いることにより、
図4に示したピストンポンプ装置よりも簡易な構成とすることができる。
【0085】
これにより、シール部30の予圧が最適になされて、大きな温度低下等があってロッドパッキン45,46,53が変形したり硬化したりしても、液体燃料の大気中への放出が大幅に抑制される。その他は、上述の
図4に示したピストンポンプ装置と同様であるから、説明を省力する。
【0086】
なお、上述のピストンポンプ装置は一例を示したにすぎず、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。