(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6849903
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】受信回路及び半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
H03K 9/02 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
H03K9/02
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-198308(P2016-198308)
(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公開番号】特開2018-61164(P2018-61164A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】工藤 真大
【審査官】
及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0201491(US,A1)
【文献】
特開2010−288237(JP,A)
【文献】
特表2011−511564(JP,A)
【文献】
特開2012−253661(JP,A)
【文献】
特開2013−229776(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0311008(US,A1)
【文献】
米国特許第09699009(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0141567(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 7/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる位相を有する複数のクロック信号の内の第1クロック信号に基づいて、受信信号の第1データ部のレベルの判定を行い、判定結果を第1判定信号として出力する第1の数の第1比較回路、及び前記複数のクロック信号の内の前記第1クロック信号とは異なる第2クロック信号に基づいて、前記第1データ部に続く前記受信信号の第2データ部のレベルの判定を行い、判定結果を第2判定信号として出力する前記第1の数の第2比較回路を含む判定回路と、
前記第1比較回路から出力される前記第1判定信号及び前記第2比較回路から出力される前記第2判定信号のタイミングを、前記複数のクロック信号の内の1つのクロック信号に合わせて出力するタイミングアライナ回路と、
前記タイミングアライナ回路から出力される、前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号に基づいて、デジタル信号を生成する論理回路とを有し、
前記判定回路は、前記受信信号が多値の第1信号であるときには前記第1の数の前記第1比較回路と前記第1の数の前記第2比較回路とを使用して前記第1データ部のレベル及び前記第2データ部のレベルの判定をそれぞれ行い、前記受信信号が前記第1信号より取り得る値の数が少ない第2信号であるときには前記第1の数より少ない第2の数(2以上)の前記第1比較回路と前記第2の数の前記第2比較回路とを使用して前記第1データ部のレベル及び前記第2データ部のレベルの判定をそれぞれ行い、
前記論理回路は、前記受信信号が前記第1信号である場合、前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号をデコードして前記デジタル信号を生成するデコーダとして動作し、前記受信信号が前記第2信号である場合、前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号のそれぞれ1つを選択して前記デジタル信号を生成するセレクタとして動作することを特徴とする受信回路。
【請求項2】
前記第2信号は2値の信号であり、
前記判定回路は、前記受信信号が前記第2信号であるときには閾値が異なる2つの前記第1比較回路と閾値が異なる2つの前記第2比較回路とを使用して前記第1データ部のレベル及び前記第2データ部のレベルの判定をそれぞれ行い、
前記論理回路は、前記受信信号が前記第2信号である場合、第1期間前のデータが前記2値の内の第1値であれば前記タイミングを合わせた、一方の前記第1比較回路に対応する前記第1判定信号及び一方の前記第2比較回路に対応する前記第2判定信号を選択して前記デジタル信号を生成し、前記第1期間前のデータが前記2値の内の第2値であれば前記タイミングを合わせた、他方の前記第1比較回路に対応する前記第1判定信号及び他方前記第2比較回路に対応する前記第2判定信号を選択して前記デジタル信号を生成することを特徴とする請求項1記載の受信回路。
【請求項3】
前記第1の数は、前記第1信号が取り得る値の数より1少ない数と等しく、
前記受信信号が前記第1信号であるときには前記第1の数の前記第1比較回路の閾値が互いに異なり、
前記受信信号が前記第1信号であるときには前記第1の数の前記第2比較回路の閾値が互いに異なることを特徴とする請求項1又は2記載の受信回路。
【請求項4】
前記受信信号が前記第2信号である場合、判定に使用しない前記第1比較回路及び前記第2比較回路の動作を停止させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の受信回路。
【請求項5】
判定に使用しない前記第1比較回路及び前記第2比較回路への前記第1比較回路及び前記第2比較回路の動作タイミングを制御するクロック信号の供給を停止することで動作を停止させることを特徴とする請求項4記載の受信回路。
【請求項6】
前記論理回路は、前記受信信号が前記第1信号であるか前記第2信号であるかを示す制御信号が入力され、前記制御信号に基づいて前記デコーダとして動作するか前記セレクタとして動作するかを切り替えることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の受信回路。
【請求項7】
前記論理回路は、前記受信信号が前記第1信号である場合、前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号の論理演算の結果を前記デジタル信号として出力し、前記受信信号が前記第2信号である場合、第1期間前のデータに基づいて選択した前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号のそれぞれ1つを前記デジタル信号として出力することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の受信回路。
【請求項8】
前記第1信号は4値のパルス振幅変調信号であり、前記第2信号は2値のパルス振幅変調信号であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の受信回路。
【請求項9】
異なる位相を有する複数のクロック信号の内の第1クロック信号を用いて受信シリアル信号をサンプリングし、前記受信シリアル信号の第1データ部のレベルの判定を行い、判定結果を第1判定信号として出力する第1の数の第1比較回路、及び前記複数のクロック信号の内の前記第1クロック信号とは異なる第2クロック信号を用いて前記受信シリアル信号をサンプリングし、前記第1データ部に続く前記受信シリアル信号の第2データ部のレベルの判定を行い、判定結果を第2判定信号として出力する前記第1の数の第2比較回路を含む判定回路と、
前記第1比較回路から出力される前記第1判定信号及び前記第2比較回路から出力される前記第2判定信号のタイミングを、前記複数のクロック信号の内の1つのクロック信号に合わせて出力するタイミングアライナ回路と、
前記タイミングアライナ回路から出力される、前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号に基づいて、デジタル信号を生成する論理回路と、
前記論理回路により生成された前記デジタル信号に対してシリアル−パラレル変換を行いパラレル信号を出力するデマルチプレクサと、
前記デマルチプレクサの出力信号に基づいて前記複数のクロック信号の内の少なくとも1つのクロック信号の位相を制御するクロックデータリカバリ回路とを有し、
前記判定回路は、前記受信シリアル信号が多値の第1信号であるときには前記第1の数の前記第1比較回路と前記第1の数の前記第2比較回路とを使用して前記第1データ部のレベル及び前記第2データ部のレベルの判定をそれぞれ行い、前記受信シリアル信号が前記第1信号より取り得る値の数が少ない第2信号であるときには前記第1の数より少ない第2の数(2以上)の前記第1比較回路と前記第2の数の前記第2比較回路とを使用して前記第1データ部のレベル及び前記第2データ部のレベルの判定をそれぞれ行い、
前記論理回路は、前記受信シリアル信号が前記第1信号である場合、前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号をデコードして前記デジタル信号を生成するデコーダとして動作し、前記受信シリアル信号が前記第2信号である場合、前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号のそれぞれ1つを選択して前記デジタル信号を生成するセレクタとして動作することを特徴とする受信回路。
【請求項10】
異なる位相を有する複数のクロック信号の内の第1クロック信号を用いて受信シリアル信号をサンプリングし、前記受信シリアル信号の第1データ部のレベルの判定を行い、判定結果を第1判定信号として出力する第1の数の第1比較回路、及び前記複数のクロック信号の内の前記第1クロック信号とは異なる第2クロック信号を用いて前記受信シリアル信号をサンプリングし、前記第1データ部に続く前記受信シリアル信号の第2データ部のレベルの判定を行い、判定結果を第2判定信号として出力する前記第1の数の第2比較回路を含む判定回路と、
前記第1比較回路から出力される前記第1判定信号及び前記第2比較回路から出力される前記第2判定信号のタイミングを、前記複数のクロック信号の内の1つのクロック信号に合わせて出力するタイミングアライナ回路と、
前記タイミングアライナ回路から出力される、前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号に基づいて、デジタル信号を生成する論理回路と、
前記論理回路により生成された前記デジタル信号に対してシリアル−パラレル変換を行いパラレル信号を出力するデマルチプレクサと、
前記デマルチプレクサの出力信号に基づいて前記複数のクロック信号の内の少なくとも1つのクロック信号の位相を制御するクロックデータリカバリ回路と、
前記デマルチプレクサからの前記パラレル信号を受けて処理動作を行う内部回路とを有し、
前記判定回路は、前記受信シリアル信号が多値の第1信号であるときには前記第1の数の前記第1比較回路と前記第1の数の前記第2比較回路とを使用して前記第1データ部のレベル及び前記第2データ部のレベルの判定をそれぞれ行い、前記受信シリアル信号が前記第1信号より取り得る値の数が少ない第2信号であるときには前記第1の数より少ない第2の数(2以上)の前記第1比較回路と前記第2の数の前記第2比較回路とを使用して前記第1データ部のレベル及び前記第2データ部のレベルの判定をそれぞれ行い、
前記論理回路は、前記受信シリアル信号が前記第1信号である場合、前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号をデコードして前記デジタル信号を生成するデコーダとして動作し、前記受信シリアル信号が前記第2信号である場合、前記タイミングを合わせた前記第1判定信号及び前記第2判定信号のそれぞれ1つを選択して前記デジタル信号を生成するセレクタとして動作することを特徴とする半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信回路及び半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
シリアライザ/デシリアライザ(SerDes:Serializer/De-serializer)の受信回路のフロントエンド部の構成例を
図6に示す。
図6には、“0”又は“1”の2値のNRZ(Non Return to Zero)信号を受信する受信回路(NRZ受信回路)の例を示している。
図6に示す受信回路は、シリアル信号入力端子に入力された2値のNRZ信号を増幅器601で増幅し、比較回路602Lが有する比較器602−L0、602−L1、及び比較回路602Hが有する比較器602−H0、602−H1が、それぞれ“0”及び“1”の判定を行って判定結果を出力する。
【0003】
ここでは、比較器602−L0、602−L1、602−H0、602−H1によりデータレートの半分の周期でデータをサンプリングするハーフレート構成の例を示している。また、比較回路602Cが有する比較器602−C0、602−C1により2値のNRZ信号に係るバウンダリ検出を行い、クロックデータリカバリ回路が2xサンプリングによる位相比較器で動作する構成の例を示している。そのため、
図6に示すように、それぞれ0度、90度、180度、270度の位相に対応する4相のクロックI、Q、IX、QXを供給している。2値のNRZ信号のデータを判定する比較器602−L0、602−L1、602−H0、602−H1の動作タイミングがクロックI、IXに基づいて制御され、クロックデータリカバリの位相検出のためのデータのエッジ判定を行う比較器602−C0、602−C1の動作タイミングがクロックQ、QXに基づいて制御される。
【0004】
また、
図6に示す例では、伝送路で生じるデータの符号間干渉(ISI:Inter Symbol Interference)による影響を除去して受信精度を高めるために、過去のデータの判定結果を基に符号間干渉による信号損失を補償する判定帰還型等化回路(DFE:Decision Feedback Equalizer)を適用している。特に、
図6においては、1UI(ユニットインターバル)後の符号間干渉による影響を補償するために、1UI前のデータを基に符号間干渉による信号損失を補償する1タップDFEを適用している。
【0005】
図6においては、比較回路602Lが有する比較器602−L0、602−L1の判定レベルと、比較回路602Hが有する比較器602−H0、602−H1の判定レベルとをずらし、1UI前である前回の判定結果を基に、選択するべき比較器の判定結果を比較器の後段に設けたセレクタ603、604で選択する。選択されたデータは、次の1UI後のデータの選択判定に用いられる。
【0006】
例えば、比較器602−L0及び比較器602−H0の判定結果がセレクタ603に入力され、セレクタ603は、1UI前の判定結果であるセレクタ604の出力データが“0”であれば比較器602−L0の判定結果を選択し、セレクタ604の出力データが“1”であれば比較器602−H0の判定結果を選択して、出力データとして出力する。また、例えば比較器602−L1及び比較器602−H1の判定結果がセレクタ604に入力され、セレクタ604は、1UI前の判定結果であるセレクタ603の出力データが“0”であれば比較器602−L1の判定結果を選択し、セレクタ603の出力データが“1”であれば比較器602−H1の判定結果を選択して、出力データとして出力する。
【0007】
このようにハーフレート構成の受信回路では交互にデータのサンプリングを行うため、1UI前のデータが対象の比較器と逆の位相で動作する比較器の判定結果となり、
図6に示すような簡単な構成で1タップDFEの受信回路を構成することが可能である。タイミングアライナ回路605は、4相のクロックI、Q、IX、QXにそれぞれ対応した互いに異なるタイミングで入力されるデータを、単一のクロックに同期させて出力する。これにより、後段の図示しないデマルチプレクサは、単一のクロックでデータ処理を行うことが可能となる。
【0008】
SerDesの受信回路のフロントエンド部の他の構成例を
図7に示す。
図7には、2値のNRZ信号ではなく、PAM4(Pulse Amplitude Modulation 4)と呼ばれる4値のパルス振幅変調信号を受信する受信回路(PAM4受信回路)の例を示している。
図7に示す受信回路は、シリアル信号入力端子に入力された4値のPAM4信号を増幅器701で増幅し、比較回路702Lが有する比較器702−L0、702−L1、比較回路702Zが有する比較器702−Z0、702−Z1、及び比較回路702Hが有する比較器702−H0、702−H1により3つの判定レベルでデータを判定することで、入力信号を3ビットのサーモメータコードとして判定する。得られる“000”、“001”、“011”、“111”のサーモメータコードは、それぞれ0、1、2、3の4値に対応し、この変換は、タイミングアライナ回路703を介してサーモメータコードが入力される論理回路(PAM4デコーダ)が行う。
【0009】
図7においても、データレートの半分の周期でデータをサンプリングする構成の例を示している。また、比較回路702Cが有する比較器702−C0、702−C1により4値のPAM4信号に係るバウンダリ検出を行い、クロックデータリカバリ回路が2xサンプリングによる位相比較器で動作する構成の例を示している。4値のPAM4信号のデータを判定する比較器702−L0、702−L1、702−Z0、702−Z1、702−H0、702−H1の動作タイミングがクロックI、IXに基づいて制御され、クロックデータリカバリの位相検出のためのバウンダリ検出を行う比較器702−C0、702−C1の動作タイミングがクロックQ、QXに基づいて制御される。
【0010】
PLL(Phase Locked Loop)方式のCDR(Clock Data Recovery)回路と、オーバーサンプリング方式のCDR回路の機能を併せ持ち、両方式間で切り替えることができるCDR回路が提案されている(特許文献1参照)。また、通信方式に応じて量子化器を構成する比較器のうち動作する比較器の数を変更し、2つの通信方式に対応して所望のノイズシェープ特性を得ることができるΔΣ(シグマ・デルタ)型A/D(アナログ−デジタル)変換回路を内蔵した通信用半導体集積回路が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2014−60583号公報
【特許文献2】特開2006−254261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、PAM4信号は1シンボルで2ビット分のデータを通信できるため、NRZ信号に比べてPAM4信号では2倍のデータレートを実現することが可能であるが、一方でNRZ信号はPAM4信号に比べてアイ開口部が大きいので受信精度が良い。それぞれの信号の特長を生かすために伝送線路やクロストークの大きさ等の通信状況に合わせて適切な変調方式を選択して通信できれば良いが、各変調方式に対応した回路をそれぞれ設けると回路規模が大きくなってしまう。本発明の目的は、回路規模が増大することを抑制し、複数の変調方式に対応することができる受信回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
受信回路の一態様は、
異なる位相を有する複数のクロック信号の内の第1クロック信号に基づいて、受信信号の
第1データ部のレベルの判定を行
い、判定結果を第1判定信号として出力する第1の数の
第1比較回路
、及び複数のクロック信号の内の第1クロック信号とは異なる第2クロック信号に基づいて、第1データ部に続く受信信号の第2データ部のレベルの判定を行い、判定結果を第2判定信号として出力する第1の数の第2比較回路を含む判定回路と、
第1比較回路から出力される第1判定信号及び第2比較回路から出力される第2判定信号のタイミングを、複数のクロック信号の内の1つのクロック信号に合わせて出力するタイミングアライナ回路と、タイミングアライナ回路から出力される、タイミングを合わせた第1判定信号及び第2判定信号に基づいて
、デジタル信号を生成する論理回路とを有する。判定回路は、
受信信号が多値の第1信号
であるときには第1の数の
第1比較回路
と第1の数の第2比較回路とを使用して
第1データ部のレベル及び第2データ部のレベルの判定をそれぞれ行い、受信信号が第1信号より取り得る値の数が少ない第2信号
であるときには第1の数より少ない第2の数
(2以上)の
第1比較回路
と第2の数の第2比較回路とを使用して
第1データ部のレベル及び第2データ部のレベルの判定をそれぞれ行い、論理回路は、
受信信号が第1信号である場合、
タイミングを合わせた第1判定信号及び第2判定信号をデコードしてデジタル信号を生成するデコーダとして動作し、
受信信号が第2信号である場合、
タイミングを合わせた第1判定信号及び第2判定信号のそれぞれ1つを選択してデジタル信号を生成するセレクタとして動作する。
【発明の効果】
【0014】
開示の受信回路は、第1信号及び第2信号に対して比較回路を共用し論理回路の動作を受信する信号に応じて切り替えることで、受信回路の回路規模が増大することを抑制しつつ、複数の変調方式に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態における受信回路のフロントエンド部の構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態におけるNRZ信号受信時の動作を説明する図である。
【
図3】本実施形態における比較器の動作制御に係る回路の構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態における受信回路の論理回路の例を説明する図である。
【
図5】本実施形態における半導体集積回路の構成例を示す図である。
【
図6】NRZ受信回路のフロントエンド部の構成例を示す図である。
【
図7】PAM4受信回路のフロントエンド部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態における受信回路のフロントエンド部の構成例を示す図である。
図1には、“0”又は“1”の2値のNRZ(Non Return to Zero)信号、及び“00”、“01”、“10”、及び“11”の4値のPAM4(Pulse Amplitude Modulation 4)信号を取り扱うことが可能な受信回路の例を示している。
【0018】
増幅回路11は、シリアル信号入力端子より入力される受信シリアル信号SINを増幅する。増幅回路11で増幅した信号は、判定回路15に入力される。判定回路15はデータ判定用の比較回路12L、12Z、12H、及びクロックデータリカバリの位相検出のためのバウンダリ検出用の比較回路12Cを含み、増幅回路11で増幅した信号は、データ判定用の比較回路12L、12Z、12H、及びクロックデータリカバリの位相検出のためのバウンダリ検出用の比較回路12Cに入力される。本実施形態では、3つのデータ判定用の比較回路12L、12Z、12Hを有しているが、これは2値のNRZ信号及び4値のPAM4信号を取り扱うためである。受信するパルス振幅変調信号の内で信号レベルの数が最大のものがN値のPAM信号である場合には、(N−1)個以上のデータ判定用の比較回路を有していればよい。
【0019】
比較回路12L、12Z、12Hの各々は、データのシンボルレートに対する比較器の比較サイクルの周波数の比の数の比較器を有する。例えば、シンボルレートの半分のレートで比較器が動作するハーフレート動作である場合、それぞれの比較回路12L、12Z、12Hは、2つの比較器を有する。本実施形態では、ハーフレート構成の例を示しており、比較回路12Lは2つの比較器12−L0、12−L1を有し、比較回路12Zは2つの比較器12−Z0、12−Z1を有し、比較回路12Hは2つの比較器12−H0、12−H1を有する。
【0020】
比較器12−L0、12−Z0、12−H0は、4相クロックの内の0度の位相に対応するクロックIに基づいて動作タイミングが制御され、増幅回路11で増幅した信号を閾値(判定レベル、比較参照電圧)を基に判定して判定結果を信号DLI、DZI、DHIとしてそれぞれ出力する。また、比較器12−L1、12−Z1、12−H1は、4相クロックの内の180度の位相に対応するクロックIXに基づいて動作タイミングが制御され、増幅回路11で増幅した信号を閾値(判定レベル、比較参照電圧)を基に判定して判定結果を信号DLIX、DZIX、DHIXとしてそれぞれ出力する。比較器12−L0、12−Z0、12−H0及び比較器12−L1、12−Z1、12−H1における閾値は、
図5に示すイコライザロジック回路等によって制御される。
【0021】
比較回路12Cは、クロックデータリカバリ回路での位相調整のためのバウンダリ検出のサンプリング数に応じた数の比較器を有する。本実施形態では、クロックデータリカバリ回路が2xサンプリングによる位相比較器で動作する構成の例を示しており、比較回路12Cは2つの比較器12−C0、12−C1を有する。比較器12−C0は、4相クロックの内の90度の位相に対応するクロックQに基づいて動作タイミングが制御され、判定結果を信号CLQとして出力する。また、比較器12−C1は、4相クロックの内の270度の位相に対応するクロックQXに基づいて動作タイミングが制御され、判定結果を信号CLQXとして出力する。
【0022】
タイミングアライナ回路13は、4相のクロックI、Q、IX、QXにそれぞれ対応した互いに異なるタイミングで比較回路12L、12Z、12Hから入力される信号を、単一のクロック(例えば、4相のクロックI、Q、IX、QXの内の何れかのクロック)に同期させて出力する。これにより、後段の回路は、単一のクロックでデータ処理を行うことが可能となる。論理回路14は、制御信号CTLによって動作モードが切り替えられ、制御信号CTLに応じて4値のPAM4信号のデコーダの機能又は1タップDFE(Decision Feedback Equalizer、判定帰還型等化回路)のセレクタの機能を実現する。本実施形態では、制御信号CTLが“0”のとき、論理回路14が4値のPAM4信号のデコーダとして動作し、制御信号CTLが“0”のとき、論理回路14が1タップDFEのセレクタとして動作するものとする。
【0023】
図1に示した受信回路のフロントエンド部が、4値のPAM4信号を受信するPAM4受信回路として動作する場合、比較回路12L、12Z、12Hの同相のクロックで動作する比較器が互いに異なる閾値で受信信号のレベルを判定し、判定結果を4値のサーモメータコードとして出力する。具体的には、比較回路12Lが有する比較回路12−L0、12−L1の閾値がPAM4信号における“00”と“01”とを区別する判定レベルに設定され、比較回路12Zが有する比較回路12−Z0、12−Z1の閾値がPAM4信号における“01”と“10”とを区別する判定レベルに設定される。また、比較回路12Hが有する比較回路12−H0、12−H1の閾値がPAM4信号における“10”と“11”とを区別する判定レベルに設定される。
【0024】
したがって、値“00”に対応するPAM4信号を受信した場合、比較回路12−L0、12−Z0、12−H0(12−L1、12−Z1、12−H1)の出力信号DLI、DZI、DHI(DLIX、DZIX、DHIX)がすべて“0”となり、“000”のサーモメータコードが出力される。また、値“01”に対応するPAM4信号を受信した場合、比較回路12−L0(12−L1)の出力信号DLI(DLIX)が“1”となり、比較回路12−Z0、12−H0(12−Z1、12−H1)の出力信号DZI、DHI(DZIX、DHIX)が“0”となり、“001”のサーモメータコードが出力される。
【0025】
また、値“10”に対応するPAM4信号を受信した場合、比較回路12−L0、12−Z0(12−L1、12−Z1)の出力信号DLI、DZI(DLIX、DZIX)が“1”となり、比較回路12−H0(12−H1)の出力信号DHI(DHIX)が“0”となり、“011”のサーモメータコードが出力される。また、値“11”に対応するPAM4信号を受信した場合、比較回路12−L0、12−Z0、12−H0(12−L1、12−Z1、12−H1)の出力信号DLI、DZI、DHI(DLIX、DZIX、DHIX)がすべて“1”となり、“111”のサーモメータコードが出力される。
【0026】
図1に示した受信回路のフロントエンド部が、2値のNRZ信号を受信するNRZ受信回路として動作する場合、例えば
図2に示すように3つの比較回路12L、12Z、12Hの内の2つの比較回路を動作させる。
図2においては、比較回路12L、12Hを動作させる場合を一例として示している。そして、比較回路12L、12Hの同相のクロックで動作する比較器が互いに異なる閾値で受信信号のレベルを判定し、判定結果を出力する。ここで、比較回路12Lが有する比較回路12−L0、12−L1の閾値は、例えば、1UI(ユニットインターバル)前の判定結果が“0”に対応する閾値に設定され、比較回路12Hが有する比較回路12−H0、12−H1の閾値は、例えば、1UI前の判定結果が“1”に対応する閾値に設定される。なお、比較回路12−L0、12−L1、12−H0、12−H1の閾値は、2UI以上前の判定結果に対応する閾値に設定することも可能である。
【0027】
また、2値のNRZ信号を受信するNRZ受信回路として動作する場合、使用しない比較回路(
図2に示す例では比較回路12Z)は、回路動作を停止させる(パワーダウンさせる)ようにしてもよい。例えば、
図3に示すように、比較器12−H0、12−Z0、12−L0に対して、イネーブル信号EN1、EN2、EN3がそれぞれ入力されるAND(論理積演算)ゲート301、302、303を介してクロック信号CLKを供給するようにする。なお、イネーブル信号EN1、EN2、EN3は、例えば
図5に示すイコライザロジック回路等から出力され、“1”がイネーブル状態を示すものとする。
【0028】
そして、比較器12−H0、12−Z0、12−L0の回路動作を停止させる(パワーダウンさせる)場合には、対応するイネーブル信号EN1、EN2、EN3を“0”にすることで比較器へのクロック信号CLKの供給を停止させる。例えば、
図2に示した例のように比較器12Zの回路動作を停止させる(パワーダウンさせる)場合には、イネーブル信号EN2を“0”にする。なお、
図3に示した比較器の動作制御に係る回路の構成は一例であり、これに限定されるものではない。
図3に示した構成とは異なる他の回路によって、使用しない比較回路の回路動作を停止させる(パワーダウンさせる)ようにしてもよい。
【0029】
図4は、
図1に示した論理回路14の一例を示す図である。
図4(A)に示すように論理回路14は、インバータ401、405、ANDゲート402、406、セレクタ403、407、409、410、バッファ404、408、及びフリップフロップ411〜414を有する。フリップフロップ411〜414は、タイミングアライナ回路13が比較回路12L、12Z、12Hからの信号を同期させて出力するときに使用したクロックと同じクロックで動作する。
【0030】
なお、
図4(A)においては、2値のNRZ信号を受信するNRZ受信回路として動作するとき、比較回路12L、12Hを動作させる場合の例を示している。また、信号DHI、DZI、DLI、DHIX、DZIX、DLIXは、タイミングアライナ回路13から出力された信号である。
【0031】
信号DHIが、インバータ401を介してANDゲート402に入力されるとともにセレクタ403に入力される。また、信号DZIが、バッファ404を介してフリップフロップ413に入力される。また、信号DLIが、ANDゲート402及びセレクタ403に入力される。同様に、信号DHIXが、インバータ405を介してANDゲート406に入力されるとともにセレクタ407に入力される。また、信号DZIXが、バッファ408を介してフリップフロップ414に入力される。また、信号DLI
Xが、ANDゲート406及びセレクタ407に入力される。
【0032】
ANDゲート402は、入力される信号の論理積演算を行い、演算結果をセレクタ409に出力する。また、ANDゲート406は、入力される信号の論理積演算を行い、演算結果をセレクタ410に出力する。セレクタ403は、フリップフロップ412の出力に応じて、信号DHI及び信号DLIの一方を選択してセレクタ409に出力する。また、セレクタ407は、セレクタ403の出力に応じて、信号DHIX及び信号DLIXの一方を選択してセレクタ410に出力する。なお、セレクタ403の選択信号としてフリップフロップ412の出力を用いるのは、フリップフロップ412から出力されている1つ前のデータが1UI前のデータに相当するからである。
【0033】
セレクタ409は、制御信号CTLに応じて、ANDゲート402の出力及びセレクタ403の出力の一方を選択してフリップフロップ411に出力する。また、セレクタ410は、制御信号CTLに応じて、ANDゲート406の出力及びセレクタ407の出力の一方を選択してフリップフロップ412に出力する。フリップフロップ411の出力が出力信号DOI[0](出力信号DOIの0ビット目)として出力され、フリップフロップ412の出力が出力信号DOIX[0](出力信号DOIXの0ビット目)として出力される。また、フリップフロップ413の出力が出力信号DOI[1](出力信号DOIの1ビット目)として出力され、フリップフロップ414の出力が出力信号DOIX[1](出力信号DOIXの1ビット目)として出力される。フリップフロップ411、413からの出力信号DOI、及びフリップフロップ412、414からの出力信号DOIXは、図示しない後段のマルチプレクサに供給される。
【0034】
ここで本実施形態において、セレクタ403は、フリップフロップ412の出力が“1”のとき、信号DHIを選択して出力し、フリップフロップ412の出力が“0”のとき、信号DLIを選択して出力する。同様に、セレクタ407は、セレクタ403の出力が“1”のとき、信号DHIXを選択して出力し、セレクタ403の出力が“0”のとき、信号DLIXを選択して出力する。
【0035】
また、セレクタ409は、制御信号CTLが“0”のとき、すなわちPAM4受信回路として動作しているとき、ANDゲート402の出力を選択して出力し、制御信号CTLが“1”のとき、すなわちNRZ受信回路として動作しているとき、セレクタ403の出力を選択して出力する。同様に、セレクタ410は、制御信号CTLが“0”のとき、すなわちPAM4受信回路として動作しているとき、ANDゲート406の出力を選択して出力し、制御信号CTLが“1”のとき、すなわちNRZ受信回路として動作しているとき、セレクタ407の出力を選択して出力する。
【0036】
このように構成した論理回路14は、制御信号CTLが“0”のとき、すなわちPAM4受信回路として動作しているときには、以下のように4値のPAM4信号のデコーダとして動作する。論理回路14は、クロックIに基づいたサンプリングにより得られたサーモメータコードの2ビット目である信号DHIの反転信号と0ビットである信号DLIとをANDゲート402により論理積演算した演算結果を、セレクタ409及びフリップフロップ411を介して、出力信号DOI[0](出力信号DOIの0ビット目)として出力する。また、論理回路14は、クロックIに基づいたサンプリングにより得られたサーモメータコードの1ビット目である信号DZIを、バッファ404及びフリップフロップ413を介して、出力信号DOI[1](出力信号DOIの1ビット目)として出力する。
【0037】
同様に、論理回路14は、クロックIXに基づいたサンプリングにより得られたサーモメータコードの2ビット目である信号DHIXの反転信号と0ビットである信号DLIXとをANDゲート406により論理積演算した演算結果を、セレクタ410及びフリップフロップ412を介して、出力信号DOIX[0](出力信号DOIXの0ビット目)として出力する。また、論理回路14は、クロックIXに基づいたサンプリングにより得られたサーモメータコードの1ビット目である信号DZIXを、バッファ408及びフリップフロップ414を介して、出力信号DOIX[1](出力信号DOIXの1ビット目)として出力する。
【0038】
このように、制御信号CTLが“0”のとき、すなわちPAM4受信回路として動作しているとき、論理回路14は、4値のPAM4信号のデコーダとして動作し、入力される3ビットのサーモメータコードをグレイエンコードして、
図4(B)に示すように2ビットのグレイコードに変換して出力する。すなわち、論理回路14は、入力される“000”、“001”、“011”、“111”のサーモメータコードをそれぞれ“00”、“01”、“11”、“10”の2ビットのデータに変換して出力する。
【0039】
なお、本実施形態では、3ビットのサーモメータコードを2ビットのグレイコードに変換して出力する例を示したが、これに限定されるものではなく、2ビットのバイナリコードに変換して出力する構成としてもよい。しかし、2ビットのグレイコードに変換して出力する場合には、“001”のサーモメータコードと“011”のサーモメータコードとの間で1ビットしか変化しないため、信号DZI、DZIXを出力する比較器12−Z0、12−Z1による判定間違いによるビット誤りを低減することができる。
【0040】
また、
図4(A)に示すように構成した論理回路14は、制御信号CTLが“1”のとき、すなわちNRZ受信回路として動作しているときには、以下のようにNRZ受信回路における1タップDFEのセレクタとして動作する。例えば、論理回路14は、セレクタ403が、1UI前の出力である、フリップフロップ412から出力された1つ前の出力信号DOI[0]が“1”であれば信号DHIを選択し、セレクタ403で選択した信号DHIを、セレクタ409及びフリップフロップ411を介して出力信号DOI[0]として出力する。また、論理回路14は、セレクタ403が、1UI前の出力である、フリップフロップ412から出力されている1つ前の出力信号DOI[0]が“0”であれば信号DLIを選択し、セレクタ403で選択した信号DLIを、セレクタ409及びフリップフロップ411を介して出力信号DOI[0]として出力する。
【0041】
同様に、論理回路14は、セレクタ407が、1UI前の出力であるセレクタ403の出力が“1”であれば信号DHIXを選択し、セレクタ407で選択した信号DHIXを、セレクタ410及びフリップフロップ412を介して出力信号DOIX[0]として出力する。また、論理回路14は、セレクタ407が、1UI前の出力であるセレクタ403の出力が“0”であれば信号DLIXを選択し、セレクタ407で選択した信号DLIXを、セレクタ410及びフリップフロップ412を介して出力信号DOIX[0]として出力する。
【0042】
このように、制御信号CTLが“1”のとき、すなわちNRZ受信回路として動作しているときには、論理回路14は、NRZ受信回路において1UI前の判定結果に基づいて2つの比較回路(比較器)の出力の一方を選択する1タップDFEのセレクタとして動作し、1UI前のデータに応じて出力する信号を切り替える。なお、制御信号CTLが“1”のとき、すなわちNRZ受信回路として動作しているときには、出力信号DOI[1]、DOIX[1]は有意な情報を持たないので、例えば後段の回路等において無効ビットとして処理すればよい。
【0043】
本実施形態によれば、4値のPAM4信号の受信で用いる比較回路12を2値のNRZ信号の受信で用いるとともに、論理回路14の動作を4値のPAM4信号を受信するか、2値のNRZ信号を受信するかに応じて切り替え、4値のPAM4信号を受信する場合にはPAM4デコーダの機能を論理回路14により実現し、2値のNRZ信号を受信する場合には1タップDFEのセレクタの機能を論理回路14により実現する。これにより、4値のPAM4信号を受信するPAM4受信回路を基本構成として、回路規模をほぼ増大させることなく、1タップDFEのNRZ受信回路としての動作を行うことが可能となる。
【0044】
例えば、PAM4受信回路として動作させた場合の受信状況が良くない場合に、データレートが半分になるもののNRZ信号に切り替えて受信特性を向上させるような制御が可能となる。また、NRZ受信回路として動作させた場合、1タップDFEが搭載されることで伝送路の信号損失に係る補償能力が向上し、例えば損失の大きさの限界(ナイキスト周波数において)を10dB程度から20dB程度まで大きく向上させることができる。
【0045】
なお、2値のNRZ信号及び4値のPAM4信号を取り扱うことが可能な受信回路の例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。受信するパルス振幅変調信号に応じて比較回路の数等を変更することで、取り得る値の数が異なる他のパルス振幅変調信号の組み合わせに対しても適用可能である。また、受信する信号のシンボルレートについては特に規定されるものではなく、変調方式に応じてシンボルレートが処理可能な範囲で異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0046】
図5は、本実施形態における半導体集積回路の構成例を示す図である。本実施形態における半導体集積回路501は、2値のNRZ信号や4値のPAM4信号等の入力シリアル信号をパラレル信号に変換するデシリアライザ回路の機能を有する受信回路502、及び受信回路502からのパラレル信号(データ)を受けて処理動作を行うロジック回路等の内部回路511を有する。
【0047】
受信回路502は、フロントエンド部503、ロジック部507、及びクロック生成部510を有する。フロントエンド部503は、差動増幅回路504、比較回路505、及びデマルチプレクサ506を有する。差動増幅回路504は、伝送路等を介して伝送された差動の入力シリアル信号RXIN、RXINXを受ける。比較回路505は、例えば
図1に示した比較回路12、タイミングアライナ回路13、及び論理回路(PAM4デコーダ/DFEセレクタ)14を有し、入力シリアル信号の値(データ)を判定する。デマルチプレクサ506は、比較回路505の出力に対してシリアル−パラレル変換を行い、パラレル信号RXOUTとして出力するとともに受信データクロックRXCLKOを出力する。
【0048】
ロジック部507は、クロックデータリカバリロジック回路508及びイコライザロジック回路509を有する。クロックデータリカバリロジック回路508は、受信した信号を基にクロック生成部510が出力するクロック信号の位相を適切に制御する。イコライザロジック回路509は、例えば比較回路505に係る制御を行い、比較回路505の各比較器12における閾値(判定レベル、比較参照電圧)を制御したり、イネーブル信号を出力し比較器12の動作又は停止を制御したりする。なお、比較回路505の各比較器12における閾値(判定レベル、比較参照電圧)を制御する機能、及びイネーブル信号を出力し比較器12の動作又は停止を制御する機能は、その一部又はすべてを受信回路502の外部に設けるようにしてもよい。
【0049】
クロック生成部510が出力するクロック信号を用いて、比較回路505が適切なタイミングで入力シリアル信号のサンプリングを行う。また、受信回路502の比較回路505及びイコライザロジック回路509が、制御信号CTLにより制御され、例えば比較回路505が有する論理回路14に対する動作モードの制御が行われる。なお、制御信号CTLは、外部から与えられる固定信号であってもよいし、オートネゴシエーション機能等のようにデータの受信状況を判定して動作モード(変調方式)を切り替える適応制御ロジック回路等が出力する信号であってもよい。受信回路502から出力されるパラレル信号RXOUTは、受信データクロックRXCLKOで動作するフリップフロップ512によって内部回路511に取り込まれ処理等が行われる。
【0050】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
11 差動増幅回路
12 比較回路
13 タイミングアライナ回路
14 論理回路(PAM4デコーダ/DFEセレクタ)
15 判定回路
301〜303、402、406 AND(論理積演算)ゲート
401、405 インバータ
403、407、409、410 セレクタ
404、408 バッファ
411〜414 フリップフロップ
501 半導体集積回路
502 受信回路
503 フロントエンド部
504 増幅回路
505 比較回路
506 デマルチプレクサ回路
507 ロジック部
508 クロックデータリカバリロジック回路
509 イコライザロジック回路
510 クロック生成部
511 内部回路
512 フリップフロップ