(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、用語の意味は、以下の通りである。
「ベット」とは、遊技を行うためにメダル(遊技媒体)を賭けることをいう。メダルをベットするには、メダル投入口47から実際のメダルを手入れ投入するか、又は貯留されているメダルをベットするためにベットスイッチ40を操作する。
一方、「クレジット」とは、上記「ベット」とは異なり、スロットマシン10内部にメダルを貯留することをいう。本明細書では、「クレジット」というときは、「ベット」を含まない意味で使用する。
さらに、「投入」とは、メダルをベット又はクレジットすることをいう。
【0009】
「手入れ」とは、遊技者が、メダル投入口47(後述)からメダルを投入することをいう。
「手入れベット」とは、遊技者が、メダル投入口47からメダルを手入れすることにより、メダルをベットすることをいう。
「手入れクレジット」とは、遊技者が、メダル投入口47からメダルを手入れすることにより、メダルをクレジットすること(クレジットを加算する)ことをいう。
「ベットメダル」とは、ベットされているメダルをいう。
「貯留メダル」とは、クレジット(貯留)されているメダルをいう。
【0010】
「貯留ベット」とは、遊技者がベットスイッチ40(後述)を操作することにより、当該遊技でベット可能な範囲内において、クレジットされているメダルの一部又は全部を、遊技を行うためにベットすることをいう。
「自動ベット」とは、リプレイが入賞したときに、スロットマシン10の制御処理により、前回遊技でベットされていた数のメダルを自動でベットすることをいう。
「精算」とは、ベットメダル及び/又は貯留メダルを遊技者に対して払い出すことをいう。本実施形態では、精算スイッチ43(後述)が操作されたときに精算処理を実行する。
【0011】
「払出し」とは、役の入賞に基づきメダルを遊技者に払い出すこと、又は上記精算によりメダルを払い出すことをいう。役の入賞に基づきメダルを遊技者に払い出すときは、クレジットとして貯留すること(貯留メダルを加算すること、換言すれば、RWM53(後述)に記憶された電子データを更新すること)、及び払出し口(図示せず)から実際のメダルを払い出すことの双方を含む。メダルの払出しは、たとえば「50」枚を限界枚数としてクレジットし、クレジット数が「50」を超えた分のメダルは、遊技者に対して実際に払い出すように制御する。
【0012】
「遊技媒体」は、本実施形態ではメダルであるが、たとえば封入式(ECO)遊技機のような場合には、遊技媒体として電子情報(電子メダル、電子データ)が用いられる。なお、「電子情報」とは、たとえば貸出し機に金銭(紙幣)を投入すると、その金銭に対応する分の電子情報に変換されるとともに、その電子情報の一部又は全部を、遊技機で遊技を行うための遊技媒体として遊技機にクレジット可能となるものである。
【0013】
また、遊技媒体が電子情報である場合において、「メダルの払出し」とは、遊技機に備えられた遊技媒体クレジット装置にクレジット(加算)することを意味する。したがって、「メダルの払出し」とは、実際にメダルをホッパー35(後述)から払い出すことのみを意味するものではなく、遊技媒体クレジット装置に、入賞役に対応する配当分の電子情報をクレジット(加算)する処理も含まれる。
【0014】
「N−1」遊技目、「N」遊技目、「N+1」遊技目、・・・(「N」は、2以上の整数)と遊技が進行する場合において、現在の遊技が「N」遊技目であるとき、「N」遊技目の遊技を「今回遊技」と称する。また、「N−1」遊技目の遊技を「前回遊技」と称する。さらにまた、「N+1」遊技目の遊技を「次回遊技」と称する。
【0015】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における遊技機の一例であるスロットマシン10の制御の概略を示すブロック図である。本実施形態は、第1実施形態〜第5実施形態からなる。そして、
図1は、第1実施形態〜第5実施形態に共通するブロック図である。
スロットマシン10に設けられた代表的な制御基板として、メイン制御基板50とサブ制御基板80とを備える。
メイン制御基板50は、入力ポート51及び出力ポート52を有し、RWM53、ROM54、メインCPU55等を備える(
図1で図示したもののみを備える意味ではない)。メイン制御基板50の外観や、メイン制御基板50が基板ケース56に収納されていることについては、第2実施形態(
図9及び
図10)で説明する。
【0016】
図1において、メイン制御基板50と、ベットスイッチ40等の操作スイッチを含む遊技進行用の周辺機器とは、入力ポート51又は出力ポート52を介して電気的に接続されている。入力ポート51は、操作スイッチ等の信号が入力される接続部であり、出力ポート52は、モータ32等の周辺機器に対して信号を送信する接続部である。
図1中、入力用の周辺機器は、その周辺機器からの信号がメイン制御基板50に向かう矢印で表示しており、出力用の周辺機器は、メイン制御基板50からその周辺機器に向かう矢印で示している(サブ制御基板80も同様である)。
【0017】
RWM53は、遊技の進行等に基づいた各種データ(変数)を記憶(更新)可能な記憶媒体である。
ROM54は、遊技の進行に必要なプログラムや各種データ(たとえば、データテーブル)等を記憶しておく記憶媒体である。
メインCPU55は、メイン制御基板50上に設けられたCPU(演算機能を備えるIC)を指し、遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行い、具体的には、役の抽選、リール31の駆動制御、及び入賞時の払出し等を実行する。
【0018】
また、メイン制御基板50上には、RWM53、ROM54、メインCPU55及びレジスタを含むMPUが搭載される。なお、RWM53及びROM54は、MPU内部に搭載されるもの以外に、外部に備えていてもよい。
なお、後述するサブ制御基板80上においても、RWM83、ROM84、及びサブCPU85を含むMPUが搭載される。なお、RWM83及びROM84は、MPU内部に搭載されるもの以外に、外部に備えてもよい。
【0019】
図1において、メダル投入口47から投入されたメダルは、メダルセレクタ内部に送られる。
なお、メダル投入口47から投入されたメダルのメダルセレクタ内での移動については、後述する
図2等で説明する。
メダルセレクタ内には、
図1に示すように、通路センサ46、ブロッカ45、投入センサ44(一対の投入センサ44a及び44b)が設けられており(ただし、これらに限定されるものではない)、これらは、メイン制御基板50と電気的に接続されている。
メダル投入口47から投入されたメダルは、最初に、通路センサ46に検知されるように構成されている。
【0020】
さらに、通路センサ46の下流側には、ブロッカ45が設けられている。ブロッカ45は、メダルの投入を許可/不許可にするためのものであり、メダルの投入が不許可状態のときは、メダル投入口47から投入されたメダルを払出し口から返却するメダル通路を形成する。これに対し、メダルの投入が許可状態のときは、メダル投入口47から投入されたメダルをホッパー35に案内するメダル通路を形成する。ブロッカ45は、たとえば、メダルセレクタ内のメダル通路の一部に形成された開口部(メダル返却口に通じる開口部)を塞いでメダルをホッパー35側に案内するためのメダル通路を形成する切替え部材と、その切替え部材を駆動するためのアクチュエータ等とから構成されている。
【0021】
ここで、ブロッカ45は、遊技中(リール31の回転開始時から、全リール31が停止し、役の入賞時には入賞役に対応する払出しの終了時まで)は、メダルの投入を不許可状態とする。すなわち、ブロッカ45がメダルの投入を許可するのは、少なくとも遊技が行われていないときである。
【0022】
メダルセレクタ内において、ブロッカ45のさらに下流側には、投入センサ(光学センサ)44が設けられている。投入センサ44は、本実施形態では所定距離を隔てて配置された一対の投入センサ44a及び44bからなり、メダルが一方の投入センサ44aにより検知されてから所定時間を経過した後に他方の投入センサ44bにより検知されるように構成されている。そして、一対の投入センサ44がそれぞれオン/オフとなるタイミングに基づいて、正しいメダルが投入されたか否かを判断する。
【0023】
また、
図1に示すように、メイン制御基板50には、遊技者が操作する操作スイッチとして、ベットスイッチ40(40a又は40b)、スタートスイッチ41、(左、中、右)ストップスイッチ42、及び精算スイッチ43が電気的に接続されている。
ここで、「操作スイッチ(又は、単に、「スイッチ」)」とは、遊技者(操作者)による操作体の操作に基づいて(外部からの力を受け)、電気信号のオン/オフを切り替える装置(電気回路及び/又は電気部品を含む)を指し、遊技者が操作する操作体の形状を限定するものではない。
【0024】
操作スイッチがオフ状態であるときは、たとえば発光素子からの光が受光素子に入射し続けている(受光素子が光を検知し続けているときは、操作スイッチはオフ状態にある。)。そして、遊技者等により操作スイッチ(の操作体)が操作されると、発光素子からの光が受光素子に入射しない状態となる。この状態を検知したときに、操作スイッチがオン状態になったことを示す電気信号をメイン制御基板50に送信する。なお、上記とは逆に、操作スイッチがオフ状態であるときは発光素子からの光が受光素子に入射せず、発光素子からの光が受光素子に入射したときにオン状態となるように構成してもよい。
【0025】
本実施形態では、スタートスイッチ41の操作体は、レバー(棒)状であり(このため、「スタートレバー(スイッチ)41」とも称される。)、ベットスイッチ40、ストップスイッチ42、及び精算スイッチ43の操作体は、押しボタン状である(このため、「ベットボタン(スイッチ)40」、「停止(ストップ)ボタン(スイッチ)42」、「精算ボタン(スイッチ)43」とも称される)。なお、後述する第4実施形態では、ストップスイッチ42の操作体(遊技者が押し込む部分)を「停止ボタン42a」と称する。
【0026】
また、
図1では図示しないが、操作スイッチの操作体及び/又はその周囲若しくは近傍には、LED(発光手段)が設けられている。そして、その操作スイッチの操作受付けが許可状態にあるときは、たとえばその操作スイッチに対応するLED等を青色発光し、その操作スイッチの操作受付けが不許可状態にあるときは、たとえばその操作スイッチのLED等を赤色発光することにより、その操作スイッチの許可/不許可状態を遊技者に示すようにしている。
【0027】
具体的には、たとえば全リール31が回転中であり、ストップスイッチ42の操作が受付け可能な状態であるときは、すべてのストップスイッチ42のLEDを青色発光させ、操作可能であることを遊技者に示す。そして、1つのストップスイッチ42が操作されると、操作されたストップスイッチ42に対応するリール31が停止制御される。その後、残りのストップスイッチ42が操作可能となるのは、停止制御されたリール31に対応するモータ32の励磁状態が終了し、かつ、操作されたストップスイッチ42の検知センサ42e(後述する第4実施形態)がオフになった後である。したがって、その間は、すべてのストップスイッチ42のLEDを赤色発光する。そして、操作されたストップスイッチ42に対応するモータ32の励磁状態が終了し、かつ、そのストップスイッチ42に対応する検知センサ42eがオフになったときは、すでに操作されたストップスイッチ42のLEDは赤色発光のままであるが、未だ操作されていないストップスイッチ42のLEDについては青色発光させる。
【0028】
ベットスイッチ40は、貯留されたメダルを今回遊技のためにベットするときに遊技者に操作される操作スイッチである。本実施形態では、1枚のメダルを投入するための1ベットスイッチ40aと、3枚(最大数、規定数)のメダルを投入するための3ベットスイッチ40bとを備える。
なお、これに限らず、2枚ベット用のベットスイッチを設けてもよい。
【0029】
なお、規定数は、たとえば、役物非作動時/作動時に応じて予め定められている。具体的には、役物非作動時、SB作動時、1BB作動時は3枚、2BB作動時は2枚、等のように設定されている。1ベットスイッチ40aを2回操作すると2枚のメダルを投入可能であり、3回操作すると3枚のメダルを投入可能である。また、規定数が3枚であるときは、3ベットスイッチ40bを操作すれば一時に3枚のメダルを投入可能であり、規定数が2枚であるときは、3ベットスイッチ40bを操作すれば一時に2枚のメダルを投入可能である。規定数未満がすでにベットされている状態で3ベットスイッチ40bを操作すれば、ベット数が3枚となるようにベット処理が行われる。
【0030】
また、スタートスイッチ41は、(左、中、右のすべての)リール31を始動させるときに遊技者に操作される操作スイッチである。
さらにまた、ストップスイッチ42は、3つ(左、中、右)のリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者に操作される操作スイッチである。
さらに、精算スイッチ43は、スロットマシン10内部にベット及び/又は貯留(クレジット)されたメダルを払い戻す(ペイアウトする)ときに遊技者に操作される操作スイッチである。
【0031】
また、
図1に示すように、メイン制御基板50には、表示基板75が電気的に接続されている。なお、実際には、メイン制御基板50と表示基板75との間には、中継基板が設けられ、メイン制御基板50と中継基板、及び中継基板と表示基板75とが接続されているが、
図1では中継基板の図示を省略している。このように、メイン制御基板50と表示基板75とは、直接ハーネス等で接続されていてもよいが、両者間に別の基板が介在してもよい。
さらに、制御基板同士が直接ハーネス等で接続されていることに限らず、他の別基板(中継基板等)を介して接続されていてもよい。たとえば、メイン制御基板50とサブ制御基板80との間に1つ以上の他の別基板(中継基板等)が介在してもよい。
【0032】
表示基板75には、クレジット数表示LED76、及び獲得数表示LED78が搭載されている。
クレジット数表示LED76は、スロットマシン10内部に貯留(クレジット)されたメダル枚数を表示するLEDであり、上位桁及び下位桁の2桁から構成されている。
【0033】
また、獲得数表示LED78は、役の入賞時に、払出し数(遊技者の獲得数)を表示するLEDであり、クレジット数表示LED76と同様に、上位桁及び下位桁の2桁から構成されている。
なお、獲得数表示LED78は、払い出されるメダルがないときは、消灯するように制御してもよい。あるいは、上位桁を消灯し、下位桁のみを「0」表示してもよい。
【0034】
また、獲得数表示LED78は、通常は獲得数を表示するが、エラー発生時にはエラーの内容(種類)を表示するLEDとして機能する。
さらにまた、獲得数表示LED78は、AT中に押し順を報知する遊技では、押し順指示情報を表示する(有利な押し順を報知する)LEDとして機能する。よって、本実施形態における獲得数表示LED78は、獲得数、エラー内容、及び押し順指示情報の表示を兼ねるLEDである。ただし、これに限らず、押し順指示情報を表示する専用のLED等を設けてもよいのはもちろんである。
なお、AT中において、有利な押し順の報知は、サブ制御基板80に接続された画像表示装置23によっても実行される。
【0035】
図1において、メイン制御基板50には、図柄表示装置のモータ(本実施形態ではステッピングモータ)32等が電気的に接続されている。
図柄表示装置は、図柄を表示する(本実施形態では3つの)リール31と、各リール31をそれぞれ駆動するモータ32と、リール31の位置を検出するためのリールセンサ33とを含む。
【0036】
モータ32は、リール31を回転させるための駆動手段となるものであり、各リール31の回転中心部に連結され、後述するリール制御手段65によって制御される。ここで、リール31は、左リール31、中リール31、右リール31からなり、左リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が左ストップスイッチ42であり、中リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が中ストップスイッチ42であり、右リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が右ストップスイッチ42である。
【0037】
リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付したものである。
また、各リール31には、1個(2個以上であってもよい)のインデックスが設けられている。インデックスは、リール31のたとえば周側面に凸状に設けられており、リール31が所定位置を通過したか否かや、1回転したか否か等を検出するときに用いられる。そして、各インデックスは、リールセンサ33により検知される。リールセンサ33の信号は、メイン制御基板50に電気的に接続されている。そして、インデックスがリールセンサ33を検知する(切る)と、その入力信号がメイン制御基板50に入力され、そのリール31が所定位置を通過したことが検知される。
【0038】
また、リールセンサ33がリール31のインデックスを検知した瞬間の基準位置上の図柄を予めROM54に記憶している。これにより、インデックスを検知した瞬間の基準位置上の図柄を検知することができる。さらに、リールセンサ33がリール31のインデックスを検知した瞬間から、(ステッピング)モータ32を何パルス駆動すれば、前記基準位置上の図柄から数えて何図柄先の図柄を有効ライン上に停止させることができるかを識別可能となる。
【0039】
また、メイン制御基板50には、メダル払出し装置が電気的に接続されている。メダル払出し装置は、メダルを溜めておくためのホッパー35と、ホッパー35のメダルを払出し口から払い出すときに駆動するホッパーモータ36と、ホッパーモータ36から払い出されたメダルを検出するための払出しセンサ37を備える。
【0040】
メダル投入口47から手入れされ、受け付けられた(正常であると判断された)メダルは、ホッパー35内に収容されるように形成されている。
払出しセンサ(光学センサ)37は、本実施形態では、所定距離を隔てて配置された一対の払出しセンサ37a及び37bからなる。そして、メダルが払い出されるときには、そのメダルにより所定の移動部材(後述する
図7の可動片39a)が移動する。所定の移動部材の移動によって、払出しセンサ37a及び37bがオン/オフされる。所定時間の範囲内で払出しセンサ37a及び37bがそれぞれオン/オフされたか否かに基づいて、メダルが正しく払い出されたか否かを判断する。
【0041】
たとえば、ホッパーモータ36が駆動しているにもかかわらず、一対の払出しセンサ37のオンを検知しないときは、メダルが払い出されていないと判断し、ホッパーエラー(メダルなし)と検知される。
一方、払出しセンサ37の少なくとも1つがオン信号を出力し続けたままとなったときは、メダル詰まりが生じたと検知する。
なお、これらの動作の詳細については、後述する
図6〜
図8で説明する。
【0042】
遊技者は、遊技を開始するときは、ベットスイッチ40の操作により予めクレジットされたメダルを投入するか(貯留ベット)、又はメダル投入口47からメダルを手入れ投入する(手入れベット)。当該遊技の規定数のメダルがベットされた状態でスタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力される。メイン制御基板50(具体的には、後述するリール制御手段65)は、この信号を受信すると、役抽選手段61による抽選を行うとともに、すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御する。このようにしてリール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓内で上下方向に移動表示される。
【0043】
そして、遊技者は、ストップスイッチ42を押すことで、そのストップスイッチ42に対応するリール31(たとえば、左ストップスイッチ42に対応する左リール31)の回転を停止させる。ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力される。メイン制御基板50(具体的には、後述するリール制御手段65)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、役抽選手段61の抽選結果(内部抽せん手段により決定した結果)に対応するように、そのモータ32に係るリール31の停止制御を行う。
【0044】
そして、すべてのリール31の停止時における図柄組合せにより、今回遊技の遊技結果を表示する。さらに、いずれかの役に対応する図柄組合せが有効ラインに停止したとき(その役の入賞となったとき)は、入賞した役に対応するメダルの払出し等が行われる。
【0045】
次に、メイン制御基板50の具体的構成について説明する。
図1に示すように、メイン制御基板50のメインCPU55は、以下の役抽選手段61等を備える。本実施形態における以下の各手段は例示であり、本実施形態で示した手段に限定されるものではない。
【0046】
役抽選手段61は、当選番号の抽選(決定、選択)を行う。ここで、「役抽選手段61による当選番号の抽選」は、風営法規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則。以下、単に「規則」という。)における「内部抽せん」と同じであり、役抽選手段61による抽選結果は、規則における「内部抽せんにより決定した結果」と同じである。したがって、役抽選手段61を、規則に合わせた表現で、「内部抽せん手段61」とも称する。
役抽選手段61により当選番号が決定されると、その当選番号に基づいて、入賞及びリプレイ条件装置番号、並びに役物条件装置番号が決定され、当該遊技で作動可能となる入賞及びリプレイ条件装置、並びに役物条件装置が定まることとなる。このため、役抽選手段61は、条件装置番号の決定(抽選又は選択)手段、当選役決定(抽選又は選択)手段等とも称される。
【0047】
役抽選手段61は、たとえば、抽選用の乱数発生手段(ハードウェア乱数等)と、この乱数発生手段が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段と、乱数抽出手段が抽出した乱数値に基づいて、当選番号を決定する当選番号決定手段とを備えている。
【0048】
乱数発生手段は、所定の領域(たとえば10進数で「0」〜「65535」)の乱数を発生させる。乱数は、たとえば200n(ナノ)secで1カウントを行うカウンターが「0」〜「65535」の範囲を1サイクルとしてカウントし続ける乱数であり、スロットマシン10の電源が投入されている間は、乱数をカウントし続ける。
【0049】
乱数抽出手段は、乱数発生手段によって発生した乱数を、所定の時、本実施形態では遊技者によりスタートスイッチ41が操作(オン)された時に抽出する。判定手段は、乱数抽出手段により抽出された乱数値を、後述する抽選テーブルと照合することにより、その乱数値が属する領域に対応する当選番号を決定する。
【0050】
当選フラグ制御手段62は、役抽選手段61による抽選結果に基づいて、各役に対応する当選フラグのオン/オフを制御するものである。本実施形態では、すべての役について、役ごとに当選フラグを備える。そして、役抽選手段61による抽選においていずれかの役の当選となったときは、その役の当選フラグをオンにする(当選フラグを立てる)。なお、役の当選には、当選役が1つである場合(単独当選)と、当選役が複数ある場合(重複当選)とが挙げられる。
【0051】
押し順指示番号選択手段63は、役抽選手段61による当選番号の抽選結果(押し順ベル、又は押し順リプレイ当選時)に基づいて、押し順指示番号(正解押し順に相当する番号)の選択(決定)を行うものである。
ここで選択される押し順指示番号の「押し順」とは、遊技者にとって有利な押し順(正解押し順)を意味する。たとえば押し順ベルの当選時には、高目ベルを入賞させる押し順(正解押し順)を指す。また、リプレイ重複当選時は、有利なRTに昇格させる押し順又は不利なRTに転落させない押し順を指す。
【0052】
本実施形態では、当選番号ごとに、それぞれ固有の押し順指示番号を備える。
そして、AT中に、押し順ベル又は押し順リプレイに当選したときは、メイン制御基板50は、上述した獲得数表示LED78に、押し順指示番号に対応する押し順指示情報、具体的には「=*」(「*」=1、2、・・)のような情報を表示する。このように、有利な押し順を有する条件装置の作動時に、押し順指示情報を表示する機能は、指示機能とも称される。
また、AT中に、押し順ベル又は押し順リプレイに当選したときは、メイン制御基板50は、遊技の開始時(スタートスイッチ41が操作され、当選番号が決定された後)に、サブ制御基板80に対し、押し順指示番号に対応するコマンドを送信する。
サブ制御基板80は、当該コマンドを受信したときは、正解押し順を画像表示装置23で画像表示する。
【0053】
なお、メイン制御基板50が選択した押し順指示番号をサブ制御基板80に送信することができるのは、有利区間(AT)中に限られる。したがって、通常区間において押し順指示番号選択手段63により押し順指示番号が選択されたとしても、その押し順指示番号がサブ制御基板80に送信されることはない。なお、通常区間では、押し順指示番号を選択しなくてもよい。
【0054】
演出グループ番号選択手段64は、当選番号に対応する演出グループ番号であって、サブ制御基板80に送信するための番号を選択するものである。
ここで、当選番号に対応する演出グループ番号が予め定められている。そして、演出グループ番号選択手段64は、スタートスイッチ41が操作されることにより当選番号が決定すると、当該遊技の当選番号に対応する演出グループ番号を選択し、メイン制御基板50は、選択した演出グループ番号をサブ制御基板80に送信する。サブ制御基板80は、受信した演出グループ番号に基づいて、当選役に関する演出を出力する。演出グループ番号は、上記の押し順指示番号と異なり、毎遊技選択され、メイン制御基板50からサブ制御基板80に送信される。
【0055】
また、メイン制御基板50は、サブ制御基板80に対し、当該遊技の当選番号を送信しない。このため、サブ制御基板80は、当該遊技の当選番号を知ることはできない。ただし、サブ制御基板80は、毎遊技、演出ブループ番号を受信するので、受信した演出グループ番号に基づいて、演出を出力可能となる。ただし、押し順ベル又は押し順リプレイの当選時であっても、演出グループ番号から正解押し順を判断できないので、サブ制御基板80は、演出グループ番号に基づいて正解押し順を報知することはない。これに対し、AT中は、押し順ベル又は押し順リプレイの当選時は、メイン制御基板50からサブ制御基板80に対し、押し順指示番号を送信する。これにより、サブ制御基板80は、受信した押し順指示番号に基づいて、正解押し順を報知可能となる。
【0056】
リール制御手段65は、リール31の回転開始命令を受けたとき、特に本実施形態ではスタートスイッチ41の操作を検知したときに、すべて(3つ)のリール31の回転を開始するように制御する。
さらに、リール制御手段65は、役抽選手段61により当選番号の決定が行われた後、今回遊技における当選フラグのオン/オフを参照して、当選フラグのオン/オフに対応する停止位置決定テーブルを選択するとともに、ストップスイッチ42が操作されたときに、ストップスイッチ42の操作を検知したときのタイミングに基づいて、そのストップスイッチ42に対応するリール31の停止位置を決定するとともに、モータ32を駆動制御して、その決定した位置にそのリール31を停止させるように制御する。
【0057】
たとえば、リール制御手段65は、少なくとも1つの当選フラグがオンである遊技では、リール31の停止制御の範囲内において、当選役(当選フラグがオンになっている役)に対応する図柄組合せを有効ラインに停止可能にリール31を停止制御するとともに、当選役以外の役(当選フラグがオフになっている役)に対応する図柄組合せを有効ラインに停止させないようにリール31を停止制御する。
【0058】
ここで、「リール31の停止制御の範囲内」とは、ストップスイッチ42が操作された瞬間からリール31が実際に停止するまでの時間又はリール31の回転量(移動図柄(コマ)数)の範囲内を意味する。
本実施形態では、リール31は、定速時は1分間で約80回転する速度で回転される。
そして、ストップスイッチ42が操作されたときは、MB作動中の所定のリール31(たとえば、中リール31)を除き、ストップスイッチ42が操作された瞬間からリール31を停止させるまでの時間が190ms以内に設定されている。これにより、本実施形態では、MB作動中の所定のリール31を除き、ストップスイッチ42が操作された瞬間の図柄からリール31が停止するまでの最大移動図柄数が4図柄に設定されている。
【0059】
一方、MB作動中の所定のリール31については、ストップスイッチ42が操作された瞬間からリール31を停止させるまでの時間が75ms以内に設定されている。これにより、MB作動中の所定のリール31については、ストップスイッチ42が操作された瞬間の図柄からリール31が停止するまでの最大移動図柄数が1図柄に設定されている。
【0060】
そして、ストップスイッチ42の操作を検知した瞬間に、リール31の停止制御の範囲内にある図柄のいずれかが所定の有効ラインに停止させるべき図柄であるときは、ストップスイッチ42が操作されたときに、その図柄が所定の有効ラインに停止するように制御される。
すなわち、ストップスイッチ42が操作された瞬間に直ちにリール31を停止させると、当選番号に対応する役の図柄が所定の有効ラインに停止しないときには、リール31を停止させるまでの間に、リール31の停止制御の範囲内においてリール31を回転移動制御することで、当選番号に対応する役の図柄をできる限り所定の有効ラインに停止させるように制御する(引込み停止制御)。
【0061】
また逆に、ストップスイッチ42が操作された瞬間に直ちにリール31を停止させると、当選番号に対応しない役の図柄組合せが有効ラインに停止してしまうときは、リール31の停止時に、リール31の停止制御の範囲内においてリール31を回転移動制御することで、当選番号に対応しない役の図柄組合せを有効ラインに停止させないように制御する(蹴飛ばし停止制御)。
さらに、複数の役に当選している遊技(たとえば、押し順ベル当選時)では、ストップスイッチ42の押し順や、ストップスイッチ42の操作タイミングに応じて、入賞させる役の優先順位が予め定められており、所定の優先順位によって、最も優先する役に係る図柄の引込み停止制御を行う。
【0062】
入賞判定手段66は、リール31の停止時に、有効ラインに停止したリール31の図柄組合せが、いずれかの役に対応する図柄組合せであるか否かを判断するものである。
ここで、入賞判定手段66は、実際に、役に対応する図柄組合せが有効ラインに停止したか否かを検知することはない。具体的には、当該遊技で作動した条件装置と、ストップスイッチ42の押し順及び/又はストップスイッチ42の操作タイミングとから、リール31が実際に停止する前に有効ラインに停止する図柄組合せを予め判断するか、又はリール31の停止後に有効ラインに停止した図柄組合せを予め判断する。
【0063】
制御コマンド送信手段71は、サブ制御基板80に対し、サブ制御基板80で出力する演出に必要な情報(制御コマンド)を送信する。
制御コマンドとしては、たとえばベットスイッチ40が操作されたときの情報、スタートスイッチ41が操作されたときの情報、押し順指示番号(AT中、かつ正解押し順を有する当選番号に当選したときのみ)、演出グループ番号、RT(遊技状態)情報、ストップスイッチ42が操作されたときの情報、入賞した役の情報等が挙げられる。
【0064】
図1において、サブ制御基板80は、遊技中及び遊技待機中における演出(情報)の選択や出力等を制御するものである。
ここで、メイン制御基板50とサブ制御基板80とは、電気的に接続されており、メイン制御基板50(制御コマンド送信手段71)は、パラレル通信によってサブ制御基板80に一方向で、演出の出力に必要な情報(制御コマンド)を送信する。
なお、メイン制御基板50とサブ制御基板80とは、電気的に接続されることに限らず、光通信手段を用いた接続であってもよい。さらに、電気的接続及び光通信接続のいずれも、パラレル通信に限らず、シリアル通信であってもよく、シリアル通信とパラレル通信とを併用してもよい。
【0065】
サブ制御基板80は、メイン制御基板50と同様に、入力ポート81、出力ポート82、RWM83、ROM84、及びサブCPU85等を備える。
サブ制御基板80には、入力ポート81又は出力ポート82を介して、
図1に示すような以下の演出ランプ21等の演出用周辺機器が電気的に接続されている。ただし、演出用の周辺機器は、これらに限られるものではない。
RWM83は、サブCPU85が演出を制御するときに取り込んだデータ等を一時的に記憶可能な記憶媒体である。
また、ROM84は、演出用データとして、演出に係る抽選を行うとき等のプログラムや各種データ等を記憶しておく記憶媒体である。
【0066】
演出ランプ21は、たとえばLED等からなり、所定の条件を満たしたときに、それぞれ所定のパターンで点灯する。なお、演出ランプ21には、各リール31の内周側に配置され、リール31に表示された図柄(表示窓から見える上下に連続する3図柄)を背後から照らすためのバックランプ、リール31の上部からリール31上の図柄を照光する蛍光灯、スロットマシン10のフロントドア前面に配置され、役の入賞時等に点滅する枠ランプ等が含まれる。
【0067】
また、スピーカ22は、遊技中に各種の演出を行うべく、所定の条件を満たしたときに、所定のサウンドを出力するものである。
さらにまた、画像表示装置23は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、ドットディスプレイ等からなるものであり、遊技中に各種の演出画像(正解押し順、当該遊技で作動する条件装置に対応する演出等)や、遊技情報(役物作動時や有利区間(AT)中の遊技回数や獲得枚数等)等を表示するものである。
【0068】
図2は、メダル投入口47から投入されたメダルMが投入センサ44a及び44bを通過するまでの様子を示す図であって、正面から見た模式図である。
図2では、メダルセレクタの内部が見えるように図示している。また、メダルMは、その位置に応じて、M1〜M4を示している。M1の位置は、メダルMがメダル投入口47のメダル置き部47bに置かれている状態(放たれる前の状態)を示す。すなわち、M1の位置では、正面から見て、メダルMの外周縁の最下点とメダル置き部47bの上面とが当接している。
なお、
図2(及び後述する
図4)において、投入センサ44a及び44bとして表示した略正方形の部分全体が、それぞれ投入センサ44a及び44bの受発光範囲(センサの目)であるものとする(それぞれ投入センサ44a及び44bの筐体ではない。)。
【0069】
また、M2の位置は、正面から見てメダルMが見えなくなった瞬間の位置を示している。すなわち、M2の位置では、メダルMの外周縁の最上点とメダル置き部47bの上面とが重なる位置である。たとえば、メダルMがM1の位置にあるときに遊技者がメダルMから手を離すと仮定すると、メダルMは、M1の位置から落下する。したがって、M2の位置では、遊技者の手から放れている状態であって下流側に落下(移動)している状態である。
なお、「上流側」とはメダル投入口47側を示し、「下流側」とは投入センサ44b側(ホッパー35側)を指すものとする。メダルMの位置でいえば、上流側から下流側に向かって、M1→M2→M3→M4となる。
【0070】
図2の例では、メダルMがM2に位置しているときには、通路センサ46によってメダルMが検知されるように通路センサ46を配置している。
さらに、M3の位置は、投入センサ44aによってメダルMが検知された瞬間(オン)の位置を示す。また、M4の位置は、投入センサ44bによってメダルMが検知されなくなった瞬間(オフ)の位置を示している。
【0071】
メダル投入口47は、遊技者が遊技媒体としてのメダルMをベット又はクレジットするときに、メダルMをスロットマシン10内部(メダルセレクタ)に投入する部分である。メダル投入口47は、メダルガード部47aと、メダル置き部47bとを備える。メダル置き部47bは、複数枚(最大で10枚程度)の重ねたメダルMを同時に載置可能に、図面の紙面に対して垂直方向に伸びる略湾曲面(メダルMの周縁よりもやや大きな曲率を有する曲面)を有する。
【0072】
メダル置き部47bの前記略湾曲面と、メダルガード部47aのメダルMが接触する面(
図2で見えている面)は、略垂直に交差するように形成されている。
さらに、
図2では表れていないが、メダル置き部47bとメダルガード部47aとが交差する部分には、1枚のメダルMを流下可能な開口部を有している。2枚のメダルMを重ねた状態では前記開口部からメダルMが落下しないが、1枚のメダルMの厚みのときは前記開口部からメダルMが流下するように形成されている。このため、遊技者は、たとえば重ねた複数枚のメダルMをメダル置き部47b上に載置し、その複数枚のメダルMをメダルガード部47aの方向に押し当てつつ、押し当て力を強めたり弱めたりすることで、メダル置き部47b上に載置したメダルMを1枚ずつ前記開口部からメダルセレクタ内に落とし込むことが可能となっている。
【0073】
メダル投入口47からメダルMが投入される(下方に放たれる)と、そのメダルMは、メダルセレクタ内の通路を流下する。メダルセレクタ内には、上流側から、通路センサ46、投入センサ44a、投入センサ44bが設けられている。さらに、通路センサ46と、投入センサ44aとの間(
図2では、投入センサ44aの下側)には、上述したブロッカ45が設けられている。
【0074】
メダルMがメダルセレクタ内に入ると、最初に、通路センサ46によって検知される。通路センサ46は、メダル詰まりやゴト行為の有無判断するため等に設けられたセンサであり、通路センサ46がメダルMを検知した時から、(予め定めた)所定時間、メダルMを検知し、さらに所定時間の経過後はメダルMを検知しなくなったときは、正常であると判断する。これに対し、通路センサ46がメダルを検知した後、所定時間を経過してもメダルMを検知し続けているときは、メダル滞留エラーと判断する。また、通路センサ46がメダルMを検知した後、所定時間を経過する前にメダルMを検知しなくなったときは、メダルMの不正通過であると判断する。
【0075】
メダルMがメダル通路内を流下すると、ブロッカ45の位置に到達する。ブロッカ45は、メダル通路において下面側に配置されている。ブロッカ45は、オン状態(出力ポート52のうち、ブロッカ45に係る出力ポートがオン)であるときは、メダルMが投入センサ44a及び44bによって検知可能となるようにメダル流路を形成する。換言すれば、上流側から移動してきたメダルMを、メダル通路外に送出することなく、投入センサ44a及び44b側に送る役目を持っている。
【0076】
これに対し、オフ状態(出力ポート52のうち、ブロッカ45に係る出力ポートがオフ)であるときは、ブロッカ45は、
図2中、図面の紙面に対して垂直方向にずれるように移動することにより、メダル通路に開口部(落とし穴)を形成する。これにより、ブロッカ45がオフ状態では、メダルMは、M3に到達する直前に、この開口部から落下し、メダル通路外に送られる(
図2中、M5)。この開口部から落下したメダルMは、投入センサ44aに検知されることなく、メダル返却口(図示せず)に戻される。
【0077】
たとえば、当該遊技の規定数がすでにベットされており、かつクレジット数が上限値に到達しているときは、それ以上のメダルのベット及びクレジットができないので、ブロッカ45はオフ状態に制御される。これにより、その状態においてメダルMがメダル投入口47から投入されても、前記開口部から落下してメダル返却口に戻される。
これに対し、ブロッカ45がオン状態であるときは、前記開口部がブロッカ45によって塞がれているので、メダル通路内を流下するメダルMは、ブロッカ45上を通過し、投入センサ44a及び44b側に移動可能となる。
【0078】
なお、本実施形態では、
図2のようにブロッカ45を配置したが、この配置に限られるものではない。ブロッカ45のオン状態/オフ状態にかかわらず、通路センサ46によってメダルMを検知することができ、ブロッカ45がオン状態であるときはメダルMを投入センサ44a及び44bに案内することができ、かつ、ブロッカ45がオフ状態であるときはメダルMが投入センサ44a及び44bに検知されることなくメダル返却口に送ることができればよい。換言すれば、通路センサ46と投入センサ44aとの間にブロッカ45が位置すればよい。
【0079】
また、通路センサ46は、ブロッカ45よりも上流側に位置していればよく、ブロッカ45がオフ状態であっても、メダル投入口47から投入されたメダルMを検知可能な位置に配置されていればよい。また、
図2では、通路センサ46は、メダルMがM2に位置したときは、メダルMを検知できるように配置しているが、これに限らず、メダルMがM2の位置よりもさらに下流側に移動したときにメダルMを検知するように通路センサ46を配置することも可能である。
【0080】
投入センサ44a及び44bは、ブロッカ45を通過したメダルMを検知するためのセンサであり、これら2つのセンサは、所定距離を隔てて設置されている。まず、メダルMがM3の位置に到達したときは、上流側の投入センサ44aがメダルMを検知可能となる(オフからオンになる)。さらにメダルMが流下すると、次に投入センサ44bがメダルMを検知する(オフからオンになる)。これら2つの投入センサ44a及び44bのオン/オフのタイミングを判断することにより、投入されたメダルMが正常であるか否かを判断する。メダルMがM4の位置に到達すると、投入センサ44a及び44bに検知されなくなる。投入センサ44a及び44bを通過したメダルMは、ホッパー35に送られる。
【0081】
図2において、メダルセレクタは、以下のように設計されている。
まず、メダルMがM2の位置、すなわちメダルセレクタを正面から見たときに、メダルMが視認不可能となった瞬間から、メダルMがM4の位置、すなわち投入センサ44bに検知されなくなる瞬間の位置に到達するまで(
図2中、点線で移動軌跡を示す。)の時間を、時間T2に設定している。なお、メダルMがM1に位置しているときにそのメダルMから(初速度「0」で)手を離し、下方に放った場合の値である。よって、メダルMがM2に位置するときの速度は、「0」を超える。
【0082】
また、メダルMの加速度は、M2の位置からさらに下方に移動するに従って大きくなる。一方、
図2中、メダル通路が垂直方向から水平方向に曲がった部分には、衝撃部材(
図2では図示せず)が設けられている。この衝撃部材にメダルMが接触すると、メダルMの速度が減速されて、投入センサ44a及び44bに向かうようになっている。
そして、メダルMがM3に位置する瞬間(投入センサ44aに検知された瞬間)から、M4に位置する瞬間(投入センサ44bに検知されなくなった瞬間)までの時間を、時間T3に設定している。
【0083】
<第1実施形態(A)>
図3は、本実施形態のうち、第1実施形態(A)を説明するためのタイムチャートを示す図である。
図3は、スロットマシン10の電源がオフにされたとき(たとえば、電源スイッチ11がオフにされたときや、停電が発生したとき)の電圧レベルを示すものである。
図3において、電源が正常にオン状態になっているときの電圧を供給レベルV0とする。供給レベルV0の状態では、スロットマシン10は、正常に作動する。
【0084】
図3では、時刻S11のときに、電源断が発生した(電源の供給が遮断される事象が発生した)例を示している。本実施形態では、電源断が発生すると、時間T0で、電圧が電源断検知レベルV1まで低下する。
電源断が発生したとき(時刻S11;供給レベルV0)から、電源断を検知するまで(時刻S12;電源断検知レベルV1)までの時間T0は、少なくとも20割込み(1割込み時間2.235ms×20割込み=44.7ms)以上となるように設計されている。
メイン制御基板50上には、(図示しない)電圧監視装置(電源断検出回路)が設けられている。そして、電源電圧が所定値である電源断検知レベルV1以下になったときには、入力ポート51における所定のビットに電源断検知信号が入力され、その信号の入力があったか否かを検知することにより電源断を検知する。
【0085】
電圧が電源断検知レベルV1からさらに低下していき、メインCPU55の駆動電圧限界V2未満になると、メインCPU55を駆動することができなくなる(メインCPU55の動作を保証できなくなる)。
図3の例では、時刻S13で、電圧レベルがメインCPU55の駆動電圧限界V2となり、その後、Lowに低下する例を示している。メイン制御基板50は、電圧が駆動電圧限界V2未満になると電源断処理を実行することができないので、電源断が時刻S11で発生したときは、少なくとも時刻S13までに、電源断処理を終了できるように設定している。
【0086】
また、電源断の検知は、2.235msごとに実行される割込み処理内で実行するが、2割込み連続で電源断を検知したときは、次の割込み処理で電源断処理を実行する。したがって、
図3中、時刻S12は、2回連続で割込み処理で電圧が電源断検知レベルV1以下であると判断され、電源断が発生したと検知したタイミングである。そして、次の割込み処理で、電源断処理を実行する。
なお、割込み処理では、以下のような処理を実行する。まず、電源断を検知したか否かを判断し、電源断を検知したときは、(通常の割込み処理に移行せずに)電源断処理に移行する。電源断処理では、まず、出力ポート52をオフにする。出力ポート52をオフにする処理により、ブロッカ45がオフとなる。さらに、スタックポインタの保存処理、電源断処理済みフラグ(正常な電源断が行われたか否かを判断するためのフラグ)のセット処理、RWM53のチェックサムの実行処理、RWM53の書き込み禁止処理等を順次実行した後、リセット待ち状態(ループ処理状態)となる。このリセット待ち状態は、設計上、何も処理を行わない状態となっている。
したがって、
図3に示すように、電源断を検知した割込み処理(時刻S12)の次の割込み処理で、電源断処理が実行され、ブロッカ45がオフにされる。
なお、電源断を検知した割込み処理の次の割込み処理で電源断処理を実行することに限らず、電源断を検知した割込み処理内で電源断処理を実行してもよい。この場合には、「T1=S12−S11」となる。
【0087】
一方、
図3では、メダルが投入された後のメダル位置(M2、M4)を併せて図示している。
図2において、メダルMがM1の位置にある状態で、遊技者がメダルMから手を離したと仮定する。なお、この場合には、メダルMは、初速度「0」で落下する。これにより、メダルMは、メダルセレクタ内に放たれる。そして、
図3では、電源断が発生した時刻S11と、メダルMがM2の位置に到達した時刻とを一致させている。
【0088】
図2で示したように、メダルMがM2に位置する瞬間からM4に位置する瞬間までの時間をT2としたが、
図3においても同様に、メダルMがM2に位置する瞬間から時間T2経過後に、メダルMがM4に位置するものとする。
この場合、本実施形態では、「T2>T1」の関係を満たすように設計している。
【0089】
したがって、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生すると、メダルMがM4に到達する前に電源断処理が実行され、投入センサ44bがメダルMを検知しなくなる。よって、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生したときは、そのメダルMは、投入センサ44bに検知されることなくメダル返却口(下皿)に送られる。このため、そのメダルMは、投入センサ44a及び44bを正常に通過することにはならない。よって、そのメダルMについては、飲み込みが発生してしまうが、電源断の発生後(時刻S11の後)に、メダルMの「1」加算(ベット又はクレジットへの「1」加算)処理が実行されない。これにより、電源断の発生後にベット又はクレジット処理が実行されてしまう可能性をなくすことができる。
【0090】
たとえば、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生した場合において、時間T1が経過したとき(電源断処理時)に、
図2中、メダルMがM4の直前に位置するとき(メダルMがM3の位置を通過した後のとき)は、そのメダルMは、投入センサ44aには検知されるが、投入センサ44bには検知されることなく、電源がオフになる。
また、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生した場合において、時間T1が経過したとき(電源断処理時)に、
図2中、メダルMがM3の位置よりも上流側に位置するときは、そのメダルMは、投入センサ44a及び投入センサ44bのいずれにも検知されることなく、電源がオフになる。
【0091】
また、
図2において、メダルMがM2に位置する瞬間から、M3に位置する瞬間までの時間を、時間T2’とする。
この場合、「T2’>T1」の関係を満たすように設計することが好ましい。
上記の関係に設計した場合において、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生すると、メダルMがM3に到達した時点では、電源断処理が実行されることによりブロッカ45がオフ状態となっている。したがって、そのメダルMは、投入センサ44aに検知されることなくメダル通路外に送出され、メダル返却口に送られるようになる。
【0092】
ここで、従来技術と第1実施形態(A)との相違について説明する。
従来は、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生すると、その電源断を検知してブロッカ45をオフにしたときには、メダルMは、すでに投入センサ44bの位置を通過していた。したがって、電源断が発生した後に、メダルの「1」加算処理(ベット処理又はクレジット処理)が実行されていた。しかし、電源断が発生した後にメダル加算処理を実行することは好ましくない。電源断の発生後は、遊技の進行に係るすべての処理を速やかに停止すべきだからである。
そこで、第1実施形態(A)のように構成すれば、遊技者がメダル投入口47からメダルMを投入し、メダルMがM2に位置する瞬間(投入直後)に電源断が発生したとしても、メダルの「1」加算処理が実行されないようにしたので、スロットマシン10の機能を高めることができる。
【0093】
<第1実施形態(B)>
第1実施形態(B)は、投入センサ44a及び44bと、電源断との関係を定めたものである。
図4は、メダルMが投入センサ44aにより検知されてから、投入センサ44bにより検知されなくなるまでの過程を示す正面図である。
図4中、矢印方向は、メダルMの進行(流下)方向を示している。
図4(a)は、メダルMが投入センサ44aにより検知された瞬間の図を示している。このとき、投入センサ44aはオフからオンになった瞬間であり、投入センサ44bはオフのままである。なお、この位置は、
図2中、M3に相当する。
【0094】
次に、メダルMが
図4中、左側に進行し、
図4(b)に示す状態になると、投入センサ44aはメダルMを検知した状態のままであり、投入センサ44bがメダルMを検知するようになる。よって、
図4(b)では、投入センサ44aはオンであり、投入センサ44bはオフからオンになった瞬間である。
なお、
図4では、投入センサ44a及び44bとメダルMとが重なった場合であっても、投入センサ44a及び44bとメダルMとの双方を実線で示しているが、メダルMと投入センサ44a及び44bの位置関係を表すものではない。投入センサ44a及び44bは、メダルMに対し、
図4の紙面の垂直方向において手前側に配置されていてもよく、奥側に配置されていてもよい。
【0095】
メダルMがさらに進行し、
図4(c)の状態になると、投入センサ44a及び44bの双方によってメダルMが検知されている状態となる。よって、この場合の投入センサ44aはオンであり、かつ投入センサ44bもオンである。
ここで、メダルMの直径は、たとえば、一般仕様では25ミリメートル(いわゆる25パイ(φ))であり、特殊仕様では30ミリメートル(いわゆる30パイ(φ))である。したがって、
図4(c)の状態になることが可能に、投入センサ44aと44bとの間の距離を設定する必要がある。ここで、後述するように、
図4(c)の状態、すなわち投入センサ44a及び44bの双方がオンとなっている(メダルMを検知している)時間が所定の範囲内であるか否かにより、メダル投入エラーと判定するか否かを定めている。よって、投入センサ44aと44bとの間の距離は、投入センサ44a及び44bの双方がオンとなっている時間をどのように設定するかによっても異なる。
【0096】
図4(c)の状態からメダルMがさらに進むと、
図4(d)に示すように、投入センサ44aは、メダルMを検知しなくなる。この場合、投入センサ44aはオンからオフになった瞬間であり、投入センサ44bはオンのままである。さらにメダルMが進行すると、
図4(e)に示すように、投入センサ44bがメダルMを検知しなくなる。よって、この場合には、投入センサ44aはオフのままであり、投入センサ44bはオンからオフになった瞬間である。なお、
図4(e)のメダルMの位置は、
図2中、M4に相当する。
【0097】
図5は、投入センサ44a及び44bのオン/オフをタイムチャートで示す図である。
図5において、時刻S21は、投入センサ44aがオフからオンになった瞬間(投入センサ44bのはオフのまま)であり、
図4(a)のタイミングに相当する。
次に、投入センサ44bがメダルMを検知した(オフからオンになった)瞬間(
図4(b))の時刻をS22とする。さらにまた、投入センサ44aがメダルMを検知しなくなった(オンからオフになった)瞬間(
図4(d))の時刻をS23とする。さらに、投入センサ44bがメダルMを検知しなくなった(オンからオフになった)瞬間(
図4(e))の時刻をS24とする。
【0098】
ここで、投入センサ44aがメダルMを検知している時間Ta(時刻S21からS23までの間)が、6.705ms(3割込み)以上、185.505ms(83割込み)未満の範囲内であれば(条件1)、メイン制御基板50は、正常なメダルMの通過であると判断し、この範囲から外れているときは、メダル通過エラーと判断する。
【0099】
また、投入センサ44a及び44bの双方がメダルMを検知している時間Tb(時刻S22からS23までの間)が、4.47ms(2割込み)以上、118.455ms(53割込み)未満の範囲内であれば(条件2)、メイン制御基板50は、正常なメダルMの通過であると判断し、この範囲から外れているときは、メダル通過エラーと判断する。
【0100】
さらにまた、投入センサ44bがメダルMを検知している時間Tc(時刻S22からS24までの間)が、6.705ms(3割込み)以上、185.505ms(83割込み)未満の範囲内であれば(条件3)、メイン制御基板50は、正常なメダルMの通過であると判断し、この範囲から外れているときは、メダル通過エラーとする。
上述した条件1〜条件3のすべてを満たす場合には、メダルMの通過は正常であると判断し、少なくとも1つの条件を満たさないときは、メダル通過エラーとする。
【0101】
また、
図5に示すように、投入センサ44a及び44bの双方がオフになったとき(時刻S24)は、投入監視カウンタを「1」減算する。
ここで、投入監視カウンタは、上述した通路センサ46がメダルMを検知したときに「+1」となり、投入センサ44a及び44bをメダルが正常に通過したとき(投入センサ44a及び44bの双方が、オフ→オン→オフとなったとき。よって時刻S24のとき。)に「−1」されるカウンタである。すなわち、正常時には、「1」と「0」とを繰り返す。
一方、通路センサ46がメダルMを検知せず、投入センサ44a及び44bのみがメダルの通過を検知したときは、投入監視カウンタは「−1」となり、メイン制御基板50は、メダル通過エラーと判断する。
【0102】
また、通路センサ46がメダルMを検知し(投入監視カウンタ=「+1」)、かつ、投入センサ44a及び44bがメダルMの通過を検知しなかった場合において、通路センサ46がさらにメダルMを検知し、投入監視カウンタが「2」以上の所定値になると、メイン制御基板50は、メダル詰まりエラーと判断する。たとえば投入監視カウンタの正常値を「0」〜「2」に設定した場合には、投入監視カウンタが「3」以上となったときは、メイン制御基板50がメダル詰まりエラーと判断することが挙げられる。
なお、投入監視カウンタは、ブロッカ45がオフ状態からオン状態になるときは、クリアされる。
【0103】
図5において、時刻S24で、投入センサ44bがオンからオフになり、投入監視カウンタが「1」減算され、メダルMが正常に通過したと判断されたときは、メイン制御基板50は、メダル投入処理(ベット処理又はクレジット処理)を実行する。たとえばその時点で、ベット数が規定数未満であるときは、ベット数の「1」加算処理を実行する。具体的には、当該遊技での規定数が「3」であり、その時点でのベット数が「0」であるときは、ベット数の「1」加算処理により、ベット数を「0」から「1」に更新する。
【0104】
また、その時点で、ベット数が既に規定数に到達している場合において、クレジット数が最大数の「50」に到達していないときは、クレジット数の「1」加算処理を実行する。たとえば、その時点でのクレジット数が「10」であるときは、クレジット数を「11」に更新する。
なお、ベット数が規定数となり、かつ、クレジット数が最大数の「50」に到達したときは、メイン制御基板50は、ブロッカ45をオフ状態にする。これにより、メダル投入口47からメダルMが投入されても、そのメダルMは返却される。換言すれば、その場合には、メダルMが投入されても投入センサ44a及び44bに検知されることはない。
【0105】
図5では、投入センサ44a及び44bのオン/オフに加えて、電源断発生時と電源断検知時のタイミングを表示している。
図5では、例1及び例2を示し、いずれも、投入センサ44aがオフからオンになったタイミング(時刻S21)で電源断が発生した場合を例に挙げている。
そして、例1では、電源断が発生した時刻S21から、時間T1経過後に電源断を検知している。ここで、例1では、「T1>T3」に設定されている。したがって、電源断が発生した瞬間に投入センサ44aがメダルMを検知した場合において、電源断処理を開始するときは、すでにメダルMの「1」加算処理を実行した後である。
【0106】
ここで、時刻S21からS24までの時間T3は、「Ta+Tc−Tb」で表すことができる。したがって、時間T3の最小時間は、4割込みに相当し、「8.94ms」である。
また、時間T3の最大時間は、113割込みに相当し、「252.555ms」である。
そして、例1では、必ず、時刻S24の経過後に電源断処理が実行されるように設定する。このため、たとえば、電源断の発生(時刻S21)から電源断処理が実行されるまでの時間T1は、114割込み以上となるように設定する。
【0107】
以上のように設定すれば、投入センサ44aがメダルMを検知した瞬間(時刻S21)に電源断が発生しても、メダルMの「1」加算処理の実行後に電源断処理が実行されるので、そのメダルMは、正常にベット又はクレジットされる。よって、メダルMの飲み込みを防止することができる。
【0108】
また、例2は、例1とは逆に、メダルMの「1」加算処理が実行される前に電源断処理を実行する例である。すなわち、例2では、「T1<T3」の関係となるように設定する。
時刻S21からS24までの時間T3は、上述したように、最小時間で4割込みに相当する。したがって、「T1<T3」の関係を満たすためには、電源断の発生から3割込み以内で電源断処理を実行する必要がある。しかし、電源断の発生から3割込み以内で電源断処理を実行するように設定することは困難であるので、時間Tcの最小時間が4割込みよりも長くなるように設定する。たとえば時間Tcの最小時間を15割込みに設定することが挙げられる。そして、電源断の発生(時刻S21)から電源断処理までの時間T1を10割込み程度に設定すれば、時刻S21で電源断が発生したときに、時刻S24になる前に電源断処理を実行することが可能となる。
【0109】
電源断処理が実行されると、その後にメダルMの「1」加算(ベット又はクレジット)処理は実行されない。したがって、例2では、時刻S21の時点で(電源断の発生時に)投入センサ44aがメダルMを検知したとしても、メダルM1の「1」加算処理は実行されない。その結果、メダルMを飲み込んでしまうというデメリットを有するが、第1実施形態(A)で説明したように、電源断が発生した後は、メダルMの「1」加算処理等を実行することなく、できる限り速やかに電源断処理を実行することができる。
【0110】
<第1実施形態(C)>
第1実施形態(C)は、払出しセンサ37a及び37bと電源断との関係を定めたものである。
払い出すべきメダルをクレジットに加算するときはホッパーモータ36を駆動せずに、メイン制御基板50のRWM53内に設けられたクレジット数の記憶領域を更新する。さらに、当該記憶領域に記憶されたクレジット数に対応する数となるように、クレジット数表示LED76で示す値を更新する。
【0111】
そして、クレジット数が上限値「50」に到達した後にメダルを払い出すときは、ホッパーモータ36を駆動して、ホッパー35からメダルを払い出す(払出し口から排出する)。この場合、メダルが1枚払い出されるごとに払出しセンサ37a及び37bがオン/オフを検知するように構成されている。払出しセンサ37a及び37bによるオン/オフの検知結果が正常の範囲内であるときは、メダルMが1枚正しく払い出されたと判断し、当該検知結果が正常の範囲内にないときは、メダルMが正しく払い出されていないと判断し、メイン制御基板50は、メダル払出しエラーと判断する。
【0112】
図6は、メダル払出し装置からメダルMが払い出されるときの動作を説明する平面図である。
図6では図示していないが、ホッパー35の底面部には、ホッパーディスク(略円板状の回転ディスク)が取り付けられており、このホッパーディスクは、ホッパーモータ36の駆動により回転される。このホッパーディスクには、メダルMを保持可能な開口部がホッパーディスクの外周に沿って複数形成されている。そして、ホッパー35内のメダルMがホッパーディスクの開口部内に入り込むように構成されている。この状態でホッパーモータ36が駆動すると、ホッパーディスクが回転するとともに、ホッパーディスクの開口部に保持されているメダルMが1枚ずつ排出されるように構成されている。メダルMが排出され、空になった開口部には、ホッパー35内の新たなメダルMが入り込む。
【0113】
図6において、M1に位置するメダルMは、ホッパーディスクの開口部から排出された直後のものを示している。固定軸38a及び可動軸38bは、いずれも、メダル払出し装置を構成する部品である。固定軸38aは、メダルMの払出し時に移動しない軸である。これに対し、可動軸38bは、メダルMが1枚払い出されるごとに往復移動する軸である。可動軸38bは、無負荷状態では、図中、実線で示す位置に配置されており、かつ、ばね(
図6では図示せず。後述する
図7中、ばね39bに相当する。)によって固定軸38a側に付勢されている。ホッパーディスクの開口部から排出された直後のメダルM(M1)は、固定軸38a及び可動軸38bの双方に接する状態となる。
なお、メダルMが、
図6中、実線で示す位置(M1)に配置され、固定軸38a及び可動軸38bの双方に接する状態では、固定軸38aと可動軸38bとの間は、メダルMの直径よりも狭い。よって、この時点では、メダルMは、固定軸38aと可動軸38bとの間を通り抜けることはできない。
【0114】
ホッパーディスクの開口部から排出されたメダルMには、
図6中、F1方向への押出し力が作用している。そして、メダルMにF1方向の押出し力が作用すると、メダルMはF1方向に移動可能となり、その押出し力によって、可動軸38bは、図中、F2方向に押される。なお、固定軸38aは移動しない。この結果、可動軸38bは、メダルMと接触した状態を維持したままで、図中、F2方向に移動する。さらに、可動軸38bは、固定軸38aと可動軸38bとの間をメダルMが通過可能となる位置まで移動する。換言すれば、固定軸38aと可動軸38bとの隙間がメダルMの直径よりも広くなる。このときの可動軸38bの位置を、図中、2点鎖線で示す。
【0115】
これにより、メダルMは、固定軸38aと可動軸38bとの間を通り抜けて、図中、F1方向(メダル払出し口側)に排出される。このときのメダルMを、
図6中、2点鎖線で示す(M2)。メダルMが排出されると、可動軸38bをF2方向に押す力が解除される。その結果、可動軸38bは、前記ばねの力によって、再度、
図6中、実線で示す位置まで戻される。
【0116】
図7は、メダル払出し装置において、上記のようにメダルMが払いされたときの払出しセンサ37a及び37bのオン(検知)/オフ(非検知)状態を説明する平面図である。
図7では、メダルMが1枚払い出されるごとに、(a)→(b)→(c)→(d)→(a)の順に可動片39aが動く様子を示している。
【0117】
図7(a)は、
図6中、可動軸38bが実線で示す位置(初期位置)に配置されているときの可動片39aの状態を示している。可動片39aは、図中、中心軸回りに回転移動可能に取り付けられているとともに、ばね39bによって、時計回りに付勢されている。
可動片39aが図中、時計回りに付勢されると、
図6の可動軸38bは、図中、固定軸38a側に付勢される。
可動片39aがばね39bによって
図7中、時計回りに付勢され、かつ可動片39aにばね39bの引張力以外の力が作用していない状態では、可動片39aは、所定のストッパ(図示せず)により、
図7(a)の位置で停止している。
【0118】
図7(a)に示すように、可動片39aの図中、左側には、払出しセンサ37a(図中、上側)及び37b(図中、下側)が配置されている。可動片39aは、払出しセンサ37a及び37b側に伸びるように形成されており、
図7(a)の位置で停止しているときは、その先端部が払出しセンサ37aによって検知されている状態となっている。
なお、
図7中、払出しセンサ37a及び37bは、いずれも、センサの筐体を図示しており、受発光部(センサの目)については図示を省略する。この点において、受発光部(センサの目)のみを図示した
図2及び
図4の投入センサ44a及び44bと相違する。
【0119】
ここで、払出しセンサ37aは、可動片39aを検知している状態がオン状態(たとえば
図7(a))であり、可動片39aを検知しなくなるとオフ状態(たとえば
図7(b))となるように設定されている。
同様に、払出しセンサ37bは、可動片39aを検知していない状態がオフ状態(たとえば
図7(a))であり、可動片39aを検知するとオン状態(たとえば
図7(c))となるように設定されている。
図7(a)の状態では、払出しセンサ37aは可動片39aを検知しておりオンの状態であり、かつ、払出しセンサ37bは可動片39aを検知しておらずオフの状態である。
【0120】
図6で説明したように、メダルMに対し、
図6中、F1方向の押出し力が作用すると、可動軸38bが、
図6中、F2方向に移動し始めるが、可動軸38bがこのように移動すると、
図7(a)中、可動片39aがばね39bの付勢力に抗して反時計回りに回転を開始する。そして、
図7(b)の位置まで可動片39aが移動すると、可動片39aの先端は払出しセンサ37a内から外に出る。これにより、払出しセンサ37aは可動片39aを検知しなくなるので、オフ状態となる。また、
図7(b)の位置まで可動片39aが回転しても、可動片39aの先端は払出しセンサ37bには到達しない。よって、
図7(b)の状態では、払出しセンサ37aがオフ状態であり、かつ、払出しセンサ37bはオフ状態である。
【0121】
図6において、可動軸38bがさらにF2方向に移動し、
図6中、2点鎖線部の位置(メダルMが固定軸38aと可動軸38bとの隙間を通過可能な位置)に到達すると、
図7中、可動片39aがさらに反時計回りに回転し、
図7(c)の位置に到達する。これにより、可動片39aの先端が払出しセンサ37b内に入り込み、払出しセンサ37bによって可動片39aが検知される。よって、
図7(c)の状態では、払出しセンサ37aはオフ状態であり、かつ、払出しセンサ37bはオン状態となる。
【0122】
図6において、メダルMがM2の位置からさらに排出されると、可動軸38bを
図6中、F2方向に付勢する力がなくなるので、可動軸38bは、
図6中、実線で示す位置に戻る。このときの戻り力は、
図7のばね39bの力によるものである。これにより、
図7中、可動片39aは、時計回りに回転し、可動片39aの先端が払出しセンサ37b外に出て、払出しセンサ37bは可動片39bを検知しなくなる。
図7(d)はこのときの状態を示している。
図7(d)の状態では、払出しセンサ37aはオフ状態であり、払出しセンサ37bはオフ状態である。
【0123】
そして、さらに可動片39aが時計回りに回転すると、可動片39aの先端部が払出しセンサ37a内に入り込み、払出しセンサ37aにより可動片39aが検知される。これにより、
図7(a)の状態(初期状態)に戻る。
図7(a)の状態では、上述したように、払出しセンサ37aはオン状態であり、払出しセンサ37bはオフ状態である。また、この位置に戻ったときは、
図6中、可動軸38bは、実線の位置に戻る。
【0124】
図8は、払出しセンサ37a及び37bのオン/オフをタイムチャートで示す図である。
図8では、メダルの払出し処理が開始されており、ホッパーモータ駆動信号がオン状態であるものとする。
図8において、時刻S31より前は、
図7(a)に示す状態である。時刻S31に到達すると、
図7(b)に示す状態となり、払出しセンサ37aがオフ状態となる(払出しセンサ37bはオフ状態である。)。次に、時刻S32に到達すると、払出しセンサ37bがオン状態となる。この状態は、
図7(c)に示す状態である。
図8中、時刻S31からS32までの時間をTdとする。
【0125】
払出しセンサ37aがオフ状態であり、払出しセンサ37bがオン状態は、時刻S33まで続き、時刻S33のときに払出しセンサ37bがオフ状態となる。この状態は、
図7(d)に示す状態である。
図8中、時刻S32からS33までの時間をTeとする。そして、時刻S34に到達すると、
図7(a)の状態(初期位置)に戻り、払出しセンサ37aがオン状態となる。
図8中、時刻S32からS34までの時間をTfとする。
【0126】
メイン制御基板50は、払出し処理において、払出しセンサ37a及び37bのオン/オフ状態の時間を監視し、予め定めた時間の範囲内にないときは、メダル払出しエラーと判断する。
たとえば、
図8において、時間Tdは、29.055ms(13割込み)未満に設定している。したがって、払出しセンサ37aがオフ状態となった後、12割込み目までに払出しセンサ37bがオン状態となったときは正常であると判断するが、12割込み目までに払出しセンサ37bがオン状態とならなかったときは、メダル払出しエラーとする。
【0127】
また、払出しセンサ37aがオフ状態であり、払出しセンサ37bがオン状態となっている時間Teは、11.175ms(5割込み)以上、かつ62.58ms(28割込み)未満に設定されている。よって、時刻S32となったとき(払出しセンサ37bがオン状態となったとき)は、払出しセンサ37bがオフ状態となるまでの時間Teを監視し、時間Teが上記所定時間の範囲内でないときは、メイン制御基板50は、メダル払出しエラーと判断する。
【0128】
さらに、払出しセンサ37bがオン状態となった(時刻S32)後、払出しセンサ37bがオフ状態となり、かつ払出しセンサ37aがオン状態となるまで(時刻S34)の時間Tfは、11.175ms(5割込み)以上、かつ62.58ms(28割込み)未満に設定されている。よって、時刻S32となったとき(払出しセンサ37bがオン状態となったとき)は、払出しセンサ37bがオフ状態となり、かつ払出しセンサ37aがオン状態となるまでの時間Tfを監視し、時間Tfが上記所定時間の範囲内でないときは、メイン制御基板50は、メダル払出しエラーと判断する。
【0129】
また、
図8では、
図3や
図5と同様に、電源断の発生から電源断処理までの時間を併せて表示している。
まず、時刻S31のタイミング、すなわち払出しセンサ37aがオフ状態になったタイミングで電源断が発生したと仮定する。この場合、
図3の例では、20割込みで電源断を検知する例を説明したが、
図8の例(第1実施形態(C))では、少なくとも時刻S34を経過した後(時刻S31から時間T1の経過時)に電源断を検知し、電源断処理を実行するように設定する。
【0130】
ここで、時間「Td+Tf」の最大時間(正常時)は、「12+27=39」割込みであるので、電源断から電源断処理を実行するまでの時間T1を、たとえば40割込み(89.4ms)に設定する。このように設定すれば、払出しセンサ37aがオフ状態になった瞬間に電源断が発生しても、メダル1枚の払出し処理を正常に終了した後に電源断処理を開始することができる。すなわち、「(Td+Tf)<T1」に設定することができる。
【0131】
従来より、メダル払出し処理中に電源断(停電等)が発生する場合があった。この場合に、メダル払出し処理と電源断との発生タイミングによっては、メダルが払い出されていないにもかかわらず、メダルが払い出されたと判断され、遊技者に損失を与えるおそれがあった。
これに対し、第1実施形態(C)では、メダルの払出し処理中に電源断が発生しても、メダルを正しく払い出すことができる。
【0132】
特に、メダル払出し処理が開始された時、すなわち
図8中、時刻S31のタイミングで電源断が発生しても、1枚のメダル払出し処理を終了した後に電源断を検知し、電源断処理に移行するので、たとえば払出しセンサ37aがオフ状態になっているときや、払出しセンサ37bがオン状態になっているタイミングで電源断処理が実行されることはない。これにより、メダル払出し処理の途中で電源断処理が実行され、(1枚の)メダル払出し処理が正常終了する前に当該メダル払出し処理が中止されてしまうことをなくすことができる。
【0133】
なお、時間T1を必要以上に長く設定すると、次のメダルの払出し処理が実行されてしまうおそれがある。そこで、少なくとも次のメダルの払出し処理が実行される前までに、電源断処理を実行するようにする。
図8において、たとえば、1枚のメダル払出し処理の周期を時間T4とし、時刻S35のタイミングで払出しセンサ37aがオン状態からオフ状態になると仮定すると、「T1<T4」となるように設定する。
【0134】
<第2実施形態>
第2実施形態は、メイン制御基板50の基板ケースに形成されるゲート跡に関するものである。
従来技術では、基板ケースのゲート跡の形状、大きさ、及び位置等は、金型製作時に金型設計者によって、専ら、金型製造上の都合から決定されていた。
しかし、ゲート跡は、凹凸面となるため、たとえばゲート跡を狙って穴が開けられても、目視では判別できない(気づかない)場合があった。
【0135】
そして、ゲート跡の真下にメイン制御基板50のメインCPU55が配置されていると、ゲート跡に穴を開けて、その穴から針金を通す等して、メインCPU55にアクセスされてしまう(ゴト行為が行われる)おそれがあった。特に、ゲート跡が他の部分よりも肉厚が薄くなる形状とした場合には、他の部分よりも穴をあけやすくなってしまう。
そこで、第2実施形態では、基板ケースのゲート跡を利用してゴト行為が行われてしまうことを防止する。
【0136】
図9は、メイン制御基板50と、基板ケース56(上カバー57及び下カバー58)とを分解して示す外観斜視図である。
基板ケース56は、上カバー57と下カバー58とから構成され、いずれも、透明樹脂による(射出)成型品である。よって、内部にメイン制御基板50を収容したときは、基板ケース56の外側から、メイン制御基板50の状態を、目視で鮮明に確認することができる。
【0137】
メイン制御基板50上には、上述したメインCPU55、管理情報表示LED74(4桁のLED。「役比モニタ」とも称される。)、設定値表示LED73等の電子部品が搭載されている。なお、メイン制御基板50上には、上述したRWM53、ROM54等の多くの電子部品が搭載されているが、
図9では図示を省略する。さらに、
図9では図示しないが、メイン制御基板50には、ベットスイッチ40a及び40b、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42、メダルセレクタ内の通路センサ46、投入センサ44a及び44bの故障確認用LEDが実装されている。なお、故障確認用LEDは、これだけに限られるものではない。
たとえば、スタートスイッチ41の故障確認用LEDは、スタートスイッチ41がオフのときは消灯しており、スタートスイッチ41が操作されたとき(スタートスイッチ41が操作されてセンサがオンを検知しているとき)に、オン(点灯)となるLEDである。
【0138】
なお、スタートスイッチ41の故障確認用LED及び後述する他の操作スイッチやセンサの故障確認用LEDは、操作スイッチが操作されたとき(センサがオンを検知したとき)に消灯し、オフのときに点灯するように構成してもよい。
【0139】
また、ベットスイッチ40a及び40bの故障確認用LEDは、ベットスイッチ40a用と40b用との2個設けられ、ベットスイッチ40が操作されていないときは消灯しており、ベットスイッチ40が操作され、そのときの電気信号を受信すると、点灯するLEDである。
さらにまた、通路センサ46、投入センサ44a及び44bの故障確認用LEDは、各センサごとに合計で3個設けられ、メダルを検知していないときは消灯しており、メダルを検知すると、点灯するLEDである。
そして、管理者は、たとえばスタートスイッチ41を操作し、メイン制御基板50に実装されたスタートスイッチ41の故障確認用LEDの点灯/消灯を確認することで、スタートスイッチ41の故障(通電)の有無を確認することができる。他のスイッチ又センサについても同様である。
【0140】
なお、上記の故障確認用LEDは、通常中(設定変更中でなく、かつ設定確認中でもない)において、フロントドアを開放したときには、スタートスイッチ41の操作等により点灯/消灯するようにしてもよい。あるいは、フロントドアを開放し、ドアオープンエラーとなった後、所定の操作を実行することにより、故障確認を実行できるようにしてもよい。さらに、常時(設定変更中や設定確認中であっても)、スタートスイッチ41の操作等により点灯/消灯するようにしてもよい。
【0141】
また、メイン制御基板50上には、基板の型番が表示(印刷等)されている。なお、
図9では図示しないが、RWM53やROM54の上面にも同様に、型番等が表示されている。
さらにまた、メイン制御基板50の四隅には、ねじを通すためのねじ穴50aが形成されている。
一方、下カバー58の下面内側の四隅には、ねじ止めするためのボス58cが形成されている。メイン制御基板50が下カバー58に載置されると、ねじ穴50aとボス58cとが重なり、ねじ穴50aからねじを通してボス58cにねじ止めすることで、メイン制御基板50を下ケース58に固定することができる。
【0142】
この状態で上カバー57を下カバー58に重ねると、上カバー57と下カバー58とが嵌合する形状に形成されている(
図9では、嵌合部分の具体的形状については図示を省略している。)さらに、上カバー57の図中左右両側にはかしめ部57aが設けられている。同様に、下カバー58の図中左右行側にはかしめ部58aが設けられている。なお、
図9では、かしめ部57a及び58bの具体的形状、及び詳細な形状については図示を省略する。
【0143】
上カバー57と下カバー58とを嵌合させ、かしめ部57aと58aとを用いてかしめを行うと、その後は、かしめ部57a及び58aの少なくとも一部を破壊しないと(塑性変形させないと)上カバー57と下カバー58とを開放できないようになる。
これにより、メイン制御基板50のセキュリティ性を担保することができる。
【0144】
また、
図9に示すように、上カバー57の上面外側には、2か所に、ゲート跡57bが設けられている。なお、基板ケース56(上カバー57と下カバー58とを嵌合させた状態)において、メイン制御基板50が収容される側を「内側」と称し、外部に露出する側を「外側」と称する。
図9では、ゲート跡57bは、2か所に設けているが、これに限らず、何か所に設けてもよい。
【0145】
ここで、「ゲート」とは、樹脂成型の際に、金型内に樹脂(湯)を流し込むときの湯口であり、ゲート跡は、樹脂成型後に、ゲートと成型品との境目に残る跡である。
基板ケース56(上カバー57、下カバー58)が
図9に示すような形状である場合、その金型は、
図9中、上下方向に分割する金型とすることが低コストである。また、多数個取りの金型とする場合には、ピンゲートを用いることが好ましく、樹脂(湯)の流動性の観点から、成型品の中央寄りにゲートを設けることが好ましい。したがって、第2実施形態において、上カバー57や下カバー58のゲート位置は、
図9中、側面ではなく、上面に形成している。
【0146】
さらに、成型時におけるゲート跡の突起の切断を考えると、ゲート跡は、外側に設けることが好ましい。
以上のことから、上カバー57のゲート跡57bは、上面外側に設けている。
また、上記と同様の理由により、下カバー58のゲート跡58bについても、下面の外側(
図9中、見えている面と反対側の面)に設けている。なお、
図9では、下カバー58のゲート跡58bは、上カバー57のゲート跡57bと同様に2か所に設けているが、1か所に設けてもよく、あるいは3か所以上設けてもよい。
【0147】
また、ゲートから金型内に樹脂(湯)を流す場合において、金型内における樹脂(湯)の広がりが均一でなく、冷却時間差が生じると、成型品に反り変形が生じるおそれがある。そこで、成型品のゲート位置は、金型内における樹脂(湯)の広がりが均一となる位置に配置することが好ましい。さらにまた、ゲートを複数箇所に設ける場合には、成型品の末端部からゲートまでの距離と、ゲート間の距離についても、できるだけ均等にすることが好ましい。
【0148】
図10において、(a)は、基板ケース56の上カバー57のゲート跡57b及び下カバー58のゲート跡58bと、メイン制御基板50との位置関係を示す平面図である。
図10(a)は、メイン制御基板50が基板ケース56内に収容された状態(メイン制御基板50を下カバー58に固定し、かつ、上カバー57と下カバー58とを嵌合させた状態を意味する。)を上から見た平面図である。また、上カバー57の上面側から、メイン制御基板50を透視して図示している。
【0149】
さらにまた、(b)は、図(a)中、A−Aの矢視断面図の例1を示し、(c)は、図(a)中、A−Aの矢視断面図の例2を示す。なお、これらの断面図では、図面の見やすさの観点から、ハッチングを省略する。
図10(a)に示すように、メイン制御基板50を基板ケース56内に収容した状態では、2つのゲート跡57bから上カバー57の垂直方向(メイン制御基板50側)(真下)には、型番表示、管理情報表示LED74、設定値表示LED73、メインCPU55(ソケット)が位置しないように設定している。なお、上述したように、メイン制御基板50上には、RWM53、ROM54、故障確認用LEDも搭載されるが、これらの真上にもゲート跡57bが位置しないようにすることが好ましい。
【0150】
上記のようにゲート跡57を配置するのは、以下の理由による。
メイン制御基板50は、スロットマシン10が市場に設置された後も、不正改造等が行われていないかどうかを目視により確認する必要がある。特に、メインCPU55等(RWM53、ROM54を含む。以下同じ。)が適合しているものであるか否かや、ゴト行為によって改変されていないかどうか等を確認する必要がある。さらに、メイン制御基板50は、基板ケース56内に収容され、かつ、基板ケース56は、上述したように封印されているため、基板ケース56の外側から目視でメイン制御基板50を確認する必要がある。
そして、メイン制御基板50を内部に収容した基板ケース56は、スロットマシン10の筐体内部において、たとえば背面内側などに取り付けられる。設定値表示LED73や管理情報表示LED74によって表示されている数値が見やすい位置に取り付けるためである。
【0151】
このため、スロットマシン10の管理者は、上カバー57の上面に対して垂直方向から基板ケース56(メイン制御基板50)を目視すると考えられる。すなわち、
図10(a)に示すように基板ケース56(メイン制御基板50)を目視すると考えられる。このため、ゲート跡57bの垂直方向(真下)に、メインCPU55等が配置されていると、ゲート跡57によってその視認性の妨げになる可能性があるからである。特に、メインCPU55等の上面に表示(印刷等)された情報についても、視認性が妨げられることなく目視できるようにする。
【0152】
なお、上カバー57全体が透明樹脂から成型されたものであるので、ゲート跡57bの真下であっても、視認性を完全に阻害するわけではない。しかし、
図10中、(b)や(c)に示すように、ゲート跡57bの断面は凹凸面になってしまうので、ゲート跡57bの真下の視認性を低下させる(平面よりは悪くなる)ことはたしかである。また、
図10(b)の断面図において、突起57dの上端面は切断面であるので、樹脂の切断時の応力により白化等する場合がある。したがって、この場合にもゲート跡57bの真下の視認性を妨げる。
【0153】
また、上カバー57の上面は、ゲート跡57bを除き、透明で凹凸のない平滑面であるので、たとえばゴト行為により穴が開けられても、目視で容易に気づくことができる。
これに対し、ゲート跡57bは、樹脂を切断した凹凸面である。このため、ゲート穴57bに穴を開けられ、その後にたとえば樹脂材料などによってその穴が封止されると、ゲート跡57bに穴が開けられたか否かを目視で容易に判別できない場合がある。このため、ゲート跡57bを利用したゴト行為が行われる可能性がある。
【0154】
一方、ゲート跡57bに穴を開けた場合、ゲート跡57bの垂直方向(真下)にメインCPU55等が位置すると、ゴト行為がしやすくなる。したがって、ゲート跡57bの垂直方向(真下)にメインCPU55等が配置されていなければ、メインCPU55等にアクセスしにくくなり、ゴト行為を困難にすることができる。
【0155】
また、メイン制御基板50の表面上に表示(印刷等)される型番も、不正の有無をチェックする上で重要な情報であるから、型番を確認しやすく(読みやすく)するために、型番表示領域の真上にはゲート跡57bが配置されないようにした。さらに、型番表示の真上にゲート跡57bが存在したときに、そのゲート跡57bに穴を開けて基板ケース56内にアクセスし、型番表示を不正に改変されることを防止するためにも、型番表示の真上にはゲート跡57bが配置されないようにする。
【0156】
さらに、設定値表示LED73についても、設定変更時や設定確認時に、表示された数値を見る必要がある。また、管理情報表示LED74についても、有利区間比率や役物比率等が適正な範囲内に収まっているかどうかを確認するために、表示された数値を見る必要がある。よって、これらのLEDの真上にゲート跡57bが配置されないようにした。さらに、上記と同様に、ゲート跡57bを利用してゲート跡57bに穴を開け、そこから基板ケース56内のLEDにアクセスされ、ゴト行為が行われにくくするためにも、これらのLEDの真上にゲート跡57bが配置されないようにする。
【0157】
また、上述した故障確認用LEDについても、スロットマシン10の管理者は、操作スイッチを操作してその操作スイッチに対応する故障確認用LEDが点灯するか否かを確認するので、視認性向上のためにも、故障確認用LEDの真上にゲート跡57bが位置しないことが好ましい。ゲート跡57bの垂直方向(真下)に故障確認用LEDが配置されないようにして、ゴト行為が行われにくくすることも、上記と同様である。
【0158】
図10において、(b)に示す例1及び(c)に示す例2の各断面図は、ゲート跡57bの外側形状は同一である。そして、(b)の例1では、ゲート跡57bの上面内側は、平坦面のままとしている。これに対し、(c)の例2では、ゲート跡57bの上面内側を、突起状に(肉厚に)形成している。
ゲート跡57bの外側は、その中心部に突起57dを有し、その外周部に、円筒状に沈み込むように形成されたくぼみ部57cを有する。ゲートと成型品との境目は、成型時には繋がっており、成形品を金型から切り離すときに、この境目をカッターで切断する。よって、突起57dの上端面は、カッターによる切断面である。ゲートと成型品との境目の切断は、成型機により射出時に自動で切断する方法と、後工程で切断する方法とがある。
【0159】
ここで、ゲートと成型品との境目の切断時に、切断面を完全に平滑面に加工すること、換言すれば、突起57dの高さをほぼ「0」にした平滑面とすることは、コスト高となり、困難である。そこで、多少、突起57dに高さが残っても、上カバー57の上面外側より上に突出しないように、くぼみ部57cを形成している。これにより、たとえば組立をする作業者が、上カバー57に触ったときに、突起57dによってけがをすることを防止することができる。
【0160】
図10(b)に示すように、ゲート跡57にくぼみ部57cを設けたときは、その分だけ、上カバー57の肉厚が薄くなる。このように、一部分でも肉厚が薄い部分があると、くぼみ部57cに穴を開け、基板ケース56内にアクセスするというゴト行為が容易になるおそれがある。
そこで、
図10(c)の例2では、ゲート跡57bを設けた上面外側の反対側(内側)に、突部57eを設け、くぼみ部57cの部分だけ肉厚が薄くなることを防止している。突部57eを設けて肉厚が薄くなる部分を設けなければ、くぼみ部57cに穴を開けるというゴト行為を困難にすることができる。
【0161】
また、突部57eは、ゲート跡57bの肉厚の一部が薄くならないようにして不正対策に寄与するだけでなく、成型時に、ディンプル(湯溜まり)としても機能する。
図10((b))において、金型のゲート(突起57dに相当する位置)から樹脂(湯)が注入されたときに、その樹脂(湯)が上面内側に衝突すると、樹脂(湯)の流れが急激に変化し、安定して流動できなくなるおそれがある。そこで、ゲートの先端と対向する位置にディンプル(湯溜まり)を設けることにより、ゲートから樹脂(湯)が注入された際に、樹脂(湯)の流れが急激に変化することを少なくし、樹脂(湯)が安定して流動できるようになる。突部57eは、断面四角形状、断面三角形状、断面台形状(
図10(c)の場合)、断面ドーム状等、種々の形状が挙げられ、くぼみ部57cを設けたことにより肉薄となることを防止できる形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0162】
なお、ゲート跡57bの垂直方向(真下)の視認性については、ゲート跡57の下側が平滑である方が凹凸形状よりも優れている。したがって、ゲート跡57bの真下の視認性については、
図10の(b)の形状の方が
図10(c)の形状よりも優れている。また、
図10(b)の形状は、
図10(c)の形状と比較して、突部57eに相当する部分を金型に形成する必要がないので、金型の形状を簡素化する(コストを低くする)ことができる。
【0163】
また、下カバー58のゲート跡58bについても、外側(
図9中、下側)に設けるようにする。さらにまた、外側に、
図10(b)に示す突起57d及びくぼみ部57cが形成されるようにする。上述したように、成型品の外側に、突起57dやくぼみ部57cを設ける方が、成型加工上、都合がよいからである。
そして、メイン制御基板50を下カバー58に固定したときに、下カバー58のゲート跡58bの垂直方向に、メイン制御基板50のメインCPU55等のピン位置が位置しないように設定する。下カバー58のゲート跡58bに穴を開けて、メインCPU55等のピンにアクセスできないようにするためである。
なお、下カバー58のゲート跡58bを、
図10(c)に示す形状とした場合に、
図10(c)の突部57eは、メイン制御基板50のピン側を向くことになるが、メイン制御基板50の下面側から突出するピンと突部57eとが干渉(接触)しないように形成することは、勿論である。
【0164】
また、
図10(a)に示すように、上カバー57と下カバー58とを嵌合させた際、上カバー57のゲート跡57bと、下カバー58のゲート跡58bとは、垂直方向において重ならないように配置する(ずらす)ことが好ましい。特に、
図10(b)に示すゲート跡57b及び58bとした場合には、ゲート跡57b及び58bの一部(くぼみ部57c)の肉厚が薄くなるが、肉厚が薄くなる部分が上カバー57と下カバー58とで重なっていない位置に配置することで、狙われやすい部分が重ならないようにすることができる。
また、上カバー57のゲート跡57bと、下カバー58のゲート跡58bとが垂直方向において重なっている場合には、一方のカバーを見るだけで、他方のカバーのゲート跡の位置がわかるようになってしまう。これを防止するためにも、上カバー57のゲート跡57bと、下カバー58のゲート跡58bとが垂直方向において重ならないようにしている。
【0165】
<第3実施形態>
第3実施形態は、メイン制御基板50からサブ制御基板80に対してコマンドを送信する場合において、メイン制御基板50とサブ制御基板80との間の通信が一時的に不能となったとき(断線後、通信が復帰したときや、ノイズの影響で通信が失敗したとき等)の処理に関するものである。
上述したように、メイン制御基板50の制御コマンド送信手段71は、サブ制御基板80に対し、押し順指示番号や、操作されたストップスイッチ42の情報等のコマンドを送信する。そして、サブ制御基板80は、メイン制御基板50から受信したコマンドに基づいて、演出を出力し、遊技中は、操作スイッチの操作に合わせて演出を更新していく。
【0166】
ここで、メイン制御基板50とサブ制御基板80との間が断線し、通信不能になる可能性がある。その原因としては、接触不良や電波ゴト等が挙げられる。サブ制御基板80は、メイン制御基板50からコマンドを受信しなくなったときは、演出が現在の状態でストップする。また、メイン制御基板50及びサブ制御基板80のいずれも、両者間の通信における断線の有無を判別することは行わない。このため、メイン制御基板50は、メイン制御基板50とサブ制御基板80との間で断線が発生した場合であっても、遊技の進行(ベットスイッチ40、スタートスイッチ41、及びストップスイッチ42の操作等)に応じてサブ制御基板80に対し、コマンドの送信処理を継続する。一方、サブ制御基板80は、メイン制御基板50からコマンドを受信しないときは、その時点での演出状態を維持する。
なお、メイン制御基板50とサブ制御基板80との間が断線したときであっても、たとえばAT中であれば、メイン制御基板50は、指示機能の作動により、獲得数表示LED78に、押し順指示情報を表示する。これにより、遊技者は、サブ制御基板80が正常に機能していない場合であっても、押し順指示情報見て、正解押し順でストップスイッチ42を操作することができる。
さらに、遊技者は、獲得数表示LED78に表示された押し順指示情報と、画像表示装置23に画像表示された演出内容(正解押し順)とを対比することができるので、両者の情報が矛盾しているときは、サブ制御基板80による画像表示に不具合が発生していることを知ることができる。
【0167】
たとえば「N」遊技目の途中で断線が発生し、「N+1」遊技目の途中で通信が復帰したような場合において、メイン制御基板50から送信するコマンドをサブ制御基板80で受信可能になったときに、突然、演出を「N+1」遊技目に切り替えることはできない。サブ制御基板80は、通信が復帰したときであっても、スタートスイッチ41の操作に係るコマンド(遊技開始を知らせるコマンド)を受信していないときは、「N+1」遊技目が開始されたことを判別できないからである。このため、メイン制御基板50とサブ制御基板80との間の通信が断線した後、復帰したときは、演出の内容によっては、遊技者に誤解を与えるおそれがある。
そこで、第3実施形態では、メイン制御基板50とサブ制御基板80との間の通信が断線した後、復帰したときは、極力、遊技者に誤解を与えないようにしつつ、演出に違和感を与えないような演出を出力する。
【0168】
図11は、第3実施形態におけるメイン制御基板50の動作(
図11中、「メイン動作」と記載する。)とサブ制御基板80による演出の表示(
図11中、「サブ表示」と記載する。)との関係を示す図であり、パターン1(例1)〜パターン5(例5)からなる5つの例を図示している。
パターン1〜パターン5では、いずれも、「N」遊技目の途中で通信不能となり(断線が生じ)、「N+1」遊技目の途中で通信が復帰した例を示している。
また、
図11のメイン動作において、「ベット」とは、ベットスイッチ40が操作され、規定数が有効にベットされたときを意味する。また、「スタート」とは、規定数がベットされた後、スタートスイッチ41が操作されることにより遊技を開始したことを意味する。さらにまた、たとえば「右停止」とは、右ストップスイッチ42が操作されたこと(右リール31が停止すること)を意味する。
【0169】
さらに、サブ表示において、「押し順演出」とは、たとえば押し順ベルや押し順リプレイに当選した遊技において、正解押し順を画像表示する演出を意味する。具体的には、たとえば「右左中表示」とは、正解押し順が「右左中」の順であることを報知する演出を意味する。なお、たとえば「左中表示」とは、左ストップスイッチ42が操作された後の演出であって、2番目に操作するストップスイッチが左、3番目に操作するストップスイッチ42が中であることを報知する演出を意味する。
さらにまた、たとえば「右停止演出」とは、右ストップスイッチ42が操作された旨のコマンドを受信したときに、右ストップスイッチ42が操作された(右リール31が停止した)ことについての演出を意味する。
【0170】
パターン1において、「N」遊技目でスタートスイッチ41が操作されると、上述したように、メイン制御基板50は、役の抽選を行う。当該遊技では、「右左中」が正解押し順となる押し順ベルに当選した例である。この場合、メイン制御基板50は、AT中であれば、サブ制御基板80に対し、正解押し順「右左中」に対応する押し順指示番号(コマンド)を送信する。サブ制御基板80は、このコマンドを受信すると、画像表示装置23に、「右左中」の正解押し順を表示する押し順演出を出力する。
なお、図示しないが、メイン制御基板50は、獲得数表示LED78に、正解押し順「右左中」に対応する押し順指示情報を表示する(指示機能の作動)。
【0171】
次に、遊技者が、正解押し順を見て、第一停止として右ストップスイッチ42を操作したものとする(右停止)。これにより、右リール31が停止するとともに、その旨のコマンドをサブ制御基板80に送信する。サブ制御基板80は、当該コマンドを受信すると、右ストップスイッチ42が操作された(右リール31が停止した)演出(右停止演出)を出力し、右左中表示を、左中表示(なお、他の表示として、「−左中」、「×左中」等の表示が挙げられる。)に更新する。
そして、パターン1では、右リール31が停止した後、断線が発生し、メイン制御基板50とサブ制御基板80との間の通信が不能になった例を示している(サブ断線)。すなわち、遊技の途中で通信が不能になった例である。
【0172】
メイン制御基板50は、メイン制御基板50とサブ制御基板80との間の通信が不能になっても(サブ制御基板80が機能していなくても)、遊技の進行が可能である。パターン1の例では、「N」遊技目において、断線の発生後、左、及び中ストップスイッチ42がそれぞれ操作された(左、及び中リール31が停止した)例を示している(左中停止)。
【0173】
次に、「N+1」遊技目のためのベット操作が行われ、スタートスイッチ41が操作されたものとする。「N+1」遊技目では、「N」遊技目と同様に、「右左中」が正解押し順である押し順ベル(又は押し順リプレイ)に当選した例を示している。なお、「N+1」遊技目では、「N」遊技目と同様に、右左中の押し順でストップスイッチ42を操作した例を示しているが、右左中の正解押し順を有する役に当選した場合に限らず、いかなる役抽選結果でもよい。
【0174】
なお、「N+1」遊技目で正解押し順を有する押し順ベル(又は押し順リプレイ)に当選したときは、メイン制御基板50は、獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示する。このため、遊技者は、画像表示装置23に正解押し順が画像表示されない場合であっても、獲得数表示LED78に表示された押し順指示情報により、正解押し順でストップスイッチ42を操作可能となる。
【0175】
「N+1」遊技目では、遊技者は、最初に右ストップスイッチ42を操作した例を示している。その後、2番目の左ストップスイッチ42を操作する前に、メイン制御基板50とサブ制御基板80との通信が復帰したもとする。
これにより、遊技者が2番目のストップスイッチ42である左ストップスイッチ42を操作すると、そのコマンドがサブ制御基板80に送信される。サブ制御基板80は、このコマンドを受信すると、受信したコマンドに対応するように画像表示を更新する。すなわち、左停止が行われた旨を画像表示する(左停止演出)。ここで、サブ制御基板80は、既に表示していた演出の続き、すなわち「N」遊技目の演出として更新を行う。
【0176】
したがって、実際には、「N+1」遊技目の2番目のストップスイッチ42(左)が操作されているが、サブ制御基板80は、「N」遊技目の2番目のストップスイッチ42(左)が操作されたときの演出を出力する。「N」遊技目における2番目の正解押し順は左であるので、この例では、正解押し順で操作されたこととなる。よって、サブ制御基板80は、左停止演出(押し順正解演出)を出力し、最後の中表示の演出を出力する。
【0177】
そして、「N+1」遊技目において、最後の中ストップスイッチ42が操作されると、その旨のコマンドがサブ制御基板80に送信される。サブ制御基板80は、このコマンドを受信すると、「N」遊技目の第3停止に対応する演出、すなわち中停止演出を出力する。
なお、「N+1」遊技目に、正解押し順を有する役に当選し、かつ、その正解押し順が右左中以外の場合であっても、パターン1の状況下では、上記のように演出が出力される。すなわち、「N+1」遊技目において、遊技者が操作した押し順が右左中であるときは、その押し順が不正解押し順に相当する場合であっても、後述するパターン2のような押し順失敗演出は出力されない。
【0178】
さらにまた、「N+1」遊技目で、正解押し順を有さない役に当選した場合、又は役に非当選の場合であっても、遊技者が操作した押し順が右左中であれば、上記と同じ演出が出力される。すなわち、「N+1」遊技目が正解押し順を有さない場合であっても、サブ制御基板80は、(パターン1の例では、)通信が復帰した後に左ストップスイッチ42が操作された旨のコマンドを受信したときは、左停止演出(押し順正解演出)を出力し、さらに、中表示を出力することとなる。
【0179】
次に、「N+2」遊技目のためのベットが行われ、スタートスイッチ41が操作されることにより「N+2」遊技目が開始されると、メイン制御基板50は、サブ制御基板80に対し、「N+2」遊技目が開始されたことに対応するコマンドを送信する。これにより、サブ制御基板80は、「N+2」遊技目の開始時の演出を出力する。具体的には、スタートスイッチ41の操作時に演出グループ番号や押し順指示番号のコマンドをサブ制御基板80に送信する。サブ制御基板80は、これらのコマンドを受信すると、「N」遊技目の開始時のように、押し順演出や、正解押し順の表示を行う。
【0180】
以上より、パターン1では、「N+1」遊技目の第三停止時まで、サブ制御基板80は、メイン制御基板50から受信した(「N+1」遊技目の)コマンドに基づいて、「N」遊技目の演出を継続して出力し続け、「N+2」遊技目を開始したときに、「N+2」遊技目の演出に更新する。
また、メイン制御基板50からサブ制御基板80に対し、遊技終了時に、獲得枚数のコマンドを送信し、サブ制御基板80は、AT中の獲得枚数を併せて画像表示する場合がある。このような場合には、サブ制御基板80は、「N」遊技目の終了時、すなわち断線中には獲得枚数のコマンドを受信できないので、「N」遊技目の終了時は、「N−1」遊技目終了時の獲得枚数を表示したままとなる。そして、通信が復帰し、「N+1」遊技目の終了時に獲得枚数のコマンドを受信したときは、サブ制御基板80は、「N+1」遊技目終了時の獲得枚数となるように画像表示を更新する。
【0181】
パターン2では、メイン動作は、パターン1と同一である。また、断線したタイミングはパターン1と同一であるが、通信が復帰したタイミングがパターン2と異なる。パターン2では、「N+1」遊技目において、第二停止である左停止後に通信が復帰した例である。
パターン2において、「N」遊技目におけるメイン動作及びサブ表示は、パターン1と同様であるので説明を省略する。
次に、「N+1」遊技目では、右左中の順でストップスイッチ42を操作するが、左第二停止後に、通信が復帰するものとする。
【0182】
通信が復帰する直前では、サブ制御基板80は、「N」遊技目の右停止演出、及び左中表示を出力中である。この状態において通信が復帰し、遊技者が「N+1」遊技目の中ストップスイッチ42(第三停止)を操作すると、そのコマンドがサブ制御基板80に送信される。サブ制御基板80は、左中表示をしているときに中停止のコマンドを受信したときは、不正解押し順であると判断し、押し順失敗演出を出力する。なお、第3実施形態では、押し順失敗演出を出力した後は、その後の押し順演出等は出力しない。
【0183】
なお、「N+1」遊技で、中左右の押し順でストップスイッチ42を操作すると仮定したとき、中左停止後に通信が復帰し、その後に右停止が行われたことによって右停止のコマンドがサブ制御基板80に送信されたときも、上記と同様に、押し順失敗演出を出力する。サブ制御基板80は、右停止演出及び左中表示を出力している最中であるので、この時点で右停止のコマンドを受信すると、1遊技で同一の停止コマンドを2回受信したことになる。このような場合であっても、エラー報知等を行うことなく、押し順失敗として処理し、その演出を出力する。
そして、パターン1と同様に「N+2」遊技目を開始すると、「N+2」遊技目の開始時のコマンドがサブ制御基板80に送信される。これにより、サブ制御基板80は、「N+2」遊技目の演出を開始する。
【0184】
パターン3では、「N」遊技目のメイン動作及びサブ表示は、パターン1と同一である。
パターン3は、「N+1」遊技目において、第一停止右、第二停止中の後、通信が復帰した例を示している。したがって、「N+1」遊技目において、通信が復帰した後は、第三停止である左停止のコマンドをサブ制御基板80に送信する。サブ制御基板80は、「N」遊技目の「左中表示」を出力しているので、この状態で左停止のコマンドを受信すると、正解押し順と判断する。したがって、サブ制御基板80は、左停止演出(押し順正解演出)を出力し、次に、中表示を出力する。
【0185】
しかし、メイン制御基板50側では、「N+1」遊技目は、左第三停止で遊技を終了する。次に、「N+2」遊技目に移行し、「N+2」遊技目の開始時のコマンドがサブ制御基板80に送信されると、サブ制御基板80は、当該コマンドを受信すると、「N+2」遊技目開始時の演出に切り替える。よって、それまで出力していた左停止演出及び中表示をキャンセルする。また、中表示の出力中に、「N+2」遊技目の開始時のコマンドを受信しても、エラー報知等は行わず、受信したコマンドに従って、「N+2」遊技目の開始時の演出を出力する。
【0186】
パターン4は、サブ表示において、AT中の残り遊技回数を表示する例である。また、パターン4において、メイン動作、断線タイミング、及び通信復帰タイミングは、パターン3と同一である。
メイン制御基板50は、毎遊技、遊技開始時に、ATの残り遊技回数のコマンドをサブ制御基板80に送信する。サブ制御基板80は、メイン制御基板50から、ATの残り遊技回数のコマンドを受信すると、ATの残り遊技回数の表示を更新する。なお、AT中において、残り遊技回数の表示は、単独で行われるものではなく、パターン3の押し順演出とともに出力される。
【0187】
パターン4において、メイン制御基板50は、スタートスイッチ41が操作されたとき(遊技開始時)に、サブ制御基板80に対し、AT中の残り遊技回数のコマンドを送信する。ここで、「N」遊技目では、ATの残り遊技回数が10ゲームであるものとする。
サブ制御基板80は、「N」遊技目の開始時に、メイン制御基板50から受信したコマンドに基づいて、AT中の残り遊技回数(残り10ゲーム)を表示する。
そして、「N」遊技目の途中で断線し、その断線状態が「N+1」遊技目の開始時も継続すると、メイン制御基板50は、「N+1」遊技目の開始時(スタート時)に、サブ制御基板80に対し、AT中の残り遊技回数(9ゲーム)のコマンドを送信するための処理を実行するものの、サブ制御基板80は、(断線のために)当該コマンドを受信できない。このため、「N+1」遊技目では、「N」遊技目の「残り10ゲーム」を表示したままとなる。
【0188】
そして、「N+1」遊技目の途中(左中停止後)に通信が復帰し、「N+2」遊技目に移行すると、「N+2」遊技目の開始時に、メイン制御基板50は、サブ制御基板80に対し、AT中の残り遊技回数(8ゲーム)のコマンドを送信する。サブ制御基板80は、このコマンドを受信すると、残り10ゲームの表示から、残り8ゲームの表示に更新する。
【0189】
パターン5は、メイン動作、断線タイミング、及び通信復帰タイミングはパターン4と同一であるが、「N」遊技目がATの残り1ゲームであるときの例である。
メイン制御基板50は、「N」遊技目の開始時(スタートスイッチ41が操作されたとき)に、サブ制御基板80に対し、AT中の残り遊技回数(残り1ゲーム)のコマンドを送信する。サブ制御基板80は、このコマンドを受信すると、(それまでの残り2ゲームの表示から)残り1ゲームの表示に更新する。
「N」遊技目の右停止後に断線が発生した場合において、メイン制御基板50は、「N+1」遊技目の開始時(スタートスイッチ41が操作されたとき)に、AT中の残り遊技回数が0ゲームである旨のコマンドをサブ制御基板80に送信するが、サブ制御基板80は、当該コマンドを受信できない(パターン4と同じ)。よって、「N+1」遊技目の開始時には、ATの残り1ゲームである旨の表示が継続される。
【0190】
また、サブ制御基板80は、ATを終了するときは、AT終了演出を出力する。AT終了演出は、AT中の残り遊技回数が0ゲームである旨のコマンドを(遊技開始時に)受信したことに基づいて、当該遊技の終了時に実行する。
しかし、パターン5の例では、サブ制御基板80は、AT中の残り遊技回数が0ゲームである旨のコマンドを受信していないので、AT終了演出は出力されない。したがって、「N+1」遊技終了時も、ATの残り1ゲームである旨の演出が出力された状態となる。
【0191】
そして、「N+1」遊技目が終了し、「N+2」遊技目に移行すると、「N+2」遊技目の開始時には、メイン制御基板50は、通常遊技(非AT)を示すコマンドをサブ制御基板80に送信する。サブ制御基板80は、このコマンドの受信に基づいて、「残り1ゲーム」の表示を消去し、通常(非AT)演出を出力する。
なお、AT終了時には、のめり込み防止のため、「パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊技機です。」等の画像表示を行う。しかし、パターン5の場合は、「N+1」遊技目の終了時にサブ表示が正常に復帰していないので、当該画像表示を行うことができない。そこで、この対策としては、サブ制御基板80側で遊技履歴を管理しておき、ATの終了をまたいで次回遊技(
図11の例では、「N+2」遊技目)に移行したときは、その遊技のスタート時に、当該画像表示を行うことが挙げられる。
【0192】
以上のパターン1〜5において、「N」遊技目に断線が発生したときは、サブ制御基板80は、通信復帰時まで、「N」遊技目の断線発生直前の演出を出力し続け、「N+1」遊技目の途中で通信が復帰したときは、「N+1」遊技目で受信したコマンドに基づいて、「N」遊技目として出力している演出の続きを出力する。したがって、たとえば、パターン1において、「N+1」遊技目で、通信が復帰した後に左停止のコマンドを受信したときは、実際に正解押し順でストップスイッチ42が操作されたか否かにかかわらず、正解押し順演出が出力されることとなる。
【0193】
これに対し、たとえばパターン1において、「N+1」遊技目で、通信復帰後に、仮に中停止のコマンドを受信したときは、その時点で出力している演出の押し順、すなわち「N」遊技目の左中表示に対しては不正解押し順となるので、実際に正解押し順でストップスイッチ42が操作されたか否かにかかわらず、押し順失敗演出が出力されることとなる。ただし、「N+1」遊技目で押し順失敗演出が出力されたとしても、「N+1」遊技目の正解押し順通りに遊技者がストップスイッチ42を操作していれば、遊技者に有利となる図柄組合せが停止表示されるので、遊技者に不利益となることはない。
【0194】
以上のように、「N+1」遊技目で通信が復帰したときは、「N+1」遊技目では、断線前の(「N」遊技目の)演出を引き継ぐ演出を出力し、「N+2」遊技目の開始時に演出をリセットする(正しい演出に戻す)。これにより、断線が発生した遊技、及び通信が復帰した遊技のいずれも、不自然な演出が出力されることを最小限に抑え、遊技者にできるだけ誤解を与えないようにすることができる。
【0195】
また、
図11の例では、「N」遊技目に断線が発生した後、「N+1」遊技目に通信が復帰した例を示したが、断線発生後、2遊技以上経過したときに通信が復帰しても、
図11と同様である。
たとえば「N」遊技目に断線が発生し、「N+a」遊技目(a=「2」以上)に通信が復帰したときは、「N+a−1」遊技目までは、「N」遊技目の断前直前の演出が出力され続ける。そして、通信が復帰する「N+a」遊技目では、通信が復帰した後に受信したコマンドに基づいて、出力を継続していた「N」遊技目の演出の続きを実行する。次に、「N+a+1」遊技目の開始時に、「N+a+1」遊技目の開始時の演出(正しい演出)に更新する。
【0196】
<第4実施形態>
モータ32は、リール31の回転及び停止を行う場合に、加速、定速、減速、及び停止処理を行うが、これらは、いずれも励磁状態である。そして、モータ32の回転を停止させたときに、所定時間(後述する時間T11)、4相同時に励磁をかけた状態(以下、「4相励磁状態」という。)とする。
第4実施形態は、ストップスイッチ42の停止ボタン42aの動作と、モータ32の停止時における4相励磁状態との時間関係に関するものである。
図12は、第4実施形態において、停止ボタン42aの動作と検知センサ42eとの関係を示す断面図である。なお、
図12は、図面の見やすさの観点から、ハッチングを省略している。また、
図12は、第4実施形態を説明するための模式図であり、実際の製品が
図12のような構造になっていることを意味するものではない。
図12では、停止ボタン42aが押し込まれてから元に戻るまでの過程を(a)→(b)→(c)→(d)の順で図示している。図中、上側が遊技者側であり、下側がスロットマシン10の内側である。図中、フロントドア12よりも上方が遊技者から見える側である。
さらにまた、検知センサ42eが移動片42dを検知するラインを、点線で示している。移動片42dの先端が当該点線と接触した瞬間が、検知センサ42eが移動片42dを検知した瞬間であるものとする。
【0197】
図12(a)において、停止ボタン42aは、ストップスイッチ42の操作体であり、遊技者がストップスイッチ42をオンにするときに操作する(スロットマシン10の内側に押し込む)ものである。停止ボタン42aの遊技者側は、スロットマシン10の筐体前面に設けられたフロントドア12から数ミリメートル程度、突出するように配置されている。この部分を遊技者側の正面から見ると、略円筒状となっている。停止ボタン42aは、無負荷状態では、(圧縮)コイルばね42cのばね力により、図(a)中、F3方向(外方向、遊技者方向)に付勢されており、この付勢力によって停止ボタン42aの遊技者側の端部がフロントドア12から突出している。この状態では、停止ボタン42aの図中、下面部(以下、「フランジ状部分」という。)とフロントドア12とが当接している。
一方、ストッパ42bは、フロントドア12の内側(筐体内部)に設けられており、停止ボタン42aが押し込まれたときに停止ボタン42aと当接し、それ以上の停止ボタン42aの移動を禁止する部分である。
【0198】
停止ボタン42aの図中、下面側には、停止ボタン42aと一体で移動可能な移動片42dが設けられている。さらに、移動片42dの真下には、移動片42dの動きを検知するための検知センサ42eが配置されている。図中、(a)に示す無負荷状態において、コイルばね42cの付勢力によって停止ボタン42aがフロントドア12側に付勢されている状態では、移動片42dの先端(図中、下端)は、検知センサ42eから離れた位置に配置されている。よって、図中(a)の状態では、検知センサ42eは、移動片42dを検知しておらず、オフ状態となっている。
【0199】
次に、図中(b)に示すように、遊技者は、リール31の回転を停止させるときは、停止ボタン42aを、F4方向に押し込む。これにより、コイルばね42cの付勢力に抗して、停止ボタン42aは、図中、下方向に移動する。停止ボタン42aが図中、下方向に移動すると、停止ボタン42aと一体である移動片42dもまた、図中、下方向に移動する。これにより、移動片42dの先端が検知センサ42e内に入り込む。そして、移動片42dの先端が検知センサ42eの点線に接触すると、検知センサ42eは、オフ状態からオン状態になる。
図12(b)は、検知センサ42eがオフ状態からオン状態になった瞬間の各部材の位置を示している。検知センサ42eがオン状態になった瞬間は、停止ボタン42aのフランジ状部分は、ストッパ42bとは未だ当接しておらず、停止ボタン42aとストッパ42bとの間には隙間がある。
【0200】
図12(b)の状態からさらに停止ボタン42aが押し込まれると、
図12(c)に示すように、停止ボタン42aのフランジ状部分がストッパ42cと当接する。この位置が、停止ボタン42aを押し込んだときの最深部となる。また、
図12(c)の状態では、移動片42dの先端が検知センサ42eによって検知されている状態が維持されているので、検知センサ42eはオン状態である。
【0201】
図12(c)の状態から、遊技者が停止ボタン42aの押し込みを解除すると(
図12(c)中、F4方向の力を除くと)、コイルばね42cの付勢力F3によって、停止ボタン42aを初期位置に戻す力が作用する。これにより、停止ボタン42a及び停止ボタン42aと一体である移動片42dは、図中、上方向に移動する。その結果、移動片42dの先端が検知センサ42eの点線と接触しなくなり、検知センサ42eは、オン状態からオフ状態となる(
図12(d))。
【0202】
図12(d)は、検知センサ42eがオン状態からオフ状態になった瞬間の各部材の配置を示している。
図12(d)の状態では、停止ボタン42aは、最終位置まで戻っていない。
図12(d)の状態からさらに停止ボタン42aが戻されると、停止ボタン42aのフランジ状部分フロントドア12と当接し、この位置で停止ボタン42aが停止する。この状態が、
図12(a)の状態であり、停止ボタン42aの無負荷状態である。
なお、検知センサ42eがオフ状態からオン状態になるタイミングを示す
図12(b)の状態と、検知センサ42eがオン状態からオフ状態になるタイミングを示す
図12(d)の状態は、一般には同一であるが、わずかにズレが生じても特に問題はない。
【0203】
図13は、第4実施形態において、停止ボタン42aの動作とモータ32の励磁状態との関係等をタイムチャートで示す図であり、(a)は例1を示し、(b)は例2を示す。
図13(a)において、停止ボタン42aが無負荷状態の初期位置(
図12(a))にあり、停止ボタン42aの押し込みを開始した瞬間の時刻をS41とする。停止ボタン42aが押し込まれ、検知センサ42eがオフからオンになったとき、すなわち
図12(b)の状態になったときの時刻をS42とする。さらにその位置から停止ボタン42aが押し込まれ、停止ボタン42aが最深部に到達したとき(
図12(c)の状態となったとき)の時刻をS43とする。以上の時刻S41、S42、及びS43は、遊技者の押し込み速度に依存するものであり、一定ではない。停止ボタン42aをゆっくりと押し込めば、時刻S41からS43までの時間は長くなり、停止ボタン42aを早く押し込めば、時刻S41からS43までの時間は短くなる。
【0204】
次に、時刻S44のときに、停止ボタン42aの押し込みを解除するものとする。なお、時刻S44の時点では、停止ボタン42aは、最深部に位置しているものとする。
停止ボタン42aの押し込みが解除されると、上述したように、コイルばね42cのばね力によって停止ボタン42aが初期位置に戻ろうとする力が作用する。なお、停止ボタン42aの押し込みを解除した瞬間から、停止ボタン42aの操作者は、停止ボタン42aに接触しないものとする。
そして、検知センサ42eがオンからオフになった時、すなわち
図12(d)の状態となったときの時刻をS45とする。ここで、時刻S44からS45になるまでの時間をT11とする。
【0205】
時間T11は、コイルばね42cのばね力(ばね定数)と、最深部位置から検知センサ42eがオフになる位置までの停止ボタン42aのストローク(移動距離)とによって定まる変数である。(a)の例1では、時間T11が100msとなるように、コイルばね42cのばね力(ばね定数)及び停止ボタン42aのストロークが設計されている。
【0206】
一方、ストップスイッチ42のオン(具体的には、検知センサ42eのオン)が検知されると(
図12(b)の状態になると)、リール制御手段65は、そのストップスイッチ42に対応するリール31の停止制御を実行し、役抽選手段による役抽選結果(内部抽せん手段により決定した結果)に対応する位置でそのリール31を停止させる。リール31の停止制御を開始してから(検知センサ42eのオンを検知してから)リール31が停止するまでの時間は、上述したように、(MB遊技中の所定のリール31を除き、)190ms以内(リール31の図柄数が21図柄の場合は移動コマ数が5コマ以内、20図柄の場合は移動コマ数が4コマ以内)に設定されている。したがって、役抽選結果やストップスイッチ42が操作された瞬間のリール31の位置によって異なるので、リール31の減速を開始してからリール31が停止するまでの時間は、一定ではない。
【0207】
さらに、リール制御手段65は、リール31を所定位置に移動させた後は、モータ32を、所定時間、4相同時に励磁をかけている(ブレーキをかけている)状態(上述した4相励磁状態)とする。
ここで、本実施形態におけるモータ32は、4相ステッピングモータであり、モータ32(リール31)の回転中は、たとえば1・2相励磁を行う(なお、1・2相励磁に限られるものではない)。したがって、モータ32の回転中も、1つの励磁状態である。そして、モータ32の回転駆動を停止させるときは、4相励磁状態とする。
なお、リール31を所定位置に移動させた後に、バウンドストップを行う場合(停止位置でリール31が振動するように見せる場合)には、4相励磁状態ではなく、たとえば3相励磁状態とすることも可能である。
【0208】
モータ32の回転駆動を停止した瞬間は、モータ32やリール31の回転時の慣性によって、停止させたい位置からオーバーするおそれがあるため、リール31を所定位置で停止させた瞬間に、モータ32を4相励磁状態とし、静止トルクを発生させることで、停止位置から慣性によって動かないようにする。モータ32が4相励磁状態であるときは、次のストップスイッチ42の操作受付けは許可されない。第一又は第二停止時に、次のストップスイッチ42の操作受付けが許可されるのは、操作されたストップスイッチ42の検知センサ42eがオン状態からオフ状態となり(
図12(d)の状態まで戻り)、かつ、回転駆動を停止したモータ32の4相励磁状態が終了したときである。
【0209】
このように制御するのは、以下の理由による。
リール31の停止位置を保持するために、モータ32を4相励磁状態に制御するが、そのように制御しているときは、通常時より多くの負荷がかかるため、スロットマシン10全体の負荷が大きくなってしまう。そこで、この負荷を下げるために、1つのモータ32の4相励磁状態を終了した後、次の停止ボタン42aの操作受付けを可能とするためである。
【0210】
図13(a)の例1では、役抽選手段による役抽選結果(内部抽せん手段により決定した結果)が所定の結果であったとき(たとえば、押し順ベル当選時)は、4相励磁状態の開始から終了までの励磁時間T12を、90割込み(2.235×90=201.15ms)に設定している。ここで、役抽選結果が所定の結果であったときに、4相励磁状態の励磁時間T12が「90割込み」に設定するのは、いずれの役抽選結果であっても励磁時間T12は常に一定とは限らない、という意味である。
【0211】
よって、第4実施形態の例1では、「T11<T12」となるように設定している。
ここで、時刻S42の時点からリール31の停止制御が開始されると、190ms以内でリール31が停止する。上述したように、リール31の図柄数が「21」であるときの停止制御時における移動コマ数数が5コマ以内(最小1コマ)、又はリール31の図柄数が「20」であるときの停止制御時における移動コマ数が4コマ以内(最小1コマ)であるので、時刻S42の時点から、約「40」〜「190」ms以内でリール31が停止する。
一方、検知センサ42eがオフ状態からオン状態になった時点から、停止ボタン42eが最深部に到達し、停止ボタン42eの押し込み力が解除されるまでの時間(時刻S42からS44までの時間)は、「40」〜「180」ms程度である。このため、モータ32の4相励磁状態が開始される時刻と、停止ボタン42aの押し込みが解除される時刻S44とは、近い時刻(ほぼ同時刻)である。
【0212】
そこで、例1では、停止ボタン42aの押し込みが解除されるタイミング(時刻S44)で4相励磁状態が開始されるものとし、検知センサ42eがオン状態からオフ状態になった(時刻S45)後に、モータ32の4相励磁状態が終了する(時間T12が経過する)ように設計した。このため、モータ32の4相励磁状態を終了した時には、次の停止ボタン42aの操作受付け可能となるように設定可能である。
このように、4相励磁状態の終了前に検知センサ42eがオフ状態になるように設計すれば、4相励磁状態を終了した時点で、次の停止ボタン42aの操作受付けを許可することができる。これにより、遊技を高速で進行することが可能となる。
【0213】
これに対し、
図13(b)の例2では、最深部に到達している停止ボタン42aの押し込みを解除した瞬間(時刻S44)から、検知センサ42eがオンからオフになるまで(時刻S45に到達するまで)の時間T11が、300msに設定されている例である。したがって、例1よりも、停止ボタン42aの戻り時間が3倍となっている。上述したように、停止ボタン42aの戻り時間は、コイルばね42cのばね力(ばね定数)と、停止ボタン42aのストロークとによって設定(調節)可能である。
【0214】
一方、例2では、4相励磁状態を開始してから終了するまでの時間T12は、45割込み(100.575ms)に設定されている。
そして、例2では、例1と同様に、最深部に到達している停止ボタン42aの押し込みが解除される瞬間(時刻S44)から4相励磁状態が開始されるものとし、モータ32の4相励磁状態が終了した後に、検知センサ42eがオフになるように設計した。このため、検知センサ42eがオフになった時は、次の停止ボタン42aの操作受付け可能となるように設定可能である。
【0215】
このように、検知センサ42eがオフになった時には4相励磁状態が終了しているように設計することで、検知センサ42eがオフになった時点で、次の停止ボタン42aの操作受付けを許可することができる。これにより、遊技を高速で進行することが可能となる。
以上のように、例1及び例2のいずれも、それぞれ制御上のメリットを有する。
なお、
図13の例1及び例2では、4相励磁状態の開始から終了までの時間T12が異なる例を示した。しかし、たとえば4相励磁時間T12が一定値である場合には、「T11<T12」とすれば、4相励磁状態を終了した時点で次の停止ボタン42aの受付けが可能となる。よって、4相励磁時間T12が一定値である場合には、例1の方がより高速で遊技を消化可能となる。
【0216】
<第5実施形態>
第5実施形態は、電源のオン/オフと、プログラムの起動等との関係に関するものである。
図14は、第5実施形態における制御の概略をタイムチャートで示す図である。
図14中、(a)は、メインプログラム(メイン制御基板50のプログラム)の起動後に電源断が発生したときの状態を示す図である。電源は、時刻S51の時にオンとなり、その後、時刻S55の時にオフになるものとする。
時刻S51で電源が投入されると(
図1中、電源スイッチ11がオンにされると)、メイン制御基板50及びサブ制御板80のいずれにも電源の供給が開始され、メイン制御基板50及びサブ制御板80の電圧レベルが徐々に高くなり、供給レベルV0(電源がオンであるときのレベル)に到達する。なお、
図14中、電圧の供給レベルV0、電源断検知レベルV1、駆動電圧限界V2は、
図3(第1実施形態(A))と同様である。
【0217】
時刻S51で電源が投入された後、メイン制御基板50及びサブ制御板80の電圧レベルが供給レベルV0に到達したときの時刻をS52とする。その後、時刻S52から時間T22が経過した時刻S53から、サブ制御基板80によるサブプログラムが起動する。その後、時刻S52から時間T23(T23>T22)が経過した時刻S54から、メイン制御基板50によるメインプログラムが起動する。このように、サブプログラムが先に起動し、その後にメインプログラムが起動するようにしているのは、メイン制御基板50からサブ制御基板80に対して電源投入後の最初のコマンドを送信するときに、サブ制御基板80側で、そのコマンドを受信可能な状態にしておくためである。
【0218】
次に、時刻S55の時に電源断(電源スイッチ11のオフ、又は停電等)が発生すると、メイン制御基板50及びサブ制御基板80の電圧レベルは徐々に低下する。電圧レベルが低下しても、駆動電圧限界V2以上の電圧であれば、メイン制御基板50及びサブ制御基板80は、電源断処理を実行可能である。
また、時刻S55で電源断が発生したときは、
図3と同様に時間T0(20割込み)で電圧が電源断検知レベルV1となり、電源断が検知される(時刻S56)。さらに、電源断の検知後、
図3と同様に、たとえば1割込み後に、電源断処理が実行される。電源断処理は、時刻S57で終了するものとする。
その後、時刻S58に達すると、電圧が駆動電圧限界V2を下回り、プログラム(処理)を実行できない。このため、時刻S58に達する前に、電源断処理が終了するように制御する。
【0219】
時刻S54でメインプログラムが起動すると、メインCPU55の設定、RWM53のチェック、前回の電源断が正常であったか否かの確認、設定キースイッチの状態の確認等を実行し、その後、割込み処理を起動する。設定キースイッチがオフであるときは、割込み処理の起動後に、電源断復帰処理(RWM53の所定範囲の初期化等)を実行する。これに対し、設定キースイッチがオンであるときは、割込み処理の起動後に、設定変更処理に移行する。
そして、
図14(a)に示すように、メインプログラムを起動した後に電源断が発生した場合において、設定キースイッチがオフであるときは、電源断復帰処理を完遂した後に、電源断処理を実行する。これにより、正常にプログラムを終了することができる。
これに対し、メインプログラムを起動した後に電源断が発生した場合において、設定キースイッチがオンであるときは、設定変更処理を開始することなく電源断処理を実行する。電源断が発生した後に設定変更処理を実行すると、不具合が発生するおそれがあるためである。
【0220】
また、メインプログラムを正常に実行するためには、メインプログラムの起動と同時に電源断を検知した場合であっても、メインCPU55の設定と、RWM53のチェックは、必ず実行する。
さらにまた、メインプログラムの起動後は、その後に電源断が発生したとしても、割込み起動までは必ず実行する。割込み処理において電源断を検知するためである。なお、第1実施形態(A)と同様に、たとえば「N」割込み目に、電源断が発生したと判断される電圧低下(電源断検知レベルV1)を検知し、次の「N+1」遊技目でも当該電圧低下を検知したときは、「N+1」割込み目で電源断を検知する(電源断と判断する)。そして、「N+2」割込み目から、電源断処理を実行する。
【0221】
図14(a)の例では、時刻S54のときにメイングログラムが起動し、その後の時刻S55で電源断が発生している。しかし、時刻S54(メインプログラムの起動)と同時に電源断が発生しても、電圧が駆動電圧限界V2になる前に、電源断処理を完遂することができるように設定されている。
なお、
図14(a)において、電源投入(時刻S51)から、電圧が供給レベルV0に到達するまで(時刻S52)までの時間T21は、電源断の発生(時刻S55)から電圧がLowレベルになるまでの時間T24よりも短くなるように設定されている。
また、時間T23(電圧が供給レベルV0に達した時からメインプログラムが起動するまでの時間)は、時間T24よりも短くなるように設定されている。
【0222】
図14(b)は、メイン制御基板50によるメインプログラムの起動前に電源断が発生したときの例である。
図14(b)の例では、時刻S51で電源がオンにされ、時刻S59で電源がオフにされる。ここで、時刻S59は、
図14(a)の時刻S54よりも前である。すなわち、メインプログラムの起動に必要な電源(供給レベルV0)が供給された後、所定時間(時間T23)を経過する前(時刻S54に到達する前)に電源断が発生し、電圧が低下した例である。このような場合には、メインプログラムは起動しない。よって、その後、電圧が徐々に低下し、最終的には電源がLowレベルとなる。
なお、
図14(b)の例において、再度、電源が投入されたときは、正常に起動することができる。
また、
図14では図示していないが、サブプログラムが起動した直後(時刻S53の後)であって、時刻S54より前(メインプログラムが起動する前)のタイミングで電源断が発生することが考えられる。
上記タイミングで電源断が発生した場合には、サブプログラムは、サブプログラムの電源断処理を実行する。そして、サブ制御基板80に供給される電圧が駆動電圧限界V2になる前にサブプログラムの電源断処理を終了することが可能となっている。
また、上記タイミングでの電源断は、メインプログラムの起動前の電源断であるので、上述したようにメインプログラムは起動しない。
【0223】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した内容に限定されるものではなく、たとえば以下のような種々の変形が可能である。
(1)本実施形態では、通路センサ46を設けている。通路センサ46は、メダル投入判定の精度をより高めるとともに、不正対策としても有効だからである。しかし、通路センサ46を設けなくてもよく、一対の投入センサ44a及び44bのみを設けてもよい。
【0224】
(2)
図2において、投入センサ44a及び44bは、略水平方向に移動するメダルMを検知するように構成したが、これに限られるものではない。たとえばメダルMが略垂直下方に落下しているときに、そのメダルMを投入センサ44a及び44bが検知する構成としてもよい。
(3)
図2において、ブロッカ45は、メダル通路の下面側に配置したが、これに限られるものではない。投入センサ44aによってメダルMが検知される前に、メダルMをメダル通路外に送出することができる機能を有するものであればよい。
また、
図2に示すように、投入センサ44a及び44bは、正面から見て、メダルMの中心位置よりもやや上部を検知するように図示したが、実際の製品がこのようになっていることを意味するものではない。投入センサ44a及び44bは、通過するメダルMを確実に検知できるように配置されていれば、どのように配置されていてもよい。
【0225】
(4)
図3において、時間T2は、メダルMがM2に位置する瞬間からM4に位置する瞬間までの時間としたが、これに限られない。たとえば、メダルMが、
図2中、M1の位置にあり、手を離した瞬間からM4に到達するまでの時間をT2とし、かつ「T2>T1」に設定してもよい。あるいは、メダルMが、M1とM2との間のいずれかの所定位置からM4に到達するまでの時間をT2とし、かつ「T2>T1」に設定してもよい。
【0226】
(5)第1実施形態(A)では、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生したときは、メダルMがM4に到達するまでに電源断処理を実行するようにした。しかし、これに限らず、たとえば、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生したときは、メダルMがM3に到達するまでに電源断処理を実行するようにしてもよい。すなわち、この場合には、電源断処理により、メダルMは、投入センサ44aに検知されない。
あるいは、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生したときは、メダルMが投入センサ44bに到達するまでに電源断処理を実行するようにしてもよい。この場合には、メダルMは、投入センサ44aには検知されるが、投入センサ44bには検知されずに電源断処理が実行される。
【0227】
(6)さらにまた、第1実施形態(A)において、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生し、その電源断を検知して電源断処理(ブロッカオフ)を実行するまでの時間T1を、メダルMがM2の位置からブロッカ45が設置されている位置に到達するまでの時間(この時間を「T2’」とする。)よりも短く設定することが挙げられる。このように設定すれば、メダルMがM2に位置する瞬間に電源断が発生した場合において、メダルMがM2の位置からブロッカ45の位置に到達したときは、すでにブロッカ45はオフにされているので、そのメダルを投入センサ44a及び44b側に通さないようにすることができる。
なお、上記において、メダルM2の位置を、M1の位置で手を離した瞬間、又はM1とM2との間の所定位置としてもよい。
【0228】
(7)
図3に示すように、第1実施形態(A)では、電源断を検知した割込み処理の次の割込み処理で電源断処理(ブロッカオフ)を実行した。しかし、これに限らず、電源断を検知した割込み処理から数えて、たとえば「2」〜「5」割込み処理後に電源断処理(ブロッカオフ)が実行されるように設定してもよい。あるいは、電源断を検知した割込み処理で電源断処理(ブロッカオフ)を実行してもよい。
(8)
図3の第1実施形態(A)において、電源断が発生したときに、電圧が供給レベルV0から維持レベルV1に到達するまでの時間T0を20割込みとしたが、これに限られることなく、電源の性能によって、種々設定することが可能である。
【0229】
(9)
図7の第1実施形態(C)において、メダル払出し装置によりメダルMが払い出されるときは、払出しセンサ37a及び37bが可動片39aを検知する構造とした。しかし、これに限らず、払い出されるメダルM自体を、払出しセンサ37a及び37bが検知するようにしてもよい。たとえば、払出しセンサ37a及び37を、
図4に示す投入センサ44a及び44bのように配置して、(払い出される)メダルMの通過を検知してもよい。
【0230】
また、そのように払出しセンサ37a及び37bを配置した場合において、メダルMが払出しセンサ37a及び37bを通過するときは、
払出しセンサ37aオン、払出しセンサ37bオフ(時刻S31’)
払出しセンサ37aオン、払出しセンサ37bオン(時刻S32’)
払出しセンサ37aオフ、払出しセンサ37bオン(時刻S33’)
払出しセンサ37aオフ、払出しセンサ37bオフ(時刻S34’)
の経過をたどる。
そして、時刻S31’からS34’までの時間が、時間T1(電源断の発生から電源断処理を実行するまでの時間)より短くなるように設定する。
【0231】
(10)第2実施形態において、ゲート跡57bは、突起57dやくぼみ部57cが外側にあるように形成したが、これとは逆に、突起57dやくぼみ部57cが内側にあるように形成することも可能である。下カバー58のゲート跡58bも同様である。この場合、ゲート跡57bを、
図10(b)の形状にすれば、上カバー57又は下カバー58の外側は平滑面となる。一方、
図10(c)の形状にすれば、上カバー57又は下カバー58の外側に突部57eが形成される。
【0232】
(11)第2実施形態では、基板ケース56の例として、メイン制御基板50を内部に収容した例を挙げた。しかし、メイン制御基板50に限らず、不正を防止したい他の制御基板、例えばサブ制御基板80の基板ケースにも第2実施形態を適用することが可能である。
図1に示すように、サブ制御基板80においても、RWM83、ROM54、サブCPU85等を備えるが、サブ制御基板80の基板ケースにおける上カバーの上面において、ゲート跡の垂直方向(真下)に少なくともサブCPU85を配置しないようにし、さらには、RWM83やROM54も配置しないようにすることが挙げられる。同様に、ゲート跡の垂直方向(真下)に、サブ制御基板80の型番表示領域が重ならないようにすることが挙げられる。
【0233】
(12)第3実施形態では、AT中における押し順演出及び操作されたストップスイッチ42(停止したリール31)の表示や、AT中における残り遊技回数を例に挙げたが、たとえばAT中や特別遊技(BB遊技等)の獲得枚数、残り獲得可能枚数を表示する場合であっても、第3実施形態を適用することができる。
たとえば、「N」遊技目開始時の獲得枚数が「200」枚であり、「N+1」遊技目開始時の獲得枚数が「209」枚であり、「N+2」遊技目開始時の獲得枚数が「218」枚であったと仮定する。また、メイン制御基板50は、サブ制御基板80に対し、毎遊技の開始時に、獲得枚数に関するコマンドを送信するものとする。
そして、
図11に示す例と同様に、「N」遊技目の途中で断線が発生し、「N+1」遊技目の途中で通信が復帰したと仮定する。
【0234】
この場合、サブ制御基板80は、「N」遊技目では、獲得枚数として「200」枚と表示する。また、「N+1」遊技目の開始時には、獲得枚数に関するコマンドを(断線のために)受信しないので、「N+1」遊技目も、獲得枚数「200」枚の表示を維持する。次に、サブ制御基板80は、「N+2」遊技目の開始時に、獲得枚数に関するコマンドを受信すると、そのコマンドに基づいて、獲得枚数「218」枚の表示に更新する。
【0235】
(13)第3実施形態の
図11では、「N+2」遊技目のスタート時に画像表示を正常に復帰させる例を示した。しかし、これに限らず、「N+1」遊技目の全停後や、その後にベット操作が行われたときに、画像表示を正常に復帰させてもよい。あるいは、全停時や全停後にサブ制御基板80に送信されるコマンドに基づいて、所定のタイミングで画像表示を正常に復帰させることも可能である。
【0236】
(14)第3実施形態において、たとえば断線している「N+1」遊技目の途中で、AT中の獲得可能枚数や遊技回数の上乗せ(加算)抽選に当選する場合がある。この場合に、「N+1」遊技目は断線中であるため、サブ制御基板80は、上乗せ抽選に当選したことに基づくコマンドを受信することができない。したがって、この場合には、たとえば「N+2」遊技目のスタート時に、メイン制御基板50が上乗せ(加算)抽選後の結果を示すコマンドを送信し、「N+2」遊技目のスタート時に、サブ制御基板80が上乗せ後の遊技情報(獲得可能枚数や遊技回数)の表示を行うことが挙げられる。
【0237】
(15)第3実施形態(
図11)において、たとえば「N」遊技目の右第一停止後に断線し、「N+1」遊技目の最初のストップスイッチ42が操作される前に通信が復帰する場合が考えられる。そして、「N+1」遊技目では、遊技者が右第一停止を行ったと仮定する。この場合、サブ制御基板80は、「N+1」遊技目で右第一停止のコマンドを受信したときは、すでに操作されたストップスイッチ42の停止コマンドを受信したことになるので、押し順失敗演出を出力する。そして、「N+1」遊技目の全停後のベット操作時や、「N+2」遊技目のスタート時に、画像表示を正常なものに復帰させることが挙げられる。
【0238】
(16)第3実施形態(
図11)で、AT中に獲得枚数を画像表示する場合において、断線前後における獲得枚数の画像表示の更新処理としては、たとえば以下の方法が挙げられる。
メイン制御基板50は、払出し処理があったときは、サブ制御基板80に対し、獲得枚数を示すコマンドを送信する。ここで、「N」遊技目の途中で断線が発生したときは、サブ制御基板80は、「N」遊技目の獲得枚数を受信することができない。「N」遊技目の断線直前では、サブ制御基板80は、AT中の獲得枚数として「100」と表示していたものとする。また、AT中の「N」遊技目及び「N+1」遊技目は、いずれも10枚を獲得するものとする。
この場合、「N」遊技目の終了時におけるAT中の獲得枚数は、本来は「110」となるはずであるが、「100」のままである(断線しているため)。そして、「N+1」遊技目の途中に通信が復帰したと仮定する。これにより、サブ制御基板80は、「N+1」遊技目の払出し処理時に受信した獲得枚数のコマンドに基づいて、AT中の獲得枚数を正常な値に戻すことが可能となる。ここで、「N+1」遊技目の払出し処理時に正常な値に戻してもよく、あるいは、
図11の例と同様に、「N+2」遊技目のスタート時に正常な値に戻してもよい。さらには、「N+1」遊技目の払出し処理時に「110」に更新し、「N+2」遊技目のスタート時に「120」に更新してもよい。
【0239】
(17)本実施形態では、遊技機の一例としてスロットマシン10を例示したが、たとえば、ぱちんこ遊技機についても本発明を適用可能である。パチンコ遊技機では、始動口(図柄変動表示装置による図柄変動を開始し、大当たり抽選のための乱数を取得する契機となる入賞口)、電チュー入賞口(遊技球が入賞すると、次の入賞を容易にするために一定時間開いてから閉じる役物を設けた入賞口。なお、電チューは、チューリップ形状に限られない。)、アタッカー(大当たり時に開放する大入賞口)等の各種入賞口が設けられる。そして、これらの入賞口において、第1実施形態(B)を適用することが可能である。
【0240】
具体的には、たとえば始動口には、入賞センサ(始動口に入賞した遊技球を最初に検知されるセンサ)と排出センサ(入賞センサによって検知された後、遊技球を検知するセンサ)とが設けられている。また、アタッカーには、V入賞センサ(アタッカーに入賞した遊技球を最初に検知されるセンサ)と排出センサ(V入賞センサによって検知された後、遊技球を検知するセンサ)とが設けられている。
たとえば、始動口の場合、遊技球が入賞センサに検知された瞬間に電源断が発生したときは、電源断処理が実行される前に、排出センサによって遊技球を検知できるように設定する。これにより、遊技球が入賞センサに検知された瞬間に電源断が発生しても、賞球を正しくカウントすることができる。よって、入賞口に遊技球が入賞したにもかかわらず、賞球が払い出されないことを防止することができる。アタッカーのV入賞センサと排出センサとについても上記と同様である。
【0241】
(18)本実施形態では、遊技機の1つとしてスロットマシン10を例に挙げたが、スロットマシン10は、風営法の適用を受ける第4号営業店に設置される「回胴式遊技機」(いわゆる「パチスロ遊技機」)に限られるものではなく、たとえばカジノマシンや、遊技の用に供するメダルを遊技媒体として使用しない封入式遊技機(メダルレス遊技機)にも適用することができる。
【0242】
ここで、封入式遊技機(メダルレス遊技機)は、たとえば、
図1中、メダル払出し装置(ホッパー35、ホッパーモータ36、及び払出しセンサ37を含むユニット)をなくすることが可能となる。また、メダル投入口47やメダルセレクタも不要にすることができる。そして、役の入賞により付与された電子メダル(電子遊技媒体)は、すべて、クレジット数表示LED76に貯留されるようにする。この場合、クレジット数表示LED76は、たとえば5桁から構成する(最高で「99,999」枚の電子メダルを貯留可能とする)ことが考えられる。
このようなカジノマシンや封入式遊技機(メダルレス遊技機)であっても、第1実施形態を除き、本願発明を適用することができる。
【0243】
<第6実施形態>
第6実施形態は、メイン制御基板50によるメダル払出し装置15の制御に関するものである。
ここで、
図15〜
図17は、第6実施形態におけるホッパーディスク101の位置とメダルの位置とホッパーモータ36の駆動制御との関係を説明するための図である。
また、
図15(a)は、最後の排出メダルが固定軸38a及び可動軸38bに接する前の状態を示すメダル払出し装置15の平面図であり、
図15(b)は、最後の排出メダルが固定軸38a及び可動軸38bに接する前の状態であってホッパーディスク101の回転が(a)より進んだ状態を示すメダル払出し装置15の平面図である。
【0244】
さらにまた、
図16(a)は、最後の排出メダルが固定軸38a及び可動軸38bに接した状態を示すメダル払出し装置15の平面図であり、
図16(b)は、最後の排出メダルに押されて可動軸38bが移動した状態を示すメダル払出し装置15の平面図である。
さらに、
図17(a)は、最後の排出メダルが排出部から排出された瞬間の状態を示すメダル払出し装置15の平面図であり、(b)は、最後の排出メダルを排出した後、ホッパーディスクの回転が停止した状態を示すメダル払出し装置15の平面図である。
【0245】
第6実施形態では、メダル払出し装置15は、メダルを貯留するホッパー35と、ホッパー35の底部に設けられているホッパーディスク101と、ホッパーディスク101を回転させるホッパーモータ36とを備えている。また、メダル払出し装置15がメイン制御基板50と電気的に接続されていることは、第1実施形態と同様である。そして、メイン制御基板50は、ホッパーモータ36の駆動を制御する。
【0246】
また、
図15〜
図17に示すように、ホッパーディスク101は、円盤状に形成されているとともに、ホッパーディスク101には、ホッパー内に貯留されているメダルを保持可能な開口部である保持部102が、ホッパーディスク101の外周に沿って8個設けられている。
さらにまた、各保持部102は、ホッパーディスク101の上面から下面まで貫通する円孔状に形成されている。ホッパー35に貯留されているメダルは、各保持部102の上側の開口から各保持部102内に入り込み、各保持部102にそれぞれ保持されるように形成されている。
【0247】
さらに、第6実施形態では、メダルの払出し処理時には、ホッパーモータ36が駆動すると、
図15〜
図17に示すホッパーディスク101は、時計回りに回転する。そして、ホッパーディスク101が時計回りに回転すると、各保持部102に保持されているメダルは、ホッパーディスク101とともに時計回りに円弧を描くように移動して、排出部103から順次排出される。
排出部103からメダルが排出されると、そのメダルが保持されていた保持部102が空になる。そして、空になった保持部102には、ホッパー35内に貯留されている他のメダルが新たに入り込む。
【0248】
また、第1実施形態(C)で説明したように、メダル払出し装置15は、固定軸38aと可動軸38bとを備えている。そして、第6実施形態では、固定軸38aと可動軸38bとの間が、メダルが排出される排出部103とされている。
図16(b)に示すように、メダルが可動軸38bを押すことにより可動軸38bが移動し、固定軸38aと可動軸38bとの間がメダルの直径より広くなると、メダルは、固定軸38aと可動軸38bとの間を通過する。このとき、メダルが排出部103から排出されることとなる。
また、固定軸38aと可動軸38bとの間をメダルが通過し、可動軸38bが元の位置(
図6中、実線で示す位置)に戻った瞬間が、メダルが排出部103から排出された瞬間である。可動軸38bが元の位置に戻ると、排出部103からメダルが排出されたことが、払出しセンサ37によって検知されることとなる。
【0249】
また、一の払出し処理において、排出部103から最後に排出されるメダルを、「最後の排出メダル」と称し、次回の払出し処理において、排出部103から最初に排出されるメダルを、「最初の排出メダル」と称する。
図15〜
図17では、メダルを2点鎖線で示している。そして、「A」の文字を付したメダルが、一の払出し処理における最後の排出メダルであり、「B」の文字を付したメダルが、次回の払出し処理における最初の排出メダルである。
【0250】
また、一の払出し処理で最後の排出メダルが排出部103から排出された瞬間における、当該最後の排出メダルが保持されていた保持部102の位置を、「第1位置」と称し、一の払出し処理で最後の排出メダルが排出部103から排出された瞬間における、次回の払出し処理における最初の排出メダルが保持されている保持部102の位置を、「第2位置」と称する。
図17(a)は、最後の排出メダルが排出部103から排出された瞬間の状態(ホッパーディスク101、各保持部102、「A」〜「D」の文字を付した各メダル、固定軸38a、及び可動軸38bの位置関係)を示している。そして、
図17(a)中、「A」の文字を付したメダルが保持されていた保持部102の位置が、第1位置であり、「B」の文字を付したメダルが保持されている保持部102の位置が、第2位置である。
【0251】
そして、第6実施形態では、メイン制御基板50は、一の払出し処理を終了するときは、次回の払出し処理における最初の排出メダルが保持されている保持部102が、第1位置と第2位置との間に位置した状態で、ホッパーディスク101の回転が停止するように、ホッパーモータ36の駆動を制御する。
図17(b)は、最後の排出メダルを排出部103から排出した後、ホッパーディスク101の回転が停止した状態を示している。
図17(b)中、第1位置及び第2位置は、それぞれ破線で示している。また、
図17(b)中、「B」の文字を付したメダルは、次回の払出し処理における最初の排出メダルである。そして、
図17(b)に示すように、「B」の文字を付したメダルが保持されている保持部102が、第1位置と第2位置との間に位置した状態で、ホッパーディスク101の回転が停止している。
【0252】
ここで、第6実施形態では、ホッパーモータ36として、DCモータ(直流モータ)を用いている。
このため、払出し処理の終了時に、メイン制御基板50からホッパーモータ36に対し、メダルを排出するときとは逆方向の電流を流すことにより、ホッパーモータ36の駆動を急停止させて、ホッパーディスク101の回転を急停止させることができる。
【0253】
また、上述したように、排出部103からメダルが排出され、可動軸38bが元の位置に戻ると、その旨が払出しセンサ37によって検知される。
このため、最後の排出メダルが排出部103から排出されたことを払出しセンサ37で検知したときに、メダルを排出するときとは逆方向の電流をホッパーモータ36に流し、ホッパーディスク101の回転を急停止させると、次回の払出し処理における最初の排出メダルが保持されている保持部102を、第2位置で停止させることができる。
【0254】
また、メダルを排出するときとは逆方向の電流をホッパーモータ36に流すことにより、ホッパーモータ36を逆方向に駆動させて、ホッパーディスク101を逆回転(反時計回りに回転)させることもできる。
このため、払出し処理の終了時に、次回の払出し処理における最初の排出メダルを保持する保持部102が、第2位置を通り過ぎてしまったとしても、メダルを排出するときとは逆方向の電流をホッパーモータ36に流すことにより、ホッパーディスク101を逆回転させて、第2位置に戻すことができる。
そして、最初の排出メダルが保持されている保持部102を第2位置に戻すことにより、最初の排出メダルが毎回、同じ第2位置から移動を開始するようにすることができる。これにより、払出し処理毎に、同じ動作が行われるようにすることができるので、最初の排出メダルが安定して排出されるようにすることができる。
【0255】
ここで、ホッパーモータ36としてのDCモータは、一定の電流を流すと、駆動軸の回転が停止した状態から徐々に加速していき、その後、一定速度(定速)に到達する。
図18は、第6実施形態において、ホッパーモータ36の駆動信号と、ホッパーモータ36の駆動状態と、排出部103からのメダルの排出状況との関係を示すタイムチャートを示す図である。
図18中、上段のラインは、ホッパーモータ36の駆動信号を示し、中段のラインは、ホッパーモータ36の駆動状態を示し、下段のラインは、排出部103からのメダルの排出状況を示す。
【0256】
また、ホッパーモータ36の駆動信号は、メイン制御基板50が備える所定の出力ポートから出力されるデジタル信号であり、ホッパーモータ36の駆動信号がオフからオンになると、ホッパーモータ36に一定の電流が流れ、ホッパーモータ36の駆動信号がオンからオフになると、ホッパーモータ36を流れる電流が「0」になる。
さらにまた、
図18中、ホッパーモータ36の駆動状態の「停止」は、駆動軸の回転が停止した状態を示し、ホッパーモータ36の駆動状態の「定速」は、駆動軸の回転が一定速度(定速)に到達した状態を示す。
【0257】
図18に示すように、ホッパーモータ36の駆動信号がオフからオンになると、ホッパーモータ36の駆動状態は、「停止」から徐々に大きくなり、その後、「定速」に至る。
また、ホッパーモータ36の駆動状態を示すラインが斜め右上がりになっている部分は、ホッパーモータ36の駆動軸の回転が徐々に加速していくことを示している。
【0258】
このように、DCモータを用いたホッパーモータ36は、駆動信号がオフからオンになると、駆動軸の回転が徐々に加速していく。
このため、最初の排出メダルを保持する保持部102が第2位置で停止していると、その保持部102が第1位置に到達するまでに、ホッパーモータ36の駆動軸の回転が徐々に加速していくので、定速時におけるメダルの排出間隔より長い時間を要する。
すなわち、最初の排出メダルを保持する保持部102が第2位置で停止していると、ホッパーモータ36の駆動開始から最初の排出メダルが排出部103から排出されるまでに要する時間が、ホッパーモータ36の駆動軸が定速で回転しているときにおけるメダルの排出間隔より長くなる。
これにより、最初(1枚目)のメダルの排出が遅れたという感覚を遊技者に与えてしまう可能性を有する。
【0259】
そこで、第6実施形態では、メイン制御基板50は、一の払出し処理の終了時には、次回の払出し処理における最初の排出メダルを保持する保持部102が、第1位置と第2位置との間に位置した状態で、ホッパーディスク101の回転が停止するように、ホッパーモータ36の駆動を制御する。
最初の排出メダルを保持する保持部102が、第1位置と第2位置との間で停止していると、第1位置に到達するまでの距離が、第2位置で停止したときより短くなる。これにより、第1位置に到達するまでの時間も、第2位置で停止したときより短くなるので、ホッパーモータ36の駆動軸の回転が徐々に加速したとしても、最初(1枚目)のメダルの排出が遅れたという感覚を遊技者に与えないようにすることができる。
【0260】
また、最初の排出メダルを保持する保持部102を、第1位置と第2位置との間で停止させると、
図17(b)に示すように、ホッパーディスク101における隣り合う2つの保持部102の間に相当する部分が、排出部103の正面に位置することとなる。
これにより、フロントドア12の前面下部に設けられたメダル払出し口から針金等の不正器具を挿入し、この不正器具でホッパーディスク101の保持部102にアクセスしようとする不正行為(ゴト行為)が行われたとしても、ホッパーディスク101における隣り合う2つの保持部102の間に相当する部分が障壁となり、不正器具による保持部102へのアクセスを阻止することができる。
【0261】
また、ホッパーモータ36の駆動状態が「定速」のときは、ホッパーディスク101は、時計回りに一定速度で回転する。このとき、各保持部102に保持されているメダルは、排出部103から等間隔で順次排出される。
さらに、
図18に示すように、ホッパーモータ36の駆動信号がオンからオフになると、ホッパーモータ36の駆動状態は、「定速」から徐々に小さくなり、その後、「停止」に至る。
図18中、ホッパーモータ36の駆動状態を示すラインが斜め右下がりになっている部分は、ホッパーモータ36の駆動軸の回転が徐々に減速していくことを示している。
【0262】
このように、DCモータを用いたホッパーモータ36は、駆動信号がオンからオフになると、駆動軸の回転が徐々に減速していく。
そして、最後の排出メダルが固定軸38aと可動軸38bとの間(排出部103)を通過し、可動軸38bが元の位置に戻ることにより、最後の排出メダルが排出部103から排出されたことが、払出しセンサ37によって検知されると、メイン制御基板50は、ホッパーモータ36の駆動信号をオンからオフにする。
これにより、ホッパーモータ36の駆動軸の回転が徐々に減速していき、次回の払出し処理における最初の排出メダルを保持する保持部102が、第1位置と第2位置との間に位置した状態で、ホッパーディスク101の回転が停止することとなる。
【0263】
また、
図18に示すように、メイン制御基板50は、ホッパーモータ36の駆動信号をオフからオンにすると、その後、サブ制御基板80に対し、払出し開始コマンドを送信する。この払出し開始コマンドは、メイン制御基板50が払出し処理を開始したことを示すコマンドである。
一方、サブ制御基板80は、払出し開始コマンドを受信すると、払出し音の出力に関する処理を開始する。その後、スピーカ22からの払出し音の出力が開始される。
【0264】
また、
図18に示すように、メイン制御基板50は、ホッパーモータ36の駆動信号をオンからオフにすると、その後、サブ制御基板80に対し、払出し終了コマンドを送信する。この払出し終了コマンドは、メイン制御基板50が払出し処理を終了したことを示すコマンドである。
一方、サブ制御基板80は、払出し終了コマンドを受信すると、払出し音の出力に関する処理を終了する。これにより、スピーカ22からの払出し音の出力が終了する。
【0265】
ここで、「払出し音」とは、メダルの払出しに合わせてサブ制御基板80側から出力する音を意味するものである。払出し音として、たとえば、「プルルル」というような音をスピーカ22から出力することができる。
また、「払出し音の出力に関する処理」とは、出力する音を選択する処理、選択した音を出力するチャンネルを選択する処理、及び選択した音をスピーカ22から出力する処理等の一連の処理を意味するものである。この一連の処理が実行されることにより、スピーカ22から実際に払出し音が出力される。
【0266】
そして、メイン制御基板50は、ホッパーモータ36の駆動信号をオンにすると、サブ制御基板80に払出し開始コマンドを送信し、サブ制御基板80は、払出し開始コマンドを受信すると、払出し音の出力に関する処理を開始することにより、最初の排出メダルが排出部103から排出されるまでに、スピーカ22からの払出し音の出力が開始されるようにすることができる。
【0267】
また、メイン制御基板50は、ホッパーモータ36の駆動信号をオフにすると、サブ制御基板80に払出し終了コマンドを送信し、サブ制御基板80は、払出し終了コマンドを受信すると、払出し音の出力に関する処理を終了することにより、排出部103からのメダルの排出が停止すると、スピーカ22からの払出し音の出力が終了するようにすることができる。
これにより、メダルの払出しと払出し音とが同調しているという印象を遊技者に与えることができる。
【0268】
図19は、メイン制御基板50の動作と、ホッパーモータ36の駆動状態と、払出しセンサ37a及び37bの検知状態と、排出部103からのメダルの排出タイミングとの関係を示す図である。
払出しのある役が入賞すると、メイン制御基板50は、RWM53の所定の記憶領域に払出し枚数データをセットし、ホッパーモータ36の駆動信号をオンにする。
たとえば、10枚役が入賞し、10枚のメダルを払い出すときは、RWM53の所定の記憶領域に払出し枚数データとして「10」をセットする。
すなわち、「N」枚(N≧1)のメダルを払い出すときは、RWM53の所定の記憶領域に払出し枚数データとして「N」をセットする。
【0269】
また、ホッパーモータ36の駆動信号がオンになると、ホッパーモータ36は、「停止」した状態から「始動」(駆動を開始)し、「加速」を経て、「定速」に至る。
なお、一の払出し処理の終了時には、次回の払出し処理における最初の排出メダルを保持する保持部102が、第1位置と第2位置との間で停止するようにしているが、次回の払出し処理の開始時には、最初の排出メダルを保持する保持部102が第1位置に到達するまでには、ホッパーモータ36が「定速」に至るようにしている。
すなわち、最初の排出メダルを保持する保持部102が第1位置に到達するまでに、ホッパーモータ36が「定速」に至るように、最初の排出メダルを保持する保持部102の停止位置を設定している。
【0270】
そして、ホッパーモータ36が「停止」から「加速」を経て「定速」に至った後に、最初の排出メダルを保持する保持部102が第1位置に到達するようにすることにより、最初の排出メダルが排出部103から確実に排出されるようにしている。
さらにまた、
図19中の(a)のタイミングでは、払出しセンサ37a及び37bは、いずれもオフである。
なお、
図19中の(a)のタイミングは、第1実施形態(C)における
図7中の(a)の状態に相当する。
【0271】
また、第6実施形態では、払出しセンサ37aは、第1実施形態(C)とは異なり、ローアクティブに設定されている。すなわち、払出しセンサ37aは、可動片39aを検知している状態がオフとなり、可動片39aを検知していない状態がオンとなるように設定されている。
一方、払出しセンサ37bについては、第1実施形態(C)と同様に、ハイアクティブに設定されている。すなわち、払出しセンサ37bは、可動片39aを検知していない状態がオフとなり、可動片39aを検知している状態がオンとなるように設定されている。
このため、第6実施形態では、
図19中の(a)のタイミングでは、払出しセンサ37a及び37bは、いずれもオフとなる。
なお、第6実施形態では、払出しセンサ37aは、ローアクティブに、払出しセンサ37bは、ハイアクティブに、それぞれ設定されているため、第1実施形態(C)における
図8とは、払出しセンサ37a信号の波形がオンオフ逆になる。
【0272】
また、
図19中の(b)のタイミングでは、メダルが可動軸38bを押すことにより可動軸38bが移動し、払出しセンサ37aはオンの状態、かつ、払出しセンサ37bはオフの状態となる。
なお、
図19中の(b)の状態は、第1実施形態(C)における
図7中の(b)の状態に相当する。
さらにまた、
図19中の(c)のタイミングでは、固定軸38aと可動軸38bとの間がメダルの直径より広くなり、払出しセンサ37aはオンの状態、かつ、払出しセンサ37bもオンの状態となる。このとき、固定軸38aと可動軸38bとの間(排出部103)からメダルが排出される。
なお、
図19中の(c)の状態は、第1実施形態(C)における
図7中の(c)の状態に相当する。
【0273】
さらに、
図19中の(d)のタイミングでは、可動軸38bがばね39bに付勢されて元の位置に戻る途中にあり、払出しセンサ37aはオンの状態、かつ、払出しセンサ37bはオフの状態となる。
なお、
図19中の(d)の状態は、第1実施形態(C)における
図7中の(d)の状態に相当する。
また、
図19中の(e)のタイミングでは、可動軸38bがばね39bに付勢されて元の位置に戻り、払出しセンサ37a及び37bは、いずれもオフの状態となる。このとき、メイン制御基板50は、1枚のメダルが排出されたと判断し、払出し枚数データを更新する。
なお、
図19中の(e)の状態は、第1実施形態(C)における
図7中の(a)の状態に相当する。
【0274】
「N」枚のメダルを払い出すときは、「N」枚目のメダルが排出されたと判断するまで、
図19中の(a)〜(e)を繰り返す。
そして、「N」枚目のメダルが排出されたと判断すると、メイン制御基板50は、ホッパーモータ36の駆動信号をオフにする。
また、ホッパーモータ36の駆動信号がオフになると、ホッパーモータ36は、「減速」を経て、「停止」に至る。
これにより、「N」枚のメダルの払出し処理が終了する。
【0275】
図20は、第6実施形態における払出し処理の流れを示すフローチャートである。
メイン制御基板50による払出し処理では、まず、ステップS101において、メダル払出し枚数データをセットする。この処理は、メイン制御基板50のRWM53の所定の記憶領域に、払出し枚数データを記憶する処理である。たとえば、「N」枚(N≧1)のメダルを払い出すときは、払出し枚数データとして「N」を記憶する。そして、次のステップS102に進む。
【0276】
ステップS102では、メイン制御基板50は、ホッパーモータ36の駆動信号をオンにする。ホッパーモータ36の駆動信号がオンになると、ホッパーモータ36が始動する。そして、次のステップS103に進む。
ステップS103では、メイン制御基板50は、払出しセンサ37aがオンか否かを判断する。上述したように、第6実施形態では、払出しセンサ37aは、ローアクティブに設定されており、可動片39aを検知していない状態(可動軸38bがメダルに押されて移動した状態)がオンとなるように設定されている。
【0277】
ステップS103で「Yes」となると、次のステップS104に進み、メイン制御基板50は、払出しセンサ37bがオフか否かを判断する。ここで、ステップS104で「Yes」のときは、次のステップS105に進む。これに対し、ステップS104で「No」のときは、エラーとなる。
ここで、払出しセンサ37aがオフからオンになったときに、払出しセンサ37bが既にオンであると、ステップS104で「No」となる。この場合、排出部103にメダルが詰まっていること(メダル詰まりエラー)が考えられる。また、メダル詰まりエラーとなると、詰まっているメダルを取り除き(エラー要因を除去し)、リセットスイッチを操作するまで、エラーが継続する。そして、詰まっているメダルを取り除き、リセットスイッチを操作すると、エラーが解除される。
【0278】
なお、
図20のフローチャートでは示していないが、ステップS103で「No」が所定時間継続(「No」のまま所定時間を経過)すると、エラーとなる。この場合、ホッパー35内のメダルが空になっていること(ホッパーエンプティエラー)が考えられる。また、ホッパーエンプティーエラーとなると、ホッパー35内にメダルを補充し(エラー要因を除去し)、リセットスイッチを操作するまで、エラーが継続する。そして、ホッパー35内にメダルを補充し、リセットスイッチを操作すると、エラーが解除される。
ステップS105では、メイン制御基板50は、再び、払出しセンサ37aがオンか否かを判断する。ここで、ステップS105で「Yes」のときは、次のステップS106に進む。これに対し、ステップS105で「No」のときは、ステップS104で「No」のときと同様に、エラーとなる。
【0279】
ステップS106では、メイン制御基板50は、払出しセンサ37bがオンか否かを判断する。そして、ステップS106で「Yes」となると、次のステップS107に進み、メイン制御基板50は、再び、払出しセンサ37aがオンか否かを判断する。ここで、ステップS107で「Yes」のときは、次のステップS108に進む。これに対し、ステップS107で「No」のときは、ステップS104又はS105で「No」のときと同様に、エラーとなる。
【0280】
ステップS108に進むと、メイン制御基板50は、今度は、払出しセンサ37bがオフか否かを判断する。そして、ステップS108で「Yes」となると、次のステップS109に進み、メイン制御基板50は、払出しセンサ37aがオフか否かを判断する。また、ステップS109で「Yes」となると、ステップS110に進み、メイン制御基板50は、払出しセンサ37bがオフか否かを判断する。
ステップS110で「Yes」のときは、次のステップS111に進む。これに対し、ステップS110で「No」のときは、ステップS104、S105又はS107で「No」のときと同様に、エラーとなる。
【0281】
ステップS111では、メイン制御基板50は、払出し枚数データを更新する。この処理は、RWM53の所定の記憶領域に記憶されている払出し枚数データから「1」を減算し、減算後のデータを新たな払出し枚数データとして記憶する処理である。
次のステップS112では、メイン制御基板50は、払出し枚数データが「0」か否かを判断する。ここで、ステップS112で「Yes」のときは、次のステップS113に進み、メイン制御基板50は、ホッパーモータ36の駆動信号をオフにする。ホッパーモータ36の駆動信号がオフになると、ホッパーモータ36が停止する。そして、本フローチャートによる払出し処理を終了する。これに対し、ステップS112で「No」のときは、ステップS103に戻る。これにより、次のメダルが払い出されることとなる。そして、ステップS112からS103に戻る処理が、払出し枚数データが「0」になるまで繰り返される。
【0282】
ここで、排出部103から排出されたメダルは、通常は、メダルシュートと称する通路を通って、メダル受け皿に案内される。
しかし、稀に、排出部103から排出されたメダルが、メダルシュートの内壁に当たって跳ね返り、排出部103に戻ってきてしまうことがある。このとき、跳ね返ったメダルが、次に排出部103から排出されようとしているメダルに当たり、この排出されようとしているメダルを押し戻してしまうことがある。
【0283】
そこで、第6実施形態では、
図20の払出し処理のフローチャートにおけるステップS103〜S110のように、払出しセンサ37a及び37bのオン/オフを、「払出しセンサ37a」→「払出しセンサ37b」の順に繰り返し判断する。
これにより、排出部103から排出されようとしているメダルが押し戻されてしまうようなエラーを検知可能としている。
【0284】
たとえば、一のメダルが排出されようとしており、このメダルが可動軸38bを押すことにより可動軸38bが移動し、払出しセンサ37aはオンの状態、かつ、払出しセンサ37bはオフの状態となったとする(
図19中の(b)のタイミング)。このとき、このメダルの前に払い出されたメダルが跳ね返ってきてこのメダルに当たり、このメダルが押し戻されて、払出しセンサ37aがオフになったとする。この場合、
図20のステップS105で「No」となり、エラーとなる。
また、たとえば、
図19中の(c)のタイミングでメダルが押し戻されて、払出しセンサ37aがオフになったとする。この場合、
図20のステップS107で「No」となり、エラーとなる。
【0285】
<第6実施形態の変形例>
以上、本発明の第6実施形態について説明したが、本発明は、上述した内容に限定されるものではなく、たとえば以下のような種々の変形が可能である。
(1)第6実施形態では、ホッパーディスク101に8個の保持部102を設けたが、保持部は8個に限らず、たとえば、5個や6個や10個等、ホッパーディスク101の大きさに応じて適宜設定することができる。
(2)第6実施形態では、ホッパーディスク101を円盤状に形成したが、これに限らず、たとえば、ホッパーディスク101をスプロケット状に形成してもよい。すなわち、保持部102は、メダルを保持可能であれば、円孔状に限らない。
【0286】
(3)第6実施形態では、メダルの払出し処理時におけるホッパーディスク101の回転方向は時計回りとしたが、これに限らず、たとえば、ホッパーディスク101が反時計回りに回転して、保持部102に保持されているメダルが排出部103から順次排出されるようにしてもよい。
(4)第6実施形態では、ホッパーモータ36としてDCモータ(直流モータ)を用いたが、これに限らず、たとえば、ホッパーモータ36としてステッピングモータを用いてもよい。
【0287】
(5)第6実施形態における払出し処理の流れは、
図20のフローチャートに示す流れに限らず、たとえば、
図21のフローチャートに示す流れとしてもよい。このような払出し処理の流れにしても、メダルの排出を検知できる。ただし、このような払出し処理の流れでは、メダルシュートの内壁で跳ね返ったメダルによって、次に排出されようとしているメダルが押し戻されるようなエラーを検知することはできない。
なお、
図20と
図21とで、同一の内容の処理については、同一のステップ番号を付している。
(6)第1〜第6実施形態、及び第1〜第6実施形態で示した各種の変形例は、単独で実施されることに限らず、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0288】
<第7実施形態>
キャビネット13の内部に取り付けられたメイン制御基板50と、フロントドア12の裏面に取り付けられたサブ制御基板80との配置に関するものである。
図22は、フロントドア12を閉じた状態におけるスロットマシン10の側断面図であり、メイン制御基板50とサブ制御基板80との位置関係を説明するための図である。
【0289】
スロットマシン10の筐体は、前面側が開口する箱形のキャビネット13と、キャビネット13の開口を開閉可能に取り付けられているフロントドア12とを備えている。
また、キャビネット13は、底板13a、背板13b、右側板、左側板、及び天板等を組み立てることにより、前面側が開口する箱形に構成されている。
さらにまた、キャビネット13の内部下方(底板13aの上)には、メダル払出し装置15が配置されている。このメダル払出し装置15は、メダルを払い出すためのものであり、メダルを貯留するホッパー35と、ホッパー35の底部に設けられているホッパーディスク101と、ホッパーディスク101を回転させるホッパーモータ36とを備えている。
【0290】
さらに、キャビネット13の内部における、メダル払出し装置15より上方には、背板13b、右側板、及び左側板に支持された板状のリールベース110が設けられ、このリールベース110の上に、図柄表示装置14が配置されている。
また、図柄表示装置14は、四角枠形のリールフレーム14aを備え、このリールフレーム14aの内側に、3個のリール31が並設されている。
【0291】
さらにまた、各リール31の回転中心部には、それぞれモータ32が連結され、各モータ32は、それぞれリールブラケットに固定され、各リールブラケットは、それぞれリールフレーム14aに支持されている。
さらに、リールフレーム14aの上には、透明なリール基板ケース121が配置され、このリール基板ケース121内に、リール制御基板120が収容されている。このリール制御基板120は、3個のモータ32の駆動を制御するものである。
【0292】
また、キャビネット13の内部における、図柄表示装置14より上方には、透明なメイン基板ケース56が配置されている。より具体的には、メイン基板ケース56は、キャビネット13の背板13bの前面側(筐体の内面側)における、図柄表示装置14より上方に相当する位置に固定されている。そして、メイン基板ケース56内に、メイン制御基板50が収容されている。
また、メイン制御基板50は、遊技の進行を制御するものであり、入力ポート51、出力ポート52、RWM53、ROM54、メインCPU55等を備えている。さらに、メイン制御基板50には、入力ポート51又は出力ポート52を介して、ベットスイッチ40、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42、図柄表示装置14、メダル払出し装置15、リール制御基板120、サブ制御基板80等が電気的に接続されている。
【0293】
また、フロントドア12は、キャビネット13の前面側の開口を覆うようにして、キャビネット13の開口を開閉可能に取り付けられている。より具体的には、フロントドア12の左側部は、ヒンジを介して、キャビネット13の左側板の前面側に取り付けられている。そして、このヒンジを中心としてフロントドア12が回動することにより、キャビネット13の前面側の開口が開閉可能となるように構成されている。
【0294】
また、フロントドア12の中央部には、透明な表示窓が設けられている。この表示窓は、図柄表示装置14の前方に相当する位置に配置されている。そして、遊技者は、表示窓を通して、図柄表示装置14の各リール31に付された3個の図柄をそれぞれ視認することができる。
また、フロントドア12の前面側(遊技者側)であって、表示窓の下方には、ベットスイッチ40、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42、精算スイッチ43、メダル投入口47等が配置されている。
【0295】
さらにまた、フロントドア12の前面側(遊技者側)の下部には、メダル払出し装置15から払い出されたメダルが通る開口であるメダル払出し口と、メダル払出し口から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿とが配置されている。
さらに、フロントドア12の前面側(遊技者側)の上部には、演出ランプ21、スピーカ22、画像表示装置23等が配置されている。
【0296】
また、フロントドア12の裏面の上部には、透明なサブ基板ケース87が配置されている。より具体的には、サブ基板ケース87は、フロントドア12の裏面側(筐体の内面側)であって、図柄表示装置14より上方、かつ画像表示装置23の裏側に相当する位置に固定されている。そして、サブ基板ケース87内に、サブ制御基板80が収容されている。
また、サブ制御基板80は、演出を制御するものであり、入力ポート81、出力ポート82、RWM83、ROM84、サブCPU85、電解コンデンサ86等を備えている。また、サブ制御基板80には、入力ポート81又は出力ポート82を介して、演出ランプ21、スピーカ22、画像表示装置23、メイン制御基板50等が電気的に接続されている。そして、サブ制御基板80は、メイン制御基板50から受信した制御コマンドに基づいて、どのようなタイミングで、どのような演出を出力するかを決定し、その決定に従い、演出ランプ21、スピーカ22、画像表示装置23の出力を制御する。
【0297】
上述したように、キャビネット13の内部における、図柄表示装置14より上方には、メイン基板ケース56が配置され、このメイン基板ケース56内に、メイン制御基板50が収容されている。
また、フロントドア12の裏面における、図柄表示装置14より上方には、サブ基板ケース87が配置され、このサブ基板ケース87内に、サブ制御基板80が収容されている。
そして、
図22に示すように、フロントドア12を閉じた状態では、メイン制御基板50とサブ制御基板80とは対向するように配置されている。
また、フロントドア12を閉じた状態における、メイン制御基板50とサブ制御基板80との距離は、リール制御基板120の奥行き方向の幅より広く設定されている。
【0298】
ここで、サブ制御基板80上には、蓄電用の電解コンデンサ86が配置されている。また、電解コンデンサ86内には、電解液が充填されている。そして、このサブ制御基板80上の電解コンデンサ86が不具合により破裂すると、充填されている電解液が飛散するおそれがある。このとき、メイン制御基板50上のメインCPU55と対向する位置に、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86が配置されていると、この電解コンデンサ86が不具合により破裂したときに、飛散した電解液がメインCPU55に付着して、メインCPU55が誤作動を起こす可能性を有する。また、電解コンデンサ86が破裂したときの衝撃により、メインCPU55が破損してしまう可能性も有する。
【0299】
そこで、第7実施形態では、サブ制御基板80における、メインCPU55と対向する位置以外の位置に、電解コンデンサ86を配置している。
これにより、不具合により電解コンデンサ86が破裂して、電解液が飛散しても、飛散した電解液がメインCPU55に付着しないようにすることができ、ひいてはメインCPU55が誤作動を起こさないようにすることができる。また、電解コンデンサ86が破裂したときの衝撃により、メインCPU55が破損しないようにすることができる。
また、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86を、メイン制御基板50上のメインCPU55と対向する位置に配置すると、電解コンデンサ86からのノイズによりメインCPU55が誤作動を起こす可能性を有するが、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86を、メイン制御基板50上のメインCPU55と対向する位置以外の位置に配置することにより、電解コンデンサ86からのノイズによってメインCPU55が誤作動を起こすのを防止することができる。
【0300】
図23(a)は、フロントドア12を閉じた状態で、スロットマシン10を正面視したときにおける、メイン制御基板50上のメインCPU55と、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86との位置関係の例1を示す図である。
図23(a)中、破線で示す円は、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86を、メイン制御基板50上に投影したものである。
【0301】
図23(a)に示す例1では、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86は、1個であり、垂直方向では、メイン制御基板50上のメインCPU55より上方に配置され、水平方向では、メイン制御基板50上のメインCPU55より左側に配置されている。
このように、メイン制御基板50上のメインCPU55に対して、垂直方向及び水平方向のいずれにおいても異なる位置に、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86を配置することにより、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86の位置を、メイン制御基板50上のメインCPU55と対向する位置以外の位置とすることができる。
【0302】
<第7実施形態の変形例>
以上、本発明の第7実施形態について説明したが、本発明は、上述した内容に限定されるものではなく、たとえば以下のような種々の変形が可能である。
(1)サブ制御基板80上の電解コンデンサ86の個数は、1個に限られるものではなく、たとえば、
図23(b)に示すように、2個としてもよい。
図23(b)は、フロントドア12を閉じた状態で、スロットマシン10を正面視したときにおける、メイン制御基板50上のメインCPU55と、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86との位置関係の例2を示す図である。
【0303】
図23(b)においても、
図23(a)と同様に、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86をメイン制御基板50上に投影したものを、破線で示している。
図23(b)中、左上の電解コンデンサ86及び右下の電解コンデンサ86は、いずれも、メイン制御基板50上のメインCPU55に対して、垂直方向及び水平方向ともに異なる位置に配置されている。
これにより、
図23(b)の例2においても、サブ制御基板80上の2個の各電解コンデンサ86は、メイン制御基板50上のメインCPU55と対向する位置以外の位置に配置されている。
【0304】
(2)サブ制御基板80上の電解コンデンサ86の個数は、たとえば、
図24(c)に示すように、4個としてもよい。
図24(c)は、フロントドア12を閉じた状態で、スロットマシン10を正面視したときにおける、メイン制御基板50上のメインCPU55と、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86との位置関係の例3を示す図である。
サブ制御基板80上の電解コンデンサ86をメイン制御基板50上に投影して破線の円で示していることは、
図23(a)及び(b)と同様である。
【0305】
図24(c)では、サブ制御基板80は、4個の電解コンデンサ86を備えており、そのうち3個は、メイン制御基板50上のメインCPU55に対して、垂直方向及び水平方向ともに異なる位置に配置されている。また、残りの1個の電解コンデンサ86は、メイン制御基板50上のメインCPU55に対して、水平方向は異なるが、垂直方向は同一の位置に配置されている。
このような配置であっても、サブ制御基板80上の4個の電解コンデンサ86は、メイン制御基板50上のメインCPU55と対向する位置以外の位置となっている。
【0306】
(3)サブ制御基板80上の電解コンデンサ86は、たとえば、メイン制御基板50から外れた位置に配置してもよい。
図24(d)は、フロントドア12を閉じた状態で、スロットマシン10を正面視したときにおける、メイン制御基板50上のメインCPU55と、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86との位置関係の例4を示す図である。
サブ制御基板80上の電解コンデンサ86を投影して破線の円で示していることは、
図23(a)、(b)及び
図24(c)と同様である。
【0307】
図24(d)では、
図23(a)と同様に、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86の個数は1個であるが、
図23(a)と異なり、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86が、メイン制御基板50から外れた位置に配置されている。
このように、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86が、メイン制御基板50から外れた位置に配置されているときも、メイン制御基板50上のメインCPU55と対向する位置以外の位置に配置されていることとなる。
【0308】
そして、
図23(a)、(b)、
図24(c)及び(d)に示すように、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86を、メイン制御基板50上のメインCPU55と対向する位置以外の位置に配置することにより、不具合により電解コンデンサ86が破裂して、電解液が飛散しても、飛散した電解液がメインCPU55に付着しないようにすることができ、ひいてはメインCPU55が誤作動を起こさないようにすることができる。
【0309】
(4)第2実施形態の
図9及び
図10に示すように、メイン制御基板50上には、管理情報表示LED74(「役比モニタ」とも称される。)が配置されている。この管理情報表示LED74は、有利区間比率、連続役物比率、役物比率等の管理情報を表示するものである。
また、「有利区間比率」とは、全遊技区間(通常区間+待機区間+有利区間)に対する有利区間の占める割合を意味し、「連続役物比率」とは、全メダル獲得数に対する、第一種特別役物(RB)の作動時におけるメダル獲得数の比率を意味し、「役物比率」とは、全メダル獲得数に対する、役物作動時におけるメダル獲得数の比率を意味する。
【0310】
そして、サブ制御基板80上の電解コンデンサ86を、メイン制御基板50上のメインCPU55と対向する位置以外の位置であり、かつ管理情報表示LED74と対向する位置以外の位置に配置するようにしてもよい。
これにより、不具合により電解コンデンサ86が破裂して、電解液が飛散しても、飛散した電解液が管理情報表示LED74に付着しないようにすることができ、ひいては管理情報表示LED74に表示される管理情報が確認不能にならないようにすることができる。
また、電解コンデンサ86が破裂したときの衝撃により、管理情報表示LED74が破損しないようにすることができる。
(5)第1〜第7実施形態、及び第1〜第7実施形態で示した各種の変形例は、単独で実施されることに限らず、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0311】
<第8実施形態>
第8実施形態は、スロットマシン10の筐体下部におけるキャビネット13とフロントドア12との間の間隙に関するものである。
図25は、フロントドア12を閉じた状態におけるスロットマシン10の筐体下前部(
図22のA部)の側断面拡大図であり、キャビネット13とフロントドア12との間の間隙について説明する図である。
【0312】
図25に示すように、キャビネット13の下部には、フロントドア12を閉じた状態ではフロントドア12方向へ向けて突出している第1閉塞部13cが設けられている。
すなわち、第1閉塞部13cは、キャビネット13の底板13aの前端部から前方へ向けて突出している板状の突出部であり、フロントドア12を閉じた状態では、第1閉塞部13cの突出方向が、フロントドア12方向となるものである。
また、第1閉塞部13cは、キャビネット13の底板13a前端部の右端から左端まで至る横長に形成されている。
さらにまた、第1閉塞部13cは、板金によって形成されており、ビスによってキャビネット13の底板13aの前端部に固定されている。
【0313】
また、
図25に示すように、フロントドア12の下部における、第1閉塞部13cより下方の位置には、フロントドア12を閉じた状態ではキャビネット13方向へ向けて突出している第2閉塞部12aが設けられている。
すなわち、第2閉塞部12aは、フロントドア12の裏面下部から後方へ向けて突出している板状の突出部であり、フロントドア12を閉じた状態では、第2閉塞部12aの突出方向が、キャビネット13方向となるものである。
【0314】
また、第2閉塞部12aは、第1閉塞部13cより下方の位置に配置されている。
さらにまた、第2閉塞部12aは、フロントドア12の裏面下部の右端から左端まで至る横長に形成されている。
さらに、第2閉塞部12aも、第1閉塞部13cと同様に、板金によって形成されており、ビスによってフロントドア12の裏面下部に固定されている。
【0315】
また、
図25に示すように、フロントドア12の下部における、第1閉塞部13cより上方の位置には、フロントドア12を閉じた状態ではキャビネット13方向へ向けて突出している第3閉塞部12bが設けられている。
すなわち、第3閉塞部12bは、第2閉塞部12aと同様に、フロントドア12の裏面下部から後方へ向けて突出している板状の突出部であり、フロントドア12を閉じた状態では、第3閉塞部12bの突出方向が、キャビネット13方向となるものである。
【0316】
また、第3閉塞部12bは、第2閉塞部12aと同様に、フロントドア12の裏面下部の右端から左端まで至る横長に形成されている。
さらにまた、第3閉塞部12bは、第2閉塞部12aとは異なり、第1閉塞部13cより上方の位置に配置されている。
さらに、第3閉塞部12bも、第1閉塞部13c及び第2閉塞部12aと同様に、板金によって形成されており、ビスによってフロントドア12の裏面下部に固定されている。
【0317】
そして、フロントドア12を閉じた状態では、第2閉塞部12aと第3閉塞部12bとの間に第1閉塞部13cが配置されるように形成されている。
このため、フロントドア12を閉じた状態では、筐体下部におけるキャビネット13とフロントドア12との間の間隙は、
図25に示すように、「コ」の字の左右を反転させたように屈曲した形状となる。これにより、キャビネット13とフロントドア12との間の間隙から筐体内部に針金を通す等してメダル払出し装置15等にアクセスする不正行為(ゴト行為)を防止することができる。
【0318】
また、キャビネット13の左側板の前面側には、フロントドア12の開放を検知するドアセンサが設けられている。このドアセンサは、受発光部を有する光学センサを用いて構成されており、メイン制御基板50と電気的に接続されている。
さらにまた、キャビネット13の左側板の前面側には、フロントドア12の開閉によって前後方向に移動可能とされている検知片が設けられている。この検知片は、フロントドア12を閉じた状態では、フロントドア12によって後方に押し込まれ、フロントドア12を開けた状態では、ばねに付勢されることによって前方に飛び出す。
【0319】
さらに、フロントドア12を閉じた状態では、検知片は、フロントドア12によって後方に押し込まれて、ドアセンサ内に入り込む。このとき、ドアセンサは、検知片を検知している状態となり、オフ状態となる。すなわち、ドアセンサは、ローアクティブに設定されている。
これに対し、フロントドア12を開けた状態では、検知片は、ばねに付勢されることによって前方に飛び出して、ドアセンサ内から外に出る。このとき、ドアセンサは、検知片を検知していない状態となり、オン状態となる。
【0320】
そして、メイン制御基板50は、ドアセンサがオフ状態のときは、フロントドア12が閉じた状態であると判断し、ドアセンサがオン状態のときは、フロントドア12が開いた状態であると判断する。
このように、フロントドア12の開閉によって検知片が前後方向に移動し、ドアセンサがオン/オフされることにより、フロントドア12の開閉を検知する。
【0321】
また、フロントドア12を閉じた状態から開けると、検知片が押し込まれた状態から前方に移動し、ドアセンサ内に入り込んだ状態からから外に出て、ドアセンサがオフ状態からオン状態になる。
そして、ドアセンサがフロントドア12の開放を最初に検知するときのフロントドア12の位置を「検知開始位置」と称する。
また、ドアセンサがフロントドア12の開放を最初に検知するときとは、ドアセンサがオフ状態からオン状態になる瞬間を意味する。
【0322】
そして、第8実施形態では、フロントドア12を閉じた状態のみならず、フロントドア12が検知開始位置にある状態でも、第2閉塞部12aと第3閉塞部12bとの間に第1閉塞部13cが配置されているように形成されている。
すなわち、フロントドア12を閉じた状態から開け、ドアセンサがオフ状態からオン状態になる瞬間においても、第2閉塞部12aと第3閉塞部12bとの間に第1閉塞部13cが配置されているように形成されている。
【0323】
このため、フロントドア12を閉じた状態から開けると、まず、ドアセンサがオフ状態からオン状態になり、その後、第2閉塞部12aと第3閉塞部12bとの間から第1閉塞部13cが抜けることになる。
そして、ドアセンサがオン状態になると、メイン制御基板50は、フロントドア12が開いた状態であると判断して、ドア開放コマンドをサブ制御基板80に送信し、サブ制御基板80は、ドア開放コマンドを受信すると、スピーカ22及び画像表示装置23等により、フロントドア12が開いている旨を報知する。これにより、フロントドア12が開いている旨をホールの店員に知らせることができる。
【0324】
したがって、フロントドア12が開いている旨の報知が開始される前に、第2閉塞部12aと第3閉塞部12bとの間から第1閉塞部13cが抜けることはなく、フロントドア12が開いている旨の報知が開始される位置においても、キャビネット13とフロントドア12との間の間隙は屈曲した形状であるので、キャビネット13とフロントドア12との間の間隙から筐体内部に針金を通す等してメダル払出し装置15等にアクセスする不正行為(ゴト行為)を防止することができる。
【0325】
なお、第6実施形態において、最初の排出メダルを保持する保持部102を、第1位置と第2位置との間で停止させることにより、ホッパーディスク101における隣り合う2つの保持部102の間に相当する部分を、排出部103の正面に位置させることができ、これにより、メダル払出し口から針金等を挿入してホッパーディスク101の保持部102にアクセスする不正行為を防止することができる旨を説明したが、第6及び第8実施形態の双方の構成を備えることにより、針金等を挿入してメダル払出し装置15にアクセスする不正行為をより強固に防止することができる。
【0326】
ここで、第1閉塞部13cと第2閉塞部12aとの距離を「h1」とし、第1閉塞部13cと第3閉塞部12bとの距離を「h2」とし、第2閉塞部12aと第3閉塞部12bとの距離を「h3」とし、第2閉塞部12aの突出幅(奥行き)を「w」とする。
また、メダルの直径を「d」とし、メダルの厚さを「t」とする。
なお、一般的なメダルのサイズは、直径が24.5〜25.5mmであり、厚さが1.5〜2.0mmである。
そして、第8実施形態では、第1閉塞部13cと第3閉塞部12bとの距離「h2」とメダルの厚さ「t」との関係については、「h2>t」を満たすように設定されている。
【0327】
ここで、ホールの店員がフロントドア12を開けてホッパー35にメダルを補充するときに、キャビネット13の底板13a上にメダルを落としてしまう場合を有する。
特に、キャビネット13の前面側の開口からホッパー35にメダルを補充するため、キャビネット13の底板13aの前端付近、すなわち、第1閉塞部13c付近にメダルを落としてしまう場合を有する。
【0328】
このとき、「h2>t」を満たすように設定していると、第1閉塞部13c付近にメダルが落ちたまま、フロントドア12を閉じても、第1閉塞部13c付近に落ちたメダルは、第1閉塞部13cと第3閉塞部12bとの間に入り込む。これにより、フロントドア12やキャビネット13が破損することなく、フロントドア12が閉じるようにすることができる。また、第1閉塞部13cと第3閉塞部12bとの間にメダルが挟まって、フロントドア12が閉じなくなってしまうようなこともない。
【0329】
また、第8実施形態では、第2閉塞部12aの突出幅(奥行き)「w」とメダルの直径を「d」との関係については、「w<(d/2)」を満たすように設定されている。
「w<(d/2)」を満たすように設定することにより、第2閉塞部12a上にメダルを載置することができないようにすることができる。
これにより、第2閉塞部12a上にメダルを載置した状態でフロントドア12を閉じるということが起きないようにすることができ、ひいては第2閉塞部12a上に載置されたメダルによってフロントドア12やキャビネット13が破損するということが起きないようにすることができる。
【0330】
<第8実施形態の変形例>
以上、本発明の第8実施形態について説明したが、本発明は、上述した内容に限定されるものではなく、たとえば以下のような種々の変形が可能である。
(1)第8実施形態では、ドアセンサは、受発光部を有する光学センサを用いて構成したが、これに限らず、たとえば、近接センサを用いて構成してもよい。
そして、近接センサを用いてドアセンサを構成した場合にも、フロントドア12を閉じた状態のみならず、フロントドア12が検知開始位置にある状態でも、第2閉塞部12aと第3閉塞部12bとの間に第1閉塞部13cが配置されているように構成する。
【0331】
(2)第8実施形態では、キャビネット13の左側板の前面側に、フロントドア12の開閉によって前後方向に移動可能な検知片を設けた。そして、検知片は、フロントドア12を閉じた状態では、フロントドア12によって後方に押し込まれて、ドアセンサ内に入り込み、フロントドア12を開けた状態では、ばねに付勢されることによって前方に飛び出して、ドアセンサ内から外に出るようにした。しかし、これに限らない。
たとえば、キャビネット13の左側板の前面側に、フロントドア12の開放を検知するドアセンサを設け、フロントドア12におけるドアセンサに対応する位置に、検知片を設けてもよい。そして、フロントドア12を閉じた状態では、フロントドア12に設けた検知片がドアセンサ内に入り込み、フロントドア12を開けた状態では、フロントドア12に設けた検知片がドアセンサ内から外に出るようにしてもよい。
【0332】
(3)第8実施形態では、ドアセンサは、キャビネット13側に設けたが、これに限らず、たとえば、フロントドア12側に設けてもよい。
(4)第8実施形態では、ドアセンサは、検知片を検知している状態では、オフ状態となり、検知片を検知していない状態では、オン状態となるようにした。すなわち、ドアセンサは、ローアクティブに設定した。しかし、これに限らない。
たとえば、第8実施形態とは逆に、ドアセンサは、検知片を検知している状態では、オン状態となり、検知片を検知していない状態では、オフ状態となるようにしてもよい。すなわち、ドアセンサは、ハイアクティブに設定してもよい。
この場合、メイン制御基板50は、ドアセンサがオン状態のときは、フロントドア12が閉じた状態であると判断し、ドアセンサがオフ状態のときは、フロントドア12が開いた状態であると判断するように構成する。
【0333】
(5)第8実施形態では、第1閉塞部13cは、キャビネット13の底板13a前端部の右端から左端まで至る横長に形成した。また、第2閉塞部12a及び第3閉塞部12bは、フロントドア12の裏面下部の右端から左端まで至る横長に形成した。しかし、これに限らない。
たとえば、第1閉塞部13cは、底板13aの右端から中央まで至る第1の部材と、底板13aの中央から左端まで至る第2の部材との2つから構成してもよく、また、3分割した3つの部材から構成してもよい。
第2閉塞部12a及び第3閉塞部12bについても、第1閉塞部13cと同様に、2つの部材から構成してもよく、3つの部材から構成してもよい。
このように、第1閉塞部13c、第2閉塞部12a及び第3閉塞部12bは、1つの部材から構成される場合に限らず、複数の部材から構成してもよい。
【0334】
また、第1閉塞部13cがキャビネット13の底板13a前端部の右端から左端までは至らず、たとえば、キャビネット13の底板13a前端部の右端付近や左端付近等に第1閉塞部13cが設けられていない部分を一部有していてもよい。
同様に、フロントドア12の裏面下部において、第2閉塞部12a及び第3閉塞部12bが設けられていない部分を一部有していてもよい。
このように、第1閉塞部13c、第2閉塞部12a、第3閉塞部12bが設けられていない部分を一部有していても、キャビネット13とフロントドア12との間隙から筐体内部に針金を通す等してメダル払出し装置15等にアクセスする不正行為を防止することができる。
また、第1閉塞部13cは、キャビネット13の底板13aの一部としてもよく、キャビネット13の底板13aとは別部材としてもよい。
同様に、第2閉塞部12a及び第3閉塞部12bは、フロントドア12の一部としてもよく、フロントドア12とは別部材としてもよい。
【0335】
(6)第8実施形態では、フロントドア12を閉じた状態では、第2閉塞部12aと第3閉塞部12bとの間に第1閉塞部13cが配置されるように形成されている。
このとき、第1閉塞部13cと第2閉塞部12aとの間に間隙ができるようにしてもよく、第1閉塞部13cと第2閉塞部12aとが接するようにしてもよい。
同様に、第1閉塞部13cと第3閉塞部12bとの間に間隙ができるようにしてもよく、第1閉塞部13cと第3閉塞部12bとが接するようにしてもよい。
また、第2閉塞部12aと第3閉塞部12bとの間に、第1閉塞部13cの全部が配置されるようにしてもよく、第1閉塞部13cの一部が配置されるようにしてもよい。
【0336】
さらにまた、フロントドア12を閉じた状態で、第1閉塞部13cが、フロントドア12の裏面における第2閉塞部12aと第3閉塞部12bとの間に相当する位置に接するようにしてもよい。
さらに、第8実施形態とは逆に、フロントドア12側に第1閉塞部13cを設けるとともに、キャビネット13側に第2閉塞部12a及び第3閉塞部12bを設けてもよい。
すなわち、フロントドア12の裏面下部からキャビネット13方向へ向けて突出する第1閉塞部13cを設け、キャビネット13の底板13a前端部における第1閉塞部13cより下方の位置からフロントドア12方向へ向けて突出する第2閉塞部12aを設け、キャビネット13の底板13a前端部における第1閉塞部13cより上方の位置からフロントドア12方向へ向けて突出する第3閉塞部12bを設けてもよい。
【0337】
(7)第8実施形態では、第1閉塞部13cと第3閉塞部12bとの距離「h2」とメダルの厚さ「t」との関係について、「h2>t」を満たすように設定した。
しかし、これに限らず、たとえば、「h2<t」を満たすように設定してもよい。
「h2>t」を満たすように設定すると、第1閉塞部13c付近にメダルが落ちた状態でフロントドア12を閉じたときに、第1閉塞部13c付近に落ちたメダルは、第3閉塞部12bの後端部に当たって、キャビネット13内に押し込まれる。これにより、フロントドア12やキャビネット13が破損することなく、フロントドア12が閉じるようにすることができる。また、第1閉塞部13cと第3閉塞部12bとの間にメダルが挟まって、フロントドア12が閉じなくなってしまうようなこともない。
【0338】
(8)第8実施形態では、第2閉塞部12aの突出幅(奥行き)「w」とメダルの直径を「d」との関係について、「w<(d/2)」を満たすように設定した。
しかし、これに限らず、たとえば、「(d/2)<w<d」を満たすように設定してもよい。
「(d/2)<w」を満たすことにより、第2閉塞部12a上にメダルを載置可能となる。また、「w<d」を満たすことにより、第2閉塞部12a上にメダルを載置した状態でフロントドア12を閉じようとしても、フロントドア12が閉じる前に、第2閉塞部12a上に載置したメダルがキャビネット13の前端部に当たるため、フロントドア12が閉じない。
これにより、第2閉塞部12a上にメダルが載置されていることがホールの店員にわかるようにすることができ、ひいては第2閉塞部12a上に載置されているメダルをホールの店員に取り除かせてフロントドア12を閉じるようにすることができる。
【0339】
(9)第2閉塞部12aの突出幅(奥行き)「w」とメダルの直径を「d」との関係、及び第1閉塞部13cと第2閉塞部12aとの距離「h1」とメダルの厚さ「t」との関係について、「(d/2)<w」かつ「h1<t」を満たすように設定してもよい。
上述したように、「(d/2)<w」を満たすことにより、第2閉塞部12a上にメダルを載置可能となる。また、「h1<t」を満たすことにより、第2閉塞部12a上にメダルを載置した状態でフロントドア12を閉じようとしても、フロントドア12が閉じる前に、第2閉塞部12a上に載置したメダルが第1閉塞部13cの前端部に当たるため、フロントドア12が閉じない。
これにより、第2閉塞部12a上にメダルが載置されていることがホールの店員にわかるようにすることができ、ひいては第2閉塞部12a上に載置されているメダルをホールの店員に取り除かせてフロントドア12を閉じるようにすることができる。
【0340】
(10)第2閉塞部12aの突出幅(奥行き)「w」とメダルの直径を「d」との関係、及び第1閉塞部13cと第2閉塞部12aとの距離「h1」とメダルの厚さ「t」との関係について、「d<w」かつ「h1>t」を満たすように設定してもよい。
「d<w」を満たすことにより、メダル全体が第2閉塞部12a上に載置可能となる。すなわち、メダルの一部が第2閉塞部12aからはみ出すことなく、第2閉塞部12a上にメダルが載置可能となる。また、「h1>t」を満たすことにより、第1閉塞部13cと第2閉塞部12aとの間にメダルが挿入可能となる。
【0341】
このため、第2閉塞部12a上にメダルを載置した状態でフロントドア12を閉じると、第1閉塞部13cと第2閉塞部12aとの間にメダルが収まった状態でフロントドア12が閉じることになる。これにより、フロントドア12やキャビネット13が破損することなく、フロントドア12が閉じるようにすることができる。また、第2閉塞部12a上に載置されたメダルが第1閉塞部13cやキャビネット13の前端部に当たってフロントドア12が閉じなくなってしまうようなこともない。
(11)第1〜第8実施形態、及び第1〜第8実施形態で示した各種の変形例は、単独で実施されることに限らず、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0342】
<第9実施形態>
第9実施形態は、メイン制御基板50側でのリール31の停止制御と、サブ制御基板80側での演出の出力の制御とに関するものである。
図26(a)は、特別役(役物)の種類及び終了条件を示す図であり、
図26(b)は、遊技状態の種類及び各遊技状態の規定数を示す図であり、
図26(c)は、設定1における内部抽せん及び有利区間抽せんの置数表を示す図である。
【0343】
図26(a)に示すように、第9実施形態では、特別役(役物)として、BB(第一種役物連続作動装置;第一種ビッグボーナス)、RB(第一種特別役物;レギュラーボーナス)、及びMB(第二種役物連続作動装置;第二種ビッグボーナス)の3つを備えている。
ここで、BBは、RBを連続して作動させることができる装置である。すなわち、BB遊技中は、RB遊技が連続して実行される。また、RB遊技中は、小役の当選確率が高くなる。さらにまた、RB遊技中のメダルの払出し枚数が100枚を超えると、RB遊技が終了する。さらに、BB遊技中のメダルの払出し枚数が250枚を超えると、BB遊技が終了する。
【0344】
また、MBは、CB(第二種特別役物)を連続して作動させることができる装置である。すなわち、MB遊技中は、CB遊技が連続して実行される。さらにまた、CB遊技中は、役抽選手段61による抽選結果にかかわらず、すべての小役に重複当選した状態になるとともに、特定のリール31(たとえば、左リール31)について、ストップスイッチ42が操作された瞬間からリール31が停止するまでの時間が75ms以内(最大移動コマ数が1コマ)になる。さらに、CB遊技は、1遊技で終了し、MB遊技中のメダルの払出し枚数が14枚を超えると、MB遊技が終了する。
【0345】
また、
図26(b)に示すように、第9実施形態では、遊技状態として、非RT、RT、RB内部中、BB内部中、RB遊技、BB遊技、及びMB遊技の7つを備えている。そして、メイン制御基板50は、これらの遊技状態の移行を制御する。
ここで、「規定数」とは、スタートスイッチ41が操作可能(遊技開始可能)となるメダルの投入枚数を意味する。第9実施形態では、MB中の規定数は「1」に設定され、MB中以外の遊技状態での規定数は「3」に設定されている。
【0346】
また、「RT」とは、抽選対象となる条件装置(役物、リプレイ、小役)の種類(数)及びその当選確率が特有の抽選状態であることを意味する。
さらにまた、「非RT」とは、RTの概念に含まれないという意味ではなく、抽選対象となる条件装置の種類及びその当選確率がRTとは異なることを意味する。
いずれかの遊技状態において、RTの開始条件を満たすと、次回遊技から、RTに移行し、RTにおいて、RTの終了条件を満たすと、次回遊技から、非RTに移行する。
【0347】
また、特別役に当選したときは、当選した特別役に対応する図柄組合せが有効ラインに停止するまで、特別役の当選情報を次回遊技に持ち越す。
そして、特別役に当選していない遊技を「非内部中」といい、特別役に当選したが、当選した特別役に対応する図柄組合せが有効ラインに停止していないとき、すなわち特別役の当選情報を持ち越している遊技を「内部中」という。
【0348】
また、ストップスイッチ42が操作された瞬間からリール31が停止するまでの間(最大移動コマ数)に、有効ラインに停止表示させたい所望の図柄を有効ラインに停止させることができる確率を「引込み率(PB)」という。
そして、適切なリール31の位置で(対象図柄を最大移動コマ数の範囲内において有効ラインに停止可能な操作タイミングで)ストップスイッチ42を操作しなければ、対象図柄を有効ラインに停止させる(有効ラインまで引き込む)ことができないことを「PB≠1」と称する。
これに対し、ストップスイッチ42が操作された瞬間のリール31がどの位置であっても(ストップスイッチ42の操作タイミングにかかわらず)、対象図柄を常に有効ラインに停止させる(引き込む)ことができることを「PB=1」と称する。
【0349】
また、BBに当選し、BBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止(BBが入賞)すると、今回遊技におけるメダルの払出しはないが、次回遊技から、BB遊技を開始する。BB遊技中は、RB遊技が連続して実行されることにより、小役の当選確率が高くなる。そして、BB遊技中のメダルの払出し枚数が250枚を超えると、BB遊技を終了し、次回遊技から、BB遊技に移行する前の遊技状態に戻る。
さらにまた、BBに当選したが、BBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止しないと、BBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止するまで、BBの当選情報を次回遊技に持ち越す。BBの当選情報を持ち越している遊技状態を「BB内部中」という。
なお、BB内部中への移行タイミングは、適宜設定することができる。たとえば、BBに当選した当該遊技で、すべてのリール31の停止後に、BB内部中に移行させてもよく、また、BBに当選した当該遊技ではBB内部中に移行させず、次回遊技でBB内部中に移行させてもよい。
【0350】
また、RBに当選し、RBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止(RBが入賞)すると、今回遊技におけるメダルの払出しはないが、次回遊技から、RB遊技を開始する。RB遊技中は、小役の当選確率が高くなる。そして、RB遊技中のメダルの払出し枚数が100枚を超えると、RB遊技を終了し、次回遊技から、RB遊技に移行する前の遊技状態に戻る。
さらにまた、RBに当選したが、RBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止しないと、RBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止するまで、RBの当選情報を次回遊技に持ち越す。RBの当選情報を持ち越している遊技状態を「RB内部中」という。
なお、RB内部中への移行タイミングは、BB内部中への移行タイミングと同様に、適宜設定することができる。たとえば、RBに当選した当該遊技で、すべてのリール31の停止後に、RB内部中に移行させてもよく、また、RBに当選した当該遊技ではRB内部中に移行させず、次回遊技でRB内部中に移行させてもよい。
【0351】
また、MBに当選し、MBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止(MBが入賞)すると、今回遊技におけるメダルの払出しはないが、次回遊技から、MB遊技を開始する。MB遊技中は、CB遊技が連続して実行される。そして、MB遊技中のメダルの払出し枚数が14枚を超えると、MB遊技を終了し、次回遊技から、MB遊技に移行する前の遊技状態に戻る。
【0352】
さらにまた、MBに当選したが、MBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止しないと、MBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止するまで、MBの当選情報を次回遊技に持ち越す。MBの当選情報を持ち越している遊技状態を「MB内部中」という。
なお、第9実施形態では、MBに対応する図柄組合せは、「PB=1」に設定されているため、MBに当選すると、今回遊技でMBに対応する図柄組合せが常に有効ラインに停止するので、MB内部中となることはない。
【0353】
また、第9実施形態の条件装置(役)は、大別して、特別役(役物)、リプレイ(再遊技役)、及び小役を有する。
さらにまた、特別役として、BB、RB、及びMBの3種類を有し、リプレイとして、リプレイ1、及びリプレイ2の2種類を有し、小役として、共通ベル、左正解ベル、中正解ベル、右正解ベル、スイカ、チェリー1、及びチェリー2の7種類を有する。
なお、左正解ベル、中正解ベル、右正解ベルを総称して、「押し順ベル」と称する。
さらに、「条件装置」とは、役抽選手段61による抽選で決定された当選番号に対応して作動するものである。1つの当選番号が決定されると、その当選番号に対応する1又は複数の条件装置が作動し、作動した条件装置に対応する当選フラグがオンになる。
【0354】
図26(c)に示すように、第9実施形態では、役抽選手段61による抽選で「0」〜「16」の中からいずれか1つの当選番号が決定され、決定された当選番号に対応する非当選からMBまでのいずれかの条件装置が作動する。
2種類のリプレイは、いずれも単独当選し、他の条件装置(役)と重複当選することはない。
また、ベルは、共通ベル、左正解ベル、中正解ベル、右正解ベルの4種類を有するが、いずれも単独当選し、他の役と重複当選することはない。
【0355】
さらにまた、スイカは、単独当選する場合と、BBと重複当選する場合とを有する。
さらに、チェリー1は、単独当選する場合と、BBと重複当選する場合とを有し、チェリー2は、単独当選する場合と、RBと重複当選する場合と、BBと重複当選する場合とを有する。
また、BBは、単独当選する場合と、スイカ、チェリー1、又はチェリー2と重複当選する場合とを有するが、RBは、単独当選することはなく、チェリー2と重複当選するのみであり、MBは、単独当選するのみであり、他の役と重複当選することはない。
【0356】
また、「配当」とは、各条件装置に対応する図柄組合せが停止(役が入賞)したときにおけるメダルの払出し枚数を意味する。
第9実施形態では、左正解ベル、中正解ベル、右正解ベルについては、規定数3(MB中以外の遊技状態)と規定数1(MB中)とで配当が異なるが、それ以外は、規定数3と規定数1とで配当は同一である。
【0357】
なお、左正解ベルは、左第一停止が正解押し順となり、左第一停止以外が不正解押し順となる押し順ベルであり、規定数3では、正解押し順で8枚のメダルの払出し、不正解押し順で1枚のメダルの払出しとなり、また、規定数1では、正解押し順で14枚のメダルの払出し、不正解押し順で15枚のメダルの払出しとなる。
同様に、中正解ベルは、中第一停止が正解押し順となり、中第一停止以外が不正解押し順となる押し順ベルであり、右正解ベルは、右第一停止が正解押し順となり、右第一停止以外が不正解押し順となる押し順ベルである。
なお、共通ベルは、押し順不問で8枚のメダルの払出しとなるベルである。
【0358】
また、第1実施形態で説明したように、メイン制御基板50のメインCPU55は、役抽選手段61(内部抽せん手段61)を備える。この役抽選手段61は、当選番号の抽選を行うものである。そして、役抽選手段61による抽選で当選番号が決定されると、決定した当選番号に対応する条件装置が作動する。
また、役抽選手段61(内部抽せん手段61)による当選番号の抽選を「内部抽せん」と称することもある。
図26(c)に示すように、第9実施形態では、役抽選手段61による抽選で、当選番号「0」〜「15」の中からいずれか1つが決定される。また、当選番号「0」〜「15」は、「非当選」〜「MB」の条件装置にそれぞれ対応している。そして、当選番号が決定されると、決定した当選番号に対応する条件装置が作動する。
【0359】
たとえば、当選番号「1」に決定されると、当選番号「1」に対応する「リプレイ1」の条件装置が作動する。また、当選番号「8」に決定されると、当選番号「8」に対応する「スイカ+BB」の条件装置が作動する。
なお、第1実施形態で説明したように、役抽選手段61は、乱数発生手段と、乱数発生手段が発生させた乱数を抽出する乱数抽出手段と、乱数抽出手段が抽出した乱数値に基づいて当選番号を決定する当選番号決定手段とを備え、当選番号が決定されると、決定した当選番号に対応する条件装置が作動する。
そして、たとえば、非内部中と内部中とでは、乱数抽出手段が抽出した乱数値が同一で、作動する条件装置も同一のこともあれば、乱数抽出手段が抽出した乱数値が同一でも、作動する条件装置が異なることもある。
【0360】
また、第1実施形態で説明したように、メイン制御基板50のメインCPU55は、当選フラグ制御手段62を備える。この当選フラグ制御手段62は、役抽選手段61による当選番号の抽選結果に基づいて、各役に対応する当選フラグのオン/オフを制御するものである。
第9実施形態では、すべての役について、役ごとに当選フラグを備える。そして、役抽選手段61による抽選で当選番号が決定されると、当選フラグ制御手段62は、決定した当選番号に対応する条件装置に含まれる役の当選フラグをオンにする(当選フラグを立てる)。
【0361】
たとえば、非RTにおいて、役抽選手段61による抽選で当選番号「1」に決定したときは、当選番号「1」に対応する「リプレイ1」の条件装置に含まれる「リプレイ1」の当選フラグがオンとなり、それ以外の当選フラグはオフとなる。
同様に、非RTにおいて、役抽選手段61による抽選で当選番号「10」に決定したときは、当選番号「10」に対応する「チェリー1+BB」の条件装置に含まれる「チェリー1」及び「BB」の2つの当選フラグがオンとなり、それ以外の当選フラグはオフとなる。
【0362】
また、特別役(BB、RB、MB)以外の役の当選情報は持ち越されないので、今回遊技で当選情報を持ち越さない役に当選し、その役の当選フラグがオンにされても、その役が入賞したか否かにかかわらず、今回遊技の終了時に、その当選フラグがオフにされる。
これに対し、特別役(BB、RB、MB)の当選情報は持ち越されるので、今回遊技で特別役に当選し、当選した特別役の当選フラグが一旦オンになったときは、その特別役が入賞するまで、当選フラグがオンの状態が維持され、その特別役が入賞すると、当選フラグがオフにされる。
【0363】
たとえば、非RTにおいて、役抽選手段61による抽選で当選番号「10」に決定したときは、当選番号「10」に対応する「チェリー1+BB」の条件装置に含まれる「チェリー1」及び「BB」の2つの当選フラグがオンとなるが、今回遊技で「BB」が入賞しなかったときは、今回遊技で「チェリー1」が入賞したか否かにかかわらず、今回遊技の終了時に、「チェリー1」の当選フラグはオフになり、「BB」の当選フラグのオンは維持される。この場合、次回遊技から、BB内部中に移行する。
【0364】
また、たとえば、BB内部中において、役抽選手段61による抽選で当選番号「9」に決定したときは、持ち越している「BB」の当選フラグに加えて、当選番号「9」に対応する「チェリー1」の条件装置に含まれる「チェリー1」の当選フラグがオンになる。すなわち、「チェリー1」及び「BB」の2つの当選フラグがオンとなる。
このため、非RTにおいて、役抽選手段61による抽選で当選番号「10」に決定(「チェリー1+BB」に重複当選)したときと、BB内部中において、役抽選手段61による抽選で当選番号「9」に決定(「チェリー1」に単独当選)したときとで、当選フラグのオン/オフの状態は同一になる。
【0365】
また、MB遊技中は、当選フラグ制御手段62は、すべての小役(共通ベル、左正解ベル、中正解ベル、右正解ベル、スイカ、チェリー1、及びチェリー2の7つ)の当選フラグをオンにする。このため、役抽選手段61による抽選で当選したものではないが、すべての小役に当選しているのと同じ状態になる。
たとえば、MB遊技中において、役抽選手段61による抽選で当選番号「0」に決定したときは、当選番号「0」に対応する「非当選」にはいずれの役も含まれていないが、すべての小役(上記の7つの小役)の当選フラグがオンになる。
また、たとえば、MB遊技中において、役抽選手段61による抽選で当選番号「1」に決定したときは、当選番号「1」に対応する「リプレイ1」の条件装置に含まれる「リプレイ1」の当選フラグに加えて、すべての小役(上記の7つの小役)の当選フラグがオンになる。
【0366】
また、第1実施形態で説明したように、メイン制御基板50のメインCPU55は、リール制御手段65を備え、このリール制御手段65は、当選フラグのオン/オフに対応する複数の停止位置決定テーブルを備える。また、各停止位置決定テーブルは、ストップスイッチ42が操作された瞬間のリール31の位置に対する、リール31の停止位置を定めたものである。
役抽選手段61による抽選で当選番号が決定され、決定された当選番号に対応する条件装置に含まれる役の当選フラグのオン/オフの制御が当選フラグ制御手段62により行われると、リール制御手段65は、当選フラグのオン/オフに対応する停止位置決定テーブルを選択する。
【0367】
そして、ストップスイッチ42が操作されると、選択した停止位置決定テーブルと、ストップスイッチ42が操作された瞬間のリール31の位置とに基づいて、そのストップスイッチ42に対応するリール31の停止位置を決定し、その決定した位置にそのリール31を停止させるように制御する。
また、リプレイ1の当選フラグがオンであり、リプレイ1以外の当選フラグがオフであるときに選択される停止位置決定テーブルは、リプレイ1に対応する図柄組合せが有効ラインに停止するように、かつリプレイ1以外の役に対応する図柄組合せが有効ラインに停止しないように、各リール31の停止位置を定めている。
【0368】
さらにまた、左正解ベルの当選フラグがオンであり、左正解ベル以外の当選フラグがオフであるときに選択される停止位置決定テーブルは、左第一停止でストップスイッチ42が操作されたときは、8枚のメダルの払出しとなる図柄組合せが有効ラインに停止し、左第一停止以外でストップスイッチ42が操作されたときは、1枚のメダルの払出しとなる図柄組合せが有効ラインに停止するように、各リール31の停止位置を定めている。
【0369】
また、
図26(c)の「内部抽せん置数」の欄は、各遊技状態の各当選番号の置数を示している。内部抽せん置数を「65536」で割ると、当選確率となる。
たとえば、非RTにおける当選番号「4」の置数は「3000」であるので、非RTにおいて役抽選手段61による抽選で当選番号「4」に決定され、当選番号「4」に対応する「左正解ベル」の条件装置が作動する確率は、「3000/65536」となる。
【0370】
また、
図26(c)の「内部抽せん置数」の欄において、「*」印は、有利区間抽せんが実行可能であることを示す。
ここで、「有利区間」とは、指示機能に係る性能を有する(指示機能を作動させてよい)遊技区間を意味する。
また、「指示機能」とは、「有利な操作態様」を遊技者に表示(報知)する機能を意味する。
さらにまた、「指示機能の作動」とは、押し順ベル当選時に正解押し順を表示することを含むものである。
【0371】
さらに、「有利区間抽せん」とは、有利区間に移行させるか否かを決定する抽選を意味する。
そして、有利区間抽せんで当選し、有利区間に移行すると、指示機能を作動させることが可能となり、押し順ベル当選時に正解押し順を報知することが可能となる。
たとえば、非RTにおける当選番号「3」(「共通ベル」)の置数「8000」に「*」印が付されているが、これは、非RTにおいて役抽選手段61(内部抽せん手段61)による抽選で当選番号「3」(「共通ベル」)に決定されたときは、有利区間抽せんが実行可能であることを意味する。
【0372】
また、
図26(c)に示すように、非RTにおいては、当選番号「0」(非当選)に決定されたとき、及び当選番号「4」〜「6」(「左正解ベル」、「中正解ベル」、又は「右正解ベル」)に決定されたときは、有利区間抽せんを実行しないが、それ以外は、有利区間抽せんを実行可能である。
さらに、RT、RB内部中、及びBB内部中においては、当選番号「4」〜「6」(「左正解ベル」、「中正解ベル」、又は「右正解ベル」)に決定されたときを除き、非RTと置数が同一の当選番号に決定されたときは、有利区間抽せんを実行可能である。
【0373】
また、BB内部中は、BBの当選情報を持ち越しているため、BB内部中に当選番号「9」(「チェリー1」の単独当選)に決定されたときと、非RT(非内部中)において当選番号「10」(「チェリー1+BB」の重複当選)に決定されたときとでは、当選フラグのオン/オフの状態が同一になる。
さらに、非RT(非内部中)における当選番号「10」(「チェリー1+BB」の重複当選)の置数と、BB内部中における当選番号「9」(「チェリー1」の単独当選)の置数とは、同一の「200」に設定されている。
このため、BB内部中に当選番号「9」(「チェリー1」の単独当選)に決定されたときは、有利区間抽せんを実行可能とされている。
【0374】
また、RB内部中に当選番号「9」(「チェリー1」の単独当選)に決定されたときは、「チェリー1」の当選フラグと、持ち越している「RB」の当選フラグとがオンになる。
さらに、「BB」と「RB」とは、ともに特別役(役物)であるという点で一致し、非RT(非内部中)における当選番号「10」(「チェリー1+BB」の重複当選)の置数と、RB内部中における当選番号「9」(「チェリー1」の単独当選)の置数とは、同一の「200」に設定されている。
このため、RB内部中に当選番号「9」(「チェリー1」の単独当選)に決定されたときにも、有利区間抽せんを実行可能とされている。
【0375】
また、非RTにおいて当選番号「12」(「チェリー2+RB」の重複当選)又は当選番号「13」(「チェリー2+BB」の重複当選)に決定されたときと、RB内部中又はBB内部中に当選番号「11」(「チェリー2」の単独当選)に決定されたときとは、「チェリー2」の当選フラグと、特別役(役物)の当選フラグとがオンになるという点で一致する。
さらに、非RTにおける当選番号「12」(「チェリー2+RB」の重複当選)及び当選番号「13」(「チェリー2+BB」の重複当選)の置数を合算すると「300」となり、RB内部中及びBB内部中における当選番号「11」(「チェリー2」の単独当選)の置数の「300」と一致する。
このため、RB内部中及びBB内部中に当選番号「11」(「チェリー2」の単独当選)に決定されたときにも、有利区間抽せんを実行可能とされている。
【0376】
また、
図26(c)の「有利区間抽せん置数」の欄は、各当選番号の置数を示している。有利区間抽せん置数を「16384」で割ると、当選確率となる。
たとえば、非RT、RB内部中又はBB内部中において、役抽選手段61による抽選で当選番号「1」(「リプレイ1」の単独当選)に決定されたときに有利区間抽せんで当選する確率は、「20/16384」となる。
また、たとえば、非RT又はRTにおいて、役抽選手段61による抽選で当選番号「8」(「スイカ+BB」の重複当選)に決定されたときに有利区間抽せんで当選する確率は、「10000/16384」となる。
【0377】
上述したように、第9実施形態では、MBに対応する図柄組合せは、「PB=1」に設定されている。
また、
図26(c)に示すように、非RT及びRTにおいて、MBの抽選が行われるが、MBに当選すると、今回遊技でMBに対応する図柄組合せが常に有効ラインに停止するため、MB内部中となることなく、次回遊技から、MB遊技に移行する。
さらに、
図26(c)に示すように、MB遊技中は、リプレイ1又はリプレイ2の抽選が行われるとともに、役抽選手段61による抽選結果にかかわらず、すべての小役に重複当選した状態になる。
【0378】
このため、MB遊技中に当選番号「1」(「リプレイ1」の単独当選)に決定されたときは、「リプレイ1」の当選フラグと、すべての小役(共通ベル、左正解ベル、中正解ベル、右正解ベル、スイカ、チェリー1、及びチェリー2の7つ)の当選フラグとがオンになる。
同様に、MB遊技中に当選番号「2」(「リプレイ2」の単独当選)に決定されたときは、「リプレイ2」の当選フラグと、すべての小役の当選フラグとがオンになる。
【0379】
そして、MB遊技中に当選番号「1」(「リプレイ1」の単独当選)に決定されたとき、すなわち「リプレイ1」の当選フラグと、すべての小役の当選フラグとがオンになったときは、左正解ベルの当選フラグのみがオンのときと同じ停止位置決定テーブルが選択される。ただし、MB遊技中は、規定数1(1枚投入)となり、非RT等とは配当が異なり、14枚又は15枚の払出しとなる。
これにより、MB遊技中に当選番号「1」(「リプレイ1」の単独当選)に決定された場合において、左第一停止でストップスイッチ42が操作されたとき(押し順正解時)は、14枚のメダルの払出しとなる図柄組合せが有効ラインに停止し、左第一停止以外でストップスイッチ42が操作されたとき(押し順不正解時)は、15枚のメダルの払出しとなる図柄組合せが有効ラインに停止する。
【0380】
同様に、MB遊技中に当選番号「2」(「リプレイ2」の単独当選)に決定されたときは、右正解ベルの当選フラグのみがオンのときと同じ停止位置決定テーブルが選択され、右第一停止時(押し順正解時)には14枚の払出しとなり、右第一停止以外のとき(押し順不正解時)は15枚の払出しとなる。
そして、MB遊技中の1回目の遊技では、14枚の払出しとなる押し順を報知し、MB遊技中の2回目の遊技では、15枚の払出しとなる押し順を報知する。
上述したように、MB遊技の終了条件は、メダルの払出し枚数が14枚を超えたことに設定されているため、このような報知を行うことにより、MB遊技中に29枚のメダルが払い出されるようにすることができる。また、MB遊技中は規定数が「1」に設定されているため、払出し枚数の「29」から投入枚数の「2」を減算した27枚のメダルを遊技者に獲得させることができる。
【0381】
また、MB遊技中に遊技者に有利となる押し順を報知するためには、有利区間に移行させる必要がある。
このため、
図26(c)に示すように、非RT又はRTにおいて、役抽選手段61による抽選で当選番号「15」(「MB」の単独当選)に決定されたときにおける有利区間抽せんの当選確率は「16384/16384」、すなわち「100%」に設定している。
【0382】
また、第1実施形態で説明したように、メイン制御基板50のメインCPU55は、演出グループ番号選択手段64を備える。この演出グループ番号選択手段64は、当選番号に対応する演出グループ番号であって、サブ制御基板80に送信するための番号を選択するものである。
図26(c)に示すように、当選番号に対応する演出グループ番号が予め定められている。具体的には、当選番号「0」〜「3」に対応して演出グループ番号「0」〜「3」が定められ、当選番号「4」〜「6」に対応して演出グループ番号「4」が定められ、当選番号「7」〜「15」に対応して演出グループ番号「5」〜「13」が定められている。
そして、役抽選手段61による抽選で当選番号が決定されると、演出グループ番号選択手段64は、決定した当選番号に対応する演出グループ番号を選択する。
【0383】
また、第1実施形態で説明したように、メイン制御基板50のメインCPU55は、押し順指示番号選択手段63を備える。この押し順指示番号選択手段63は、役抽選手段61による抽選で押し順ベル(左正解ベル、中正解ベル、右正解ベル)に対応する当選番号が決定されたときに、決定された当選番号に対応する押し順指示番号(正解押し順に相当する番号)を選択するためのものである。
【0384】
また、第1実施形態で説明したように、メイン制御基板50のメインCPU55は、制御コマンド送信手段71を備える。この制御コマンド送信手段71は、サブ制御基板80に対し、サブ制御基板80で出力する演出に必要な情報(制御コマンド)を送信する。
第9実施形態では、制御コマンド送信手段71は、制御コマンドとして、ベットスイッチ40が操作されたときの情報、スタートスイッチ41が操作されたときの情報、押し順指示番号(AT中、かつ正解押し順を有する条件装置に対応する当選番号が決定されたときのみ)、演出グループ番号、ストップスイッチ42が操作されたときの情報、入賞した役の情報等に加えて、遊技状態(非RT、RT、RB内部中、BB内部中、RB中、BB中、MB中)を示す情報、演出グループ番号等をサブ制御基板80に送信する。
【0385】
これにより、サブ制御基板80側では、メイン制御基板50側での遊技状態、及び役抽選手段61で作動している条件装置(左正解ベル、中正解ベル、右正解ベルを除く)を判断することができる。
なお、サブ制御基板80側では、演出グループ番号により、左正解ベル、中正解ベル、又は右正解ベルのいずれかに当選したことは判断できるが、左正解ベル、中正解ベル、又は右正解ベルのいずれに当選したか(正解押し順)までは判断できない。
また、AT中は、押し順指示番号により、正解押し順を報知可能となる。
【0386】
また、サブ制御基板80は、遊技中及び遊技待機中における演出の選択や出力等を制御するものである。
メイン制御基板50とサブ制御基板80とは、電気的に接続されており、メイン制御基板50(制御コマンド送信手段71)は、サブ制御基板80に一方向で、演出の出力に必要な情報(制御コマンド)を送信する。
サブ制御基板80は、メイン制御基板50と同様に、入力ポート81、出力ポート82、RWM83、ROM84、及びサブCPU85等を備えている。
また、サブ制御基板80には、入力ポート81又は出力ポート82を介して、演出ランプ21、スピーカ22、画像表示装置23等が電気的に接続されている。
【0387】
さらにまた、サブ制御基板80のサブCPU85は、演出出力制御手段91等を備えており、サブ制御基板80のROM84は、演出決定テーブル等を備えている。
さらに、演出決定テーブルは、出力する演出を定めたものであって、複数備えられており、演出出力制御手段91は、いずれかの演出決定テーブルを用いて出力する演出を決定し、決定した演出を出力するように制御する。
すなわち、演出出力制御手段91は、メイン制御基板50から受信した制御コマンド、及びいずれかの演出決定テーブルに基づいて、どのようなタイミングで、どのような演出を出力するかを決定し、その決定に従い、演出ランプ21、スピーカ22、画像表示装置23の出力を制御する。
【0388】
図27は、非RT(非内部中)及びRT(非ATかつ非内部中)共通で用いる演出決定テーブルを示す図であり、
図28は、RB内部中及びBB内部中共通で用いる演出決定テーブルを示す図である。
図27に示すように、第9実施形態では、演出パターンとして、「演出なし」から「連続演出」までの18種類を備えている。また、「キャラ演出(賑やかし)」から「連続演出」までの各演出パターンは、それぞれ異なる内容の演出を定めている。
たとえば、「確定演出」は、特別役に当選したことが遊技者にわかる内容の演出であり、「第一停止後告知演出」は、第一停止後(最初のストップスイッチ42の操作後)のタイミングで出力される演出であり、「左第一停止演出」は、左ストップスイッチ42を最初に操作すべき旨を指示する内容の演出であり、「連続演出」は、複数回の遊技にわたって連続して出力される演出である。
【0389】
また、
図27の「演出パターン振分け置数」の欄は、各演出グループ番号を受信したときにおける各演出パターンの振分け置数を示している。演出パターン振分け置数を「256」で割ると、各演出パターンの選択確率となる。なお、
図27中、各演出グループ番号の下に、対応する条件装置の名称を記載している。
たとえば、非RTにおいて役抽選手段61による抽選で当選番号「1」(「リプレイ1」の単独当選)に決定され、演出グループ番号「1」が送信されたときにおける「演出なし」の選択確率は「128/256」であり、「キャラ演出(賑やかし)」の選択確率は「20/256」であり、「会話演出(賑やかし)」の選択確率も「20/256」であり、「カットイン演出(強演出)」の選択確率は「0/256」である。
【0390】
上述したように、制御コマンド送信手段71は、サブ制御基板80に対して、遊技状態(非RT、RT、RB内部中、BB内部中、RB中、BB中、MB中)を示す情報、及び演出グループ番号を送信する。
そして、サブ制御基板80の演出出力制御手段91は、メイン制御基板50から受信した遊技状態を示す情報に基づいて、遊技状態に応じた演出決定テーブルを選択し、選択した演出決定テーブルと、メイン制御基板50から受信した演出グループ番号とに基づいて、いずれの演出パターンの演出を出力するかを決定し、その決定に従って、演出ランプ21、スピーカ22、画像表示装置23の出力を制御する。
【0391】
ここで、非RT(非内部中)において、役抽選手段61による抽選で当選番号「14」(「BB」の単独当選)に決定され、演出グループ番号「12」が送信された場合、演出出力制御手段91は、
図27に示す非RT及びRT(非AT)共通で用いる演出決定テーブルを選択し、この演出決定テーブルにおける演出グループ番号「12」(「BB」の単独当選)の欄の置数を用いて、いずれの演出パターンの演出を出力するかを決定する。
図27に示すように、非RTにおける「BB」単独当選時には、たとえば、「40/256」の確率で「連続演出」を選択する。
【0392】
これに対し、BB内部中において、役抽選手段61による抽選で当選番号「0」(「非当選」)に決定され、演出グループ番号「0」が送信された場合、演出出力制御手段91は、
図28に示すRB内部中及びBB内部中共通で用いる演出決定テーブルを選択し、この演出決定テーブルにおける演出グループ番号「0」(「非当選」)の欄の置数を用いて、いずれの演出パターンの演出を出力するかを決定する。
図28に示すように、BB内部中の「非当選」時には、たとえば、「80/256」の確率で「確定演出」を選択する。
このように、演出出力制御手段91は、非RT(非内部中)において役抽選手段61で「BB」に単独当選した遊技と、BB内部中に役抽選手段61で「非当選」となった遊技とで、異なる演出決定テーブルを用いて、出力する演出を決定する。このため、各演出パターンの選択確率が異なる。
【0393】
また、非RTにおいて、役抽選手段61による抽選で当選番号「14」(「BB」の単独当選)に決定された場合、メイン制御基板50側では、当選フラグ制御手段62は、当選番号「14」に対応する「BB」の条件装置に含まれる「BB」の当選フラグをオンにし、それ以外の当選フラグをオフにする。また、リール制御手段65は、「BB」の当選フラグがオンであり、それ以外の当選フラグがオフであるときに対応する停止位置決定テーブルを選択する。この停止位置決定テーブルを「BB単独用停止位置決定テーブル」と称する。
【0394】
「BB単独用停止位置決定テーブル」は、BBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止するように、かつBB以外の役に対応する図柄組合せが有効ラインに停止しないように、各リール31の停止位置を定めている。
そして、ストップスイッチ42が操作されると、リール制御手段65は、「BB単独用停止位置決定テーブル」と、ストップスイッチ42が操作された瞬間のリール31の位置とに基づいて、そのストップスイッチ42に対応するリール31の停止位置を決定し、その決定した位置にそのリール31を停止させるように制御する。
【0395】
また、BB内部中において、役抽選手段61による抽選で当選番号「0」(「非当選」)となった場合、メイン制御基板50側では、当選フラグ制御手段62は、持ち越している「BB」の当選フラグをオンのまま維持し、それ以外の当選フラグをオフにする。また、リール制御手段65は、「BB」の当選フラグがオンであり、それ以外の当選フラグがオフであるときに対応する停止位置決定テーブルを選択する。すなわち、非RTにおいて役抽選手段61で「BB」に単独当選したときと同一の「BB単独用停止位置決定テーブル」を選択する。
このため、BB内部中において役抽選手段61で「非当選」となったときは、非RTにおいて役抽選手段61で「BB」に単独当選したときと同一のリール31の停止制御が行われる。また、「同一のリール31の停止制御が行われる」とは、各ストップスイッチ42を同一の態様(押し順及び操作タイミング)で操作すると、各リール31が同一の位置で停止して、同一の停止出目が表示されることを意味する。
【0396】
このように、非RTにおいて役抽選手段61で「BB」に単独当選したときと、BB内部中において役抽選手段61で「非当選」となったときとで、メイン制御基板50側では、同一の停止位置決定テーブルを用いてリール31の停止位置を決定するが、サブ制御基板80側では、異なる演出決定テーブルを用いて出力する演出を決定する。このため、各演出パターンの選択確率が異なる。
これにより、メイン制御基板50側でのリール31の停止制御が同一でも、サブ制御基板80側で異なる演出を出力することができ、演出を多様化することができる。
また、メイン制御基板50側で同一のリール31の停止制御が行われ、同一の停止出目が表示されても、サブ制御基板80側で異なる演出が出力されることより、特別役に当選している(内部中である)ことを遊技者に推測可能にすることができる。
【0397】
さらにまた、非RTの「BB」単独当選時と、BB内部中の「非当選」時とで、サブ制御基板80側で異なる演出決定テーブルを選択することにより、非RT中の「BB」単独当選時には、確定演出(BBに当選したことが遊技者にわかる演出)の選択確率が低い演出決定テーブルを選択するようにし、BB内部中の「非当選」時には、確定演出の選択確率が高い演出決定テーブルを選択するようにすることができる。
これにより、「BB」に当選した当該遊技では、「BB」に当選したことが遊技者にわかりにくくすることができ、また、BB内部中には、「BB」に当選していることが遊技者にわかりやすくすることにより、遊技者が「BB」の入賞を狙うようにし、いつまでもBB内部中が続かないようにして、遊技者に不利にならないようにすることができる。
【0398】
また、非RTにおいて、役抽選手段61による抽選で当選番号「8」(「スイカ+BB」の重複当選)に決定され、演出グループ番号「6」が送信された場合、演出出力制御手段91は、
図27に示す非RT(非内部中)及びRT(非ATかつ非内部中)共通で用いる演出決定テーブルを選択し、この演出決定テーブルにおける演出グループ番号「6」(「スイカ+BB」の重複当選)の欄の置数を用いて、いずれの演出パターンの演出を出力するかを決定する。
図27に示すように、非RTにおける「スイカ+BB」重複当選時には、たとえば、「50/256」の確率で「キャラ演出(賑やかし)」、「会話演出(賑やかし)」、又は「カットイン演出(強演出)」を選択し、「30/256」の確率で「連続演出」を選択する。
【0399】
これに対し、BB内部中において、役抽選手段61による抽選で当選番号「7」(「スイカ」の単独当選)に決定され、演出グループ番号「5」が送信された場合、演出出力制御手段91は、
図28に示すRB内部中及びBB内部中共通で用いる演出決定テーブルを選択し、この演出決定テーブルにおける演出グループ番号「5」(「スイカ」の単独当選)の欄の置数を用いて、いずれの演出パターンの演出を出力するかを決定する。
図28に示すように、BB内部中の「スイカ」単独当選時には、たとえば、「73/256」の確率で「キャラ演出(賑やかし)」、又は「会話演出(賑やかし)」を選択し、「20/256」の確率で連続演出を選択する。
このように、演出出力制御手段91は、非RT(非内部中)において役抽選手段61で「スイカ+BB」に重複当選した遊技と、BB内部中に役抽選手段61で「スイカ」に単独当選した遊技とで、異なる演出決定テーブルを用いて、出力する演出を決定する。このため、各演出パターンの選択確率が異なる。
【0400】
また、非内部中は、複数回の遊技にわたる連続演出を遊技者に見せることで、「BB」当選に対する遊技者の期待感を長く持続させるため、「スイカ+BB」重複当選時における連続演出の選択確率を高く設定している。
これに対し、BB内部中は、複数回の遊技にわたる連続演出に遊技者に見せると、その分、「BB」入賞が遅れて、遊技者のメダルが減少してしまうので、「スイカ」単独当選時における連続演出の選択確率を低く設定するとともに、遊技者に早期に「BB」入賞を狙わせるために、「非当選」時における確定演出の選択確率を高く設定している。
なお、BB内部中に、遊技者のメダルが減少しないように各役の当選確率及び入賞時の払出し枚数を設定した上で、連続演出の選択確率を高く設定してもよい。
【0401】
また、非RT(非内部中)において、役抽選手段61による抽選で当選番号「8」(「スイカ+BB」の重複当選)に決定した場合、メイン制御基板50側では、当選フラグ制御手段62は、当選番号「8」に対応する「スイカ+BB」の条件装置に含まれる「スイカ」及び「BB」の2つの当選フラグをオンにし、それ以外の当選フラグをオフにする。また、リール制御手段65は、「スイカ」及び「BB」の2つの当選フラグがオンであり、それ以外の当選フラグがオフであるときに対応する停止位置決定テーブルを選択する。この停止位置決定テーブルを「スイカ+BB重複用停止位置決定テーブル」と称する。
【0402】
「スイカ+BB重複用停止位置決定テーブル」は、スイカ又はBBに対応する図柄組合せが有効ラインに停止可能に、かつスイカ及びBB以外の役に対応する図柄組合せが有効ラインに停止しないように、各リール31の停止位置を定めている。
そして、ストップスイッチ42が操作されると、リール制御手段65は、「スイカ+BB重複用停止位置決定テーブル」と、ストップスイッチ42が操作された瞬間のリール31の位置とに基づいて、そのストップスイッチ42に対応するリール31の停止位置を決定し、その決定した位置にそのリール31を停止させるように制御する。
【0403】
また、BB内部中において、役抽選手段61による抽選で当選番号「7」(「スイカ」の単独当選)に決定した場合、メイン制御基板50側では、当選フラグ制御手段62は、持ち越している「BB」の当選フラグをオンのまま維持しつつ、それに加えて、当選番号「7」に対応する「スイカ」の条件装置に含まれる「スイカ」の当選フラグをオンにし、「スイカ」及び「BB」以外の当選フラグについてはオフにする。これにより、「スイカ」及び「BB」の2つの当選フラグがオンになる。また、リール制御手段65は、「スイカ」及び「BB」の2つの当選フラグがオンであり、それ以外の当選フラグがオフであるときに対応する停止位置決定テーブルを選択する。すなわち、非RTにおいて役抽選手段61で「スイカ+BB」に重複当選したときと同一の「スイカ+BB重複用停止位置決定テーブル」を選択する。
【0404】
このため、BB内部中に役抽選手段61で「スイカ」に単独当選したときは、非RTにおいて役抽選手段61で「スイカ+BB」に重複当選したときと同一のリール31の停止制御が行われる。
このように、非RTにおいて役抽選手段61で「スイカ+BB」に重複当選したときと、BB内部中に役抽選手段61で「スイカ」に単独当選したときとで、メイン制御基板50側では、同一の停止位置決定テーブルを用いてリール31の停止位置を決定するが、サブ制御基板80側では、異なる演出決定テーブルを用いて出力する演出を決定する。このため、各演出パターンの選択確率が異なる。
【0405】
また、非RTで「チェリー1+BB」に重複当選したとき、及びBB内部中に「チェリー1」に単独当選したときについても、非RTで「スイカ+BB」に重複当選したとき、及びBB内部中に「スイカ」に単独当選したときと同様に、メイン制御基板50側では、同一の停止位置決定テーブルを用いてリール31の停止位置を決定するが、サブ制御基板80側では、異なる演出決定テーブルを用いて出力する演出を決定する。このため、各演出パターンの選択確率が異なる。
【0406】
さらにまた、非RTで「チェリー2+BB」又は「チェリー2+RB」に重複当選したとき、及びBB内部中又はRB内部中に「チェリー2」に単独当選したときについても、非RTで「スイカ+BB」に重複当選したとき、及びBB内部中に「スイカ」に単独当選したときと同様に、メイン制御基板50側では、同一の停止位置決定テーブルを用いてリール31の停止位置を決定するが、サブ制御基板80側では、異なる演出決定テーブルを用いて出力する演出を決定する。このため、各演出パターンの選択確率が異なる。
これにより、メイン制御基板50側でのリール31の停止制御が同一でも、サブ制御基板80側で異なる演出を出力することができるので、演出を多様化することができる。
【0407】
なお、
図27及び
図28に示すように、非RTで「スイカ」に単独当選したときと、BB内部中に「スイカ」に単独当選したときとでは、各演出パターンの振分け置数が同一であるため、各演出パターンの選択確率が同一になる。
ただし、非RTで「スイカ」に単独当選したときは、「スイカ」の当選フラグがオンであり、それ以外の当選フラグがオフであるときに対応する停止位置決定テーブルを選択するのに対し、BB内部中に「スイカ」に単独当選したときは、「スイカ」及び「BB」の2つの当選フラグがオンであり、それ以外の当選フラグがオフであるときに対応する停止位置決定テーブルを選択する。このため、非RTで「スイカ」に単独当選したときと、BB内部中に「スイカ」に単独当選したときとでは、リール31の停止制御が異なる。
このように、非RTで「スイカ」に単独当選したときと、BB内部中に「スイカ」に単独当選したときとで、サブ制御基板80側では、各演出パターンの選択確率が同一であるが、メイン制御基板50側では、リール31の停止制御が異なる。
【0408】
以上説明したように、複数の遊技状態において、役抽選手段61の乱数抽出手段により抽出された乱数値が同一であり、かつ役抽選手段61の当選番号決定手段により決定された当選番号が同一であって、同一の条件装置が作動したときに、遊技状態毎のリール31の停止制御(選択される停止位置決定テーブル)は同一であるが、各演出パターンの選択確率(選択される演出決定テーブル)が異なる場合を有する。
【0409】
また、複数の遊技状態において、役抽選手段61の乱数抽出手段により抽出された乱数値が異なり、かつ役抽選手段61の当選番号決定手段により決定された当選番号が同一であって、同一の条件装置が作動したときに、遊技状態毎のリール31の停止制御(選択される停止位置決定テーブル)は同一であるが、各演出パターンの選択確率(選択される演出決定テーブル)が異なる場合を有する。
【0410】
さらにまた、複数の遊技状態において、役抽選手段61の乱数抽出手段により抽出された乱数値が異なり、かつ役抽選手段61の当選番号決定手段により決定された当選番号が異なって、同一の条件装置が作動したときに、遊技状態毎のリール31の停止制御(選択される停止位置決定テーブル)は同一であるが、各演出パターンの選択確率(選択される演出決定テーブル)が異なる場合を有する。
【0411】
<第9実施形態の変形例>
以上、本発明の第9実施形態について説明したが、本発明は、上述した内容に限定されるものではなく、たとえば以下のような種々の変形が可能である。
(1)第9実施形態で示した役の種類、条件装置の種類、遊技状態の種類、各遊技状態における規定数、各役の入賞時における配当、内部抽せん置数の割り振り、有利区間抽せん置数の割り振り、演出パターンの種類、各演出パターンの振分け置数の割り振り等は、あくまでも例示であり、遊技内容に応じて適宜設定することができる。
【0412】
(2)第9実施形態では、設定1における内部抽せん及び有利区間抽せんの置数表のみを示したが、設定値として設定1から設定6までの6段階を設け、各設定値にそれぞれ異なる内部抽せん及び有利区間抽せんの置数表を備えることができる。
(3)第9実施形態では、制御コマンド送信手段71は、サブ制御基板80に対して、遊技状態を示す情報、及び演出グループ番号を送信する。これにより、サブ制御基板80側で、メイン制御基板50側の遊技状態及び条件装置を判断して、遊技状態及び条件装置に応じた確率で演出パターンを選択する。しかし、これに限られるものではない。
たとえば、制御コマンド送信手段71は、サブ制御基板80に対して、内部抽せんで決定した当選番号を送信してもよく、内部抽せんで決定した当選番号に対応する条件装置を示す情報を送信してもよい。そして、サブ制御基板80側では、受信した当選番号や条件装置を示す情報に基づいて、メイン制御基板50側の条件装置を判断してもよい。
【0413】
また、たとえば、制御コマンド送信手段71は、サブ制御基板80に対して、内部抽せんで決定した条件装置を示す情報、及び入賞した役の情報を送信する。そして、サブ制御基板80側では、条件装置を示す情報及び入賞した役の情報に基づいて、メイン制御基板50側の遊技状態を判断するようにしてもよい。
さらにまた、たとえば、サブ制御基板80は、「BB」に当選したことを示す情報を受信したが、「BB」が入賞したことを示す情報を受信しないと、メイン制御基板50側の遊技状態がBB内部中であると判断することができる。
そして、サブ制御基板80側で判断したメイン制御基板50側の遊技状態と、メイン制御基板50から受信した演出グループ番号や当選番号や条件装置を示す情報とに基づいて、サブ制御基板80側で演出パターンを選択してもよい。
【0414】
(4)たとえば、制御コマンド送信手段71は、サブ制御基板80に対して、各役に対応する当選フラグのオン/オフを示す情報、及び入賞した役の情報を送信する。そして、サブ制御基板80側では、当選フラグのオン/オフを示す情報及び入賞した役の情報に基づいて、メイン制御基板50側の遊技状態及び条件装置を判断するようにしてもよい。
たとえば、「BB」の当選フラグがオンであることを示す情報を受信したが、「BB」が入賞したことを示す情報を受信しないと、メイン制御基板50側の遊技状態はBB内部中であると判断することができる。
【0415】
また、BB内部中は「BB」の抽選を行わないため、BB内部中に「BB」の当選フラグのみがオンであることを示す情報を受信したときは、メイン制御基板50側での内部抽せんで当選番号「0」(「非当選」)に決定したと判断することができる。
そして、サブ制御基板80側で判断したメイン制御基板50側の遊技状態と、同じくサブ制御基板80側で判断したメイン制御基板50側の条件装置とに基づいて、サブ制御基板80側で演出パターンを選択してもよい。
【0416】
(5)第9実施形態では、「単独当選」とは、特別役以外の役にのみ当選し、特別役は同時には当選していないという意味で用いており、また、「重複当選」とは、特別役と特別役以外の他の役とが同時に当選しているという意味で用いている。
たとえば、BB内部中の「スイカ+制御役1」の当選は、複数種類の役に同時に当選しているという意味では、重複当選であるが、特別役以外の役にのみ当選し、特別役は同時には当選していないので、第9実施形態でいう意味では、単独当選となる。
【0417】
また、非内部中の「スイカ+制御役1+BB」の当選(重複当選)時と、BB内部中の「スイカ+制御役1」の当選(単独当選)時とは、メイン制御基板50側では、当選フラグのオン/オフの状態が同一になるため、同一の停止位置決定テーブルを用いてリール31の停止位置を決定するが、当選番号及び演出グループ番号が異なるため、サブ制御基板80側では、異なる演出決定テーブルを用いて出力する演出を決定する。
なお、「制御役」とは、当選フラグのオン/オフの状態を異ならせることにより、選択する停止位置決定テーブルを異ならせて、リール31の停止制御を異ならせるための役であり、入賞させるための役ではない。
【0418】
(6)第9実施形態では、RB内部中及びBB内部中に当選番号「11」(「チェリー2」の単独当選)に決定されたときは有利区間抽せんを実行可能としたが、複数種類の特別役と重複当選する役の当選時には有利区間抽せんを実行しないようにしてもよい。
(7)第1〜第9実施形態、及び第1〜第9実施形態で示した各種の変形例は、単独で実施されることに限らず、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0419】
<第10実施形態>
第10実施形態は、管理情報表示LED74の表示の制御に関するものである。
メインCPU55は、電源投入に基づく所定のタイミング(たとえば、電源投入時、最初の割込み処理起動時、プログラム起動時等)から5秒間、設定変更状態(設定変更モード、設定変更中)、設定確認状態(設定確認モード、設定確認中)、RWM異常エラー状態において、管理情報表示LED74の全LEDを点灯状態とするよう制御する。
第2実施形態で説明したように、管理情報表示LED74は、4桁のLEDで構成されるため、全LEDが点灯すると、「8888」が表示される。これにより、管理情報表示LED74のLEDに不具合がないかを確認可能にすることができる。
【0420】
また、電源投入時に設定キースイッチがオンであるときは、設定値が変更可能となる設定変更状態に移行する。さらに、設定変更状態に移行すると、管理情報表示LED74の全LEDが点灯状態となる。
そして、電源投入に基づく所定のタイミングから5秒間とは、電源投入時に設定キースイッチがオンとなっていた場合に、電源投入から設定変更状態に移行するまでに要する時間より長い時間に設定している。
【0421】
ここで、たとえば、電源投入に基づく所定のタイミングからの管理情報表示LED74の全LEDの点灯期間を、電源投入から設定変更状態に移行するまでに要する時間より短い時間に設定したとする。この場合、まず、管理情報表示LED74の全LEDが点灯状態となり、その後、管理情報表示LED74に管理情報が一旦表示され、その後、管理情報表示LED74の全LEDが再度点灯状態となる。このため、管理者(ホールの店員)が遊技機に何らかの不具合があるのではないかと疑ってしまう可能性を有する。
【0422】
そこで、電源投入に基づく所定のタイミングからの管理情報表示LED74の全LEDの点灯期間を5秒間に設定している。
なお、電源投入に基づく所定のタイミングからの管理情報表示LED74の全LEDの点灯期間は5秒間に限らず、電源投入から設定変更状態に移行するまでに要する時間より長い時間であれば任意の時間に設定してもよい。
【0423】
以下さらに、管理情報表示LED74のテストパターン表示について説明する。
なお、第10実施形態では、管理情報表示LED74が有する4桁のLEDを、左側から順に「デジット6」、「デジット7」、「デジット8」、「デジット9」と称する。
また、管理情報表示LED74が有する4桁のLEDのうち、左側の2個のLED(デジット6及び7)を「識別セグ」と称し、右側の2個のLED(デジット8及び9)を「比率セグ」と称する。
【0424】
さらにまた、
デジット6:識別セグ上位桁
デジット7:識別セグ下位桁
デジット8:比率セグ上位桁
デジット9:比率セグ下位桁
と称する場合を有する。
さらに、第10実施形態において、管理情報表示LED74の各LED(デジット)は、いずれも、セグメントA〜G及びセグメントDPからなる8セグメントLEDである。
【0425】
管理情報表示LED74のテストパターンの表示は、すべてのセグメント(セグメントA〜G及びDP)が正しく点灯及び消灯するかを確認するために行うものである。したがって、テストパターンが表示されている期間(時間)中に、すべてのセグメントについて、点灯状態と消灯状態とを有するように設定される。
また、管理情報表示LED74にテストパターンを表示する場合には、以下のいずれかのタイミングで表示する。
(1)電源投入に基づく所定のタイミングから5秒以内
(2)設定変更開始処理から5秒以内
(3)設定変更(モード)中
(4)設定確認(モード)中
(5)RWM異常エラー中
【0426】
テストパターンとしては、第1に、所定の表示を1秒ごとに切り替え、5秒間表示することが挙げられる。なお、1つの表示を維持する時間は1秒に限定されるものではなく、また、テストパターンの表示時間は、5秒間に限定されるものではない(5秒以外であればよい)。
そして、テストパターンの表示時間である5秒間の間に、すべてのLEDのすべてのセグメントが、点灯している状態と消灯している状態とを有するようにテストパターンを設定する。
また、テストパターンとして、第2に、すべてのLEDのすべてのセグメントを点滅させることが挙げられる。このように設定しても、1回の点滅(点灯及び消灯)で、すべてのLEDのすべてのセグメントを点灯状態と消灯状態とにすることができる。
【0427】
図29は、管理情報表示LED74のテストパターン表示の例1を示す図である。
なお、
図29及び後述する
図30のテストパターン表示では、点灯しているセグメントを実線で示し、消灯しているセグメントを点線で示す。また、セグメントDPは、点灯状態を黒丸で示し、消灯応対を白丸で示す。
また、以下の説明において、「.」は、セグメントDPが点灯状態であることを示し、「。」は、セグメントDPが消灯状態であることを示すものとする。
【0428】
図29に示す例1では、テストパターンの各LEDの表示は、2種類設けられている。
その一つは、「0.」と表示するパターンである。より詳しくは、セグメントA〜F及びDPが点灯しており、かつ、セグメントGが消灯しているパターンである。
もう一つは、「−。」と表示するパターンである。より詳しくは、セグメントGが点灯し、セグメントA〜F及びDPが消灯しているパターンである。
よって、「0.」と「−。」は、それぞれ、点灯及び消灯しているセグメントが逆の関係にある。
【0429】
また、
図29(a)に示す状態では、識別セグ上位桁及び比率セグ上位桁において「0.」と表示し、識別セグ下位桁及び比率セグ下位桁において「−。」と表示している。
さらに、
図29に示す例1では、
図29(a)に示す表示状態を1秒間維持する。なお、1秒間のカウントは、割込み処理の回数で計測することが挙げられる。たとえば、
図29(a)の表示を開始したときに、カウンタに「447(D)」をセットし、割込み処理ごとに「1」ずつ減算し、「0」になったときは、
図29(a)の表示を終了することが挙げられる。これにより、「2.235×447=999.045ms」間、
図29(a)の表示を維持することができる。
【0430】
図29(a)の約1秒間の表示を終了すると、次に、
図29(b)の表示に移行する。
また、
図29(b)の表示は、
図29(a)の表示に対し、「0.」を表示するLEDと、「−。」を表示するLEDとを入れ替えたものである。すなわち、
図29(b)の表示は、
図29(a)の表示とは逆に、識別セグ上位桁及び比率セグ上位桁において「−。」と表示し、識別セグ下位桁及び比率セグ下位桁において「0.」と表示している。
さらに、
図29(a)の場合と同様に、
図29(b)に示す表示状態を、1秒間(447割込み)継続する。
【0431】
以上の
図29(a)及び
図29(b)の表示内容を1秒ごとに切り替えて表示し、それを5秒間実行する。したがって、
図29中、(c)及び(e)は、(a)と同じ表示内容であり、また、(d)は、(b)と同じ表示内容である。
そして、テストパターンの表示(5秒間)を終了すると、通常の比率表示に移行する。
図29中、(f)は、「7。U.5。0。」と有利区間比率を表示した例を示している。また、有利区間比率に代えて、役物比率を表示してもよい。
【0432】
以上のように、LEDに「0.」及び「−。」を表示すると、すべてのセグメント(A〜G及びDP)について、点灯状態と消灯状態とを作り出すことができるので、セグメント不良(点灯することができない、あるいは消灯することができない)を目視で容易に判断することができる。
また、比率を表示する場合において、識別セグ及び比率セグのいずれも、「0.−。」と表示したり、「−。0.」と表示したりする場合はない。したがって、テストパターンと、本来の比率表示とを混同するおそれはない。
【0433】
図30は、管理情報表示LED74のテストパターン表示の例2を示す図である。
図29の例1では、1秒ごとに表示内容を変え、5秒間、テストパターンを表示した。このようなテストパターンは、上述したように、電源投入に基づく所定のタイミングから5秒以内や、設定変更開始処理から5秒以内に表示する場合に好適である。
これに対し、
図30に示すテストパターン表示の例2は、設定変更中、設定確認中、又はRWM異常エラー中のように、所定の終了条件を満たすまでテストパターンを表示するときに好適である。
なお、
図29のテストパターン表示を、所定の終了条件を満たすまで表示する場合に用いてもよいのはもちろんである。
同様に、
図30のテストパターン表示を、テストパターン表示の開始条件を満たしたときから所定期間内に表示する場合に用いてもよいのはもちろんである。
【0434】
図30の例2では、すべてのLEDのすべてのセグメントを点灯させた状態である「8.8.8.8.」と、すべてのLEDのすべてのセグメントを消灯させた状態である「*。*。*。*。」(「*」は、セグメントA〜Gが消灯であること示す。)とを、交互に繰り返すものである。換言すれば、「8.8.8.8.」を点滅表示するパターンである。
図30の例2では、
図30(a)に示す全セグメントの点灯状態を0.3秒間維持し、次に、
図30(b)に示す全セグメントの消灯状態を0.3秒間維持する。そして、
図30(a)に示す点灯状態と
図30(b)に示す消灯状態とを繰り返すことにより、点滅状態とする。
【0435】
第10実施形態では、点滅間隔を0.3秒に設定している。たとえば、タイマの初期値として「134(D)」を設定し、2.235msの割込み処理ごとにタイマ値を「1」ずつ減算し、タイマ値が「0」となったときは、点灯時間又は消灯時間が経過したと判断する。これにより、割込み回数「134」をカウントすることにより、「299.49」msをカウントすることができる。
【0436】
図30のテストパターン表示の例2においても、「8.」と「*。」とにより、全セグメントについて、点灯状態と消灯状態とを作り出すことができる。よって、セグメント不良(点灯することができない、あるいは消灯することができない)を目視で容易に判断することができる。
また、比率を表示する場合において、識別セグ及び比率セグのいずれも、「8.8.」と表示することはない。たとえば、比率が88%に到達すると、いずれの比率であっても点滅表示となるが、その場合には、「8。8。」と表示され、セグメントDPは点灯しない。これに対し、「8.8.」の表示は、セグメントDPも点灯しているので、両者を混同することはない。
【0437】
<付記>
本願の当初明細書等に記載した発明(当初発明)は、たとえば以下の当初発明1〜8を挙げることができ、それぞれ、当初発明が解決しようとする課題、当初発明に係る課題を解決するための手段及び当初発明の効果は、以下の通りである。ただし、本明細書に記載した発明は、当初発明1〜8に限ることを意味するものではない。
【0438】
1.当初発明1
(a)当初発明1が解決しようとする課題
当初発明は、電源断が発生した後に、遊技媒体に係る処理を実行しないようにした遊技機に関するものである。
従来の遊技機において、電源断処理としてバックアップ処理を実行する前にブロッカをオフにすることで、バックアップ処理の実行中にメダルが投入されても、そのメダルをブロッカを介して遊技者に返却することで、そのメダルの加算処理を行わないようにした技術が知られている(たとえば、特開2015−173832号公報)。
しかし、たとえばメダル投入口からメダルが投入された瞬間に電源断が発生したような場合には、電源断処理が実行される前にメダルがブロッカを通過してしまい、そのメダルがカウントされてしまう可能性があった。なお、電源断の発生後に、メダルの加算処理(メダルベット処理やメダルクレジット処理)を実行することは、制御上、好ましくない。
当初発明が解決しようとする課題は、遊技媒体投入口から遊技媒体が投入されたときと略同時に電源断が発生したときであっても、遊技媒体の加算処理が実行されないようにすることである。
【0439】
(b)当初発明1の課題を解決するための手段(なお、かっこ書きで、対応する実施形態を記載する。)
当初発明(第1実施形態(A))は、
遊技媒体投入口(メダル投入口47)と、
遊技媒体投入口から投入された遊技媒体(メダル)の通路(メダル通路)中に設けられ、遊技媒体の通過を許可する状態(オン状態)又は遊技媒体の通過を不許可にする状態(オフ状態)に制御可能なブロッカ(45)と、
遊技媒体投入口から投入された遊技媒体の通路中に設けられ、遊技媒体を検知可能な検知手段A(投入センサ44a)及びB(投入センサ44b)(検知手段Bは、検知手段Aより下流側に位置する)と
を備え、
遊技媒体の通過を許可する状態に前記ブロッカを制御している状況にて電源の供給が遮断される事象が発生した時から、当該電源の供給が遮断される事象を検知して、遊技媒体の通過を不許可にする状態に前記ブロッカを制御するまでの時間をT1(
図2及び
図3中、T1)とし、
遊技媒体の通過を許可する状態に前記ブロッカを制御している状況にて遊技媒体が前記遊技媒体投入口から遊技機内部に向けて放たれる場合において、当該遊技媒体が遊技機正面から視認不可能となった時(
図2中、M2の位置)から、当該遊技媒体を検知手段Bが検知して、当該遊技媒体を検知手段Bが検知しなくなるまで(
図2中、M4の位置)の時間をT2(
図2及び
図3中、T2)としたとき、
T1<T2
となるようにする
ことを特徴とする。
【0440】
(c)当初発明1の効果
当初発明によれば、遊技媒体が遊技媒体投入口から遊技機内部に向けて放たれ、その遊技媒体が遊技機正面から視認不可能となった時に電源断が発生した場合に、その遊技媒体を検知手段Bが検知しなくなるまでに、電源の供給が遮断される事象を検知して遊技媒体の通過を不許可にする状態にブロッカを制御するので、遊技媒体は、少なくとも検知手段Bに検知されることはない。
よって、その遊技媒体は、検知手段A及びBによって正常に検知されないので、遊技媒体の加算処理(ベット処理やクレジット処理)は実行されない。したがって、遊技媒体が遊技機正面から視認不可能となった時に電源断が発生した場合、すなわち、遊技機内部に遊技媒体が放たれた直後に電源断が発生した場合であっても、その遊技媒体を受け付けないようにすることができる。これにより、電源断の発生後に、遊技媒体の加算処理が実行されないようにすることができる。
【0441】
2.当初発明2
(a)当初発明2が解決しようとする課題
当初発明は、制御基板を内部に収容した基板ケースを備える遊技機において、基板ケースのゲート跡に関するものである。
従来の遊技機において、メイン制御基板を内部に収容した基板ケースが知られている。ここで、基板ケースは、一般に、成型によって形成されているので、基板ケースにはゲート跡が残る。そして、このゲート跡を目印とする技術が提案されている(たとえば、特開2017−042270号公報)。
しかし、基板ケースのゲート跡は、樹脂の切断部分を有することから、外部から見て不鮮明である。このため、ゲート跡を開口し、メイン制御基板の内部にアクセスされるおそれがあるという問題がある。
当初発明が解決しようとする課題は、基板ケースのゲート跡を利用したゴト行為を抑制することである。
【0442】
(b)当初発明2の課題を解決するための手段(なお、かっこ書きで、対応する実施形態を記載する。)
当初発明(第2実施形態)は、
演算機能を備えた所定のIC(メインCPU55)と、
一方の面(上カバー57の上面と対向する面)に前記所定のICを搭載した制御基板(メイン制御基板50)と、
複数の面(上面、側面等)を有しており、前記制御基板を収容する基板ケース(上カバー57及び下カバー58からなる基板ケース56)と
を備え、
前記基板ケースは、内部が視認可能に形成され、
前記基板ケースの外側であり、かつ前記制御基板の前記一方の面と対向している面(上カバー57の上面外側)に、前記基板ケースの成型時のゲート跡(57b)を配置し、
前記ゲート跡から前記対向している面の垂直方向には、前記制御基板の前記所定のICが位置しないようにする
ことを特徴とする。
【0443】
(c)当初発明2の効果
当初発明によれば、基板ケースのゲート跡の垂直方向には、制御基板の所定のICが位置しないので、ゲート跡を不正に開口し、所定のICにアクセスすることを防止することができる。
また、制御基板の所定のICの垂直方向には、基板ケースのゲート跡が存在しないので、ゲート跡に遮られることなく所定のICを目視で確認することができる。これにより、所定のICに対して不正が行われていないか否かを目視で容易に確認することができる。
【0444】
3.当初発明3
(a)当初発明3が解決しようとする課題
当初発明は、メイン制御基板とサブ制御基板との間の通信において、断線が発生した後、断線から通信が復帰したときの処理に関するものである。
従来の遊技機において、メイン制御基板からサブ制御基板に対してコマンドを送信し、サブ制御基板は、受信したコマンドに基づいて、画像表示装置等を制御する遊技機が知られている。
ここで、サブ制御基板は、前回受信したコマンドと今回受信したコマンドとを対比し、受信したこれらのコマンドの整合性に基づいて、コマンド受信異常と判断する技術が知られている(たとえば、特開2014−226503号公報)。
しかし、メイン制御基板からサブ制御基板にコマンドを送信する場合において、メイン制御基板とサブ制御基板との間で断線が発生する場合があった。そして、通信が復帰したときに、サブ制御基板が正常な演出を出力できなくなるおそれがある。
当初発明が解決しようとする課題は、メイン制御基板とサブ制御基板との間で断線が発生した後、通信が復帰したときの演出を適正なものとすることである。
【0445】
(b)当初発明3の課題を解決するための手段(なお、かっこ書きで、対応する実施形態を記載する。)
当初発明(第3実施形態)は、
メイン制御基板(50)と、
前記メイン制御基板から受信した情報に基づいて、演出を制御するサブ制御基板(80)と
を備え、
前記サブ制御基板は、前記メイン制御基板から、操作されたストップスイッチ(42)の情報を受信可能とし、
前記サブ制御基板は、所定の遊技状態(AT)では、操作されたストップスイッチの情報を受信したことに基づいて、そのストップスイッチの操作に対応する演出を出力可能とし、
前記サブ制御基板は、
前記所定の遊技状態における「N」遊技目で所定のストップスイッチが操作された場合において、当該所定のストップスイッチが操作された情報を受信したときは、当該所定のストップスイッチの操作に対応する所定演出(所定のストップスイッチに対応するリールが停止時の演出)を出力し、その後、「N」遊技目における残りすべてのストップスイッチが操作される前に前記メイン制御基板からの情報が受信不能となり、その後、「N+a」遊技目で前記メイン制御基板からの情報が受信可能となり、その後、「N+a」遊技目で、前記所定のストップスイッチとは異なる特定のストップスイッチが操作された情報を受信したときは、当該特定のストップスイッチの操作に対応する演出であって前記所定演出に関連する演出(所定演出に続く演出であって、特定のストップスイッチに対応するリールが停止時の演出)を出力し、その後、「N+a+1」遊技目で所定の情報を受信したときは、当該所定の情報に基づいて、「N+a+1」遊技目の演出を出力する
ことを特徴とする。
【0446】
(c)当初発明3の効果
当初発明によれば、「N+a」遊技目の途中で通信が復帰したときは、それまで出力していた「N」遊技目の所定演出に関連する演出を出力するので、「N+a」遊技目では、「N」遊技目に続く演出を出力することができる。そして、「N+a+1」遊技目に移行したときに正常な演出に復帰するので、「N+a」遊技目の途中で、通信の復帰によって演出が突然変化することをなくすことができる。これにより、断線の発生前後において、違和感のない演出を出力することができる。
【0447】
4.当初発明4
(a)当初発明4が解決しようとする課題
当初発明は、ストップスイッチを高速で操作可能とする遊技機に関するものである。
従来の遊技機では、ストップスイッチが操作されると、そのストップスイッチに対応するリールを、抽選結果に対応する所定位置に停止させる。また、リールを所定位置に停止させた後、所定時間、モータを励磁状態とする。ここで、操作したストップスイッチがオン状態であるときや、モータを励磁状態にしているときは、次のストップスイッチの操作を受け付けないようにしている。
ここで、最初のストップスイッチが操作されてから、リールステータスが停止状態となるまでは、2番目のストップスイッチが操作されても、その停止操作を受け付けないようにした技術が知られている(たとえば、特開2017−093576号公報参照)。
しかし、前述の従来の技術において、ストップスイッチが操作された後、次のストップスイッチの操作が受付け可能となるまでの時間が長いと、遊技を高速で消化することができないという問題がある。
当初発明が解決しようとする課題は、ストップスイッチを高速で操作可能とすることである。
【0448】
(b)当初発明4の課題を解決するための手段(なお、かっこ書きで、対応する実施形態を記載する。)
当初発明(第4実施形態)は、
リール(31)と、
前記リールを回転させるためのモータ(32)と、
ストップボタン(停止ボタン42a)の操作が検知されたことに基づいて、前記モータを駆動制御して前記リールの回転を停止させるリール制御手段(65)と、
内部抽せん手段(役抽選手段61)と
を備え、
前記ストップボタンを最深部(
図12(c)に示す位置)まで押し込むまでの間に前記ストップボタンの操作を検知するセンサ(検知センサ42e)がオンとなり、前記ストップボタンの押し込みを解除すると前記ストップボタンが付勢力によって初期位置(
図12(a)に示す位置)に移動可能とし、かつ、前記ストップボタンが初期位置に移動するまでの間に前記センサがオフとなるように構成されており、
前記内部抽せん手段が所定の結果を決定した遊技において、前記リール制御手段によりすべてのリールが回転している状況下で、所定のタイミングで所定のリールに対する前記ストップボタンの操作がなされ、当該所定のリールに対する前記ストップボタンの前記センサのオンを検知した後、当該所定のリールを停止させるための励磁状態(4相励磁状態)とし、当該励磁状態としてから所定時間(
図13中、T12)が経過したときは、当該励磁状態を終了するように構成されており、
最深部まで押し込まれた前記ストップボタンの押し込みが解除された瞬間から前記センサがオフになるまでの時間をT1(
図13中、T11)とし、前記所定時間をT2としたとき、
T1<T2
となるようにする
ことを特徴とする。
【0449】
(c)当初発明4の効果
当初発明によれば、リールの停止時におけるモータの励磁状態の開始と、最深部まで押し込まれたストップボタンの押し込みが解除された瞬間とが同時であると仮定したときに、センサがオフになった後に励磁状態が終了する。したがって、モータの励磁状態が終了したタイミングで、次のストップボタンの操作を受付け可能にすることができる。
【0450】
5.当初発明5
(a)当初発明5が解決しようとする課題
当初発明は、メダル払出し装置の制御に関するものである。
従来の遊技機において、1枚のメダルを払い出すときに、約100msの時間を要することが知られている(たとえば、特開2016−214434号公報)。
ここで、ホッパーディスクを回転させるためのホッパーモータとして、DCモータ(直流モータ)が用いられるが、DCモータは、一定の電流を流すと、駆動軸の回転が停止した状態から徐々に加速していき、その後、一定速度(定速)に到達する。
このため、ホッパーモータの駆動開始から最初のメダルが排出されるまでに、ホッパーモータの駆動軸の回転が徐々に加速していくので、ホッパーモータの駆動開始から最初のメダルが排出されるまでに要する時間が、ホッパーモータの駆動軸が定速で回転しているときにおけるメダルの排出間隔より長くなり、最初のメダルの排出が遅れたという感覚を遊技者に与えてしまう可能性を有する。
当初発明が解決しようとする課題は、最初のメダルの排出が遅れたという感覚を遊技者に与えないようにすることである。
【0451】
(b)当初発明5の課題を解決するための手段(なお、かっこ書きで、対応する実施形態を記載する。)
当初発明(第6実施形態)は、
メダルを貯留するホッパー(35)と、
前記ホッパーに設けられているホッパーディスク(101)と、
前記ホッパーディスクを回転させるホッパーモータ(36)と、
前記ホッパーモータの駆動を制御する制御手段(メイン制御基板50)と
を備え、
前記ホッパーディスクには、前記ホッパー内に貯留されているメダルを保持可能な保持部(102)が、前記ホッパーディスクの外周に沿って複数(8個)設けられ、
前記ホッパーモータが駆動して前記ホッパーディスクが回転すると、前記保持部に保持されているメダルが排出部(103)から順次排出されるように形成され、
一の払い出し処理における最後の排出メダルが前記排出部から排出された瞬間における、当該最後の排出メダルが保持されていた前記保持部の位置を、第1位置とし、
前記一の払い出し処理における最後の排出メダルが前記排出部から排出された瞬間における、次回の払い出し処理における最初の排出メダルが保持されている前記保持部の位置を、第2位置とし、
前記制御手段は、前記一の払い出し処理を終了するときは、前記次回の払い出し処理における最初の排出メダルが保持されている前記保持部が、第1位置と第2位置との間に位置した状態で、前記ホッパーディスクの回転が停止するように、前記ホッパーモータの駆動を制御する
ことを特徴とする。
【0452】
(c)当初発明5の効果
当初発明によれば、最初の排出メダルを保持する保持部が、第1位置と第2位置との間で停止していると、第1位置に到達するまでの距離が、第2位置で停止したときより短くなる。これにより、第1位置に到達するまでの時間も、第2位置で停止したときより短くなるので、ホッパーモータの駆動軸の回転が徐々に加速したとしても、最初のメダルの排出が遅れたという感覚を遊技者に与えないようにすることができる。
【0453】
6.当初発明6
(a)当初発明6が解決しようとする課題
当初発明は、キャビネットの内部に取り付けられたメイン制御基板と、フロントドアの裏面に取り付けられたサブ制御基板との配置に関するものである。
従来の遊技機において、演出を制御するためのサブ制御基板上に蓄電用の電解コンデンサを備えたものが知られている(たとえば、特開2014−131656号公報)。
ここで、蓄電用の電解コンデンサ内には電解液が充填されているが、電解コンデンサが不具合により破裂し、充填されている電解液が飛散して、メイン制御基板上のメインCPUに付着すると、メインCPUが誤作動を起こす可能性を有する。また、電解コンデンサが破裂したときの衝撃により、メインCPUが破損してしまう可能性も有する。
当初発明が解決しようとする課題は、不具合により電解コンデンサが破裂して、電解液が飛散しても、メインCPUが誤作動を起こさないようにすることである。また、不具合により電解コンデンサが破裂しても、そのときの衝撃により、メインCPUが破損しないようにすることである。
【0454】
(b)当初発明6の課題を解決するための手段(なお、かっこ書きで、対応する実施形態を記載する。)
当初発明(第7実施形態)は、
キャビネット(13)と、
前記キャビネットに開閉可能に取り付けられているフロントドア(12)と、
遊技の進行を制御するメイン制御基板(50)と、
演出を制御するサブ制御基板(80)と
を備え、
前記メイン制御基板は、前記キャビネットの内部に取り付けられ、
前記サブ制御基板は、前記フロントドアの裏面に取り付けられ、
前記メイン制御基板と前記サブ制御基板とは前記フロントドアを閉じた状態において対向するように配置され、
前記メイン制御基板には、メインCPU(55)が配置され、
前記サブ制御基板における、前記メインCPUと対向する位置以外の位置に、電解コンデンサ(86)が配置されている
ことを特徴とする。
【0455】
(c)当初発明6の効果
当初発明によれば、サブ制御基板における、メインCPUと対向する位置以外の位置に、電解コンデンサを配置しているので、不具合により電解コンデンサが破裂して、電解液が飛散しても、飛散した電解液がメインCPUに付着しないようにすることができ、これにより、メインCPUが誤作動を起こさないようにすることができる。
また、電解コンデンサが破裂しても、その衝撃をメインCPUが直接受けないようにすることができ、これにより、メインCPUが破損しないようにすることができる。
【0456】
7.当初発明7
(a)当初発明7が解決しようとする課題
当初発明は、メイン制御基板側でのリールの停止制御と、サブ制御基板側での演出の出力の制御とに関するものである。
従来の遊技機において、複数種類の演出内容を実行可能であり、特別役に当選しているとき(内部中)と、特別役に当選していないとき(非内部中)とで、各演出内容の選択確率が異なるものが知られている(たとえば、特開2013−146608号公報)。
しかし、上述した従来の遊技機では、内部中及び非内部中のいずれにおいても、内部抽せんの抽せん結果にかかわらず演出内容を選択していた。
当初発明が解決しようとする課題は、内部抽せんの抽せん結果に応じて、出力する演出を適切に決定することである。
【0457】
(b)当初発明7の課題を解決するための手段(なお、かっこ書きで、対応する実施形態を記載する。)
当初発明(第9実施形態)は、
複数個の図柄を表示した複数のリール(31)と、
各前記リールを停止させるときに遊技者が操作する複数のストップスイッチ(42)と、
遊技の進行を制御するメイン制御手段(メイン制御基板50)と、
演出を制御するサブ制御手段(サブ制御基板80)と
を備え、
前記メイン制御手段は、
第1抽せん結果(たとえば、非内部中に「BB」単独当選)となる場合、又は第2抽せん結果(たとえば、BB内部中に「非当選」)となる場合を有するように抽せんを行う内部抽せん手段(役抽選手段61)と、
前記ストップスイッチが操作された瞬間の前記リールの位置に対応する前記リールの停止位置を定めた複数の停止位置決定テーブルと、
いずれかの前記停止位置決定テーブルを用いて前記リールの停止位置を決定し、決定した停止位置で前記リールを停止させるリール制御手段(65)と
を備え、
前記リール制御手段は、第1抽せん結果となった遊技と、第2抽せん結果となった遊技とで、同一の前記停止位置決定テーブルを用いて、前記リールの停止位置を決定し、
前記サブ制御手段は、
出力する演出を定めた複数の演出決定テーブルと、
いずれかの前記演出決定テーブルを用いて出力する演出を決定し、決定した演出を出力する演出出力制御手段(91)と
を備え、
前記演出出力制御手段は、第1抽せん結果となった遊技と、第2抽せん結果となった遊技とで、異なる前記演出決定テーブルを用いて、出力する演出を決定する
ことを特徴とする。
【0458】
(c)当初発明7の効果
当初発明によれば、内部抽せん手段で第1抽せん結果となった遊技と第2抽せん結果となった遊技とで、メイン制御手段側ではリール制御手段は同一の停止位置決定テーブルを用いてリールの停止位置を決定するが、サブ制御手段側では演出出力制御手段は異なる演出決定テーブルを用いて出力する演出を決定する。
これにより、メイン制御手段側でのリールの停止制御が同一でも、サブ制御手段側で異なる演出を出力することができ、演出を多様化することができる。
【0459】
8.当初発明8
(a)当初発明8が解決しようとする課題
当初発明は、キャビネットとフロントドアとの間の間隙に関するものである。
従来の遊技機において、キャビネットの前面側の開口の縁部に、外方に突出する突出辺を設け、フロントドアを閉じたときに、突出辺がフロントドアの内側に収容されるように構成することにより、キャビネットとフロントドアとの間隙を屈曲させて、異物の侵入を困難にしたものが知られている(たとえば、特開2005−198949号公報)。
しかし、フロントドアを少し開け、突出辺がフロントドアから外れるようにして、キャビネットとフロントドアとの間隙から異物を侵入させることが考えられる。
当初発明が解決しようとする課題は、フロントドアを少し開けて、キャビネットとフロントドアとの間隙から異物を侵入させる不正行為(ゴト行為)を防止することである。
【0460】
(b)当初発明8の課題を解決するための手段(なお、かっこ書きで、対応する実施形態を記載する。)
当初発明(第8実施形態)は、
キャビネット(13)と、
前記キャビネットに開閉可能に取り付けられているフロントドア(12)と、
前記フロントドアの開放を検知するドアセンサと
を備え、
前記キャビネットの下部には、前記フロントドアを閉じた状態では前記フロントドア方向へ向けて突出している第1閉塞部(13c)が設けられ、
前記フロントドアの下部における、第1閉塞部より下方の位置には、前記フロントドアを閉じた状態では前記キャビネット方向へ向けて突出している第2閉塞部(12a)が設けられ、
前記フロントドアの下部における、第1閉塞部より上方の位置には、前記フロントドアを閉じた状態では前記キャビネット方向へ向けて突出している第3閉塞部(12b)が設けられ、
前記フロントドアを閉じた状態では、第2閉塞部と第3閉塞部との間に第1閉塞部が配置されるように形成され、
前記ドアセンサが前記フロントドアの開放を最初に検知するときの前記フロントドアの位置を検知開始位置とし、
前記フロントドアが前記検知開始位置にある状態でも、第2閉塞部と第3閉塞部との間に第1閉塞部が配置されているように形成されている
ことを特徴とする。
【0461】
(c)当初発明8の効果
当初発明によれば、フロントドアを閉じた状態から開けると、まず、ドアセンサがフロントドアの開放を検知し、その後に、第2閉塞部と第3閉塞部との間から第1閉塞部が抜けることになる。また、ドアセンサがフロントドアの開放を検知すると、フロントドアが開いている旨を報知可能となる。
このため、フロントドアが開いている旨を報知可能となる前に、第2閉塞部と第3閉塞部との間から第1閉塞部が抜けることはなく、フロントドアが開いている旨を報知可能となる位置においても、キャビネットとフロントドアとの間隙は屈曲した形状であるので、キャビネットとフロントドアとの間隙から異物を侵入させる不正行為(ゴト行為)を防止することができる。