(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850008
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】シフトノブカバー
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20210322BHJP
G05G 1/06 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
B60K20/02 A
G05G1/06
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-89418(P2018-89418)
(22)【出願日】2018年5月7日
(65)【公開番号】特開2019-196033(P2019-196033A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591162136
【氏名又は名称】サンショウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】安田 浩章
【審査官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
中国実用新案第204659452(CN,U)
【文献】
特開2011−200548(JP,A)
【文献】
中国実用新案第206690875(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/00
G05G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシフトノブに脱着可能に取り付けられるシフトノブカバーであって、
前記シフトノブを覆う袋形状のカバー本体と、
前記カバー本体の前側に設けられ、前記カバー本体を前記シフトノブに取り付けるための上下方向長手状のスライドファスナーとを備え、
前記カバー本体は、
下面開口部と、
前記カバー本体の前側において前記下面開口部から上方へ切り欠かれた上下方向長手状で矩形状の切欠部と、
前記スライドファスナーの上方側であって前記カバー本体の前側上部に位置し、前記車両の運転者である操作者が前記シフトノブを把持して操作する際に指の腹面を当てる上下方向長手状で矩形状の指当て部とを有し、
前記スライドファスナーは、前記カバー本体のうち前記切欠部に臨んだ部分に設けられ、
前記指当て部は、前記切欠部と同じ幅でかつ前記切欠部よりも上下方向長さ寸法が短い矩形状に形成されている
ことを特徴とするシフトノブカバー。
【請求項2】
車両のシフトノブに脱着可能に取り付けられるシフトノブカバーであって、
前記シフトノブを覆う袋形状のカバー本体と、
前記カバー本体の前側に設けられ、前記カバー本体を前記シフトノブに取り付けるための上下方向長手状のスライドファスナーとを備え、
前記カバー本体は、
前記スライドファスナーの閉状態時に円形状をなす下面開口部と、
前記カバー本体の前側において前記下面開口部から上方へ切り欠かれた上下方向長手状で矩形状の切欠部と、
前記スライドファスナーの上方側であって前記カバー本体の前側上部に位置し、前記車両の運転者である操作者が前記シフトノブを把持して操作する際に指の腹面を当てる上下方向長手状で矩形状の指当て部とを有し、
前記スライドファスナーは、
前記カバー本体のうち前記切欠部に臨んだ部分に取り付けられた上下方向長手状の左右のテープと、
前記各テープの互いに対向する対向縁部にそれぞれ固着されたエレメントと、
下方への移動によって前記両エレメントを互いに噛み合わせるとともに、上方への移動によって前記両エレメントを互いに離すスライダーと、
前記各テープの下端部に取り付けられ、前記スライダーの下方への移動を規制する下止とを有し、
前記指当て部は、前記切欠部と同じ幅でかつ前記切欠部よりも上下方向長さ寸法が短い矩形状に形成されている
ことを特徴とするシフトノブカバー。
【請求項3】
スライドファスナーの閉状態時におけるカバー本体の下面開口部の開口径は、車両のシフトノブの外径よりも小さく、
前記スライドファスナーの閉状態時において、前記シフトノブに対する前記カバー本体の取付状態が維持され、
前記スライドファスナーの開状態時には、スライダーが指当て部の下端部との当接により上方への移動が規制されかつ切欠部が開口した状態で、前記カバー本体内に前記シフトノブの把持部が挿入される
ことを特徴とする請求項2記載のシフトノブカバー。
【請求項4】
カバー本体の指当て部の上下方向長さ寸法は、スライドファスナーの上下方向長さ寸法の少なくとも半分以上である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のシフトノブカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシフトノブに脱着可能に取り付けられるシフトノブカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の非特許文献1に記載されたシフトノブカバーが知られている。
【0003】
この従来のシフトノブカバーは、黒色の天然皮革(本皮)に赤色のステッチを施して構成したものであり、これを車両のシフトノブに取り付ける場合には、付属の針と紐(縫い糸)を用いて靴紐を編むように締め上げる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】[online]、楽天市場、[平成30年5月2日検索]、インターネット<URL:https://item.rakuten.co.jp/auc-topsense/10002936/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば針を使って縫うことに慣れていない者にとっては、上記従来のシフトノブカバーを縫い付ける取付作業は容易ではなく、その取付作業に手間取るおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、車両のシフトノブに容易に取り付けることができるシフトノブカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシフトノブカバーは、車両のシフトノブに脱着可能に取り付けられるシフトノブカバーであって、前記シフトノブを覆う
袋形状のカバー本体と、
前記カバー本体
の前側に設けられ
、前記カバー本体を前記シフトノブに取り付けるための上下方向長手状のスライドファスナーとを備え
、前記カバー本体は、前記スライドファスナーの上方側であって前記カバー本体の前側上部に位置し、前記車両の運転者である操作者が前記シフトノブを把持して操作する際に指を当てる指当て部を有するものである。
【0008】
また、本発明に係るシフトノブカバーは、車両のシフトノブに脱着可能に取り付けられるシフトノブカバーであって、前記シフトノブを覆う袋形状のカバー本体と、前記カバー本体の前側に設けられ、前記カバー本体を前記シフトノブに取り付けるための上下方向長手状のスライドファスナーとを備え、前記カバー本体は、前記スライドファスナーの閉状態時に円形状をなす下面開口部と、前記カバー本体の前側において前記下面開口部から上方へ切り欠かれた上下方向長手状の切欠部と、前記スライドファスナーの上方側であって前記カバー本体の前側上部に位置し、前記車両の運転者である操作者が前記シフトノブを把持して操作する際に指を当てる指当て部とを有し、前記スライドファスナーは、前記カバー本体のうち前記切欠部に臨んだ部分に取り付けられた上下方向長手状の左右のテープと、前記各テープの互いに対向する対向縁部にそれぞれ固着されたエレメントと、下方への移動によって前記両エレメントを互いに噛み合わせるとともに、上方への移動によって前記両エレメントを互いに離すスライダーと、前記各テープの下端部に取り付けられ、前記スライダーの下方への移動を規制する下止とを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両のシフトノブに容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るシフトノブカバーの斜視図である。
【
図3】同上シフトノブカバーのスライドファスナーの開状態時の正面図である。
【
図4】同上シフトノブカバーの下面開口部の開口径の説明図である。
【
図5】(a)ないし(c)は同上シフトノブカバーの作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1ないし
図3において、1はシフトノブカバーで、このシフトノブカバー1は、車両である自動車のシフトノブ2に後付けにより脱着可能に取り付けられるものである。
【0013】
なお、シフトノブ2は、自動車のトランスミッションに接続された丸棒状のシフトレバー3の先端部(上端部)に取り付けられた取手であり、操作者が把持し易い形状、すなわち例えば略逆円錐形状に形成されている。
【0014】
シフトノブカバー(車両シフトノブ用のカバー)1は、シフトノブ2に脱着可能に取り付けられてこのシフトノブ2を覆う袋形状のカバー本体6と、このカバー本体6の前側における上端側部分を除く部分に設けられ、当該カバー本体6をシフトノブ2に脱着可能に取り付けるための上下方向長手状の開閉可能なスライドファスナー(線ファスナー)7とを備えている。
【0015】
カバー本体6は、可撓性を有するシート状の素材(例えば天然皮革や合成皮革等の皮革)によって、シフトノブ2の把持部2aの形状に対応する袋形状(把持部2aの外面全体に略密着する袋形状)に形成されている。
【0016】
このカバー本体6は、円形状(略円形状を含む)の下面開口部11と、この下面開口部11から上方へ切り欠かれた上下方向長手状で矩形状の切欠部12と、この切欠部12の上方側に位置する上下方向長手状で矩形状の指当て部13とを有し、この指当て部13は、切欠部12と同じ幅でその切欠部12よりも短い矩形状に形成されている。
【0017】
また、カバー本体6は、シフトノブ2の把持部2aの周側面のうち、上下に並ぶ指当て部13及びスライドファスナー(ファスナー部)によって覆われる部分以外の部分を覆う周側面カバー部15と、シフトノブ2の把持部2aの上面を覆う上面カバー部16とを有している。
【0018】
つまり、シフトノブ2の把持部2aの周側面は、カバー本体6の周側面カバー部15及び指当て部13と閉状態のスライドファスナー7とによってその全体が覆われ、かつ、シフトノブ2の把持部2aの上面は、カバー本体6の上面カバー部16によってその全体が覆われる。
【0019】
ここで、カバー本体6の指当て部13は、シフトノブカバー1がシフトノブ2に取り付けられた状態時(カバー装着時)において、操作者(自動車の運転者)がシフトノブ2を把持して操作する際にその操作者の指(人差し指)の腹面を当てる部分である(
図5(C)を参照)。換言すると、この指当て部13は、シフトノブ2を把持して操作する際に操作者が人差し指を置く指置き部である。
【0020】
そして、
図2に示すように、閉状態のスライドファスナー7の上方側に位置する指当て部13の上下方向長さ寸法L1は、下方側に位置する閉状態のスライドファスナー7の上下方向長さ寸法L2の少なくとも半分以上、すなわち例えば5割以上6割以下の値であり、この図示した例ではL1は25mm、L2は45mmである。
【0021】
このため、操作者は、シフトノブ2を把持して操作する場合において、人差し指の腹面を、スライドファスナー7に対してではなく、シフトノブカバー1の前側上部に位置する指当て部13に当てた状態で、シフトノブ2を把持して操作することが可能である。
【0022】
なお、閉状態のスライドファスナー7の幅寸法は、指当て部13の幅寸法と同じ(略同じ含む)であり、人差し指の幅と同程度である。また、閉状態のスライドファスナー7は、正面視でシフトノブカバー1の左右方向中央部に配置されている。
【0023】
スライドファスナー7は、カバー本体6をシフトノブ2に対して脱着可能とするためのもので、カバー本体6のうち切欠部12に臨んだ部分に設けられている。
【0024】
このスライドファスナー7は、カバー本体6のうち切欠部12に臨んだ部分(切欠部12の周囲部分)に縫い付けにより取り付けられた上下方向長手状の布製の左右のテープ21と、この各テープ21の長手方向に沿った先端部(互いに対向する対向縁部)にそれぞれ固着された係合部であるエレメント(務歯)22と、下方である閉方向Cへの移動によって左右の両エレメント22を互いに噛み合わせるとともに、上方である開方向Oへの移動によって左右の両エレメント22を互いに離すスライダー23とを有している。なお、各テープ21の下端部には、スライダー23が下方へ跳び出すのを防止する下止24が取り付けられている。
【0025】
そして、スライドファスナー7は、スライダー23の開方向Oへの移動により略逆V字状の開状態(切欠部12の一部が開口する状態)となり、スライダー23の閉方向Cへの移動により閉状態(切欠部12が閉鎖される状態)となる。
【0026】
ここで、スライドファスナー7の開状態では、シフトノブ2をカバー本体6内に挿入可能であるが、スライドファスナー7の閉状態では、挿入したシフトノブ2をカバー本体6内から抜き出し不可能(挿出不可能)であり、シフトノブ2に対するカバー本体6の取付状態が維持される。
【0027】
すなわち、
図4の実線で示すように、スライドファスナー7の閉状態では、カバー本体6の下面開口部11の開口径Aがシフトノブ2の外径Bよりも小さいため、シフトノブ2は下面開口部11を通過できず、シフトノブ2に対するカバー本体6の取付状態、つまりカバー本体6によるシフトノブ2の把持部2aの覆い状態(被覆状態)が維持される。
【0028】
これに対し、
図4の二点鎖線で示すように、スライドファスナー7の開状態では、スライダー23の閉方向Cへの移動後にカバー本体6の周側面カバー部15を外方へ撓ませることで、下面開口部11をシフトノブ2の外径Bよりも大きく略U字状になるように拡げることができるため、シフトノブ2をカバー本体6内に対して挿入及び抜き出し可能である。
【0029】
次に、上記シフトノブカバー1の作用等を
図5を参照して説明する。
【0030】
自動車のシフトノブ2の把持部2aに対してシフトノブカバー1を取り付ける場合には、まず、スライダー23を開方向Oへ移動させることによって、スライドファスナー7を開状態にしてカバー本体6の切欠部12を開口させる。
【0031】
次いで、
図5(a)及び(b)に示すように、スライドファスナー7が開状態となっているシフトノブカバー1をシフトノブ2に向けて移動させることによって、シフトノブ2の把持部2aの上面が上面カバー部16に接触するまで、シフトノブ2の把持部2aをカバー本体6内に挿入する。
【0032】
その後、
図5(c)に示すように、スライダー23の閉方向Cへの移動によってスライドファスナー7を閉状態にして当該スライドファスナー7でカバー本体6の切欠部12を閉鎖すると、そのカバー本体6が、シフトノブ2の把持部2aに略密着状態で取り付けられて当該把持部2aを覆う。
【0033】
つまり、カバー本体6は、スライドファスナー7がスライダー23の移動に基づき開状態から閉状態に変更されることによって、シフトノブ2の把持部2aに対して固定的に取り付けられる。
【0034】
こうして、スライドファスナー7の開閉によって、シフトノブカバー1がシフトノブ2の把持部2aに取り付けられ、その結果、シフトノブ2の把持部2aの全体がそのシフトノブカバー1によって覆い隠される。
【0035】
なお、シフトノブカバー1をシフトノブ2の把持部2aから取り外す場合は、スライドファスナー7を開いてから、シフトノブカバー1を上方へ持ち上げればよい。
【0036】
そして、このようなシフトノブカバー1によれば、シフトノブ2への取り付けの際に針を使って縫う煩雑な作業は不要であるので、誰でもシフトノブカバー1をシフトノブ2に容易かつ適切に取り付けることができる。
【0037】
また、カバー本体6は、操作者がシフトノブ2を把持して操作する際に指を当てる所望寸法の指当て部13をスライドファスナー7の上方側(切欠部12の上方側)に有するため、操作者は、人差し指の腹面を指当て部13に当てることで、スライドファスナー7には触れずに、何ら違和感なくシフトノブ2を把持して操作することができる。
【0038】
さらに、スライドファスナー7の開状態ではシフトノブ2をカバー本体6内に挿入可能であるが、スライドファスナー7の閉状態では挿入したシフトノブ2をカバー本体6内から抜き出し不可能であるため、シフトノブ2に対するカバー本体6の取付状態を適切に維持でき、カバー本体6がシフトノブ2から不用意に外れるのを防止できる。
【0039】
なお、スライドファスナー7は、例えば
図2の二点鎖線で示すように、スライダー23の移動操作を容易にするために、紐部材31をスライダー23に結び付けてもよい。また、例えば図示しないが、紐部材31の代わりに、矩形板状の引き手をスライダー23に回動可能に取り付けてもよい。
【0040】
また、カバー本体6の素材(材質)は、天然皮革や合成皮革等の皮革には限定されず、例えば織物、編み物、不織布、フェルト等の布のほか、軟らかい弾性変形可能なゴムや合成樹脂等でもよい。
【0041】
さらに、カバー本体6は、例えば黒色を基調した皮革に赤色のステッチを施したものには限らず、車内のデザインに応じた意匠とすることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 シフトノブカバー
2 シフトノブ
6 カバー本体
7 スライドファスナー
11 下面開口部
12 切欠部
13 指当て部
21 テープ
22 エレメント
23 スライダー
24 下止
L1 指当て部の上下方向長さ寸法
L2 スライドファスナーの上下方向長さ寸法