【実施例1】
【0015】
本発明の長脚固定装置1は、4本の長脚によって起立するテーブルであって、2本の長脚が桟部によって連結され、ヒンジによって揺動可能にテーブルに装着された当該2本の長脚が連動して開脚および閉脚する構造のテーブルに用いる。
図1は、本発明の長脚固定装置1を備えたテーブル2であって、長脚固定装置1が、開脚した2本の長脚3の桟部4を把持した状態を示す、天板5の裏面から見た斜視図である。本実施例においては、天板5の裏面側を底面と表記することがある。長脚3はヒンジ6によってテーブル2に装着され、2本の長脚3は桟部4によって連結される。図示しない他の2脚も、テーブル2の裏面に他の長脚固定装置を備えることによって、全ての長脚を把持することができる。
【0016】
図2は、本発明の長脚固定装置1を備えたテーブル2であって、長脚固定装置1が、開脚した長脚3の桟部4を把持した状態を示す底面図である。桟部の中央には、断面が略コの字型の受座部7が桟部4の3面の一部を囲むように装着される。開脚状態では、長脚固定装置1のアーム8の先端部が受座部7に係止する。受座部7の固定手段は限定されるものではないが、一例として、ネジを用いる固定手段が挙げられる。
【0017】
図3は、本発明の長脚固定装置1を備えたテーブル2であって、長脚固定装置1が、閉脚した長脚3の桟部4を係止した状態を示す底面図である。閉脚状態では、長脚固定装置1のアーム8の長板部が天板5と平行となる位置で固定される。
【0018】
図4は本発明の長脚固定装置1を備えたテーブル2であって、長脚固定装置1が、開脚した長脚3の桟部4を把持した状態を示す
図2のA−A断面図である。また、
図5は、受座部7の斜視図である。アーム8は板状の部材を屈曲して形成された部品であり、内側に空間がある。アーム8の内部には、ラッチ9がアーム8の長手方向に摺動可能に収納される。
図6は、ラッチ9の斜視図である。開脚状態では、ラッチ9はラッチバネ10の付勢により爪部9aが受座部7の開口部7aおよび隆起部7bに係止する。
【0019】
ラッチ9の爪部9aの幅は、受座部7の開口部7aの幅より狭く、隆起部7bの幅より広くなるよう形成される。長脚固定装置1が、開脚した長脚3の桟部4を把持した状態では、爪部9aは開口部7aに進入して隆起部7bに当接する。このように、爪部9aが開口部7aおよび隆起部7bに係止した状態にあっては、受座部7はアーム8およびラッチ9によって把持された状態となり、受座部7が装着された桟部4と連結する長脚3の開脚状態が維持される。
【0020】
図7は、本発明の長脚固定装置1を備えたテーブル2であって、長脚固定装置1による開脚した長脚3の桟部4の把持が解除された状態を示す断面図である。切断線は、
図2のA−A線と同様である。本発明の長脚固定装置1は、レバー11の操作によって、アーム8の内部の機構を操作する。アーム8およびレバー11は、テーブル2の天板5に固定されるベース12に挿通されるアームピン13を軸として揺動する。また、アーム8およびレバー11は、ベース12に挿通されないカムピン14を共通の軸として有する。カムピン14は、レバーカム15を揺動可能とする支軸である。ベース12の固定手段は限定されるものではないが、一例として、ネジを用いる固定手段が挙げられる。
【0021】
図8は、レバーカム15の斜視図である。カムピン14が挿通されるピン穴15bの径はカムピン14の胴体部の径よりごく僅かに大きく形成され、レバー11のピン穴11bは長孔状に形成される。アーム8の図示しないピン穴の径も、ピン穴15bと同様に、カムピン14の胴体部の径よりごく僅かに大きく形成される。また、
図9は、リンク板16の斜視図である。リンク板16の爪部16bは、ラッチ9のリンク板受部9cと係合する。
【0022】
図7に示すように、レバー11を操作して天板5の側に僅かに押し込むと、レバー11の爪部11aと係合するレバーカム15は、レバー11の揺動に応じてカムピン14を軸として揺動する。このとき、未だ揺動していないアーム8にも挿通されるカムピン14の位置は変動しない。カムピン14の位置が変動せずとも、レバー11のピン穴11bは長孔状であるため、アームピン13を軸とするレバー11の僅かな揺動は許容される。レバーカム15は中央に掛板部15aを備え、リンク板16の基部16aと当接し、レバーカム15の揺動に従って、リンク板16をレバー11の方向に移動させる。リンク板16は、爪部16bを備え、爪部16bと係合するラッチ9と連動する。ラッチ9の内側にはラッチ受17と押板18が配置され、ラッチ受17および押板18が囲む空間にラッチバネ10が配置される。ラッチバネ10は、圧縮コイルバネであり、ラッチ受17の基部17aおよびラッチ9のバネ受部9bに係止し、ラッチ9およびラッチ受17に対して常に付勢する。
【0023】
アーム8およびラッチ9が、開脚した長脚3の桟部4を把持した
図2の状態においては、ラッチ9に付勢するラッチバネ10は、爪部9aが開口部7aに係止した状態を維持する。ラッチ受17および押板18は、アーム8に係止され、ラッチ9とは連動しない。レバー11による操作を端緒とするアーム8の内部の機構の協働によって、受座部7が装着された桟部4において、まず第1段階として、ラッチ9が摺動して受座部7との係止が解除される。このとき、把持が解除された桟部4は、
図7に示すとおり、アーム8によって係止されている。
【0024】
図10は、本発明の長脚固定装置1を備えたテーブル2であって、長脚3が閉脚または開脚の途中である状態を示す断面図である。切断線は、
図2または
図3のA−A線と同様である。桟部4とラッチ9の係止が解除された状態からさらにレバー11を押し込むと、第2段階としてカムピン14がアーム8と係止し、レバー11とアーム8は連動を開始し、アーム8はアームピン13を軸として揺動する。ここで、受座部7が装着された桟部4においては、アーム8と受座部7との係止が解除され、桟部4と連結する長脚3は、閉脚が可能となる。アームピン13は、ダブルトーション型のねじりコイルバネ19のコイル内に挿入される。ねじりコイルバネ19の腕部はレバー11の図示しないバネ受部に、ねじりコイルバネ19の中間部はベース12のバネ受部12aにそれぞれ係止され、レバー11に付勢する。そのため、レバー11を天板5の方向に押す操作は、一定の荷重を必要とする。
【0025】
図11は本発明の長脚固定装置1を備えたテーブル2であって、長脚固定装置1が閉脚した長脚3の桟部4を係止した状態を示す
図3のA−A断面図である。閉脚可能となった長脚3は、
図10の状態を経由して、
図11の閉脚状態に至らしめることができる。閉脚状態は、フック20の掛部20aがベースピン21に係合することによって維持される。ベースピン21はベース12に装着される。アーム8に装着されるフックピン22がフック20の支軸となり、フック20は、アーム8の揺動とともに連動する。
【0026】
図12は、フック20の斜視図である。フック20の爪部20bはリンク板16の爪受部16cと係合する。フック20は、レバー11の揺動と連動して、リンク板16の移動とともにフックピン22を軸として揺動する。フックピン22は、ダブルトーション型のねじりコイルバネ23のコイル内に挿入される。ねじりコイルバネ23の腕部はアーム8の図示しないバネ受部に、ねじりコイルバネ23の中間部はフック20のバネ受部20cにそれぞれ係止され、フック20に付勢する。長脚3が閉脚してレバー11の荷重がなくなったときは、フック20は、ねじりコイルバネ23の付勢によって揺動し、ベースピン21に係合する。フック20がベースピン21に係合した状態にあっては、アーム8はベース12に対して固定され、揺動ができない。このとき、桟部4はアーム8に係止されて、長脚3は開脚することができない。
【0027】
図13は、本発明の長脚固定装置1を備えたテーブル2であって、長脚固定装置1が、閉脚した長脚3の桟部4を係止した状態から、開脚可能となった状態を示す断面図である。切断線は、
図3のA−A線と同様である。レバー11を操作して天板5の側に僅かに押し込むと、まず第1段階として、レバーカム15およびリンク板16が連動し、フック20が揺動してフック20とベースピン21の係合が解除される。フック20とベースピン21の係合が解除された状態からさらにレバー11を押し込むと、第2段階としてカムピン14がアーム8と係止し、レバー11とアーム8は連動を開始し、アーム8はアームピン13を軸として揺動する。ここで、桟部4においては、天板5から離れる方向に揺動するアーム8と桟部4との係止が解除され、桟部4と連結する長脚3は、開脚が可能となる。開脚可能となった長脚3は、
図10の状態を経由して、
図4の開脚状態に至らしめることができる。
【0028】
本発明の長脚固定装置1のアーム8には、底面側からラッチ9を視認可能とする窓8aが設けられる。ラッチ9はレバー11の操作によって連動するため、レバー11が基準位置にあるときと、レバー11が押し込まれた状態にあるときでは、窓8aから視認できるラッチ9の部位が異なる。それぞれの位置に異なる色を配色することによって、アーム8の内部の機構の動作を確認しながら、長脚固定装置1の全体を操作することができる。
【0029】
本発明の長脚固定装置1は、桟部4をアーム8およびラッチ9によって把持するため、開脚状態の維持を、桟部4とアーム8を係合するための強力なバネに依存する必要がないという利点がある。また、レバー11の操作によって、第1段階として長脚3の固定状態の解除、第2段階としてアーム8の揺動という2段階の動作を可能とする機構としたことで、レバー11の操作のみで長脚3の固定を解除し、容易に長脚3の開閉を行うことができる。