(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のブランケットの実施形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する構成は、本発明の一実施態様としての一例(代表例)であり、本発明は以下に説明する構成に限定されない。なお以下の説明において、上とは図面中の方向Y1をいい、下とは図面中の方向Y2をいう。また右とは図面中の方向X1をいい、左とは図面中の方向X2をいう。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態のブランケット100Aを表地1A側から示す平面図である。
図2は、ブランケット100Aを裏地1B側から示す平面図である。
【0013】
ブランケット100Aは、防寒具として多用途を有し、例えばおくるみ、ひざ掛け等の掛布として使用することができる。またブランケット100Aは、抱っこ紐、ベビーカー、チャイルドシート等の幼児のキャリアに取り付けて使用することもできる。ブランケット100Aは、展開時は略方形だが、ブランケット100Aの下部を折り返すことで幼児の足元を包む袋状の収容部を一時的に形成することができる。
【0014】
図1及び
図2に示すように、ブランケット100Aは、ブランケット本体1及びフード10を備える。ブランケット本体1は、略方形であり、表地1Aの全面に裏地1Bが縫い合わされ、端部がパイピング処理されている。ブランケット本体1は、表地1Aと裏地1Bの間に綿や羽毛等が配置されたキルティングであると、防寒性により優れ、好ましい。
【0015】
表地1A及び裏地1Bの素材としては特に限定されないが、表地1Aとしては保温性、防水性、防風性等に優れた素材、例えばナイロン、ポリエステル等の合成繊維を用いることができる。
【0016】
裏地1Bとしては、肌触り、柔軟性、保温性等に優れた素材、例えばフリース、ボア、綿等を用いることができる。
【0017】
ブランケット100Aは、後述する第1ボタン群31等の複数のボタンを備える。ブランケット100Aに用いられる各種ボタンは、例えばスナップボタンであり、凸状の係合部を有する雄ボタンと凹状の係合部を有する雌ボタンの対で配置される。
【0018】
図1及び
図2において、内側が濃い二重丸は凸状の係合部が設けられたボタンの面を表し、外側が濃い二重丸は凹状の係合部が設けられたボタンの面を表す。一重丸は係合部がないボタンの面を表す。またブランケット100Aに用いられる各種ボタンの素材は限定されず、例えば樹脂、金属等が挙げられるが、アレルギー対策の観点からは樹脂が好ましい。
【0019】
(第1ボタン群)
ブランケット本体1の下部の左右両側には、それぞれ第1ボタン群31が設けられている。第1ボタン群31は、上側に配置されたボタン群31aと、下側に配置されたボタン群31bとを備える。
【0020】
裏地1Bが内側となるように、ブランケット100Aを折り返し位置Jにおいて折り返し、各ボタン群31a及び31bを係合させることでブランケット100Aの折り返し状態が維持される。折り返しによりブランケット100Aの下部に形成された袋状の収容部に幼児の足を収容することで、足元を包み込むことができ、防寒性が向上する。
【0021】
上側のボタン群31aの係合部と下側のボタン群31bの係合部とは、ブランケット100Aの互いに異なる面側に配置されている。そのため、両者を係合させるときは表地1Aと裏地1Bが対面するように、ブランケット本体1の上側のボタン群31aが配置された部分と、下側のボタン群31bが配置された折り返し部分とが重ねられる。
【0022】
本実施形態では、上側のボタン群31aの係合部は裏地1B側の面に配置され、下側のボタン群31bの係合部は表地1A側の面に配置されているが、配置される面が逆の関係であってもよい。また上側のボタン群31aの係合部は凹状であり、下側のボタン群31bの係合部は凸状であるが、係合する形状が逆の関係であってもよい。裏地1Bに配置される係合部が凹状であると、係合部に触れたときの不快感が少なく、好ましい。
【0023】
図3は、折り返し状態にあるブランケット100Aを示す。下側のボタン群31bが配置されたブランケット本体1の下部が折り返され、その折り返し部分の左右両端部上に、上側のボタン群31aが配置されたブランケット本体1の左右両端部が重ねられている。
【0024】
表地1A側の面に配置された下側のボタン群31bの凸状の係合部と、裏地1B側の面に配置された上側のボタン群31aの凹状の係合部とが互いに係合し、折り返し状態が維持されている。
【0025】
このように本実施形態の配置によれば、各ボタン群31a及び31bは単に折り返した状態で係合するのではなく、それぞれが配置されたブランケット本体1の左右両端部が重ねられた状態で係合する。ボタン群31a及び31bの各係合部は重ねられたブランケット本体1の間に位置し、係合部分が収容部内で露出しないため、収容部内で幼児の足が係合部分に直接接触することを防ぐことができる。
【0026】
これにより接触時に加わる負荷を緩和して係合が外れることを抑えることができ、折り返し状態を維持しやすい。またブランケット本体1の重なりにより収容部の左右両側の開口を塞ぐことができ、防寒性がより高まる。
【0027】
本実施形態において、上側のボタン群31aのボタン数は4であり、下側のボタン群31bのボタン数の3よりも多い。そのため上側のボタン群31aを構成する4つのボタンのうち、下側のボタン群31bと係合させる3つのボタンを選択して、折り返し位置Jを変えることができる。
【0028】
これにより幼児の身長やベビーカーの座面の高さ等に合わせて、折り返し状態にあるブランケット100Aの上下方向の長さを調整することができる。例えばボタン群31aを構成する4つのボタンのうち、上側の3つを選択することでブランケット100Aの上下方向の長さを短くすることができ、下側の3つを選択することで長くすることができる。
【0029】
なお各ボタン群31a及び31bを構成するボタン数は同じであってもよい。この場合、上側のボタン群31aと下側のボタン群31bの全部ではなく一部を係合させることにより、折り返し位置Jを調整してもよい。
【0030】
ブランケット本体1の下部の左右中央部には、1対の第6ボタン36a及び36bが配置されている。1対の第6ボタン36a及び36bは、それぞれ折り返し位置Jの上側と下側に配置されている。
【0031】
各ボタン群31a及び31bが互いに係合し、さらに1対の第6ボタン36a及び36bが互いに係合することで、ブランケット100Aの折り返し状態がより安定して維持され、折り返し部分の中央部の垂れを防止できる。
【0032】
また折り返し部分の上側の開口が一部閉じられるため、防寒性がより高まる。さらに折り返しにより形成された袋状の収容部が左右に分けられるため、幼児の両足を別々に収容することができる。
【0033】
(ループ形成部)
ブランケット本体1の上部の左右両側には、ループ形成部4L及び4Rがそれぞれ設けられている。ループ形成部4L及び4Rは、抱っこ紐、ベビーカー、車や自転車のチャイルドシート等の幼児用のキャリアにブランケット100Aを取り付けるためのループを形成する。ループ形成部4L及び4Rは、取付部材41、1対の第2ボタン32a及び32b、1対の第3ボタン33a及び33bを備える。
【0034】
本実施形態の取付部材41は、ブランケット本体1から上側に延びる紐状部材である。取付部材41は、ブランケット本体1の左右両側に延びていてもよい。取付部材41を、キャリアのバンド、ベルト、フレーム等の被取付部材に巻き回してループを形成し、1対の第2ボタン32a及び32bを互いに係合させるか、又は1対の第3ボタン33a及び33bを互いに係合させることにより、ブランケット100Aをキャリアに取り付けることができる。
【0035】
1対の第2ボタン32a及び32bのうち、第2ボタン32aは取付部材41のブランケット本体1と反対側の端部に配置され、第2ボタン32bはブランケット本体1の上部の左右両端部に配置されている。
【0036】
1対の第3ボタン33a及び33bのうち、第3ボタン33aは取付部材41の中央部付近に配置され、第3ボタン33bはブランケット本体1の上部の左右中央側に配置されている。
【0037】
第2ボタン32a及び32bが互いに係合したループ形成部4Rと、第3ボタン33a及び33bが互いに係合したループ形成部4Lとを
図3において例示する。ループ形成部4Rのように第2ボタン32a及び32bを係合させた場合、ブランケット100Aの左右方向の長さは変わらない。
【0038】
一方、ループ形成部4Lのように第3ボタン33a及び33bを係合させた場合、ブランケット100Aの左右両側が左右中央側に折り返されるため、ブランケット100Aの左右方向の長さは短くなる。
【0039】
そのため、ベビーカー等のサイズが大きいキャリアへの取付には1対の第2ボタン32a及び32bを好適に使用でき、抱っこ紐等のサイズが小さいキャリアへの取付には1対の第3ボタン33a及び33bを好適に使用できる。このように、キャリアのサイズに合わせて取付時のブランケット100Aのサイズを調整することができる。
【0040】
取付部材41に配置された第2ボタン32aとブランケット本体1に配置された第3ボタン33bとは互いに係合しない。例えば第2ボタン32aと第3ボタン33bの各係合部は同じ凹状であり、互いに係合しない。同様に、取付部材41に配置された第3ボタン33aとブランケット本体1に配置された第2ボタン32bも、係合部の形状が同じ凸状であり、互いに係合しない。
【0041】
そのため、対ではないボタン同士を誤って係合させてしまい、ブランケット100Aの左右方向の長さがベビーカーにも抱っこ紐にも不適当となることを防ぐことができる。なお係合部の凹凸の形状を同じにするだけでなく、係合部のサイズや構造を異ならせることにより、互いに係合させないようにしてもよい。
【0042】
第2ボタン32a及び32bと第3ボタン33a及び33bとは、色、模様、サイズ、形状等の外観が互いに異なる。そのため、対を形成するボタン同士の判別が容易である。例えば第2ボタン32a及び32bを白色、第3ボタン33a及び33bを黄色とし、第2ボタン32a及び32bの直径を第3ボタン33a及び33bよりも大きくすることができる。
【0043】
(伸縮部)
ブランケット本体1の上部の左右両側には、それぞれ伸縮部5が設けられている。同じ種類のキャリアでも左右方向のサイズはメーカー等によって差異があり、キャリアに取り付けたときのブランケット100Aの左右方向のサイズと合わないことがあるかもしれない。このような場合でも、伸縮部5が伸縮することによってキャリアのサイズに合わせることができ、ブランケット100Aの汎用性が高まる。
【0044】
本実施形態の伸縮部5は、ブランケット本体1の上端部にゴム通しを設け、その内部にゴムを通すことで形成されているが、伸縮自在であればこの形成方法に限定されない。
【0045】
(留め部材)
ブランケット100Aは、収納用の留め部材6と、1対の第4ボタン34a及び34bとを備える。留め部材6は、ブランケット本体1から延びる紐状部材である。本実施形態の留め部材6はブランケット本体1の右側(方向X1)へ延びているが、延びる方向は左側(方向X2)でも下側(方向Y2)であってもよく、特に限定されない。
【0046】
第4ボタン34aは留め部材6に配置され、第4ボタン34bはブランケット本体1に配置されている。第4ボタン34bは、ブランケット本体1の左右方向において中央部に位置し、上下方向における位置は留め部材6に対応する位置である。第4ボタン34a及び34bの係合部は、ブランケット100Aの互いに異なる面に配置されている。
【0047】
ブランケット100Aを上下方向に1又は複数回折った後、左右方向に丸めて1対の第4ボタン34a及び34bを係合させることで、ブランケット100Aの丸め込まれた状態が維持される。これにより、収納及び持ち運びが容易となる。
【0048】
図4は、ブランケット100Aが丸め込まれた状態を示す。第4ボタン34a及び34bの係合によりブランケット100Aは丸め込まれた状態が維持され、コンパクトに収納される。
【0049】
(ポケット)
ブランケット100Aの表地1A側には、トンネル型のポケット7が設けられている。ポケット7は、トンネルを繋ぐ2つの開口をポケット口71として備える。ブランケット100Aを抱っこ紐に取り付けた場合に、抱っこ紐の装着者はポケット7に手を入れて防寒することができる。また抱っこ紐に支持される幼児をポケット7に入れた手で支えることができる。
【0050】
(フード)
フード10は、下方が開口するドーム状に形成され、開口周縁の一部がブランケット本体1の上端部に取り外し可能に取り付けられる。本実施形態のブランケット100Aは、フード10の取付用に1対の第7ボタン群37a及び37bを備える。
【0051】
第7ボタン37aはフード10の開口周縁の一部、例えば半周分の周縁部に配置され、第7ボタン37bはブランケット本体1の上端部に配置されている。
【0052】
第7ボタン37a及び37bが互いに係合することでフード10をブランケット本体1に取り付けることができる。なおフード10は、ファスナー等のボタン以外の留め具によってブランケット本体1に取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0053】
フード10は、頭頂部に配置された第5ボタン35を備える。第5ボタン35は、収納用にブランケット本体1に配置された第4ボタン34bと係合する係合部を備える。
【0054】
第5ボタン35と第4ボタン34bが互いに係合することで、フード10をブランケット本体1に固定することができる。なおフード10を固定できるのであれば、第5ボタン35の配置位置は頭頂部に限定されない。
【0055】
(使用例1)
図5は、抱っこ紐に取り付けたブランケット100Aの使用例を示す。抱っこ紐C1は、幼児の支持体C11、支持体C11に連結された1対の肩ベルトC12及び腰ベルトC13等を備える。ブランケット100Aの取付部材41を肩ベルトC12の周囲に巻き回して第3ボタン33a及び33bを係合させることにより、抱っこ紐C1にブランケット100Aを取り付けることができる。
【0056】
ブランケット100Aの下部は折り返されて各ボタン群31a及び31bが係合し、幼児の足の収容部が形成されている。収容部の左右両端部は折り返したブランケット本体1同士が重なって左右両側の開口を閉じているため、防寒性が高い。
【0057】
また第4ボタン34bと第5ボタン35が係合して、フード10がブランケット本体1に固定されており、不使用時のフード10が幼児の頭部周辺でバタつくことがない。
【0058】
(使用例2)
図6は、ベビーカーに取り付けたブランケット100Aの使用例を示す。ブランケット100Aの取付部材41をベビーカーC2のハンドルフレームC21の周囲に巻き回して第2ボタン32a及び32bを係合させることにより、ベビーカーC2にブランケット100Aを取り付けることができる。
【0059】
ベビーカーC2の場合も抱っこ紐C1と同様に、ブランケット100Aの下部が折り返されて各ボタン群31a及び31bが係合し、幼児の足の収容部が形成されている。また第6ボタン36a及び36bが係合し、幼児の足の収容部は右足と左足のそれぞれの収容部に分けられている。係合により収容部上側の開口が一部閉じられるため、防寒性がより高まる。
【0060】
以上のように、本実施形態のブランケット100Aは、ボタン群31a及び31bの係合によって下部を折り返した状態が維持される。上側のボタン群31aと下側のボタン群31bの係合部は、ブランケット本体1の互いに異なる面に配置されている。
【0061】
そのためボタン群31a及び31bの各係合部はそれぞれが配置されたブランケット本体1の間に位置し、折り返した内側に露出しない。つまり各係合部が幼児の足に直接接触しないため、幼児の活発な動きによって係合が外れにくく、折り返し状態を維持しやすい。
【0062】
またキャリアへの取り付け用に設けられた、1対の第2ボタン32a及び32bと1対の第3ボタン33a及び33bとは互いに外観が異なり、係合もしない。よって、ベビーカー用の第2ボタン32a及び32bと抱っこ紐用の第3ボタン33a及び33bの判別が容易であり、誤った組み合わせでの係合も防ぐことができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0064】
(変形例1)
上記ブランケット100Aの取付部材41の形状は紐状であったが、キャリアに巻き回すためのループを形成できるのであれば、三角形状、略方形状等の他の形状の取付部材を用いてもよい。
【0065】
図7は、三角形状の取付部材42を備えるブランケット100Bを表地1A側から示す平面図である。ブランケット100Bは、フードがなく、取付部材の形状が異なること以外は上述したブランケット100Aと同じ構成であるので、同じ構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0066】
取付部材42は、直角三角形状であり、直角を挟む2辺のうちの一辺がブランケット本体1に取り付けられて、もう一辺がブランケット本体1の左右両側へ延びている。
【0067】
第2ボタン32a及び第3ボタン33aは取付部材42の上端部に配置され、第2ボタン32b及び第3ボタン33bはブランケット本体1の上端部に配置されている。ブランケット100Bでは、ブランケット本体1だけでなく取付部材42の上端部にも伸縮部5が配置されている。
【0068】
第2ボタン32aは取付部材42の左右両端部に配置され、第2ボタン32bはブランケット本体1の左右両端部に配置されている。第3ボタン33aは取付部材42の左右中央部に配置され、第3ボタン33bはブランケット本体1の左右中央側に配置されている。
【0069】
第2ボタン32a及び32bを係合させた場合のブランケット100Bの左右方向の長さは、第3ボタン33a及び33bを係合させた場合の長さよりも長い。よって、上述した実施形態と同様に、第2ボタン32a及び32bはベビーカー用、第3ボタン33a及び33bは抱っこ紐用として好適に使用できる。
【0070】
(変形例2)
ブランケット100A及び100Bは略方形に形成され、ボタン群31a及び31bは上下に1列に並べられている。しかし、上側のボタン群31aの係合部と下側のボタン群31bの係合部がブランケット100A及び100Bの互いに異なる面に配置されるのであれば、ブランケットの形状やボタンの配置はこれに限定されない。
【0071】
例えば、ブランケット本体1の折り返し位置Jより下側が上側よりも左右方向に突出するように形成され、この突出部分に下側のボタン群31bが配置されてもよい。ブランケット本体1の下部を折り返し、折り返し部分の突出部分をさらに折り返してボタン群31a及び31bを係合させることができる。
【0072】
この場合も上側のボタン群31aの係合部と下側のボタン群31bの係合部とをブランケット本体1の互いに異なる面に配置することで、係合を外れにくくすることができる。
【0073】
(変形例3)
ブランケット100A及び100Bの上側のボタン群31a及び下側のボタン群31bは、複数のボタンを備えるため、係合が外れにくく好ましいが、各ボタン群31a及び31bが備えるボタン数は1つであってもよい。