特許第6850091号(P6850091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850091
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 19/00 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   F25D19/00 510Z
   F25D19/00 530D
   F25D19/00 550B
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-161224(P2016-161224)
(22)【出願日】2016年8月19日
(65)【公開番号】特開2018-28416(P2018-28416A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年7月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 耕世
(72)【発明者】
【氏名】林 秀竹
(72)【発明者】
【氏名】野口 明裕
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−196541(JP,A)
【文献】 実開昭56−096277(JP,U)
【文献】 特開2006−084154(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0114044(KR,A)
【文献】 特開平10−068573(JP,A)
【文献】 特開2014−238219(JP,A)
【文献】 特開2005−140410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 19/00 − 19/04
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルを構成するコンデンサおよびコンプレッサと、
前記コンデンサおよび前記コンプレッサを冷却する冷却ファンと、を備え、
前記冷却ファンとして遠心ファンを採用し、
前記コンデンサと前記コンプレッサとを、前記冷却ファンの径方向外側への向きにおいて異なる方向に配置し
前記コンデンサ、前記コンプレッサおよび前記冷却ファンが配置される機械室を、貯蔵室の背面側に設けた冷蔵庫。
【請求項2】
庫外に連通する開口部を、前記冷却ファンと前記コンデンサとを結ぶ向きの延長上に設けた請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
庫外に連通する開口部を、冷蔵庫の側面、右側面および左側面のうち少なくとも2面に設けた請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記コンデンサを前記冷却ファンの外縁に沿うアーチ状に形成した請求項1から3のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記コンデンサおよび前記冷却ファンを、当該コンデンサを冷却した風が冷蔵庫の壁面に向かって流れるように配置した請求項1から4のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫は、コンプレッサやコンデンサで構成された冷凍サイクルを備えている。これらコンプレッサやコンデンサは、一般的には機械室内に設置されており、動作時に発熱することから冷却ファンによって冷却されている。そして、例えば特許文献1には、排気口の配置を工夫することにより、機械室内のコンプレッサやコンデンサ等を効率よく冷却することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−238219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、冷蔵室等の貯蔵室を高容積化することが望まれている。そして、本体の大型化を招くことなく高容積化を図るためには、機械室を従来よりも小容積化することが求められている。
そこで、機械室を小容積化することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、冷凍サイクルを構成するコンデンサと、コンデンサを冷却する冷却ファンとを備え、冷却ファンとして遠心ファンを採用したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の冷蔵庫を模式的に示す図
図2】機械室内の配置例を模式的に示す図その1
図3】機械室内の配置例を模式的に示す図その2
図4】コンデンサの他の配置例を模式的に示す図その1
図5】コンデンサの他の配置例を模式的に示す図その2
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図1から図5を参照しながら説明する。
図1に示すように、冷蔵庫1は、その本体2が概ね長方形に形成されている。この本体2は、背板3、左側板4、右側板5、天板6および底板7(図2参照)を有し、内部に複数の貯蔵室10(図2参照)が設けられているとともに、各貯蔵室10の前面開口が扉によって開閉される。
【0008】
背板3、左側板4、右側板5、天板6および底板7は、図示は省略するが、例えば真空断熱パネルや発泡ポリウレタンあるいはそれらを併用した構造となっており、貯蔵室10と冷蔵庫1の外部との間を断熱する。以下、本明細書では、図1に矢印にて示すように、冷蔵庫1を設置した状態において重力に沿った向きを上下方向、左側板4から右側板5への向きを左右方向、冷蔵庫1の正面から背板3側への向きを前後方向と称して説明する。
【0009】
冷蔵庫1は、本体2内の下部に機械室8が設けられている。また、背板3、左側板4、右側板5には、機械室8に対応する位置に、機械室8に連通する開口部9が設けられている。また、図2に示すように、底板7にも開口部9が設けられている。各開口部9は、冷却ファン20が作動したとき、機械室8に外部から空気を吸い込む吸気口、あるいは機械室8から外部に空気を排出する排気口として機能する。このとき、各開口部9が吸気口として機能するか排気口として機能するかは、機械室8における冷却ファン20の位置によって定まる。また、各開口部9は、単なるスリットでもよいし、ルーバ状等に加工されていてもよいし、防塵フィルタ等が設けられていてもよい。
【0010】
機械室8の前方には、例えば野菜室等の貯蔵室10が設けられている。また、図示は省略するが、機械室8の上方にも、例えば冷凍室等の貯蔵室10が設けられている。そして、機械室8と各貯蔵室10との間は、断熱仕切壁10bによって仕切られている。この機械室8には、コンプレッサ11、コンデンサ12、冷却ファン20等が設けられている。これらコンプレッサ11およびコンデンサ12は、図示しないエバポレータとともに、周知の冷凍サイクルを構成しており、コンプレッサ11や冷却ファン20の動作は、図示しない制御部によって制御される。
【0011】
コンデンサ12は、本実施形態では、いわゆるマルチフロー型のものを採用している。マルチフロー型のコンデンサ12は、冷媒の入口および出口となる2つのヘッダ間を偏平管で接続した構造であり、その偏平管内には複数の流路が並行に設けられている。また、偏平管には、空気との接触面積を増加させるための放熱フィンが設けられている。本実施形態では、コンデンサ12としてヘッダ間を複数の偏平管で接続する並行式のものを採用しているが、1つの偏平管を折り返してヘッダ間を接続する蛇行式のものを採用してもよい。
【0012】
冷却ファン20は、本実施形態ではいわゆる遠心ファンを採用している。そのため、冷却ファン20からの送風は、中心から径方向外側に向かう方向、且つ、周方向の全域に対して行われる。なお、図示は省略するが、機械室8にはコンプレッサ11、コンデンサ12、冷却ファン20等以外にも、それらを接続する配管や電気配線等の他の機器部品も設けられている。
【0013】
次に、上記した構成の作用について説明する。
機械室8を小容積化するためには、コンプレッサ11やコンデンサ12あるは冷却ファン20等の機械部品を小型化することがまず挙げられる。ただし、コンプレッサ11やコンデンサ12は、単純に小型化すれば良いというものでは無く、必要な冷却能力を確保するためにはある程度の大きさにせざるを得ない。
【0014】
そのため、本実施形態では、コンデンサ12としてマルチフロー型のものを採用している。マルチフロー型のコンデンサ12は、偏平管によって冷媒からの放熱が促されるとともに、放熱フィンによって表面積の増大が図られていることから、高い放熱性能を示す。そのため、いわゆるフィンチューブ型のものに比べると、同じ大きさであれば放熱性能がより高くなり、必要とする放熱性能が同じであればより小型化することができる。
【0015】
これにより、機械室8に設ける機械部品の小型化でき、機械部品を小型化できることから、機械室8を小容積化することができる。
さて、マルチフロー型のコンデンサ12を採用することにより機械室8を従来よりも小容積化することができるものの、機械室8のレイアウトつまりは機械室8の機械部品の配置を工夫することにより、さらなる小容積化を図ることができると考えられる。
【0016】
しかし、コンプレッサ11やコンデンサ12は、動作時に発熱することから、一般的には軸流ファンからの送風によって冷却されている。この場合、送風経路は、軸流ファンの向きによって決定されるため、コンプレッサ11やコンデンサ12のレイアウトがファンの向きによって制限される。そのため、軸流ファンを用いる場合には、例えば図2に示すように、コンプレッサ11とコンデンサ12とを直線上に配置し、そこに向かって軸流ファンの向きを設定する必要があった。換言すると、コンプレッサ11、コンデンサ12および軸流ファンの設置の自由度が低かった。
【0017】
そこで、本実施形態では、冷却ファン20として遠心ファンを採用している。遠心ファンは、上記したように中心から径方向外側に向かって、且つ、周方向の全域に対して送風可能である。そのため、例えば図3に示すように、コンプレッサ11とコンデンサ12とを直線上に配置する必要が無く、コンプレッサ11、コンデンサ12および遠心ファンの設置の自由度を高めることができる。
【0018】
そして、設置の自由度が高まれば、機械室8内の空間を有効に活用することができ、必要等されるスペースの削減、つまりは機械室8の小容積化を図ることができる。
また、図3の場合、コンデンサ12を冷却した風は、冷蔵庫1の背板3等の壁面に向かって流れる。このため、コンデンサ12からの排熱によって背板3が暖められ、背板3の表面の結露の発生を抑制できる。
【0019】
また、冷却ファン20の場合、周方向の全域に送風可能であることから、例えば図4に示すように、1つの冷却ファン20で、複数のコンデンサ12を冷却することができる。このため、例えば1つの大きなコンデンサ12を配置することが困難であるものの、相対的に小さい2つのコンデンサ12であれば配置することができる場合等において、冷却ファン20の数を増やすことなく、また、配置の自由度を下げることなく、コンデンサ12を配置することができる。
【0020】
また、図4の場合、一方のコンデンサ12を背板3側、他方のコンデンサ12を右側板5側に配置することで、コンデンサ12からの排熱によって背板3および右側板5を暖めることができ、結露の発生をさらに抑制できる。
【0021】
ところで、コンデンサ12に要求される放熱性能が高い場合には、どうしてもコンデンサ12が大きくなってしまう。その場合、平面視にて概ね直方体状のものを冷却ファン20の周囲に配置すると、冷却ファン20とコンデンサ12との間には送風を妨げるような機械部品を配置できないことから、冷却ファン20とコンデンサ12との間に大きなデッドスペースができてしまう。
【0022】
そのため、図5に示すように、コンデンサ12を冷却ファン20の外縁に沿うアーチ状に形成することもできる。これにより、コンデンサ12を冷却ファン20の近傍に配置でき、上記したデッドスペースができてしまうことを防止できる。また、大きな直方体状のものを配置する場合とは異なり、冷却ファン20からコンデンサ12までの距離が一定となるため、コンデンサ12において冷却にムラが生じることを抑制できる。
【0023】
また、コンデンサ12をアーチ状に形成することにより、周方向への長さを長くすることができる。このため、同じ放熱性能を得るのであれば、コンデンサ12は、周方向への長さが長くなることから、高さ寸法を低減することができる。これにより、コンプレッサ11の高さは必要であるものの、コンデンサ12の大きさによって機械室8の高さ寸法が制限されてしまうことを防止できる。
【0024】
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
冷蔵庫1は、冷凍サイクルを構成するコンデンサ12と、コンデンサ12を冷却する冷却ファン20とを備え、冷却ファン20として遠心ファンを採用している。これにより、上記したように機械室8内における機械部品の設置の自由度を高めることができ、機械室8を小容積化することができる。
【0025】
また、冷蔵庫1は、コンデンサ12を冷却ファン20の外縁に沿うアーチ状に形成している。これにより、上記したようにコンデンサ12と冷却ファン20との間にデッドスペースができることを抑制できる。
【0026】
冷蔵庫1は、コンデンサ12および冷却ファン20を、コンデンサ12を冷却した風が冷蔵庫1の壁面に向かって流れるように配置している。これにより、コンデンサ12の排熱が背板3や左側板4や右側板5等の壁部に供給され、壁部を暖めることができ、もって、冷蔵庫1の表面に結露が生じることを抑制できる。また、冷蔵庫1の表面を暖めるために従来採用されていた放熱パイプの削減を図ることもできる。
【0027】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にて例示したものに限定されることなく、その範囲を逸脱しない範囲で任意に例えば以下のように変形あるいは拡張することができる。
実施形態ではマルチフロー型のコンデンサ12を例示したが、フィンチューブ型のものであってもよい。
【0028】
実施形態ではコンデンサ12および冷却ファン20を冷蔵庫1内の下部背面側の機械室8に配置した例を示したが、コンデンサ12および冷却ファン20を冷蔵庫1内の上部背面側に配置するような構成にも適用することができる。この場合、天板6を壁部とみなし、コンデンサ12からの排熱が天板6に向かうように配置することができる。
【0029】
各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
図面中、1は冷蔵庫、3は背板(壁部)、4は左側板(壁部)、5は右側板(壁部)、6は天板(壁部)、7は底板(壁部)、8は機械室、12はコンデンサ、20は冷却ファンを示す。
図1
図2
図3
図4
図5