特許第6850118号(P6850118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850118
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】トリガースイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 3/20 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   H01H3/20 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-241011(P2016-241011)
(22)【出願日】2016年12月13日
(65)【公開番号】特開2018-98025(P2018-98025A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】591148602
【氏名又は名称】佐鳥電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋川 星
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−182217(JP,A)
【文献】 実開昭54−077983(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフ位置及びオン位置の間を移動可能なスイッチ操作部材と、
オフロック位置及び解除位置の間を移動可能なロック操作部材と、
阻止位置、許可可能位置及び許可位置の間を移動可能な阻止部材と、
を備え、
前記阻止部材は、
前記阻止位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置に移動するのを阻止し、
前記許可位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置に移動するのを許可し、
前記阻止位置に位置するとき、前記ロック操作部材を前記オフロック位置から前記解除位置に移動させると、前記許可可能位置に移動し、
前記許可可能位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材を前記オフ位置から前記オン位置に向けて移動させると、前記許可位置に移動し、
前記阻止部材は、
前記阻止位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オフ位置から前記オン位置に移動しようとすると、前記スイッチ操作部材に当接して前記スイッチ操作部材が前記オン位置に移動するのを阻止する阻止当接部を有し、
前記スイッチ操作部材は、
前記阻止部材が前記許可可能位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オフ位置から前記オン位置に移動しようとすると、前記阻止当接部が前記スイッチ操作部材に当接するよりも前に、前記阻止部材の前記阻止当接部とは異なる部分に当接して、前記阻止部材を前記許可可能位置から前記許可位置に移動させ、これにより、前記阻止当接部を前記スイッチ操作部材に当接しない位置に移動させる操作当接部を有する、
トリガースイッチ。
【請求項2】
オフ位置及びオン位置の間を移動可能なスイッチ操作部材と、
オフロック位置及び解除位置の間を移動可能なロック操作部材と、
阻止位置、許可可能位置及び許可位置の間を移動可能な阻止部材と、
を備え、
前記阻止部材は、
前記阻止位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置に移動するのを阻止し、
前記許可位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置に移動するのを許可し、
前記阻止位置に位置するとき、前記ロック操作部材を前記オフロック位置から前記解除位置に移動させると、前記許可可能位置に移動し、
前記許可可能位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材を前記オフ位置から前記オン位置に向けて移動させると、前記許可位置に移動し、
前記スイッチ操作部材は、所定の軸を中心として回動することにより、前記オフ位置及び前記オン位置の間を移動し、
前記阻止部材は、前記軸に対して略垂直な方向に平行移動することにより、前記阻止位置、前記許可可能位置及び前記許可位置の間を移動する、
トリガースイッチ。
【請求項3】
オフ位置及びオン位置の間を移動可能なスイッチ操作部材と、
オフロック位置及び解除位置の間を移動可能なロック操作部材と、
阻止位置、許可可能位置及び許可位置の間を移動可能な阻止部材と、
を備え、
前記阻止部材は、
前記阻止位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置に移動するのを阻止し、
前記許可位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置に移動するのを許可し、
前記阻止位置に位置するとき、前記ロック操作部材を前記オフロック位置から前記解除位置に移動させると、前記許可可能位置に移動し、
前記許可可能位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材を前記オフ位置から前記オン位置に向けて移動させると、前記許可位置に移動し、
前記スイッチ操作部材は、更に、オンロック解除位置に移動可能であり、
前記ロック操作部材は、更に、オンロック位置に移動可能であり、
前記ロック操作部材は、
前記オンロック位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置から前記オフ位置に移動するのを阻止し、
前記解除位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置から前記オフ位置に移動するのを許可し、
前記スイッチ操作部材は、
前記オン位置に位置するとき、前記ロック操作部材が前記オンロック位置から前記解除位置に移動するのを阻止し、
前記オンロック解除位置に位置するとき、前記ロック操作部材が前記オンロック位置から前記解除位置に移動するのを許可する、
トリガースイッチ。
【請求項4】
前記スイッチ操作部材は、所定の軸を中心として回動することにより、前記オフ位置及び前記オン位置の間を移動し、
前記阻止部材は、前記軸に対して略垂直な方向に平行移動することにより、前記阻止位置、前記許可可能位置及び前記許可位置の間を移動する、
請求項3のトリガースイッチ。
【請求項5】
前記阻止部材は、
前記阻止位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オフ位置から前記オン位置移動しようとすると、前記スイッチ操作部材に当接して前記スイッチ操作部材前記オン位置移動するのを阻止する阻止当接部を有し、
前記スイッチ操作部材は、
前記阻止部材が前記許可可能位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オフ位置から前記オン位置移動しようとすると、前記阻止当接部が前記スイッチ操作部材に当接するよりも前に、前記阻止部材の前記阻止当接部とは異なる部分に当接して、前記阻止部材を前記許可可能位置から前記許可位置に移動させ、これにより、前記阻止当接部を前記スイッチ操作部材に当接しない位置に移動させる操作当接部を有する、
請求項2乃至4いずれかのトリガースイッチ。
【請求項6】
前記許可可能位置は、前記阻止位置及び前記許可位置の間にある、
請求項1乃至いずれかのトリガースイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、トリガーをオフ位置でロックできるロック機構を開示している。このロック機構は、トリガーの内部に固定されたロック板に設けられたスロットに挿通されたロックピンを有し、ロックピンの広軸部がスロットに係合することにより、トリガーをオフ位置にロックし、ロックピンを押して、広軸部をスロットから外に押し出すことにより、トリガーのロックを解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6812425号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のロック機構は、トリガーがオフ位置でロックされている状態で、無理にトリガーをオンしようとすると、ロックピンとスロットが係合している部分に大きな力が加わる。このため、トリガースイッチが破損する可能性がある。
特許文献1では、通常はプラスチックなどの強度が比較的低い材料で形成されているトリガーにスロットを直接形成するのではなく、強度が比較的高い金属で形成されたロック板にスロットを設け、ロック板をトリガーに固定する構成とすることで、破損を防いでいる。しかし、このような構成とすると、トリガースイッチの製造コストが高くなる。
本発明は、このような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るトリガースイッチは、オフ位置及びオン位置の間を移動可能なスイッチ操作部材と、オフロック位置及び解除位置の間を移動可能なロック操作部材と、阻止位置、許可可能位置及び許可位置の間を移動可能な阻止部材とを備える。前記阻止部材は、前記阻止位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置に移動するのを阻止する。前記阻止部材は、前記許可位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置に移動するのを許可する。前記阻止部材は、前記阻止位置に位置するとき、前記ロック操作部材を前記オフロック位置から前記解除位置に移動させると、前記許可可能位置に移動する。前記阻止部材は、前記許可可能位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材を前記オフ位置から前記オン位置に向けて移動させると、前記許可位置に移動する。
前記阻止部材は、前記阻止位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オフ位置から前記オン位置へ向けて移動すると、前記スイッチ操作部材に当接して、前記スイッチ操作部材の前記オン位置への移動を阻止してもよい。前記阻止部材は、前記阻止位置に位置するとき、前記ロック操作部材が前記オフロック位置から前記解除位置に移動すると、前記ロック操作部材に押されて、前記許可可能位置に移動してもよい。前記阻止部材は、前記許可可能位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オフ位置から前記オン位置へ向けて移動すると、前記スイッチ操作部材に押されて、前記許可位置に移動してもよい。
前記許可可能位置は、前記阻止位置及び前記許可位置の間にあってもよい。
前記スイッチ操作部材は、所定の軸を中心として回動することにより、前記オフ位置及び前記オン位置の間を移動してもよい。前記阻止部材は、前記軸に対して略垂直な方向に平行移動することにより、前記阻止位置、前記許可可能位置及び前記許可位置の間を移動してもよい。
前記スイッチ操作部材は、更に、オンロック解除位置に移動可能であってもよい。前記ロック操作部材は、更に、オンロック位置に移動可能であってもよい。前記ロック操作部材は、前記オンロック位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置から前記オフ位置に移動するのを阻止してもよい。前記ロック操作部材は、前記解除位置に位置するとき、前記スイッチ操作部材が前記オン位置から前記オフ位置に移動するのを許可してもよい。前記スイッチ操作部材は、前記オン位置に位置するとき、前記ロック操作部材が前記オンロック位置から前記解除位置に移動するのを阻止してもよい。前記スイッチ操作部材は、前記オンロック解除位置に位置するとき、前記ロック操作部材が前記オンロック位置から前記解除位置に移動するのを許可してもよい。
【発明の効果】
【0006】
ロック操作部材が阻止部材を許可位置まで移動させるのではなく、許可可能位置まで移動させ、その後、スイッチ操作部材が阻止部材を許可可能位置から許可位置に移動させるので、阻止位置から許可位置までの阻止部材の移動量を大きくすることができる。これにより、スイッチ操作部材の移動を阻止するため、阻止位置に位置する阻止部材とスイッチ操作部材とが当接する部分の面積を大きくすることができる。このため、阻止部材やスイッチ操作部材を強度が比較的低い材料で形成しても、破損を防止することができ、トリガースイッチの製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トリガースイッチの一例を示す斜視図。
図2】ロック操作部材の一例を示す斜視図。
図3】スイッチ操作部材の一例を斜視図。
図4】トリガースイッチの一例を示す分解斜視図。
図5】トリガースイッチの一例を示す分解平面図。
図6】トリガースイッチの一例を示す分解平面図。
図7】トリガースイッチの一例を示す側面視一部断面図。
図8】トリガースイッチの一例を示す側面視一部断面図。
図9】トリガースイッチの一例を示す側面視一部断面図。
図10】トリガースイッチの一例を示す側面視一部断面図。
図11】トリガースイッチの一例を示す側面視一部断面図。
図12】トリガースイッチの一例を示す側面図。
図13】トリガースイッチの一例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、トリガースイッチ10は、本体12、作動部材13、スイッチ操作部材14、ロック操作部材15、ワッシャー17、付勢部材84及び85などを備える。
本体12は、固定接片と可動接片との対を内蔵している。
作動部材13は、本体12に固定され、本体12に対し、所定の範囲内でC−D方向に平行移動可能に構成されている。C−D方向は、例えば、軸94に対して略垂直な方向である。本体12内の可動切片は、作動部材13の移動に伴って移動する。作動部材13がC方向に移動すると、可動接片が固定接片と接触し、電気的に導通する。この状態を「オン状態」と呼ぶ。作動部材13がD方向に移動すると、可動接片が固定接片から離間し、電気的に絶縁する。この状態を「オフ状態」と呼ぶ。
スイッチ操作部材14(例えばトリガー)は、例えばプラスチックなどで一体に形成されている。スイッチ操作部材14は、本体12に固定され、本体12に対し、所定の範囲内でA−B方向に回動可能に構成されている。A−B方向は、軸94を中心とする周回方向である。作動部材13は、スイッチ操作部材14の回動に伴って移動する。スイッチ操作部材14がA方向に回動すると、作動部材13がC方向に移動する。スイッチ操作部材14がB方向に回動すると、作動部材13がD方向に移動する。スイッチ操作部材14がB方向に回動してオフ状態となったときの位置を「オフ位置」と呼ぶ。スイッチ操作部材14がA方向に回動してオン状態となったとき位置を「オン位置」と呼ぶ。なお、スイッチ操作部材14は、使用者が複数の指をかけることができる大きさである。これにより、指一本で操作する場合と比べて操作性が向上する。また、軸94から比較的遠い位置に力を加えることができるので、小さい力で操作することができる。
付勢部材84(例えばコイルばね)は、本体12とスイッチ操作部材14との間に配置され、スイッチ操作部材14を本体12に対してB方向へ(すなわち、オフ位置へ向けて)付勢している。
ロック操作部材15(例えばロックボタン)は、本体12に固定され、本体12に対し、所定の範囲内でE−F方向に移動可能に構成されている。E−F方向は、例えば、軸94に対して略平行な方向である。ロック操作部材15は、スイッチ操作部材14の回動を規制する。ロック操作部材15がF方向の所定の位置にあるとき、スイッチ操作部材14は、オフ位置からオン位置に移動することができない。ロック操作部材15のこのときの位置を「オフロック位置」と呼ぶ。ロック操作部材15をオフロック位置からE方向に移動させると、スイッチ操作部材14は、オン位置に移動できるようになる。ロック操作部材15のこのときの位置を「解除位置」と呼ぶ。ロック操作部材15を解除位置から更にE方向に移動させると、スイッチ操作部材14は、逆に、オン位置からオフ位置に移動することができなくなる。ロック操作部材15のこのときの位置を「オンロック位置」と呼ぶ。
ワッシャー17は、略円板状であり、中央に略長方形状の孔を有する。ロック操作部材15の板部53(図2参照)がこの孔を通る。
付勢部材85(例えばコイルばね)は、ロック操作部材15のボタン部51(図2参照)とワッシャー17との間に配置され、ロック操作部材15を本体12に対してF方向へ(すなわち、オフロック位置へ向けて)付勢している。
【0009】
図2に示すように、ロック操作部材15は、ボタン部51、鍔部52、板部53,55、斜行部54、爪部56などを有する。
ボタン部51及び鍔部52は、例えばプラスチックなどで一体に形成されている。
ボタン部51は、略円柱形状である。使用者がボタン部51を押すことにより、ロック操作部材15がE方向に移動する。
鍔部52は、略円環板状であり、ボタン部51と略同軸で、ボタン部51の底部の周囲に設けられている。鍔部52は、スイッチ操作部材14の庇部46(図3参照。)と係合することにより、オンロックを実現する。
板部53、斜行部54、板部55及び爪部56は、例えば金属板などで一体に形成されている。
板部53は、略長方形板状である。板部53は、第一端がボタン部51に嵌合し、ボタン部51から略E方向へ向けて延びている。
斜行部54は、略長方形板状であり、幅が板部53とほぼ同じである。斜行部54は、第一端が板部53の第二端に連続して、E方向に対してC方向に傾いた方向へ向けて延びている。
板部55は、略長方形板状であり、幅が斜行部54よりも大きい。板部55は、第一端が斜行部54の第二端に連続して、略E方向へ向けて延びている。
爪部56は、略長方形板状である。爪部56は、第一端が板部55の他端に連続して、略A方向へ向けて延びている。爪部56は、ロック操作部材15がF方向へ抜け出すのを防ぐ。
【0010】
図3に示すように、スイッチ操作部材14は、上面部41、側面部42、貫通穴43〜45、庇部46などを有する。
上面部41は、略波形曲面板状である。使用者が上面部41を押すことにより、スイッチ操作部材14がA方向に回動する。
側面部42は、軸94に対して略垂直な略平板状である。第一の側面部42は、上面部41のF側の縁から略A方向へ向けて延びている。第二の側面部42(不図示)は、上面部41のE側の縁から略A方向へ向けて延びている。
貫通穴43〜45は、それぞれの側面部42を貫通する穴である。
貫通穴43は、本体12の凸部21(図4参照)と係合して、スイッチ操作部材14の回動軸を形成する。
貫通穴44は、作動部材13の凸部31(図4参照)と係合して、スイッチ操作部材14の回動を、作動部材13に伝達する。
貫通穴45は、ロック操作部材15を通すための穴である。第一の側面部42に設けられた貫通穴45をロック操作部材15の板部53が通り、第二の側面部42に設けられた貫通穴45をロック操作部材15の板部55及び爪部56が通る。このため、二つの貫通穴45の位置は、ずれている。また、貫通穴45は、スイッチ操作部材14が回動してもロック操作部材15と干渉しないように比較的広く構成されている。
庇部46は、第一の側面部42からF方向に離れた位置に配置されている。庇部46は、ロック操作部材15の鍔部52と係合することにより、オンロックを実現する。
【0011】
図4に示すように、トリガースイッチ10は、更に、阻止部材16、付勢部材86などを備える。
本体12は、左右に突出した略円柱形状の凸部21を有する。
作動部材13は、左右に突出した略円柱形条の凸部31を有する。
阻止部材16は、本体12に固定され、本体12に対して、所定の範囲内でG−H方向に平行移動可能に構成されている。G−H方向は、例えば、軸94に対して略垂直な方向である。阻止部材16は、当接部61〜63を有する。当接部61及び62は、スイッチ操作部材14と当接する。当接部63(図5参照)は、ロック操作部材15と当接する。
阻止部材16がH方向の所定の位置にあるとき、スイッチ操作部材14をオフ位置からオン位置へ向けて回動させようとすると、当接部61がスイッチ操作部材14の当接部47(図7参照)に当接して、スイッチ操作部材14の回動を阻止する。阻止部材16のこのときの位置を「阻止位置」と呼ぶ。阻止部材16を阻止位置からG方向に移動させると、スイッチ操作部材14をオフ位置からオン位置へ向けて回動させようとしても、当接部61がスイッチ操作部材14の当接部47に当接しなくなり、スイッチ操作部材14がオン位置に移動できるようになる。阻止部材16のこのときの位置を「許可位置」と呼ぶ。
付勢部材86は、阻止部材16と本体12との間に配置され、阻止部材16を本体12に対してH方向へ(すなわち阻止位置へ向けて)付勢している。
【0012】
図5に示すように、ロック操作部材15がオフロック位置に位置するとき、阻止部材16は、付勢部材86によってH方向へ向けて付勢され、阻止位置に位置する。
図6に示すように、ロック操作部材15をE方向に移動させると、斜行部54が当接部63に当接して阻止部材16をG方向に押す。
【0013】
図7に示すように、使用者がスイッチ操作部材14を押していない状態において、スイッチ操作部材14は、付勢部材84によってB方向へ付勢され、オフ位置に位置する。また、ロック操作部材15がオフロック位置に位置するとき、阻止部材16は、付勢部材86によってH方向へ付勢され、阻止位置に位置する。
この状態で、使用者がスイッチ操作部材14を押すと、図8に示すように、スイッチ操作部材14がA方向へ向けて回動するが、当接部47が当接部61に当接して、回動が阻止されるので、スイッチ操作部材14は、オン位置に到達できない。したがって、オフ状態が維持される。
留意すべき点は、当接部47と当接部61とが当接する部分の面積が大きいことである。上述したようにスイッチ操作部材14が比較的大きいので、オフロック状態であるにもかかわらず使用者が無理にオン状態にしようとすると、スイッチ操作部材14に大きな力が加わる場合がある。当接部47と当接部61とが当接する部分の面積が大きいので、単位面積当りに加わる力が小さくなり、スイッチ操作部材14及び阻止部材16が破損するのを防ぐことができる。
また、当接部47と当接部61とが当接する部分は、軸94から比較的遠い位置に位置する。したがって、テコの原理により、当接部47及び61に加わる力が小さくなり、スイッチ操作部材14及び阻止部材16が破損するのを防ぐことができる。
【0014】
使用者がロック操作部材15を押して、ロック操作部材15を解除位置に移動させると、図9に示すように、阻止部材16がG方向へ移動する。阻止部材16のこのときの位置を「許可可能位置」と呼ぶ。
この状態で、使用者がスイッチ操作部材14を押すと、図10に示すように、当接部48が当接部62に当接して、阻止部材16をG方向へ更に移動させる。これにより、阻止部材16が許可位置まで到達し、図11に示すように、スイッチ操作部材14がオン位置に到達できるようになる。
留意すべき点は、仮に、阻止部材16が許可可能位置から移動しなかったとすると、当接部47が当接部61に当接して、スイッチ操作部材14がオン位置に到達できない可能性があることである。当接部47と当接部61とが当接する部分の面積を大きくしたことにより、阻止部材16が阻止位置から許可位置に到達するまでに移動しなければならない距離が大きくなる。このため、ロック操作部材15の操作によって阻止部材16が移動する距離が足りない場合がある。そのような場合であっても、当接部48が当接部62に当接して阻止部材16をG方向へ更に移動させることにより、阻止部材16が確実に許可位置に到達し、オフロックが解除される。
【0015】
図12に示すように、スイッチ操作部材14を最大限押し込んだ状態において、スイッチ操作部材14の庇部46は、ロック操作部材15の鍔部52よりもA側に位置する。スイッチ操作部材14のこのときの位置を「オンロック解除位置」と呼ぶ。スイッチ操作部材14がオンロック解除位置に位置するとき、ロック操作部材15は、E方向に最大限押し込んで、オンロック位置に到達することができる。
ロック操作部材15をオンロック位置まで押し込んだ状態において、使用者がスイッチ操作部材14を押す力を緩めると、スイッチ操作部材14は、付勢部材84によってB方向に付勢され、図13に示すように、B方向へ回動する。しかし、庇部46のB方向にロック操作部材15のボタン部51が位置するので、スイッチ操作部材14の回動が阻止され、スイッチ操作部材14は、オン位置に保持され、オフ位置に到達できない。これにより、オン状態が維持される。
更に、この状態において、使用者がロック操作部材15を押す力を緩めると、ロック操作部材15は、付勢部材85によってF方向に付勢され、F方向に移動する。しかし、鍔部52のF方向に庇部46が位置するので、ロック操作部材15の移動が阻止され、ロック操作部材15は、オンロック位置に保持され、解除位置に到達できない。これにより、オンロック状態が維持される。
【0016】
オンロック状態を解除するには、スイッチ操作部材14をもう一度押し込んで、図12に示すように、オンロック解除位置に到達させる。庇部46と鍔部52との係合が解除される。ロック操作部材15は、付勢部材85によってF方向に付勢されているので、F方向に移動し、オンロック位置から離脱して、解除位置又はオフロック位置に到達する。この状態で、使用者がスイッチ操作部材14を押す力を緩めると、スイッチ操作部材14は、付勢部材84によってB方向に付勢されているので、B方向に移動し、オン位置から離脱して、オフ位置に到達する。
留意すべき点は、スイッチ操作部材14が、オフ状態にするときは、付勢部材84の力によってスイッチ操作部材14が戻る構造である点である。したがって、オンロック状態であるにもかかわらず使用者が無理にオフ状態にしようとしても、スイッチ操作部材14に大きな力が加わることはない。したがって、オンロック機構は、オフロック機構と比べて強度が比較的弱い構造でよい。
トリガースイッチ10において、オンロック及びオフロックは、一つのロック操作部材15を操作することにより実現できる。しかし、オンロックとオフロックとでは、要求される強度が異なる。オフロック機構は、阻止部材16などを用いて構成することにより、比較的強い強度が達成できる。
【0017】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【符号の説明】
【0018】
10 トリガースイッチ、12 本体、21,31 凸部、13 作動部材、14 スイッチ操作部材、41 上面部、42 側面部、43〜45 貫通穴、46 庇部、47,48,61〜63 当接部、15 ロック操作部材、51 ボタン部、52 鍔部、53,55 板部、54 斜行部、56 爪部、16 阻止部材、17 ワッシャー、84〜86 付勢部材、94 軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13