特許第6850119号(P6850119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850119
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】タクシーメータ
(51)【国際特許分類】
   G07B 13/00 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   G07B13/00 L
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-241303(P2016-241303)
(22)【出願日】2016年12月13日
(65)【公開番号】特開2018-97592(P2018-97592A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 克充
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−097720(JP,A)
【文献】 特開平06−203234(JP,A)
【文献】 特開2002−052875(JP,A)
【文献】 特開2010−146365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも走行距離及び時間の一方に基づいて運賃を算出する算出部と、
前記算出部により算出された運賃を確定させる確定入力部と、
確定された前記運賃を含む複数の項目を表示画面に表示させる表示出力部と、
複数の前記項目の項目名及び表示順序を選択する選択部と、
を備え
前記選択部は、前記表示画面に表示される複数のボタンであり、
前記表示画面に前記複数のボタンを表示させる表示指示部を備え、
前記複数のボタンは、取り扱われる複数のタクシーチケットそれぞれに対応し、
前記表示出力部は、前記ボタンに対応付けられたタクシーチケットに記載されている項目名及び記載順序に一致するよう前記表示画面に表示される項目名及び表示順序を予め記憶している、
ことを特徴とするタクシーメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシーメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タクシーメータで課金された運賃を含むタクシー料金をタクシーチケットで決済することが行われている。タクシーチケット(単に、チケットともいう)を用いた決済では、タクシー車両が目的地に到着して乗客が降車する際、乗客は、チケットを乗務員に提示し、タクシーメータを見ながら運賃等の必要事項をチケットの項目に転記し、このチケットを乗務員に手渡す。一方、乗務員は、このチケットを元に決済端末を操作してチケット決済処理を行い、決済処理の結果、完了が確認された場合、領収書をプリンタで印刷して乗客に手渡す。この決済では、乗客が運賃等の必要事項をタクシーチケットの項目に転記する際、タクシーメータには、運賃等を含む支払画面が表示されていた。
【0003】
また、タクシーチケットの規格(サイズ、共通記入事項等)を統一し、タクシーチケットに最低限必要な記入欄(所属、氏名、料金等の欄)を固定情報として予め印刷した用紙を用意し、この用紙にタクシー会社名、タクシーチケット利用企業名等の可変情報を印字して、タクシーチケットを発行することが知られている(特許文献1参照)。このタクシーチケットでは、固定情報の印刷フォーマットが規格化されているので、大量印刷が可能であり、また、可変情報を印字することで、タクシー会社やタクシー利用企業の規模に応じて、発行枚数を決める等、柔軟な対応が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−52875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各社が発行するタクシーチケットには、乗客が記入する事柄について複数の項目が設定されており、また、チケットの種類によってこれらの項目の位置や順番が異なっている。このため、タクシーメータに表示された運賃等の複数の項目を含む支払画面を見ながら、乗客がタクシーチケットにこれら複数の項目を転記する際、誤記を誘発する可能性があった。また、転記に手間取ってチケット決済処理が遅れ、乗客が降車する迄に時間がかかる場合があった。
【0006】
特許文献1に示されるタクシーチケットのように、ある程度、項目が規格化されている場合には、乗客が転記する際、項目の記載が簡単になると考えられるが、それでもタクシー会社やタクシー利用企業毎に可変情報として印字された項目が異なり、また、タクシーメータの支払画面に表示されている項目とは、位置や順番が異なるので、同様に、誤記を誘発する可能性があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗客がタクシーチケットに簡単に転記できるように項目を表示するタクシーメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るタクシーメータは、下記(1)を特徴としている。
(1) 少なくとも走行距離及び時間の一方に基づいて運賃を算出する算出部と、
前記算出部により算出された運賃を確定させる確定入力部と、
確定された前記運賃を含む複数の項目を表示画面に表示させる表示出力部と、
複数の前記項目の項目名及び表示順序を選択する選択部と、
を備え
前記選択部は、前記表示画面に表示される複数のボタンであり、
前記表示画面に前記複数のボタンを表示させる表示指示部を備え、
前記複数のボタンは、取り扱われる複数のタクシーチケットそれぞれに対応し、
前記表示出力部は、前記ボタンに対応付けられたタクシーチケットに記載されている項目名及び記載順序に一致するよう前記表示画面に表示される項目名及び表示順序を予め記憶している、
ことを特徴とするタクシーメータ。
【0009】
上記(1)の構成のタクシーメータによれば、乗客がタクシーチケットに簡単に転記できるように項目を表示することができる。従って、乗客は、降車時、慌てることなく転記することができ、転記する際に生じ易い誤記の発生頻度が減る。また、転記が速やかに行われることで、チケット決済処理が早くなり、乗客が降車する迄の時間を短縮できる。一方、乗務員は、チケット決済処理が速やかに行われることで、次の営業再開までの時間を短縮でき、売上の向上に繋げることができる。また、タクシー会社及びチケット発行会社にとっても、タクシーチケット決済処理がスムーズに行われることで、タクシーチケットの利用回数が増え、タクシー乗車率の向上が図られる。
また、乗客が希望するタクシーチケットに転記するための表示画面を表示させるまでの操作が簡便になり、使い勝手が向上する。
また、タクシーメータがタクシーチケットに記載されている項目名及び記載順序に一致するように、項目名及び表示順序を表示画面に表示するまでの処理が早くなる。従って、この表示画面が速やかに表示されることで、乗客を待たせることなく、即時にタクシーチケットへの転記が可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乗客がタクシーチケットに簡単に転記できるように項目を表示することができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態におけるタクシーメータを含むタクシーメータチケット決済システムの概要を説明する図である。
図2図2は、タクシーメータのハードウェア構成を示す図である。
図3図3(A)は、チケット種類設定テーブルを示す図であり、図3(B)は、合計時の決済情報を示す図である。
図4図4は、タクシーメータチケット決済処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、タクシーメータチケット決済処理においてタクシーメータの表示器に表示される画面の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0014】
本実施形態のタクシーメータは、タクシーチケット(単にチケットとも称する)を用いて、タクシーの乗車料金(タクシー料金)を精算するタクシーメータチケット決済システムに適用される。
【0015】
図1は実施の形態におけるタクシーメータ10を含むタクシーメータチケット決済システム5の概要を説明する図である。タクシーメータ10は、タクシー車両8の賃走中に課金を行う。タクシー車両8が目的地に到着して乗客mcが降車する前、乗客mcは、運賃を含む所定の事項をタクシーチケットTKに記入し、記入済みのタクシーチケットTKをタクシー車両8の乗務員mdに手渡す。乗務員mdは、受け取ったタクシーチケットTKを元に、決済端末50を操作してタクシーチケットTKの決済を決済処理センター(図示せず)に依頼する。タクシーチケットTKの決済の完了が決済端末50で確認されると、乗務員mdは、タクシー料金の領収書をプリンタ60で印刷して乗客mcに手渡す。そして、タクシーチケット決済処理が終了する。この後、タクシー車両8の後部ドアが開かれ、乗客mcは降車可能となる。
【0016】
上記手順でタクシーチケット決済処理を行う、タクシーメータチケット決済システム5は、タクシー車両8に装備される、タクシーメータ10、接続ボックス40、決済端末50及びプリンタ60を用いて実現される。
【0017】
タクシーメータ10は、賃走時、タクシー車両8の走行距離及び時間の少なくとも一方で運賃を算出し、タクシーメータ10の筐体10zの前面に配置された表示器15に運賃を含むタクシー料金を表示する。タクシーメータ10は、課金を行う際、通常、走行距離と時間を併用するが、例えば高速道路を走行する場合に時間を用いずに走行距離だけを用いることも可能である。また、渋滞等によりタクシー車両が所定速度以下で走行している間や乗客の到着を待っている間等においては、タクシーメータ10は、走行距離を用いずに時間だけを用いることも可能である。
【0018】
表示器15の画面の周縁には、タリフ状態を入力するための各種ボタンがタッチ操作可能に配置される。例えば、画面の右側には、空車ボタン21、実車ボタン22、支払ボタン23、高速ボタン24及び迎車ボタン25が配置される(図5(A)参照)。また、画面の左側には、ページ切替ボタン31が配置される。また、画面の下側には、明細ボタン30、置換ボタン29、立替ボタン28、定額ボタン27及びチケットボタン26が配置される。
【0019】
なお、本実施形態では、表示器15と入力部(タッチパッド)16とが重なるように組み合わされたタッチパネルTPに対し、表示器15に表示された各種ボタンをタッチ操作することで、タリフ状態の入力が行われた。これに限らず、タクシーメータ10の筐体10zの前面にこれら各種ボタンに対応するボタンSW(押下自在な機械的なボタンスイッチ)を配置しておき、これらのボタンSWを押下操作することで、タリフ状態の入力が行われてもよい。ボタンSWが配置されている場合、表示器は単なる表示器であればよく、特にタッチパネルで構成されていなくてもよい。
【0020】
接続ボックス40は、タクシーメータ10と決済端末50とプリンタ60とを接続し、これらの機器に対し、電源の供給等を行う。また、接続ボックス40は、チケット決済処理を行うためにタクシーメータ10で課金されたタクシー料金のデータを決済端末50に転送し、また、領収書を印刷するためにプリンタ60にタクシー料金のデータを転送する。また、接続ボックス40は、無線通信機能を内蔵し、タクシーチケット決済処理のために外部の決済処理センターと決済端末50との間で行われるデータ通信を中継する。決済処理センターと決済端末50との間の通信は、LTE(Long Term Evolution)/4G((4th Generation)等のモバイル通信網(携帯回線網)で行われてもよいし、無線LAN(Local Area Network)で行われてもよい。
【0021】
決済端末50は、乗務員mdが手に持って操作可能なハンディーターミナルである。この筐体の前面には、ディスプレイ及び各種ボタンが配置される。ディスプレイには、タクシー料金等が表示される。各種ボタンは、タクシーチケット決済処理に係わる複数のボタンである。例えば、デビットカードを利用する際に押下されるデビットキー、クレジットカードを利用する際に押下されるクレジットキーの他、未収キー、領収キー、高速キー、駐車キー、取消キー、確認キーや、数字キー等が配置される。
【0022】
プリンタ60は、チケット決済処理が終了した場合に発行される領収書等を印刷する。プリンタとして、短時間で印字可能なプリンタであることが好ましく、例えば感熱式や熱転写式のサーマルプリンタ、インクジェットプリンタ、ドットプリンタ等が挙げられる。
【0023】
タクシーチケットTKは、乗客mcが自筆で所定の事項を記入することで、タクシー料金を支払うことができる乗車券である。タクシーチケットを利用して乗車すると、その分のタクシー料金は、タクシーチケットを利用した個人または法人の口座から自動的に引き落される、または、タクシーチケットを利用した個人または法人が、タクシー会社の口座にタクシー料金を振り込むことで、タクシー料金の精算が行われる。
【0024】
タクシーチケットの発行は、タクシー会社、クレジット会社、大手業者や団体によって行われる。個人の場合、クレジット会社が発行するタクシーチケットが主に利用される。一例として、図1に示すように、タクシーチケットTKには、チケット用紙に印刷された、ご利用日、ご利用区間、メータ料金、その他料金、及び御署名の項目が設けられる。乗客mcは、自筆でこれらの項目に所定の事柄を記入する。なお、これらの書式(印刷フォーマット)は、一例であり、タクシーチケットを発行する事業者毎にそれぞれ独自であってもよい。
【0025】
なお、上記実施形態では、タクシーチケットには、所定の項目を含む印刷フォーマットがあらかじめ印刷されており、乗客はこれらの項目を全て記入する必要があったが、記入の一部をタクシーメータ側で行うことも可能である。例えば、接続ボックスに接続されたプリンタは、タクシーチケットを引き込み、タクシーメータから受信したデータ(例えば、利用区間、運賃、立替料金等のデータ)に基づく事柄をそれぞれタクシーチケットの該当する項目に印字し、印字済みのタクシーチケットを吐出するようにしてもよい。乗客は、一部印字済みのタクシーチケットに対し、残りのご利用日、御署名等の項目を記入するようにしてもよい。これにより、乗客がタクシーチケットに転記する項目を少なくすることができ、誤記の発生を抑制できる。
【0026】
図2はタクシーメータ10のハードウェア構成を示す図である。タクシーメータ10は、CPU11、ROM12、RAM13、カードリーダライタ(R/W)インタフェース14、表示器15、入力部16、インタフェース(I/F)17A、17B、及びRTC(時計IC)18を有する。I/F17Aには、GPS受信器20が接続される。I/F17Bには、ETC車載器19が接続される。
【0027】
CPU11は、タクシーメータ10の全体の動作を制御する。CPU11内部の入力ポートには、車両の速度を表す速度パルスを出力する車速センサ36が接続される。CPU11は、車速センサ36から出力される速度パルスを入力し、この速度パルスから得られる走行距離と、RTC18で計時される時間とから、運賃を算出する。通常の賃走時、CPU11は、走行距離または時間がそれぞれ一定値に達すると、課金をアップする。また、高速道路の賃走時、CPU11は、時間による課金を停止し、走行距離による課金アップだけを行う。同様に、乗客待ちや渋滞時、CPU11は、走行距離による課金を停止し、時間による課金アップだけを行う。
【0028】
また、CPU11は、タリフ状態の入力として、各種ボタンの選択を受け付ける。例えば、CPU11は、支払ボタン23が選択されると、賃走時の運賃を確定させ、表示器15に支払画面15z(図5(A)参照)を表示させる。また、CPU11は、チケットボタン26が選択されると、表示器15にチケット選択画面15y(図5(B)参照)を表示させる。また、CPU11は、チケット選択画面15yにおいて、いずれかのチケット種類選択ボタン26z〜26uが選択されると、選択されたチケット種類に対応するフォーマットでチケット転記画面15x(図5(C)参照)を表示器15に表示させる。チケット転記画面15xに表示されるチケット種類に対応する表示フォーマットは、タクシーチケットの印刷フォーマットと同一であり、つまり、同一の複数の項目における項目名及び順序を含む。
【0029】
ROM12は、CPU11が実行する動作プログラムを格納する。また、ROM12は、チケット種類設定テーブル12zが記憶されるチケット種類設定テーブルエリアを有する。図3(A)はチケット種類設定テーブル12zを示す図である。チケット種類設定テーブル12zには、チケット種類毎に異なるフォーマットに対応する表示項目が表示順に示される。つまり、チケット種類設定テーブル12zには、タクシーチケットTKに記載されている項目名及び記載順序に一致するように、チケット転記画面15xに表示される項目名及び表示順序が登録されている。具体的に、チケット名称が「チケットA」である場合、表示順が第1位である表示項目I1には、項目名として料金(タクシー料金)が設定される。表示順が第2位である表示項目I2には、立替料金が設定される。同様に、表示順が第3位、第4位の各表示項目I3,I4には、それぞれ駐車料金、経路が設定される。
【0030】
また、チケット名称が「チケットB」である場合、表示順が第1位である表示項目I1には、料金(タクシー料金)が設定される。表示順が第2位である表示項目I2には、立替料金が設定される。表示順が第3位、第4位の各表示項目I3,I4には、何も設定されない。また、チケット名称が「チケットC」である場合、表示順が第1位である表示項目I1には、料金(タクシー料金)が設定される。表示順が第2位である表示項目I2には、経路が設定される。表示順が第3位である表示項目I3には、その他料金が設定される。表示順が第4位である表示項目I4には、何も設定されない。なお、チケット種類設定テーブル12zに登録されるチケット名称の数は、特に制限されず、任意の数でよい。また、ROM12には、チケット名称毎に、各表示項目を表示するためのテンプレートが記憶されている。従って、CPU11がチケット転記画面15x(図5(C)参照)を表示器15に表示させる際、タクシーチケットTKの印刷イメージで表示することが可能となる。
【0031】
RAM13は、CPU11が動作プログラムを実行する際のワーキングメモリとして使用される。また、RAM13は、車両の運転状態を表す走行データが記憶される走行データエリアの他、賃走後のタクシー料金を表す合計時の決済情報13zが記憶される決済情報格納エリアを有する。図3(B)は合計時の決済情報13zを示す図である。この決済情報13zは、テーブルで表され、合計料金、立替料金計、駐車料金計、その他料金計、経路(乗車地)、経路(降車地)の項目を含む。一例として、RAM13には、合計料金:6,450円、立替料金計:1150円、駐車料金計:0円、その他料金:0円、経路(乗車地):○○町○○、経路(降車地):○○駅を含む決済情報13zが記憶される。
【0032】
カードリーダライタ(R/W)インタフェース(I/F)14には、乗務員mdによって所持され、課金データ等の各種データの読み書きが行われるメモリカード14Aが挿抜自在に装着される。メモリカード14Aには、接触で読み書きを行うSDカードやCF(登録商標)カード等のメモリカードの他、非接触で読み書き可能なICカードや磁気カード等が用いられる。このメモリカード14Aは、課金データ等の解析を行う事務所側のデータ処理装置に対しても、挿抜自在に装着可能である。
【0033】
I/F17Aには、GPS受信器20が接続される。GPS受信器20は、GPS衛星から時刻データを受信し、タクシー車両8の現在位置を算出可能である。I/F17Bには、ETC車載器19が接続される。RTC(時計IC)18は現在時刻を計時する。RTC18によって計時される時刻は、車両の運転状態を表す走行データとともにRAM13に記録される。
【0034】
表示器15は、前述したように、タクシーメータ10における各種データを表示する。また、入力部16は、乗務員等による入力操作を受け付ける。本実施形態では、前述したように、表示器15と入力部16は、重なるように一体に組み合わされたタッチパネルTPで構成される。タッチパネルを用いた場合、乗務員mdがタッチパネルTPに表示された各種ボタンをタッチ操作することで、タクシーメータ10は、入力された情報を受け付ける。なお、表示器15と入力部16とは、それぞれ単体のデバイスとして設けられてもよい。この場合、表示器は、液晶表示器(LCD)、有機EL、プラズマディスプレイ、LED等の表示デバイスである。また、入力部は、マウス、キーボード、トラックボール等の入力デバイスである。
【0035】
上記構成を有するタクシーメータチケット決済システム5の動作を示す。図4はタクシーメータチケット決済処理手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、タクシーメータ10のROM12に格納されており、CPU11によって実行される。図5はタクシーメータチケット決済処理においてタクシーメータ10の表示器15に表示される画面の遷移を示す図である。
【0036】
CPU11は、タクシー車両8が停車し、表示器15の画面に配置された支払ボタン23が乗務員mdによるタッチ操作によって選択されたか否か、つまり、運賃を含むタクシー料金の合計を確定するか否かを判別する(ステップS1)。支払ボタン23が選択されない場合、CPU11はステップS1の処理を繰り返す。一方、支払ボタン23が選択された場合、CPU11は、タクシー料金の合算処理を行う(ステップS2)。この合算処理では、運賃の合計と有料道路の通行料他とが加算される。CPU11は、図5(A)に示すように、合算されたタクシー料金の合計、運賃の合計、及び通行料を含む支払画面15zを表示器15に表示する。一例として、タクシー料金の合計は、運賃の合計5,300円と通行料他1,150円とが加算された金額であり、6,450円である。
【0037】
CPU11は、表示器15に支払画面15zが表示された状態でチケットボタン26が選択されたか否かを判別する(ステップS3)。チケットボタン26が選択されない場合、CPU11はステップS3の処理を繰り返す。一方、チケットボタン26が選択された場合、CPU11は、ROM12に格納されたチケット種類設定テーブル12zに登録されたチケットの種類(チケット名称)を読み出す(ステップS4)。CPU11は、図5(B)に示すように、読み出したチケットの種類を元に、表示器15にチケット選択画面15yを表示する(ステップS5)。チケット選択画面15yには、一例として、「チケA」、「チケB」、「チケC」、「チケD」、「チケE」、「チケF」等のタクシーチケットを発行した事業者を選択するためのチケット種類選択ボタンが複数配置される。なお、ここでは、チケットボタン26が選択された場合、チケット種類のタブが自動的に選択され、複数のチケット種類選択ボタンが表示されたが、乗務員が別のタブ(カード、マスコミ、クーポン、その他)を選択して、個々の画面に表示を切り替えることも可能である。
【0038】
CPU11は、乗務員あるいは乗客によってチケット種類選択ボタン26z〜26uのいずれかが選択されたか否かを判別する(ステップS6)。いずれのチケット種類選択ボタンも選択されない場合、CPU11はステップS6の処理を繰り返す。一方、チケット種類選択ボタン26z〜26uのうち、いずれかのチケット種類選択ボタンが選択された場合、CPU11は、選択されたチケットの表示項目をチケット種類設定テーブル12z(図3(A)参照)から読み出し、さらに、RAM13にテーブル形式で記憶された決済情報13zを読み出す(ステップS7)。
【0039】
CPU11は、図5(C)に示すように、選択されたチケットの表示項目を含むチケット転記画面15xを表示器15に表示させる(ステップS8)。ここでは、選択されたチケットの表示項目がチケットの記入項目と略同一の配置になるように、チケット転記画面15xが表示される。一例として、○○タクシーチケットの場合、ご利用日、ご利用区間、メータ料金、その他料金、御署名の項目が表示項目(記入項目)として表示される。乗客mcは、表示器15に表示されたチケット転記画面15xを見ながら、タクシーチケットTKに印刷された記入項目に所定事項を記入する。乗務員mdは、各記入項目にそれぞれ所定の事項が記入されたチケットTKを乗客mcから受け取ると、空車ボタン21を選択することになる。
【0040】
CPU11は、空車ボタン21が選択されたか否かを判別する(ステップS9)。空車ボタン21が選択されない場合、CPU11はステップS9の処理を繰り返す。一方、空車ボタン21が選択された場合、CPU11は、図5(D)に示すように、表示器15に空車画面15wを表示する(ステップS10)。空車画面15wには、空車中及び現在日時が表示される。表示器15に空車画面15wが表示された状態で、乗務員mdは、乗客mcから受け取ったチケットTKを元に、決済端末50を操作する。CPU11は、決済端末50による決済処理に伴い、運賃の合計、通行料等のデータを読み出し、チケット決済処理を確定させる処理を行う(ステップS11)。接続ボックス40は、決済端末50からの指示に従い、タクシーメータ10のデータ等、必要な情報を決済処理センターに送信する。決済処理センターで決済が完了すると、接続ボックス40は、決済端末50及びCPU11からの指示に従い、領収書をプリンタ60で印刷する。乗務員mdは、印刷された領収書を乗客mcに渡す。これにより、タクシーチケット決済処理が終了する。
【0041】
このように、本実施形態のタクシーメータ10では、CPU11(算出部)は、少なくとも走行距離及び時間の一方に基づいて運賃を算出する。乗務員mdが表示器15に表示された支払ボタン23をタッチ操作して選択すると、CPU11(確定入力部)は、この支払ボタン23による選択を受け付け、算出した運賃を確定させる。CPU11(表示出力部)は、確定した運賃を含む複数の項目を表示器15の表示画面であるチケット転記画面15xに表示させる際、表示器15にチケット選択画面15yを表示させ、複数の項目の項目名及び表示順序を規定するチケットの種類の選択を受け付ける(選択部)。
【0042】
これにより、乗客がタクシーチケットに簡単に転記できるように項目を表示することができる。従って、乗客は、降車時、慌てることなく、落ち着いて転記することができ、転記する際に生じ易い誤記の発生頻度が減る。また、転記が速やかに行われることで、チケット決済処理が早くなり、乗客が降車する迄の時間を短縮できる。一方、乗務員は、チケット決済処理が速やかに行われることで、次の営業再開までの時間を短縮でき、売上の向上に繋げることができる。また、タクシー会社及びチケット発行会社にとっても、タクシーチケット決済処理がスムーズに行われることで、タクシーチケットの利用回数が増え、タクシー乗車率の向上が図られる。
【0043】
また、チケット選択画面15yには、チケットの種類を選択するための複数のチケット種類選択ボタン26z〜26u(複数のボタン)が配置され、表示器15の表示画面である支払画面15zには、複数のチケット種類選択ボタン26z〜26uを表示させるチケットボタン26(表示指示部)が配置される。
【0044】
これにより、乗客が希望するタクシーチケットに転記するためのチケット転記画面15xを表示器15に表示させるまでの操作が簡便になり、使い勝手が向上する。
【0045】
また、複数のチケット種類選択ボタン26z〜26uは、取り扱われる複数のタクシーチケットそれぞれに対応する。タクシーメータ10のROM12(表示出力部)は、複数のチケット種類選択ボタン26z〜26uにそれぞれ対応付けられたタクシーチケットに記載されている項目名及び記載順序に一致するように、チケット転記画面15xに表示される項目名及び表示順序が登録されたチケット種類設定テーブル12zを予め記憶している。
【0046】
これにより、タクシーメータ10がタクシーチケットに記載されている項目名及び記載順序に一致するように、項目名及び表示順序をチケット転記画面15xに表示するまでの処理が早くなる。従って、チケット転記画面15xが速やかに表示されることで、乗客を待たせることなく、即時にタクシーチケットへの転記が可能となる。
【0047】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0048】
例えば、上記実施形態では、タクシーメータの表示器に支払画面、チケット選択画面及びチケット転記画面が表示される場合を示した。タクシーメータの表示器とは別に、接続ボックスに接続され、乗客と対向するように、助手席の後部等に乗客用の表示器が配置されてもよい。この場合、乗客は、間近にある乗客用の表示器を見ながらタクシーチケットに所定の事項を転記可能となり、転記時間が短くなることが期待される。また、乗客用の表示器は、単なる表示器であってもよいし、タッチパネルであってもよい。タッチパネルの場合、チケット選択画面では、乗客自身で希望のチケット種類を自ら選択することが可能となり、より使い勝手が向上する。
【0049】
また、上記実施形態では、チケット転記画面には、タクシーチケットの印刷フォーマットと同一となるように、つまり、タクシーチケットのイメージとなる、表示フォーマットでタクシー料金に精算に係わる項目が表示されたが、表示項目の項目名と表示順序は、タクシーチケットの印刷項目と記載順序となるように配置されていればよく、他の表示形態であってもよい。例えば、テーブル形式でチケット転記画面が表示されてもよい。これにより、汎用性のあるチケット転記画面が表示可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、チケットボタン26を押下すると複数のチケット種類選択ボタン26z〜26uが表示されるようになっていたが、チケットボタン26を押下するごとに、表示項目の項目名と表示順序とが順番に変わっていくようにしてもよい。
【0051】
ここで、上述した本発明に係るタクシーメータの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 少なくとも走行距離及び時間の一方に基づいて運賃を算出する算出部(CPU11)と、
前記算出部により算出された運賃を確定させる確定入力部(支払ボタン23、CPU11)と、
確定された前記運賃を含む複数の項目を表示画面に表示させる表示出力部(CPU11、表示器15)と、
複数の前記項目の項目名及び表示順序を選択する選択部(チケット選択画面15y)と、
を備えることを特徴とするタクシーメータ。
[2] 前記選択部は、前記表示画面に表示される複数のボタンであり、
前記表示画面に前記複数のボタンを表示させる表示指示部(チケットボタン26)を備える、
ことを特徴とする上記[1]に記載のタクシーメータ。
[3] 前記複数のボタンは、取り扱われる複数のタクシーチケットそれぞれに対応し、
前記表示出力部は、前記ボタンに対応付けられたタクシーチケットに記載されている項目名及び記載順序に一致するよう前記表示画面に表示される項目名及び表示順序を予め記憶している(チケット種類設定テーブル12z)、ことを特徴とする上記[2]に記載のタクシーメータ。
【符号の説明】
【0052】
5 タクシーメータチケット決済システム
8 タクシー車両
10 タクシーメータ
10z 筐体
12 ROM
12z チケット種類設定テーブル
13 RAM
13z 決済情報
14 カードリーダライタ(R/W)インタフェース
14A メモリカード
15 表示器
15z 支払画面
15y チケット選択画面
15x チケット転記画面
15w 空車画面
16 入力部
17A、17B インタフェース(I/F)
18 RTC(時計IC)
19 ETC車載器
20 GPS受信器
21〜31 ボタン
36 車速センサ
40 接続ボックス
50 決済端末
60 プリンタ
md 乗務員
mc 乗客
TK タクシーチケット
図1
図2
図3
図4
図5