【実施例】
【0019】
図1は、本発明の実施例に係るセンサ固定構造1が組み込まれた電源ユニット200の分解斜視図である。
図2は、発明の実施例に係るセンサ固定構造1の温度センサ10を固定先となるプロテクタ20に固定する前の状態を示した斜視図である。
図3は、温度センサ10をプロテクタ20に固定する前のセンサ固定構造1を
図2とは異なる方向から視た斜視図である。
図4は、温度センサ10をプロテクタ20に固定した状態のセンサ固定構造1の正面図である。
図5は、温度センサ10をプロテクタ20に固定した状態のセンサ固定構造1の斜視図である。
図6は、(a)が温度センサ10の正面図であり、(b)が温度センサ10の斜視図である。
図7は、温度センサ10が固定されるプロテクタ20の固定面22a周辺を示した図である。
本発明の実施例に係るセンサ固定構造1は、電気自動車、あるいは、ハイブリッド自動車の電源ユニット200に組み込まれ、電源として用いられている電池モジュール100の温度を検出する温度センサ10が、温度センサ10およびセンサ用電線Wを保護する樹脂からなるプロテクタ20を固定先として固定されるためのものである。
【0020】
電池モジュール100は、複数の不図示の単電池が並んで接続されることによって所定容量の電源として構成されたものである。
この電池モジュール100の複数の単電池は、
図1に示すケース110内に収容されている。
【0021】
ケース110は、複数の温度センサ10がケース110の外部からケース110内部に向けて挿入配置されるための複数の開口110aが形成されている。
【0022】
複数の温度センサ10は、プロテクタ20に固定された状態で、プロテクタ20とともにケース110に取り付けられることによって、開口110aを通して電池モジュール100が収容されたケース110内の温度を検出するようになっている。
温度センサ10は、検出部11と検出部11を支持する支持部12とを有してなる。
【0023】
検出部11は、不図示のサーミスタが内蔵され、サーミスタにはセンサ用電線Wが接続さている。
【0024】
支持部12は、検出部11に連結される部分となる胴部13と、支持部12の端部を構成する一対の脚部14と、を有してなる。
【0025】
胴部13は、両側部に一対の係止突起15、15が突設されている。
各係止突起15、15は、温度センサ10を後述する固定面22aに向けて移動する方向の先端側から後端側に向けて厚みが漸次大きくなるように係止片23と接触される面15aが曲面形状になっている。
なお、各係止突起15、15は、係止片23と接触される面15aがテーパ形状であってもよい。
【0026】
一対の脚部14、14は、
図6(b)に示すように、アーチ状に形成され、胴部13から外部に引き出されたセンサ用電線Wが間に通されるようになっている。
【0027】
また、一対の脚部14、14は、一対の係止突起15、15がプロテクタ20の後述する一対の係止孔23a、23aに係止された状態で、各脚部14、14の先端部14a、14aが型抜き用の孔23a、23aに挿通される長さに調整されている。
【0028】
プロテクタ20は、樹脂からなる金型成形品である。
このプロテクタ20は、温度センサ10が固定される部分となるセンサ固定部21と、センサ用電線Wを保護する部分となる電線保護部26と、を有してなり、不図示の係止構造によって、ケース110に固定されるようになっている。
すなわち、プロテクタ20は、電源となる電池モジュール100を囲う位置に配置される囲い配置部材になっている。
【0029】
センサ固定部21は、温度センサ10が固定される固定面22aを有してなる固定板部22と、固定面22aに立設された一対の係止片23、23を有してなる。
【0030】
一対の係止片23、23は、温度センサ10の一対の係止突起15、15が係止される係止孔23aが形成されている。
各係止片23、23は、突出端部側を外方に向けて弾性的に撓ませることができるようになっている。
【0031】
また、センサ固定部21は、一対の係止片23、23のそれぞれに係止孔23aを形成するための型抜き用の孔24が形成されている。
【0032】
型抜き用の孔24は、係止孔23aから型抜き方向に連続される孔24b(以下、「係止孔連続孔」という。)以外の孔が一対の係止片23、23の内側に形成されている。
なお、
図11に示した従来技術では、金型を用いた成形において、係止孔を成形する際に必要な型抜き用の孔のうち、係止孔から型抜き方向に連続される孔以外の孔(図中、符号324aで示す。)が一対の係止片の外側に形成されている。
この実施例では、型抜き用の孔24は、一対の脚部14、14に対応して対で設けられ、かつ、一対の係止片23、23の内側に形成された型抜き用の孔24a(以下、「内側孔」という。)が一対の脚部14、14の先端部14a、14aが挿通された状態で塞がれるような開口寸法に調整されている。
より具体的には、各脚部14の横断面が長方形状をなし、内側孔24aが脚部14の横断面形状よりも僅かに大きい長方形状をなしている。
【0033】
以下、センサ固定構造1の組み付け手順について説明する。
まず、支持部12から引き出されたセンサ用電線Wを温度センサ10の一対の脚部14、14の間に通し、かつ、プロテクタ20の固定面22aに一対の脚部14、14の先端を向けた状態で、温度センサ10を固定面22aに向けて近づける。
【0034】
温度センサ10を固定面22aに近づけていくと、温度センサ10の一対の係止突起15、15がプロテクタ20の一対の係止片23、23に接触開始される。
ここで、一対の係止突起15、15は、温度センサ10が移動する方向の先端側の厚みが小さくされているため、一対の係止片23、23の内側に容易に入り込む。
温度センサ10は、一対の係止突起15、15によって一対の係止片23、23の突出端部側を外方に押し拡げながら、一対の係止突起15、15が一対の係止孔23a、23aに係止完了されるまで固定面22aに向けて移動される。
【0035】
このようにして一対の係止突起15、15が一対の係止片23、23に係止され、センサ固定構造1の組み付けが完了される。
センサ固定構造1の組み付けが完了されると、
図4および
図5に示すように、一対の脚部14、14の先端部14a、14aが各内側孔24a、24aに挿通された状態になるので、一対の脚部14、14とプロテクタ20の固定面22aとの間にセンサ用電線Wが入り込む隙間Sがない状態になる。
【0036】
なお、この実施例では、複数の温度センサ10が固定されたプロテクタ20をケース110に取付けることによって、各温度センサ10がケース110内の温度を検出することができる各開口110aの位置に固定配置される。
このようにプロテクタ20は、電源としての電池モジュール100を囲う位置に配置される囲い配置部材となり、ケース110に取付けられた各温度センサ10は、各内側孔24a、24aに一対の脚部14、14の先端部14a、14aを挿通させることによって、各内側孔24a、24aを塞ぐようになっているので、ケース110の開口110aが閉塞されるようになっている。
【0037】
本発明の実施例に係るセンサ固定構造1は、温度センサ10の一対の係止突起15、15が、固定先となるプロテクタ20の一対の係止孔23a、23aに係止されることによって、温度センサ10の一対の脚部14、14の先端部14a、14aが一対の係止片23、23の内側に形成された型抜き用の孔24a、24aに挿通された状態になるので、一対の脚部14、14と固定面22aとの間にセンサ用電線Wが入り込む隙間Sがない状態になり、固定面22aに向けた温度センサ10の一対の脚部14、14の間に挿通されるセンサ用電線Wが固定面22aと脚部14、14との間に噛み込むことによってセンサ用電線Wが損傷されることを防ぐことができる。
【0038】
また、本発明の実施例に係るセンサ固定構造1は、型抜き用の孔24が一対の脚部14、14に対応して対で設けられ、かつ、一対の係止片23、23の内側に形成された型抜き用の孔24a、24aが一対の脚部14、14の先端部14a、14aが挿通された状態で塞がれるような開口寸法に調整されているので、温度センサ10の一対の係止突起15、15が、プロテクタ20の一対の係止孔23a、23aに係止されることによって、一対の係止片23、23の内側に形成された型抜き用の孔24a、24aの略全体を塞ぐことができる。
【0039】
また、本発明の実施例に係るセンサ固定構造1は、温度センサ10が、電源としての電池モジュール100の温度を検出する温度センサであり、固定先となるプロテクタ20が、電池モジュール100を囲う位置に配置される囲い配置部材であるので、プロテクタ20に形成された型抜き用の孔25が塞がれることによって、外部に繋がる開口を少なくして電源を囲うことができるので、電源の温度を正確に測定できるとともに、電源を囲いの内部で冷却する場合には、囲いの内部の冷気を外部に逃がしてしまうことを抑えることができる。
(変形例1)
【0040】
次に、
図8を用いて本発明の実施例のセンサ固定構造1の変形例1について説明する。
図8は、(a)が変形例1のセンサ固定構造2の斜視図であり、(b)がセンサ固定構造2の正面図である。
この変形例1のセンサ固定構造2は、一対の係止突起16、16が、型抜き用の孔24のうち、係止孔連続孔24b、24bを塞ぐようになっている点で、実施例のセンサ固定構造と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付しその説明を省略している。
【0041】
一対の係止突起16、16は、温度センサ10を固定面22aに向けて移動する方向の先端側から後端側に向けて厚みが漸次大きくなるように一対の係止片23、23と接触される面16aが曲面形状、あるいは、テーパ形状になっている。
【0042】
この一対の係止突起16、16は、一対の係止孔23a、23aに係止された状態で、厚みが小さくされた先端側が一対の係止孔連続孔24b、24b内に挿入されるようになっている。
より具体的には、一対の係止突起16、16は、一対の係止孔23a、23aに係止された状態で、先端側が一対の係止孔連続孔24b、24b内に挿入される位置まで延在されており、かつ、孔内に挿入されるように厚みが小さく調整されている。
【0043】
なお、一対の係止突起16、16は、孔内に挿入される部分が孔をできるだけ完全に塞ぐことができる厚みに調整することが好ましい。
このため、一対の係止突起16、16は、孔の入口に位置される部分の断面が孔の入り口開口と略等しいサイズになるように調整するとよい。
【0044】
この変形例1のセンサ固定構造2は、実施例と同様の効果を奏するとともに、一対の係止突起16、16が、温度センサ10を固定面22aに向けて移動する方向の先端側から後端側に向けて厚みが漸次大きくなるように一対の係止片23、23と接触される面16a、16aが曲面形状になっており、一対の係止孔23a、23aに係止された状態で、厚みが小さくされた先端側が一対の係止孔連続孔24b、24b内に挿入されているので、温度センサ10の一対の係止突起16、16が、プロテクタ20の一対の係止孔23a、23aに係止されることによって、一対の係止突起16、16によって一対の係止孔連続孔24b、24bを塞ぐことができる。
(変形例2)
【0045】
次に、
図9および
図10を用いて本発明の実施例のセンサ固定構造1の変形例2について説明する。
図9は、温度センサ10を固定先となるプロテクタ20に固定する前の変形例2のセンサ固定構造3をそれぞれ異なる方向から視た斜視図である。
図10は、
図9に示したプロテクタ20のセンサ固定部21を固定面22a側から視た図である。
この変形例2のセンサ固定構造3は、型抜き用の孔25が一つに繋がっている点で、実施例のセンサ固定構造1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付しその説明を省略している。
【0046】
型抜き用の孔25は、一対の係止孔連続孔24b、24bと、一対の内側孔24a、24aと、が一対の内側孔24a、24aの間を型抜き用の孔によって連結されることによって一つに繋がるようになっている。
【0047】
この変形例2のセンサ固定構造3は、実施例1と同様の効果を奏するとともに、型抜き用の孔に対応した型抜き用の金型の駒を一つにすることができる。
【0048】
なお、本発明の実施例、および、変形例1、2に係るセンサ固定構造は、センサがサーミスタであるものを例示したが、これに限らず、その他のセンサを用いてもよい。例えば、電流センサを用いてもよい。
【0049】
また、本発明の実施例、および、変形例1、2に係るセンサ固定構造は、センサがプロテクタに固定されるものを例示したが、センサの固定先はこれに限らず、固定面に立設された一対の係止片のそれぞれに係止孔が形成された樹脂からなる個固定先であればその他の固定先であってもよい。例えば、電池モジュールが収容されるケースを固定先としてもよい。
【0050】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。