特許第6850172号(P6850172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850172
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】センサ固定構造
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20210322BHJP
   G01D 11/30 20060101ALI20210322BHJP
   H01M 10/48 20060101ALN20210322BHJP
   H01M 50/20 20210101ALN20210322BHJP
【FI】
   G01K1/14 E
   G01D11/30 S
   !H01M10/48 301
   !H01M2/10 M
   !H01M2/10 S
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-57598(P2017-57598)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-159657(P2018-159657A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2020年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】稲尾 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 大祐
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一真
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−148941(JP,U)
【文献】 特開2011−7536(JP,A)
【文献】 特開2004−325210(JP,A)
【文献】 中国実用新案第207675329(CN,U)
【文献】 特開2018−159656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
G01D 11/30
H01M 10/48
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部と該検出部を支持する支持部とを有してなるセンサの前記支持部の端部を構成する一対の脚部の間に支持部から引き出されたセンサ用電線が通され、かつ、前記センサが樹脂からなる固定先の固定面に前記一対の脚部の先端を向けた状態で、前記支持部の両側部に突設された一対の係止突起が前記固定面に立設された一対の係止片のそれぞれに形成された係止孔に係止されることによって前記センサが前記固定先に固定されるセンサ固定構造であって、
前記固定先は、
前記一対の係止片に前記係止孔を成形するための型抜き用の孔のうち、前記係止孔から型抜き方向に連続される孔以外の孔が前記一対の係止片の内側に形成されており、
前記センサは、
前記一対の脚部の先端部が前記一対の係止片の内側に形成された前記型抜き用の孔に挿通された状態で前記固定先に固定される
ことを特徴とするセンサ固定構造。
【請求項2】
前記型抜き用の孔は、
前記一対の脚部に対応して対で設けられ、かつ、前記一対の係止片の内側に形成された型抜き用の孔が前記一対の脚部の前記先端部が挿通された状態で塞がれるような開口寸法に調整されている
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ固定構造。
【請求項3】
前記一対の係止突起は、
前記センサを前記固定面に向けて移動する方向の先端側から後端側に向けて厚みが漸次大きくなるように前記一対の係止片と接触される面が曲面形状、あるいは、テーパ形状になっており、前記一対の係止孔に係止された状態で、厚みが小さくされた前記先端側が前記一対の係止孔から型抜き方向に連続される孔内に挿入されている
ことを特徴とする請求項2に記載のセンサ固定構造。
【請求項4】
前記センサは、
電源の温度を検出する温度センサであり、
前記固定先は、
前記電源を囲うケース、あるいは、前記電源を囲う位置に配置される囲い配置部材である
ことを特徴とする請求項2または3に記載のセンサ固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに設けられた係止突起がセンサの固定先に設けられた係止孔に係止されるセンサ固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、あるいは、ハイブリッド自動車は、複数の単電池が並んで接続されることによって構成された電池モジュールが電源として用いられている。
このような電池モジュールは、サーミスタ、あるいは、電流センサ等の各種センサによってその状態が検出されるようになっている。
各センサは、電池モジュールを囲うケース、あるいは、センサおよび配策される電線を保護するものであり電源を囲う位置に配置されるプロテクタ等の絶縁性の樹脂からなる固定先に固定される。
【0003】
例えば、特許文献1には、電池モジュールを囲う絶縁性の樹脂からなるケースに温度センサが固定された電源装置が記載されている。
【0004】
ところで、温度センサ等のセンサ310を固定先に固定するためのセンサ固定構造300としては、図11に示すように、検出部311と該検出部311を支持する支持部312とを有してなるセンサ310の支持部312の端部を構成する一対の脚部314、314の間に支持部312から引き出されたセンサ用電線Wが通され、かつ、センサ310が樹脂からなる固定先320の固定面322aに一対の脚部314、314の先端を向けた状態で、支持部312の両側部に突設された一対の係止突起315、315が固定面322aに立設された一対の係止片323、323のそれぞれに形成された係止孔323aに係止されることによってセンサ310が固定先320に固定されるものがある。
【0005】
このようなセンサ固定構造300は、センサ310の一対の係止突起315、315と固定先320の一対の係止孔323a、323aとを係止する際の組み付け性を考慮して、一対の脚部314、314の長さ方向で一対の係止突起315、315が一対の係止孔323a、323aに当接された状態で、一対の脚部314、314と固定面322aとの間に隙間Sが設けられるように寸法が調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−60675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図11に示した従来技術のセンサ固定構造300では、センサ310の一対の係止突起315、315と固定先320の一対の係止孔323a、323aとが係止完了された状態で、一対の脚部314、314と固定面322aとの間に隙間Sを設けたことによって、センサ用電線Wを隙間Sに噛み込んでしまい、センサ用電線Wを損傷させてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、固定面に向けたセンサの一対の脚部の間に挿通されるセンサ用電線が固定面と脚部との間に噛み込むことによってセンサ用電線が損傷されることを防ぐことができるセンサ固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るセンサ固定構造は、検出部と該検出部を支持する支持部とを有してなるセンサの前記支持部の端部を構成する一対の脚部の間に支持部から引き出されたセンサ用電線が通され、かつ、前記センサが樹脂からなる固定先の固定面に前記一対の脚部の先端を向けた状態で、前記支持部の両側部に突設された一対の係止突起が前記固定面に立設された一対の係止片のそれぞれに形成された係止孔に係止されることによって前記センサが前記固定先に固定されるセンサ固定構造であって、前記固定先が、前記一対の係止片に前記係止孔を成形するための型抜き用の孔のうち、前記係止孔から型抜き方向に連続される孔以外の孔が前記一対の係止片の内側に形成されており、前記センサは、前記一対の脚部の先端部が前記一対の係止片の内側に形成された前記型抜き用の孔に挿通された状態で前記固定先に固定されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係るセンサ固定構造は、上記の発明において、前記型抜き用の孔が、前記一対の脚部に対応して対で設けられ、かつ、前記一対の係止片の内側に形成された型抜き用の孔が前記一対の脚部の前記先端部が挿通された状態で塞がれるような開口寸法に調整されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に係るセンサ固定構造は、上記の発明において、前記一対の係止突起が、前記センサを前記固定面に向けて移動する方向の先端側から後端側に向けて厚みが漸次大きくなるように前記一対の係止片と接触される面が曲面形状、あるいは、テーパ形状になっており、前記一対の係止孔に係止された状態で、厚みが小さくされた前記先端側が前記一対の係止孔から型抜き方向に連続される孔内に挿入されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に係るセンサ固定構造は、上記の発明において、前記センサが、電源の温度を検出する温度センサであり、前記固定先が、前記電源を囲うケース、あるいは、前記電源を囲う位置に配置される囲い配置部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係るセンサ固定構造は、前記センサの前記一対の係止突起が、前記固定先の前記一対の係止孔に係止されることによって、前記センサの前記一対の脚部の先端部が前記一対の係止片の内側に形成された前記型抜き用の孔に挿通された状態になるので、前記一対の脚部と前記固定先の前記固定面との間に前記センサ用電線が入り込む隙間がない状態になり、前記固定面に向けた前記センサの前記一対の脚部の間に挿通される前記センサ用電線が前記固定面と前記脚部との間に噛み込むことによって前記センサ用電線が損傷されることを防ぐことができる。
【0014】
本発明の請求項2に係るセンサ固定構造は、前記型抜き用の孔が前記一対の脚部に対応して対で設けられ、かつ、前記一対の係止片の内側に形成された型抜き用の孔が前記一対の脚部の前記先端部が挿通された状態で塞がれるような開口寸法に調整されているので、前記センサの前記一対の係止突起が、前記固定先の前記一対の係止孔に係止されることによって、前記一対の係止片の内側に形成された型抜き用の孔の略全体を塞ぐことができる。
【0015】
本発明の請求項3に係るセンサ固定構造は、前記一対の係止突起が、前記センサを前記固定面に向けて移動する方向の先端側から後端側に向けて厚みが漸次大きくなるように前記一対の係止片と接触される面が曲面形状、あるいは、テーパ形状になっており、前記一対の係止孔に係止された状態で、厚みが小さくされた前記先端側が前記一対の係止孔から型抜き方向に連続される孔内に挿入されているので、前記センサの前記一対の係止突起が、前記固定先の前記一対の係止孔に係止されることによって、前記一対の係止突起によって前記一対の係止孔から型抜き方向に連続される孔を塞ぐことができる。
【0016】
本発明の請求項4に係るセンサ固定構造は、前記センサが、電源の温度を検出する温度センサであり、前記固定先が、前記電源を囲うケース、あるいは、前記電源を囲う位置に配置される囲い配置部材であるので、前記固定先に形成された前記型抜き用の孔が塞がれることによって、外部に繋がる開口を少なくして電源を囲うことができるので、電源の温度を正確に測定できるとともに、電源を囲いの内部で冷却する場合には、囲いの内部の冷気を外部に逃がしてしまうことを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施例に係るセンサ固定構造が組み込まれた電源ユニットの分解斜視図である。
図2図2は、発明の実施例に係るセンサ固定構造の温度センサを固定先となるプロテクタに固定する前の状態を示した斜視図である。
図3図3は、温度センサをプロテクタに固定する前のセンサ固定構造を図2とは異なる方向から視た斜視図である。
図4図4は、温度センサをプロテクタに固定した状態のセンサ固定構造の正面図である。
図5図5は、温度センサをプロテクタに固定した状態のセンサ固定構造の斜視図である。
図6図6は、(a)が温度センサの正面図であり、(b)が温度センサの斜視図である。
図7図7は、温度センサが固定されるプロテクタの固定面周辺を示した図である。
図8図8は、(a)が変形例1のセンサ固定構造の斜視図であり、(b)がセンサ固定構造の正面図である。
図9図9は、温度センサを固定先となるプロテクタに固定する前の変形例2のセンサ固定構造をそれぞれ異なる方向から視た斜視図である。
図10図10は、図9に示したプロテクタのセンサ固定部を固定面側から視た図である。
図11図11は、従来技術の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係るセンサ固定構造の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の実施例に係るセンサ固定構造1が組み込まれた電源ユニット200の分解斜視図である。図2は、発明の実施例に係るセンサ固定構造1の温度センサ10を固定先となるプロテクタ20に固定する前の状態を示した斜視図である。図3は、温度センサ10をプロテクタ20に固定する前のセンサ固定構造1を図2とは異なる方向から視た斜視図である。図4は、温度センサ10をプロテクタ20に固定した状態のセンサ固定構造1の正面図である。図5は、温度センサ10をプロテクタ20に固定した状態のセンサ固定構造1の斜視図である。図6は、(a)が温度センサ10の正面図であり、(b)が温度センサ10の斜視図である。図7は、温度センサ10が固定されるプロテクタ20の固定面22a周辺を示した図である。
本発明の実施例に係るセンサ固定構造1は、電気自動車、あるいは、ハイブリッド自動車の電源ユニット200に組み込まれ、電源として用いられている電池モジュール100の温度を検出する温度センサ10が、温度センサ10およびセンサ用電線Wを保護する樹脂からなるプロテクタ20を固定先として固定されるためのものである。
【0020】
電池モジュール100は、複数の不図示の単電池が並んで接続されることによって所定容量の電源として構成されたものである。
この電池モジュール100の複数の単電池は、図1に示すケース110内に収容されている。
【0021】
ケース110は、複数の温度センサ10がケース110の外部からケース110内部に向けて挿入配置されるための複数の開口110aが形成されている。
【0022】
複数の温度センサ10は、プロテクタ20に固定された状態で、プロテクタ20とともにケース110に取り付けられることによって、開口110aを通して電池モジュール100が収容されたケース110内の温度を検出するようになっている。
温度センサ10は、検出部11と検出部11を支持する支持部12とを有してなる。
【0023】
検出部11は、不図示のサーミスタが内蔵され、サーミスタにはセンサ用電線Wが接続さている。
【0024】
支持部12は、検出部11に連結される部分となる胴部13と、支持部12の端部を構成する一対の脚部14と、を有してなる。
【0025】
胴部13は、両側部に一対の係止突起15、15が突設されている。
各係止突起15、15は、温度センサ10を後述する固定面22aに向けて移動する方向の先端側から後端側に向けて厚みが漸次大きくなるように係止片23と接触される面15aが曲面形状になっている。
なお、各係止突起15、15は、係止片23と接触される面15aがテーパ形状であってもよい。
【0026】
一対の脚部14、14は、図6(b)に示すように、アーチ状に形成され、胴部13から外部に引き出されたセンサ用電線Wが間に通されるようになっている。
【0027】
また、一対の脚部14、14は、一対の係止突起15、15がプロテクタ20の後述する一対の係止孔23a、23aに係止された状態で、各脚部14、14の先端部14a、14aが型抜き用の孔23a、23aに挿通される長さに調整されている。
【0028】
プロテクタ20は、樹脂からなる金型成形品である。
このプロテクタ20は、温度センサ10が固定される部分となるセンサ固定部21と、センサ用電線Wを保護する部分となる電線保護部26と、を有してなり、不図示の係止構造によって、ケース110に固定されるようになっている。
すなわち、プロテクタ20は、電源となる電池モジュール100を囲う位置に配置される囲い配置部材になっている。
【0029】
センサ固定部21は、温度センサ10が固定される固定面22aを有してなる固定板部22と、固定面22aに立設された一対の係止片23、23を有してなる。
【0030】
一対の係止片23、23は、温度センサ10の一対の係止突起15、15が係止される係止孔23aが形成されている。
各係止片23、23は、突出端部側を外方に向けて弾性的に撓ませることができるようになっている。
【0031】
また、センサ固定部21は、一対の係止片23、23のそれぞれに係止孔23aを形成するための型抜き用の孔24が形成されている。
【0032】
型抜き用の孔24は、係止孔23aから型抜き方向に連続される孔24b(以下、「係止孔連続孔」という。)以外の孔が一対の係止片23、23の内側に形成されている。
なお、図11に示した従来技術では、金型を用いた成形において、係止孔を成形する際に必要な型抜き用の孔のうち、係止孔から型抜き方向に連続される孔以外の孔(図中、符号324aで示す。)が一対の係止片の外側に形成されている。
この実施例では、型抜き用の孔24は、一対の脚部14、14に対応して対で設けられ、かつ、一対の係止片23、23の内側に形成された型抜き用の孔24a(以下、「内側孔」という。)が一対の脚部14、14の先端部14a、14aが挿通された状態で塞がれるような開口寸法に調整されている。
より具体的には、各脚部14の横断面が長方形状をなし、内側孔24aが脚部14の横断面形状よりも僅かに大きい長方形状をなしている。
【0033】
以下、センサ固定構造1の組み付け手順について説明する。
まず、支持部12から引き出されたセンサ用電線Wを温度センサ10の一対の脚部14、14の間に通し、かつ、プロテクタ20の固定面22aに一対の脚部14、14の先端を向けた状態で、温度センサ10を固定面22aに向けて近づける。
【0034】
温度センサ10を固定面22aに近づけていくと、温度センサ10の一対の係止突起15、15がプロテクタ20の一対の係止片23、23に接触開始される。
ここで、一対の係止突起15、15は、温度センサ10が移動する方向の先端側の厚みが小さくされているため、一対の係止片23、23の内側に容易に入り込む。
温度センサ10は、一対の係止突起15、15によって一対の係止片23、23の突出端部側を外方に押し拡げながら、一対の係止突起15、15が一対の係止孔23a、23aに係止完了されるまで固定面22aに向けて移動される。
【0035】
このようにして一対の係止突起15、15が一対の係止片23、23に係止され、センサ固定構造1の組み付けが完了される。
センサ固定構造1の組み付けが完了されると、図4および図5に示すように、一対の脚部14、14の先端部14a、14aが各内側孔24a、24aに挿通された状態になるので、一対の脚部14、14とプロテクタ20の固定面22aとの間にセンサ用電線Wが入り込む隙間Sがない状態になる。
【0036】
なお、この実施例では、複数の温度センサ10が固定されたプロテクタ20をケース110に取付けることによって、各温度センサ10がケース110内の温度を検出することができる各開口110aの位置に固定配置される。
このようにプロテクタ20は、電源としての電池モジュール100を囲う位置に配置される囲い配置部材となり、ケース110に取付けられた各温度センサ10は、各内側孔24a、24aに一対の脚部14、14の先端部14a、14aを挿通させることによって、各内側孔24a、24aを塞ぐようになっているので、ケース110の開口110aが閉塞されるようになっている。
【0037】
本発明の実施例に係るセンサ固定構造1は、温度センサ10の一対の係止突起15、15が、固定先となるプロテクタ20の一対の係止孔23a、23aに係止されることによって、温度センサ10の一対の脚部14、14の先端部14a、14aが一対の係止片23、23の内側に形成された型抜き用の孔24a、24aに挿通された状態になるので、一対の脚部14、14と固定面22aとの間にセンサ用電線Wが入り込む隙間Sがない状態になり、固定面22aに向けた温度センサ10の一対の脚部14、14の間に挿通されるセンサ用電線Wが固定面22aと脚部14、14との間に噛み込むことによってセンサ用電線Wが損傷されることを防ぐことができる。
【0038】
また、本発明の実施例に係るセンサ固定構造1は、型抜き用の孔24が一対の脚部14、14に対応して対で設けられ、かつ、一対の係止片23、23の内側に形成された型抜き用の孔24a、24aが一対の脚部14、14の先端部14a、14aが挿通された状態で塞がれるような開口寸法に調整されているので、温度センサ10の一対の係止突起15、15が、プロテクタ20の一対の係止孔23a、23aに係止されることによって、一対の係止片23、23の内側に形成された型抜き用の孔24a、24aの略全体を塞ぐことができる。
【0039】
また、本発明の実施例に係るセンサ固定構造1は、温度センサ10が、電源としての電池モジュール100の温度を検出する温度センサであり、固定先となるプロテクタ20が、電池モジュール100を囲う位置に配置される囲い配置部材であるので、プロテクタ20に形成された型抜き用の孔25が塞がれることによって、外部に繋がる開口を少なくして電源を囲うことができるので、電源の温度を正確に測定できるとともに、電源を囲いの内部で冷却する場合には、囲いの内部の冷気を外部に逃がしてしまうことを抑えることができる。
(変形例1)
【0040】
次に、図8を用いて本発明の実施例のセンサ固定構造1の変形例1について説明する。
図8は、(a)が変形例1のセンサ固定構造2の斜視図であり、(b)がセンサ固定構造2の正面図である。
この変形例1のセンサ固定構造2は、一対の係止突起16、16が、型抜き用の孔24のうち、係止孔連続孔24b、24bを塞ぐようになっている点で、実施例のセンサ固定構造と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付しその説明を省略している。
【0041】
一対の係止突起16、16は、温度センサ10を固定面22aに向けて移動する方向の先端側から後端側に向けて厚みが漸次大きくなるように一対の係止片23、23と接触される面16aが曲面形状、あるいは、テーパ形状になっている。
【0042】
この一対の係止突起16、16は、一対の係止孔23a、23aに係止された状態で、厚みが小さくされた先端側が一対の係止孔連続孔24b、24b内に挿入されるようになっている。
より具体的には、一対の係止突起16、16は、一対の係止孔23a、23aに係止された状態で、先端側が一対の係止孔連続孔24b、24b内に挿入される位置まで延在されており、かつ、孔内に挿入されるように厚みが小さく調整されている。
【0043】
なお、一対の係止突起16、16は、孔内に挿入される部分が孔をできるだけ完全に塞ぐことができる厚みに調整することが好ましい。
このため、一対の係止突起16、16は、孔の入口に位置される部分の断面が孔の入り口開口と略等しいサイズになるように調整するとよい。
【0044】
この変形例1のセンサ固定構造2は、実施例と同様の効果を奏するとともに、一対の係止突起16、16が、温度センサ10を固定面22aに向けて移動する方向の先端側から後端側に向けて厚みが漸次大きくなるように一対の係止片23、23と接触される面16a、16aが曲面形状になっており、一対の係止孔23a、23aに係止された状態で、厚みが小さくされた先端側が一対の係止孔連続孔24b、24b内に挿入されているので、温度センサ10の一対の係止突起16、16が、プロテクタ20の一対の係止孔23a、23aに係止されることによって、一対の係止突起16、16によって一対の係止孔連続孔24b、24bを塞ぐことができる。
(変形例2)
【0045】
次に、図9および図10を用いて本発明の実施例のセンサ固定構造1の変形例2について説明する。
図9は、温度センサ10を固定先となるプロテクタ20に固定する前の変形例2のセンサ固定構造3をそれぞれ異なる方向から視た斜視図である。図10は、図9に示したプロテクタ20のセンサ固定部21を固定面22a側から視た図である。
この変形例2のセンサ固定構造3は、型抜き用の孔25が一つに繋がっている点で、実施例のセンサ固定構造1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付しその説明を省略している。
【0046】
型抜き用の孔25は、一対の係止孔連続孔24b、24bと、一対の内側孔24a、24aと、が一対の内側孔24a、24aの間を型抜き用の孔によって連結されることによって一つに繋がるようになっている。
【0047】
この変形例2のセンサ固定構造3は、実施例1と同様の効果を奏するとともに、型抜き用の孔に対応した型抜き用の金型の駒を一つにすることができる。
【0048】
なお、本発明の実施例、および、変形例1、2に係るセンサ固定構造は、センサがサーミスタであるものを例示したが、これに限らず、その他のセンサを用いてもよい。例えば、電流センサを用いてもよい。
【0049】
また、本発明の実施例、および、変形例1、2に係るセンサ固定構造は、センサがプロテクタに固定されるものを例示したが、センサの固定先はこれに限らず、固定面に立設された一対の係止片のそれぞれに係止孔が形成された樹脂からなる個固定先であればその他の固定先であってもよい。例えば、電池モジュールが収容されるケースを固定先としてもよい。
【0050】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3 センサ固定構造
10 温度センサ(センサ)
11 検出部
12 支持部
13 胴部
14 脚部
14a 先端部
15、16 係止突起
15a、16a 面
20 プロテクタ(固定先、囲い配置部材)
21 センサ固定部
22 固定板部
22a 固定面
23 係止片
23a 係止孔
24、25 型抜き用の孔
24a 内側孔(型抜き用の孔)
24b 係止孔連続孔(型抜き用の孔)
26 電線保護部
200 電源ユニット
100 電池モジュール(電源)
110 ケース
110a 開口
W センサ用電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11